AIRとしての集大成
Title:Three Cheers For Goodbye~The Best Of Air~
Musician:AIR
今年2月、AIRとしての活動を終了した、車谷浩司。そんな彼の、AIRとしての活動をまとめた2枚組となるベストアルバムが本作です。
AIRのベスト盤というと、以前発売された「Best Not Best」。この時、以前のサイトで書いていた感想と、今回のベストアルバムを聴いた感想が基本的には同じなんですよね(^^;;まあ、「Best Not Best」リリース後、活動のスタンスがあまりかわらなかった影響なのですが。
以下、当時の文章から転載。
「私がAIRの音楽が壺でありながら、手放しで絶賛できない理由、それは、彼の活動スタンスに、どこか地に足をつけていない部分を感じるから、ではないでしょうか。そんな彼のスタイルが端的にあらわれたのは、アルバム「FREEDOM/99」の頃の、政治活動でした。この頃、彼は「動物実験反対」を叫んでライブツアーを行ったり、また、アルバムの中で、強く社会問題を歌っていました。しかし、その活動はどこかとってつけた感があり、心からの社会参加というよりも、この時期、彼が影響を受けていた(であろう)ミュージシャン、Rage Against The
Machineが、社会活動を行っていることを参考にして真似た、スタイルだけの活動・・・と感じる部分も少なからずありました。
それは、正直、音楽自体に関しても思うところがあり、マイブラ調の音楽があるかと思えば、ミクスチャーロックに強く影響を受け、さらには最近はジャジーなナンバー・・・と、どこか「それじゃあ、AIRの本質は何?」と思ってしまうような部分を感じてしまいます。それがすごく残念なのは、どのジャンルを取り入れても、しっかりとした楽曲を作ってくるんですよ。だから、このアルバムを聴いていても、基本的にはとても気持ちよく楽しく彼の音世界を楽しみながら聴くことができます。また、ライブも最高にカッコよくて、実際、彼がしっかりとした実力のあるミュージシャンであることは間違いないでしょう。だからこそ、BAKUの時代から、spiral lifeを経て、いままで人気を保っているわけで・・・。」
(以上「ゆういちの音楽研究所」→「Review」→「A」の欄の中程にあります)
今回のアルバムで、彼の作品を通して聴いてみると、思ったよりは、AIRとしてのキャリアを通じて、似たような雰囲気は貫いているな、とも思いました。
最終的に、「メロディアスでジャジーな聴かせる作風」というスタンスにたどり着いたわけで、これが、AIRとしての最終系であり、車谷浩司が、AIRとしてやりたかったこと、なのかもしれません。
ただ、そのスタイルにしても、決して真新しい個性を感じるわけではないですし、これがAIRだ、という主張に対しては、少々弱いように感じてしまいます。
なーんとなく、ふらふらとしたスタンスの中で漫然と活動を続けて、あいまいなままにAIRとしての活動を終えちゃったなぁ・・・ちょっと辛口な意見ですが、このベスト盤で、なんか中途半端なままAIRとしての活動が終ってしまった、というと、そんなことを感じてしまいました。
現在は、しばらく音楽活動は休止するみたいです。ただ、今後、また新たな名義でいつかは音楽活動を再開するでしょう。その時こそ、彼が目指している音楽は何なのか、ちゃんとしたそのスタンスを示して欲しい、そう感じざるを得ないベスト盤でした。
評価:★★★★
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