大人たちの遊び場
Title:シャンブル
Musician:ユニコーン
今年、正月早々飛び込んできたビックニュース。ユニコーン再結成!!80年代から90年代初頭にかけて活躍したバンド。あの奥田民生がかつて所属していたバンドですね・・・・・・(という言い方で語られるのがなんとも時の移り変わりを感じてしまいます)。
ただ、以前にも書いたとおり、バンドの再結成は、素直に喜べない部分があります。ましてやここ最近の再結成ブームは、あきらかに、CDが売れなくなってきたから、昔のバンドを引っ張り出して、CDを買わなくなった30代40代の世代に売りつけようという魂胆がミエミエ。再結成ブームに関しては、いくつも疑問符がついてしまいます。
しかし、そこらへんを差し引いてもなお、新曲「WAO!」のPVには思わず見入ってしまって、どこかうれしく感じてしまいました。
昔のユニコーン、そのまんまだったから。
その上、音楽的には、どこか大人の余裕というか、ひとまわりふたまわりの成長を感じられ、単純なノスタルジックとは違う期待をもてる部分も感じられたから。
そして届いたユニコーンの新作。メンバーが作詞作曲やボーカルも分担しているのは以前同様なのですが、その作風が見事バラバラになっていました(笑)。
奥田民生の楽曲は、「スカイハイ」といい「パープルピープル」といい、ダラダラした雰囲気がたまらないし、阿部義晴は「WAO!」といい、「R&R IS NO DEAD」といい、60年代のオールドスタイルロック風。また、EBIちゃんの楽曲は、どこかおしゃれな雰囲気をかもし出していたり、「AUTUMN LEAVES」みたいなエレクトロニカ風の実験的な作風を取り入れていたり・・・。
他にも電子音を大々的に入れてきた「キミトデカケタ」や、歌謡曲風の「ザギンデビュー」、DEEP PURPLEあたりを彷彿とさせる「オッサンマーチ」など、作風は最後の最後まで見事バラバラ。メンバーそれぞれが(いい意味で)好き勝手につくってきた感がありありと感じられます。
普通、このタイプの、メンバーそれぞれがバラバラな作風のアルバム・・・といえば、しばしば解散直前のアルバムだったりするんですよね。THE BEATLESのホワイト・アルバムしかり、THE BLUE HEARTSの「PAN」しかり。
しかし、このアルバムからは、そんな雰囲気は微塵も感じられません。むしろメンバーそれぞれが大人としての関係を保って、ほどよい距離を保ちながら、好き勝手に楽しんでいる、そういう印象を強く受けます。
いわば「大人の遊び場」。このアルバムは、そんな印象を受ける作品でした。
それだけに傑作であったのは間違いないのですが、もろ手をあげて最高傑作というには少々物足りない点が・・・。
なんだろうなぁ、と思ったのですが、奥田民生がちょっと後ろに下がっているんですよね。
初回限定特典のDVDの中では、「ソロとバンドは変わらない」と語っていて、実際、彼の楽曲は、ソロとしてリリースしてもおかしくない曲ばかりなのですが、全体としてかなり地味。やはり既にソロで成功している彼が前に出てしまうと、目立ちすぎてしまう部分もありため、あえてバンドとしては後ろに引いたのでしょうか。
それなので、アルバム全体として核になるような曲が、「WAO!」以外になくて、ちょっと物足りなさを感じてしまう部分もありました。
もっとも、今なお圧倒的な個性とその実力を感じられる傑作であることは間違いありません。
これ1枚で終わり・・・じゃなくて、本格的に再結成して、これからも活動を続けて欲しいなぁ。中途半端な形では終って欲しくないんですよね。これからにも期待しています!!
評価:★★★★★
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