このアルバムもグラミー賞か?
Title:No Line on the Horizon
Musician:U2
2000年代に入ってから、「All That You Can't Leave Behind」「How to Dismantle an Atomic Bomb」と、原点回帰的な傑作をつづけてリリースしてきた彼ら。この2作品はともにグラミー賞で数多くの賞を獲得するなど、非常に高い評価を受けています。
それに続くアルバムなので、凡百のミュージシャンなら、大きなプレッシャーのかかるところなのですが、彼らほどのバンドになると、そんなプレッシャーは全く関係ないみたいですね。あくまでも簡単に、あっさりと、またもや傑作アルバムを仕立て上げました。
1990年代のテクノポップ路線から一転、原点回帰を思わせた「All That~」や、さらにハードなロック路線を印象づけた「How to~」に続くこのアルバムは、この2作をふまえつつ、新たな路線も感じさせる作風に仕上がっています。
タイトルチューンでもある1曲目「No Line on the Horizon」は、ロック色の強い作風で、前作からの踏襲を思わせます。ただ、その中でもシンセのサウンドが印象的。前2作とは異なる、新たな作風が垣間見れます。
その前2作を踏まえた新たな作風、という意味で印象的だったのが「Get On Your Boots」でしょうか。ハードロック風のギターリフを取り入れるなど、ロック路線を強く印象付けながらも、その後ろでは打ち込みのテンポのよいリズムが鳴っていて、前2作を踏まえつつも、それとは異なる方向性も感じられます。
また、アルバムの後半を飾る「White As Snow」や「Cedars Of Lebanon」のような、どこか悲しみを抱えたようなメロディーを、しんみりと聴かせる楽曲も印象的。特に「Cedars Of Lebanon」では、ポエトリーリーディングすら思い起こさせるような、一言一言語るように歌うボノのボーカルも印象的。ラストを締めくくるにふさわしい作品となっています。
全体的に、スケール感ある作風の中に、シンセをつかった、少々ひねくれた音も印象に残る作風になっています。前2作のような派手さはありません。また、以前の作品とガラリと雰囲気がかわった・・・という感じではありません。しかし、U2の次を確かに感じられる傑作でした。いまだにその歩みをやめない彼ら・・・さすがです。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
EDIT/MARK STEWART
元THE POP GROUPのボーカリスト。彼に関する作品は、THE POP GROUPの「Y」以外は聴いていないのですが、その「Y」の雰囲気そのまんま。あの独特の暴走したような作風は本作でも健在どころか全く衰えていません。にも関わらず、決してマンネリになっていないのは、似たようなタイプの作風ながらも、その中で、徐々に音の作り方を変化させているからでしょう。正直、「Y」に比べると、音はかなり落ち着いて、聴きやすくなった印象も受けます。しかし、「Y」からもう30年(!)たつのに、これだけのアルバムをいまなおリリースしちゃうところがすごいなぁ・・・。
評価:★★★★★
MELODIA/THE VINES
とことんポップなメロディーと、ハードなバンドサウンドが融合。まさにTHE VINESの理想系ともいうべき傑作です。メロディーといい、ノイジーなバンドサウンドといい、とことんポップで、難しいこと抜きに音楽を楽しむことが出来るアルバム。いい意味で、肩の力がかなり抜けて、素直な楽曲づくりにはげんでいる・・・そんな印象を受けました。
評価:★★★★★
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