「ニューミュージック」系HIP HOP??
Title:COLORZ
Musician:SoulJa
どーしてもSoulJaというと、あの、青山テルマと組んだ大ヒット曲、というイメージになってしまうんですよね。まあ、仕方ないことなのですが・・・。
その上、「ここにいるよ」のヒットが、その後続く、「女性ボーカルのバラード+薄~いラップ」という、着メロヒットの王道系のフォロワーがあまりに多く出てしまった点。さらに、その後、SoulJaがリリースしたシングルが、ユーミンの「ANNIVERSARY」のカバー(それも、かなり出来の悪い(苦笑))という、話題性ばかりが先走った曲をリリースしちゃった点が、SoulJaというミュージシャンの評価を、著しく低いものにしてしまったような印象を受けます。
でも、このアルバムを聴けば、SoulJaというミュージシャンが、決して薄っぺらい、着メロヒット狙いのミュージシャンじゃない、ということがわかると思うんですけどね。
特に、このアルバムで目立つのが、70年代あたりの、「ニューミュージック」と呼ばれたソフトロックの匂いが漂う楽曲たち。
その話題となったユーミンとのコラボ曲はもちろん、「花、ゆらり」では、高橋幸宏が、アジアン風ポップに楽曲を仕上げ、「Road Movie」では、細野晴臣が、彼らしい、暖かいエレクトロチューンに仕上げています。
もちろん、どちらも鳴っている音は間違いなく今の音なのですが、楽曲から伝わってくる暖かさと、メロディーのポピュラリティーは、かつての「ニューミュージック」の良い部分を、HIP HOPという形で現代によみがえらせています。
他にも、アルバム全体、この暖かいポップなメロディーが根底に流れる楽曲の数々がとても魅力的なアルバムになっていました。
そして、その一方では、ハードコア調の「Da Bounce」や、バリバリのテクノチューン「ZERO」、ボサノバ風の「Hip Nova」など、楽曲のバリエーションも豊富。最後まで聴くものを飽きさせません。
あまりに狙いすぎな「記念日」や、「そばにいるね」をレゲエ風にアレンジした「HURRY HOME(そばにいるね)」など、売りを狙いすぎた曲も多いのが、玉に瑕なのですが、前作同様、SoulJaというミュージシャンの実力をしっかりと伝えているアルバムだと思います。
「ここにいるよ」「そばにいるね」のイメージだけで忌避するとしたら、あまりにもったいない1枚。ユーミン、高橋幸宏、細野晴臣・・・参加しているミュージシャンたちにピンときたら、是非とも聴いて欲しい作品です。
評価:★★★★★
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