憂いのあるダンスチューン
Title:TONIGHT
Musician:FRANZ FERDINAND
3枚目のアルバムにして、新たなる方向性を模索した作品。
このアルバムを簡単にいってしまうとそんなところでしょうか?
前作までの、とにかくポップではじけたダンスチューンは姿を消します。かわりにあらわれたのは、ポップでダンサナブルだけど、マイナーコードメインの憂いをおびたメロディーラインで綴られた楽曲の数々。
前半は、リズミカルなのですが、そのどこか聴く手をしんみりとさせるようなメロディーの対比が特徴的なナンバーが続きました。
確かにいままでの彼らの作品も、メロディーは決してカラッとしたさわやかなメロディーというよりは、どこか湿り気のあったメロディーが魅力だったのですが、この作品は、そんな彼らのメロディーの特徴を、さらに前に押し出してきた、といえると思います。
そして、冒頭でも書いたとおり、この作品で彼らは新たな方向性を模索しているように感じました。それが鮮明になるのは後半の楽曲たち。
最近はやりのフレンチテクノテイストの「LUCID DREAMS」をはじめ、シンセを全面に押し出した「LIVE ALONE」や「CAN'T STOP FEELING」など、ダンスミュージックという側面をさらに押し出した曲が並んでいました。
インパクトがあって、一度聴いただけで忘れられないような曲が並んでいた前作と比べて、キラーチューンもなく、少々地味目。また、憂いの帯びたメロディー+ダンサナブルなリズムという構成の前半の曲は、似たタイプの曲が並んでいて、まだまだ成長の余地は大きいな、ということを感じます。
そういう意味では、この作品は決して傑作とはいえません。少なくとも、彼らを知るための最初の1枚としては不適切ですし、私自身も、そう繰り返し聴くのか、といわれると疑問です。
ただ一方、次のステップに進むための重要な1枚という印象を受けました。このアルバムを土台として、次の一歩に進んでいくための意味のある作品なのではないでしょうか。
彼らの本当の勝負は次の作品ではないでしょうか。大傑作が出てくるのか、駄作に終るのか・・・これからの彼らの行く末が楽しみです。
評価:★★★★
他に聴いたアルバム
The Bells!The Bells!/underworld
リミックスアルバム+PV集という企画盤。良くも悪くも彼ららしいかな。リミックスの方は、素直に踊れるような作風の曲が並んでいて、目新しさこそないけど、安心して聴いていられるような作品に仕上がっていました。
評価:★★★★
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