坂本真綾らしさ
Title:かぜよみ
Musician:坂本真綾
坂本真綾の、フルアルバムとしては3年半ぶりとなる新作。
今回の特徴は、「夕凪LOOP」以来、袂を分けてきた菅野よう子と久しぶりに手を組んだという点。
彼女は、菅野よう子の手を離れ、様々なミュージシャンとコラボレートすることによって、独りだちとさらなる成長を目指したのですが、ここに来て、再び菅野よう子とコラボレートした、というのは、ちょっと意外にも感じました。
というのも、菅野よう子というミュージシャンは、職業的作家の要素が強いため、個人的に、菅野よう子と坂本真綾のコラボは、坂本真綾の個性が、フルに発揮できていないように感じていたからなんですよね。
ただ、おそらく坂本真綾自身、菅野よう子と離れて作品をリリースしていく段階で、坂本真綾らしさの核となる部分を見つけたのではないでしょうか。このアルバムでも、鈴木祥子や、かの香織、ACO、ROUND TABLEの北川勝利らに楽曲の提供を受けていますが、アルバム全体として、坂本真綾らしさというのが貫かれた作品になっていました。
ストリングスの音色を積極的に取り入れた、アコースティックなサウンドと、透明感あふれる坂本真綾のボーカル。そして、シンプルで、優しい時間が流れるようなメロディーライン・・・非常に良質なポップアルバムに仕上がっていました。
ただ、その反面、「らしさ」を追及するあまり、バリエーション-特にアレンジ面に関して-が、少々単調になってしまった印象も受けました。そこらへん、逆に「トライアングラー」での菅野よう子のアレンジなどが、逆に際立った印象を受けました(メロディーラインに関しては、いかにも売れ線のアニソンのイメージが強かったのが、アルバムの中ではマイナスポイントだったのですが・・・)。
まだまだ課題は残すものの、ミュージシャン坂本真綾の大きな成長を感じさせるアルバムでした。次回作あたり、かなりの傑作が期待できるかもしれないですね。
評価:★★★★★
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