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2009年2月20日 (金)

あまりに美しい・・・

Title:The Crying Light
Musician:ANTONY AND THE JOHNSONS

The Crying Light

一度見たら忘れられないような、前衛舞踏家大野一雄氏のポートレイトを使用したジャケット写真が、あまりにも印象的なANTONY AND THE JOHNSONSの新作。前作は、イギリスの権威ある音楽賞であるマーキュリー・プライズを獲得するなど大きな話題を集めたバンドです。

実は、彼らの作品を聴くのは、このアルバムがはじめて。レコード店のディスプレイで気になっていて、ついに購入し、そしてこの作品の世界に触れてみました。

そしてこのアルバムを聴いてみて、完全に聴き惚れてしまいました。

ピアノとストリングスをベースとした、シンプルで美しいサウンドにのるのは、ボーカル、アントニー・ハガティの美しい歌声。

「男性の体に女性の性を宿す」とか「トランスジェンダー」とか、雑誌等ではあいまいな表現で紹介されているのですが、いわゆる「性同一性障害」ということでしょうか?

しかし、力強い歌唱力を持ちながらも、澄み切った美しいボーカルがのったボーカルはあまりにみずみずしく、ピュアで、心に訴えかけるようなパワーを感じさせます。

おそらくアントニー・ハガティーの心は、あまりにも純粋なのではないでしょうか。そのボーカルは、リスナーの心の底をみすかされているように響いてくるため、思わず身じろぎできず、その歌声に聴き入ってしまいます。

楽曲自体は決してバリエーション豊富ではありません。それにもかかわらず、最後まで、アンプの前から身じろぎできなく聴きいってしまうのは、唯一無二のアントニーのボーカル、そしてそのボーカルにマッチした世界観が繰り広げられ、私たちの心を捉えて離さないからではないでしょうか。

今年を代表する傑作が、早くもあらわれました。まずは聴いて欲しい、そして聴きほれてほしい、そんな作品です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

The Bedlam In Goliath(ゴリアテの混乱)/The Mars Volta

鳴り響くバンドサウンドに、メタルの影響を顕著に感じるようなアレンジの、早弾きギターの音がとても印象的。ただ、アレンジは、一癖も二癖もあって、聴けば聴くほどはまりそう。それにも関わらずアルバム全体はポップにまとめあげていて聴きやすい内容になっていました。

評価:★★★★★

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