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2009年1月 7日 (水)

秋元順子のヒットに思う。

ヒットチャートで紹介したとおり、秋元順子の曲がロングヒットを記録しています。

で、この手の曲がヒットすると、必ず出ている論調が

「だから、レコード会社は、もっと30代や40代以上の大人に受け入れられる曲に力を入れるべきだ」

という意見。確かにわかる気はします。特に90年代のメガヒット時代以降、10代後半から20代前半にヒット曲を頼りすぎるイビツな構造が続いているように感じます。

ただ、レコード会社側からすると、おそらく、この手の「大人に受け入れられる曲」ってのは、普通、口コミベースでロングヒットしていくのが常なので、いくら売れるかの数字が読みにくいんでしょうね。

逆に例えばジャニーズ系などは極端な例なのですが、若者向けの曲って、ミュージシャン自身にファンがついているから、大ヒットとはいかなくても数字が読みやすい。また、初動が大きいだけに、結局のところ、売上も大きくなってしまう。だからこそ、結果的に数字が読みやすいミュージシャンにばかり力を入れてしまうんでしょう。

昨年、あれだけポニョやジェロがロングヒットを飛ばしても、結局年間1位は初動で大半を稼いだ嵐だったのが象徴的なのですが・・・。そのため、「大人向け」といっても、結局は「Around 40」やら「R35」やらといった数字が簡単に取りやすい過去のヒット曲を集めたコンピレーションに頼らざるを得ないのでしょう。

また、「大人向けの音楽に力を入れるべき」という意見に、個人的には半分しか賛成できません。

確かに、少子高齢化の現在、10代20代よりも、購買力があり絶対的な人数が多い30代40代以上にターゲットを向けるという選択肢は、ヒットシーンを盛り上げるという意味では間違いないと思います。

ただ、それはあくまでも「ビジネス」の話。

ポピュラーミュージックというのは、必ず若者世代から新しいムーブメントが生まれています。

ビートルズ、ピストルズ、ニルヴァナ、GS、フォーク、パンク、HIP HOP・・・すべて若者文化から生まれています。「大人向けの音楽」というのは、AORしかり演歌しかり、曲の良し悪しは別として、文化としては行き止まりに近いものがあります。

大人になれば当然仕事も忙しく、いろいろな音楽に触れられなくなります。また、残念ながら年をとると保守的になり、新しい音を受け入れられなくなります。だからどうしても「大人向け」の音楽というのは、保守的な、既存の音楽を再構築したものになってしまいます。

一方、「新しい音楽」は「大人たち」にはなかなか受け入れられません。実際、ビートルズにしろフォークにしろHIP HOPにしろ、出てきた頃は「良識ある大人たち」には、全く受け入れられませんでした。(HIP HOPは今も?)

そして、あくまでも長い目でみて、ヒットシーンを活性化させるのは、新しい音なのです。いままで聴いたことないような音楽がシーンを活性化させ、新たな音楽ファンを産んでいくのです。

だから、30代以上の世代にターゲットを絞った楽曲を売り込むのは悪くはないと思います。しかし、あくまでもヒット曲の中心には若い世代の支持を得るような「今の音」が鳴っていなければ、長期的にはポップス文化は衰退してしまうと思います。だからこそ「大人向けの曲を」という意見には私は半分しか賛同できません。

むしろシーンが停滞している今、本当に求められているのは、「良識ある大人」が眉をひそめるような刺激的な新しい音楽かもしれません。

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