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2009年1月 3日 (土)

ベテランの余裕?

Title:LOLIPOP
Musician:カジヒデキ

LOLLIPOP

カジヒデキで最近の話題といえば、やはり「デトロイト・メタル・シティ」でしょう。漫画原作にあきらかに本人をモデルとしたキャラクターが出てきた縁で、映画版が作成された際、劇中、主人公が歌う「キモチ悪い渋谷系風の楽曲」を提供した上、本人も映画に出演しています。

その劇中の挿入歌として提供した「甘い恋人」「ラズベリー・キッス」の2曲も本作では収録されています。

しっかし、ステレオタイプな渋谷系の曲を歌わされたあげく、「キモチ悪い」だの「耳が腐る」とまで言われる扱いを受けながらも楽曲を提供し、本人が出演までしてしまっている点に、カジヒデキ本人の度量の大きさを感じて、正直、見直しました。

余談だけども、「甘い恋人」も「ラズベリー・キッス」も原作者若林公徳の作詞なのですが、ステレオタイプな渋谷系風な歌詞ながらも、ビミョーにキモチ悪い内容に仕上げていて、上手いなぁ、と思います。この歌詞のビミョーなキモチ悪さが、また逆に耳に残るんですよね・・・。

このアルバム、構成的にはインタールード的な「Half Time」を折り返し地点として、A面B面とわかれているような構成になっています。「甘い恋人」「ラズベリー・キッス」がそれぞれA面B面の1曲目に配置され、アルバム全体を引っ張っていくような構成となっています。

映画挿入歌ということもあってか、いつも以上にポップでキャッチーであることを意識したような「甘い恋人」や「ラズベリー・キッス」に引っ張られる形で、アルバム全体としてポップで耳なじむ作品が並んでいました。

どこか「ビューティフル・サンデー」を思い起こすような「いとしのファニー・ガール」や、小島麻由美とのデゥオが魅力的な「ありがとうはママンのぬくもり」あたりが典型例でしょうか。

また、「甘い恋人」「ラズベリー・キッス」が典型的な渋谷系楽曲だった影響でしょうか。それ以外の曲は、渋谷系風のポップソングという枠組みに捕らわれない自由な曲づくりをしていたように感じます。特に、打ち込みを使ったエレクトロポップ風の作風が多かったのが特徴的。「エンジェリック・シンフォニー」など、今はやりの、Perfume/中田ヤスタカあたりの影響でしょうか??

ここ最近の作品の中ではもっともポップで聴きやすく、カジヒデキの良さが表に出ていた印象を受けます。それもまた、映画への楽曲提供で、いつも以上にポップであることを意識した結果、といえるのではないでしょうか。映画への参加が、いい影響を与えたといえるでしょうね。「ラ・ブーム」のヒットの頃にファンだった方も、久しぶりに聴いてみてほしい作品です。

評価:★★★★★

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