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2008年12月 9日 (火)

歌詞のインパクトはあるが・・・

Title:Whydunit?
Musician:面影ラッキーホール

Whydunit?

以前からアンダーグラウンドシーンでは話題を集めており、昨年「パチンコやってる間に産まれて間もない娘を車の中で死なせた…夏」というタイトルだけでインパクトありまくりなシングルを発売。その後、フジロックへ出演するなど、アングラの枠を超え、ここ最近注目を集めている面影ラッキーホールの新譜です。

そのドギツイタイトルのシングルももちろん収録されているこのアルバム。とにかく歌詞のインパクトが強いのが特徴的。「あたしゆうべHしないで寝ちゃってごめんね」だの「中に出していいよ、中に出してもいいよ」だの、タイトルだけでもかなりストレートな内容を想像してしまいます。そんな歌詞は、いずれも、いわゆるダメな男たちに依存しきっているダメな女たちの悲哀を、女性の一人称で描いている世界観。その歌詞の内容は、特に「セックス」の部分をあまりに露骨に描き、かつ、救いがありません。

一方、メロディーやアレンジは、昭和歌謡やレゲエ、R&Bなどの要素を取り込んだ歌謡曲風のソウル。例えれば、クレイジーケンバンドをもうちょっとポップにした感じでしょうか?あまりに露骨な歌詞の内容と比べると、ポップな雰囲気となっていて、そのアンバランスさもまた、歌詞の内容を際立たせています。

で。やはり彼らの特徴としてあげるのは、その歌詞の世界。はっきりいって、この歌詞の内容には、かなり賛否がありそうです。

正直、私自身は、この歌詞のスタンスについて、否定的にとらえています。倫理的にどうこう、道徳的にどうこうという話ではありません。はっきりいって、リアリティーは薄いと思うし、エンタテイメントとしてもいまひとつ成立していないと感じたからです。

確かに、この歌詞では、ダメな男性にすがり、愛さざるを得ない女性の内面を露骨に、かつ深く描いている・・・・というスタンスを取っているのですが、その実は、はっきりいえば、そういう女性に縁のないような男性でも、想像できる範囲内の内容。「え、こういう視点があったのか」みたいな、斬新さは感じられません。

一方、エンタテイメントとしてもユーモアがあるわけでもなく、怖さを引き立たせるわけでもなく、ストーリーとして成り立っているわけでもなく、面白さがありません。これが、例えば女性ボーカルだとすれば、エロい歌詞を女性ボーカルが臆面もなく歌うということで、ある種のエンタテイメント性が成り立ちそうですが(笑←エロ親父的発想だなぁ(^^;;)、男性ボーカルが、エロい歌詞を歌われてもねぇ(苦笑)。

厳しいことを言ってしまうと、歌詞の内容がインパクトを狙っただけ、という風に感じてしまいました。わずか4、5分のポップソングだからこそ、こういうインパクトのある独自の世界をまとめあげるのは本当に難しいと思うのですが、彼らに関しては、「インパクト」という側面だけで満足してしまっている、そういう印象を受けます。

印象だけはやけに残ります。でも、正直言えば、インパクトしか残りませんでした。

評価:★★★

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