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2008年12月19日 (金)

売れることに対する覚悟

Title:SUPERMARKET FANTASY
Musician:Mr.Children

SUPERMARKET FANTASY [通常盤]

一言で言ってしまうと、「BOLERO」を思い起こさせるようなアルバム。

「HANABI」「旅立ちの唄」「GIFT」というヒット曲を多く収録した上、配信限定シングル「花の匂い」や、ドラマ主題歌になっている「少年」など、売れ筋の曲を多く収録していて、パッと聴いてすごく華やか。次から次へと、いかにもミスチルらしいポップソングが並んでいます。

「どの曲もシングルカットできそうな」という表現がピッタリ来るようなアルバム。しかし、ポジティブに言えば、インパクトのある曲が並んでいるという言い方が出来る一方で、どの曲も売れ線を狙いすぎて、アルバムとして通して聴いた場合、アルバムならではの攻撃的な曲がないため物足りなさを感じ、また、アルバム全体の流れとしてもアンバランスなものを感じます。王道のミスチルソングを並べた結果、似たタイプの曲が多くなってしまい、1曲1曲だと名曲が揃っているのですが、アルバム全体としては、どうもいまひとつと感じてしまいました。

そういう意味で、ヒット曲が数多く収録しているものの、アルバムの流れとしてはいまひとつだった「BOLERO」を思い起こさせるアルバムなのですが・・・

ただ、今回のアルバムに関しては、彼らはあえてシングルになりそうな曲を並べたのかもしれません。

そもそも、「SUPERMARKET FANTASY」という、少々奇妙なタイトル自体、

(Wikipediaの解説によると)「スーパーマーケットというのは消費文化の象徴。本作には、大きなタイアップのついた曲もたくさん入っているけれど、大量に消費されるからこそ起こる奇跡のようなものを信じて、音楽をやっている。消費されることをポジティブに捉えたアルバム」

だそうで、「売れる」ということをあえて引き受けたアルバムと言えるでしょう。

よくよく考えると、最近の彼らの活動は、携帯小説原作の映画の主題歌を担当したり、年末の紅白に初出場したりと、売れること、消費されることに関してあえて自覚的に取り組んでいるように感じます。

もともと彼ら、2001年に行ったツアータイトルを「ポップザウルス」などと名乗るなど、売れていること、「ポップ」であることに関して自覚し、ポジティヴに取り組んでいる側面がありましたが、さらに「消費されること」に対しての覚悟を持って真正面から取り組んだ作品と言えるかもしれません。

ともすれば「売れること」「消費されること」に対して否定的になりがちなミュージシャンが多い中、あえてそれを前向きに捉えている彼らの姿勢が、ミスチルの強さなのかもしれないですね。

ただ、それを差し引いても、やはり物足りなさは否めませんでした。しかし、「BOLERO」の場合、対極的な「深海」を直前にリリースしていました。ひょっとしたら、次の作品は、「深海」を思い起こさせるような、コンセプチュアルなアルバムになるのか??

評価:★★★★

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