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2008年12月16日 (火)

やりたい放題

Title:MORE!MORE!MORE!
Musician:capsule

MORE! MORE! MORE!

Perfumeで話題になり、一躍「時の人」となった中田ヤスタカ本人のユニットcapsule。ここ最近、「ポップ」で「売れる」路線の曲はPerfumeをはじめとする自分が楽曲を提供している歌手たちに提供しているからでしょうか、反動からか、前作「FLASH BACK」同様、ある種、やりたい放題のアルバムに仕上がっています。

基本的には、フレンチハウスの路線を、さらにハードに、ビート感を強くしたような路線。ダフトパンクにもっとロック的な要素を加えた・・・といっていいかもしれません。不協和音が響いてくる「runway」やラップを取り入れた「the Time is Now」など、自分のユニットだから出来る路線といってもいいかもしれません。

ただ、このアルバムが、先駆的で実験的か、といわれると、少々微妙なものがあります。例えば、前述のダフトパンクやJUSTICEのように、既にこのタイプの音を使ったアルバムを、ヒットさせているミュージシャンは少なくなく、このアルバムで鳴っている音は、決して、斬新で新しい、という音ではありません。

むしろ、中田ヤスタカの魅力は、そういう時代の半歩先を行くような音を、とてもポップにまとめあげている点と言えるでしょう。ディスコテイストが強い「more more more」やこしじまとしこの歌をしっかり楽しめる「Pleasure ground」「the mutaions of life」など、歌モノも、特に後半、多く収録されていました。

ある意味、Perfumeをはじめ、他の歌手に、こういう音をどうポップにまとめて提供していくか、capsuleを使って実験をしているのかもしれません。先駆的なポップソングという意味で、とても魅力的なアルバムでした。

ただ、彼みたいなプロデューサーが、他ミュージシャンへの楽曲提供のかたわら、自身のユニットを立ち上げるというケースは少なくないのですが、ここまで他ミュージシャンとの曲を露骨に区別しているケースは珍しいかも。そこらへん、なんか中田ヤスタカ自身が、自分の音楽活動を客観的に見ているのかも。いい表現を使えば彼の頭の良さを、少々うがった見方をすると、計算高さを感じてもしまいました。

評価:★★★★★

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