天才漫画家に捧げる歌
Title:赤塚不二夫トリビュート~四十一才の春だから~
日本漫画界の黎明期を支えた巨匠のひとりであり、今年8月、惜しまれつつ72歳でこの世を去った天才漫画家、赤塚不二夫。その彼に捧げるトリビュートアルバムが発売されました。
参加したミュージシャンの面子を見ればわかると思うのですが、ここで聴ける楽曲の数々はサブカルチャー・・・というよりもむしろアングラのテイストが強い曲の数々。各々のミュージシャンがそれぞれの解釈により、テンデバラバラ、赤塚不二夫原作のアニメの主題歌などをカバーしています。
それこそHIP HOPあり、ハードロックあり、ポップスあり、小西康陽のようにサンプリングを駆使した曲もあれば、筋肉少女帯のように完全にノイズミュージックにしてしまった曲もあり・・・お茶の間レベルの知名度も高い「赤塚不二夫」という名前にひかれて聴いたとすれば、はっきりいって、かなり聴きづらい作品だったのではないでしょうか?はっきりいってポピュラリティーという側面は薄い作品になっています。
しかし、赤塚不二夫の作品は、決して万人受けする作品ばかりではなく、むしろ癖の強い万人受けしずらいような不条理ギャグも数多く手がけている、という印象があります。ある意味、本能のおもむくまま自分の書きたい内容で筆を走らせている漫画家・・・赤塚不二夫に関しては決して私自身詳しいわけではないのですが、そんな漫画家のようなイメージがあります。
そうだとすると、まさにこのトリビュートは、赤塚不二夫のトリビュートとしてピッタリの作品と言えるのではないでしょうか。ここに参加しているミュージシャンも、決して計算高く、リスナーの受けを狙っているわけではなく、本能から出てくるような叫びを歌にのせるタイプのミュージシャンばかり。そんな彼らの作品は、ポピュラリティーはないものの、赤塚不二夫の作品と同様の一種の狂気を感じます。赤塚不二夫のトリビュートとしては、まさに最適な人選だったのではないでしょうか。
同じ曲のトリビュートが何組もある点が少々残念。それと、前述のように、ポピュラリティーが薄いため、決して万人に勧められる作品ではありません。ただ、参加ミュージシャンのファンや、赤塚不二夫のファンはチェックしてみて「おもしろい」(必ずしも「楽しめる」とは限らないのですが)のではないでしょうか。かな~~り癖のあるアルバムでした。
評価:★★★★
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