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2008年11月10日 (月)

人気急上昇の理由もよくわかります。

Title:VAMPIRE
Musician:9mm Parabellum Bullet

VAMPIRE

彼らはおそらく、今、最も勢いのあるミュージシャンの一組でしょう。このアルバムも、外資系レコード店では大きくディスプレイされ、アルバムチャートでも初登場2位を記録し、波にのっています。

そしてこのアルバム、聴いてみてすぐに彼らがなぜこれだけ人気があるのかがわかります。

なんといっても冒頭の曲の歌詞がとても印象的。

「見えないラインで区切られた
ツギハギだらけの世界地図
国境は歴史の傷口で
治せる薬を探してる」

(「Wanderland」より 作詞 菅原卓郎)

思いっきり社会派な歌詞なのですが、表現の仕方がとても上手く、深い表現ながらも内容がわかりやすく印象に残るんです。

彼らの書く歌詞って、どれもそうなんです。冷たい現実を切り裂くような内容ながら、どこか叙情的な世界をつむいでいるのですが、文学的ながらも決して難解になっておらずわかりやすい。曲を聴きながら、すんなりと彼らの主張が頭に入ってくるんです。

文学的な歌詞を書くミュージシャンは多いのですが、きちんとわかりやすさを両立させている点、それが彼らの世界に惹きつけられるファンが多い、大きな理由のひとつではないでしょうか。

他も、ヘヴィーロックやグランジをベースに、ヘヴィーメタルやパンク、さらには歌謡曲の要素を入れた迫力のあるサウンドや、どこか日本人の琴線に触れるような、メロディーラインももちろん彼らの大きな魅力でしょう。

ただ、サウンドやメロディーに関しては、本作では勢いで押し切っている点が強く、もうちょっと幅が欲しいところ。ここらへんは今後の課題かもしれません。

もっともうねるようなグルーヴをしっかりと出しているバンドサウンドは今の段階でも十分魅力的。ライブの評判もいいみたいですが、CDからも、ライブがいいんだろうなぁ、ということが十分に感じ取れます。

メロディーや歌詞にはセンスも感じられるし、サウンド的にはまだまだ伸びしろがあるし、今後がとても楽しみなバンドです。日本のロックシーンをひっぱっていくバンドになれそうな予感のする1枚でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

TONIGHT/□□□

爽やかなシティーポップを中心に、HIP HOPやエレクトロのジャンルにも挑戦しており、全体的には、とても心地よく聴きやすいポップスアルバム・・・なのですが、どうもなぁ。やはり、口口口の楽曲にはどうもスノッブ臭さが感じられてならないんですよね。例えばこの中のHIP HOPの楽曲など、HIP HOPのスタイルを様式化して、馬鹿にしているように感じちゃうんですよね。素直に聴けばいいアルバムなのですが、素直に聴けないノイズを、随所に感じてしまいました。

評価:★★★

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