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2008年11月

2008年11月30日 (日)

暖かいメロディー

Title:Personal Soundtracks
Musician:槇原敬之

Personal Soundtracks

前作は、比較的デビュー当初を彷彿とさせるようなラヴソングが多く、個人的には久々のヒット作と感じたマッキーのアルバム。それに続く1年ぶりの新作は、「Personal Soundtracks」というタイトルといい、手書きの絵のジャケット写真といい、どこか暖かい雰囲気を感じさせますが、収録されている楽曲も、メロディーを聴かせる暖かいナンバーが多く収録されていました。

また、マッキーらしいラヴソングは本作でもしっかり健在で、恋人と2人でクルマを買うというイベントを暖かい視点で歌った「幸せはタイヤを穿いてやってくる」などはまさに王道路線。

さらに、「君の後ろ姿」などは

「振り返らないことを願いけど
一度も振り返ったことなんてない
君の後ろ姿を見送っている
笑ってしまうくらい片思いだ」

(「君の後ろ姿」より 作詞 槇原敬之)

など、まさにマッキーの本領発揮ともいえる片想いソングで、聴いているだけで胸がキュンとなってしまう名曲です。

ただ、全体としては悪くはないのですが、なにか物足りないんですよね。

いや、はっきりいって、これだけのメロディーを書いていれば、普通のミュージシャンなら十分すぎるくらいの傑作だと思います。でも、彼にはもっと上のレベルを求めてしまうんですよね・・・。

安定感はあって、1曲1曲は名曲なのですが、いまひとつインパクトが薄く、また、似たタイプの曲が多いこともあって、アルバム全体としては地味に感じてしまいます。

マッキーが好きなら聴いて損のない内容だと思います。ただ、前作のような、さらなる傑作を聴きたいなぁ、やはり。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

KING OF ZIPANG~ROAD TO KING/S-WORD

「KING」というには、いささかフツーのアルバムだよなぁ。悪くはないけど、「ヤバさ」みたいなものも感じられない、少々薄いハードコア。ポップで聴きやすい内容ではあるのですが。

評価:★★★

Blooming Harvest/dustbox

ポップで勢いのあるメロコア。テンポがよくて、あっという間に聴けて、最後まで飽きることがないけど、このタイプのバンドはよくいるんだよね。その中で、プラスアルファに欠けているような印象を受けてしまいました。

評価:★★★

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2008年11月29日 (土)

各駅停車江ノ電の旅(?)

Title:サーフ ブンガク カマクラ
Musician:ASIAN KUNG-FU GENERATION

サーフ ブンガク カマクラ

前作からわずか5ヶ月のインターバルで発売されたASIAN KUNG-FU GENERATIONの新作は、曲名がとにかくユニーク。

収録曲を順番に並べると・・・

藤沢ルーザー→鵠沼サーフ→江ノ島エスカー→腰越クライベイビー→・・・・・・

・・・と並べられても、どうユニークなのか、よほどの鉄っちゃんじゃないとわからないと思いますが、本作の曲順、江ノ電の駅を曲名にいれ、順番に並べたのだとか。

お前らはくるりか。

さて、そんな新作。ここ最近、以前と比べてポップ路線が鮮明になりましたが、本作も、以前に増してポップス路線を貫いています。

特に本作は、10曲入りのアルバムながら、わずか30分程度という長さ。テンポのよい短いポップスソングが並んでいます。普通、10曲入りのアルバムなら、1曲2曲、無駄に凝った楽曲などを入れてきそうなものですが、そこらへんの割り切りがあったからこそ、アルバム全体として最後までダレルことなくテンポの良さを保ち続けることに成功しています。

ただ一方では、「鵠沼サーフ」「江ノ島エスカー」も、ポップでありながらも裏になっているギターが妙に歪んでいて印象的ですし、「長谷サンズ」も、Aメロの部分や間奏に不協和音を入れてくるなど、単なる耳障りのいいポップとは異なるという、彼らの主張も聴いてとることが出来ます。

ポップ路線に関しては賛否あるみたいなのですが、個人的には、ここ数作で、ASIAN KUNG-FU GENERATIONとしての独自性が、確固たるものになってきているように感じます。デビュー当初は、ナンバガをはじめとした他のミュージシャンからの影響が露骨でしたが、その後、その露骨な影響も薄れ、そしてさらに、アジカンしか出せないような「味」が、明確に出てきたように感じました。

ASIAN KUNG-FU GENERATIONのさらなる成長を感じさせます。前作とのインターバルの短さといい、ここに来て、さらに勢いが増している彼ら。今後の活躍も楽しみです。

評価:★★★★★

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2008年11月28日 (金)

美メロで勝負

Title:EXPerience
Musician:Come Back My Daughters

エクスペリエンス

パンク勢主体のPIZZA OF DEATHレーベルの中において、聴かせる美メロ路線で勝負しているCome Back My Daughters。一応、ジャンル的には「メロコア」ということになるのでしょうか?リスナーの琴線をつくような、美メロを、アコースティックな雰囲気の生バンドの演奏をメインとしたアレンジで聴かせてくれてます。

また、メロディーだけではなくアレンジも、「EXP」ではシンセの音を印象的に生かしてきたり、「Crystal」では、ピアノの音を薄く加えることにより、音に厚みを加えたり、「Vice&Vice」ではカントリー風に仕上げたりと、メロディーだけではない多彩な音を楽しむことが出来ます。

おそらく、メロコアリスナーに限らず、多くのリスナーが純粋にいい曲という感想を抱きそうな彼らの楽曲。ただ、それだけに、耳障りはいいにも関わらず、いまひとつ、後へ印象に残る曲が少ないのも気にかかります。美メロなのですが、いまひとつヒネリみたいなものや、独自性が薄く、そのため、耳の奥にひっかかりにくいのではないでしょうか。

いいバンドだとは思うのですが、アルバム1枚聴いた後に、あと一歩、物足りなさも感じてしまいます。もう一皮、むけてほしいなぁ・・・。

評価:★★★★

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2008年11月27日 (木)

LOVE PSYCHEDELICO、Superflyが好きな方に

Title:Keitrail
Musician:Keito Blow

Keitrail

Keito Blow初のベストアルバム

LOVE PSYCHEDELICOとかSuperflyとかが売れるようなシーンの中で、個人的にはもっと売れてもいいと思うんですけどね、彼女。

よく比較を受けそうな、その両者と同様、洋楽テイストの強いポップスを持ち味にしているシンガーです。具体的に言うと、アメリカンカントリーのテイストが強い、乾いた雰囲気のポップスを特徴としており、著名なミュージシャンで例えると、SHERYL CROWあたりが近い雰囲気といったところでしょうか?ただ、SHERYL CROWよりも、60年代のロックンロールのテイストも強く感じさせる点、LOVE PSYCHEDELICOあたりと共通していますが。

一方では、「Smash&Extasy」のような、ヘヴィーなギターリフを中心に展開していくロックなナンバーも聴かせてくれ、意外とヘヴィーロックからの影響もちらほら。また、「Blow Your Mind」のような、疾走感のあるポップなナンバーは、アヴィリル・ラヴィーンあたりに近いものも感じました。

個性という点では少々弱い気もするし、インパクトという面でも課題はあるので、確かにブレイクするにはあと一歩という面も否定は出来ないのですが、個人的にはもっともっと注目を集めてもいいミュージシャンだと思うんですけどね。

ただ、先日、新垣結衣に提供した「Make My Way」が見事チャート1位を獲得するなど、確実に注目を集め始めているのは事実。気になる方、是非このベスト盤を聴いてみてください。お勧めです。

評価:★★★★★

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2008年11月26日 (水)

若手が大活躍

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

ベテラン勢の健闘と中堅勢の苦戦が目立った先週のヒットチャートでしたが、今週は、若手の活躍が目立つチャートでした。

シングルチャート1位から3位がガラリと入れ替わったのですが、3組とも若手シンガー。1位は、初の1位獲得となるUVERworld「儚くも永遠のカナシ」でした。ここ最近、チャート上位に食い込む安定した人気の中、アニメ「機動戦士ガンダム00-2nd Season-」のテーマ曲に決定。絶妙のタイミングでの効果的なタイアップで、自己初の初動10万枚超えで1位獲得となりました。

2位は、どちらかというとサブカル近辺で話題のPerfume「Dream Fighter」。初動7万枚で、初の1位獲得となった前作「love the world」の初動8万枚からは微減傾向。紅白出場も決まりましたが、サブカル近辺の人気から茶の間レベルの人気へ飛躍できるか、ある意味、勝負の時期と言えるかも。

で、3位も紅白初出場組GIRL NEXT DOOR「情熱の代償」がランクインしています。デビューから3作連続3位というビミョーな記録は、さすがの重箱隅的な記録が大好きなoriconも、取り上げていない模様。デビュー作の初動3万→2ndが初動2万1千で本作が、2枚目より若干伸びて初動2万2千。まずまずの人気なのは間違いないのですが、avexが社運をかけた大型新人・・・としてはいささか物足りない数字。紅白を機に一気に伸びるのか、それとも??

5位はフジテレビ初のアイドルユニットアイドリング!!!「『職業:アイドル』」がランクインです。これでベスト10入りは3枚目。5位は自己最高位なのですが、恐ろしいほど、チャート上意外で全く名前を聞きません(苦笑)。

7位初登場も・・・ある意味新人なのかなぁ??(^^;;銀杏BOYZ「17才」がランクイン。前作「光」に続く2作目のベスト10ヒットで、確固たる人気を確保してきていますね。

と、ここまで新人勢が初登場を占めたのですが、最後9位初登場のALI PROJECTは、既にインディーデビューから20年もたつベテラン。「鬼帝の剣」は、TBS系アニメ「鉄のラインバレル」主題歌として、ベスト10ヒットを記録しました。彼女たちはここ最近、コンスタントにベスト10ヒットを記録していますが、いまひとつ、アニメ人気から来ているのか彼女たち自身に既にベスト10ヒットを記録できるだけの固定ファンがついているのか、いまひとつ不明なんだよなぁ・・・。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週1位はNEWSのニューアルバム「color」。初動18万枚で、即近のシングル「Happy Birthday」の初動が20万強だから、なんだかんだいってもシングル買うファンが買っているってことか。強いなぁ。

シングルと同様、アルバムでも若手の活躍が目立ちました。その代表格が2位のflumpoolというバンドの「Unreal」で、デビュー作でいきなりベスト3ヒットを記録しています。

先行の配信シングルが、auKDDI「LISMO」のCMに起用されるなど、かなりバックの強烈な売り込みが効いた模様。今後の展開も注目されます。

そして、それ以上に注目したいのが3位のGUNS N' ROSESのニューアルバム「Chinese Democracy」!なんと17年ぶりとなるニューアルバムで、かな~り昔からタイトルだけは発表されており、全く発売の気配のない「幻のアルバムタイトル」だったのですが、ようやく発売されました!!まさか、このアルバムが店頭に並ぶ日が来るとは・・・。

もう1枚注目が6位capsule「MORE!MORE!MORE!」で、ご存知、今話題の中田ヤスタカのユニットの新作。Perfumeが話題ですが、彼自身のユニットも、ついに初のベスト10ヒットを記録しました。ただ、もちろん、前作に比べると大幅に初動売上も順位も伸ばしたのですが、初動3万5千枚の6位・・・思ったほど伸びなかったかなぁ??

初登場はあと2枚。5位に槇原敬之「Personal Soundtracks」がランクインしています。こちらは手堅く強いですね。そして7位にはCHEMISTRY「Winter of Love」がランクイン。少々人気が崖っぷち気味の彼ら。ここらへんで起死回生を狙いたいところですが・・・。

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ミスチル紅白初出場かぁ。

なんとなく複雑な心境・・・もちろん見たいけど・・・うーん・・・。

紅白歌合戦は何気に毎年見ています。

単純に音楽ファンってこともあるけど、ちょうどいいんですよね、紅白みたいな歌番組は、他ごとやりながらでも見れるし、途中用事があってテレビから離れても問題ないし。BGM的に流しておける、という点で31日という日にやる大きなメリットがあると思うんですが。

いろいろ言われているけど、紅白に替わって紅白以上の人気を確保できるテレビ番組って、NHKはつくれないと思うんですよね。だからこそ、なんだかんだいって、視聴率が低迷しても紅白が続くんだろうなぁ、やはり。

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2008年11月25日 (火)

さらなる成長を感じるフルアルバム

Title:ALRIGHT
Musician:秦基博

ALRIGHT

初のベスト10ヒットとなった前作に続き、このアルバムもチャート7位に初登場し、その人気を確固たるものとしているポップスシンガー秦基博の、フルアルバムとしては2作目となる新作。

前作では、「期待の新人」という呼び名にふさわしい成長を感じる作品になっていましたが、新作では、ポップスシンガーとしてさらなる成長を遂げました。

印象的だったのが、1曲目「夕暮れのたもと」からいきなりバラードでのスタートだったという点。通常、アルバムの1曲目というのは、インパクトのあって、リスナーをひきつけるような曲-アップテンポなポップナンバーをもってくるのが一般的です。しかし、そこであえてバラードで勝負しようとするあたり、彼は自分のメロディーラインに自信を持っているんだなぁ、ということを強く感じさせます。

その後も、ポップで聴かせる楽曲を主軸としながらも、ストリングスを効果的に用いた「バイバイじゃあね」、デキシーランドジャズの風味を加えた明るくポップな「花咲きポプラ」、ロックンロールな楽曲に仕上げた「最悪な日々」、フォーク調の「休日」など、以前よりバリエーションが豊かに仕上げてきています。

そしてなにより、シングルでの初のベスト10ヒットとなった「フォーエバーソング」では、いままでの楽曲では少々物足りなさがあったインパクトの側面もしっかりと付与され、さらにはスケールの大きさも感じられ、大物ミュージシャンとしての片鱗も感じさせる曲に仕上がっていました。

個人的には、強烈な秦基博らしさという面が、まだまだ薄く、今後はその個性をいかに表に出していくかが課題ではないかなぁ、と思います。ただ、前々作、前作と比べても大きな成長を感じさせる本作。「期待の新人」から、「オフィスオーガスタをしょって立つ実力派のひとり」へと変貌を遂げようとしている作品に仕上がっていました。今後のますますの成長が楽しみです。

評価:★★★★

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2008年11月24日 (月)

骨太なライブ

Title:2マンTour 徹子のHair+Open Night Family~夜明けの家族
Musician:GO!GO!7188

2マンTour 徹子のHair+Open Night Family~夜明けの家族~(DVD付)

タイトルだけでも、ゴハン3杯はいけそうな(笑)、ユニークタイトルのライブアルバム。

もともと、ライブには定評のある彼女たちだけに、ライブアルバムもこれが3枚目。でも、またなぜ、対バンライブツアーの模様をライブ盤としたんだろう?同時収録のDVDでは、対バンのバンドとの交流を描いたドキュメンタリーになっているのですが、ひょっとしたら、ライブCDというよりも、こちらがメインなのか??

カバーアルバム「虎の穴2」リリース直後のライブということもあって、「アタックNo.1」「渚のシンドバッド」とカバー曲も目立つのですが、それらの曲も含めて、安定感がありながらも、迫力のある演奏が楽しめる内容になっています。

デビューから既に8年(!)ということもあり、デビュー当初のライブのような、緊張感みたいなものは残念ながらないものの、その分、どっしりとしたライブバンドとしての余裕のようなものを感じました。

でも、せっかくの対バンライブツアーのライブCDなら、対バンバンドのライブ音源も、CDに収録すればよかったのに・・・。いろいろな権利の関係上、出来なかったのかな?

評価:★★★★

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2008年11月23日 (日)

恋愛の神様

Title:IN LOVE AGAIN
Musician:古内東子

IN LOVE AGAIN

最近、名前を見なかったなぁ、と思ったらいつのまにかavexに移籍していました。古内東子の3年ぶりとなるニューアルバム。久しぶりの新作となる本作ですが、「恋愛の神様」と呼ばれたそのライティングスキルは、いささかも衰えていません。

「今夜ベッドに就く時 あなたはどんなことを想って
思い出して眠るのでしょう その記憶の片隅でいい
長い夢の一瞬でいい、私も居たい」

(「今夜ベッドで」より 作詞 Toko Furuuchi)

と、片想いを切なく歌ったり

「何冊も呼んだ小説
何本も観た映画
たくさんの言葉を深く心に刻んできたはずなのに
まだ選べない あなたに届けたいメッセージ」

(「半分だけ」より 作詞 Toko Furuuchi)

と好きな人に伝えたい気持ちの大きさを歌ったり

どちらも誰もが一度は感じるような恋愛感情なのですが、その表現がユニークでかつわかりやすく、心に響いてきます。

アルバム全体としては、片想いや失恋の曲が多いのは、いつもの古内東子らしいといった感じでしょうか?概して、かなわない恋の切ない感情を描写するのが本当に上手いですしね、彼女は。

一方、メロディーやサウンドの方も、上手くまとめあげているといった印象。

AORのサウンドを主体としながら、打ち込みのリズムを取り入れたり、ちょっとブラジリアンなテイストを入れてきたりと、幅を持たせています。3年前のアルバム「CASHMERE MUSIC」では、いままでにない幅広い音楽性に挑戦した彼女ですが、その経験を、古内東子らしさに上手くまとめあげています。

久しぶりの新作だったのですが、内容は、ここ最近では一番よかったかも。古内東子としての本領を発揮できた作品だったと思います。

評価:★★★★★

で、最近聴いた女性ポップスシンガーだと・・・。

Title:ひとヒナタ
Musician:熊木杏里

【送料無料選択可!】ひとヒナタ [通常盤] / 熊木杏里

最近、駅のポスターでやたら見かけて、売りたいのはわかるけど、まだまだ厳しいなぁ、といった感じで。

1曲目「モウイチド」は、途中に入る転調の妙が非常におもしろい作品だったのですが、その後は、よくありがちなバラード系のポップソングばかり。歌詞も、よりありがちな、「応援歌」系前向きソングで、個性を感じられません。

確かに、耳触りはいいし、売れても不思議ではないタイプかもしれないけど、売れても一発で終りそう・・・。ルックスとあわさって、昔のガールズポップみたいな人気を狙っているのはわかるけど(苦笑)。

評価:★★★

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2008年11月22日 (土)

奥田民生の真髄

Title:BETTER SONGS OF THE YEARS
Musician:奥田民生

BETTER SONGS OF THE YEARS

シングルのカップリング曲を集めた「B面ベスト」。「売る」ことを意識したシングルタイトル曲と比べると、シングルの「おまけ」の存在であるため、ミュージシャンの自由度が増し、むしろミュージシャンの本質である部分が、ひょいと現れたりするのが、このカップリング曲だったりします。

そんな「B面ベスト」はいままで多かったのですが、奥田民生のこの「B面ベスト」ほど、ミュージシャン奥田民生の本質をあらわしたものは、数少ないのではないでしょうか。

例えば本作で目立つのがカバー曲の数々。こういうカバーは、ミュージシャンの根っこの部分を知るには最適なのですが、これがまた妙に幅が広い。ビートルズからはじまって、エルヴィス・プレスリーにフォーク・クルセイダーズ、井上陽水に、果てはダウンタウン・ブギウギバンドにアニメソングまで・・・奥田民生というミュージシャンの根っこの広がりの大きさを、このカバー曲の数々から感じることが出来ます。

また、奥田民生の本質のひとつともいえる「ユーモラス」の部分もまた、このB面ベストでは多く垣間見えることが出来ます。

特にユーモラスなのが、ライブ音源である「人ばっか」という曲。奥田民生のヒット曲のメドレーなのですが、彼のヒット曲の歌詞をつぎはぎして、全く違う雰囲気の歌詞につくりかえてしまっています。後半、大笑いできますよ(笑)。

しかし一方では、「健康」「夕陽ヶ岡のサンセット」など、シングル曲にも負けない名曲も揃っており、ミュージシャン奥田民生の実力を感じることが出来ます。

この手の「B面ベスト」は、一般受けしないような曲が多いことから、ファンズアイテムの要素が強いのですが、この作品に関しては、ファンはもちろん、ライトリスナー層に向けても、奥田民生というミュージシャンを存分にアピール出来る作品になっていると思います。

奥田民生に興味があるのなら、まずは聴いてみてほしい作品です。

評価:★★★★★

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2008年11月21日 (金)

It's "BENNIE K SHOW"!!!

Title:THE "BESTEST" BENNIE K SHOW
Musician:BENNIE K

THE“BESTEST”BENNIE K SHOW

BENNIE Kは、いままで2枚、「ザ・ベニーケー・ショウ」と題されたミニアルバムをリリースしています。彼女が、他のミュージシャンたちとコラボレートした楽曲を集めたミニアルバムなのですが、このたび、そんな「ザ・ベニーケー・ショウ」の楽曲を集めたベスト盤が発売されました。

といっても、わずか5曲入りのミニアルバム2枚からのみの選曲なわけではもちろんありません(2枚のミニアルバムの楽曲はほとんど収録されていますが・・・)。ミニアルバム2枚以外のコラボレート作も数多く収録されています。

そしてそんな「ザ・ベニーケー・ショウ」は、一般的なコラボレートと異なり、必ずしもBENNIE Kが主役、という訳ではありません。場合によっては、BENNIE K本人たちよりも、コラボレートしたミュージシャンの方が目立つようなケースもチラホラ。このアルバムは、BENNIE Kのベストというよりも、BENNIE Kの2人がホスト役をつとめるライブショーを集めた作品、と言えるでしょう。

それだけに、BENNIE Kとしての作品では聴かれないような作品もたくさん。ラテンテイストの「pink noise babies」や、聴かせるバラードの「Endless Summer」、さらにはディスコチューンの「ディスコ先輩」などなど、BENNIE K自体も、比較的、音楽性の幅があるミュージシャンですが、それにも増して、幅の広い音楽性を楽しめるアルバムになっています。

特にSEAMOとのコラボレーションは、シーモネーター時代からの付き合いということもあり、ユーモラスさたっぷりの楽しいポップソングにまとまっていました。こういういろいろなミュージシャンとのコラボレーションは本当に楽しそうでいいですね!今後も、この「ザ・ベニーケー・ショウ」は続けてほしいなぁ~。

評価:★★★★★

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2008年11月20日 (木)

NIRVANA meets pillows??

Title:牙をみせろ
Musician:THE PREDATORS

牙をみせろ

まさか第2弾がリリースされるとは思いませんでした・・・。the pillowsの山中さわお、GLAYのJIRO、ストレイテナーのナカヤマシンペイの3人からなるTHE PREDATORS。2005年にリリースした前作から3年、なんと新作が発売されました!

今回の作品で、彼らは、3人が大好きなNIRVANAを意識したそうです。そのため、サウンドは、同じオルタナ、グランジ志向でも、軽い雰囲気のサウンドで、Pixiesからの影響を感じるthe pillowsのバンドサウンドとは異なり、ヘヴィーな、メタル方面からの影響も感じる、NIRVANA風のサウンドを強く意識したサウンドに仕上げています。

特に「C.R.S.」は、(パクリ、という感じではありませんが)NIRVANAの代表曲「Smells Like Teen Spirit」そのまんまで、NIRVANAからの露骨な影響に笑ってしまうほど。

ただ、一方では、疾走感がありポップな「LIVE DRIVE」は、the pillowsの曲としても十分に通用しそう。また、一番印象に残ったのが「ISLAND」の歌詞で

「しつこくカラスが囁くんだ
オマエの光る宝物をくれ
これ以上ない痛みの中
オレに何が出来るんだ
神よ 救いをくれ」

とどこか社会に溶け込めない自分の姿を嘆きながらも

「飢えたオオカミが急かすんだ
オマエの熱く赤い心臓をよこせ
差し出してやる 平らげろよ
でも心はここにある
誰にも触れない」

(以上斜字「ISLAND」より 作詞 SAWAO YAMANAKA)

と、自分の中に、決して他人に従わない、一つの核を持ち続ける姿は、the pillowsの楽曲として山中さわおが歌い続けてきた姿。the pillowsファンにも、十分楽しめる作品でした。

ここ最近、少々停滞気味なthe pillowsと比べると、わずか7曲入りのミニアルバムという短さも加えて、勢いを感じられるアルバムでした。まあ、前述のような、まんまNIRVANAというお遊びが許されるのも、あくまでもこのバンドがサイドプロジェクトだから、という点も否定できないのですが・・・the pillowsのファンも、ストレイテナーのファンも、そしてGLAYのファンも、聴いて欲しい1枚です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

理由なき反抗/おとぎ話

60年代風のサイケなサウンドに、GSっぽい雰囲気+ガレージパンクの要素を加えて、今風に再アレンジした感じ・・・かな?ここらへんの彼らの核となる各種音楽からの影響を、まだ上手く出し切っていない感じもするのですが、懐かしくも新しい、なかなかおもしろい音を出すバンドだと思います。今後に期待。

評価:★★★★

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2008年11月19日 (水)

ベテラン勢大健闘

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週のヒットチャート。目立つのはベテラン勢の健闘と、そろそろ中堅に位置づけられるようになった、ミュージシャンの苦戦でした。

健闘組は、まずなんといっても1位のDreams Come True「連れてって連れてって」でしょう。ダンロップのCMソングとしてテレビでも流れていますし、街頭広告での積極的な宣伝活動が功を奏したのでしょうか。初動4万6千枚と、チャートの谷間的な週での1位獲得とはいえ、約1年前に初登場2位のヒットとなった「ア・イ・シ・テ・ルのサイン」は、初動3万枚でしたから、まさに大健闘といえるでしょう。(「ア・イ・シ・テ・ルのサイン」の初動売上は8万枚でした。すいません。訂正させていただきますm(_ _)m)

そして本格的な再結成ということで話題となったSPEED「あしたの空」が3位にランクイン。初動4万枚は、かつての人気を比べると寂しさは否めませんが、ソロでは人気がいまひとつでも、グループとしての人気を見せ付けました。

一方、苦戦組が5位ORANGE RANGE「おしゃれ番長」。前作「O2」はアニメタイアップという好タイアップもあり、初動7万3千枚と健闘しましたが、本作は大幅に売上を下げ、初動3万枚。前々作「君Station」が初動3万6千枚なので、それも下回りました。このままフェイドアウトしてしまそうな雰囲気すら漂っています・・・。

そして6位中島美嘉「ORION」も、ドラマ挿入歌という好タイアップながらも苦戦気味。ただ、ここ数作、1万枚中盤あたりの初動で動いていたので、初動2万7千枚という本作は、むしろ健闘に近いのかもしれませんが、一時期の勢いを考えると、少々寂しい状況といえるでしょう。

ギリギリベスト10入りした10位ゴスペラーズ「Sky High」は、前作は初登場11位初動1万1千枚ということを考えると、初動1万3千枚と微増。少々持ち直した感じですが、こちらも、一時期の人気と比べると・・・と思ってしまいます。

まあ、中島美嘉とゴスペラーズは、固定ファンもついているし、ここ最近は、最低限、安定した売上は記録しているので、今後、急激に人気が下がることはないと思うのですが・・・ただ、ベテラン健闘というのは、決して喜ばしい話ではありません。むしろ、最近のヒットシーンにしっかりとした若手がなかなか育たない証拠。90年代のミリオンヒット連続の時期に人気を博したミュージシャンがいまだに高い人気を誇っていて、それを追い越す若手が少ないというのも、今のヒットシーンが停滞している大きな理由かもしれないですね。

そんな中、がんばっているのが2位にランクインしたthe GazettE「LEECH」。確実に人気を伸ばしてきています。ただ、ビジュアル系バンドは一部の固定ファンが熱烈に支持している点、その流れが一般リスナー層まで広がりにくい点、ヒットシーン全体の活性化につながらないのが残念ですが。

初登場はあと2曲。

7位里田まいwith合田兄妹はフジテレビ系バラエティー「クイズ!ヘキサゴンII」からのユニットで、3万枚限定生産なのですが、それが売り切れなかったら、羞恥心の新曲を出せなくなる、という条件らしいです。なんか、もう売るためなら手段を選ばないって感じですね・・・。一応、初動で2万5千枚売っているので、条件は満たせそうなのですが、「売り切れるかどうか」なんてレコード会社側でしかわかんない情報を「条件」にしている点、出来レースなのはミエミエなのですが。

8位Buono!「ロッタラロッタラ」。こちらはハロープロジェクト系のアイドルユニットですね。根強い人気です。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週アルバムチャート1位はYUIのB面ベスト「MY SHORT STORIES」でした。B面ベストでの1位獲得は、女性ミュージシャンでは松田聖子以来2人目の快挙・・・って、これまた重箱の隅な記録だなぁ。確かに人気があるのは間違いないでしょうが。

で、彼女、これで年内は活動休止だそうです。突然の活動休止で、いろいろな憶測も流れているみたいですが、年内っていっても、もう11月も中旬なんですが・・・(^^;;それって、単なるオフなのでは???

以下、今週は3人の海外の歌姫がチャートに初登場。

3位にBeyonce「I Am...SASHA FIERCE」、5位にChristina Aguileraのベスト「Keeps Gettin’ Better~A Decade of Hits」、そして6位にEnya「雪と氷の旋律」がそれぞれランクインしています。

3人とも、日本でも根強い人気を誇る女性シンガー。特にEnyaの歌声は、これからの寒い季節にはまりそう・・・。

他に、今週は4位にDIR EN GREY「UROBOROS」が、10位にThe Birthday「NIGHT ON FOOL」がランクインしています。

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2008年11月18日 (火)

ポップで勢いはあるけど。

Title:SHAKALABBITS
Musician:SHAKALABBITS

SHAKALABBITS

初となるセルフタイトルのアルバム。

セルフタイトルの作品・・・つまり、これぞSHAKALABBITSとしてのスタイル、と主張している訳です。デビュー当初のスカパンク的な位置付けから離れて、ハードロックのスタイルをより鮮明にして久しい彼女たち。本作も、ハードロックを主軸にしながら、キャッチーなメロディーと軽快なリズムでポップな楽曲を展開していく、という、ここ最近のSHAKALABBITSとしてのスタイルを、忠実に守り続けています。

 

ただ、一方で、彼女たちが取り入れているスタイルである、ハードロック主軸のポップスロックというのは、80年代後半以降の売れ線のポップスロックの典型的なスタイル。ハードなギターリフを積極的に取り入れることで、バンドサウンドを前に押し出すことにより、いかにもJ-POP的なビートロックになることをたくみに避けようとしており、それはそれで効果をあげていますが、全体的には、よくありがちな平凡なポップスロックという枠組みからは抜け出していません。

個人的には、このタイプのガールズロックは嫌いじゃないのですが、積極的にお勧めできるか、といわれるとビミョー・・・(^^;;サウンドもメロディーも、もうひとひねりふたひねり欲しいところです。

評価:★★★


そしてかつて彼女たちが呼ばれていた「スカパンク」というジャンル。同じガールズロックながらも、今、「スカパンク」で注目を集めているのが彼女たちです。

Title:What a Wonderful World! vol.1
Musician:オレスカバンド

What a Wonderful World vol.1

海外でのライブ活動などでも注目を集める彼女たち。

平均年齢が20歳以下という抜群の若さが、いい意味での勢いに反映され、軽快なスカパンクを聴かせてくれます。また、スカパンクのサウンドの中に、一本の筋として通っている、ギター主体のバンドサウンドがしっかりとした土台付けをしていて、安心して聴いていられる音作りをしています。

ただ、全体的には、スカパンクバンド全体としての傾向なのかもしれませんが、少々単調気味なのが気にかかるところ。もっとも、本作は、わずか6曲入りのミニアルバムということもあって、単調さなど気になる前に最後まで聴ききってしまいますが。

評価:★★★★


で、同じく「勢いはあるけれど・・・」と気になったのが彼ら。

Title:DEATH or GLORY
Musician:Radio Caroline

Death or Glory

バンドサウンドに関しては、随所にカッコよさを見せてくれるのですが、どうも一方で、メロディーの平坦さが気にかかります。メロディーの不備をサウンドで補っている・・・という見方も出来るのですが、曲によっては、サウンドも後ろでただ鳴っているだけ、という印象も受けてしまい、どうもいまひとつ、Radio Carolineとしてのカッコよさが上手く出せていないのではないでしょうか?確かに「ポップで勢いはあるけど」それプラスアルファに欠ける作品でした。

評価:★★★

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2008年11月17日 (月)

あのDream Girlsの・・・

Title:JENNIFER HUDSON
Musican:JENNIFER HUDSON

Jennifer Hudson

映画「DreamGirls」でデビュー。その類まれな歌唱力と、演技力、そして圧倒的な存在感で、アカデミー賞の助演女優賞を獲得するなど大きな話題となりました。その後も「Sex And The City」に出演するなど、女優としての地位を着々と伸ばしてきています。

一方で、「DreamGirls」で聴かせてくれた歌唱力も大きな話題となりましたが、そんな彼女のデビューアルバムがようやく発売となりました。

Ne-Yoが楽曲を提供した先行シングル「Spotlight」や、TIMBERLANDプロデュースで話題となった「Pocketbook」、さらには、映画「DreamGirls」で使われた「And I Am Telling You I'm Not Going」などが収録されているなど、聴き所たくさんのアルバムです。

個人的には、先日、映画「DreamGirls」を見て、その演技や歌唱力に感動し、このアルバムの購入を決めました。それだけに「And I Am Telling~」みたいな迫力あるバラードナンバーを予想していたのですが、予想に反して、本作の前半に関しては、前述の「Spotlight」や「Pocketbook」など、クラブサウンドやHIP HOPなども取り入れた、いわゆる「今風」の音になっていて、「DreamGirls」のイメージからすると、少々肩透かしをくらわされます。

一方、後半はバラードナンバーが続き、「And I Am Telling~」のイメージに比較的近い曲も並んでいます。そしてやはりその「And I Am Telling You I'm Not Going」は、このアルバムの中でも際立つ名曲。何度聴いても鳥肌のたつような歌唱力に圧倒されます。

ただ、アルバム全体としては、そこそこいい曲も並んでいて楽しめるのですが、名盤と言うにはちょっと物足りない内容になっていた印象が受けます。

前半の「今風」の曲にしても、さほど斬新さもなく、普通のポップソングに終っていますし、後半のバラードナンバーにしても、似たタイプの曲が多く、少々平凡な印象を感じてしまいました。どちらしても、彼女の歌唱力を十分に生かしきっていないのではないか、そう感じてしまうアルバムでした。

決して悪いアルバムではないし、「DreamGirls」の演技に魅了された人なら聴いて損はないと思います。ただ、次回作はもうちょっと頑張って欲しいかも。まだまだこれからが楽しみなだけに、次回作に期待です。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

LONG ROAD OUR OF EDEN/EAGLES

再結成後、なんと28年ぶりにリリースしたオリジナルアルバム。正統派のアメリカンロックといった感じで、泥臭くも骨太なサウンドとメロディーが楽しめます。かつてEAGLESにはまっていた人なら十分楽しめるかと。

評価:★★★★

TRUST ME/CRAIG DAVID

かつては「2ステップ」の代表的なシンガーとして話題になったのですが、この作品は、妙に80年代的なサウンドが目立ちます。ポップで聴きやすい曲は並んでいますが、面白みという面からは、少々物足りないかも。

評価:★★★★

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2008年11月16日 (日)

通ごのみ?

Title:10th Anniversary Songs~tribute to COIL
Musician:福耳

10th Anniversary Songs~tribute to COIL

もう結成から10年になるんですか・・・。オフィスオーガスタ所属ミュージシャンによるユニット福耳の2枚目となるアルバム。

しかし、それにしても、そのテーマが「COILへのトリビュートアルバム」とは・・・(^^;;このアルバムは見事ベスト10ヒットを記録していますが、このアルバムを買った人の多くが「で、COILって誰?」って思ったんじゃないかなぁ。実際、同日に発売された、久しぶりのCOILのニューアルバムは、ベスト50にも入っていなかったし。

ここのサイトでは、デビュー当初からCOILは取り上げているので、ご存知の方も多いかと思いますが、COILとは、オフィスオーガスタ所属の2人組の宅録ユニット。福耳にも参加し、福耳の最新シングル「DANCE BABY DANCE」を提供したのも彼らだったりします。

この作品では、「DANCE BABY DANCE」を含むCOILの過去の名曲の数々を、福耳のメンバーがそれぞれカバーしています。

前述の通り、COILは一般的には無名のミュージシャンで、ここで収録している作品もほとんど知られていません。しかし、福耳のアルバムとして世に出ることによって、なんとかこれらの名曲を少しでも多くの人々の耳に届けようという意気込みが伝わってきます。

なんか、こういう無名でも実力のあるミュージシャンの曲を大切にしようとする姿勢がオフィスオーガスタの良さなのでしょうか?こういう企画は本当にうれしいです。

ここに収録されているCOILの楽曲は決して派手ではありません。しかし、じっくりと聴けば聴くほど味が出るようなポップスソングが並んでいます。ある種の「通好み」かもしれませんが、このアルバムを通じて、少しでもCOILの魅力を伝わればいいのですが。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

GOING NOWHERE/GLORY HILL

「ポスト・エルレガーデン」と呼ばれているそうなのですが、確かにまんまエルレガーデンでした。いや、エルレガーデンの方が、もうちょっとおもしろい、いろいろなタイプのポップソングを書いてくると思うんですけどね。ポップで耳触りはいいけど、それ以上のものは感じられませんでした。

評価:★★★

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2008年11月15日 (土)

何もかわっていない(いい意味で)

Title:飛び立った7頭の蝶たち
Musician:advantage Lucy

飛び立った7頭の蝶たち

advantage Lucy・・・・・・懐かしい名前だなぁ。「グッバイ」、名曲だったなぁ・・・。

昔は大好きなバンドだったんですよ。でも、ここ最近、あまり名前を聞かなくなって、どうしたのかなぁ、なんて思っていて。

で、なんと久しぶりに3年ぶりとなるニューアルバムをリリース!!彼女たちも、3年間、何もしていなかったわけではなく、ちょくちょくと新曲も発表していたそうで、ここ最近の活動をまとめて1枚のミニアルバムにしたのが本作だそうです。

そういう訳で、厳密に、今、現段階のadvantage Lucyという訳ではないのですが・・・何もかわっていないなぁ・・・アコースティックなアレンジに包み込むようなやさしくポップなメロディーライン、そしてアイコの舌たらずなかわいらしいボーカル・・・。

「何もかわっていない」というとミュージシャンとして決してプラスの評価ではありません。しかし、久しく名前を聞いていなかったミュージシャンが、久々にリリースした新譜が、以前と何もかわっていなかったとしたら、やはりそれは昔好きだった身としてはとてもうれしいもの。聴いていて、本当にほっと安心してしまうアルバムでした。

次は是非、純然たる新譜を期待したいところ。いつの間にか2人組になってしまったみたいですが、またかつてのような名曲をどんどんと聴かせてください!

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

YMCK SONGBOOK-songs before 8bit-/YMCK

8bitミュージシャンYMCKによるカバーアルバム。それもまた渋く、全編、フォークシンガーのカバーで、それも誰もが知っている曲・・・だけではなく、遠藤賢司の「満足できるかな」や友部正人の「まるで正直者のように」など、微妙に通好みしそうな渋い選曲を、ピコピコの8bitで大胆にカバーしています。

フォークと8bitの微妙な対比がなかなかおもしろく、企画としては成功だったと思います。前述の「満足できるかな」なんて、意外と8bitにマッチしていておもしろかったし。ただ、以前と同様、やはりこのサウンドはパッと聴くとおもしろいけど、長く聴いていると飽きる・・・。ま、比較的短い内容だし、曲は耳なじみある曲も多いし、それなりに楽しめるアルバムだとは思うのですが。

評価:★★★★

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2008年11月14日 (金)

特別な作品

Title:Atlas
Musician:上田現

Atlas

今年3月、肺ガンのため急逝した上田現が、HDの中に残していた音楽を基に、仲間たちが完成されたラストアルバムです。

正直言って、「未発表音源」を周りが完成させた作品だけあって、完成度という側面ではあまり高くありません。そりゃもちろんプロの仕事。ある一定以上の水準に到達していることは間違いないんですが、ボーカルと周りの演奏のバランスが少々チグハグな部分もあったりして、上田現自体が最後まで完成させていたらなぁ、なんてことを思ってしまいます。

ただ、なんかね、やはりこのアルバム、そんな評価などぶっ飛ばすくらいの、「思い」を感じてしまうんですよね。

志半ばで、この世を去らなければいけなかった上田現の最後の結晶を完成させようとする仲間たちの思いを。

そして、そんな上田現が残した楽曲自体は、とてもよく出来ているんですよ。ジャンルもロックからレゲエ、スカ、さらにシューゲイザーっぽい曲まであったりして、幅広い音楽性に、音楽に対する真摯な愛情を感じることが出来るポップチューンの数々。最後の最後までミュージシャンとして生きた一人の男の生き様を感じることが出来ました。

レピッシュや上田現に対する思いいれの深さ次第で、このアルバムに対する感情もかわってきそうですね。個人的には正直、そんなに大ファンというわけではなかったのですが・・・それでも何か、伝わってくるものがある作品でした。

評価:★★★★

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2008年11月13日 (木)

隙がない

Title:ベストラッピン 1996-2008
Musician:EGO-WRAPPIN'

ベストラッピン 1996-2008

最近、久しぶりに活動を再開した、EGO-WRAPPIN'の初となるベストアルバム。

ベスト盤というからには、総括的にEGO-WRAPPIN'について云々かんぬん語りたいところなのですが・・・どうも今ひとつ、EGO-WRAPPIN'について語ることがないんですよね(^^;;

まあ、単純に、個人的にいまひとつEGO-WRAPPIN'にはまらなかった、というのも大きな理由なのですが。

それ以上に、いろいろな意味でEGO-WRAPPIN'の音楽には、ある種の隙がないように感じてしまうんですよね。

例えば、ジャズをベースとするサウンドといい、昭和歌謡曲の要素を上手く取り入れたメロディーラインといい、彼らの楽曲は、ポップで、しっかりとメロディーが耳に残り、にも関わらずサウンドは完成度が高くてカッコいい。正直、どこか計算しつくされている完成度の高さ=隙のなさを感じてしまいます。

それはそれでもちろん彼らの実力所以でしょうし、また、彼らの大きな魅力かもしれません。

ただ、未完成な音楽のもった一種の「隙」というのもポピュラーミュージックの大きな魅力だと思います。その、どこか完成されない「隙」に、ミュージシャンの人間臭さが反映され、それがひとつの魅力になるんですよね。

EGO-WRAPPIN'の完成された隙のなさ、それが私がいまひとつ、EGO-WRAPPIN'にはまらなかった大きな理由なのかなぁ。ベスト盤を聴きながら、ふとそんなことを思ってしまいました。

評価:★★★★

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2008年11月12日 (水)

暖かいポップスソングが並ぶのは、冬が近いから?

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週も新譜ラッシュとなったシングルチャート。その中でも目立ったのが、アコースティックテイストのポップスソングのランクインでした。

2位ゆず「シシカバブー」、4位小田和正「今日もどこかで」、そして5位スピッツ「若葉」。こういう、アコースティックテイストのポップソングが増えてくるのは、冬が近づいている証拠でしょうか?

ちなみに今週は、奇しくも2位ゆず、3位コブクロと、ストリートライブ出身のアコースティックデゥオが並びました。昔は、コブクロはゆずのフォロワー的な捉え方をされていたのですが、最近の人気は逆転しちゃいましたね・・・。

そんなポップス勢の上に立ったのが、おなじみジャニーズ系「Beautiful Days」が初動35万枚。2位ゆずに7倍近くの差をつけての1位獲得です。圧倒的な強さを見せ付けています。

以下、初登場は・・・

6位Berryz工房「MADAYADA」、9位BREAKERZ「Angelic Smile」、そして10位にチャットモンチー「染まるよ」がそれぞれランクインしています。

BREAKERZは、いまやお茶の間レベルの人気者になったDAIGO率いるバンド・・・なのですが、DAIGOの知名度と反して、BREAKERZはここに来て、少々伸び悩んでいる感じ。まあ、確かに、今のDAIGOの人気の出方では、ミュージシャンとしての人気になかなか繋がらなさそうですけどね。

チャットモンチーもここに来て少々伸び悩んでいるかな?まあ、ただこちらは、まだまだ知名度がサブカル層レベルに留まっているだけに、一気にブレイクする可能性も十分にあるかも。もっとも、彼女たちみたいなタイプのバンドは、今くらいの人気で十分、といえるかもしれませんが。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムチャート1位は加藤ミリヤのベスト盤「BEST DESTINY」が1位を獲得。自身初となるチャート1位獲得となりました。

続くASIAN KUNG-FU GENERATIONのニューアルバム「サーフ ブンガク カマクラ」は残念ながら2位止まり。残念。

以下、アルバムチャートは9位にドラマCD「コードギアス反逆のルルーシュR2 Episode 5」・・・アルバムチャートではおなじみになりましたね・・・がランクイン。また、イギリスの女性ボーカリストサラ・ブライトマン「冬のシンフォニー」が先週の12位からランクアップして10位にランクイン。ベスト10ヒットとなりました。

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2008年11月11日 (火)

純粋に音楽が好きなんだろうなぁ。

Title:ファイヤーエイジ
Musician:ザ・クロマニヨンズ

FIRE AGE

ヒロト&マーシーのコンビは、ブルーハーツ→ハイロウズ→クロマニヨンズ とそのバンドの形態を変えるごとに、その音楽がどんどん「純化」しているように感じられます。

「純化」ってのはどういう意味か、というと、変な理屈や小難しい理論や狙いを抜きに、純粋に音楽を奏でることを楽しんでいる、ということ。このアルバムでもそう。変な理屈やら、ロッキンオンが喜びそうな「物語」抜きで、裏表なくロックンロールを楽しんでいるなぁ、という印象を強く受けます。

そこらへんは、曲のタイトルが如実に物語っています。1曲目「エイトビート」から、そのまんま。内容も、そのまま軽快なエイトビートの楽曲。その他にも「ゴーゴーゴー」「ニャオニャオニャー」など、ヘタな理屈など無用といわんばかりのタイトルが並んでいます。

しかし、音楽が純化していく一方で、音楽性には幅と深みがより出てきているように感じます。以前から、単純にパンクだけではなく、背景に様々な音楽性を感じられた彼らですが、本作でも、パンク、ハードロックといったジャンルのみならず、「スピードとナイフ」では軽快なモータウンサウンドの要素を取り込むなど、ロックの枠組みに捕らわれない音楽性を見せてくれています。

「音楽は楽しければいいんだ!」という主張が聞こえてきそうな、本当に楽しいアルバムでした。今後も彼らはたくさん音楽の楽しさを私たちに伝えてくれそうです。

評価:★★★★★

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2008年11月10日 (月)

人気急上昇の理由もよくわかります。

Title:VAMPIRE
Musician:9mm Parabellum Bullet

VAMPIRE

彼らはおそらく、今、最も勢いのあるミュージシャンの一組でしょう。このアルバムも、外資系レコード店では大きくディスプレイされ、アルバムチャートでも初登場2位を記録し、波にのっています。

そしてこのアルバム、聴いてみてすぐに彼らがなぜこれだけ人気があるのかがわかります。

なんといっても冒頭の曲の歌詞がとても印象的。

「見えないラインで区切られた
ツギハギだらけの世界地図
国境は歴史の傷口で
治せる薬を探してる」

(「Wanderland」より 作詞 菅原卓郎)

思いっきり社会派な歌詞なのですが、表現の仕方がとても上手く、深い表現ながらも内容がわかりやすく印象に残るんです。

彼らの書く歌詞って、どれもそうなんです。冷たい現実を切り裂くような内容ながら、どこか叙情的な世界をつむいでいるのですが、文学的ながらも決して難解になっておらずわかりやすい。曲を聴きながら、すんなりと彼らの主張が頭に入ってくるんです。

文学的な歌詞を書くミュージシャンは多いのですが、きちんとわかりやすさを両立させている点、それが彼らの世界に惹きつけられるファンが多い、大きな理由のひとつではないでしょうか。

他も、ヘヴィーロックやグランジをベースに、ヘヴィーメタルやパンク、さらには歌謡曲の要素を入れた迫力のあるサウンドや、どこか日本人の琴線に触れるような、メロディーラインももちろん彼らの大きな魅力でしょう。

ただ、サウンドやメロディーに関しては、本作では勢いで押し切っている点が強く、もうちょっと幅が欲しいところ。ここらへんは今後の課題かもしれません。

もっともうねるようなグルーヴをしっかりと出しているバンドサウンドは今の段階でも十分魅力的。ライブの評判もいいみたいですが、CDからも、ライブがいいんだろうなぁ、ということが十分に感じ取れます。

メロディーや歌詞にはセンスも感じられるし、サウンド的にはまだまだ伸びしろがあるし、今後がとても楽しみなバンドです。日本のロックシーンをひっぱっていくバンドになれそうな予感のする1枚でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

TONIGHT/□□□

爽やかなシティーポップを中心に、HIP HOPやエレクトロのジャンルにも挑戦しており、全体的には、とても心地よく聴きやすいポップスアルバム・・・なのですが、どうもなぁ。やはり、口口口の楽曲にはどうもスノッブ臭さが感じられてならないんですよね。例えばこの中のHIP HOPの楽曲など、HIP HOPのスタイルを様式化して、馬鹿にしているように感じちゃうんですよね。素直に聴けばいいアルバムなのですが、素直に聴けないノイズを、随所に感じてしまいました。

評価:★★★

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2008年11月 9日 (日)

天才漫画家に捧げる歌

Title:赤塚不二夫トリビュート~四十一才の春だから~

赤塚不二夫トリビュート~四十一才の春だから~

日本漫画界の黎明期を支えた巨匠のひとりであり、今年8月、惜しまれつつ72歳でこの世を去った天才漫画家、赤塚不二夫。その彼に捧げるトリビュートアルバムが発売されました。

参加したミュージシャンの面子を見ればわかると思うのですが、ここで聴ける楽曲の数々はサブカルチャー・・・というよりもむしろアングラのテイストが強い曲の数々。各々のミュージシャンがそれぞれの解釈により、テンデバラバラ、赤塚不二夫原作のアニメの主題歌などをカバーしています。

それこそHIP HOPあり、ハードロックあり、ポップスあり、小西康陽のようにサンプリングを駆使した曲もあれば、筋肉少女帯のように完全にノイズミュージックにしてしまった曲もあり・・・お茶の間レベルの知名度も高い「赤塚不二夫」という名前にひかれて聴いたとすれば、はっきりいって、かなり聴きづらい作品だったのではないでしょうか?はっきりいってポピュラリティーという側面は薄い作品になっています。

しかし、赤塚不二夫の作品は、決して万人受けする作品ばかりではなく、むしろ癖の強い万人受けしずらいような不条理ギャグも数多く手がけている、という印象があります。ある意味、本能のおもむくまま自分の書きたい内容で筆を走らせている漫画家・・・赤塚不二夫に関しては決して私自身詳しいわけではないのですが、そんな漫画家のようなイメージがあります。

そうだとすると、まさにこのトリビュートは、赤塚不二夫のトリビュートとしてピッタリの作品と言えるのではないでしょうか。ここに参加しているミュージシャンも、決して計算高く、リスナーの受けを狙っているわけではなく、本能から出てくるような叫びを歌にのせるタイプのミュージシャンばかり。そんな彼らの作品は、ポピュラリティーはないものの、赤塚不二夫の作品と同様の一種の狂気を感じます。赤塚不二夫のトリビュートとしては、まさに最適な人選だったのではないでしょうか。

同じ曲のトリビュートが何組もある点が少々残念。それと、前述のように、ポピュラリティーが薄いため、決して万人に勧められる作品ではありません。ただ、参加ミュージシャンのファンや、赤塚不二夫のファンはチェックしてみて「おもしろい」(必ずしも「楽しめる」とは限らないのですが)のではないでしょうか。かな~~り癖のあるアルバムでした。

評価:★★★★

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2008年11月 8日 (土)

ふっきれた?

Title:Intimacy
Musician:Bloc Party

Intimacy

いままでもニューウェーヴからの影響を強く感じるサウンドを奏で、ダンスミュージック方面からの影響も顕著だった彼らでしたが、本作では、それがさらに進化。ギターなどのバンドサウンドは影を潜め、デジタルサウンドが激しいビートを奏でるエレクトロ・パンクなアルバムに仕上がっていました。

ある種、ふっきれた、と言ってしまえるかもしれません。この方向転換に関して、音からは全く迷いが感じられず、ただひたすら信じているベクトルに突き進んでいる、そんな印象がありました。

決してサウンドとして斬新、とはいえないかもしれませんが、それでも本作が十分に楽しめたのは、そんな彼らのサウンドに対する迷いのなさが曲にあらわれているためでしょう。そしてもうひとつ、彼らのポップスセンスの良さが曲に反映されているからではないでしょうか。サウンドはすんなりと耳になじみ、ポップなメロディーとともに、リスナー層を選ばないポピュラリティーを感じさせます。

疾走感のあるビートが楽しめる「One Mouth Off」「Talons」、荘厳なコーラスに、曲の広がりを感じる「Zephyrus」など、エレクトロビート主体ながらも曲に幅を持たせる構成に、最後まで飽きさせません。

進化を続ける3枚目。これからの活躍も楽しみです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

WE ARE THE PIPETTES/THE PIPETTES

発売当初、気になっていたのですが、さほど評判がよくなかったので見送っていました。で、このほどようやく聴いてみたのですが・・・うーん、たしかにいまひとつかも(^^;;

一応、50年代のガールズポップ風を気取ってはいるのですが、内容は中途半端なポップス。今風になりきるわけでもなく、昔のガールズポップを忠実に今に再現するわけでもなく、コンセプトがどうも中途半端に感じてしまいました。残念。

評価:★★★

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2008年11月 7日 (金)

第2のミスチルを作りたいのか?

Title:風のクロマ
Musician:レミオロメン

風のクロマ (初回限定盤)(DVD付)

「粉雪」で大ブレイクしてからのレミオロメンって、小林武史が、第2のミスチルを作りたがっているような感じがしちゃうんですよね。

様々な音を入れて、スケール感を増したアレンジといい、ポップで聴きやすく、バラードも積極的に取り入れてくるメロディーラインといい、インディーズ時代のライブハウススケールのポップスバンドから、一気にスタジアムレベルのバンドに持ち上げてこようとする意図を、随所に感じてしまうんですよ。

でもなぁ、レミオロメンって、ミスチルと根本的に違うタイプのバンドだと思うんですよね。

例えるならば、ミスチルが「僕たちと君たち」という歌を歌うバンドならば、レミオロメンは「君と僕」という歌を歌うバンド。あえていえば、ミスチルというよりもスピッツにタイプが近いバンドに感じます。

だから、ミスチルのように、スタジアムバンドスケールで作られたアルバムって、すごく違和感を覚えるんです。そして最新作のこの作品もそんな違和感を覚えてしまいました。1曲1曲は悪い曲ではありません。ただ、中途半端にスケール感をアレンジに与えて、曲も必要以上に万人受けを狙った結果、面白みのないアルバムになってしまいました。

この路線は、どう考えてもインディーズ時代に感じたレミオロメンの良さを生かしているとは、どうしても思えないんだよなぁ。プロデューサーを変えて、別の方向性を目指したようないいと思う。このままじゃあ、せっかくの才能がもったいない・・・。

評価:★★★

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2008年11月 6日 (木)

伝説は遙か遠く・・・

Title:We Are Here
Musician:フラワー・トラベリン・バンド

We Are Here

フラワー・トラベリン・バンドというバンドをみなさんはご存知でしょうか?

日本のロック黎明期を語る上で欠かせない伝説のバンドともいえる存在で、後に「人間の証明のテーマ」などでヒットを飛ばすジョー中山を中心とし、プロデューサーはあの内田裕也。1971年に発売したアルバム「SATORI」は海外でも評価を受け、日本のロックシーンを代表する名盤の1枚です。

そんな彼らが、今年再結成。フジロックフェスティバルにも出演し、30年以上のインターバルを経て発売されたアルバムが本作。まさに伝説が今に甦ったといえるでしょう。

で、もちろん期待して聴いたのですが・・・

はっきり言ってしまえば、完全に期待はずれ。かつての栄光を意識しながらも、中途半端にポップにまとめあげられたサウンドは、単なるBGMレベルのフュージョンの領域の中におさまってしまうような内容で、時代遅れな雰囲気さえ感じられました。

中には「The Sleeping Giant(Resurrection)」のような、非西洋的な独特のリズムがとてもおもしろい曲もあったりはしたのですが、全体として、音だけはロックを目指そうとしているのですが、どこか保守的で、ノスタルジックが先行しているように感じてしまいました。

アルバム「SATORI」は、今聴いても圧巻されるような名盤だと思うのですが、それだけに、この不出来は残念。中途半端に再結成するよりは、伝説のままで残っていてほしかったかも・・・そうとも感じてしまう作品でした。

評価:★★★


ほかに聴いた作品

Around 40~アラフォー~

なんか、向こうに透けて見れるものが、あまりに露骨なオムニバス盤。

「40歳前後の女性に向けた」オムニバスだけども、ちょっと懐かしいラブソングを並べただけといった感じ。まあ、部屋のBGMで聴いたり、ドライブがてらに聴くには悪くないけど、そのレベルを超えない、フツーのオムニバスでした。

評価;★★★

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2008年11月 5日 (水)

初耳の名前もたくさん

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

相変わらず波乱模様のシングルチャート。今週は10曲中8曲までが初登場という混戦模様でした。そして、初耳の名前もチラホラ・・・。

そんな中でも相変わらず強いのが1位関ジャニ∞「無責任ヒーロー」。初動34万枚と初動売上では自己新記録らしいです。なんか、ここ最近、ジャニーズ系が売上をまた伸ばしているような印象を受けるんですよね。ただ、なんだかバブルの人気みたいな感じで、いつかはじけてしまいそうな予感も。

それに続くのが2位コブクロ「時の足音」が初動13万枚でランクインです。彼らもすっかりチャート上位の常連に。ちなみに初回限定盤は結成10周年を記念して、「10 YEARS EDITION!!!」と名づけられているそうです。結成10年ですか。もう彼らもベテランの域ですね。

以下初登場が・・・3位矢島美容室、4位シド、5位WaTと続きます。

まず初耳が。3位矢島美容室。まあ、こちらはご存知の方も多いかも。バラエティー番組「とんねるずのみなさんのおかげでした」から登場した、とんねるずとDJ OZMAのプロデュースによる「女性」3人組ユニット・・・というスタイルをとったとんねるずとDJ OZMAのユニット。なんだかんだいってとんねるず、強いですね。綾小路翔は次はどんな手で売り出してくるんだろう、と思ったら、こんな手ですか(^^;;

で、福山雅治とHey!Say!JUMP!をはさんで、以下も初登場がずらり。8位Milky Way、9位坂本真綾、そして10位戸松遥

このうち初耳なのがMilky Way・・・は以前聞いたことあるような・・・と思ったら、4月にシングルを出してましたね。ハロー!プロジェクト系のアイドルユニット。チャート的にはかなり崖っぷちの様相が。

初耳なのが10位戸松遥で、こちらは声優さんですか。1ヶ月前にリリースされた前作がチャート80位だったそうなので大躍進なのですが、タイアップに恵まれたのか?

坂本真綾は前作が自己最高位かつ初のベスト10ヒットとなる、初登場3位を記録しましたが、今回は、初動も前作の3万枚から落ち込み1万3千枚と伸び悩みました。ただ、既に固定ファンを確保しているだけに、今後はコンスタントに、ここらへんの位置をキープしそう。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週のアルバムチャートは、ポルノグラフィティの2枚同時発売のベスト盤が1位、2位を独占。根強い強さをみせつけました。前も書いたかもしれないけど、ポルノグラフィティって、最近、あまり大きなヒットはないにも関わらず、なにげに人気が根強いよなぁ。

で、残念ながら、その2枚のベスト盤に阻まれ、3位に終ったのがレミオロメンのニューアルバム「風のクロマ」です。ただ、初動わずか5万ですか・・・前作が、「粉雪」の大ヒット直後とはいえ、初動32万枚、3週連続1位と比べると、落ち込みの酷さが気になります。

以下、アルバムも10枚中8枚が初登場という新譜ラッシュ。5位にDJ KAORIのDJアルバム、7位に秦基博、8位にオムニバスアルバム「.LOVE」、9位BENNIE Kのベスト盤に、10位土屋アンナと続きました。

秦基博は、シングルヒットの割りには売上が思ったより伸びなかったですね。9位BENNIE Kも最近、少々売上が落ち込み気味で気にかかります。8位は、最近急増しているラブソングのオムニバス盤。最近、少々この手の安直なコンピが増えているのが気にかかります・・・。

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2008年11月 4日 (火)

コムロセンセイ~~(T T)

はっきりいって、個人的にかなりショックなニュース・・・。

渡辺美里の大ファンで、TM NETWORKのファンでもあった私にとって、小室先生といえば、間違いなく、音楽的原点のひとつ。それだけに、この結末はあまりにも・・・。

贅沢を忘れられず散財し、周りに信頼をなくした向きの報道もあれば、まったく逆の、周りの人間が彼をだまし、お金を搾り取っていったという向きの話も聞こえてきたりして、彼自身、本当はどんな経緯をたどって、こうなってしまったのか、わからないのですが、本当に残念なニュースです。

しっかりと罪をつぐなって、いつの日か、また名曲を聴かせてくれる日を待ちたいと思います。

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斉藤和義をより深く知るために。

Title:Collection"B"1993~2007
Musician:斉藤和義

Collection“B”1993~2007

 

先日、3枚組のシングルコレクションをリリースしたばかりのせっちゃんこと斉藤和義ですが、こちらはB面ベスト。半分以上の曲はアルバム初収録で、ファンにとってもうれしい作品になっています。

しかし、このB面ベストで目立つのが、既発表曲のライブバージョンだったり、別バージョンだったり、デモ音源だったり、ファン向けの楽曲の数々。3枚組というボリュームもそうなのですが、少々ファンズアイテムといった側面が強く、広い層には、ちょっと薦めがたいアイテムになっています。

ただし、収録されている曲の中には、「ウナナナ」のような名曲があったり、ジャズ風にアレンジした「ねぇ、運転手さん」や、レゲエ風の「黄金のサンダル」のような、普段のせっちゃんとは異なる側面を垣間見れる作品もあったり、アコースティックバージョンでも、「歩いて帰ろう」のアコースティックバージョンでは、本格的なブルース調のアレンジで、曲の雰囲気がガラリと変わっていたり、聴きどころ満載の作品となっています。

斉藤和義のアルバムを何枚か聴いていたり、先日発売されたシングル集を聴いて、彼の魅力に触れた方が、さらに斉藤和義というミュージシャンを深く知るためには欠かせないアルバム、と言えるでしょう。ファンズアイテムとはいえ、チェックしておきたいアルバムです。

評価:★★★★

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2008年11月 3日 (月)

ポップス路線

Title:Just a Souvenir
Musician:Squarepusher

Just a Souvenir

 

前にも書いたと思うのですが・・・「エレクトロニカ」やら「ポストロック」やら、いわゆる「実験的」といわれる音楽をやっているミュージシャンの難しさは、その「実験性」を継続しなければならない点だと思います。

しかし、斬新な音楽は簡単に見つけられるわけではありません。そこで、「実験性」に行き詰まったミュージシャンはどんな選択をするのか。

Squarepusherが出した答えは、実験性を残しながらも、ポップ路線に走るという答えでした。

「Star Time2」から、YMOを彷彿とさせるようなテクノポップ路線からスタート。その後、「A Real Woman」はPOLYSICS、というよりDevoを彷彿させるようなニューウェーヴパンクですし、「Delta-v」は、デジタルパンクといった感じでしょうか?いずれもポップで聴きやすい作風に仕上げています。

一方では、「Aqueduct」「Potential Govane」のような、音響派、ポストロック風の作品や、フリージャズ風の「Duotone Moonbea」のように、ある一定の実験性持ち合わせており、リスナーを飽きさせません。

前作「Hello Everything」から、次の一歩を探し続けている感はありましたが、本作では、ある種のマンネリに陥ることなく、かといって必要以上にセルアウトすることなく、次のベクトルを見つけ出すことに一定の成功をおさめたといえるのではないでしょうか。

先駆性や斬新さという側面では少々物足りなさも感じてしまうのも事実。そういう意味では、もろ手をあげて絶賛できる作品ではないのですが・・・最後まで飽きることなく、その独特な世界を十分楽しめる作品でした。

評価:★★★★

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2008年11月 2日 (日)

腹黒?

Title:Halan'na-ca Darkside
Musician:VOLA&THE ORIENTAL MACHINE

Halan’na-ca Darkside(初回盤)(DVD付)

タイトル名が「腹ん中ダークサイド」・・・つまり「腹黒」ってことですか(笑)。なんだか、ナンバガを思い起こさせるようなタイトルの新作です。

全9曲入り。長さわずか20分程度のミニアルバム。途中、インタールードを挟みながら展開していくのですが、全曲メドレーのようにつながっていて、全体でひとつの曲のような構成になっています。そのため、聴いていてあっという間。気がついたら、次の曲という感じに。

曲は、前作「ANDROID」と同じく、ニューウェーヴ路線を突き進んでいます。「ANDROID」で、VOLAとしての路線を確立したのですが、本作はそれを突き進めている、といったところでしょうか。

その中でも、パンク路線の「soft genocide」や、ダンス路線の「Internal Division」、ハードロックの影響を感じる「Double Standard」など、音楽に幅を持たせ、わずか20分ながらもいろいろな顔をのぞかせてくれます。

VOLAとしての独自性という側面からは、まだ薄い部分も感じるのですが、確かな一歩を感じる作品。そろそろ「元ナンバガのアヒトイナザワの」という前書きがはずれそうですね。

評価:★★★★

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2008年11月 1日 (土)

安定感が出てきました。

Title:HOME
Musician:HOME MADE 家族

HOME(初回生産限定盤)(DVD付)

HOME MADE家族の新作は、タイトルがそのまんま「HOME」(笑)。以前から、「HOME」や「Family」というものを主題としてよく用いてきた彼らでしたが、本作でも、別れた恋人に、「家に戻ってきてほしい」と叫ぶ「Come Back Home」

「My Home たった一つの場所
My Home 家族と呼び合える場所
個々の 心と心の 拠り所 それが My Home」

(「HOME」より 作詞 KURO・MICRO・U-ICHI)

と歌い上げる、まさにHOME MADE 家族のテーマともいえるタイトルチューン「HOME」など、「HOME」を意識した曲も目立ちます。

ただ、彼らの場合の「HOME」は、そのまま「家」という意味よりも自分の居場所、安心できる場所を指しています。ある意味、HOME MADE 家族というユニット、そして、それを取り囲むファンたちの存在こそが彼らにとっての「HOME」。そんな「HOME」が本作での主題となっています。

楽曲は、ここに来て、安定感が増したなぁ、という印象があります。デビュー当初のユニットがよく持っている「勢い」を感じさせる「ROCK THE WORLD」「musication」と比べると、勢いは落ちたものの、リスナーを聴かせる壺を心得たアルバムになっていました。

ディスコチューンでとことん踊れる「CHANGE」「ZokuZokool」、失恋の曲なのに、アップテンポな曲調が逆に哀しさを感じさせる「Come Back Hom」、そしてアルバムの最後を飾る、子供の声を効果的に使い、曲のスケールを感じさせる「YEAH!」など、アップテンポな曲を軸にすえて、一方で聴かせる曲も配分するなど、最後まで楽しめる展開になっています。

また本作で一歩先へ進んだかな?ポップス系のHIP HOPユニットの中では、ポピュラリティーといい、幅広い音楽性といい、RIP SLYMEに続き、頭ひとつ出た印象すらあります。今後がますます楽しみです。

評価:★★★★★

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