東京と京都
Title:COVER GIRL2
Musician:つじあやの
4年前にリリースされた「COVER GIRL」に続くカバーアルバムの第2弾。
今回の作品でユニークなのは、CD2枚組となる本作は、1枚目が「tokyo side」、2枚目が「kyoto side」と名づけられている点。「tokyo side」は、バンドアレンジなども加わった、実験的な作風に、そして「kyoto side」は、彼女の地元、京都の街角で、ウクレレ1本の演奏で録音された、アットホームなカバーが収録されています。
実験的な「tokyo side」は、それゆえに、出来不出来の差が大きい印象を受けました。いろいろな意味でユニークだったのが、1曲目のm-flo「come again」のカバー。もともとは、ハウスのアレンジの作品で、フロア志向の強い曲を、無理やりアコースティックテイストにカバーした本作は、決して成功しているとは言い難いのですが、彼女のチャレンジスピリットを感じる問題作といえるカバーでした。
一方、名カバーだったのが2曲目松田聖子の「SWEET MEMORIES」でしょうか。もともとからメロディーの優れたナンバーなのですが、変な飾りつけなしのアレンジや歌い方が曲にピッタリマッチし、より曲の良さを際立たせていました。
「kyoto side」の方は、京都の街角で録音したということで、街の騒音も一緒に録音されているのがとてもユニーク。また、おそらく選曲も、彼女が本当に気に入っている曲なんでしょうね。いい意味で肩の力が抜けたカバーに仕上がっていました。
まあ、こちらは「意外な視点に驚かされる」ようなカバーはなかったのですが、どれも原曲を大切にしていることが伝わる、丁寧なカバーに仕上がっていたと思います。彼女の人柄も伝わってくるような、そんなカバーでした。
2枚組にわけることにより、より幅の広いカバーに挑戦することのできたアルバムに仕上がっていました。ただ、どの曲も、メロディーや歌詞をしっかりと大切にしたカバーになっていて、彼女の音楽に対する真摯な姿勢が伝わってくるカバーだったと思います。決して派手なヒットを飛ばしているわけではなくても、つじあやのというミュージシャンが強い支持を受けている理由がわかるような、素敵なカバーアルバムでした。
評価:★★★★★
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コメント
買いました。
フィッシュマンズの『頼りない天使』と
荒井由実の『ルージュの伝言』が
僕は特に気に入っています。
ただフィッシュマンズは原曲を知らないので、
いずれ聴いてみようと思っています。
しかし、何歌っても彼女の歌になってるので
感心するばかりの作品でした。
m-floのムリヤリ感は否めませんけどね(笑
投稿: ブラックシープ | 2008年10月27日 (月) 01時50分
>ブラックシープさん
フィッシュマンズやユーミンのカバーもよかったですね。フィッシュマンズは原曲もいいのでお勧めですよ!是非、聴いてみてください。
どの曲もきちんとつじあやのとしてのカラーが出ているのはさすがでした。m-floはちょっときついですよね、やはり(^^;;
投稿: ゆういち | 2008年10月28日 (火) 23時53分