泣きメロ卒業?
Title:Ode to J.Smith
Musician:Travis
個人的に、Travisといえば、同じ泣きメロ系(?)のミュージシャンとしてColdplayと重なる点の多いような印象を受けていました。ただ、このTravisの新作と、Coldplayの先日発売された新作を比べると、その違いがかなり際立ってきたよなぁ、という印象を強く受けました。
Coldplayの新作からは、ある種の大物としての貫禄を感じます。それも、スタジアムロック系の大物の風格を・・・同じUKでいえば、U2みたいな、日本でいえばミスチルのような風格を感じました。曲から、そういう大物風の余裕や、あるいはスケール感を覚えることができるんですよね。
一方、Travisの新作からは、そういう大物然とした雰囲気はありません。「Song To Self」のようなスケール感のあるポップスもあるのですが、アルバム全体としては、むしろインディーポップの色合いを強く感じます。タイプ的には、日本でいえばスピッツといった感じでしょうか?曲のタイプは少々違いますが。
また、そういうインディーロックテイストが強くなった大きな理由として、アルバム全体として、力強いバンドサウンドを多く入れてきて、いままでのアコースティックテイストを一変し、むしろグランジロックの雰囲気が強くなったのも大きな理由でしょう。
そこらへんの変化が印象的なのが「Last Words」で、全体的には、以前のTravisらしい、アコースティックなポップなのですが、その間に迫力のあるノイジーなギターサウンドが入ることにより、以前からのイメージとは違うぞ、ということをリスナーに印象づけています。
ただし、一方では、哀愁漂うメロディーの「Quiet Free」や「Friends」のような、美メロ、泣きメロも随所に見られ、決していままでのTravisを否定しているわけではありません。むしろ、いままでのTravisの可能性を、さらに引き伸ばしたアルバム、といえるかもしれません。
・・・とはいうものの、いままでの作品に比べると、少々インパクトの面で弱さがあるのは否めないかなぁ、とも思うのも本作。メロディーの印象の薄さをバンドサウンドでおぎなったのか?といじわるな見方もできてしまうような、ちょっと印象の薄さを感じてしまいました。
悪いアルバムではないので、美メロが好きなら、聴いて損のないアルバムです。ただ、個人的には、もう一歩がんばってほしかったかな?次回作に期待。
評価:★★★★
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