今でもなお「輝きながら…」
先日リリースされた、徳永英明のベスト盤を聴いてみました。
徳永英明といえば、私が中高生の頃、アイドル的な人気を誇ったミュージシャン。高校生のころは、カラオケに行くと、必ず誰かが歌っていたなぁ。オーバーサーティーにとっては、男でも女でも、なんらかの思い入れがあるミュージシャンではないでしょうか。
で、まずはシングル曲を集めた「SINGLES BEST」。
2枚組のベストなのですが、もうね、1枚目でおなか一杯(笑)。
全盛期の代表曲がズラリと並んだ1枚目は、どの曲も傑作続き。「レイニーブルー」「輝きながら・・・」「最後の言い訳」「壊れかけのRadio」「LOVE IS ALL」「I LOVE YOU」・・・・・・どれも高校生の頃、なんども聴いたなぁ。
あれから15年以上の日々が過ぎて聴いてみてあらためて思うのが、徳永英明って、クリアで丹精なボーカルといい、AOR風のメロディーラインといい、楽曲自体がとても大人びているのに対して、歌詞の内容が、ともすれば「恋に恋する」レベルの純愛だったり、一途な前向き応援歌だったり、中高生世代の心に響きそうな内容なんですよね。「壊れかけのRadio」なんて、ストレートに思春期世代へのメッセージソングですし。
こういうギャップがあったからこそ、大人の雰囲気を持ちながらも、自分たちの視点でメッセージを届ける彼に対して、絶大な人気があったのではないでしょうか。
ただ、残念ながらその人気も、「LOVE IS ALL」あたりを境に下降線となり、90年代後半は、ヒットチャートの上位から姿を消します。
そんな彼にとって、人気が低迷気味だった時期にリリースされた作品を収録されたのが、このベスト盤の2枚目。こちらは、1枚目の曲をよく知っている、という方でも、あまりなじみのない曲も多いのではないでしょうか。
ただ、楽曲の出来としては、全盛期から大きくクオリティーが落ちたとは思いません。特にメロディーに関しては、「永遠の果てに」や「青い契り」など、全盛期に勝るとも劣らない名曲もリリースしています。ただ、歌詞に関して、狙う世代が少々上になったのか、以前ほどストレートに心に響いてこなくなったのも事実で、だからこそ、いまひとつ人気が低迷していたのでしょうか。
しかし、それでも熱烈なファンを確保していたからこそ、ここ最近、徐々に人気を取り戻し、「VOCALIST」シリーズで見事に復活。「happiness」では、史上最低初動売上という少々不名誉な記録がつきながらも、久々にベスト10に返り咲き、その後も人気を保っています。このベスト盤を聴くと、確かに2枚目は1枚目ほどの勢いこそ感じられないものの、いまなお人気を保っている理由がわかるような気がします。
で、もう一組聴いたのが、カップリング曲を集めた「SINGLE B-side BEST」。
こちらは、いかにも徳永英明という王道路線を集めた「SINGLES BEST」とは異なり、徳永英明というミュージシャンの別の側面を集めた曲が並んでいます。
例えばデジタルポップ風なアレンジの「ラバーズ」や、ロック風の「負けるな」など、少々毛色の異なる曲も聴けるのも、カップリング集ならでは。また、「奇跡のようなめぐり逢い」や「愛の中から」など、アレンジが80年代を色濃く感じさせ、スタンダード的な人気を誇る「SINGLES BEST」以上に、時代性を感じさせる曲も収録されています。
しかし、この「B-side BEST」でも、「SINGLES BEST」に勝るとも劣らない傑作が聴けたりするからうれしいところ。特に「太陽の少年」など、全盛期の傑作と並べても、全く遜色ない傑作に仕上がっています。
今回のベスト盤に関しては、初回限定盤が2パターンリリースされるなど、ファンの散財を狙ったような、残念な売り方が目立ったり、「VOCALIST」収録の曲が、その初回限定盤にまわされ、本体に収録されなかったりと、少々残念な部分も目立ちました。しかし、それでもなお、彼の魅力をあますことなく感じることが出来る内容になっていたと思います。
全盛期をリアルタイムで知っているオーバーサーティー世代も、「VOCALIST」でファンになった方にも、聴いてみてほしいベスト盤です。
評価:
「SINGLES BEST」★★★★★
「SINGLES B-side BEST」★★★★
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