新しいものに挑戦し続ける難しさ
Title:ROCK ALBUM
Musician:iLL
元スーパーカーのナカコーのソロプロジェクト、iLLによるニューアルバム。
どーもねー。ぶっちゃけ、ナカコー、ソロになってから、駄作が続いて迷走気味なんで、このアルバムもほとんど期待していなかったんですよ。
でも、少なくともこのアルバム、最初の方はよかったんです。
「COSMIC STAR」は、ハードなギターサウンドと、重低音のビートを刻むドラムスの音がカッコよく、「ROCK ALBUM」と題された本作の幕開けにはふさわしいロックなナンバー。続く「Scum」も、四つ打ちのリズムに、ギターの音が乗る、ロックでダンサナブルなナンバーと続き、お、これは期待できるかも、と思わせました。
で、その後の、王道のギターロックともいうべき「Merry Dance」あたりまではよかったのですが・・・
その後は、残念ながらアルバムは、急速に失速していきます。
ポストロックだったり、あるいはプログレあたりからの影響を感じるような、「実験的」なインストナンバーがあったかと思えば、途中に、メロディー主体のギターロックナンバーも入るのですが、どれも重く、暗い雰囲気で、耳をひかれるようなものは皆無。あえてポップであることを拒否しているようにも感じました。
そして、これらの作品は、いずれも実験的な作風というスタイルをとっているのですが、どの曲もどこかで聴いたことあるようなスタイルばかりで、独自性がほとんどないんですよね。
それならそれで、もっとポップな路線に走ればいいと思うのですが(このアルバムの冒頭みたいに)、ポップな路線に走るでもなく、でも、実験的な音楽としても新鮮味がない、という「ROCK」というスタイルを取り入れながらも、ソロ活動後のiLLの欠点がそのまま引き継がれてしまった作品になっていました。
思えばスーパーカーも、デビュー作はジザメリ路線の承継だし、基本的に「誰もやったことがないこと」というよりも、洋楽の先駆的な音楽をポップに昇華した名曲をリリースしていたバンドだったんだよなぁ。ここらへんで、そろそろ、自分の目指すべき方向性をもっと考えたほうがいいのでは?そう感じてしまいました。
評価:★★★
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コメント
>これらの作品は、いずれも実験的な作風というスタイルをとっているのですが~
実験的ではないそうですよ~(本人談)
http://www.illtheworld.jp/special/archives/20090410.html
Gui Boratto/Take My Breath Away参照
的外れなことをここまで言い切れる自信はある意味凄いと思います(苦笑)
投稿: mu | 2009年8月 2日 (日) 16時49分
アシッドフォークやアンビエント的な要素も含まれているこの作品が駄作に思えるのはただ単に自分の音楽キャパシティが狭いだけなのでは?
もうちょっと自分を疑うことを覚えた方がいいですよ。
投稿: よしだ | 2010年3月16日 (火) 02時43分