ストレートな攻撃
Title:ONE DAY AS A LION
Musician:ONE DAY AS A LION
ついに、あのザック・デ・ラ・ロッチャが本格的に活動を再開しました!!
ザック・デ・ラ・ロッチャといえば、ミクスチャーロックバンドRAGE AGAINST THE MACHINEのMCとして、アンチ権力的を掲げ、攻撃的な歌詞で社会を切りまくっていました。
RAGE AGAINST THE MACHINE解散後は、ソロ活動が噂されながらも、単発で曲を発表したりはするものの、本格的な活動再開には至っていませんでした。
しかし、ここに来て、元マーズ・ヴォルタのドラマー、ジョン・セオドアとバンドを結成し、待望のニューアルバムをリリースしてきたのです。
そんなザックにとって久々のアルバムなのですが、RATMで権力を切りまくったあのするどい言葉のナイフは、全く錆びていませんでした。
実は本作、アルバム自体は8月にリリースされていたのですが、私が購入したのは先日。というのも、国内盤のリリースを待っていたのです。なぜか。やはりなんといっても歌詞を知りたかったから・・・。
もう、1曲目「WILD INTERNATIONAL」の冒頭から、彼らのONE DAY AS A LIONで伝えたい強烈なメッセージからスタートします。
"they say that in war that truth be the first casualty so i digin selector I the resurrector"
(訳 戦争の最初の犠牲者は真実だと人は言う だからセレクターをつなぐ、俺はよみがえらせる者)
(「WILD INTERNATIONAL」より 作詞 ONE DAY AS A LION 訳 新谷洋子)
例の911の事件以降、「テロとの戦い」という名前のもと、多くの真実が隠され、自由が剥奪されていきました。そんな今だからこそ、伝えるべきストレートなメッセージが、このアルバムには多く綴られています。
先日紹介したソウル・フラワー・ユニオンも、同じく、音楽で権力に立ち向かっています。ただ、SFUと彼らの大きな違いは、SFUは、歌で人々をつなぎ、みんなの力で権力に立ち向かっていくスタイル-だからこそ、彼らは祝祭の歌のもと人々を集め、踊らせ、そしてメッセージを伝えていきます。
一方、ONE DAY AS A LIONは、あまりに過激でストレート。いわばバクダンをかかえて、ホワイトハウスへ突っ込んでいく、といってもいいかもしれません。
また、肝心のサウンドの方なのですが、基本的にはザックのラップスタイルはRATMそのまま。あえていえば、RATMからトム・モレロのギターを抜いた感じ、といった感じでしょうか?
いや、RATMといえばトム・モレロのギタープレイも大きな売りなだけに、RATMとは大きく異なるという印象も受けるかもしれませんが。
ただ、ヘヴィーなドラムスの音に、シンセの音をかぶせ、その上にザックのラップがのるONE DAY AS A LIONのサウンドは、RATMと同様、リスナーをひきつけるには十分のグルーヴを感じさせます。むしろRATM以上にザックのラップが際立つようなスタイルかもしれません。
残念ながら、ザックの戦いはまだまだ終わらないみたいです。彼の歌が聴けるというのはうれしい反面、社会に悲劇がまだまだ残っている証拠。複雑な心境です・・・。
評価:★★★★★
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コメント
いや、まだまだ残っているというか、15年前から本質的変化は1つもないと言ってよいと思いますが。
(少なくとも社会の大多数を占める一般大衆の精神構造と、それを利用し支配する人々の精神構造には。)
私は科学と哲学(脳科学、分析哲学)の分野から、Zackが音楽で起こそうとした変化変容を起こすつもりです。
音楽で世界情勢に変化をもたらそうという勝ち目のない闘いに本気で挑んだ(挑んでいる)Zackの精神には、心から敬服します。
本気で挑む事の意味、意義は、彼のライブパフォーマンスを見れば自ずと分かる気がします。涙が出てきます、全く。
投稿: Joe at the age of 23 | 2008年10月15日 (水) 01時40分
>Joe at the age of 23さん
確かに、問題の本質は15年前から全く変わっていないかもしれないですね。悲しい話です。僕も、音楽で社会を変えようとするZackのスタンスは尊敬します。例えばボブ・マーリーみたいに、音楽で本当に社会を変えちゃうような人は、やはりすごくカッコいいと思うし、ミュージシャンなら、やはり音楽の力を信じてほしいなぁ、とも思います。
ZACKのライブは一度も見たことないのですが・・・一度見てみたいなぁ~。
投稿: ゆういち | 2008年10月16日 (木) 21時56分