モーサムよ、何処へ行く??
Title:SING!
Musician:MO'SOME TONEBENDER
今回のアルバム、おそらく、CDプレイヤーのプレイボタンを押した直後に、CDを間違えたのか?と思うかもしれません。ガレージパンクバンドのアルバムを入れたはずなのに、聴こえてくるのは、ニューウェーヴテイストのポップソング・・・しかし大丈夫です。これは紛うことなく、MO'SOME TONEBENDERのニューアルバムです。
以前から、エレクトロ路線の曲や、ポップ路線の曲も手がけていた彼らですが、今回の作品は、全面的にエレクトロやニューウェーヴ、そしてポップの路線で貫かれているアルバムになっています。1曲目の「シンクロニシティ」は前述の通りですし、ようやくバンドサウンドが表に出てきた「カクカクシカジカ」は、同時にテクノポップ色も強い作品ですし、「虹を架けて」では、スペーシーな雰囲気のシンセのサウンドが特徴的ですし、「アイドンノウ」は至ってポップな作風ですし・・・。
今回の作風の変化については、ファンの間でもどう捉えるかで意見がわかれそうです。正直言って、私には今回のアルバム、「迷走している」と感じられました。
確かに、primal screamやRADIOHEAD、そして日本のくるりみたいに、アルバムをリリースする毎にそのスタイルを変化させるミュージシャンも少なくありません。しかし、彼らは、新譜で、先駆的なサウンドやムーブメントを取り入れるか、新たな音を模索して実験しているかのいずれかを試みています。
しかしモーサムの新譜のスタイルは、決して先駆的なサウンドでも、新たな音への挑戦でもありません。そこに、方向転換の必要性は感じられません。また、それでは、いままで築いてきた彼らのスタイルは何だったのでしょうか?突然の方向転換は、彼らの、自分たちのスタイルへの自信のなさの表れように感じました。
ただ、本作が駄作か、といわれるとそうではありません。今回のアルバムでは、ポップなスタイルを取り入れたため、MO'SOME TONEBENDERというバンドが、実は非常に素晴らしいメロディーセンスを持ったバンドだ、ということに、あらためて気がつかされる作品になっていました。
そういうこともあり、本作は、今後活動を続け、何作か後に彼らのスタイルを確立したとしたら、この作品はに大きな意味を持ってくる「問題作」になる可能性がある作品です。しかし、このような方向転換をしたバンドは、そのままフェイドアウトして消えていってしまうケースが少なくありません。そのため、この作品は彼らにとって岐路と言えるかもしれません。
また、そのため本作の評価は非常に難しいです。この作品の出来、単独で考えれば★★★★。結局、迷走を続けフェイドアウトしていくのなら、バンド崩壊の序曲という意味で★★★。一方、バンドとしてのスタイルを確立し、その段階から見て、意味のある作品となれば、★★★★★。このアルバムの持つ意味は、今後の彼らの活動で決まってきそうです。
で、結局↓
評価:★★★★
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