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2008年9月

2008年9月30日 (火)

この流れは大きな流れになるか?

Title:Moira
Musician:Sound Horizon

6th Story CD「Moira」(通常盤)

以前取り上げたlivetune feat.初音ミクでも触れたのですが、いわゆるアキバ系の音楽の流れとして、同人音楽という流れが出てきているそうです。

個人的に、この流れには少々興味を持ちました。というのも(こうやって言うと、怒られてしまうかもしれませんが)アキバ系は、世間一般的には、決して高い地位が認められているわけではなくむしろ弱者的な立ち位置にいます。しかし、音楽ってしばしばそういう弱者的立ち位置のコミュニティーから、草の根的にシーンが盛り上がってくるんですよね。アメリカの黒人から産み出されたブルースやジャズしかり、失業に苦しむイギリスの若者から生み出されたパンクしかり。

で、このアルバムはなんとオリコンチャートで3位を記録。デイリーでは一時、安室奈美恵のベストを上回り1位を記録するなど本格的な大ヒットを記録しました。そんな訳で、これを機会に、ちょっと聴いてみることにしました。

Sound Horizonというミュージシャンの特徴として、「物語音楽」というジャンルを標榜しているらしく、このアルバムも「6th StoryCD」と題されているように、アルバム1曲通じてひとつの物語になっている構成のコンセプトアルバムになっています。

楽曲の方は、おおざっぱに言うと、ミュージカルのような雰囲気になっています。詳しく言えば、クラッシック音楽からの影響を土台として、プログレやヘヴィーメタルの影響を感じさせるポップス。映画音楽に雰囲気が近いかもしれません。

ただ、全体的に完成度は高いものの、優等生的。音楽理論に裏付けられた音大生あたりが作りそうな感じで、ポピュラーミュージックとしては、少々面白みはかけるかも。また、音をこれでもかといほど詰め込みすぎ・・・。ある意味、脂分たっぷりのラーメンみたいな感じで、ちょっと聴いた感じだと心地がいいのですが、徐々にくどくなってきます。事実、4、5曲目くらいでお腹いっぱいになってしまいました。先日のlivetuneも全く同様なんだけども、音に緩急をつけてほしい。音を分厚くして耳障りをよくするのって、ヒット曲狙いの商業音楽の手法なんだよなぁ。

さて、そして彼の売りである「物語」の部分なのですが、こちらは典型的なファンタジー。最近では「指輪物語」や「ナルニア」などで受け入れられてきたとはいえ、好き嫌いは極端にくわかれそう。また、幕間に入るやりとりもいささか「アニメ的」で、こちらも好き嫌いはわかれそう。

でも残念ながらわかりにくい。いや、ストーリーが複雑というわけじゃなくて、聴き取りにくいんですよ。Amazonのレビューを見ると、他の作品ではそうではないみたいなのですが。歌詞カードの内容もかなり省かれているみたいだし。物語の内容をアピールしたいのであれば、やはり歌詞カードに内容を詳細に書くべきだと思うけどなぁ。

以上を踏まえて。

総じて言えば、一部の内輪受け的な要素を強く感じました。というか、最近って、アキバ系にしても、ヴィジュアル系にしても、「わかる人だけわかればよい」という雰囲気を感じてしまうんですよね。以前なら、そういう音楽って、アングラシーンだけで終っていたのですが、最近は市場が小さくなったのと、ネットなどを通じて、そういうサブカル系の趣味を持った人たちがむすびつきやすくなったことから、十分ヒットするようになってきています。

万人受けする音楽をやれ、というわけじゃないんですよ。音楽の世界観はこのままでいいと思う。ただ、自分の音楽がどうすればもっと多くの人の耳に届くのか悩んで欲しい。そして時としてそういう苦悩がとんでもない傑作にむすびついてくると思うんです。そういう苦悩の部分が少々物足りなかったかなぁ、と思います。

個人的な感想を言うと

あの、実は私、ファンタジー好きなんですよ(^^;;っていっても、そんなに片っ端からファンタジーを読んでいるわけじゃないんですが、「指輪」「ナルニア」「ゲド」を一通り読んだくらいのファンで・・・。そんな訳なんで、嫌いじゃなかったな。少なくとも、次も聴いてもいいかな、とは思いました。でも、いろいろな意味で、もう一工夫が欲しいよなぁ。

評価:★★★★

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2008年9月29日 (月)

monkey majikが売れた理由

Title:TIME
Musician:monkey majik

TIME(限定生産盤)(DVD[PV]付)

安室奈美恵のベストアルバムに続いて初登場2位

正直言って、この結果には少々驚かされました。というのもmonkey majikに関しては、「Around The World」でのブレイク以降、シングルの売上は下降線で(「Together」でちょっと盛り返したみたいですが)典型的な一発屋路線を進んでいるように感じたからです。

それだけに、このアルバムのヒットに驚いてしまったのですが(初動順位だけなら、前作を上回りましたし)実際に聴いてみると、なんとなく、monkey majikのアルバムが売れた理由がわかるような気がしました。

実にストレートで素直なポップスアルバムだなぁ。
この作品を聴いてまず感じた感想はこれでした。

アルバムは、メロディー主体のポップソングがメインなのですが、変に凝ったアレンジをする訳でもなく、実験的な曲を書くわけでもなく、淡々と進みます。そして、メロディーがいいんですよね。特に派手でもないし、やけに耳に残るといった感じでもなく、部屋のBGMにピッタリといった、主張しすぎることのないポップソングが並んでいます。

曲の雰囲気は全然違うのですが、彼らと立ち位置が似ていたシンガーが一組いました。それはコブクロ。彼らも決して派手ではないのですが、しっかりとしたメロディーを売りに固定ファンを確保していきました。その後大ブレイクしてしまって、いまやトップミュージシャンの一組になったのですが、大ブレイク前のコブクロとmonkey majikには、立ち位置的に似ているものを感じました。

ただ、コブクロは歌謡曲テイストが強く、メロディーは少々暑苦しくもあるのですが(笑)、monkey majikとはその部分は大きく異なります。monkey majikの曲は、洋楽テイストが強く、作風はクール。しかし、どこか歌謡曲のテイストがまぎれこんでいて、洋楽チックでありながらも日本人の耳なじみするメロディーを作り出しているのも彼らの魅力といった感じでしょうか。

もし今後も、このペースで作品を作り続け、固定ファンが増えていけば、ひょっとしたらコブクロみたいに大ブレイク、ということもありえるかもね。名盤とか絶賛するようなタイプの作品ではありませんが、素直なポップソングを楽しみたい方にはお勧めのアルバムです。

評価:★★★★

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2008年9月28日 (日)

素直に楽しめる映画でした。

デトロイト・メタル・シティドキュメントDVD 松山ケンイチ×クラウザーII世×根岸崇一

話題の映画「デトロイト・メタル・シティ」を見てきました。

もともと、原作の漫画も好きで、全巻読んでいます。で、この映画みたいに、漫画や小説の原作付映画って、原作ファンを失望させたり、怒りをかったりするケースが往々にして見受けられます。特に本作のように、原作がまだ完結していない場合はなおさらです。

しかし、その点、この映画は非常に上手く漫画の世界を取り入れていました。漫画の登場人物のキャラクターはそのまま、漫画に出てくるエピソードを上手く取り込みながら、映画ならではのテーマ性を持たせて、軸となるオリジナルストーリーを展開し、エンディングまで持ってきていました。おそらく、オリジナルストーリーの部分やエンディングは、漫画を読んでいる人にとっても納得のいくものではないでしょうか。こういう上手いエンディングをもってこられると、逆に原作者が厳しかったりして(笑)。

で、全体のストーリーもひとつのテーマに沿って展開しています。そのテーマ自体は、少々臭いなぁ、と思ったのですが(笑)、変に説教臭くなることはなく、不必要にテーマに深みを持たせることもせず、あくまでもギャグに徹したストーリー展開で、難しいことを考えず、素直に楽しめて、笑えて、少しだけ胸がキュっとなってしまうような、そんな映画でした。

あと、他のサイトとかでも結構指摘されていることなんですが、DMCのファンがいい味出していますね。まあ、原作でも、DMCのファンが話の流れを持っていく展開は多いのですが、その点も映画でもきちんと踏襲されています。松雪泰子の放送禁止用語バリバリの社長もおもしろかったし、加藤ローザもかわいかったし(ってか、相川さんに関しては、原作よりもよかったかも(笑))難しいことを考えずに、素直に楽しめる映画だったと思います。

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2008年9月27日 (土)

モーサムよ、何処へ行く??

Title:SING!
Musician:MO'SOME TONEBENDER

SING!

今回のアルバム、おそらく、CDプレイヤーのプレイボタンを押した直後に、CDを間違えたのか?と思うかもしれません。ガレージパンクバンドのアルバムを入れたはずなのに、聴こえてくるのは、ニューウェーヴテイストのポップソング・・・しかし大丈夫です。これは紛うことなく、MO'SOME TONEBENDERのニューアルバムです。

以前から、エレクトロ路線の曲や、ポップ路線の曲も手がけていた彼らですが、今回の作品は、全面的にエレクトロやニューウェーヴ、そしてポップの路線で貫かれているアルバムになっています。1曲目の「シンクロニシティ」は前述の通りですし、ようやくバンドサウンドが表に出てきた「カクカクシカジカ」は、同時にテクノポップ色も強い作品ですし、「虹を架けて」では、スペーシーな雰囲気のシンセのサウンドが特徴的ですし、「アイドンノウ」は至ってポップな作風ですし・・・。

今回の作風の変化については、ファンの間でもどう捉えるかで意見がわかれそうです。正直言って、私には今回のアルバム、「迷走している」と感じられました。

確かに、primal screamやRADIOHEAD、そして日本のくるりみたいに、アルバムをリリースする毎にそのスタイルを変化させるミュージシャンも少なくありません。しかし、彼らは、新譜で、先駆的なサウンドやムーブメントを取り入れるか、新たな音を模索して実験しているかのいずれかを試みています。

しかしモーサムの新譜のスタイルは、決して先駆的なサウンドでも、新たな音への挑戦でもありません。そこに、方向転換の必要性は感じられません。また、それでは、いままで築いてきた彼らのスタイルは何だったのでしょうか?突然の方向転換は、彼らの、自分たちのスタイルへの自信のなさの表れように感じました。

ただ、本作が駄作か、といわれるとそうではありません。今回のアルバムでは、ポップなスタイルを取り入れたため、MO'SOME TONEBENDERというバンドが、実は非常に素晴らしいメロディーセンスを持ったバンドだ、ということに、あらためて気がつかされる作品になっていました。

そういうこともあり、本作は、今後活動を続け、何作か後に彼らのスタイルを確立したとしたら、この作品はに大きな意味を持ってくる「問題作」になる可能性がある作品です。しかし、このような方向転換をしたバンドは、そのままフェイドアウトして消えていってしまうケースが少なくありません。そのため、この作品は彼らにとって岐路と言えるかもしれません。

また、そのため本作の評価は非常に難しいです。この作品の出来、単独で考えれば★★★★。結局、迷走を続けフェイドアウトしていくのなら、バンド崩壊の序曲という意味で★★★。一方、バンドとしてのスタイルを確立し、その段階から見て、意味のある作品となれば、★★★★★。このアルバムの持つ意味は、今後の彼らの活動で決まってきそうです。

で、結局↓

評価:★★★★

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2008年9月26日 (金)

言葉の重さが響きます。

Title:戦場カメラマンの唄~鴨志田穣・西原理恵子ラストコラボレーション

鴨志田穣・西原理恵子ラストコラボレーション 戦場カメラマンの唄

西原理恵子という人気漫画家がいます。

破天荒な体当たりエッセイ的な漫画と、叙情的なストーリーを両立させる、おそらく日本でも唯一の漫画家で、「恨ミシュラン」や「ぼくんち」などの漫画をヒットさせています。最近では、毎日新聞に連載されている「毎日かあさん」が話題になったりしているので、名前はご存知の方も多いかと思います。

で、その旦那さん(だった)のが鴨ちゃんこと鴨志田穣氏。もともと戦場カメラマンとして活躍しており、西原理恵子との結婚後は、数々のエッセイ集や小説も手がけています。しかし、戦場カメラマンとして過酷な現実に直撃するうちに、アルコール依存症にかかり、その後、アルコール依存症は克服するものの、ガンをわずらい、昨年、42歳の若さでこの世を去りました。

そんな鴨ちゃんが、生前に残した詩に、ミュージシャンたちがメロディーをつけてリリースしたのが今回のこの作品です。CDブックの仕様となっていて、西原理恵子がイラスト&漫画を描いていて、鴨ちゃんに縁の深い人々や、この企画に参加したミュージシャンがコラムをよせています。

で、今回、このアルバムを聴いたのは、もちろん私自身が西原理恵子の熱烈なファンだから、というのが一番の理由だったりします(笑)。

さて、ここ数日で取り上げたソウルフラワーユニオンや、ONE DAY AS A LIONも、戦争に対して強烈なアンチのメッセージを送っています。しかし、リアルに戦場を見てきた鴨志田穣氏の書く歌詞は、誰の歌詞よりもリアリティーがあり、かつ重みがあります。

表題曲の「戦場カメラマンの唄」では、戦場で起こった現実をストレートに描写した後に

「知らなくていいんだ
見なくていいんだ
感じなくていいんだ
そのために撮るんだ」

(「戦場カメラマンの唄」より 作詞 鴨志田穣)

と締めくくります。あまりにリアリティーのある表現と、そして彼がなにより、戦場カメラマンという仕事に感じていた重みに、心が締め付けられます。

また、「苦しくなる」はアルコール依存症の現状を描く、こちらもユーモアを交えながらも、その実、重いナンバー。そして一転、子供たちへの愛情たっぷりな歌詞を親の視点で書いた「おおきくなあれ」「夢を追って」は、とても心が暖まる歌詞に仕上がっています。

そして妻(だった)西原理恵子への惜しみない愛情を歌った「大切な人」は、聴いていて恥ずかしくなるほどの最上級のラブソング。西原理恵子の漫画でも、二人の愛情はよくわかるものの、どこかぼかしたりちゃかしたりして書いているだけ(この歌詞のイラストでも、西原は舌を出しておどけてますしね)に、あまりに具体的な内容にもちょっとドギマギしちゃいます。

どれもあまりに私的な表現が強く、それだけにリアリティーがあり、ひとつひとつの言葉に重みを感じました。

そんな歌詞と対照的に、歌やアレンジは、特段の特徴もなく、あっさりテイストだったかも。ただ、それは、この歌詞を生かそうとした結果の選択だったのかもしれません。シアターブルックやおおはた雄一など豪華メンバーが参加しているだけに、どの曲もしっかりとしたメロディーとアレンジで、この歌詞をしっかりと受け止めています。そういう意味では、曲としては主張は薄めながらも、この鴨ちゃんの歌詞を生かすには、ちょうどよいバランスだったのかもしれません。

正直、鴨ちゃんと西原理恵子については、どーしても、既存のサイバラの漫画などを読んでいるかどうかで、この作品の印象がかなり変わるような感じがします。そういう意味で、個人的にはかなり気に入りましたが、サイバラのファンじゃない人に受け入れられるかどうかは少々微妙。そういう意味では、個人的には、このCDを聴く前に、「毎日かあさん」を読んでみることをお勧めします。サイバラの作品の中では、比較的癖が薄めですし、また、鴨ちゃんと西原理恵子や子供たちの関係もよくわかる作品なので・・・。

評価:★★★★

毎日かあさん カニ母編 Book 毎日かあさん カニ母編

著者:西原 理恵子
販売元:毎日新聞社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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2008年9月25日 (木)

ストレートな攻撃

Title:ONE DAY AS A LION
Musician:ONE DAY AS A LION

ワン・デイ・アズ・ア・ライオン

ついに、あのザック・デ・ラ・ロッチャが本格的に活動を再開しました!!

ザック・デ・ラ・ロッチャといえば、ミクスチャーロックバンドRAGE AGAINST THE MACHINEのMCとして、アンチ権力的を掲げ、攻撃的な歌詞で社会を切りまくっていました。

RAGE AGAINST THE MACHINE解散後は、ソロ活動が噂されながらも、単発で曲を発表したりはするものの、本格的な活動再開には至っていませんでした。

しかし、ここに来て、元マーズ・ヴォルタのドラマー、ジョン・セオドアとバンドを結成し、待望のニューアルバムをリリースしてきたのです。

そんなザックにとって久々のアルバムなのですが、RATMで権力を切りまくったあのするどい言葉のナイフは、全く錆びていませんでした。

実は本作、アルバム自体は8月にリリースされていたのですが、私が購入したのは先日。というのも、国内盤のリリースを待っていたのです。なぜか。やはりなんといっても歌詞を知りたかったから・・・。

もう、1曲目「WILD INTERNATIONAL」の冒頭から、彼らのONE DAY AS A LIONで伝えたい強烈なメッセージからスタートします。

"they say that in war that truth be the first casualty so i digin selector I the resurrector"
(訳 戦争の最初の犠牲者は真実だと人は言う だからセレクターをつなぐ、俺はよみがえらせる者)
(「WILD INTERNATIONAL」より 作詞 ONE DAY AS A LION 訳 新谷洋子)

例の911の事件以降、「テロとの戦い」という名前のもと、多くの真実が隠され、自由が剥奪されていきました。そんな今だからこそ、伝えるべきストレートなメッセージが、このアルバムには多く綴られています。

先日紹介したソウル・フラワー・ユニオンも、同じく、音楽で権力に立ち向かっています。ただ、SFUと彼らの大きな違いは、SFUは、歌で人々をつなぎ、みんなの力で権力に立ち向かっていくスタイル-だからこそ、彼らは祝祭の歌のもと人々を集め、踊らせ、そしてメッセージを伝えていきます。

一方、ONE DAY AS A LIONは、あまりに過激でストレート。いわばバクダンをかかえて、ホワイトハウスへ突っ込んでいく、といってもいいかもしれません。

また、肝心のサウンドの方なのですが、基本的にはザックのラップスタイルはRATMそのまま。あえていえば、RATMからトム・モレロのギターを抜いた感じ、といった感じでしょうか?

いや、RATMといえばトム・モレロのギタープレイも大きな売りなだけに、RATMとは大きく異なるという印象も受けるかもしれませんが。

ただ、ヘヴィーなドラムスの音に、シンセの音をかぶせ、その上にザックのラップがのるONE DAY AS A LIONのサウンドは、RATMと同様、リスナーをひきつけるには十分のグルーヴを感じさせます。むしろRATM以上にザックのラップが際立つようなスタイルかもしれません。

残念ながら、ザックの戦いはまだまだ終わらないみたいです。彼の歌が聴けるというのはうれしい反面、社会に悲劇がまだまだ残っている証拠。複雑な心境です・・・。

評価:★★★★★

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2008年9月24日 (水)

ベスト盤のヒットが続く

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週の1位はV6のニューシングル「LIGHT IN YOUR HEART」が獲得しました。前作はGReeeeNに阻まれ2位に終わったのですが、本作では見事1位を獲得・・・といっても、初動売上は前作とほぼ同じ8万枚。まあ、今週はチャートの谷間だったので・・・。

2位にはロングヒット中のミスチルが続き、3位にアンジェラ・アキ「手紙~拝啓、十五の君へ~」がランクインしています。アンジェラ・アキは、コンスタントに人気を確保していますね。

この曲はもともと「NHK全国学校音楽コンクール中学生の部」の課題曲として作られた曲らしく、その後、おなじくNHKの「みんなのうた」で放送され、今回のリリース。自身初のベスト3ヒットとなりました。

15歳の時の自分が未来の自分に向けて手紙を書くという内容なのですが、中学生に向けた曲なのですが、30を過ぎた自分も、というかこの歳だからこそ、グッとくるものがあります。純粋に歌の力を感じられる曲だけに、ロングヒットしそうな予感がするなぁ。

4位ナイトメア「Lost in Blue」。こちらはここ最近、ベスト10の常連になりつつあります。

以下、ポニョが5位にロングヒットを続けています。

そして8位以下3曲はいずれも初登場。8位Lil'B「キミに歌ったラブソング」、9位奥田民生「SUNのSON」、そして10位には斉藤和義「やぁ無情」と続きました。

Lil'Bは女性2人組ユニットなのですが、

「『キミに歌ったラブソング』はそれまでトップだったSpontania featJUJU「君のすべてに」を超える速さで着うた15万DLを達成した。」
(はてなキーワードhttp://d.hatena.ne.jp/keyword/Lil%A1%C7B

で、聴いてみたら案の定、「君のすべてに」や、青山テルマの「そばにいるね」と同じタイプの女性ボーカルのポップス+緩いラップのストレートなラブソングというスタイル。でも、「そばにいるよ」以降、ベスト10入りはするけど、中ヒット程度で終わっちゃうんだよなぁ。

奥田民生は、映画「コドモのコドモ」の主題歌で「SUNのSON」・・・こういうユーモアは彼らしいなぁ(笑)。

そして斉藤和義が10位にランクインしているわけですが・・・ベスト盤が予想外のロングヒットを記録し、その波にのるかのごとく、このシングルもCMで大量オンエアされていて、そしてついにベスト10入りしてきました。てか、調べ切れていないのですが、ひょっとしたら、これ、彼にとってシングルでははじめてのベスト10ヒット???そうだとしたら、すごくうれしいなぁ。ベスト盤と、このシングルで、斉藤和義というミュージシャンの素晴らしさがもっと広まればいいなぁ。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週1位はB'zのベスト盤第2弾「B'z The Best "ULTRA Tresure"」で、初動41万枚を売上げました。第1弾が初動56万枚なので、まあ、こんなところといった感じでしょうか。

今週は、あと2枚、初登場のアルバムが並んでいるのですが、どちらもHIP HOP。それも新旧HIP HOPミュージシャンが並んだ、といった感じで、8位は新人LGYankees「NO DOUBT!!!-NO LIMIT-」で、9位はベテランZEEBRAのベスト盤「The Anthology」がランクインしています。

結果、新人がZEEBRAの売上を上回りました。この結果だけで、「HIP HOPの世代交代??」なんてことは言えないでしょうが、ただ、今なお、勢のいい新人が次々とデビューしていますね。まだまだHIP HOP人気は続きそう。

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2008年9月23日 (火)

さあ、祝祭の歌を歌おう!

Title:カンテ・ディアスポラ
Musician:ソウル・フラワー・ユニオン

カンテ・ディアスポラ

約3年ぶりとなるソウル・フラワー・ユニオンのニューアルバム。

久しぶりの新譜とはいえ、その間、シングルをコンスタントにリリースしていたり、ベスト盤のリリースがあったり、ライブ活動を積極的に行っていたり、と、決してSFUとしての活動が停滞していたわけではありません。

それを示すように、本作も、聴いていて実に楽しく、踊れる曲やハッピーになれる曲の並んだ傑作になっています。

三線の演奏にアカペラが重なるイントロから、一気に高らかに鳴り響くホーンセッションがダンサナブルなリズムを奏でる「月光ファンファーレ」から、実に彼ららしい、祝祭色の豊かな、ダンスミュージックからスタート、アルバムへの期待がいやおうなしに高まります。

ただ、その後に関しては、いままでのアルバムに比べて、チンドン色が薄く、ワールドミュージックの色合いが強い、少々垢抜けた印象すら感じる内容になっていました。

カントリー風の「道草節」や、中東の雰囲気の漂い「パレスチナ」、さらにはインスト曲の「朝ぼらけ」は、ジャズのテイストも感じるほど。民俗音楽的な「泥臭さ」はそのままなのですが、日本の下町テイストは「泥臭さ」は薄れていたように感じました。

あ、それがいいとか悪いとか、という話ではないのですが。

一方、彼ららしい反骨精神や社会風刺は本作でももちろん健在。

ストレートな社会風刺ソングの「国境線上のカルナバル~ヒャクショウ・ソウル」や、沖縄の米軍基地建設への反対運動に向けて歌った「辺野古節」など、彼ららしい骨太の社会批判の曲も並んでいます。

かと思えば、「もっとおっぱい」みたいにユニークな曲が続いていたりするのもまた、SFUらしさ、といったところで(笑)。

祝祭の歌が響き渡る傑作アルバム。ライブも文句なしで楽しそうだなぁ。

評価:★★★★★

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2008年9月22日 (月)

ポニョ

すいません。会社で飲んでいて、今、帰ってきました。

そんな訳で、今日は簡単に更新を・・・(^^;;

で、たまには音楽ネタ以外も、ということで。

先日、最近話題の宮崎駿監督作品「崖の上のポニョ」を見てきました。

感想を一言でいうと

ポニョ、かわいい~~~

(笑)。

なんか、映画の中には、いろいろな伏線らしくものや、意味深なシーンがちりばめられているのに、それが何一つ回収されず、映画が終わってしまいます。一応、ラストはハッピーエンドで。

あまりに意味ありげなシーンの多さに、見ている側は(特に大人は)とまどってしまうのですが、ひょっとしたら、宮崎駿は、あえて意味深なシーンを見せておきながら、メインとなるストーリーを単純にすることによって、最近、ネット上で増えつつある「自称映画評論家」たちに(ってか、自分もある種同類なんですが(^^;;)、「そんな意味深なシーンを無理に解釈して捕らわれるな。素直に『ポニョ、かわいい』でいいじゃないか」と言っているのでは?とすら思ってしまいました。

あと、印象的だったのが、映画のエンディングで、誰一人、席を立たなかったこと。多分、みんな、「ポニョ」の歌を聴きたかったんでしょうね。音楽の力ってすごいなぁ(←このあたりが音楽ネタ)

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2008年9月21日 (日)

やはりブライアンは天才だ!

Title:That Lucky Old Sun
Musician:Brian Wilson

That Lucky Old Sun

なんかさ、60年代や70年代に一世を風靡したベテランミュージシャンが、久しぶりに新譜を出したら、ミュージックマガジンとか、レコードコレクターズあたりで絶賛されていたりすると

「け、おやじの思い入れで曲を評価するのはやめてほしいなぁ」

なんて斜めに見てしまう素直じゃない私なのですが

この作品は間違いなく傑作です!!

まあ、個人的にビーチボーイズのファンだから思い入れもあるんですが(^^;;往年のビーチボーイズを、それも「The Beach Boys Today!」や「Summer Days」あたりを彷彿とさせるこの特上のポップアルバムは、手放しで絶賛できる傑作だと思います。

最初、Brian Wilsonのボーカルが流れたところは、あまりの渋さに「どこのジャズシンガーだ?」と思ったのですが、その後は、この世のものとは思えない、美しい音の重なりにただただ感嘆するばかりでした。

天才Brian Wilsonは、バンドがどのような音を出すべきなのか、すべてわかっていて、普通の人が聴くと調子はずれの音でも、完成してみると、その音もしっかりと曲を構成する一部になっていたそうなのですが、いまでも天才の耳には、この音が鳴り響いているんだなぁ、と思うと、素直に感動してしまいます。

ポップソングが好きなら、必聴。あ、あとビーチボーイズ好きにも文句なしにお勧め。このアルバムには、かなりはまってしまいそうです。

評価:★★★★★

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2008年9月20日 (土)

心地よいノイズが楽しめるが・・・

Title:The Hawk Is Howling
Musician:MOGWAI

The Hawk Is Howling

静かなピアノの音からスタート。しかし、その後徐々にバンドの音が加わっていくものの、静かな雰囲気が楽曲全体を締める。そして音は増えていき、最後は轟音のホワイトノイズが響き渡る・・・。

MOGWAIの新作は、1曲目「I'M JIM MORRISON,I'M DEAD」(しかしすごいタイトルだな)で、このようなスタートとなります。静と動が融合したようなナンバー・・・その後も、そんな轟音のホワイトノイズに身をゆだねたかと思えば、ふと美しいメロディーや音が流れる・・・攻撃的でありながらも、同時に甘美的でもある・・・そんなアルバムでした。

攻撃的な轟音で展開する「BAT CAT」や、逆にポップな雰囲気が魅力的な「THE SUN SMELLS TOO LOUD」など、魅力的なナンバーが並び、このアルバムを盛り上げる

・・・

はずなんだけどねぇ。

素直に、「このノイズが心地いい!!」と叫びたいところだし、事実、気持ちいいのは間違いないんですが、なんか、後半にいけば行くほど、既にどこかで聴いたことあるような、と思っちゃうんですよね。

や、パクリとかじゃなくて、どーしても、ポストロックとか「実験的」な音って、最初は新鮮なんだけど、その後の曲のクオリティーがどんなによくても、似たタイプの音だと、どうしても最初の衝動に勝てないんですよね。

悪いアルバムじゃないと思うんですけどね。正直、後半はちょっと聴いていてだれちゃった。ライブだと、それでもなお、素直にノイズの心地よさを楽しめるのかもしれないけど。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

PLANET EARTH/PRINCE

こちらはかなり素直なポップス路線を追求した作品。聴きやすく、ポップでメロディアスな曲が多く、いい意味で、広い層の支持を得そうな佳作。

評価:★★★★★

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2008年9月19日 (金)

音楽の好奇心をそそられます。

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先日、近くのブックオフで、中村とうよう「ポピュラー音楽の世紀」をみつけたので買ってきました。

20世紀を、「ポピュラー音楽の時代」と捉えた上で、概観的にポピュラーミュージック史を取り上げた作品。特に、脱アメリカ的な視点で書かれていて、非アメリカの民族音楽が、いかにポピュラー音楽に多大な影響を与えたかを、様々な視点より力説しています。

ジャズ、ロック、ソウル、HIP HOPなど、アメリカ中心で展開されがちなポピュラーミュージック史において、彼の観点は非常に興味深く、音楽ファンとしては好奇心をくすぐられます。特に聴いたことない音楽のジャンルには興味がそそられ、これをきっかけに、様々なワールドミュージックにも手を広げたくなってしまいました。

ただ、アメリカ的な大規模消費を前提とした商業音楽を完全否定してしまっているのは少々疑問点も。まあ、本作ではあえてアメリカの商業音楽をはずした部分もあるのですが、大規模消費を前提とした商業音楽が支持された、というのも、ポピュラー音楽としては大きな意味を持っている事実だと思うのですが・・・。単純なアンチ資本主義的な構図には少々疑問を持ちました。

また、クラッシック音楽を「芸術音楽」として、ポピュラー音楽と完全に分離させて語っているのも少々疑問が。いわゆるクラッシック音楽も、ポピュラー音楽と密にからむような部分もあるので、必ずしも、ポピュラー音楽と完全に別個のものと切り捨てられないと思うのですが。

ただ、以上の点をのぞいても、とても興味深く読める本だと思います。しかし、残念ながら、現在、廃刊状態みたいですね。もっとも、中古書店では、比較的容易に手に入ると思うので、いろいろな音楽に興味を持つ音楽ファンにはお勧めの作品だと思います。

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2008年9月18日 (木)

向井秀徳暴走中??

Title:ZAZEN BOYS 4
Musician:ZAZEN BOYS

音のあまりの緊張感から、CDをじっと聴きながら動けなくなってしまったアルバムは久しぶりです。

シンセによる電子音が全快のどしょっぱな「Asobi」から、このアルバムが、いままでのZAZEN BOYSとは全く違う一歩を踏み出した、ということを否応なしに感じさせてくれます。

「The Drifting/I Don't Wanna Be With You」や、(ちょっとレイハラカミっぽい部分もある)「Sabaku」などが特に顕著なのですが、全体的にシンセの、それもスペーシーな音作りが展開される曲が多く、どこか80年代のニューウェーヴテイストも感じされる部分もある本作。向井秀徳の現段階での興味のありかが如実に感じられるのですが、バンドサウンドよりもあまりに打ち込みのサウンドが目立つ本作は、ZAZEN BOYSというバンドよりも、向井秀徳の作品、ということを強く感じる作品になっていました。

そういう意味では、少々向井秀徳が暴走気味では?とも思える作品なのですが、その暴走をしっかり許容し、包み込めるだけのバンドとしての実力もしっかりと感じることが出来ました。

「Weekend」のギターや「Idiot Funk」のドラムスの、そのあまりにファンキーなリズムに耳が釘付けになりましたし、特に「Taratine」で感じるバンドの緊迫感がすさまじい。いまのZAZEN BOYSのバンドの中の空気が、メンバーそれぞれの個性がぶつかり合い、緊張感を保っている状況なんだなぁ、ということが曲を通じて嫌というほど感じられます。

おそらく、バンドとしての受け皿がしっかりしているからこそ、向井秀徳が暴走できるのではないでしょうか。ZAZEN BOYSのいままでの3枚のアルバムから、次の一歩に到達した傑作だと思います。

評価:★★★★★


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ちなみに今回のアルバム、タワーレコードで買うと、先着で、「ZAZEN BOYS 4」の完成の前段階の音源や、このCDのためのスタジオセッションの音源を集めた「Matsuri Session Basement Tages」がついてくるのですが、私ももちろん、発売初日でタワレコで購入!このCDを無事入手しました。

こちらもかなり充実した内容。このCDのためのセッションも魅力的なのですが、「ZAZEN BOYS 4」に収録された曲の原型となっている「Honnojiの原型」「Asobiが生まれた瞬間」など、かなり興味深く魅力的。ダイヤの原石のような・・・磨かれていない、独特の輝きを感じさせる作品です。

ただ、この手の企画を、他のレコード屋でもやっているみたいで・・・思わず複数枚買いそうになったけど(笑)、でも、これじゃあ、ジャニーズ系のアイドルと同じ売り方で、ちょっと残念。CDの内容がとてもよかったけど、手放しでは喜べない企画だなぁ。

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2008年9月17日 (水)

休み明けの新譜ラッシュ

8月は、夏休みがあったり、7月以前に夏フェスに向けて大物の新譜が出た影響などもあり、新譜が極端に少なかったのですが、今週はいままでの反動か、新譜が一気にランクインするにぎやかなチャートとなりました。

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

しかし、そんな新譜ラッシュの中、シングルチャートではMr.Children「HANABI」が見事2週連続の1位を獲得しています。これは今年を代表するロングヒットとなるのでしょうか?

で、以下は7位まで新譜がずらり。

2位GLAY「紅と黒のMATADORA」
3位UVERworld「恋いしくて」
4位大塚愛「クラゲ、流れ星」
5位中川翔子「続く世界」
6位DIR EN GREY「GLASS SKIN」
7位木村カエラ「マシュタッシュ」

ちょっと気になるのが、GLAYの2位。ドラマ+映画タイアップとはいえ、ドラマは深夜ドラマだし、映画もまだ公開前だし、決してタイアップに恵まれていないとはいえ、2週目のミスチルにも負けるってのは厳しいなぁ。90年代の人気ミュージシャンの多くが、いまなお高い人気を保つなか、GLAYの落ち込みぶりが少々気になります。

UVERworldがノンタイアップでこの位置というのはビックリ。そんなに人気があるんだ・・・。また、中川翔子もなにげに人気がありますね。最近、ヒットチャートの常連になりつつあります。

もう1曲。10位に初登場がSuperfly「How Do I Survive?」。デビューアルバム「Superfly」が、シングルでベスト10入り未経験なのにチャート1位を記録した、として話題になりましたが、本作で、シングルでも初のベスト10ヒットを獲得しました・・・が、初動1万枚でギリギリ10位って・・・なんでここまでシングル売れないんだ?


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

先週まで6週連続1位の安室奈美恵がついに、5位までランクダウン!その安室奈美恵を押しのけて1位を記録したのが、先週もお伝えしたとおり、予想通り浜崎あゆみのベスト盤「A COMPLETE~ALL SINGLES~」でした。

初動売上53万枚。まあ、去年発売された「A BEST 2-WHITE-」が初動47万枚で、その記録を超えたので、面目躍如といった感じでしょうか?

で、以下4位までは初登場がズラリ。それも2位3位はともに洋楽で、2位がR&Bの人気シンガーNe-Yo「イヤー・オブ・ザ・ジェントルマン」、3位がヘヴィーメタル界の大御所、メタリカ「デス・マグネティック」が並んでランクインしています。えっと、同じ洋楽のくくりで並べて書いていますが、おそらく両者の距離は、太陽と冥王星くらい果てしなく遠いものと思われます(^^;;

4位にはスガシカオ「FUNKAHOLIC」がランクインしています。これでデビュー以来12作連続のベスト10入りで、男性ソロシンガーとしては尾崎豊と並んでタイ記録らしいです。また「男性ソロとしては」で「デビュー以来」なんてニッチな記録を仰々しく持ち上げるのがいかにもオリコンっぽいんですが(笑)、そんなに人気があったのか、とちょっと意外な感じも。ただ、スガシカオのコメント「今週からはキングオブファンク改め、キングオブ男性ソロを名乗らせていただきます(笑)」ってのは、あきらかにニッチな記録を大げさに扱うオリコンを皮肉ってるよなぁ。

7位ランクインはオムニバスアルバム「キミとのうた」。この手のオムニバスアルバムがちょっとしたブームになっているなぁ。

9位に女性へヴィメタバンド陰陽座「魑魅魍魎」がランクイン。初のベスト10ヒットです。ちなみにタイトルは非常に難しい漢字が並んでいるのですが、普通名詞なので、頭の悪いIMEでも一発で変換できたのが、ちょっと感動(笑)。

最後。10位には、ビーイング系の女性ボーカリスト、上木彩矢「Are you happy now?」がランクイン。1st 5位→2nd 7位と下降線。初動売上は前作1万4千枚に対して、1万1千枚と微減程度だけども、ビーイング系の傾向からいって、そろそろ広告宣伝費が一気に削られて、一気にフェイドアウトしてしま雰囲気が・・・。

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2008年9月16日 (火)

ポップスの新たな可能性

Title:Re:Package
Musician:livetune feat.初音ミク

Re:Package(初回限定盤)

ちょっと普段とは色合いの違うアルバムなのですが、気になるアルバムだったので聴いてみました。

なにが気になったか、というと、このアルバム、「初音ミク」という音声合成ソフトを全面的に使用したアルバムである、ということ。音声合成ソフト自体は、例えばRADIOHEADのアルバム「OK Computer」の中の「FITTER,HAPPIER」で使われているように、CDに使われた前例はいろいろあるでしょう。ただ、ボーカルのかわりとして、全面的に使用された例は、メジャーレーベル発売のCDとしては、ひょっとしたらこれがはじめてではないでしょうか。

また、livetuneというミュージシャンは、「同人音楽」というジャンルから出てきたミュージシャン。おたく系、アキバ系の流れから出てきた音楽ムーブメントで、少々内輪受け的な部分が否めないにしろ、興味深い流れだと思います。

実際、このアルバムにしても、テクノやエレクトロニカ、テクノポップなどの要素を上手くミックスし取り込んでいて、メジャー盤なので当たり前なのですが、プロとして十分なレベルに達しています。初音ミクのアニメ声からくる一種のおたくっぽささえ気にならなければ、テクノリスナーでも十分傾聴の値のあるアルバムだと思います。

そういう評価を前提として・・・

ただし、本作を音楽的な側面だけで評価するのなら、「ポップで聴きやすく、テンポのよいリズムは心地いいんだけども、個性があまり感じられない平凡な作品」になってしまいます。特に音の使い方に独創性が感じられず、これでもかと音を詰め込んでいるので、その音の壁が心地よい一方で、聴いていて、飽きが来るのも早くなってしまっています。もうちょっと緩急をつけた方がおもしろいと思うんですけどね。

以上、音楽の部分での評価。

以下、「初音ミク」の話。

「初音ミク」は、おそらくネットをやっている方にはおなじみの音声合成ソフト。ソフトによって、人工的に歌を歌わせることができるソフトなのですが、これは、ひょっとしたら新たなポピュラーミュージックの可能性を広げることになるのではないでしょうか。

というのも、演奏の部分はいままでも機械によって表現することが可能でした。しかし、ボーカルに関しては、サンプリング等の技法はもちいることは出来ても、どうしても基本的には誰かが歌う必要性がありました。

しかし、このソフトを使用することにより、ボーカル曲も含めて、本人が歌わなくても、ひとりで楽曲を完成することが可能になったわけです。これにより、宅録のミュージシャンの幅がグッと広がったのではないでしょうか。音声合成ソフトの進化によって、今後の音楽シーンに、新たな可能性が産み出された・・・少々言いすぎかもしれませんが、それだけすごい事実なのかもしれません。

残念ながら現状では、上記のようなアニメキャラが用いていたり、ボーカルがアニメ声だったりと、一般受けしずらいソフトではあるかと思うのですが、これがもっと一般受けするようなソフトが誕生すれば、この音声合成ソフトを利用するミュージシャンが一気に増えるかもしれません→Gacktが参加したソフトとか出てきているみたいなので、この手のソフトが増えれば、もっと音声合成ソフトを使ったCDも増えてくるかもしれないですね。

最後に。

さて、「初音ミク」ははたして人間のボーカリストにとってかわるかどうか、という話。Wikipediaでも「歌手の存在を脅かすのではないか」として、協力を拒否された旨の記述があるのですが、この手の音声合成ソフトが人間のボーカリストにとってかわることは、いくら技術がすすんでも、絶対にありえません。

いや、もし、そういうことが起き得るのなら、既に機械によって代替できる生バンドなんて、とっくになくなっているはずですしね。

なぜか。単純な話。ボーカルというのは、決して楽譜通り歌を歌えばいいわけではありません。音楽を自分なりに解釈して自分の感情を歌に加えるからこそ、歌というのは私たちに感動をもたらすのです。下手くそなボーカリストでも、人間である以上、全く歌に感情がこもっていない、というのはまずありえません。一方で、音声合成ソフトは、どうしても感動の部分は表現できません。実際、このアルバムの「椛」などは、かなり本物の人間の声に近く感じられます。しかし、感情が全くこもっていないために、技術としては感動しても、決して心に響くような歌声ではありません。

だからこそ、例えばドラえもんのような感情をもったロボットがあらわれない限り、人間のボーカリストが音声合成ソフトにとってかわらえることはありえないのです。

以上より。

評価は音声合成ソフトを使用し、ポピュラーミュージックの今後の可能性を感じさせるアルバムという点を考慮して。純粋に楽曲だけの評価なら、残念ながら★★★といった感じで、もうひとつふたつ、乗り越えるべき壁があるかも。ただ、いろいろな観点から、今後のミュージックシーンにおいて意味のあるアルバムだと思います。

評価:★★★★

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2008年9月15日 (月)

60年代ポップスが現在によみがえる??

Title:ROCKFERRY
Musician:Duffy

ROCKFERRY

イギリスで大ヒットを記録している話題の女性ボーカリスト。元スウェードのバーナード・バトラーがプロデュース、作曲を手がけたことでも話題になっています。

楽曲は、60年代風のブラックミュージックを、現代によみがえらせた感じ、といったところでしょうか。広い層に聴きやすいポップテイストにまとめあげられたソウルミュージックで、雰囲気としては、モータウンに通じるところがあるのかな?ただ、憂いをおびたジャジーな雰囲気が加わるところが、イギリスらしいといったところでしょうか。

最近、イギリスではこの手のシンガーのブレイクが続いているみたいで、グラミー受賞で話題となったAmy Winehouseといい、Adeleといい、今、アメリカでブラックミュージックの本流がHIP HOPだったり、HIP HOP色の強いR&Bだったりするだけに、「古き良きソウル」が逆にイギリスでブレイクする、という現象は皮肉的でもあり、ある意味、イギリスの音楽シーンらしいなぁ、と思ったりします。

さて、そんな中でブレイクしたDuffyなのですが、AmyやAdeleに勝るとも劣らない実力の持ち主でした。音的には、ちょっと棘のある(それがいいのですが)Amyに比べると、ポップステイストが強く、なによりもそのボーカルに強い魅力を感じます。優しく、でも芯の強さを感じさせるボーカルは、表現力も豊かで、曲の世界をより奥深いものにしているように感じました。

2匹目のどじょうどころか、3匹目のどじょうになりかねない立ち位置なのですが、それでも売れてしまう理由のわかるアルバム。むしろ、心へ響いたという意味では、Amy、Adele以上ではないか?とも思ってしまう傑作。日本では、ようやく近日中に国内盤が発売されるそうですが、これを機に、日本でも盛り上がってほしいなぁ。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

STRANGE FOLK/KULA SHAKER

再結成後、初となる8年ぶりの新作。インド音楽の影響をストレートに受けて話題となった前作と比べると、フツーのギターロックに回帰していて、ポップで聴きやすい内容。ただ、ところどころサイケデリックな雰囲気をかもしだしていたり、エキゾチック風なアレンジが顔を出したりと、前作の路線からの影響を感じさせる点もチラホラ。

評価:★★★★

無題/KORN

インダストリアルテイストも強くて、個人的には聴きやすかった印象。そこらへんは賛否あるみたいですが・・・。轟音の連続が、素直に耳に心地はよかったです。

評価:★★★★

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2008年9月14日 (日)

広辞苑なみの分厚さ

死ぬまでに聴きたいアルバム1001枚 Book 死ぬまでに聴きたいアルバム1001枚

著者:ロバート・ディメリー
販売元:ソフトバンククリエイティブ
Amazon.co.jpで詳細を確認する

書店の音楽コーナーに、かなりのスペースをとって鎮座ましましている一冊(笑)。

かなりの力作で、紹介されているアルバムは、ロックやソウル、R&B、ポップスあたりにとどまらず、ジャズやワールドミュージックなど、ポピュラーミュージック全般におよびます。

あまりにも紹介されているアルバムの量が多すぎて(笑)、何を聴いていいのかわからなくなりますが、音楽ファンとしては、パラパラ眺めているだけで、これも聴きたい、あれも聴きたい、死ぬまでに聴きたい!!となってしまいます。

残念ながら、翻訳を急いだためか、固有名詞はそのまま英語ですし、直訳が多く、少々読みにくいのですが、膨大な情報量は読んでいて全くあきません。

また、選ばれているアルバムが、日本のディスクガイドと微妙に異なる点もおもしろいかも。ここらへん、比較してみるのもおもしろいかもしれませんね。

ただ、ひとつ非常に残念なのは、これだけのアルバムが紹介されていながら、日本人のアルバムが皆無という点(オノ・ヨーコはいるけど、彼女は・・・)。YMOも少年ナイフも残念ながら取り上げられておらず、日本ではいろいろ言われているけど、やはり知名度が低いんだなぁ、と実感してしまいました。同じシリーズで映画のバージョンもあるのですが、こちらは、黒澤明はもちろん、小津安二郎や最近では宮崎駿など、日本人監督も取り上げられているみたいなんですけどね。残念な事実です。

お値段的には少々はりますが、音楽ファンとしては一冊持っていて損はない一冊かと思います。

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2008年9月13日 (土)

ちょっと「売り」に走っているような。

Title:SOFFet BEST ALBUM "ALL SINGLES COLLECTION"
Musician:SOFFet

SOFFet BEST ALBUM ~ALL SINGLES COLLECTION~(DVD付)

最近、mihimaruGTと組んでリリースしたシングル「スキナツ」がスマッシュヒットを記録し、このベスト盤も見事チャートベスト10入り。デビュー当初は「ブレイク最右翼」と目されていながらも、その後、伸び悩んでいた彼らも、ようやく灯りが見えてきたようです。

しかし、このベスト盤で聴いてあらためて感じるのですが、デビューシングル「君がいるなら☆」と、2ndシングル「がむしゃら凸凹大レース!?」のクオリティーがおそろしいほど高い・・・。ボサノヴァやソフトロックの要素を取り入れた音とHIP HOPをうまく融合させ、全く新しい音でありながらも、ポップにまとめあげています。

彼らは本当にこの時期にブレイクするべきでしたね。正直言うと、その後に関しては、どんどんとフツーのポップスにラップを加えただけのユニットになってしまっていきます。いや、現段階でも、彼らのポップスセンスやサウンドを作り出す実力は、数多いラップとポップスをむすびつけているユニットの中では、頭ふたつくらい出ていると思いますけどね。

最近の曲でも「東京ホタル」のように、ピアノの音の使い方がとても印象的で上手いなぁ、と思うような名曲もあるのですが、それこそスマッシュヒットを記録した「スキナツ」なんて、完全に売れることを狙いました、といった感じで(苦笑)。いや、ポップスユニットである以上、売れることを決して否定はしないのですが、デビュー当初の作品と比べると、もうちょっとがんばってほしいなぁ。

あと、もうひとつ気になるのが、「人生一度」「キグルミマスター」のような、平凡ながらも真面目にがんばっている人たちを見下しているような歌詞が目立つような気がします。こういう歌詞を書いていいのは、10代のうちまでだよ・・・他の歌詞に関しては、ユニークな物語性を持った歌詞も多く、印象にのこるものも多いだけに、いろいろな意味で経験をつんでほしいよなぁ、とおじさんは思っちゃうんですよね(^^;;

評価:★★★★★

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2008年9月12日 (金)

決定的ケミブラ入門盤

Title:Brotherhood
Musician:The Chemical Brothers

ブラザーフッド-リミテッド・エディション-(初回生産限定盤)

日本でも人気の2人組テクノユニット、The Chemical Brothersのベスト盤。5年前にベスト盤をリリースしたばかりで、少々ベスト盤のリリース間隔が短すぎるような気もしますが、その間にリリースしたアルバム収録曲ももちろん含めた、ケミブラ入門盤ともいうべき内容といった感じでしょうか?

オアシスのノエル・ギャラガーをフューチャーした「Setting Sun」のように、ロック色の強い作品から、「Star Guitar」のように、テンポのよいテクノ色の強いナンバーまで、様々なタイプの彼らの名曲が収録されています。概して、ロックテイストが強く、ビートの強い曲が多く、そういう点で、テクノリスナーに制限されない、ロックリスナーまで含んだ、幅広い支持を得ている理由がよくわかります。

収録されている新曲は2曲。「Keep My Composure」はSPANK ROCKをフューチャーした、HIP HOP色が強いナンバー。そして先行シングルともなった「Midnight Madness」は、テクノポップともいえそうな、テンポのよく疾走感あるナンバー。どちらもクオリティーが高く、特に「Midnight Madness」は今後の彼らの代表曲の1つになりそう・・・。

初回限定盤には、ボーナスディスクとして、クラブ用にアナログでリリースした「Electronic Battle Weapon」シリーズが初CD化されて収録されています。こちらはファンには必聴。ただ、ファンズアイテム的な要素が強いので、これではじめてケミブラを聴く人には通常盤でも十分かも?

ファンの方には初回限定盤を、入門盤としては通常盤を。決定盤ともいうべきベスト盤でした。

評価:★★★★★

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2008年9月11日 (木)

この快進撃はどこまで続く?

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週の1位はMr.Children「HANABI」が獲得。前作は、NHKの北京オリンピックテーマソングという好タイアップながらも、売上面では少々苦戦しましたが、こちらは、ドラマ主題歌というタイアップにも助けられて、初動26万枚と前作を大きく上回り、ぶっちぎりの1位獲得となりました。ちなみに彼らはこれで29作連続の1位だそうで、浜崎あゆみの記録まであと1作だそうですが、向こうはシングル、出しまくるからなぁ・・・(^^;;

続く2位はTOKIO「雨傘」。ここ最近、様々なミュージシャンとのコラボレーションでシングルをリリースしていますが、本作はなんと、椎名林檎が作詞作曲を担当!椎名林檎といえば、以前、ともさかりえに曲を提供していたのですが、他のミュージシャンに曲を提供するのは比較的珍しいのでは?ちょっと気になるシングルです。

で、3位に入ってきたGIRL NEXT DOOR「偶然の確率」は、avexが社運をかけて売り出しているシンガーらしく、広告をバンバンうちまくっているので、曲を聴いたり名前を聞いたことある方は多いかも。昔ながらのやり方で、曲もはっきりいえば、90年代末あたりのavexが出てきたころの音と何一つかわっていないような曲なんですが、それでも売れちゃうんですね・・・。こういう曲がいまだに簡単に売れちゃうあたり、ここ何年か、ミュージックシーンに大きな変化がない、ということなのかなぁ。

今週は、この3曲がベスト3に初登場として入ってきました。以下・・・

5位にはまだまだ強いポニョがランクイン。どうもあの歌が頭から離れないというのは万国共通らしくて・・・映画も大ヒットを記録していますが、曲もそれに勝るとも劣らないヒットとなっています。

そして初登場組はあと2曲。8位にくるり、9位にがランクイン。くるりは着実な人気といった感じで。このシングルは年内限定生産らしいので、気になる方はお早めに。


今週のアルバムチャート
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いや、本当にこの快進撃はどこまで続くんでしょうね。安室奈美恵のベスト盤「BEST FICTION」が6週連続で1位を獲得!これは1993年のドリカムのアルバム「MAGIC」以来、14年ぶりの記録だそうです。ただ、この記録も来週は、浜崎あゆみのベストという大物が待っているだけに今週で終りになりそう・・・残念。

アルバムもシングル同様、ベスト3が総入れ替え。2位はMONKEY MAJIK「TIME」がランクインしてきました。ここ最近、シングルの売上は下降気味ながらも、アルバムのヒットは正直ビックリ。初動順位は前作を上回り、シングル含めて最高位を記録しています。固定ファンがついてきた、ってことなのかなぁ。

で、3位も一部で話題となったSound Horizon「Moira」で、いわゆる「同人音楽」といわれるジャンルからメジャーデビューし話題となったミュージシャン。発売日は安室奈美恵のベストを上回る売上を見せるなど、人気のほどをみせています。

他には・・・

5位にTHE BACK HORN「パルス」がランクイン!なんと、オリジナルアルバムでは初のベスト10ヒットとなりました。このアルバムにも収録されている「罠」が、ガンダムの主題歌に採用され、シングルでベスト10ヒットを記録した影響でしょうか。この手のアニメタイアップって、往々にして曲にだけファンがついて、ミュージシャンに人気が還元されない傾向にあるのですが、彼らの場合、きちんとタイアップにあわせてファンが増加したってことなんでしょう。長らく、音楽ファンには注目を集めていたバンドなだけに、ブレイクはうれしいところです。

6位「コードギアス 反逆のルルーシュR2 Sound Episode 3」。ここは根強い人気といったところでしょうか。

また、10位には、イギリスのバンドTHE VERVE「FORCE」がランクイン!既に当サイトでも取り上げましたが、ブリットポップ期を代表する人気バンドが見事復活!ポップで胸にしみるようなメロディーラインは日本人受けしそう・・・RADIOHEADあたりが好きなら、気に入りそうなバンドです。気になる方は是非。

<追加>

THE BACK HORNのアルバムに関して、ベスト盤は既にベスト10入りを記録しているという指摘がありましたので、修正しました。申し訳ありませんでした。

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2008年9月10日 (水)

以前からずっとほしかったんだよなぁ~。

すいません。今日は会社が遅くなってしまったので、いつものヒットチャートコラムは明日更新ということで・・・。

で、私事なのですが、先日、新居に1,600枚収録のCDラックが到着しました!!

080726_17570001_2

 

いやぁ、以前からずっとほしかったんですよ~。これで大量のCDを整理できます。とりあえず、手近のCDをおさめてみました。

080726_18380001_2

 

もっとも、持っているCDはまだまだあるので、全部収納すると、あっという間に棚が埋まってしまうかも・・・(^^;;

でも、とりあえずは、棚に並んだCDを眺めながら、ちょっとうれしくなってくる今日このごろでした(笑)。

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2008年9月 9日 (火)

まさに私あたりの世代がターゲット

Title:クライマックス ロマンティック・ソングス

クライマックス ロマンティック・ソングス

90年代のヒット曲を集めたコンピレーションアルバム。最近多いよね、この手のアルバム。この時代に中高生だった世代が、ちょうど30代となり、金銭的に余裕が出てきて、懐かしさから買ってしまうんですね。ってか、まさに私あたりの世代がターゲットなわけです。

というわけで、ここに収録されている曲は、まさにリアルタイムで聴いていた世代。それなりの思い入れがあるナンバーも多く、懐かしさを強く感じながら聴いていました。

CHAGE&ASKACHAGE&ASKA『YAH YAH YAH』 このコンピレーションの冒頭を飾るのはCHAGE&ASKA「YAH YAH YAH」。どちらかというとチャゲアスのメガヒットといえば、「SAY YES」の印象が強いのですが、こちらも240万枚の大ヒットを記録しています。

ただ、このあたりから、「ロングヒットはしていないけど、売上枚数だけは妙に売れている」というケースが増えてきたような印象があります。要するに、今でもなお続く、売上のほとんどを初動で稼ぐというパターン。「YAH YAH YAH」も1位獲得は2週のみで、「SAY YES」に比べると、大ヒットしたなぁ、という印象はあっても、ロングヒットしたなぁ、という印象はちょっと薄いんですよね。この頃から、大ヒットシングルの売上のパターンが、今に似てきた印象を受けます。

BEST OF BEST 1000 WANDS

90年代のヒットシーン的に大きなブームといえば、ビーイング系ブーム。このコンピレーションでもWANDS「もっと強く抱きしめたなら」T-BOLAN「Bye For Now」TUBE「夏を待ちきれなくて」が収録されています。まあ、TUBEはビーイングブームで出てきたバンドではありませんが。

深夜のテレビ番組で、しつこいくらいにビーイング系のCMが流れまくり、Mステには毎週のようにビーイング系ミュージシャンが出まくり(「テレビには出ない」みたいによく言われていたZARDも、デビュー当初は、Mステによく出ていました)、一気にヒットチャートを席巻しました。

ただ事実上の全盛期はかなり短かったですね。1993年の5月にリリースされたZARDの「揺れる想い」あたりがピークだったけど、10月に出たWANDSのミニアルバム「Little Bit...」あたりで、「もう飽きたよね」という声があがっていたような。ほとんどの曲を織田哲郎が手がけた結果、似たような曲が多くなってしまった点。また、ミュージシャンをほとんど表に出さない戦略を取った結果、ミュージシャンにファンがつかず、固定ファンを確保できなかった点がブーム短命の理由でしょうか。まあ、その後も一応、WANDSの「世界が終わるまでは」とか大黒摩季の「ら・ら・ら」のようなヒットは続くのですが、一時期のような勢いは結局取り戻せませんでした。

ワークス -ザ・ベスト・オブ・TRF-

そんなあっという間に終わったビーイングブームに続いたのが小室系の一大ブーム。このコンピレーションでも、いまや、女優としてすっかり大成した篠原涼子が小室哲哉と組んだ「恋しさとせつなさと心強さと」と、trf「BOY MEETS GIRL」、そして華原朋美「I'm proud」が収録されています。ビーイング系はどちらかというと、泥臭いロック系の音が多かっただけに、小室哲哉の爽やかで、かつダンサナブルな電子音は、「新しい音」として強烈な印象を残しています。小室哲哉が曲に取り込んだ、ユーロビートのリズムやラップの手法などは、当時のヒットチャートの中では、かなり新鮮に映りましたね。小室系ブームはこのあと、安室奈美恵という大物の登場により、ビーイングブームよりは長くは続きましたが、結局小室哲哉ひとりに頼ったブームであったことから、これまた似たような曲が多くなり、衰退していくのはご存知の通りです。

このように、この当時って、ひとつのブームが起きると、似たような曲がチャートを埋め尽くしてして、ブームを模倣したミュージシャンが次々と出てくるんですよね。正直、「出逢った頃のように」が収録されているEvery Little Thingなんて、完全に小室系のパチモン的な感じで出てきたし・・・。

島唄

そんな流れから一歩はなれた位置にいたのが、このコンピレーションでいえばTHE BOOM「島唄」や、奥田民生「愛のために」でしょうか?PUFFY「アジアの純真」なども今から考えると、アンチ小室(この頃はもうビーイングブームは終わっていたので)みたいな位置付けだったのでしょうが、当時は、小室系と同じような売れ線のアイドルユニットって雰囲気だったような。ただ、アンチビーイング、アンチ小室の代表格といえば、間違いなくMr.Childrenとスピッツの2大巨頭(?)。90年代を代表するこの2バンドが、このコンピレーションに収録されていないのはとても残念です。

なんか、90年代のヒットシーンを簡単に語ってしまいました。上にも書いたとおり、ミスチル、スピッツが収録されていないし、同じく90年代の代表格といえるB'z、ドリカムが収録されていないという点では、90年代を語るにはかなり物足りないコンピレーションなのですが、それでも、この時代の空気は感じられるコンピレーションかなぁ、とは思います。

ただ、ひとつ強調したいのが、この手のコンピレーションが出るとよく語られがちな、「あの時代はよかった」的な意見。リアルタイムに聴いていた人間から言わせていただくと、今と比べて当時のヒットシーンの方がよかったなんて、口が裂けてもいえません。上にも書いたとおり、当時のヒットチャートは、ひとつのブームが起こると、似たような曲が埋め尽くされ、非常に均質化されちゃっていたんですよね。レコード会社側からすれば、とても売りやすいチャートだったのかもしれませんが。このアルバムに収録されていないだけで、つまんない曲もたくさんヒットしていましたし(ってか、このコンピレーションに収録されている曲が、すべてが名曲だとは思わないし)

ヘタすれば、ロックありHIP HOPありポップスあり、アニソンありビジュアル系あり(あ、そういえば、90年代のブームのひとつ、ビジュアル系のバンドの曲も収録されていないなぁ・・・)アイドル歌謡曲ありの今のヒットシーンの方がバラエティーがあってよっぽどおもしろいんじゃないかなぁ、とすら思います。

ま、そんな訳で、リアルタイムにこれらの曲を聴いていて、懐かしいなぁ、と思う方にはお勧め。今の中高生は興味があったら・・・という感じのコンピレーションです。でも、これからもこの手のアルバム、増えそうだなぁ。で、また、聴いちゃいそうだなぁ・・・(^^;;

評価:★★★★

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音楽の好みで性格がわかる??

ちょっとおもしろそうな記事だったので。

音楽の好みで、その人の性格がわかります
http://www.barks.jp/news/?id=1000043238

記事によると音楽の好みとその人の性格は密接にリンクしてくる、ということ。まあ、直感的には理解できる学説だとは思います。

ちなみに、ロックンロールのファンは

「自尊心が高く、とてもクリエイティヴ。勤勉で悠々としているが、あまり親切でも寛大でもない。」

だそうです。

自分は、記事の中のジャンル区分ではロックンロールのファンに近いと思うのですが・・・うーん、当たらずとも遠からずって感じかなぁ?

個人的には一番しっくりきたのがレゲエファンの

「自尊心が高く、クリエイティヴで外交的、親切で寛大でもあり気楽。しかし勤勉ではない。」

ファンの方には申し訳ないけど、そういうイメージだよね(笑)。

あと記事の中では、「クラシック音楽とヘヴィ・メタル・ファンに共通点が見られたのには驚いた」と書いているけど、なんとなくわかんないことはないけどね。

クラッシックもヘヴィーメタルも、技巧的で様式的な部分があるし、ロックとかラップみたいに、自分の感情を面に出すというよりも、音楽そのものの表現を追及している部分が多いという意味で、なにげに近い部分があるような気がします。

もっとも、クラッシックもヘヴィーメタルもそんなに詳しくないので、違っていたらごめんなさい。

個人的には、ジャズとかプログレとかのファンだとどうなのかなぁ、とも知りたかったりして。なかなか音楽ファンとしては興味のもてる学説でした。

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2008年9月 8日 (月)

生きている中で最高のラッパー

Title:THA CARTER III
Musician:LIL WAYNE

Tha Carter III

自称「生きている中で最高のラッパー」LIL WAYNE。ただ、その自称も決して出まかせではなく、実力、人気ともに自他共に認める一流のラッパー。このアルバムも初動で100万枚を超え、ビルボードチャートで1位に輝くなど、大ヒットを記録しています。

そんな訳で、以前から気になっていたのですが、先日、タワレコへ行ったら、国内版がリリースされていたので、購入。聴いてみました。(対訳がほしかったので・・・)

で、一通り聴いてみてまず感じるのは、バラエティー豊かな作風だよなぁ、という点。基本的には、今風のサウンドをベースとしているのですが、メロウな、雰囲気のあるトラックが多くて、HIP HOPリスナー層以外にも広くアピールできるような音に仕上がっていました。

特にBabyfaceとのコラボとなった「Comfortable」では、甘いbabyfaceのボーカルが重なった聴かせるナンバーがとても魅力的で本作の中で一番のお気に入りです。他にも、「Tie My Hands」では、ROBIN THICKEのボーカルが全面に出てきているポップな歌モノに仕上がっていて、HIP HOPが苦手な層でも無理なく楽しめそう。

また、ラストの「DONTGETIT」は、昔のボーカルジャズ曲がサンプリングされていて、全体的にも、ちょっと懐かしさを感じさせる楽曲に仕上がっていました。で、誰の曲だろうと思ったら、Nina Simoneというジャズシンガーの「Don't Let Me Be Misunderstood」という曲らしいです。こちらの曲も気になってしまいました・・・。

歌詞の方もなかなかユニークで、彼自らHIP HOPの指南役となり、スランプに陥ったラッパーの「医者」となる「DR.CARTER」や、とてもストレートにエロティック(というか下品(^^;;)な「LOLLIPOP」など(いろいろな意味で)楽しいナンバーがあるかと思えば、「TIE MY HANDS」では社会派な歌詞と、こちらもバラエティーに富んだ歌詞が楽しめます。

確かにこれは、全米で大人気なのも納得の1枚。まだまだ日本では知名度が低いラッパーですが、いまのうちに是非。

ただ、このアルバムの邦題のセンスのなさはなんとかならなかったんだろうか・・・誰がつけたんだろう、この邦題は??

評価:★★★★★

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2008年9月 7日 (日)

新しいものに挑戦し続ける難しさ

Title:ROCK ALBUM
Musician:iLL

ROCK ALBUM

元スーパーカーのナカコーのソロプロジェクト、iLLによるニューアルバム。

どーもねー。ぶっちゃけ、ナカコー、ソロになってから、駄作が続いて迷走気味なんで、このアルバムもほとんど期待していなかったんですよ。

でも、少なくともこのアルバム、最初の方はよかったんです。

「COSMIC STAR」は、ハードなギターサウンドと、重低音のビートを刻むドラムスの音がカッコよく、「ROCK ALBUM」と題された本作の幕開けにはふさわしいロックなナンバー。続く「Scum」も、四つ打ちのリズムに、ギターの音が乗る、ロックでダンサナブルなナンバーと続き、お、これは期待できるかも、と思わせました。

で、その後の、王道のギターロックともいうべき「Merry Dance」あたりまではよかったのですが・・・

その後は、残念ながらアルバムは、急速に失速していきます。

ポストロックだったり、あるいはプログレあたりからの影響を感じるような、「実験的」なインストナンバーがあったかと思えば、途中に、メロディー主体のギターロックナンバーも入るのですが、どれも重く、暗い雰囲気で、耳をひかれるようなものは皆無。あえてポップであることを拒否しているようにも感じました。

そして、これらの作品は、いずれも実験的な作風というスタイルをとっているのですが、どの曲もどこかで聴いたことあるようなスタイルばかりで、独自性がほとんどないんですよね。

それならそれで、もっとポップな路線に走ればいいと思うのですが(このアルバムの冒頭みたいに)、ポップな路線に走るでもなく、でも、実験的な音楽としても新鮮味がない、という「ROCK」というスタイルを取り入れながらも、ソロ活動後のiLLの欠点がそのまま引き継がれてしまった作品になっていました。

思えばスーパーカーも、デビュー作はジザメリ路線の承継だし、基本的に「誰もやったことがないこと」というよりも、洋楽の先駆的な音楽をポップに昇華した名曲をリリースしていたバンドだったんだよなぁ。ここらへんで、そろそろ、自分の目指すべき方向性をもっと考えたほうがいいのでは?そう感じてしまいました。

評価:★★★

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2008年9月 6日 (土)

今でもなお「輝きながら…」

先日リリースされた、徳永英明のベスト盤を聴いてみました。

徳永英明といえば、私が中高生の頃、アイドル的な人気を誇ったミュージシャン。高校生のころは、カラオケに行くと、必ず誰かが歌っていたなぁ。オーバーサーティーにとっては、男でも女でも、なんらかの思い入れがあるミュージシャンではないでしょうか。

で、まずはシングル曲を集めた「SINGLES BEST」

SINGLES BEST(初回限定盤A)

2枚組のベストなのですが、もうね、1枚目でおなか一杯(笑)。

全盛期の代表曲がズラリと並んだ1枚目は、どの曲も傑作続き。「レイニーブルー」「輝きながら・・・」「最後の言い訳」「壊れかけのRadio」「LOVE IS ALL」「I LOVE YOU」・・・・・・どれも高校生の頃、なんども聴いたなぁ。

あれから15年以上の日々が過ぎて聴いてみてあらためて思うのが、徳永英明って、クリアで丹精なボーカルといい、AOR風のメロディーラインといい、楽曲自体がとても大人びているのに対して、歌詞の内容が、ともすれば「恋に恋する」レベルの純愛だったり、一途な前向き応援歌だったり、中高生世代の心に響きそうな内容なんですよね。「壊れかけのRadio」なんて、ストレートに思春期世代へのメッセージソングですし。

こういうギャップがあったからこそ、大人の雰囲気を持ちながらも、自分たちの視点でメッセージを届ける彼に対して、絶大な人気があったのではないでしょうか。

ただ、残念ながらその人気も、「LOVE IS ALL」あたりを境に下降線となり、90年代後半は、ヒットチャートの上位から姿を消します。

そんな彼にとって、人気が低迷気味だった時期にリリースされた作品を収録されたのが、このベスト盤の2枚目。こちらは、1枚目の曲をよく知っている、という方でも、あまりなじみのない曲も多いのではないでしょうか。

ただ、楽曲の出来としては、全盛期から大きくクオリティーが落ちたとは思いません。特にメロディーに関しては、「永遠の果てに」「青い契り」など、全盛期に勝るとも劣らない名曲もリリースしています。ただ、歌詞に関して、狙う世代が少々上になったのか、以前ほどストレートに心に響いてこなくなったのも事実で、だからこそ、いまひとつ人気が低迷していたのでしょうか。

しかし、それでも熱烈なファンを確保していたからこそ、ここ最近、徐々に人気を取り戻し、「VOCALIST」シリーズで見事に復活。「happiness」では、史上最低初動売上という少々不名誉な記録がつきながらも、久々にベスト10に返り咲き、その後も人気を保っています。このベスト盤を聴くと、確かに2枚目は1枚目ほどの勢いこそ感じられないものの、いまなお人気を保っている理由がわかるような気がします。

で、もう一組聴いたのが、カップリング曲を集めた「SINGLE B-side BEST」

SINGLES B-SIDE BEST

こちらは、いかにも徳永英明という王道路線を集めた「SINGLES BEST」とは異なり、徳永英明というミュージシャンの別の側面を集めた曲が並んでいます。

例えばデジタルポップ風なアレンジの「ラバーズ」や、ロック風の「負けるな」など、少々毛色の異なる曲も聴けるのも、カップリング集ならでは。また、「奇跡のようなめぐり逢い」「愛の中から」など、アレンジが80年代を色濃く感じさせ、スタンダード的な人気を誇る「SINGLES BEST」以上に、時代性を感じさせる曲も収録されています。

しかし、この「B-side BEST」でも、「SINGLES BEST」に勝るとも劣らない傑作が聴けたりするからうれしいところ。特に「太陽の少年」など、全盛期の傑作と並べても、全く遜色ない傑作に仕上がっています。

今回のベスト盤に関しては、初回限定盤が2パターンリリースされるなど、ファンの散財を狙ったような、残念な売り方が目立ったり、「VOCALIST」収録の曲が、その初回限定盤にまわされ、本体に収録されなかったりと、少々残念な部分も目立ちました。しかし、それでもなお、彼の魅力をあますことなく感じることが出来る内容になっていたと思います。

全盛期をリアルタイムで知っているオーバーサーティー世代も、「VOCALIST」でファンになった方にも、聴いてみてほしいベスト盤です。

評価:
「SINGLES BEST」★★★★★
「SINGLES B-side BEST」★★★★

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2008年9月 5日 (金)

あらゆる音楽のごった煮

Title:ZERO
Musician:クレイジーケンバンド

ZERO

R&B、ソウル、歌謡曲、ハードロック、シティーポップ、レゲエ、ファンク、ジャズ・・・私が今回のアルバムの中で感じた音楽の要素をざっと並べてみました。いえいえ、これだけではありません。もともと、ありとあらゆる音楽をどん欲に取り入れて、独自の世界を築いている彼らですが、今回は、その傾向がさらに強くなった、まさに「音楽のごった煮」ともいえるアルバムになっていました。

特に前半は、世界中の音楽がひとつに凝縮されたような、ドロドロの濃さが展開されています。

フレンチポップ+歌謡曲風の「猫」に、インド音楽にジャズを加えたような「中古車」に、同じくインド音楽風の雰囲気にレゲエの要素を加えた「夏」。クレイジーケンバンド流ファンクともいうべき「蜂」に、ブラジル音楽の影響を感じる「島の娘」に、バリバリのハードロックが繰り広げられる「魚」と、ありとあらゆる音楽の要素を、クレイジーケンバンド流に調理した作品が続きます。

「人間摩天楼」「宇宙興業」あたりは、ムード歌謡曲風で、クレイジーケンバンドの王道といったところでしょうか。しかし、「福富町ブーガルー」あたりに至っては、昭和歌謡曲を飛び越えて、戦前の流行歌だよなぁ・・・。

こんな濃い展開が続く前半なのですが、後半はうってかわって、さわやかな今風のR&B路線に転換されます。

「音楽力」は、HIP HOPの要素も加わる、まさに今時のR&Bですし、「Smile Again」では、女性ボーカルをフューチャー。前半の濃さとはうってかわって、さわやかな路線へと突き進んでいきました。ここらへんは、前半とは異なるクレイジーケンバンドの側面を見事みせつけてくれています。

70分を超える、CD容量ギリギリのフルボリュームながらも、この濃さのため、聴いていてあっという間。そして、これだけいろいろな曲の要素を取り込みながら、すべてどこか和風にまとめあげていて、しっかりとクレイジーケンバンドとしてのひとつの主軸を作り上げていました。

ひょっとしたら、彼らの最高傑作かも?とまで思える傑作に仕上がっていた作品。前半の濃さゆえに、少々最初、抵抗感を持つ方もいるかもしれませんが、徐々にその世界にはまっていくようなアルバムだと思います。あらためてクレイジーケンバンドのすごさを感じた作品でした。

評価:★★★★★

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2008年9月 4日 (木)

原曲に忠実ながらも自分らしい味付けで

Title:MY LOVE
Musician:bird

MY LOVE(初回限定盤)

birdが、さわやかなサマーチューンを中心に選曲、カバーした、カバーアルバム。

松田聖子からスタートし、Kinki KidsにCHEMISTRY、ユーミンにスピッツ、さらにはフリッパーズギターと、ポップスを中心に、どの曲もおそらく多くの方が聴いたことのあるヒット曲ばかりがずらりと並んでいます。

そしてどのカバーにも共通していえるのは、基本的に原曲に忠実なカバーがほどこされているという点です。

例えばパーフリの「恋とマシンガン」の印象的なイントロなどもそのまんまですし、ユーミンの「Hello,my friend」にしても、歌い方にもユーミンを意識した点が見られました。

そんな訳で、原曲のイメージを大幅に逸脱したカバーがない一方、どの曲も、birdらしい、ブラジル音楽、オーガニックソウルのテイストをほどこしたアレンジでカバーされています。

おそらく、曲を選んだ段階で、オーガニックソウルのアレンジがピッタリと来るような曲を選んだのでしょうね。bird独自の斬新な解釈とかがない点は少々残念なのですが、birdらしさを味わいながらも、原曲のファンも聴いていて納得できるようなカバーアルバムに仕上がっていたと思います。

まだまだ残暑が続く今日このごろ。さわやかな曲を聴きたい方にはピッタリの1枚です。

評価:★★★★

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2008年9月 3日 (水)

いろいろ記録づくめ?

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週のシングルチャート1位はKinki Kidsのニューシングル「Secret Code」でした。これで、デビュー以来27作連続1位というギネス記録を更新したそうです。

で、続く2位はL'Arc~en~Ciel「NEXUS 4」で、1位が初動18万枚に対して、こちらも初動10万枚と、週によっては1位を狙える枚数。てか、ラルク相手なら十分勝てると踏んだわけですか>Kinki Kids ラルクもなめられたなぁ(苦笑)。で、これで勝てないまでも肉薄したらおもしろかったんですけどね。

他には・・・

4位Acid Black Cherry「20+∞Century Boys」。ここらへんは固定ファンを中心に、手堅い支持といった感じか?

5位に悲愴感がランクインしています。フジ系バラエティー「はねるのトびら」から生まれた、人気アイドルユニット羞恥心のパロディーユニットですね。なんか、テレビの企画物の、これまたテレビの企画としてのパロディーって正直どうなんでしょう?以前、同番組から、サンボマスターのパロディー企画をやったところ、本人たちから抗議が来た、という出来事があっただけに、自社テレビ番組企画のパロディーという安牌を選んだってことでしょうか。

湘南乃風「恋時雨」。前作と同様、6位にランクイン。ここらへんの順位で人気が固定といったところか?

AAA「MUSIC!!」は9位にランクインしています。前々作「MIRAGE」が1位を獲得しているから、かなりランクダウンだな、と思いきや、この「MIRAGE」が初動2万5千枚で1位という、史上最低記録という不名誉(?)な記録で1位になっているんですよね。で、本作は初動2万3千枚、ということはほとんど動いていないということで・・・。

そして10位、ギリギリにランクインしたのがEvery Little Thing「あたらしい日々」でした。ここ最近、9位やら10位やら、ベスト10に入ってはくるのですが、ギリギリの順位を維持しています。それでもベスト10入りを維持できるだけ立派なのですが、そろそろ、勝負をかけないと、危ないところまで来てしまった感が・・・。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

「記録づくめ」と書いたのですが、興味深い記録はシングルチャートよりもアルバムチャートの方で、まずは今週1位。なんと、安室奈美恵「BEST FICTION」が5週連続で1位を獲得しました!なんと、GLAYのベスト盤以来、11年ぶりの記録だそうです。なんか、「完全復活」どころか、以前の人気をしのぐほどの勢いになりそうですね。すごい・・・。

そして、もうひとつ興味深いアルバムが、5位にランクインしたlivetune feat.初音ミク「Re:package」でしょう。「初音ミク」というのは、ネットをやっていれば、おそらく名前くらいは聴いたことあるかと思います。一部で話題となっている音声合成ソフトなのですが、この作品は、そのソフトを利用してランクインしたはじめてのアルバムということになります。

このアルバムがランクインしてきた、ということは、実は音楽シーンの中で意義深いことなのではないでしょうか。要するに、楽器だけではなく、ついにボーカルですら、人工的に作り出されたものが、アルバムとしてリリースできるだけの商品として産み出された、という点は、今後の展開次第では、音楽の幅を広げる可能性がある技術なのではないでしょうか。

残念ながら、まだまだ一部の「オタク層」のみでの盛り上がりであり、かつ、このソフトにしても、「オタク層」受けを狙っているだけに、初音ミクというソフト自体の広がりには限度があるでしょうし、また、人工音声についても、まだまだ人間の声と比べると、大きな差があるのは事実。ただ、この技術が進歩することにより、音楽、特にエレクトロミュージックのシーンにあらたな可能性が生まれてくるかもしれません。そういう意味では、意義深いヒットといえるかもしれません。

他に・・・3位にDJ MAKIDAI「Treasure Mix」がランクイン。誰かと思えば、EXILEのメンバーなんですね。DJとしても活動しているそうで、そんな彼のDJ Mix盤。R&B系のメジャーなミュージシャンの曲がずらり。EXILEのファンが、これを聴いて、音楽の幅を広げてくれたらうれしいのですが。

また、7位には、いろいろと話題のRSPのアルバム「DICE」がランクインしています。

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2008年9月 2日 (火)

本格的な復活となるか?

Title:FORCE
Musician:the verve

昨年、突然の再結成を発表し、サマソニで、初(!)来日。そして、ついに11年ぶりとなるニューアルバムをリリースした、イギリスのロックバンドthe verveの新作が本作。

the verveといえば、ブリットポップの代表的バンドの一組で、その11年前にリリースした「Urban Hymns」は、いまでも高い人気と評価を得ているだけに、このニューアルバムにも大いなる期待が集まりました。

私にとって、ちょうど洋楽にはまっていろいろ聴き始めた時期がちょうどブリットポップ全盛期。blurとかoasisとかに思い切りはまったわけですが、ただ、残念ながらthe verveに関しては、「Urban Hymns」こそ聴いたものの、そんなにその当時ははまっていたバンドではありませんでした。

しかし、今回、この新作を聴いて感じるのは、率直に一言。「いい曲を書くバンドだなぁ」ということでした。

ブリットポップ期のblurみたいな、アップテンポな明るい曲を書いているわけではありませんし、oasisのように、シング・ア・ロング的な盛り上がる曲を書いているわけでもありません。ただただ淡々と、ダウナーな雰囲気の曲を書き綴っているのですが、妙に心にひっかかる、そんな曲を多く聴かせてくれます。

本作で言うと、先行シングルとなった「LOVE IS NOISE」は、まさに、今後の彼らの代表曲になりうる、心に確実にひっかかる名曲ですし、ラストを飾る「Appalachian Spring」も、世界観の広がりを感じさせる雄大なバラードに仕上がっています。全体的に、曲に空間性というか、奥深さみたいなものを感じるのも、彼らの大きな魅力と言えるかもしれません。

これで2度目の再結成となる彼ら。今度こそは本格的に活動を再開してくれるのでしょうか?また、これからも名曲を多く作り続けてくれることを期待したいところです。

評価:★★★★★


UNDERCLASS HERO/SUM41

勢いのあるパンキッシュなポップスの連続。よくも悪くもいつもの彼らといった感じで、素直に楽しめるアルバムだと思います。

評価:★★★★

KALA/M.I.A.

前にも書いたことがあるのですが、よく新人シンガーに関して、話題になった1枚目よりも、その次のアルバムの方が気に入ることがよくあり、THE STROKESもArctic Monkeysもそうだったのですが、彼女に関してもそう。

アフリカ風のビートや、HIP HOPにエレクトロニカの要素が加わった、まさに独特といわざる得ないサウンドの世界が、前作より、よりまとまって、ポップになって楽しめる傑作だと思います。今後の展開が、ますます楽しみになってくる作品でした。

評価:★★★★★

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2008年9月 1日 (月)

失った人気を取り戻せるか??

Title:Color Change!
Musician:Crystal Kay

Color Change!(初回生産限定盤)(DVD付)

個人的に残念なことなのですが、ここ最近、どうしたんだ、というほど、Crystal Kayの人気が急降下してしまっています。

前作「ALL YOURS」では、初のチャート1位を獲得し、その高い人気を見せ付けたにもかかわらず、その後リリースされた「Shining」は企画盤とはいえ、最高位21位と一気に低調になり、この作品も最高位8位と、少々元気がありません。

「ALL YOURS」は、かなり本格的なR&B志向だっただけに、それ以前のポップス志向をもとめるファンが離れてしまったのでしょうか??

しかし本作では一転、以前を髣髴とさせる、ポップス志向の路線に復帰しています。

というよりも、ポップなメロディー、R&Bなサウンドをベースに、様々な路線に挑戦した作品と言えるかもしれません。

1曲目「涙のさきに」から、ギターサウンドからスタート。ロックテイストを加味したような曲からスタートしていますし、「帰り道」では、和風テイストの曲を歌い上げています。また、「It's a crime」では、テクノポップ風の曲にもチャレンジ。様々な作風に挑戦しています。

一方で、「I Can't Wait」では、あのJam&Lewisを作家陣にまねき、かなり本格的なHIP HOP/R&B路線にも挑戦し、シンガーとしての実力をみせつけたかと思えば、一方では、「ONE」「Good Times」は、聴きやすいR&B風のポップス。幅の広い層にアピールできる曲風に仕上げています。

個人的には、彼女らしい、ポピュラリティーと実験精神を両立させた、よく出来た傑作だったと思います。ただ、厳しい視点から見ると、少々迷走気味、とも見えちゃうかも?前作の評判がいまひとつだったので、元の路線に戻した、とも捉えかねられないかもしれません。「Color Change!」というタイトルからして、迷走気味な今の状況をあらわしている、とも捉えることが不可能ではありません。

そういう意味では、次の作品が彼女にとって重要な意味を持っているかもしれませんね。今後のCrystal Kayはどの路線をとるのか、明確に示す意味でも、また、この作品で失った人気を取り戻せたか、という意味でも、次の作品は注目したいところです。

ただ、この作品だけで言えば、個人的にはいい作品だと思うんですけどね。

評価:★★★★★

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