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2008年8月 5日 (火)

電子音なのに暖かい

Title:floating pupa
Musician:pupa

floating pupa

大物ミュージシャンたちが集まって結成され、話題となった新バンド。高橋幸宏を中心に結成され、原田知世、高野寛、高田漣(フォークシンガー高田渡の長男)、堀江博久、権藤知彦といった、そうそうたるメンバーが名を連ねています。

基本的には、エレクトロニカテイストのサウンドをベースとしながらも、ポップなメロディーがのることにより、全体としては、むしろフォークやソフトロックの色合いが強くなる、不思議な作風になっています。

なんというか、ベースに流れているのは無機質な電子音なのに、アルバム全体としては、暖かさが漂っているんですよね。

特に原田知世がメインボーカルをとった「Anywhere」「marimo」など、とてもメロディアスでしっとりと聴かせるポップチューンになっていて、彼女の優しい歌声がとても暖かく響く楽曲。無機質なはずの打ち込みのサウンドが、なぜか暖かさをはなっているような作品に仕上がっています。

他も、「Creaks」などはギターポップテイストが強く、ロックリスナーには耳なじみのよいポップスに仕上がっていますし、「Laika」は、男女のデゥオを展開し、しんみりとメロディーを聴かせてくれます。また、「Tameiki」「New Order」など、ソフトロックのテイストが強く、そのポップなメロディーラインなど、ある意味、シングル向けかもしれません。

この作品、全体的には聴きやすいポップなアルバムとなっています。広いリスナー層に支持されるようなポップの枠組みで、いかにエレクトロニカの要素と融合させるか、という試みといえるかもしれません。

また、高橋幸宏や原田知世といった名前が前面に出されがちですが、アルバム全体としては、メンバーそれぞれが対等の役割を担っています。バンドといっても誰かが中心という訳ではなく、ゆるい連帯といった感じで、そういう「ゆるさ」もいい意味で、楽曲に反映しているように感じました。

しっとりとした、今風のポップスを聴きたい方、おすすめです。

評価:★★★★

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