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2008年7月18日 (金)

これも大人のラブソング

Title:親愛なる君へ
Musician:柴田淳

親愛なる君へ

「大人のラブソング」というと、どんな曲を想像するでしょうか?

やはり、エロティックに走っていたり、恋愛の駆け引きなんかがあったり、少々、ドロドロとしたものを想像するのではないでしょうか。

確かに、「恋に恋」していた10代の頃に比べると、20代30代になるにつれ、いろいろな経験も増え、恋愛に、そういうドロドロとした側面も増えてくるかもしれません。

しかし、いつまでたっても、一方で、片想いに心を焦がしたり、純愛にあこがれたりする側面もあるのも事実。例えは少々ベタになってしまうのですが、一時期、中年世代に韓国ドラマがはやったのも、何歳になっても純愛にあこがれる女性が多いからだ、という話を聞いたことがあります。

柴田淳の曲っていうのは、そういう純愛にあこがれる側面と、「大人」らしい、恋に恋するだけではおわれない側面の両方を、素直な心境で取り込んでいます。そして、本作は、20代後半から30代あたりの、もう大人になってしまった女性の、素直な心境を取り上げた歌が多いような印象を受けました。

例えば、先行シングルとなった「ふたり」などは、冒頭で

「抱きしめたなら とけちゃうもの
あなたがくれた 恋の心
手を繋いだら 伝わるもの
私が注ぐ やさしいもの」

(「ふたり」より 作詞 柴田淳)

と、純粋に相手を思う心境を読みながらも、最後は

「もう 二人が離れることなんて きっと出来ないよね?」
(「ふたり」より 作詞 柴田淳)

と、心のどこかにかかえる不安な心境を、素直に読み込んでいます。

こういう、純粋に相手を思う気持ちを持ちながら、一方で、相手を盲信も出来ない、大人の恋愛の心境を上手く読み込んでいます。

本作は、全体的に、派手な曲や、「これ」といった目だった曲はないのですが、このように、柴田淳らしい曲が数多く収録された、佳作だったと思います。

20代後半から30代あたりの世代の心に響きそうな、素直なポップスアルバムだと思います。ある意味、これもまた、間違いなく大人のラブソング、なんでしょうね。

評価:★★★★★

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