東京事変になくて椎名林檎にあるもの
Title:私と放電
Musician:椎名林檎
椎名林檎のカップリング曲集。
なんか、正直言って、感想が書きにくいんですよね、本作は。
椎名林檎のカップリングって、確かに完成度が高い曲が並んでいて、いわばベスト盤的様相を感じさせるのですが、個人的に椎名林檎といえば、天性のポピュラリティーの持ち主と解釈しているので、「椎名林檎」というミュージシャンを知るのは、やはりヒット曲も把握すべきだと思っているし
シングル曲に比べると、自由度が高く、おもしろい曲も多いのですが、でも、自由度の高い曲はアルバムでも十分聴けるし
「椎名林檎」としてのわずかな活動期間において、いろいろな作風に挑戦しているだけに、カップリング曲集の本作も、全体としてのまとまりが見事バラバラだし。
結局、「椎名林檎のカップリング曲は、完成度の高い名曲が多く、それを概観的に網羅できる、貴重な企画盤」みたいな、ありきたりな紹介になってしまうんですよね・・・
むしろ、このアルバムを聴いて感じたのは、カップリング云々という話よりも、椎名林檎名義での曲に感じられ、東京事変名義の曲に感じられない魅力のこと。
それは、椎名林檎名義の曲には、非常にエロティシズムを感じられる、ということでした。
決してエロい内容を歌っているわけではありません。椎名林檎の曲は、どこか彼女のコアな部分が表に出ていて、よそ行きの姿勢を感じられる東京事変に比べて、一種のエロさが感じられました。
ジャズや歌謡曲といった、「夜の世界」をあえて意識したようなアレンジが、またエロティシズムに拍車をかけていると思うのですが、そういうアレンジも含めて、椎名林檎の女性的な側面を強く感じられる楽曲が、このアルバムでは多く聴くことが出来ます。
東京事変も嫌いじゃなけど、やはりまた、椎名林檎のソロとしての活動を再開してほしいなぁ、なんて感じてしまったアルバムでした。
評価:★★★★★
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