よくわかるハードロック入門
Title:B'z The Best "ULTRA Pleasure"
Musician:B'z
B'zのデビュー20周年を記念してリリースされた、2枚組のオールタイムベスト。
B'zに関しては、その音楽性については賛否あるものの、事実として、20年間、日本のヒットシーンに君臨する人気を持続しているミュージシャンなわけです。そこでやはり「なぜ、B'zはここまで人気があるのか」という話になるわけです。
・・・ってか、この話は、以前に何度かやったような気もするんですが・・・
それに関しては、Wikipediaの以下の記述が、的を射た意見ではないでしょうか。
「音楽評論家の大貫憲章は、R25の取材に対して、熱心なリスナーではないため印象論でしかないという前置きをした上で、ハードロックサウンドとシャウト、稲葉浩志の外見の良さなどによって、B'zが日本の一般人が想定するロックのイメージをわかりやすく体現しているためではないか、としている。」
つまりB'zの音楽って、例えば「癒しのクラッシック音楽」だとか「大人のジャズ」みたいなコンピレーションアルバムみたいな感じなんですよね。例えば、「よくわかるハードロック入門」みたいなアルバムが発売された場合、まさにB'zみたいなタイプの曲がたくさん収録されそう、みたいな。
松本孝弘のわかりやすいギタープレイと、稲葉浩志のストレートなシャウト、それにポップでキャッチーなメロディーがのっているB'zのスタイルってのは、ハードロックの「わかりやすい」あるいは「なじみやすい」部分のみを見事集約しています。
一方で、ハードロックのわかりやすい部分のみ体現化しているため、例えばドラムスとベースが作り出すグルーヴだとか、曲間に流れるような、ブルージーな雰囲気とか、ある種ハードロックの説明しずらい、わかりにくい、まず身体で体感するような部分は省略しています。
だからこそ、B'zには絶大なファンがいる一方、アンチも多く、ロックの枠組みでは高い評価を与えられていないのでしょう。
実際、私も、B'zが実力派のロックバンドか、といわれると、正直、疑問に感じてしまいます。むしろ、B'zが人気があるがゆえ、日本において、ロックというジャンルがあまりに様式的に捉えられ、誤解を受けているのではないか、とすら感じます。ただ、一方でエンタテイナーとしてみた場合、これほどリスナーの要望にこたえられつづける彼らは、やはり一流と言えるのではないでしょうか。20年人気を持続する実力は、伊達ではありません。
ただ、このベストで彼らの活動をあらためて概観的に聴いてみると、やはりここ最近のマンネリ化はかなり気にかかります。
確かに最近の曲、特に本作の2枚目の曲に関しては、極端にB'zらしい曲が多く、はずれが少ないのも事実。ただ、昔の彼らの作品の方が、最近の曲よりバリエーションが多かった印象を受けます。
最近は、人気を持続しているというものの、人気が漸減的に低下しています。このアルバムも、大量の広告をうったわりには、以前のベストに比べると、売上的には惨敗に終わってしまっています。そういう意味では、今、彼らは踏ん張り時と言えるのではないでしょうか。次の10年、人気を持続するためには、ここ数年が彼らにとって勝負どころというところでしょう。
評価:★★★★
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コメント
バンドサウンドに移行して久しいのに、
未だにユニット意識でやってるんですかね、グルーブを感じないとかのあたりは。
何年かぶりに新しいのを聞いたら、余りにベースの存在感が希薄でびっくりしましたが。
ずっとこうだったかなあ。
どっかでブレークスルーしないと、ほんとこのまま、ただ朽ちていくのみで
それはそれで昔聞いてた身からすると結構悲しいのですが。
投稿: KK | 2008年7月12日 (土) 16時47分
>KKさん
「THE CIRCLE」のあたりでは、バンドサウンド指向になったのですが、またもとに戻っちゃいましたね。B'zは、以前は「Calling」や「Real Thing Shakes」みたいな実験的な作品もやっていたりしたんですが、すぐいつものスタイルに戻っちゃうんですよね。最近は、そういう実験的な作品すらほとんどなくなってしまって・・・。
確かに、そろそろブレークスルーしないと、先細りは目に見えていますよね。もっとも、事務所的に、そういうことは難しそうですけど・・・。
投稿: ゆういち | 2008年7月13日 (日) 23時25分
SUPER LOVE SONGのどこがベースが希薄なんだか。
投稿: abc | 2008年8月14日 (木) 04時04分