氣志團に明日はあるか。
Title:房総魂~Song For Route 127
Musician:氣志團
2枚組からなる氣志團のベストアルバム。
氣志團のベストといえば、前作「死無愚流 呼麗苦衝音+3」から、約3年半がたっているのですが、その間、アルバムは2枚しかリリースしていないだけに、少々ベスト盤リリースの間隔が短すぎる気がします。
そうすると、現在、氣志團が活動休止中という状況から考えると、この手のベスト盤は、「既に、氣志團が他のレコード会社に移籍していて、EMIが小遣いかせぎにリリースした」のか、「契約の関係上、なんらかのCDをリリースせざるを得なかった」のどちらかなんでしょうが、DJ OZMAがEMIに所属していることを考えると、やはり後者の理由からのリリースといったところでしょうか。
そんな現在、事実上活動休止中の彼らなんですが、このベスト盤を聴いて感じることは、既に、氣志團としての活動に限界が来ているのではないか、ということでした。
そもそも、彼らの音楽のスタイルは、いかにもという一昔前のステレオタイプな不良のスタイルで、これまた昭和50年代あたりのヤンキースタイルベタベタの内容を、同じく昭和50年代の歌謡曲風のビートロックで歌い上げるというスタイルで、手法としては非常におもしろいものの、やはり一発芸的な側面が強く、飽きられやすい手法であることは間違いないでしょう。
おそらく、その事実は、綾小路翔みずから強く感じているのではないでしょうか。そのため、氣志團としての現段階での最新シングル「Theアイシテル」は、いままでの彼らとは全く違う、打ち込みのテクノ風ナンバーでしたし、最新アルバム「SIX SENSES」は、各メンバーのソロの寄せ集め的なスタイルを取っていました。それこそ、両者とも、氣志團としての明日を模索したリリースだったのではないでしょうか。
結果として、両者とも、セールス的には惨敗に終わってしまいましたが、それは、やはり氣志團の限界を露呈した結果といえるのではないでしょうか。ベスト盤を聴く限り、「ヤンクロック」という、いわゆる氣志團的なスタイルも、最近の作品になればなるほど、パターン化が著しくなってしまい、面白みが欠けてしまっています。妙に仲間意識の強い、ある意味保守的な歌詞と、露骨な80年代風土のパロディーは、彼ららしいといえば彼ららしいのですが、初期のナンバーに比べると、どうしても「わざとらしさ」が気になってしまいます。
そう考えると、氣志團の今後は、非常に厳しいものではないでしょうか。現に、綾小路翔は、氣志團としての限界を感じ、氣志團ではやれないことをDJ OZMAとしてやりはじめたのでしょう。おそらく、現在、氣志團のこれからについては考えているのでしょうが、その答えが出ていない・・・その結果が、この活動休止、そして、おそらく契約消化の場つなぎ的なこのベスト盤のリリースなのではないでしょうか。
メンバーそのままで、全く違うスタイルのバンドをスタートさせ、氣志團は封印・・・というのが一番ありがちな「答え」のような感じもするのですが。ただ、どちらにしろ、綾小路翔、また氣志團のメンバーというのは一流のエンターテイナーであることは間違いないだけに、どんなスタイルであれ、また私たちを楽しませてくれるのではないでしょうか、そう思います。
評価:★★★★
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