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2008年6月19日 (木)

現役ロックンローラー

Title:入門編
Musician:忌野清志郎

入門編

忌野清志郎の、ソロデビュー後の作品をまとめたベストアルバム。

喉頭がんから無事復活し、武道館での「完全復活祭」で、見事再起を果たしたキヨシローの、ある意味、再出発を飾るともいえるベスト盤です。

いやね、ベスト盤であらためて彼の作品を聴いて感じるのは、ロックミュージシャンとしての反骨精神、ポピュラリティー、ユーモアセンス、そして常に新しいことにチャレンジし続けるフロンティアスピリッツ、どれをとってもキヨシローって、本当に他に類を見ないミュージシャンだよなぁ、ってこと。

そして、彼がすごいのは、RCとしてのデビューから、そろそろ40年近くが過ぎ、そろそろ60歳に手が届きそうな今でも、いまだに現役感が全く衰えていません。ベテランミュージシャンって、ある程度、キャリアを重ねると、自分の型をつくってしまって、その型の中で、曲をつくっちゃうんですよね。だから、曲はどれもクオリティーが高く、ファンの要望に応えているんですが、「大いなるマンネリ」になってしまって、現役感が薄れちゃうんです。

しかし彼は、自分のスタイルを時々ぶっつぶしながら、いまなお、若手ミュージシャンのような緊張感を曲に漂わせながら曲を作り続けています。実際、このアルバムでも、正統派ロックから、ニューウェーヴ風の曲や、実験的なトリップ・ポップ、ポップスナンバーまで、キヨシローらしさを保ちながらも、いろいろなスタイルを試している姿を垣間見ることが出来ます。本作には収録されていませんが、最近では、RHYMESTERとのコラボレーションでHIP HOPとのコラボにも挑戦していますしね。

また、「3部作(イ)人類の深刻な問題(ロ)ブーム ブーム(ハ)ビンジョー」ではユーモアたっぷりの強烈な社会批判が聴けますし、一歩間違えばブーイングものの(笑)親バカソング「プリプリ・ベイビー」なんかをしっかり歌えちゃうのも、彼だからこそ。

唯一無二のロックンローラー、忌野清志郎を思う存分楽しめるベスト盤。収録曲数もちょうどいい塩梅ですし、オールタイムベストで、彼のソロ名義以外の曲も数多く収録されていますし、タイトル通り、「入門編」として文句なしのベスト盤だと思います。

評価:★★★★★

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