懐古趣味的なのが気になるなぁ。
Superfly
アーティスト:Superfly,Superfly×JET | |
最初、出てきた時は、LOVE PSYCEDELICOの劣化版かと思いました(^^;;
まあ、「劣化版」という言い方は悪いし、失礼ですが、どこかLOVE PSYCHEDELICOと似た雰囲気は感じさせますよね。ストレートに60年代のロックの影響を受けたようなメロディーやサウンドといい、女性ボーカル+男性というスタイルといい(Superflyは、後に女性ソロとなりますが)。
ただ、同じ60年代ロックをストレートに体現化した楽曲とはいっても、Superflyに関しては、より懐古趣味的なものを感じました。
いかにもヒッピーといった感じのジャケットのスタイルといい、ウッドストックが開催され、ロックという音楽がもっとも幸福な瞬間をむかえた1969年への憧憬をそのまま歌った「1969」といい、露骨にヒッピーっぽいタイトルの「愛をこめて花束を」といい・・・。
しかし、彼らの60年代やヒッピームーブメントへの懐古趣味というのは、きれいな上澄みの部分だけをすくいとったようなイメージを受けてしまいます。
私自身、リアルタイムに60年代を経験したわけでもありませんし、その時代の文化について、専門的に勉強したわけではありません。しかし、例えばオルタモントの悲劇だったり、チャールズ・マンソンの事件だったり、ヒッピームーブメントには、強烈な影の部分があります。だからこそ、70年代以降、ヒッピームーブメントは幻想だったという意識が生まれ、この文化は衰退していくわけです。
60年代に対して素直にあこがれるスタイルは否定はしません。ただ、それから40年近くたった現在にその時代の文化を模倣しようとするのなら、単なる憧憬を形にしただけではいささか浅はかに感じてしまいます。だからこそ、数年前に出てきたロックンロール・リバイバルといわれたミュージシャンたちは、60年代の「サウンド」の部分だけを純化させ、現在流に解釈しようとすることにより、単なる60年代の憧憬から抜け出そうとしたのではないでしょうか(前述のLOVE PSYCHEDELICOも同じようなスタイルをとったように感じます)。
しかし、そういうスタイルを否定しても、このアルバムが魅力的と感じる点が2つありました。
ひとつはメロディーライン。ある意味歌謡曲的であり、新鮮味がない、という点ではマイナスともいえるのですが、ポップスとして非常に耳なじみがあって、すんなりと入り込めます。インパクトのあるメロディーを書けるという点では、彼女たちの大きな強みと言えるでしょう。
そしてもうひとつは越智志帆のボーカル。彼女のボーカルには声量があり安定感があります。表現力という面ではまだまだ未熟な点を感じるだけに、現段階で絶賛は出来ないのですが、今後のポテンシャルを感じます。そういう意味で、今後の彼女の成長次第では、非常におもしろくなるように感じました。
現段階では、いろいろと物足りなさを感じるSuperfly。それだけに、まだまだこれからといったところでしょうか。今後、60年代ロックへの単なる憧憬を、2000年代の今、現代流にどのように解釈できるかがポイントのように感じました。
評価:★★★★
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