少々期待はずれでした。
GAME
アーティスト:Perfume | |
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Perfumeという女性アイドルユニットは、今、サブカル層を中心に、「現象」とも言える異常な盛り上がりを見せています。本作も、見事オリコンチャートで1位を獲得し、大きな話題となりました。
そのような中、私も本作を聴いてみたわけですが
正直な感想を言ってしまうと、少々期待はずれでした。
Perfumeという女性アイドルユニットが、これほどの盛り上がりを見せているのは・・・
中田ヤスタカが聴かせる高度なエレクトロサウンドをそのままアイドル歌謡曲というフィールドに導入し、クオリティーの高いエレクトロポップと、アイドルのエンタテイメント性を高い次元で融合させている・・・
というのが大きな要素なのではないかと思います。
しかし、本作でいえば、中田ヤスタカの作るサウンドも、アイドルとしてのエンタテイメント性も、どちらも中途半端ではなかったか、という印象を抱きました。
この作品で、中田ヤスタカは、意識的に歌謡曲テイストをメロディーに加え、自身のユニットcapsuleよりもポピュラリティーを意識した作品に仕上げています。capsuleでいえば、「Fruits Clipper」と「Sugarless Girl」の間を狙ったような作風といったところでしょうか。
その結果、実験的なエレクトロサウンドという点では、例えばcapsuleとしての最新作「FLASH BACK」と比べると、一歩引き下がっていました。
しかし、一方、ポピュラリティーという側面から考えても、スタンダードナンバーとなっているアイドル歌謡曲などと比べると、一歩も二歩も引き下がる作品になってしまっています。
具体的に言えば、今、ヒットしている「羞恥心」なんかが典型例なのですが、歌謡曲の強みって、曲の良し悪しを語る前に、有無をいわせず耳に残ってしまう、強度なポピュラリティーを持ったメロディーラインこそ大きな魅力なんですよね。そういうキャッチーなメロディーに、私たちリスナーはワクワクして、ヒット曲に心ときめかしたりもする訳です。
しかし残念ながら、彼女たちの曲は、確かにポップではあるものの、一度聴いたら忘れられないようなキャッチーなメロディー、というのは見受けられませんでした。むしろ、メロディーが中田ヤスタカのサウンドの後ろに下がってしまっていて、メロディーの良さを強調するには、少々、サウンドの個性が強く出すぎているような印象を受けました。
個人的には、エレクトロサウンドとしての実験性と、アイドル歌謡曲としてのエンタテイメント性の高次元での、いわば最小公倍数的な融合を期待していたのですが、残念ながら、現段階では、最大公約数的な融合に終わってしまっていた、そんな作品に感じられました。
誤解しないでほしいのですが、エレクトロポップの作品としては間違いなく名作だったと思います。エレクトロポップが好きというのなら、間違いなく聴くべき作品だと思います。ただ、正直なところ、一部のもろ手をあげた大絶賛に関しては、本作に関しては、少々疑問に感じてしまいました。
個人的には、本作では、「シークレットシークレット」が一番アイドル歌謡曲っぽくて、むしろ全体的にはこの方向ではじけて突き進むくらいがちょうどいいのになぁ、と思ったりします。特に「Take me Take me」みたいな曲から、この曲へと突き進んじゃうあたりが、Perfumeの醍醐味だと思うんだけどなぁ。
評価:★★★★
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コメント
勢いのあるPerfumeの新作。個人的にはゆういちさんと同じく"中途半端"な印象でした。
全体的に見ると、"実験的な部分"と"ポピュラリティー"のちょうどいい塩梅を、
ヤスタカ氏が今回のアルバムで模索しているような印象を受けました。
シングル曲も、シングルで聴いてた頃は結構中毒性あったんですが、アルバムだとちょっと引っ込んだかな?とも思いました
(聴きなれているだけっていう可能性もありますが・・・)
でも、本当にヤスタカ氏自身に勢いを感じますね。
次では「これだ!」という"最小公倍数的融合"に出会えるかもしれません。
余談なんですが、これを聴いてたらTommy feburary6の1st albumを無性に聴きたくなりました。なんででしょうね?(笑)
投稿: 亮 | 2008年5月 7日 (水) 03時53分
>亮さん
そうなんですよね。いまひとつ、実験性とポピュラリティーの融合を目指しながら、中途半端に終わってしまっているんですよね。残念な感じです。
個人的には、もっと歌謡曲方向へふっきれてくれた方がおもしろいと思うんですが・・・。
次回作はどうなるんでしょうか?
投稿: ゆういち | 2008年5月 7日 (水) 23時30分
Complete Bestは聞かれましたか?
アイドル歌謡としてのPerfumeはビタミンドロップ、ポップスとしてもPSPSあたりがピークで、もうそういう路線には戻らないんじゃないかなと思いますけどね。
私は逆にGAMEや新曲B面のedgeのようなダンスフロアミュージック方面に振り切っちゃえばいいのにと思う。アイドルってなんだっけ?みたいな。
ちなみに、Tommy feburary6を聞きたくなるというコメントに激しく同意。
投稿: ふにふに | 2008年7月11日 (金) 16時31分
>ふにふにさん
「Complete Best」は聴いていないんですよ。内容としては、やはりそちらの方がいいんですか・・・。
僕も、この路線で行くのなら、これはこれで振り切ってしまった方がおもしろいと思うんですけどね~。
あと、確かに、トミフェブは聴きたくなるような音かも(笑)。
投稿: ゆういち | 2008年7月11日 (金) 18時54分