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2008年5月11日 (日)

邦楽の絶好の名盤ガイド

 

Jポップを創ったアルバム―1966~1995 必聴disc徹底ガイド

著者:北中 正和


Jポップを創ったアルバム―1966~1995 必聴disc徹底ガイド

洋楽に関しては、ロックの歴史やソウルの歴史を概観するようなディスクガイドがたくさん販売されていて、「ロックの名盤」「R&Bの名盤」みたいなのが(ある程度)確立されています。

ただ一方、邦楽においては、その類のディスクガイドがほとんどありません。フォークや歌謡曲でディスクガイドが発売されていたりしますが、ほとんどが「懐かしの歌謡曲」テイストで、リアルタイムに聴いていたおじさん向けに、その時代を懐かしむ本がほとんどです。

それって、邦楽より洋楽の方が、概して時代の先をいっていたこと、それに伴って、評論家の目が、ほとんど洋楽に向いていたこと、というのが理由にあるかもしれないですが、もうひとつ大きな理由として、日本のポップスシーンにおいて、ロックやポップスという音楽が、いまだに「芸能」的な括りで評価され、純粋に「音楽」あるいは「芸術的」な枠組みで評価されていない点が大きいと思うんですよね。

一番典型的なのがアメリカのグラミー賞と日本のレコード大賞との違い。グラミー賞も、「保守的」との批判が多いのですが、「売れた」曲よりも、「音楽的に優れている」曲を評価し、受賞させようとする姿勢が見られます。一方、レコード大賞は、完全に事務所の力関係による出来レースになっているのはもちろんのこと、それに対する批判にしても「なんで今年売れたあの曲が受賞できないんだ」のような、売れた曲が受賞することが当然、のような風潮があるように感じます。

日本では、ロックやポップスも「芸能的」な括りで捉えられた結果、「売れた」=「優れた曲」的な見方をされてしまって、結果、純粋に音楽的な評価を(一部をのぞいて)ほとんどなされていないように感じます。

しかし、そんな中、本作は、しっかりと音楽的に評価したうえで、名盤を選んで、紹介しています。それも、決して、過度にサブカル、アングラ寄りに走るのではなく、ミスチル、スピッツ、ドリカムや、古いところでは、スパイダーズなど、ともすればサブカル系のリスナーからは「歌謡曲」と捉えられがちな曲も優れているのならしっかりと評価しています。

洋楽だけではなく、邦楽の名盤も聴いてみたいと思っている方には最適なディスクガイドではないでしょうか?私個人も、いま、これで取り上げられているアルバムでまだ聴いていない作品などをいろいろと聴いています。邦楽にも、洋楽に負けない、様々な名盤があることに気がつかされる良書でした。

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