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2008年5月

2008年5月31日 (土)

小さなMC揃い踏み

      
“Yes”rhyme-dentity(初回生産限定盤)(DVD付)

アーティスト:LITTLE,CUEZERO,BIG RON,MICRO,COMA-CHI,Metis,童子-T,SMALLEST,Mummy-D,SHOGO

“Yes”rhyme-dentity(初回生産限定盤)(DVD付)

基本的に、KICK THE CAN CREWの盟友同士ということもあるのでしょうが、KREVAと同じく、LITTLEも、売れるということに非常に自覚的であり、かつ、その上で、HIP HOPとしての可能性を探っているミュージシャンだ、ということを感じます。

そういう意味では、ソロ活動後も、KREVAと同じ路線を歩んでいるLITTLE。あえていえば、もうちょっと歌謡曲的要素が強いKREVAに対して、ポップな曲をつくりながらも、どこかHIP HOPのアンダーグラウンド的要素を残そうとしているのがLITTLEでしょうか。

ま、程度の問題で、どちらも、ポップな方向性にはかわりないのですが。

そんなこともあり、本作も、特に前半は、ポップでリズミカル、聴いていて楽しくなる曲が並んでいます。

特に注目したいのが、RIP SLYMEのDJ FUMIYAが作曲に参加した「Stand by me」で、ミニマルテイストのピアノの音色が中毒的な魅力を感じさせる曲になっています。

ただ、勢いがあったのはここまでで、残念ながら、後半は少々失速気味。ポップな曲が並んではいるものの、これといった1曲がありませんでした。

前半の勢いと比べると、後半が、ちょっとグダグダしてしまっていたのが残念な、ある意味「惜しい」作品だったと思います。

ちなみに本作は、HOME MADE 家族のMICROとトリカブトのSMALLESTがゲストで参加。・・・ってか、なんでチビのHIP HOPのMCって、みんなこういうネーミングをつけるの?

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

BEST BOUT/RHYMESTER

様々なミュージシャンとのコラボレートで話題となるRHYMESTERですが、こちらは、RHYMESTERがfeaturingという形で参加した曲を集めた企画モノベスト。注目は、忌野清志郎とのコラボレート・・・なのですが、これはちょっといかにも「企画モノ」というのが前に出すぎちゃっていて、ちょっとやっつけ気味かなぁ。せっかくのコラボなのに残念。

他の曲に関しても、RHYMESTERが主体的にコラボしているミュージシャンに比べると、どうしてもHIP HOP、R&B系が主体で、「予想通り」という域が出ないのが残念なところ。まあ、純粋にいい曲は揃っていると思うけど、RHYMESTERが主体的に他のミュージシャンとコラボを組んだ「ウワサの伴奏」の方がおもしろいな。

評価:★★★★

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2008年5月30日 (金)

男のけじめ、なのか?

      
アイデンティティー(DVD付)

アーティスト:My Little Lover

アイデンティティー(DVD付)

約1年半ぶり。akkoと小林武史離婚後では初となるニューアルバムです。離婚後、マイラバはどうなっちゃうの?なんて下世話な心配もしましたが、本作も小林武史のプロデュースだそうで、今後も、小林武史はマイラバの活動にかかわっていくそうです。

ただ、アルバムの内容自体に関しては・・・・・・いつも通りのマイラバって感じで、悪くもなければ特段良くもない、といった感じ。小林武史の天性のメロディーセンスや、akkoのすみやかなボーカルがあるから聴けるアルバムにはなっているものの、かつてのような勢いや、きらめくような美しいポップのメロディーラインはここにはありませんでした。

キリンジの堀込兄弟なども参加していて、今後は、徐々に脱小林武史をすすめていくのかなぁ、なんて勘ぐったりして。ただ、akkoが小林武史抜きで独り立ちできるまで、彼がバックアップしていく、という男としてのケジメをつけているのかなぁ、なんてことも勘ぐったりして。

評価:★★★

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2008年5月29日 (木)

とことんオールドスタイルにこだわった演出

      
ストップ・ドロップ・アンド・ロール

アーティスト:フォックスボロ・ホットタブス

ストップ・ドロップ・アンド・ロール

とんでない新人バンドがあらわれました!Foxboro Hot Tubsと名乗るそのバンドは、60年代初頭・・・どころか、50年代のサウンドを彷彿させる、とびきり軽快なロックンロールサウンドを、今の時代によみがえらせています。オフィシャルサイトで、先行シングルを無料ダウンロードさせるなど(無料ダウンロードは残念ながら、終了した模様ですが)、既に音楽シーンで大きな話題となってましたが、このたび、待望のデビューアルバムがリリースされました。

・・・・・・

なんてあおっても、おそらく、このアルバムを聴いた方はほとんどご存知ですよね。このバンド、実はあのパンクロックバンドGreen Dayの覆面バンド。古き良きロックンロールを自分たちで自由きままに楽しむために結成したのだとか。事実、タイトルチューンでもある「Stop Drop And Roll」は、シンプルなロックンロールのサウンドを楽しめるガレージパンクチューンですし、「Mother Mary」も、軽快なダンスナンバー。どちらも、ビートルズ以前の、例えばチャック・ベリーあたりからのダイレクトな影響を感じられる作品になっています。

ここらへん、Green Dayのファンのパンクキッズあたりは、少々度肝を抜かれるのではないでしょうか。

ただ、明確に、古き良きロックンロールなのは前半のみ。中盤「Red Tide」あたりから、どこかGreen Dayっぽさが漂いはじめ、「The Pedestrian」あたりになると、完全にGreen Dayの新譜、としても違和感のないパンクロックになってしまいます。ここらへんは、少々ネタ切れ気味かなぁ(^^;;

まあ、もちろん後半も、サウンドは基本的にシンプルだし、ノリのよいロックンロールチューンなのは間違いないので、最後の最後まで楽しめるアルバムには違いないんですけどね。

また、楽曲だけではなく、いろいろな面でかなりオールドスタイルにこだわっているのも本作の特徴になっています。

ジャケットも、50年代、60年代初頭を彷彿とさせるジャケットになっていますし、裏には、時代を感じさせる「汚し」までいれる凝りよう。

第一、どこを探しても「CD」の表記がないんで、一瞬、レコード盤を間違えて買ってしまったんじゃないか、とまでおもってしまいました(笑)。(ってか、12曲いりでこんな小さいレコード盤はないと思うけど)

曲も、一応、A面B面でわかれていますし、CDも、裏面はレコードをそのままプリントされていますしね。そんな遊び心のあふれた楽しいアルバムになっていました。

しかし、こういう「お遊び」の企画で、いつのも音楽と全く違うことをやっても、メロディー、バンドサウンド共に、しっかり耳に残るポピュラリティーの高いものを作り出せちゃうあたり、彼らの実力を再認識させられました。

とびきり楽しくて、ロックで、ポップな作品です。Green Dayのファンの方以外も、オールドスタイルのロックンロールに興味がある方は是非。

評価:★★★★★

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2008年5月28日 (水)

女性シンガー強し!

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週のチャートはシングル及びアルバムともに、新譜がズラリ。その中でも、女性ミュージシャンの健闘が目立ちました。

そんな中でも強いのがジャニーズ系。今週の1位はHey!Say!JUMP「Dreams Come True」で、初動18万枚で1位を獲得しています。

で、彼らのジャニーズ系の中での人気の位置づけは以下の通り

KAT-TUN(38万枚)
嵐(32万枚)
NEWS(20万枚)
関ジャニ∞(19万枚)
Hey!Say!JUMP(18万枚)←ここ
SMAP(11万枚)
堂本光一(11万枚)
堂本剛(7万5千枚)
20th Century(3万8千枚)
(追記:堂本光一と剛が逆になっていたので修正しました。どうも失礼しました。)

で、以下は女性シンガーの活躍が目立ったチャートになっています。

2位宇多田ヒカル「Prisoner Of Love」。ドラマ主題歌ながら、アルバムからのシングルカットということで、順位がどこまで伸びるのか注目だったのですが、初登場2位なら万々歳といったところでしょう。

4位には大塚愛の新譜が入ってきていて、さらに注目が6位に竹内まりやのニューシングル「幸せのものさし」が入ってきている点でしょう。シングルベスト10ランクインの女性最年長記録だそうです。デビュー30周年。いまだに衰えることない人気とその実力には驚かされます。

・・・・・・とは思うのですが、ただ、53歳といえば、一般社会においてもまだまだ現役。男性ミュージシャンなら、小田和正、井上陽水、忌野清志郎、矢沢永吉、桑田佳祐等々、同年代の現役ミュージシャンなんていくらでもいるわけで、女性でもユーミンが53歳、中島みゆきが55歳ということを考えると、この記録は今後どんどんと更新してきそう。いわばポップスというジャンルが成熟化してきたしるしでしょう。

個人的に、むしろ驚いたのが、以前、この記録を持っていたのが、美空ひばりの「川の流れのように」で、その時52歳だったってこと。だって、「川の流れのように」の頃の美空ひばりって、もっと貫禄あったし、「女王」の称号にふさわしい雰囲気があったよなぁ、と思って。そう考えると、やはり美空ひばりはいろいろな意味ですごかったなぁ、と思います。(いや、もちろん竹内まりやも十分すぎるほどすごいミュージシャンだと思うけどね。)

以下。7位クロマニヨンズはコンスタントにベスト10入りしているのはうれしい話。ヒロト&マーシーの人気も不滅だなぁ。

8位は誰かと思ったら、元Def TechのMicroですね。いろいろなゴタゴタがあったり、いろいろな噂があったりと大変だったけど、なんとかベスト10入りできるくらいの人気は保っているみたいで。今後の展開も気になるところです。

ベスト10以下は9mm Parabellum BulletTHE BACK HORNが12位、15位にランクインして、確実な人気のほどを感じさせてくれたり、堺正章の新譜が34年ぶりにベスト20に入ってきたりしています。堺正章って、もともとはミュージシャンだったってこと、知らない人多いだろうなぁ(って偉そうに言っても、僕自身も、リアルタイムでは知らないんだけど)。堺正章のいたスパイダーズのデビューアルバムは、今聴いても、ガレージパンクのカッコいいアルバムだったりするので、興味ある方は是非。

あと、松浦亜弥の新譜が初登場で20位ですか・・・彼女の最近の凋落ぶりはかなり心配・・・。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週のアルバムチャート1位は、なんと2週連続でSuperflyのデビューアルバムが1位を獲得しています。この人気には本当に驚かされてしまいます。次に出るシングルあたりも、かなり売れちゃいそう・・・。

一方、先週2位だった水谷豊は残念ながら今週は9位までランクダウン。「相棒」は好調なようなので、もっとロングヒットするかなぁ、と思っていたのですが、やはり一部の固定ファンがついている、といった状況なのでしょうか。

以下、氷川きよし、Acid Black Cherry、長渕剛、ナイトメアと続いた今週のアルバムチャート。ここらへんはしっかりと固定ファンに支えられたようなミュージシャンたち、といった感じでしょうか。

藤井フミヤはソロワークオールタイムのベスト盤ながら初登場8位というのは、少々不調気味か?一方、ベスト10圏外では安藤裕子が11位にランクイン。こちらも根強いファンがついてきています。

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2008年5月27日 (火)

彼らのスタイルはロックの王道かも。

      
Limelight Blue on the Q.T.

アーティスト:Qomolangma Tomato

Limelight Blue on the Q.T.

「チョモランマ・トマト」と名乗るこのバンド。SUMMER SONICに出演するなど、最近、徐々に話題となっているバンド。本作で、メジャーデビューとなり、このたび、はじめて彼らの作品を聴いてみました。

ハードロックをベースとしながら、ラップを取り入れたり、ファンクのリズムを取り入れたり、様々なスタイルを自由に取り入れている点、今風のバンドという印象を受けます。

ただ、よくよく聴くと、彼らは、実にオーソドックスなロックバンドということに気がつきました。

というのも、彼らが歌っている内容というのは、どこか閉塞感のある行き場のない若者が歌う心の叫び。現状に不満を感じながらも、その先にわずかな未来を感じさせるような歌詞の世界というのは、若者の叫びとしては、王道ともいえるスタイルではないでしょうか。

また、バンドサウンドというのも、どちらかというと往年のストーンズだったり、ツェッペリンだったり、オールドスタイルなロックに直結しそうな、オーソドックスなハードロックがベースとなっています(曲の作り方とか、少々NUMBER GIRLあたりの影響を感じさせますが)。

しかし、そういう王道ともいえる若者の心の叫びをそのままストレートに、ロックのサウンドにのせているからこそ、リスナーの心に響くのではないでしょうか。彼らが取り入れている「ラップ」というスタイルも、彼らの心の叫びが、「普通」のメロディーには乗り切らないから、必然的に採用したスタイルという印象を受けます。

現段階では、歌詞もサウンドも荒削りで、まだまだ成長の余地を感じます(ただ、そういう荒削りさがいい、という意見もありそうな気が・・・)。しかし、これからが非常に楽しみなバンドです。これからの彼らの活躍に期待したいところでしょう。

評価、星4つくらいが妥当だと思うのですが、期待をこめて、1プラスで。

評価:★★★★★

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2008年5月26日 (月)

脂多めのとんこつラーメン

      
COLOURS IN THE DARKNESS

アーティスト:GREAT ADVENTURE

COLOURS IN THE DARKNESS

Great Adventureというバンドの奏でる音は、まさに、ロックが様々なジャンルの音を取り込んで成長し、巨大化した今だからこそ出せる音だと思います。

彼らの出す音は、とても雑多。

基本的には、60年代風のガレージパンクがメインとなっていますが、冒頭の「DEAD MAN」は、サイケデリックなギターインストからスタート。その後の「BLACK POWER」は、激しいギターノイズの音から楽曲が展開していきます。

その後はニューウェーヴ、テクノ、パンク、ロックンロールと、ロックの歴史がたどってきた音をふんだんに取り込んだ楽曲が展開していく訳で、そういう意味で、彼らの音は、まさにロックが成熟化した今だからこそ出せる音と言えるかもしれません。

しかし、一方で、彼らの音は、あまりにもいろいろな影響を取り込みすぎて、少々オーバーアレンジ気味な印象を受けます。

なんというか、脂多めのとんこつラーメンといった感じで、コッテリしたオーバーアレンジ気味の音は、最初は非常に心地いいのですが、聴いているうちに少々くどくなってくるというか、胃もたれしてきました(^^;;

もうちょっと音を圧縮して、あっさり風味にした方がおもしろいと思うんですけどね。とんこつラーメンもおいしいけど、もうちょっと脂は抑え目にしてほしいなぁ。

評価:★★★★

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2008年5月25日 (日)

キム姉さんの新譜

      
Mountain Battles

アーティスト:The Breeders

Mountain Battles

世間一般では、キムといえば「キム兄」なのかもしれないけど、音楽ファン、特にオルタナ系のロックファンにとっては、キムといえば、「キム姉さん」だろ!!(キム・ゴードンもいるし)・・・・・・という訳で(どんな訳?)、元(?)Pixiesのキム姉さんこと、キム・ディール率いる、The Breedersの新譜です。

The Breedersといえば、昨年公開された、Pixies再結成の模様をおったドキュメンタリー映画「loudQUIETloud」の中でも、キム姉さんがThe Breedersの新曲作りに没頭しているシーンがありましたが、Pixiesの新譜が出ず、こうしてThe Breedersの新譜が出ている現状を考えると、彼女の音楽の情熱は、完全にThe Breedersに向けられているんですね。

ご存知スティーブ・アルビニをプロデューサーとして迎えた本作。前半は、ソリッドに音数を絞ったガレージサウンドにポップなメロディーと、女性版Pixiesといった感じ。これなら、Pixiesの新譜を聴きたかったかも・・・などとも思いながら、Pixiesファンとしては壺をつくような楽曲の連続に魅了されます。

しかし、後半、「regalame esta noche」という、完全にラテン歌謡(ともすれば、日本のムード歌謡曲にも通じそうな)曲が流れてきてビックリ。続く「here no more」は、メロウなワルツのナンバーで、オルタナロックに留まらない自由な曲づくりを、今のキム姉さんはやりたかったのかなぁ、と思いました。

ま、Pixiesとしての新譜が出なかったのは残念でしたが、とりあえず、この作品を聴いて、がまんしたいところといった感じかな?

評価:★★★★

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2008年5月24日 (土)

NIN入門

Albumthumbnail_5 前作「Ghost I-VI」では、自らのサイトからのダウンロードによる先行販売が話題になりましたが、早くもニューアルバムが発売されました。

さらに、なんと本作は、自らのサイトで無料ダウンロードを実施!さらには、ダウンロードできるファイルのタイプも選択でき、ファイルによっては、なんとCDより高音質の音源がダウンロードできる、ということで大きな話題となっています。

参考URL:NINE INCH NAILSがニュー・アルバム『THE SLIP』の無料ダウンロード配信を開始

ダウンロードサイト:http://dl.nin.com/theslip/
(↑上のサイトでアドレスを登録すると、登録アドレスにファイルがダウンロードできるURLを記したメールがおくられてきます。)

「Ghost I-VI」は、全編実験的な作品が収録されていて、いわば「企画盤」的なアルバムだったのですが、本作は、正真正銘のNINのニューオリジナルアルバムとなっています。

ただし、無料ダウンロードという形式ゆえ、はじめてNINの作品に触れる、という方も意識したのでしょうか、ある種、NINE INCH NAILS入門とも言うべき作風になっていました。イントロといえる「999,999」が終わると、ストレートでポップなロックンロールの影響を強く感じる「1,000,000」がはじまります。ヘヴィーでダウナーな、NINのインダストリアルサウンドをイメージすると、その期待を裏切る作品になっています。

その後も「disciplne」では、4つ打ちのリズムが導入されていて、ともすればダンスチューンの様相を見せていますし、「head down」は、ファンクのリズムの影響を感じる、こちらもリズムが心地よいナンバーと続いています。

ただ、その根底には、しっかりとNINらしいインダストリアルのサウンドが流れているんですけどね。

このように、徐々にNINの世界に慣れてきたら、後半は彼の本領発揮です。「lights in the sky」の不気味なピアノの音が、さらにディープな世界へとリスナーをいざなっていきます。

そして、その後は、いかにもNINといった雰囲気の、ヘヴィーなインダストリアルのナンバーが続きます。やがていつのまにかリスナーはNINの世界観にどっぶりとはまっている・・・そういう展開のアルバムに仕上がっていました。

とにかく、NINE INCH NAILSというバンドをいままで聴いたことのない方は、上のサイトをクリックして、これを機に、聴いてみませんか?もちろん、ファンでも十分楽しめる、ポップとヘヴィーな世界が両立した、傑作に仕上がっていたと思います。

評価:★★★★★


RADIOHEADの「IN RAINBOWS」の販売以降、アルバムのダウンロード販売の是非をめぐって、ここ最近、様々なミュージシャンの発言が目立つようになりました。

NINE INCH NAILSのトレント・レズナーは、RADIOHEADのやり方を非難しているみたいですし(参考URL:Nine Inch Nailsのレズナー氏、Radioheadのオンライン販売手法を批判)、また元リバーティンズ、現Dirty Pretty Thingsのカール・バラーも、RADIOHEADのような手法を批判しています(参考URL:カール、コールドプレイの無料ダンロードに異議あり)。

ただ、上記の両者は、完全に論調としては微妙にずれていて、トレント・レズナーは、むしろダウンロードを推進する考え。カール・バラーは、ダウンロードは否定しないものの、無料での楽曲提供というスタイルを否定する考えのようです。

うーん、ここらへん難しいところ・・・というよりも、現在、「どういうスタイルで音楽を提供するのか」「ミュージシャンはどうやってお金を稼ぐのか」という音楽業界の基本的な構造が、大きな転換点に差し掛かっていると思います。そして、インターネットのブロードバンドの急激な普及により、私たちは今、予想以上に急激な構造の変化を迎えています。そのため、この基本的な問題に対して、かなりシーン全体としてかなり混乱しているのではないでしょうか。

ただ、ひとつ間違いなく言えるのは、今後、どのくらいの先の話になるかはわかりませんが、CDのような媒体は廃れて、ダウンロード販売が主流になる、これは確実ではないでしょうか。

それはちょうど、昔、楽譜を売ることがミュージシャンにとって収入を得る糧だったのが、レコードの販売にかわったように、音楽全体の流れから考えると、音楽を提供するメディアが変わるというのは別に珍しい話ではありませんし、だからといって、音楽が廃れる、なんてことは絶対にありえない、と思います。

そういう視点から考えると、正直、カールの発言は、少々賛成しかねる部分もあります。というのは、ここでもうひとつの問題「ミュージシャンはどうやってお金を稼ぐのか」という部分にかかってくるのですが、もし、RADIOHEADやNINE INCH NAILSのようなやり方で、十分、ミュージシャンが収入を獲得できるとわかった場合、一気に、この問題も解決する訳です。つまり、音楽の提供媒体がCDからダウンロードに変わっても、ミュージシャンは十分に生活の糧を得ることが出来る、と。それが証明できたとすると、レコード会社などのダウンロードに対する見方も一変するでしょう。そして、そういう実験を出来るのは、RADIOHEADやNINE INCH NAILSみたいな大物しかいないわけです。

もちろん、現実の話をすれば、カールの意見はもっとも、という側面もあるかと思いますし、単なる音楽ファンである私が、無責任にとやかく言う話ではないのかもしれません。ただ、現在、音楽シーンの基本的な構造そのものが大きく変わりつつある、それだけは間違いないでしょう。ただ、シーンがどのように変化しても、ミュージシャンにはいい音楽を作り続けてほしい・・・・・・陳腐な結論になってしまいましたが、音楽ファンのひとりとしては、素直にそう思います。

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2008年5月23日 (金)

ザ・ロック・ショー

      
Dragon head Miracle

アーティスト:吉井和哉

Dragon head Miracle

今年2月のZepp Tokyoでのライブの模様をそのまま収録したライブアルバム。

おそらく、ライブの臨場感を出すためでしょう。吉井和哉のボーカルとバンドの音に音を絞るのではなく、わざと周りの観客の声援なども取り込んだミックスがほどこされています。そのため、音は少々悪い印象を受けるかもしれませんが、ライブの臨場感はバッチリ。個人的にも、こういうミックスのライブ盤の方が好みなので、その場の雰囲気をそのまま味わえるかのように楽しむことが出来ました。

ライブ盤を聴いてあらためて思うのは、吉井和哉って(いい意味で)ロックスターだなぁ、という点でした。

なんというか、すごく吉井和哉という個性が際立っているんですよね。彼のそのパーソナリティーの強さがライブアルバムを通じても伝わってきました。

そういう個性あふれるシンガーを擁したライブ盤だからこそ、ライブ自体はまるでロック・ショーのようなエンタテイメント性を感じることが出来ました。おそらく、それこそが吉井和哉の魅力なのではないでしょうか。そして、そんな魅力をCDという媒体にしっかりつめこんでいる、実に素晴らしいライブ盤だったと思います。

評価:★★★★★

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2008年5月22日 (木)

どっちがタイトル?

      
シフォン主義

アーティスト:相対性理論

シフォン主義

どっちがタイトルでどっちがミュージシャン名かわかんない、といえば、(若い世代には信じられないかもしれないけど)スピッツのロビンソンが昔、よく話題になりましたが、このアルバム、なんど調べてもどちらがタイトルでどちらがミュージシャン名か、混乱してしまいます。ちなみに、相対性理論というバンドの、シフォン主義というアルバムです。

そもそも、このバンドが気になったのは、こういう記事がきっかけ↓

快挙!相対性理論がタワレコ全店でウィークリー1位

どんなバンドか気になってネット上で調べてみると、絶賛している声も多く気になっていました。

で、タワレコでこのアルバムを見かけたのですが

1,000円という安さにひかれて購入しちゃいました。

・・・てか、チャート1位ってのは、この値段によるところも大きい気がするなぁ・・・。

そんな訳で、衝動買い的に購入し、聴いてみた本作なのですが、正直な感想を言ってしまうと

期待していたほどじゃなかった

というのが正直な感想。

確かに、インパクトのある言葉選びはおもしろさを感じました。

「CIA KGB FBIに共産党の陰謀よ」
(「スマトラ警備隊」より 作詞 真部脩一)

「ラブ ラブ ラブずっきゅん ラブずっきゅんだね」
(「LOVEずっきゅん」より 作詞 真部脩一)

など、非常に印象に残る歌詞が並ぶのですが、まだインパクト先行気味で、しっかりとした世界観を構築するまでは至っていません。

メロディーの方も、よくあるギターロックという枠組みを出るものではなく、ポップなメロディーは歌詞と相まって印象に残るのですが、こちらも残念ながら、確固たる個性を確立して・・・という水準にまでいたっていませんでした。

総じて言ってしまえば、将来性は感じるけど、現段階では、まだ原石の状態、といった感じでしょうか。1,000円という値段を考えると、元はとれるほどのレベルではあったかな、とは思いますが、まだまだこれからといった感じでした。

とりあえず、先物買いをしたい方は、いまのうちに要チェックかな。

評価:★★★★

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2008年5月21日 (水)

「相棒」効果

タイトルはアルバムチャートで。

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

先週に引き続き、またもやジャニーズ系が1位を獲得。今回は、KAT-TUN「DON'T U EVER STOP」で、初動38万枚を獲得。前作が初動35万枚なので、ほぼ横ばい。固定ファンのみが購入している状況を、見事なまでに反映しています。ちなみに、初動38万枚は、今年に入ってシングルで一番という、すごいのかそうじゃないのか、微妙な記録を達成しています。

ちなみにKAT-TUNといえば、作家陣が有名なミュージシャンと無名なミュージシャンの交互に担当しており、前作が無名だっただえに本作は・・・と思いきや、本作も、誰これ??

・・・と思いきや、作曲に名を連ねるShusuiって、元cannaの周水なんですね。懐かしいなぁ、canna。なにげに、彼って、今は作家に専念していて、ジャニーズ系を中心に、様々なヒット曲書いているんですね。canna、鳴り物入りのデビューと比して、全然売れなかったからなぁ。こうやってブレイクしたのはうれしいですね。

以下・・・

スガシカオ5位初登場。多分、自己最高位のはず。こちらも根強い固定ファンがついているミュージシャンながら、今回はアニメタイアップというのも後押ししたのかな?

6位には、デビュー当初の騒がれっぷりに比べて、すっかり影が薄くなってしまった絢香がランクイン。ただ、ドラマタイアップに恵まれ、なんとか下げ止まった模様。

そして9位には清春がいきなりランクインしています。なんか、久しぶりに聞く名前のような・・・。特に大きなタイアップもないのですが、なんでいきなり?ちなみにデビュー15周年盤だそうで、黒夢でのデビューからそんなにもなるんだ・・・。

ちなみにロングヒット勢は、羞恥心が今週8位と大幅ランクダウンで失速気味。ここがふんばりどころか?一方、根強い人気のジェロは12位にランクアップし、再ランクインを狙っています。こちらはまだまだ売れそう。あと、先週2位にランクインしてきたAqua Timezが今週も2位をキープ。こちらもロングヒットの気配が?


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週の1位、2位はある意味、伏兵だなぁ。1位には、いきなりSuperflyのデビューアルバムがランクインしてきました。Superflyは、デビュー直後はかなり騒がれたのですが、その後、メンバー脱退もあって、失速。このまま消えてしまうのかなぁ?なんて思いきや、いきなりアルバムで大ブレイクしちゃいましたね。徐々に固定ファンを獲得していった、ということかなぁ。正直、ちょっと意外なヒットでした。

そしてそれ以上にビックリしたのが、水谷豊のセルフカバーアルバム「TIME CAPSULE」が2位にランクイン!アルバムとしては、なんと約30年ぶりのベスト10返り咲きだそうで、これは、オリコン史上返り咲き最長記録だそうです。

いうまでもなく、現在大ヒット中の映画「相棒」のヒットの影響でしょうね。実は「相棒」は以前からなんでこんなに人気があるんだろう、と不思議に思っていました。特段、目新しいタイプの刑事ドラマじゃなですしね。

ただ、先日2ドラでやっていた、第1回放送分の再放送をはじめて見たんですが、確かにおもしろいですね。ストーリー自体は普通のサスペンスドラマの枠を出ていなかったのですが、水谷豊演じるクールなキャラと、寺脇康文演じる、熱血キャラのデコボココンビの対比が上手く、コミカルに描かれていて、確かにこれは人気が出るなぁ、と思いました。

ちなみに、水谷豊といったら、今ではあまり歌手のイメージはないのですが、79年には「カリフォルニア・コネクション」が65万枚を超す大ヒットを記録しています。もちろん、この曲のセルフカバーも本作には収録されています。

5位長渕剛はラブソングを集めた企画盤的なベストアルバムだそうです。

あと7位に、既に当サイトでも取り上げたthe band apartの新譜がランクイン!コンスタントにヒットを飛ばしていますね。

8位はトランスのコンピ盤。すっかりブームも終わった・・・と思っていたのですが、根強い人気はあるんですね・・・。

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2008年5月20日 (火)

ギターインストの魅力満載

      
HOP!SKIP!JUMP!

アーティスト:DEPAPEPE

 

毎回、実にポップで楽しいギターインストの曲で私たちを楽しませてくれる彼らですが、またもや、明るく爽やかなポップアルバムが出来上がりました!

特に冒頭2曲が実にさわやかなナンバーでスタート。例えば月曜日の朝とかでも、この曲を聴けば一気にやる気が出てくるような、アコースティックギターの音色の美しさを最大限に活用したようなナンバーが続きます。特に「Ready!GO!!」のギターのアルペジオは、美しい海の水面のようにキラキラと光の輝きを感じさせてくれます。

その後は、様々なDEPAPEPEの側面を見せてくれるような曲が並んでいました。

「Great Escape」では、ベースの音がジャズの風味を与え

「禁じられた恋」では、ムーディーなメロディーラインが歌謡曲調に感じられたり

「Marine Drive」はタイトルそのもの。さわやかな初夏の海辺のドライブ風景が頭に浮かんでくるようなナンバーになっています。

そしてラストの「桜風」は、スケール感のある雄大なポップスナンバー。来るべき夏にむけての希望を感じさせるような点で、「桜風」というタイトルをつけたのでしょうか?

毎回のことながら、ポップなギターインストナンバーながらも、メロディーだけ聴かせるではなく、要所要所に凝ったサウンド構成や展開を入れてくることにより、ともすればコンビニのBGMレベルのイージーリスニングになりがちなポップのインストナンバーを、実にクオリティーの高いポップスに仕上げています。

本作は、そんな彼らの作品の中でも、特にバラエティー豊かで、同時にDEPAPEPEらしさを追及し、必要以上にひねらず、しっかりとポップスにまとめあげた傑作だったと思います。既に結構売れているんですが、もっともっと広い層に支持されていいミュージシャンだと思うんだけどなぁ~。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Nayuta/AIR

アルバム全体的におとなしく、少々地味な作品が続いています。もっとも、AIRの書くメロディーの美しさは健在で、特に「Microcosm」の美メロとギターノイズの対比は絶品。ただ、アルバム全体に関しては、今、AIRとして特にやりたい音楽を見出せず、とりあえず態度を「保留」にしている、そんな印象を受けてしまいました。

評価:★★★★

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休むバンドと辞めるユニット

サザン新曲&30周年ライブと無期限活動休止を発表

正直、サザンクラスの大物バンドなら、新曲のインターバルが4、5年あいたとしても問題ないだろうし、わざわざこういう発表をする理由がわかんない。

でも、↓こういうニュースを見てしまうと、本当は解散にしたいけど、会社側から待ったをかけられたのではないか、と邪推してしまいます。

活動停止のニュースで東証一部銘柄が急落「サザンショック」と芸能銘柄

ただ、サザンというたった一組のミュージシャンの動向に左右されちゃう東証一部上場企業ってのも、正直どうよ、と思っちゃうんですけどね。もっとも、株価なんていうのは、えてして、こういうニュースに過剰に反応してしまうものなのですが。


もうひとつ残念なニュースが。

平川地一丁目、今夏のツアーを最後に解散を発表

出てきた時はかなりの鳴り物入りだったんですけどね。ま、一応ベスト10ヒットは出しているし、解散のニュースもヤフーのトップニュースにもなっているし、それなりには成功したミュージシャンと言えるかな?

でも「自分の意思でやり始めた訳じゃなかったので」って、まあやはり、といった感じなのかもしれないけど、なんだかね。まあ、今にはじまった話じゃないし、日本に限った話じゃないし、単純に善悪で判断できる問題ではないんだろうけどなぁ・・・。(なんか、すごい奥歯にモノのはさまったような言い方ですいません)

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2008年5月19日 (月)

「スルメ」なアルバム

      
Adze of penguin(初回限定盤)(紙ジャケット仕様)

アーティスト:the band apart

Adze of penguin(初回限定盤)(紙ジャケット仕様)

なんか、今回のタイトル、ある意味そのまんまなタイトルなんですが、だって本当なんだもの。聴けば聴くほどに味が出る、まるでスルメのようなアルバムとは、まさに本作を言うと思います。

おそらく、あなたがこのアルバムを最初に聴いた時は、とても地味なアルバムだなぁ、という印象を受けるかもしれません。

ただ、そこでこのアルバムをCDラックの奥に押し込めるのではなく、2度3度と聴いてほしいのです。

ポップで耳をひくギターリフを中心に構成され、音数を絞ったシンプルなサウンドは、聴けば聴くほど深みにはまっていくような魅力を持っています。

特に前半、このギターリフが実にいい味を出した曲が並んでいます。前半の曲は、特にメロディーを盛り上げるわけではなく、淡々とした流れが続くのですが、曲をポップだと感じる要素は、決してメロディーだけではなくと気がつかされます。

中盤、実験的な作風の「bacon and eggs」をはさんで・・・

後半は、実にリズミカルで、かわいらしい、飛び跳ねるようなポップなナンバーが続きます。「Moonlight Stepper」や、「Waiting」あたりは、誰でもすぐに気に入りそうなナンバーかもしれません。

そんな感じで・・・

アルバム全体としてはシンプルで、淡々とした内容ながらも、全編、様々な作風の曲があり、リスナーを飽きさせません。以前と比べてパンク色は薄くなりましたが、シンプルなサウンドとギターリフを中心とした曲づくりは、むしろ以前よりもロックンロールテイストを感じさせるアルバムと言えるかもしれません。アルバムをリリースするたびに傑作を産み出す彼ら。まだまだこの勢いは止まらなさそうです。

評価:★★★★★

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2008年5月18日 (日)

結局、この路線なのかなぁ。

Title:Bondage Heart
Musician:フルカワミキ

バンド解散後、ソロ活動で迷走してしまうミュージシャンは少なくありません。

バンドが偉大であればあるほど、それを超えよう、バンドと異なることをしようという意識が強すぎるのかもしれません。

先日取り上げたベンジーなどはその典型例ですが、スーパーカーに関しても、ナカコーとフルカワミキは、解散後、その活動が迷走しているような印象を受けます。

本作も、「Candy Girl」からいきなりまんまジザメリ・・・というよりもそのまんま初期スパカみたいな、王道シューゲイザーといった感じの曲からスタート。(・・・ってか、「Candy Girl」ってタイトル自体、ジザメリのデビュー作「PSYCHOCANDY」から取っているのか?)

その後も基本的には、シューゲイザー、ギターポップの影響をもろに受けたような曲が続いていきます。「La La La」なんて、まだに王道のギターポップスチューンですし。

ただ、その後は雰囲気がかわっていきます。音数を絞ったきれいな、そして幻想的な曲調へ・・・って、ここらへんの曲は、こんどはシガーロスあたりを彷彿とさせちゃうんですよね。

どうも全体的にフルカワミキとしての個性が確立されていないように感じました。前半のギターポップ路線は聴きやすくて、そういう意味では悪いアルバムではなかったと思うのですが。前作に続いて、どうもちょっと辛い作品が続いちゃいましたね。そろそろ、傑作、とまではいかなくても、フルカワミキとしての個性を感じさせる作品を出さないと厳しいのでは?

評価:★★★

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2008年5月17日 (土)

ダンス以上にポップであることを追及

      
Dopamaniacs(初回生産限定盤)

アーティスト:DOPING PANDA

Dopamaniacs(初回生産限定盤)

ドーパン9ヶ月ぶりのニューアルバム。

アルバムを聴き始めると、冒頭、いきなりいつも通りのドーパンらしい、キラキラとしたダンスポップチューンからスタートします。

アルバム自体のイントロという位置付けの1曲目を終えると、シンセのリフが印象的で心地よい「nothin'」や、低音のリズムが迫力のあるグルーヴを生み出している「We won't stop」など、前半はノンストップのダンスナンバーが続きます。

しかし、これが後半になると一転します。

アシッドジャズ風の「thunder」や、ホーンセッションを導入した「coffee high」、さらにはストリングスをいれ、メロウな雰囲気に仕上げた「summer song」など、いずれも明るいポップチューンながらも、「踊れる」というよりも「聴かせる」内容に仕上げられています。

ラストの「kiss my kiss」こそ、再びダンスチューンで締めくくられているものの、全体的にダンスアルバムというよりも、ポップスアルバムという印象を受けました。

また、ダンスチューンにしても、音数を絞ったサウンド構成になっていて、彼ら自身、新境地を模索しているのではないでしょうか。個人的にはバラエティーに富んで楽しめるアルバムだと思うのですが・・・ただ、ラストはもっとアゲアゲなダンスチューンで締めくくってほしかった、かも。

評価:★★★★

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2008年5月16日 (金)

インパクト満点

      
ブタベスト

アーティスト:たむらぱん

ブタベスト

ジャケット写真とタイトルだけで、ごはん3杯はいけます!

というか、「たむらぱん」というミュージシャン名もインパクト大なのですが・・・

「My Space」で話題騒然となった女性シンガーのメジャーデビュー1枚目。インディーズ時代の楽曲なども多く収録した、タイトル通り、この時点での「ベスト盤」のようなアルバム、だそうです。

ただ、ジャケ写やタイトル、ミュージシャン名から比べると、楽曲自体は、いたって真面目なポップス。等身大の身の回りのことを歌った内容や、前向きな明るいポップスが魅力的。

また、彼女の魅力と感じるのは、前向きな歌詞ながらも、人としてポジティブな側面もネガティブな側面もきちんと受け止めようとする歌詞の内容。特に1曲目の「責めないデイ」のような

「喜んで今日はよし←それもいいよ
怒って今日はよし←それもいいよ
哀しんで今日はよし←それもいいよ
楽しんで今日はよし←それもいいよ」

(作詞 田村歩美 「責めないデイ」より)

人としてのありのままを受け入れるスタンスに、とても好感をもてました。

加えてユニークだったのは、彼女のメロディー。ピアノの音色が印象的なアレンジも魅力的なのですが、先の読めない彼女のメロディーセンスにはとてもひかれるものがあります。

特にメジャーコードとマイナーコードを自在に行き来する構成はとてもユニークで、ちょっと不思議な「ひねくれた」ポップスに仕上がっています。表面的にはポップなメロディーながらも、どこかひねくれた、独自のグルーヴを感じる点、aikoに通じるものがあるかもしれないですね。

メロディーにしろ歌詞にしろ、まだ垢抜けない部分があり、成長途上とも感じられるのですが、個性を持った、とてもおもしろいミュージシャンだと思います。女性ポップスシンガーが好きなら、文句なしでチェックすべきアルバムでしょう。しかし、ジャケ写、タイトル、ミュージシャン名、どれもすごいインパクトだよなぁ・・・。

評価:★★★★★

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2008年5月15日 (木)

大きな一歩前進

      
We ate the machine(初回生産限定盤)(DVD付)

アーティスト:POLYSICS

We ate the machine(初回生産限定盤)(DVD付)

バラエティーに富んだ、ポップテイストあふれる作品です。

いやぁ、まさかPOLYSICSのアルバムにこんな表現を使うとは思わなかったですよ。だって、ポリっていったら、パンキッシュな曲で勢い重視に押しまくるというタイプのバンドで、ライブは最高だけどCD音源は・・・という典型的なバンドでもありました。

確かに、キャリアの中には、「FOR YOUR ELECTRIP POP」のように、比較的聴かせることに力点を置いたアルバムもありましたし、ケロロ軍曹の主題歌となった「You-You-You」のように、ヒットチャートを狙えるようなポップな曲もありました。

そんなキャリアを経てリリースされたこの作品は、POLYSICSのポップな側面もパンキッシュな側面もうまく捉えた傑作に仕上がっていました。

まず冒頭「Moog is Love」は、ハードロックテイストの作風。しかし、ポップなメロディーが特徴的で、広くロックリスナーからの支持を集めそうな作品からスタート。

かと思えば、ある意味タイトル曲の「機械食べちゃいました」では、その名の通り、機械的な無機質なサウンドをフルボリュームで鳴らすパンキッシュな作品で、ある意味、非常にポリらしい作品になっています。

そして「イロトカゲ」は、一見、パンキッシュなエレクトロサウンドが目立つ作品ながらも、しっかりテクノポップの作品として仕上げていたり、「Blue Noise」では、ボーカルにエフェクトがかかっているものの、よく聴くとしんみりと聴かせるナンバーになっていたりと、パンキッシュな側面からポップな側面まで実に多彩な作品に仕上がっていました。

彼らとしては大きな一歩前進と言える作品ではないでしょうか。昨年も海外でアルバムをリリースするなど、活躍を続ける彼らですが、この作品を聴く限りだと、その勢いは止まりそうにありません。これからも非常に楽しみになってくる1枚です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

GOD/SHERBETS

相変わらず迷走が続くベンジー。冒頭、ニューウェイブテイストの音からスタートするものの、なんか中途半端。その後はいつも通りの作風で、完全にマンネリ気味。聴いていて、音は昔とさほど変わらないはずなのに、なんでここまでおもしろくないんだろう、と逆に考えてしまいました(苦笑)。ここまできたら、いっそのこと、思いっきりイメージチェンジした作品を1枚つくってもいいんじゃない?たとえ、どんな駄作になろうとも・・・。

評価:★★★

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2008年5月14日 (水)

これが「いまどきの」ヒットシーン

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週もまた、ジャニーズ系が1位を獲得。NEWSのニューシングルが初動20万枚で1位を獲得しました。前作も初動20万枚なんで、ここらへん、前作買った人は本作も買って、前作買っていない人は本作も買わない、という、固定ファンだけに支えられているって感じです。まあ、典型的ないまどきのジャニーズ系アイドルらしいのですが。

そんなジャニ系が目立つ昨今のチャートなのですが、初登場も多かった今週のチャートを見てみると、実にいろいろなタイプの曲がランクインしているのに気がつかされます。

2位はいまどきのポップスロック、3位はアニソン、5位はラップに、7位はロックとHIP HOPのコラボという豪華な組み合わせ、8位はヴィジュアル系に10位はサブカル系ロックバンドと、こういうヒット曲の多様性は、ある意味、今のヒットシーンの魅力だと思います。

ま、逆に多様性ゆえに、大きなヒットが出ないのかもしれないですけどね。

個人的に注目は5位のSEAMO「MOTHER」。クリスマス狙いやバレンタイン狙い、あるいは桜のシーズン狙いの曲はたくさんあるのですが、「母の日」を狙った曲ははじめて聴きました。

あと、10位にBase Ball Bearがランクイン!個人的に、チャットモンチーやRADWIMPSと並んで、おととしあたりから期待していたバンド。チャットモンチーやRADWIMPSは既に大ブレイクしてしまった中、彼らだけ出遅れてしまいましたが、ようやくヒットを出せたといった感じでしょうか?タイアップにからんでのブレイクという側面も否定できないかもしれませんが、やはりうれしいニュースです。

それから、3位にランクインしてきたシェリル・ノーム starring May'n。アニメ「マクロスF」(って、これも懐かしい名前だな)のエンディングテーマで、シェリル・ノームはアニメ中のヒロイン名なので事実上、May'nの曲ということになるのですが、彼女、もともとは中林芽依の名前で「実力派R&Bシンガー」としてデビューし、今週ランクインしているSEAMOとコラボで曲をリリースしたりもしているらしいですね・・・。こういう形でのブレイクというのは、素直に喜ばしいことなのか、そうでないのか・・・微妙なところだなぁ(^^;;

8位。はじめて聴く名前なんですが、人気上昇中のヴィジュアル系バンドらしいです。Wikipediaによれば「「ヴィジュアルシーンの良心」と呼ばれている」らしいのですが、楽曲自体は「いかにも」といった雰囲気のポップスロック。それよりも気になったのは、公式サイトの「Profile」の写真が、まるっきりホストの写真そのものなんですが、いいの?

なお、ずっと取り上げてきたロングヒット曲なのですが、今週の新曲ラッシュで、ジェロ安室奈美恵は残念ながらベスト10圏外に。ただ、羞恥心だけがあいかわらず強く、今週も4位にランクインしています。この曲、本当に強いなぁ。まじで、「年間1位」とか取っちゃいそうで怖い・・・。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

マドンナ強し!

今週も先週に引き続き、マドンナのニューアルバムが1位にランクインしました。洋楽女性シンガーとしては、4年ぶりとなる2週連続1位らしいです(ただ、洋楽だけに絞ると、半年前にバックストリートボーイズが記録しているので、それほど珍しい記録ではないかも)

ちなみに先週、イギリス公式チャートで1位とお伝えしましたが、ビルボードのアルバムチャートでも見事1位を獲得。これで日米英での1位獲得となりました。マドンナ、本当に強いですね~。

強いといえば、レオナ・ルイスのニューアルバムが5位にランクアップ。こちらは既にアメリカ、イギリスでは大ブレイク、1位を記録しており、日本でも遅れてブレイクといった感じでしょうか。まだまだ伸びてきそうです。

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2008年5月13日 (火)

ジャンルレスなアルバム

      
BEST OF THE BESTEST(DVD付)

アーティスト:BENNIE K,Diggy-MO’

BEST OF THE BESTEST(DVD付)

BENNIE K初のベストアルバム。

ただし、ベスト盤といっても、アルバム全体でひとつの流れを考えた構成になっているところがうれしいところ(まあ、発売順に並べたベスト盤も、ミュージシャンの成長がわかっていいのですが)。ロックテイストの強い新曲「チャクラ」からスタートし、序盤はアップテンポな盛り上がる楽曲が続きます。「Passista de Samba」で盛り上がりが最高潮に達したかと思えば、後半は一転、しんみりと聴かせるナンバーが続いていきます。

そして本編ラストは「モノクローム」でしっかりと聴かせ、インタールードをはさみ、アンコールともいえる「オアシス」へ。全体の流れから考えると、少々浮いてしまいがちなこの曲をこういう構成でもってくるあたり、よく考えられているなぁ、と感心してしまいます。

さて、ベストアルバムで、あらためてBENNIE Kの曲を通して聴いてみてあらためて感じるのは

彼女たちの楽曲がジャンルにまったくとらわれていない、ということ。

基本的にR&BやHIP HOPのテイストをメインにすえているミュージシャンではあるのですが、上記の通り、「チャクラ」は、むしろミクスチャーロックといった様相ですし、「Passista de Samba」は文字通り、サンバの曲調。また、ヒットした「Dreamland」なんて、R&BやHIP HOPよりもポップスのテイストが強い作品になっています。また、本作にはおさめられていませんが、「ザ・ベニーケー・ショウ~on the floor 編~」では、ゲストにアルファなどをむかえ、ダンスミュージックにも挑戦しています。

まったくジャンルにとらわれない活動スタイルゆえに、彼女たちの曲はポップでとても聴きやすく、幅広いリスナー層を確保できたのでしょう。

ただ、一方で、特にアップテンポな曲に関しては、AメロBメロはCICOのラップ→サビの部分はYUKIの歌い上げるポップなメロディーで一気に盛り上げる、という形でパターン化してしまって、少々マンネリ気味な部分も感じました。ここらへん、ボーカルとラッパーの組み合わせの工夫が、今後の課題かもしれないですね。

評価:★★★★★

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2008年5月12日 (月)

仲間内で楽しそうなんだけども。

      
キラキラ!

アーティスト:曽我部恵一BAND

キラキラ!

どーもサニーデイ解散後の曽我部恵一に関しては、ぬぐいきれない違和感がありまして。

それは、なんか曲がみょーに内向きだという点。

彼自身は、とても楽しそうに音楽に取り組んでいますし、また、インディーで自由にやれるせいか、非常に肩の力の抜けた作品が続いています。

えてして、そういうアルバムは「傑作」になるんですが、どうも彼の場合は、悪い意味で肩の力を抜きすぎ。曲も、どうも自分(たち)だけ楽しめれば、という内向きな感じが否めないんです。

曽我部恵一バンド名義でリリースされた本作。各種メディアでも高評価だったので期待して聴いたのですが・・・。

うーん、やはりどこか内向きだなぁ・・・。

基本的には、かなりポップで聴きやすい作品なのは間違いないと思うんですよ。

また、シンプルなロックンロールのサウンドもとてもリスナーになじみやすく、すんなり耳に入ってきます。「5月になると彼女は」ではJohnny B.Goodeのフレーズを、「街角のうた」では、「A Hard Day's Nights」のイントロを取り入れるなど、オールドスタイルのロックンロールからの影響を強く感じる作風になっています。

でも、どこか内向きなテイストを感じてしまうんだよなぁ。

具体的に言うと、例えばユニゾンのコーラスなど、なんか、「全員で歌いたい」という内輪の雰囲気だけで取られているようで、いまひとつ、曲にあわせていない感じがするし、他にも、バンドサウンドにしても、とにかく楽しく鳴らしているという感じで、いまひとつ垢抜けていません。

ここで、曽我部恵一がたぐいまれなるポップスセンスの持ち主だから、それなりの「良作」に仕上がってしまうんでしょうね。事実、難しいこと抜きに、素直に聴いている分には、十分楽しめるアルバム、だとは思うんですよね。

まあ、本人たちがこれでいい、というのならこれでいいんでしょうが。曽我部恵一なら、もっともっと、広い層にアピールできる傑作を書けると思うんですよね。そういう意味では、本当に惜しい作品です。

評価:★★★★

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2008年5月11日 (日)

「青さ」で売れる年齢でもないよな。

      
K.O(初回限定盤)(DVD付)

アーティスト:RIZE,E.D.O.

K.O(初回限定盤)(DVD付)

1曲目、2曲目を聴いた時は、いままでのイメージと比べ、かなり音に重量感やグルーヴ感も増して、「一皮むけたか?」と思ったのですが

「RADADOX体操」の歌詞で「ガク」っと来てしまいました。

その後も、まあ、英語詞の「Dear Mr.President」はともかく、「Television Song」にしても、社会派の歌詞を狙おうとして、いまひとつひねりにかけ、青さが目立つのが少々痛々しいです。

デビュー当初なら、そういうのもひとつの「売り」だったけど、そろそろ彼らもその段階じゃないよねぇ。

TOKIEが抜けてから課題だったバンドサウンドに関しては確実に成長していて、このアルバムでは文句なしのヘヴィーサウンドを聴かせてくれているだけに、歌詞の痛さが致命傷になってしまっているのがとても残念です。

評価:★★★


ほかに聴いたアルバム

LIFE/ACIDMAN

ACIDMANといえば、どちらかというとメロディーというよりも、ジャズ、グランジ、ヘヴィーロックなどを融合させた、独自のサウンドのおもしろさが売りだと思っていただけに、この作品みたいに、そのサウンドがマンネリ気味になってしまうと正直辛いなぁ。曲の間に、時々カッコいいサウンドは垣間見れるのですが、全体的には以前聴いたことのある音の羅列という感じで、いまひとつおもしろみにかける作品でした。

評価:★★★

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邦楽の絶好の名盤ガイド

 

Jポップを創ったアルバム―1966~1995 必聴disc徹底ガイド

著者:北中 正和


Jポップを創ったアルバム―1966~1995 必聴disc徹底ガイド

洋楽に関しては、ロックの歴史やソウルの歴史を概観するようなディスクガイドがたくさん販売されていて、「ロックの名盤」「R&Bの名盤」みたいなのが(ある程度)確立されています。

ただ一方、邦楽においては、その類のディスクガイドがほとんどありません。フォークや歌謡曲でディスクガイドが発売されていたりしますが、ほとんどが「懐かしの歌謡曲」テイストで、リアルタイムに聴いていたおじさん向けに、その時代を懐かしむ本がほとんどです。

それって、邦楽より洋楽の方が、概して時代の先をいっていたこと、それに伴って、評論家の目が、ほとんど洋楽に向いていたこと、というのが理由にあるかもしれないですが、もうひとつ大きな理由として、日本のポップスシーンにおいて、ロックやポップスという音楽が、いまだに「芸能」的な括りで評価され、純粋に「音楽」あるいは「芸術的」な枠組みで評価されていない点が大きいと思うんですよね。

一番典型的なのがアメリカのグラミー賞と日本のレコード大賞との違い。グラミー賞も、「保守的」との批判が多いのですが、「売れた」曲よりも、「音楽的に優れている」曲を評価し、受賞させようとする姿勢が見られます。一方、レコード大賞は、完全に事務所の力関係による出来レースになっているのはもちろんのこと、それに対する批判にしても「なんで今年売れたあの曲が受賞できないんだ」のような、売れた曲が受賞することが当然、のような風潮があるように感じます。

日本では、ロックやポップスも「芸能的」な括りで捉えられた結果、「売れた」=「優れた曲」的な見方をされてしまって、結果、純粋に音楽的な評価を(一部をのぞいて)ほとんどなされていないように感じます。

しかし、そんな中、本作は、しっかりと音楽的に評価したうえで、名盤を選んで、紹介しています。それも、決して、過度にサブカル、アングラ寄りに走るのではなく、ミスチル、スピッツ、ドリカムや、古いところでは、スパイダーズなど、ともすればサブカル系のリスナーからは「歌謡曲」と捉えられがちな曲も優れているのならしっかりと評価しています。

洋楽だけではなく、邦楽の名盤も聴いてみたいと思っている方には最適なディスクガイドではないでしょうか?私個人も、いま、これで取り上げられているアルバムでまだ聴いていない作品などをいろいろと聴いています。邦楽にも、洋楽に負けない、様々な名盤があることに気がつかされる良書でした。

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2008年5月10日 (土)

The StrokesやArctic Monkeysの1枚目を思い出しました。

      
The Colourful Life

アーティスト:Cajun Dance Party

The Colourful Life

最近、メディアを中心に、かなりの話題となっている新人バンドの待望のデビュー作です。

イギリスでは、いろいろな雑誌に「次にブレイクするミュージシャン」として大きく取り上げられ、日本でも、ロック雑誌を中心に、かなりのプッシュをうけています。

そして、なんといっても話題なのが、彼らの平均年齢が、わずか17歳であるということ(!)。まさに、次の世代を担うべきバンド、というべきなのかもしれません。

楽曲は、パンキッシュなバンドサウンドの中に、ストリングスの美しい音色を織り込ませるのが特徴的。そんなサウンドにのるメロディーは、あくまでもポップで、かつ、どこか懐かしさを感じさせてくれます。

そして、彼らのサウンドがなによりおもしろいのは、そのユニークなギターリフ。独特なギターのリフが耳に残り、彼らのサウンドに、なによりのスパイスを加えています。

特に「AMYLASE」では、そんなユニークなギターリフと、ストリングスの美しい響き、そして懐かしさも感じられるメロディーラインが魅力的な、彼らの良さがよく出ていた作品だったと思います。

ただ、じゃあもろ手をあげて絶賛か、といわれると微妙なところで・・・

なんというか、きちんと「聴きどころ」を聴いた後に聴けば、あるいは、何度か聴いてみれば、徐々に彼らの魅力に気づくのですが、パッと聴いただけでは、いまひとつ、魅力的に感じられない作品でした。

正直、最初聴いた時は、「・・・・悪くないけど、思ったよりフツー」と思ってしまったので。

なんとなく、彼ら自身が、彼らの持つ魅力をきちんと把握しきれておらず、それを上手く外に出せていないのではないでしょうか。

そういう意味で、個人的に、The StrokesやArctic Monkeysの1枚目を思い出してしまいました。

彼らの1枚目も、メディアを中心に大きく取り上げられたものの、パッと聴いただけでは、正直、いまひとつ魅力を十分に感じられませんでした。それは、彼らもまた、デビュー時には、彼ら自身の魅力を十分に把握しきれておらず、それを上手く外に出す方法がわからなかったから、ではないでしょうか。

そして、彼らがしっかり自らの魅力を把握した2枚目は、勢いのあった1枚目に匹敵する、いや、それ以上の傑作に仕上がっていました。

Cajun Dance Partyも、The StrokesやArctic Monkeysと同じ匂いを感じました。おそらく、2枚目は、これをはるかにこえる傑作になるのではないでしょうか。現段階では、まだ原石に近い印象を受けます。しかし、その容量ははかりしれません。今後が非常に楽しみなバンドです。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

Because Of You/Ne-Yo

美しいR&Bのメロウな楽曲を、クリアな歌声にのせて歌い上げる男性シンガー。隙のない楽曲が次々と繰り広げられています。基本的にはバラード中心なのですが、ところどころファンキーな曲があったり、女性ボーカルを起用したりと、リスナーを飽きさせない工夫も。決して悪い意味ではなく「アメリカの売れ線」という印象を受けました。良質なR&Bのアルバム、といったところでしょうか。

評価:★★★★

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2008年5月 9日 (金)

ゆず、人生を唄う

      
WONDERFUL WORLD

アーティスト:ゆず

WONDERFUL WORLD

表題はかなり大げさですが・・・。

本作でゆずがかかげたテーマは、まさしくゆずとしての人生論。「人間狂詩曲」「明日天気になぁれ」など、人生そのものをテーマとして読み込んだ作品が目立ったのが本作でした。

そしてそんなアルバムのラストを締めくくるのが、オーケストラアレンジで壮大に歌い上げるタイトル曲「ワンダフルワールド」「機関銃を抱きしめて眠る子供」などという、衝撃的なフレーズからスタートする本作は、まさにゆずなりの人生、そして人間への讃歌となっています。(まあ、ちょっとミスチルっぽいかなぁ、なんて思ったのはご愛嬌)

そして、彼なりの人生讃歌ではあるものの、単純な人間肯定にはなっていません。前向きな歌詞ながらも、人間としての表の部分も裏の部分も受け入れていこう、そういう意気込みが感じられる彼らの曲は、うすっぺらな人生応援歌とは一線を画しています。

1曲目が「WONDERFUL WORLD」からスタートし、ラストが「ワンダフルワールド」で終わるこの作品は、彼らとしてはコンセプトアルバムを目指したのではないでしょうか。しかし、そんな中でもポップなラブソングなども混ぜて、全体としては明るくポップないつもながらのゆずに仕上げているところが、彼らの実力といったところでしょう。

そんな訳で非常に興味深いアルバムのはずなのですが・・・

正直、上記の数曲の名曲があった以外は、少々あまりに軽いポップスが続きすぎていました。原点回帰といってしまえば響きはいいのですが、ちょっとマンネリ気味すら感じてしまう部分もチラホラ。

ひょっとして重いテーマなだけに、意識的に軽い曲を集めたのかもしれないのですが、結果、せっかくのテーマが上手くいかせず、かなり軽い印象を受けるアルバムになってしまっていました。

もうちょっとヘヴィーな内容でもよかったんじゃないかなぁ。聴き所によっては、かなりいい作品だと思うだけに、少々惜しいアルバムでした。

評価:★★★★

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2008年5月 8日 (木)

今の中高生の心の叫び・・・なのかな?

      
I LOVED YESTERDAY

アーティスト:YUI

I LOVED YESTERDAY

正直なことを言ってしまうと、YUIに関しては、いまひとつ、何がいいのかわかっていません。

いや、正確に言うと、「わからない」というよりも、「わかってはいるけど、共感ができない」といった方がいいかもしれません。

彼女が、その作品の中で歌っている内容は、現在の中高生の心の叫びそのもの。それが、既に三十路をすぎたおじさんに理解できないのは当然かもしれません。

そんな中高生の心の叫びを歌ったミュージシャンは、私がちょうど中高生の昔にも存在していました。

それは、尾崎豊。

そして本作では、尾崎豊を明確に意識したような歌詞がありました。

それが、「My Generation」の以下の歌詞。

「窓ガラス 割るような
気持ちとはちょっと 違ってたんだ
はじめから自由よ」

(作詞 YUI 「My Generation」より)

ここらへんの歌詞など、まさに尾崎豊の「15の夜」「自由になれた気がした15の夜」や、「卒業」「夜の校舎 窓ガラス壊してまわった」などをかなり意識していると思われます。

ただ正直、彼女の年齢からしても、彼女が尾崎豊に影響されたとは到底思えないんですよね。実際、彼女の影響を受けたミュージシャンとして、尾崎の名前は出していないし。そういう意味でも、上の歌詞は、少々、周りからの影響があったんじゃないかなぁ、なんて思ってしまいます。

実際、歌詞の内容に関しても、社会に対してやるせない束縛感をぶちまけ、怒りと攻撃的な態度を貫いた尾崎と比べると、彼女の歌詞はかなり内省的になっていて、素直に前向きな歌詞も目立ちます。

そういう意味では、同じ中高生の叫びを歌い、時として尾崎豊と比べられる、渡辺美里にタイプとしては近いのかもしれません。

ただ、個人的にどうもいまひとつ共感できないのが、ジェネレーションギャップという面が強いのでしょうが、その内容自体にいまひとつ共感できないんですよね。

尾崎や美里って、どこか大人や社会に対する反抗心が歌詞に感じられたのですが、彼女の歌詞って、尾崎や美里同様、思春期ならではの鬱屈した思いを表現しているのですが、どこか現状容認的というか、安直な前向き志向というか・・・「おやじ的価値観」と言われれば否定できないのかもしれないけど、どうも中高生世代の叫びにしては、おとなしすぎないか?なんて思ってしまいます。

そんな歌詞の内容を反映したかのように、メロディーやアレンジも、妙に保守的というか、一時代前のもの。耳障りはよく、それが売れた理由のひとつなのかもしれないけど、あまりにもひねりがなく面白みもありません。実験的ならいい、という訳でもありませんが、ちょっといくらなんでも・・・と思ってしまいました。

彼女がいまいち面白いと思えないのは、単なるジェネレーションギャップなのかなぁ。うーん・・・。

評価:★★★

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2008年5月 7日 (水)

マドンナ強し!

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

1位には見慣れない名前のミュージシャンが。ってか、なんとなく「企画モノ」ってのは一発でわかりそうですね。今週1位を獲得したのは、あのKinki Kids堂本光一こと米寿司(米寿/司・・・まいず・つかさ と読むそうです)。彼が主演する映画「銀幕版スシ王子!~ニューヨークへ行く~」の主題歌で、「米寿司」は、その中の役名だとか。

初動で11万枚というのは、SMAPの前のシングルとほぼ同水準。相方の堂本剛が先日リリースしたソロは初動7万枚なので、こちらの圧勝といった感じでしょうか。

ちなみに、この映画のサントラが、アルバムチャートでも10位にランクインしています。

他にもシングルチャートには見慣れない名前が2組。2位MilkyWay、10位THE ポッシボーは、どちらもハロープロジェクト!系のアイドルユニット。この系列のアイドルは、かなり落ち目落ち目といわれて久しいのですが、それでもチャートベスト10にちゃんとのせてくるのは、やはり固定ファンが強いということでしょうか?

また、5位にはTUBEがランクイン。最近、徐々に暑くなってきたと思ったら彼らの季節ですね(笑)。ご存知、日本の夏の風物詩です。ただ、ここ3作ほどベスト10から遠ざかっていた彼ら。ベスト10入りは4作ぶり、3年ぶり(さらに3年前は冬にリリースしたシングル)のランクインです。

さて、先週の新曲ラッシュで軒並みベスト10落ちしていたロングヒット勢は、今週、また息をふきかえしてきました。ジェロが8位、安室奈美恵が9位と再びベスト10入りしてきています。また、羞恥心は今週も2位をキープ。こちらもロングヒットになりそうです。

そしてその逆。先週1位の東方神起なのですが、本作はなんとか12位をキープ。ベスト20には残りました。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

1位にランクインしてきたのは、マドンナのニューアルバム「ハードキャンディー」!約18年ぶりの1位獲得作だそうで、これで彼女は80年代90年代00年代と1位を獲得。洋楽ミュージシャンとしては史上初の3年代1位獲得を記録したそうです。

参考 http://www.oricon.co.jp/news/rankmusic/54337/full/

このアルバムの中に収録された「Miles Away」がキムタク主演の月9ドラマに採用された、というのもヒットの理由でしょうが、初動わずか5万枚。チャートの谷間にはまったから、という理由も否定できないところです。

もっとも、マドンナ人気は、世界的には健在・・・というか、むしろ再び盛り上がりを見せており、前作「Confessions On A Dance Floor」は全世界で1,000万枚以上のセールスを記録。このアルバムも既にイギリスの公式チャートでは1位を獲得しており、世界的な大ヒットが予想されます。

しかし、このジャケットすごいよなぁ。マドンナって、今年、50歳なんですよね。それにも関わらず、この美貌とスタイルの良さ(さすがにドアップの写真はちょっと・・・だけど)で、この年齢にも関わらず、十分すぎるほどセクシーさを感じてしまいます。楽曲の方も、いまなお、先端的なサウンドを取り入れていて、攻撃的な姿勢をくずしていません。あらためて、いろいろな意味ですごい人だなぁ・・・と思ってしまいました。

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2008年5月 6日 (火)

少々期待はずれでした。

      
GAME

アーティスト:Perfume

GAME

Perfumeという女性アイドルユニットは、今、サブカル層を中心に、「現象」とも言える異常な盛り上がりを見せています。本作も、見事オリコンチャートで1位を獲得し、大きな話題となりました。

そのような中、私も本作を聴いてみたわけですが

正直な感想を言ってしまうと、少々期待はずれでした。

Perfumeという女性アイドルユニットが、これほどの盛り上がりを見せているのは・・・

中田ヤスタカが聴かせる高度なエレクトロサウンドをそのままアイドル歌謡曲というフィールドに導入し、クオリティーの高いエレクトロポップと、アイドルのエンタテイメント性を高い次元で融合させている・・・

というのが大きな要素なのではないかと思います。

しかし、本作でいえば、中田ヤスタカの作るサウンドも、アイドルとしてのエンタテイメント性も、どちらも中途半端ではなかったか、という印象を抱きました。

この作品で、中田ヤスタカは、意識的に歌謡曲テイストをメロディーに加え、自身のユニットcapsuleよりもポピュラリティーを意識した作品に仕上げています。capsuleでいえば、「Fruits Clipper」「Sugarless Girl」の間を狙ったような作風といったところでしょうか。

その結果、実験的なエレクトロサウンドという点では、例えばcapsuleとしての最新作「FLASH BACK」と比べると、一歩引き下がっていました。

しかし、一方、ポピュラリティーという側面から考えても、スタンダードナンバーとなっているアイドル歌謡曲などと比べると、一歩も二歩も引き下がる作品になってしまっています。

具体的に言えば、今、ヒットしている「羞恥心」なんかが典型例なのですが、歌謡曲の強みって、曲の良し悪しを語る前に、有無をいわせず耳に残ってしまう、強度なポピュラリティーを持ったメロディーラインこそ大きな魅力なんですよね。そういうキャッチーなメロディーに、私たちリスナーはワクワクして、ヒット曲に心ときめかしたりもする訳です。

しかし残念ながら、彼女たちの曲は、確かにポップではあるものの、一度聴いたら忘れられないようなキャッチーなメロディー、というのは見受けられませんでした。むしろ、メロディーが中田ヤスタカのサウンドの後ろに下がってしまっていて、メロディーの良さを強調するには、少々、サウンドの個性が強く出すぎているような印象を受けました。

個人的には、エレクトロサウンドとしての実験性と、アイドル歌謡曲としてのエンタテイメント性の高次元での、いわば最小公倍数的な融合を期待していたのですが、残念ながら、現段階では、最大公約数的な融合に終わってしまっていた、そんな作品に感じられました。

誤解しないでほしいのですが、エレクトロポップの作品としては間違いなく名作だったと思います。エレクトロポップが好きというのなら、間違いなく聴くべき作品だと思います。ただ、正直なところ、一部のもろ手をあげた大絶賛に関しては、本作に関しては、少々疑問に感じてしまいました。

個人的には、本作では、「シークレットシークレット」が一番アイドル歌謡曲っぽくて、むしろ全体的にはこの方向ではじけて突き進むくらいがちょうどいいのになぁ、と思ったりします。特に「Take me Take me」みたいな曲から、この曲へと突き進んじゃうあたりが、Perfumeの醍醐味だと思うんだけどなぁ。

評価:★★★★

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2008年5月 5日 (月)

シンプルなポップスかと思いきや・・・

      
秘密

アーティスト:aiko

秘密

いつも思うのですが、aikoというミュージシャンは、ポップスや歌謡曲のフィールドに留まらず、広い評価を受けるべきミュージシャンだと思っています。

約1年半ぶりとなる本作は、まず印象に残るのは、その切ない恋愛表現をつづった歌詞の世界でしょう。

冒頭の「You&Me Both」から、恋人を思う気持ちに、こんな表現をつかっています。

「フライパンの流星群
蒸発する水は綺麗
空っぽの頭に響いた
あなたを想う程に弾ける
小さなマイナスは破裂する」

(作詞 AIKO 「YOU&ME BOTH」より)

抽象的ながらも恋人を思う気持ちを実にわかりやすく、ストレートに表現していると思いません?

また、「片想い」や「別れ」の描写も実に見事。「二人」の中の

「一緒に撮った写真の中に夢見る二人は写っていたのね
後ろに立ってる観覧車に本当は乗りたかった...」

(作詞 AIKO 「二人」より)

という表現も、その瞬間、その写真が目にうかんで切なくなるようですし、ラストの「約束」の

「夏の雲が作るグランドに引いた白線の様な石灰舞う瞬間
あなたの斜め後ろにいた時いつも想い描いた強く淡い明日」

(作詞 AIKO 「約束」より)

も、学生時代の切ない恋愛を思い出しません?

ここらへんの描写も、抽象的な表現と具体的な描写を織り交ぜつつ、見事に恋愛感情を描き出していて、実に見事です。

しかし、それ以上に彼女で素晴らしいのは、その独特な節回しではないでしょうか。

彼女の曲は、パッと聴いただけだと普通のポップスに聴こえるのですが、ところどころ「え?こう来るの?」と思うような意外な展開を次々と見せる意外性を聴かせてくれます。

例えば表題曲の「秘密」など、ピアノの音が印象的なバラードなのですが、そのピアノの和音の展開など、かなりひねった展開になっています。また、ロック風なサウンドが印象的な「星電話」も同様、決してパターンにとらわれない、先の読めない展開が魅力的な作品になっています。

その一方で、ともすれば奇抜さ、ばかりが先にたってしまうそういうひねくれた展開も、実にポップにまとめあげていて、パッと聴いただけだと、そのひねくれた展開にすら気づかせません。

そういう独特の展開が、彼女の楽曲に普通のポップスとは異なる、一種の「グルーヴ」を産み出していると思います。

本作は、そんな彼女の魅力がメロディー、サウンド、歌詞、いずれにもつまった傑作だと思います。以前のCD評で、前々作あたりから「貫禄がついた」という表現をつかったのですが、この作品は、「貫禄」という、マンネリをさらに打破し、再びポップスシンガーaikoとしての輝きを感じさせてくれる作品でした。彼女の底力ははかりしれない・・・これからも、どんどんと傑作を産み出してくれそうです。

評価:★★★★★

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2008年5月 4日 (日)

実にイギリスらしいバンド

Konk

アーティスト:The Kooks

Konk

ああ、いかにもイギリスって感じのバンドだなぁ。

THE KOOKSを聴いて最初に思ったことはこれ。まあ、イギリスらしいっていっても、ブリットポップあたり以降のイメージかもしれないのですが。

「Always Where I Need To Be」のような、ゴリゴリのギターリフを前に押し出した、ロックらしいバンドサウンドの作品もあれば、「One Last Time」のようにアコースティック主体もあるのですが、その一方、どの曲もあくまでもメロディーを聴かせる、という点に主眼を置いています。

それなので、バンドサウンドも含め、全体の構成自体にはさほどの新鮮味もなく、あえていえば「保守的」とすら感じられるような作風になっています。

本作も、イギリスの公式チャートで1位を獲得するなど人気を獲得しており、なんでも、本国では、日本でも話題のArctic Monkeysと匹敵する人気を確保しているとか。確かに、聴きやすく印象に残るメロディーラインは、広い支持を得られそうな印象は受けました。

しかし、日本ではメディアでも大きく取り上げられていませんし、また、CD屋等でもディスプレイは少々ひかえめ。おそらく、バンドサウンドがよくありがち、という点が、本国に比べてさほど騒がれていない理由なのかもしれません。

ただ、ColdplayもTravisも、最初は日本ではほとんど取り上げられていなかっただけに、彼らも今後、日本でも注目されるようになるかもしれません。タイトルの通り、いかにもイギリスらしいバンドなので、イギリスのギターロックバンドが好きならおすすめしたい作品です。日本でもメロディーとか十分受けると思うので、今後、日本でも一気にブレイクする、かも。

評価:★★★★

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2008年5月 3日 (土)

日本人にとっても懐かしさを感じられる音

Age of the Understatement

アーティスト:The Last Shadow Puppets

Age of the Understatement

このアルバム、最初聴いた時の印象は・・・

グループサウンド??

アークティック・モンキーズのフロントマンであり、メインソングライターであるアレックス・ターナーとラスカルズのマイルズ・ケインによるサイドユニット。イギリスでも大きな話題となっているみたいで、イギリスのオフィシャルチャートで本作も見事1位を獲得しています。

特徴的なのは、私が思わず「グループサウンド?」と思ってしまったような、60年代のイギリスのギターロックバンド、The AnimalsやThe Zombiesあたりを彷彿とさせます。

ここらへんの時代の音って、歌謡曲の根底を流れているようなメロディーで、日本人の私たちにもとても懐かしさを感じることができるのではないでしょうか。

また、一方でアレンジは、ストリングスをドラマチックに取り入れた、少々仰々しさすら感じられるダイナミックなサウンド。こちらは昔の映画音楽を思い出させる、といった感じでしょうか?

さて

ここ最近のロックバンドは、過去のロックの再解釈がひとつの流れとなっています。アーティック・モンキーズも、60年代や70年代のテイストの強いバンドですが、The Last Shadow Puppetsは、さらにロックの原点に戻って、ロックを再解釈しようとする試みが感じられました。

そして、彼らなりに解釈したのがこの作品でしょう。まだ聴いていて、「懐かしさ」に帰着してしまう点、まだ現代のロックサウンドとして新たな音を提示できた、とまではいかないかもしれません。ただ、ロックの原点に立ち返ることにより、新たな現代のロックを生み出すための新たな一歩を踏み出した作品、であるかもしれません。

The Last Shadow Puppetsとしての活動を今後も続けるのか、この経験をそれぞれのバンドに持ち帰るのか、どちらにしろ、これからに注目したいところです。

前述の通り、非常に懐かしさを感じられるバンドです。ひょっとしたら、今の若い世代だけではなく、40代50代にも受け入れられるかも?興味があれば、是非とも。

評価:★★★★★

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2008年5月 2日 (金)

ある意味「記念」的な作品か?

スキマスイッチ ARENA TOUR’07“W-ARENA”(初回生産限定盤)(DVD付)

アーティスト:スキマスイッチ

スキマスイッチ ARENA TOUR’07“W-ARENA”(初回生産限定盤)(DVD付)

正直なところを言ってしまうと、彼らみたいなタイプのポップスバンドのライブ盤って、いまひとつ意義がわかりずらいんですよね。

確かに、ライブならではのCDとは違ったアレンジを楽しむことは出来るのですが、例えばロックバンドのような、ライブでこそ発生するようなバンドのケミストリーみたいなものは、いまひとつ薄くて、ライブならではの臨場感も、CDを通じてだとどうも伝わりづらい感じがあります。

また、今回はアリーナツアーということで、アリーナならではの雰囲気を出そうとしたのでしょうか、スケール感を感じさせるような録音状態になっていて、それはそれで雰囲気は出ているのかもしれないけど、音質は少々悪くなっているような感じがしました。

ライブベスト、ということで、ベストな選曲をベストな演奏で聴けるという点では、聴きごたえのある作品だとは思うのですが、やはりファンズアイテム的な要素が強いように感じます。このアリーナライブへ行った方、行きたかったけどいけなかったファンの方にはおすすめ。それ以外は・・・素直にベスト盤を聴いた方がいいかな?

評価:★★★


ほかに聴いたアルバム

志恩/ムック

なんかね、バンドサウンドはすごくカッコイイのに、メロディーがダサダサ(苦笑)。

彼らが影響を受けたヘヴィーメタルを今風に解釈した、ハードコア直系のサウンドは文句なく心地よいし、本作では、「ニューウェーヴ」を意識したということで、80年代風の打ち込みなども入れてきて、曲の世界が広がって、すごくおもしろくなっています。

なのに。メロディーラインがすごく格好悪い(苦笑)。80年代のビートロックを様式化しちゃったような、先のよめるわかりやす~いメロディー。確かに耳触りはいいけど、それだけ。せっかくバンドサウンドはカッコイイんだから、メロディーももっとひねってほしいなぁ。

評価:★★★

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2008年5月 1日 (木)

オルタナティヴアルバム第1位

Mirrored

アーティスト:Battles

Mirrored

「STUDIO VOICE」という雑誌で、「オルタナティヴ・ミュージックランキング100」という企画をやっていて、おもしろそうだったのでパラパラと立ち読みしていたのですが、そんな企画で洋楽で1位になっていたのがこのアルバム。それで気になって、その後、雑誌の影響か、CD屋でもかなりプッシュされていたので、思わず買ってしまいました。

で、音楽的にはどう表現していいのか非常に難しいんですが

ドラムスをメインとして、激しいギターや打ち込みのリズムなども導入して、狂乱的なリズムを作り出し、圧倒的な音圧で押してくるようなバンド

・・・・・・かなぁ?ただ、激しい音で勢いまかせ、ではなく、もっとセンシティブなサウンドメイキングが魅力的。

まあ、オルタナティヴというか、ポストロック的な立ち位置にいるバンドなので、はまるかはまらないかわかれそうなのですが、あくまでもリズム主体の音づくりをしているため、体感的に比較的多くのリスナー層を確保しそう。

でもって自分ははまったか、と言われると

確かに、間違いなくカッコイイバンドだし、いいアルバムだとは思います。

ただ、曲によって差があったかなぁ?

「Tonto」「Share Hangar」「Tij」あたりのダイナミックなバンドサウンドにははまっちゃったけど、うーん、あまりピンとこないような曲もあって

ただ、総じていいアルバムだったとは思います。ロックの新たな一歩を提示することになるのか?これからの活躍にも期待です。

評価:★★★★

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