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2008年4月11日 (金)

He Is A Pop Star!!

FAKIN' POP

アーティスト:平井堅

FAKIN' POP

平井堅といえば、デビュー時は「R&Bシンガー」というくくりでブレイクしましたが、ここ最近、彼の楽曲から「R&B」というくくりは完全にはずれてしまいました。

もともと彼自身、決してブラックミュージック一辺倒ではなく、ポップやロック、さらに歌謡曲からの強い影響を常に公言しており、リスナーとしては非常に雑食性だったことがうかがえます。

おそらく、彼が好きな音楽は、R&Bやロック、歌謡曲などをふくんでの「POP」そのもの。そして、今回、その「POP」という言葉が題材になった本作は、そんな彼の雑食性のスタイルが、存分に発揮された作品になっていました。

とにかく、1曲1曲、楽曲の雰囲気がバラバラ。

80年代テイストを取り入れた、大ヒットナンバー「POP STAR」からスタートしたかと思えば

エロチックなファンクチューンの「fake star」「UPSET」

いろいろと話題となった映画の主題歌となった「哀歌」に至っては、ムード歌謡曲一歩手前

そして、個人的に今回のアルバムで好きなのが「君のすきなとこ」

彼女への愛情を、素朴な言葉と表現で語るラブソングは、KANや槇原敬之あたりの影響を感じさせます。

代表例が「even if」なのですが、KANやマッキーみたいな「等身大の男性の、本音ベースのラブソング」の後継者的(?)存在として、実は彼って、すごく魅力的なラブソングをたくさん歌っているんですよね。

そしてそして!本作では、彼が以前からリスペクトを公言していたKANが楽曲を提供しています!!

それが「Twenty!Twenty!Twenty!」

KANちゃんらしい軽快なポップスソングに仕上がっていて、これで再びKANちゃんの人気があがるとうれしいなぁ・・・なんて思ったり思わなかったり・・・。

ただ、一方で、こういう雑食性のスタンスが彼の個性であり、大きな特徴であると同時に

彼にとって大きな弱みでもあると思います。

というのも、あまりにもいろいろなタイプの曲を歌っている結果、正直、「平井堅」という個性が薄まってしまっているように感じます。顔とは逆に。

結果、これだけの知名度と、ヒット曲の数々にも関わらず、平井堅というミュージシャンは、さほど固定ファンが多くついていないと思われます。

例えば、ここ最近こそその傾向は低くなったものの、「style」や「Strawberry Sex」のように、大きなタイアップがついていないシングルは異常なほど売上が低迷しまう、という現象など、まさに固定ファンがついていないからこそ起こりうる事態といえるでしょう。

こういう固定ファンがついていないミュージシャンって、常にタイアップなどで知名度をあげておかなくてはならず、一度凋落しだすと、一気に消えてしまう(例 小柳ゆき)んですよね。

もっとも、固定ファンがついていない=ミュージシャンの色が薄いからこそ、逆に「瞳をとじて」のようなメガヒットを生み出しやすい、ともいえるでしょう。ミュージシャンの色が濃いと、やはり「聴かず嫌い」のリスナーを多く生んでしまい、結果、固定ファンが必ずCDを買う一方、それ以外のリスナーは見向きもしない、ということになりかねません(例 B'z、長渕剛)。

ただ、今後長く活躍するためには、固定ファンを確保するべきだし。でも、平井堅の、この雑食性は、非常に魅力的であるのも事実ですし・・・難しいところです・・・。

評価:★★★★★

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