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2008年3月 1日 (土)

原点回帰を目指した・・・のか?

orbital period

アーティスト:BUMP OF CHICKEN

orbital period

BUMP OF CHICKENとしては、独特なファンタジック、童話風の世界感が光る歌詞が特徴的。そのもっともたる例はインディーズ時代の「THE LIVING DEAD」だと思うのですが、本作も、そんな「THE LIVING DEAD」同様、どこか童話的な世界感が強く感じられた作品でした。

また、シングル曲も6曲も収録されており、そのため、全体的にも、非常にポップで、聴きやすい内容にまとまっています。

実際、個人的には、メジャーデビュー後では、一番の出来だったかも・・・とも思います。ただ、シングル曲があまりにも多いため、「一番の出来」というのは、少々反則気味かも、とは思うのですが。

ただ、その一方で、ここ最近の彼らに関して感じるのは、少々「狙いすぎ」という点。

このアルバムについてくるブックレットに記載された童話なんかがまさにそう。「狙いすぎ」な上に、童話としては話が冗長になりすぎていて、少々面白みがない(はっきりいってしまえば、ストーリーもありきたり)。ボーカルの藤原本人が書いたらしいのですが、こういう企画をつくるのなら、誰かプロにお願いした方がよかったのでは?

また、歌詞の方も、童話的であるにはあるのですが、以前に比べ、少々抽象的に描こうとしすぎなきらいがあります。まあ、具体的に言ってしまうと、いかにも意味深に描こうとしすぎ。「THE LIVING DEAD」の時のような、もっと素直な歌詞の方が、心に響くと思うんですけどね。

厳しいことを言ってしまうと、彼ら(というかボーカルの藤原基央)、一部の音楽雑誌や評論家から異常に持ち上げられすぎていないか?いや、間違いなく実力のあるミュージシャンなのは間違いないけど、変に「時代のカリスマ」「天才」みたいに評される天才肌のミュージシャンというよりも、もっと素直で普遍性のあるポップスソングを書く、ある意味大衆的な(いい意味でね)ミュージシャンだと思うんだけどなぁ。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

デパクラ~DEPAPEPE PLAYS THE CLASSIC/DEPAPEPE

DEPAPEPEが、クラッシックの名曲のカバーに挑戦したアルバム。クラッシックの荘厳な雰囲気と反して、どれもポップにまとめあげていて、とても聴きやすく、クラッシックといわれる音楽の、特にメロディーラインのすばらしさを再認識させてくれるアルバム。個人的には、「パッヘルベルのカノン」が大好きなので、カバーされているのはうれしいけど、これに関しては、アコギのカバーになって、少々薄っぺらく感じてしまったのが残念。

評価:★★★★★

GUIDANCE FOR LOVERS/the ARROWS

一部では注目はされているものの、いまひとつパッとしないなぁ。ダンスミュージックを取り入れたギターロックというのが「売り」な割りには、ダンスミュージックの要素が中途半端。例えばNONA REEVESみたいに、もっと大胆にダンスミュージックを取り入れればいいのに、とは思うんですが。個人的には、地元名古屋出身ということで応援はしたいのですけどね。

評価:★★★

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アルバムレビュー(邦楽)2008年」カテゴリの記事

コメント

二度目のカキコ(死語?)です。
書いてたら長くなっちゃいました(笑)

私自身は、今作がBUMPのキャリア最高傑作だと思っています。
確かにTHE LIVING DEADの頃ような、分かりやすく、
一聴でインパクトのある純・物語の作品は消滅しましたし、
歌詞もユグドラ以上に非常に難解になりましたが、
今作はむしろ、これまで万人に分かりやすく"物語"のヴェールに包まれていた歌詞が、
今回そのままの形として出てきた、
剥き出しの藤原基央が強烈に投影されたアルバムとは言えないでしょうか。
批評家がやけに持ち上げてる事実はありますが、実際に最近の藤原には
たしかに表現者として不気味なほどの手ごたえを感じます。
「時空かくれんぼ」や「arrows」など、歌詞の中で時空間を視覚化することを
平気でこなしてますし、「恋」だとか「愛」だとか「友情」だとかで定義される
人間対人間の"つながり"もバラバラに解体して組み上げ直してたりしてます
(「花の名」「飴玉の唄」「カルマ」「arrows」等々……)。
こんな書き方すると、ただの盲目的な馬鹿に感じられるかもしれませんが(笑)、
実際に"意味""深"なのだから、意味深に感じられるのも当然、なのではないでしょか?
だので、私は個人的に、「良質ポップスはひとまず他のミュージシャンさんにお任せして、
BUMPはどんどん表現の深淵まで突き進んでくれーッ!」なんて思っています。
(ただ、あの特圧ブックレットに関しては私もちょっと違和感を感じます(^^; )

えっと、その、ゆういちさんの文章を批判する意図はこれっぽちもなくて、
あくまで別の一ファンの声として、ちょっとだけ。

投稿: ゆう | 2008年3月 4日 (火) 00時41分

ああっ、改行が読みづらくなってしまいました。
ごめんなさい(汗

投稿: ゆう | 2008年3月 4日 (火) 00時42分

>ゆうさん
感想ありがとうございます!
いえいえ、私の感想への同意・批判、なんでも大歓迎ですよ!!
うーん、なるほど、確かに、そういう見方も出来る作品ですね!
ただ、個人的には、やはり藤原氏は、そういう内容に物語性をつけて、わかりやすい部分に落とし込んでくれる点で、天才的だと思っているので、私はちょっと違和感を感じてしまいました・・・うーん、ここらへんは、バンプというミュージシャンをどう捉えるのかによるのかもしれないですね~。

投稿: ゆういち | 2008年3月 5日 (水) 00時07分

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