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2008年3月31日 (月)

新たな世界との結びつきを求めて

Title:ワールド ワールド ワールド
Musician:ASIAN KUNG-FU GENERATION

最近、すっかり人気も定着したアジカンの最新作。

この作品、聴いてまず感じるのが

「ポップである」

ということ。

いままでもパワーポップバンドとして、そのメロディーの良さには定評のあった彼らですが、本作では、いままで以上にバンドサウンドが脇役の座に下がり、ポップなメロディーラインが全面に出てきています。

そのため、いままで以上に耳あたりがよく、幅広いリスナー層に受け入れられそうなアルバムだと思います。また、バンドサウンドが後ろに下がったからでしょうか、初期作品に感じられた、他のミュージシャンからの露骨な影響も、完全に消えていますね。アジカンとしての音を作り上げています。

ただ、一方でバンドサウンドが後ろに下がってしまった、ということもあって、「君繋ファイブエム」の冒頭のような、ゾクゾクとくるようなバンドサウンドがほとんどなくなってしまっています。このハードなサウンドとポップなメロディーのバランスがおもしろかった面もあっただけに、残念です。

また、本作で、ひとつ大きな特徴となっているのが社会派の歌詞が目立つ、という点。

「憲法9条」の意味も含めて名づけたという「No.9」はかなりストレートですが、「転がる岩、君に朝が降る」でも

「出来れば世界を僕は塗り変えたい
戦争をなくすような大逸れたことじゃない
だけどちょっと それもあるよな」

(「転がる岩、君に朝が降る」より 作詞 後藤正文)

なんていう、歌詞が見受けられます。

それら社会派の歌詞も含め、アルバムタイトルからして「ワールド ワールド ワールド」なだけに、アルバム全体として、世界あるいは社会との結びつきを意図したような歌詞が目立ちました。

曲のタイトルも、他にも「旅立つ君へ」「新しい世界」のようなタイトルもありましたし、アルバムのラストも

「さぁ飛び出そう
胸躍るような新しい世界」

(「新しい世界」より 作詞 後藤正文)

で終わっています。

おそらく、メロディーがポップになったのも、より広く世界や社会と結ばれようという意図があったからではないでしょうか。

ただし、そこらへんを差し引いても、メロディーをポップにして世界との結びつきを求めたとしたら、少々安直な方向性だったかな、とは思います。個人的には、彼らは、ハードなサウンドを通じてでも、広く世界との結びつきを保てるバンドだと思うので・・・。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

ALIVE Live Tracks from The Last Tour "our PMA 1995-2007"/Kemuri

昨年、惜しまれつつ解散したKemuriの、ラストライブの模様を収録したライブアルバム。2枚組全40曲というフルボリューム。Kemuriというバンドの魅力がそのまま収録されたようなライブアルバムです。最後の曲が「I'm So Satisfied!」というのも、彼ららしい最後だなぁ、なんて感じたり・・・。

評価:★★★★★

Flip Side Collection/SOUL'd OUT

SOUL'd OUTのB面ベスト。コテコテにインパクトを追及したシングルのタイトル曲と比べると、カップリングに収録された曲は、シングルやアルバム収録曲とは一風かわった雰囲気の曲が多く、ある種の癖はある曲が多いものの、これはこれで楽しめました。

評価:★★★★

VENOMETEORIC/BACK DROP BOMB

1年7ヶ月ぶりとなる新作。HIP HOPやハードコアから、テクノあたりまでを網羅したハードなロックサウンドは、独特のものを感じます。音の持つ迫力を全身で感じられた作品でした。

評価:★★★★

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