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2008年3月

2008年3月31日 (月)

新たな世界との結びつきを求めて

Title:ワールド ワールド ワールド
Musician:ASIAN KUNG-FU GENERATION

最近、すっかり人気も定着したアジカンの最新作。

この作品、聴いてまず感じるのが

「ポップである」

ということ。

いままでもパワーポップバンドとして、そのメロディーの良さには定評のあった彼らですが、本作では、いままで以上にバンドサウンドが脇役の座に下がり、ポップなメロディーラインが全面に出てきています。

そのため、いままで以上に耳あたりがよく、幅広いリスナー層に受け入れられそうなアルバムだと思います。また、バンドサウンドが後ろに下がったからでしょうか、初期作品に感じられた、他のミュージシャンからの露骨な影響も、完全に消えていますね。アジカンとしての音を作り上げています。

ただ、一方でバンドサウンドが後ろに下がってしまった、ということもあって、「君繋ファイブエム」の冒頭のような、ゾクゾクとくるようなバンドサウンドがほとんどなくなってしまっています。このハードなサウンドとポップなメロディーのバランスがおもしろかった面もあっただけに、残念です。

また、本作で、ひとつ大きな特徴となっているのが社会派の歌詞が目立つ、という点。

「憲法9条」の意味も含めて名づけたという「No.9」はかなりストレートですが、「転がる岩、君に朝が降る」でも

「出来れば世界を僕は塗り変えたい
戦争をなくすような大逸れたことじゃない
だけどちょっと それもあるよな」

(「転がる岩、君に朝が降る」より 作詞 後藤正文)

なんていう、歌詞が見受けられます。

それら社会派の歌詞も含め、アルバムタイトルからして「ワールド ワールド ワールド」なだけに、アルバム全体として、世界あるいは社会との結びつきを意図したような歌詞が目立ちました。

曲のタイトルも、他にも「旅立つ君へ」「新しい世界」のようなタイトルもありましたし、アルバムのラストも

「さぁ飛び出そう
胸躍るような新しい世界」

(「新しい世界」より 作詞 後藤正文)

で終わっています。

おそらく、メロディーがポップになったのも、より広く世界や社会と結ばれようという意図があったからではないでしょうか。

ただし、そこらへんを差し引いても、メロディーをポップにして世界との結びつきを求めたとしたら、少々安直な方向性だったかな、とは思います。個人的には、彼らは、ハードなサウンドを通じてでも、広く世界との結びつきを保てるバンドだと思うので・・・。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

ALIVE Live Tracks from The Last Tour "our PMA 1995-2007"/Kemuri

昨年、惜しまれつつ解散したKemuriの、ラストライブの模様を収録したライブアルバム。2枚組全40曲というフルボリューム。Kemuriというバンドの魅力がそのまま収録されたようなライブアルバムです。最後の曲が「I'm So Satisfied!」というのも、彼ららしい最後だなぁ、なんて感じたり・・・。

評価:★★★★★

Flip Side Collection/SOUL'd OUT

SOUL'd OUTのB面ベスト。コテコテにインパクトを追及したシングルのタイトル曲と比べると、カップリングに収録された曲は、シングルやアルバム収録曲とは一風かわった雰囲気の曲が多く、ある種の癖はある曲が多いものの、これはこれで楽しめました。

評価:★★★★

VENOMETEORIC/BACK DROP BOMB

1年7ヶ月ぶりとなる新作。HIP HOPやハードコアから、テクノあたりまでを網羅したハードなロックサウンドは、独特のものを感じます。音の持つ迫力を全身で感じられた作品でした。

評価:★★★★

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2008年3月30日 (日)

Pixiesの新譜になったかもしれない1枚

Title:Bluefinger
Musician:Black Francis

ご存知Pixiesのボーカリスト、ブラック・フランシスのソロ作。Pixiesは2004年に再結成し、日本にもフジロックや単独ライブで来日し、ファンをわかせました(つーか、私もライブを見に行きました、もちろん。)

そんなPixiesのボーカリスト、ブラック・フランシスは、Pixies解散後は、フランク・ブラックの名前で活動していましたが、本作は、Pixies時代に名乗っていたブラック・フランシスの名前でリリース。なんでも、Pixiesの新譜としてのリリースを考えていたとか。残念ながら、Pixiesでの復活はなりませんでしたが、Pixiesファンなら、気に入りそうな、軽快で、ポップなロックナンバーが並んだ作品となっています。

そして、Pixiesの新作になる予定だった、と考えながら聴くと、確かにPixiesを意識したかのような作品が並んでいました。

1曲目「Caotain Pasty」から、ノイジーだけども軽快なバンドサウンドは、Pixiesを彷彿とさせますし、2曲目「Threshold Apprehension」のシャウトなど、Pixiesの名曲「Debester」あたりを思い起こさせます。

このアルバムは、オランダのミュージシャン、ハーマン・ブルードに捧げるという形で、彼の曲「You Can't Break A Heart And Have It」のカバーも収録されていますが、これの女性コーラスは、ひょっとしたらキム・ディールを意識したのか?

なぁんてことを、Pixiesファンとしては思い浮かべながら聴いていると楽しい作品。中盤の、どこかルーツ志向を感じさせる作品は、ちょっとPixiesとは雰囲気が異なるかな?なんてことも思うのですが、それも含めて、ポップでロックという、実にPixiesの精神をそのまま引き継いでいる作品になっていたと思います。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

beyond/Dinosaur Jr.

再結成第1弾アルバム。以前の作品は、「Green Mind」しか聴いていないんですが、その時と同様、ポップなギターロックが楽しめましたが、「Green Mind」に比べると、もっと骨太に、アメリカンロックテイストが強く出ていたかな?

評価:★★★★

IT'S ALL AROUND YOU/TORTOISE

以前より音づくりがシンプルになって、音もなめらかな感じになったかな?変に肩肘はらなくて、聴きやすくなった印象が。

評価:★★★★★

WIRE 06 COMPILATION

ご存知レイブイベントWIREのコンピレーション。様々なテクノのミュージシャンの曲を網羅的に聴けるのが楽しい。個人的によかったのは

石野卓球「abuchMORTORHEADPHONECABLEGUY」
ケンイシイ「Megnesium 40.2mg」

どちらも非常にビートが効いていて、テンポがよく、耳をひきました。また

Alter Ego「Transphormer[My My's Alter Eso Remix]」

音の作り方が、独特で、特徴的でおもしろかった。

あと、RYUKYUDISKOみたいに、聴けば一発でその人の曲とわかる個性を持っているのは、やはり強いですね・・・。

評価:★★★★

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2008年3月29日 (土)

2007年ベストアルバム(洋楽編)

すいません。すっかり遅くなってしまったのですが、2007年のベストアルバム洋楽編です。

洋楽は、上位5枚の紹介。邦楽版と違って、洋楽版は、以前紹介した暫定版から、かなり異なっています(^^;;

まず

5位 Favorite Worst Nightmare/Arctic Monkeys

      
Favourite Worst Nightmare

アーティスト:Arctic Monkeys

Favourite Worst Nightmare

なぜかわかんないんだけど、THE STROKESもそうだったのですが、話題になった1枚目より2枚目の方が好きなんですよね。1枚目よりも、売れることを意識してつくったことによって、ポップに仕上がっているからでしょうか?Arctic Monkeysも、正直、1枚目はあまりピンとこなかったのですが、2枚目ははまりました。

4位 As I Am/Alicia Keys

      
As I Am

アーティスト:Alicia Keys

As I Am

日本でもかなり人気が出てきたのですが、アメリカでは圧倒的な人気を誇るR&Bシンガー。力強いボーカルと、ポップなメロディーライン、ほどよい色気がとても魅力的な作品。最初、買おうかどうか迷ったのですが、聴いてみたら一気にはまってしまいました。

3位 Back To Black/Amy Winehouse

      
Back to Black

アーティスト:Amy Winehouse

Back to Black

正式には、2006年の作品ですが・・・グラミー賞受賞で日本でも知名度が一気にあがりましたね。Aliciaが洗練されたR&Bとすると、彼女はくすんだ雰囲気が楽しめるソウル。力強いボーカリストと、60年代テイストのサウンドがとても魅力的で、かつ個性的。スキャンダラスな私生活も話題ですが、それを含めて、スター性を感じるシンガーです。

2位 IN RAINBOWS/RADIOHEAD

      
In Rainbows

アーティスト:Radiohead

In Rainbows

突然のダウンロード販売(それも、価格設定は、リスナー次第!)という販売形式が、大きな話題を呼びました。もちろん、私も、英語で苦戦しながら、ダウンロードして聴いてみたのですが・・・内容も素晴らしい!「OK COMPUTER」を彷彿とさせながらも、さらに新たな一歩を感じさせるメロディアスで、かつしっかりと実験性も感じさせる傑作でした。

そして・・・

1位 Costello Music/The Fratellis

      
Costello Music

アーティスト:The Fratellis

Costello Music

トゥルル・トゥルル・トゥルトゥルトゥルトゥ~♪

「Flathead」(邦題:気取りやフラッツ)にすっかりはまってしまいました。他にも、ポップで楽しい曲がたくさん!!こういう明るく、聴いてだけで笑顔になるような曲が大好きなんですよね~。2007年、文句なしに一番はまったアルバムです。

といった感じ。あらためてベスト5を振り返ると

1 Costello Music/The Fratellis
2 IN RAINBOWS/RADIOHEAD
3 Back To Black/Amy Winehouse
4 As I Am/Alicia Keys
5 Favorite Worst Nightmare/Arctic Monkeys

うん。2007年は、素直にいいアルバムが多かったですね。R&Bが目立ったのが特徴的ですが、FratellisやArctic Monkeysみたいなロック勢もがんばっているし。目だって大きなムーブメントみたいなものはないけど、名曲、名盤もコンスタントに出ているなぁ、と感じた2007年の洋楽シーンでした。

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2008年3月28日 (金)

ピアノの音は相変わらずパワフルで心地よいけど・・・

      
Shock On The Piano(初回生産限定盤)

アーティスト:SUEMITSU & THE SUEMITH

Shock On The Piano(初回生産限定盤)

メジャー3枚目となるニューアルバム。

SUEMITSU&THE SUEMITHといえば、デビュー当初から、濃厚で、疾走感のあるピアノサウンドが魅力的でした。

かくいう私も、デビュー作は、かなりはまってしまっていて、一時期、毎日のように聴いていた時期もあったのですが、その時から思っていたのは

「このアルバムはいいけど、こういうスタイルが続くとすぐ飽きそうだなぁ」

という感触でしたが

飽きちゃった(笑)。

いや、多分、これからも彼の曲は聴き続けるとは思うのですが、さすがに、これだけコッテリとしたサウンドの曲を、続けられるのは正直厳しい(苦笑)。

本人も多少は意識しているのか「ID」みたいなホーンセッションを導入した曲もあるのですが、ともかく、音を詰め込んだようなサウンドメイキングは、即興性はあり、インパクトはあるのですが、これが続いちゃうと、飽きが来るのも早いんですよね。

ピアノの音にしても、基本的には、ベタっとした湿感のある音を出していて、これがまた、曲の「濃さ」に拍車をかけています。

個人的には、もうちょっと薄味にしてもいいと思うんですけどね。なんか、ステーキとかとんこつラーメンとかが連続して出されて、たまにはあっさりとしたおそばを食べてみたいような、そんな気分になってしまうアルバムでした。

評価:★★★★

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2008年3月27日 (木)

初期ソウルフラワーの歩みがわかるベスト盤

      
満月の夕~90’s シングルズ

アーティスト:ソウル・フラワー・ユニオン,ソウルシャリスト・エスケイプ,ドーナル・ラニー・バンド

満月の夕~90’s シングルズ

90年代にソウルフラワーユニオンがリリースしたシングルを、ほぼ時系列にそって並べたベスト盤。他にも、中川敬のソロユニット、ソウルシャリスト・エスケイプの作品や、ソウルフラワー・ウィズ・ドーナル・ラニー・バンドの作品も収録されています。

ただ、ベスト盤なんだけども、90年代におさめた作品群をそのまま収録し、また、デモ盤やらも収録されていて、なんといっても「満月の夕」に至っては、4曲も収録している(笑)など、いろいろとバリエーションを変えて音楽活動を行っている彼らの姿をそのまま収録しており、2枚組で両方とも70分を超える収録内容といい、初心者にとっては、少々とっつきにくい内容になっています。

なので、このアルバムは、どちらかというと、ファンズアイテム。あるいは、私みたいに、ここ数年でソウルフラワーのファンになったような、浅いファン向けの作品かと思います。

ちなみに、聴きどころは、4曲揃った「満月の夕」を聞き比べるのもおもしろいのですが、個人的におもしろかったのは「エエジャナイカ」の石野卓球によるリミックスで、「エエジャナイカ」の日本的なリズムにテクノの四つ打ちのリズム無理やりかぶせたかなり暴力的な作品。ある意味、「珍曲」のレベルに近い内容ながらも、その奇妙なバランス感覚にはまってしまいました。

評価:★★★★

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2008年3月26日 (水)

R&Bの2大巨頭(?)がチャート制覇!

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

1位は見事、ランクイン2週目にして安室奈美恵「60s 70s 80s」がランクイン!

まあ、チャートの谷間的な週での1位獲得とはいえ、2週目にしての1位獲得は見事!シングルでの1位獲得は9年ぶりということもあり、Yahoo!のトップニュースにもなっていたり、ワイドショーで取り上げられたりと話題になっているようですね。

1位獲得については、いろいろとゴチャゴチャ言っているメディアも多いみたいですが

純粋に曲がいいからだと思うんだけどなぁ。

そもそも、今回のヒットに続く流れを考えると、安室への評価の変化が大きな要素だと思います。以前の「安室=小室系のアイドル」みたいな枠組みで見られていたのが変化したのが、2002年の、m-floのverbalや今井了介、ZEEBRAら参加したSUITE CHICへの参加から。SUITE CHICへのアルバムが大ヒットして以降、徐々に「安室=R&B系の実力派シンガー」みたいな枠組みで見られるようになり、それにともない、彼女の曲調も、より本格的なR&B路線へと変化していきました。

その流れでリリースした2005年のアルバム「Queen of Hip Hop」は、前作の倍となる40万枚強の売上を記録し、ミュージックマガジンでは、この年のベストアルバム歌謡曲部門で1位という評価を得て、一気にそのリスナー層を広げました。

そういう流れから考えれば、今回の1位獲得は本格派R&B路線が広く認められ、アイドル的な要素を安室に求める層だけではなく、本格的な実力派シンガーとして彼女を評価する層からの支持も得られた、という点が大きいのかな、と思います。

そもそも、昨年リリースしたアルバム「PLAY」は約7年ぶりにチャート1位を獲得していますしね。シングル1位で騒いで、何をいまさら、という感じはします。

また、そういう意味でも、浜崎や倖田來未失速を、安室人気の理由に求めるのも少々筋違い(まあ、全くの的外れか、といわれると否定はできないけど)。むしろ、浜崎や倖田を支持しない層からの人気を獲得できたからこそ、最近の快進撃につながっているという感じがします。

こうやって考えると、今回のヒットは、純粋に彼女のアーティスト性が評価された結果であり、曲がよかった結果だからだと思います。今回の曲は、「60s 70s 80s」というタイトル通り、60年代のヒット曲、スプリームス(ダイアナ・ロスがいたユニットですね)の「Baby Love」、70年代のヒット曲、アレサ・フランクリンの「ROCK STEADY」、80年代のヒット曲「What a Feeling」をそれぞれ今風にリメイクした作品。企画自体もおもしろいし、出来上がった曲も、それぞれの時代の空気と2000年代の空気がミックスしていておもしろい作品に仕上がっているからこそ、ヒットにつながったのではないでしょうか?

2位THE ALFEEは、これで41作連続ベスト10入り。一時期は、ベスト10入りギリギリをさまよっていて、連続記録を作るためだけに無理やりベスト10入りさせているのでは?という疑惑もあったのですが、ここ最近はコンスタントにベスト10上位に食い込んでいます。まあ、THE ALFEEの人気があがったというよりも、チャート全体の売上が落ちて、結果、固定層をかかえたTHE ALFEEのチャートが相対的にあがったってことかな?

なんか、4位に特撮戦隊モノのテーマ曲がランクインしてきているんですが、なぜ?

いや、曲を聴くと、なんか70年代のアイドル歌謡曲っぽくて、また、歌詞は王道の戦隊モノっぽくて、どこか懐かしさを感じて、なにげに悪くないんですが、それが受けたのかな?

あと、10位の藤木一恵は、小西真奈美のこと。彼女が出演する映画の役名らしいです。

ちなみにロングヒット曲は、山下達郎「ずっと一緒さ」が見事3位にランクアップ。ロングヒットのきざしを見せています。また、すぎもとまさし「吾亦紅」が7位に再ランクイン。驚異的な人気を見せています。

他 青山テルマ 8位→6位
ジェロ 9位→9位
清水翔太 16位→11位

なにげにしぶとくロングヒットを続けている模様です。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムチャートは、こちらも日本のR&Bのトップシンガー、宇多田ヒカルのニューアルバムが危なげなく1位を獲得。初動48万枚は、今年最高の記録らしいのですが、宇多田ヒカルとしては最低の記録で、はじめて初動50万枚を下回ってしまいました。純粋に、いいアルバムだと思うんですけどね・・・。

ほかには・・・谷村新司が11位ですか。ベスト盤とはいえ、根強いファンがいるんだなぁ・・・。

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2008年3月25日 (火)

肩の力が抜けた傑作

      
HEART STATION

アーティスト:宇多田ヒカル

HEART STATION

宇多田ヒカル5枚目となるニューアルバム

まず、このアルバムで耳をひかれるのが、2曲目から6曲目まで、ズラリとシングル曲が並んでいる点。普通、このようにシングルが並んでると、インパクトはあるものの、アルバムとしての流れがとても悪くなってしまいます。

それにも関わらず、このアルバム、特に前半の流れはひとつの物語のように、とてもスムーズ。最初から、アルバムを頭に入れてシングルをつくっていたんじゃないの?と勘ぐってしまうほど。実際は、相当、曲順については悩んだみたいですけどね。

そして、ちょうどレコードでいえば、6曲目までがA面で、7曲目以降B面といった感じで、曲の流れがガラリと変わります。後半は、ちょっと癖のある曲が並んでいます。しかし、本来なら浮いてしまうようなシングル「ぼくはくま」も含め、アルバム全体としての流れが作られており、アルバムの構成の見事さに、まず驚かされました。

そして、本作は、これは本人も語っているみたいですが、メロディーも歌詞もとてもシンプルになっています。

特に歌詞は、本音ベースの歌詞を、飾らない言葉で綴っています。例えば冒頭「Fight The Blues」から、いきなりこんな本音ベースの歌詞にドキリとさせられます。

「女はみんな女優
か弱いフリして めっちゃ強い
それでも守られたいんです」

(「Fight The Blues」より 作詞 宇多田ヒカル)

彼女の書く歌詞は、以前から口語ベースの型にはまらない歌詞が魅力的だったのですが、ここに来て、変な装飾をつけずに、思ったことをストレートに曲にのせた歌詞が目立っています。

また、メロディーやアレンジもとてもシンプル。特にメロディーは、ここ最近、ポップで、ともすればキャッチーであることも素直に受け入れるような内容になっています。

アメリカ進出が失敗して、「本格派R&B」なんて肩書きがはずれたからこそ、素直な曲調を書けるようになったのかもしれませんね。

・・・と思ったら、どうもUtadaとしての2枚目を作成中らしいですね。ということは、
ポップでキャッチーな曲調⇒宇多田ヒカル
本格派R&B⇒Utada

と使い分けるつもりなのかな?

個人的には、ひょっとしたら、いままででの最高傑作かも?と思うほどの出来でした。結婚、離婚を経て、大人になった彼女のそのままがあらわれている、いい意味で、肩の力の抜けた傑作だったと思います。

評価:★★★★★

参考文献 Wikipededia「HEART STATION」

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2008年3月24日 (月)

次の一手が非常に気になります。

      
Award SuperNova-Loves Best-(DVD付)

アーティスト:m-flo,m-flo loves Akiko Wada,m-flo loves BoA,m-flo loves YOSHIKA,m-flo loves LISA,m-flo loves 安室奈美恵,m-flo loves BONNIE PINK,m-flo loves Crystal Kay,m-flo loves 日之内エミ & Ryohei & Emyli & YOSHIKA & LISA,m-flo loves melody.& Ryohei,m-flo loves MINMI

Award SuperNova-Loves Best-(DVD付)

m-floは、ボーカルだったLISAが脱退後、「loves」と題し、他のミュージシャンとのコラボレーションによって新曲を数多くリリースしてきました。本作は、その「loves」シリーズの集大成的なベスト盤です。

コンセプトとして「『loves』の歴史を振り返る」をかかげているのですが、冒頭、草野仁のナレーションからはじまるあたり、完全に世界ふしぎ発見を意識しています。個人的には、もうちょっと露骨にパロってもよかったかな?と思うんですけどね(^^;;

その後、この「loves」シリーズに数多く参加した「ファミリー」ともいえるミュージシャンとコラボレーションを組んだ新曲「love comes and goes」からスタートし、途中、インタールードとして、有名ナレーターによるユニークなナレーションをはさみながら、曲は続いていきます。

基本的には、高音のボーカルが特徴的な女性ボーカルの曲がメイン。まあ、最近のはやりでもありますしね。

それだけに、やはり野宮真貴、CRAZY KEN BANDと組んだ「Cosmic Night Run」や、和田アキ子と組んで紅白でも話題となった「HEY!」が目立つなぁ。特に、和田アキ子みたいな、ソウルフルなボーカリストともっと組んでもおもしろかったと思うんですけどね。

ちょっとそういう意味では、せっかくボーカリストを1人に決めないで活動を続けたわりには、似た雰囲気のボーカリストが多かったなぁ、と感じて、その点では少々不満も残ります。

まあ、これは、アルバム発売時点でも感じていたし、また、逆に、似たタイプのボーカリストが多かったからこそ、和田アキ子みたいな違うタイプのボーカリストが目立っていたのかもしれませんけどね。

ただ、そこらへんを差し引いても、m-floのユーモアさとポップスセンス、そして、ほどよく今風の音を取り入れるセンス、どれもしっかりと光っているベスト盤だったと思います。

しかし、これで「loves」シリーズにひとつの区切りをつけた彼ら。今は、このベスト盤の内容よりも、次の一手をどうするのか、それが気にかかります。また、ボーカリストを加えるのか、このまま、ボーカルを加えず、違うスタイルで曲を発表するのか・・・楽しみです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

NEW STANDARD/SOFFet

他のミュージシャンと積極的なコラボレートを行った本作。ポップスであることを追及したような1枚で、SOFFetらしさが出ている、彼らのいままでの作品では最高傑作ではないでしょうか。

が。

だからこそSOFFetの限界が見えちゃったなぁ。だって、同じようなこと、既に他のミュージシャンがやっているもん。もっとおもしろく。具体的に言ってしまうと「Jackal」って曲、これ、完全にRIP SLYMEだよね?それも、彼らの方がもっとおもしろい音の使い方しているし・・・。

本作のみ聴けばいいアルバムだと思うけど、SOFFetがなぜいまだにいまひとつ売れていないのか、痛いほどわかってしまった作品でした。

評価:★★★

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2008年3月23日 (日)

実はブリグリのポップスセンスって、すごいんじゃないだろうか。

Title:the brilliant green complete single collection’97-’08
Musician:the brilliant green

私が、the brilliant greenというバンドに出会ったのは、今はなきラジオ番組「JAPANESE DREAM」でのこと。デビューシングル「Bye Bye Mr.Mug」を聴いたは、とても衝撃的だったのを覚えています。

全英語詞のそのナンバーは、とても洋楽テイストが強く、特に、その当時(っていうか今もだけど)はまっていた、oasisあたりのイギリスのギターロックバンドの影響をストレートに感じるサウンドは、邦楽離れしており、その当時は、「日本人で、こんな曲を書けるバンドがいるんだ!」と驚いた記憶があります。

そうその当時は

その「Bye Bye Mr.Mug」と、2ndシングル「goodbye and goodluck」という、最初期のナンバー2枚がアルバム初収録となったこのベスト盤。この最初期のナンバーが収録されている、というだけで、うれしくなって聴いてみました。

で。それから10年たって聴いてみると

あれ?こんなにポップで、ベタなメロディーの曲だったっけ??

なんか、思ったより全然邦楽っぽいし(いい意味でも悪い意味でも)、バンドサウンドも、そんなに迫力がない。むしろ、ブレイク後の「冷たい花」「CALL MY NAME」あたりの方が、よっぽど洋楽テイストが強いし、サウンドもおもしろい音出しているよなぁ。

まあ、あの当時は、まだそんなにたくさん、いろいろな音に触れてなかった、ということで。

さて。

ブリグリ初のベストアルバムは、デビューシングルから最新シングルまで、そのまま発売順に並べただけ、のシングルコレクション。

しかし、こうやってシングルを並べて感じるのは、ブリグリの奥田俊作のメロディーセンスは、天性のものだよなぁ、ということ。

デビュー作から最新作まで、「洋楽テイスト」を残しつつ、しっかりとフックを入れてくるメロディーラインは、天下一品。デビュー当初から最近の作品まで、そのメロディーのクオリティーがほとんど低下していない点、本当に天性のセンスを感じます。

ブリグリとしての人気が一段落した後、Tommy Febuary 6などでも大ヒットを飛ばすことが出来たのは、彼の天性のメロディーセンスがあってのことでしょう。

このベスト盤は、見事チャート1位を獲得。ブリグリの人気をあらためて証明しました。このメロディーを持っている限り、まだまだヒットは飛ばせそう。これからにも期待したいところです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

The VOICE/KOKIA

全体的に、オペラ調、クラッシック調の重厚な雰囲気の作品が多く、KOKIAの原点を追及したような作品。一時期は、相当ポップス路線に走っていた彼女でしたが、本来やりたかった音楽はこんな感じだったのかなぁ。前作同様、少々オーバーアレンジ気味なのと、似たタイプの曲が多いのは気になりましたが。

評価:★★★★

MUSHROOMCAT RECORD/SHAKKA RABBITS

全編、ポップで、パンキッシュな雰囲気のポップスロックナンバーが楽しめるベスト盤。メロディーラインのインパクトは十分だけども、曲のタイプが似ていたのと、ポップ路線、ロック路線のバランスが、少々中途半端だったのが、最近、人気が不調の原因かな?

評価:★★★★

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2008年3月22日 (土)

宮本節炸裂!

      
STARTING OVER

アーティスト:エレファントカシマシ

STARTING OVER

宮本節炸裂!!!

もともと、エレファントカシマシの大きな特徴として、ボーカル宮本浩次のメッセージをストレートに曲にのせてくる、という点があります。

そして、本作では、そんなストレートなメッセージが、わかりやすくリスナーの耳をつんざく作品になっていました。

本作での宮本浩次のメッセージの大きな特徴は、とことん前向きであること。

タイトルからして

「笑顔の未来へ」
「俺たちの明日」

と「そのまんまじゃないか」とストレートな内容なのですが、他の曲も、「リッスントゥザミュージック」では

「 リッスントゥザミュージック  僕たちの未来
リッスントゥザミュージック  明日は晴れかい?
ヘソ曲がりの未来地図は 尽きない 尽きない思い
尽きない 尽きない思い」

(「リッスントゥザミュージック」より 作詞 宮本浩次)

とどこまでも前向きですし、アルバムのラストを締めくくる「FLYER」でも

「今日を越え明日へ 遠回りでいい
あふれる熱き涙求めさすらう」

(「FLYER」より 作詞 宮本浩次)

と、視点は「明日」の方向に向いています。

ただ、個人的に、一番印象に残っているのは、むしろこういう前向きソング以上に、恋人を失った後の男の心境をストレートに描いた「こうして部屋で寝転んでるとまるで死ぬのを待ってるみたい」(長いタイトルだ・・・)で、

「天気予報に電話して涙流す」

とか

「もうボクはこの部屋ごと地の底に沈みそう」

とか、愛する者を失った時の感情が、いやというほど描かれていて、心に突き刺さります。
(以上 2行上 4行上 斜字は「こうして部屋で寝転んでるとまるで死ぬのを待ってるみたい」より 作詞 宮本浩次)

また、これだけ強いストレート性を示しながら、メロディーは意外とポップ。聴きやすい内容になっています。

結果、彼らのアルバムとしては久々のベスト10ヒットを記録。広く受け入れられたアルバムになっています。

確かに、ここ最近の彼らのアルバムの中では、いい出来なのは間違いないでしょうね~。

が。

個人的な趣味から言ってしまうと、もうちょっとロックテイストが強い方が好みだったかも・・・。これは完全に「好み」の問題なんですけどね~(^^;;

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

ライフアルバム/いきものがかり

正直、一発屋で終わるかと思っていたら、しっかりファンを獲得しているみたいですね(^^;;

前にもヒットチャートで書いたんですが、たぶん、大塚愛だとアイドルすぎるし、チャットモンチーだとロックすぎる、という層に受けているのかと。ほどよくロックでほどよくポップ。昔でいえば、プリプリとか、もうちょっと最近だとHysteric Blueとか。

本作も、無難にメロディアスでポップな楽曲を並べています。良くも悪くも優等生的で卒がない感じ。アルバムで、これだけ人気が出ているんなら、今後もしばらく、彼女たちの人気は続きそうだなぁ。

評価:★★★★

センチメンタルマキアート/シド

いわゆるビジュアル系にカテゴライズされるバンドなのですが、その中では、かなりポップな作風で、かつ、ビジュアル系独特の歌い方だったり、耽美な世界観も薄いので、広い層に受け入れられそうな曲を書いています。

ただ、中途半端にいろいろな作風を取り入れたり、やけにオーバーアレンジ気味だったり、全体的には、完全に一昔前のビートロックバンドといった感じ。なので、ポップで聴きやすい一方、おもしろみは全然です、正直。

評価:★★★

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2008年3月21日 (金)

"WE" R&B

      
10 YEARS BEST-We R&B-(DVD付)

アーティスト:DOUBLE,DOUBLE feat.VERBAL,VERBAL

10 YEARS BEST-We R&B-(DVD付)

10周年を迎えたDOUBLEの2枚組となるベストアルバム。 もうデビューから10年にもなるんですね・・・。

このアルバム、なんといってもタイトルがうれしい。

「10 YEARS BEST WE R&B」

DOUBLEといえば、デビュー当初は姉であるSACHIKOとの姉妹デゥオということで話題になったのですが、1999年、そのSACHIKOがわずか25歳という若さで急逝する、というショッキングなニュースがありました。

その後、TAKAKOのソロプロジェクトとして活動を続けていましたが、そんな中発売されたベスト盤が、しっかり「WE」と名づけられた、という点は、とてもうれしい話です。

さて、DOUBLEとしての活動を振り返った本作なのですが、やはり「Shake」みたいに、気のあった姉妹のデゥオというスタイルは、非常に魅力的だったよなぁ、ということをあらためて感じてしまいました。

その後、ソロとしては、大人の雰囲気を漂わせた、本格的なR&Bが魅力的なのですが、以前は、かなりの独自性を感じた彼女の曲なのですが、今から聴くと、比較的「普通・・・」と感じてしまいます。

おそらく、それは、以前は大人の雰囲気をかもし出したR&Bを歌うシンガーが、あまり数多くいなかったのに対して、ここ最近、例えば、MISIAだったり、昔は高校生だった宇多田ヒカルだったりが、徐々に大人になるにつれ、「大人の雰囲気」を自身の楽曲に加えるようになったため、大人の雰囲気を出したR&Bが、彼女の専売特許ではなくなってきたからなんでしょうね。

もちろん、それを差し引いても、今でも本格派R&Bを歌い続ける彼女の魅力はかわりません。これからの活動も楽しみになるベストアルバムでした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

QUEST/SPECIAL OTHERS

小気味良い、ジャズ、ポップス、ロックなどの要素のまざったサウンドが魅力的なジャムロックバンド。楽しい雰囲気は、CD以上に、ライブの魅力を彷彿とさせてくれました。

評価:★★★★★

PIANOHEAD/H ZETT M

ピアノをメインとして、ポップをやりたいのか、ロックをやりたいのか、もっとアバンギャルドなことをやりたいのか、いまひとつ、焦点が定まっていないような。軽快なピアノのサウンドは魅力的なんですけどね。

評価:★★★★

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2008年3月20日 (木)

地元出身で、応援しているんだけどね。

      
~Heartful Best Songs~“Thank You!!”(初回生産限定盤)(DVD付)

アーティスト:HOME MADE 家族

~Heartful Best Songs~“Thank You!!”(初回生産限定盤)(DVD付)

メンバーのうち2人が帰国子女なんだけども、それにも関わらず、これほど「洋楽」臭が感じられないのは、ある意味、すごいと思う(^^;;

ひょっとしたら、意識的に洋楽テイストにするのを避けているのかなぁ。マッキーやら米米やら、積極的に邦楽のミュージシャンとコラボレートもしているし。

ただ、それでも彼らが、例えば同郷のnobody knows+や、ファンキーモンキーベイビーズのように、歌謡曲テイストがさほど強く感じないのは、彼らのサウンドには、ジャズやらファンクやらソフトロックやら、歌謡曲と単純に割り切れないような要素が入っているからなんだろうかな。

しかし、それにしても気になるのは、あまりにも保守的な歌詞の内容。

いわゆる家族愛やら、郷土愛やら、友情やらを歌った歌詞が目立ちます。いや、それはそれで魅力的なんだけど、少々道徳の教科書テイスト。多少ならそれはそれで胸を打つんだけど、彼らの場合、その割合がちょっと多すぎるような気も。

いいなぁ、と純粋に思える曲も多いし、普段、HIP HOPを聴かない層にも楽しめる曲を多く書いているミュージシャンだと思うだけに、ベスト盤は、いろいろな方に聴いてほしいんですけどね。

・・・

なんか煮え切らない感想だなぁ(^^;;

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

ANTINOMY/BRAHMAN

いやね、本当は、こちらのアルバムをもっと大々的に取り上げる予定だったんですよ。でも、じっくり聴いてもいまひとつはまれない。確かに、簡単にコアパンクと割り切れない、複雑な音楽構成。時々聴こえてくる、非常にポップなメロディーラインの良さなど、魅力はたくさんあるのは間違いないんですけどね。なんか、全体的に、サビとなる部分のアレンジが、少々薄すぎないかなぁ?なんか、「サビ以外の部分」に力が入りすぎているような・・・。

評価:★★★★

Pastrama-best of bonobos-/bonobos

ごめん。2枚組ほぼCDフルボリュームってのは、いくらなんでも長すぎるわ(^^;;
ベスト盤は、もうちょっとコンパクトに抑えて欲しいところ。ライブ盤とベスト盤は別にした方がよかったのでは?

ただし、もちろんbonobos自体はいいミュージシャンなのは間違いなし。Fishman直系の、浮遊感ある独特なポップの世界が楽しめます。もっとも、CDで聴くより、ライブを見たほうが楽しめるバンドような印象は受けるのですが。

評価:★★★★

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2008年3月19日 (水)

これで4週連続じゃニーズ系が1位

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

1位は関ジャニ∞「ワッハッハー」で、これで4週連続ジャニーズ系が1位!ちなみに、「∞」と書いて「エイト」と読ませます。

ちなみに初動は19万枚なので、初動売上的には、
KAT-TUN(35万枚)>嵐(32万枚)>NEWS(20万枚)>関ジャニ∞(19万枚)>SMAP(11万枚)
って感じですか。最近、ジャニーズ系のグループが多すぎて訳わかんないんですが、人気の順は、こういう風になっているんですね。

この作品、作詞作曲を手がける竹森マサユキというのは、カラーボトルという、仙台出身の新人ロックバンドのボーカルらしいです。すいません、カラーボトルというバンドは初耳で、どんなバンドかよく知らないのですが・・・ただ、ジャニーズ系は、こういう新人ミュージシャンの曲も積極的につかったりしています。まあ、「経費削減」という戦略的な理由もあるのかもしれませんが、こうやって新人の実力があるミュージシャンが注目を集めるのなら、うれしい話ですよね。

これに続く2位の安室奈美恵も初動10万枚超えと好調。最近、本格派R&Bシンガーとして、再び人気が出てきていますが、初動10万枚超えは小室プロデュース時代の「NEVER END」以来7年半ぶりだとか。完全に一時の人気を取り戻しましたね。

逆に、かつての栄光を考えると悲惨な結果に終わったのが30位にギリギリランクインしたKCO・・・誰?ってglobeのKEIKOのソロです。一応、まだ小室先生の奥さんの。

で、試聴してみたんですが、これ、意外と悪くないんですよね。小室先生の曲なんですが、昔だったら渡辺美里あたりに提供されていそーな、シンプルな聴かせるナンバー。こういう曲をコンスタントに書いてれば、またヒットを飛ばすことも出来る・・・かも?

あとヒットチャートをながめると・・・

aikoは、1位にはなかなかなれないけど、ベスト5あたりはコンスタントに入ってくる感じですね。

山下達郎は、これからロングヒットになりそうな感じがします。

中島美嘉ゴスペラーズはいずれもベスト10圏外と苦戦気味。今後が気にかかります。

で、ここ最近注目しているロングヒット組は

青山テルマ 4位→8位

ジェロ 5位→9位

清水翔太 10位→16位

と、新曲が多かった影響で苦戦気味。清水翔太はこのまま消えそうな・・・思ったほどロングヒットしなかったなぁ。

ただ、そんな中、昨年の紅白で話題になったすぎもとまさし「吾亦紅」がしぶとく11位にランクアップ。再ランクインを狙っています。とんでもないロングヒットになりそう。こういう曲といい、ジェロといい、40代50代あたりでも売れそうなタイプの曲は、一発あたるとロングヒットになるよなぁ、本当に。

それで、なぜか今週22位に「およげ!たいやきくん」がランクイン。DVD付の再発版が出た影響で、これでシングル売上記録を更新だとか。まだ人気あるんだ・・・。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週は、1位が柴咲コウのベストで、3位は、同じく柴咲コウの裏ベスト。そんでもって2位に平井堅の新作。平井堅の新作は、約3年半ぶりで、その間発売されたシングルが収録され、さながらベスト盤・・・の割りには少々不調かなぁ。まあ、初動16万枚なら十分ともいえるのですが。

ちなみに本作で収録されている「Twenty!Twenty!Twenty!」は、作詞作曲がKANちゃん!!以前から、平井堅はKANのファンと公言していたのですが、このコラボレートはうれしいなぁ~。

また、ベスト10以下を見ていると、24位にaiko「小さな丸い好日」、30位に同じくaikoの「夏服」がランクインしています。これは、どちらもデビュー10年を記念してリリースされた、初回限定版パッケージの再発に伴うチャートイン。こういう再発版がベスト30入りしてくる点、根強いaikoの人気をうかがわせます。

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2008年3月18日 (火)

そろそろ「ベテラン」の領域に入ってきました。

      
UNIRVANA

アーティスト:堂島孝平

UNIRVANA

なんか、そのちょっとかわいらしい雰囲気のボーカルといい、ポップなメロディーといい、まだまだ若手、という印象も強い堂島孝平なんですが、今年でもうデビュー13年目なんですね。もう完全にベテランだよなぁ・・・。

なんでこんなことを思ったかというと

それは、ここ最近のアルバムが、ベテランとしての円熟さを感じるようになったから、です。

いやね、本作でも、彼のアルバムは、いい意味で変わらず、どこか初々しさもある、ポップなメロディーが基本になっているんですよ。特に前半。

ただ後半、「The Midnight」では、サイケ調のサウンドを聴かせてくれたり、「いとしのフリージア」ではフォーク調のサウンドだったりと、ミディアムテンポのちょっとひねった、聴かせるナンバーを連発。単なるポップスシンガーではないところを見せ付けてくれたのにくわえ、その「ひねくれ」加減には、どこかこなれた部分も感じられ、ベテランとしての余裕も感じられました。

アルバムを出せば出すほど、どんどんと成長していく彼。最近は、テレビ番組での音楽担当など、裏方的な仕事での活躍が目立っていますが、そろそろ本業でもヒット作が欲しいなぁ。他人に提供した曲では、ヒットしているのになぁ。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

TOKYO CITY RHAPSODY/椿屋四重奏

和風のギターロックサウンドにファンクやハードロックの要素も加えて、独特のサウンドを作り出そうとするバンド。本作では、加えて、打ち込みまで導入しています。おもしろいバンドだと思うけど、どうも個性的な方向を目指している割には印象が残んないんだよなぁ。

評価:★★★★

クオリア/ジン

完全に、メジャーデビューすることによって、潰されちゃったバンド。

このアルバムも、少々迷走気味というか、自分たちのやりたいことを見失っちゃっている、というか。まあ、彼女達の実力が、その程度だったといえば、その程度だった、ということなんですけどね。

評価:★★★

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2008年3月17日 (月)

ロックンロールのダイナミズムを感じるライブ盤

      
SHAKE YOUR HIP!!

アーティスト:TRICERATOPS

 

TRICERATOPSといえば、ライブバンドとして定評のあるバンドですが、意外なことに、はじめてとなるライブアルバム。昨年行われたツアーより、横浜BLITZとSHIBUYA AXの公演を厳選して収録しているそうです。

ただ、ライブのダイナミズムって、なかなかCD音源にすると感じられないもの。しかし、このアルバムは、しっかりとTRICERATOPSのライブで感じられる、ロックンロールのダイナミズムを感じることが出来ます。

もともと3ピースの非常にシンプルな構成で、昔ながらのシンプルなロックンロールサウンドを奏でる彼ら。そのシンプルさゆえか?それとも、CDへの録音の上手さゆえか?ともかく、ライブの雰囲気がストレートに感じられる、珠玉のライブアルバムだったと思います。

それに加えて、このアルバム、ライブだからこそ聴ける曲がしっかり収録されているのがうれしいところ。

例えば、LISAとのデゥオという形態で発売された「Believe The Light」のトライセラだけ版とか。

松たか子へ提供した「水溜まりの向こう」、SPARKS A GO GOに提供した「ハートのショップ」のセルフカバーが収録されている、とか。

そして、なんといっても聴きどころが、ライブではおなじみの「ROCK MUSIC」の洋楽カバーメドレー!

毎度、トライセラのルーツともいえる音楽を、カッコよくメドレーとして取り込んでいるのですが、今回は
SLY&THE FAMILY STONE「Dance to the music」
STEVIE WONDER「Superstition」
WILD CHERRY「Play The Funky Music」
MICHEAL JACKSON「Rock with you」

うーん、結構、ブラック、ファンクよりの選曲。最近のトライセラ・・・というより和田唱の興味が、こちらの方に向いているってことかな?

ともかく、ライブバンドとしてのTRICERATOPSの魅力を存分に感じられる、ライブアルバムの傑作だと思います。是非、彼らのライブの魅力を存分に感じてみてください。

評価:★★★★★

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2008年3月16日 (日)

すごいぞ、くるり(常套句)

Philharmonic or die

アーティスト:くるり

Philharmonic or die

くるり初のライブアルバム。2枚組となる本作は、1枚は、昨年12月に、パシフィコ横浜国立大ホームで行われた、ウィーン・アンバサーデ・オーケストラとのライブを収録。もう1枚には、同じく12月に行われた、京都磔磔でのライブの模様を収録しています。

まず、なんといっても1枚目と2枚目の対比に注目!

一方は、オーケストラを導入した雄大なアレンジ。一方は、小さい箱での、最小限の編成でのライブになっています。

オーケストラを導入した1枚目では、雄大ながらも繊細な演奏により、アルバム「ワルツを踊れ」の世界をライブで再現している他、いままでのくるりのナンバーもオーケストラアレンジで披露されています。

特に「ワルツを踊れ」に収録されたナンバー以外については、オーケストラバージョンとはいえ、単純に「アレンジを管弦楽風に直した」だけではなく、いままでのアレンジの中に、管弦楽の音を取り入れることにより、さらに音の世界感を広げています。彼らが「ワルツを踊れ」で目指した、ロックと管弦楽の融合を、推し進めようとした作風に感じます。

一方で、磔磔でのライブは、ロックバンドとしての緊張感を感じさせる内容。正直、くるりって、あまりライブで圧倒させるライブバンドというイメージはないのですが(^^;;やはり、小さな箱で、ファンとの間も近いからでしょうか。迫力を感じさせるライブ盤になっています。

そして次に収録曲に注目!!

本作では、「モノノケ姫」「夜行列車と烏瓜」のような、メジャーアルバム初収録のナンバーや、「すけべな女の子」「帰り道」のような、アルバム初収録となるナンバーもおさめられていて、こちらはファンにとってもうれしいところ。

ここらへん、「モノノケ姫」などはライブの定番曲なので、しっかりライブの模様がCDで収録された点はうれしいですね。欲を言えば「尼崎の魚」とかも聴きたかったかも・・・。

ライブ盤って、傑作が出てくるか、それか、ライブの雰囲気をあまり捉えきれていない凡作になるか、どちらか、というイメージが強いのですが、これは間違いなく傑作です。くるりの実力を感じることのできる作品でした。

すごいぞ!くるり(お決まり)

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Face to Face/CHEMISTRY

よくも悪くも無難にこなしているなぁ、という感じ。良く出来たR&B風ポップス。あまり癖が強くなく、ポップテイストが強いために、R&Bが苦手でも受け入れられそうな一方、癖がない分、印象が少々薄いかも。

評価:★★★★

細野晴臣 STRANGE SONG BOOK-Tribute to Haruomi Hosono 2-

細野晴臣トリビュート第2弾。それにしても、いきなり「風の谷のナウシカ」を、小学校の音楽クラブに演奏させるってのは狙いすぎじゃない?全体的に、サブカルテイストが強い内容で、それぞれのミュージシャンが、好き勝手に演奏している内容。少々マニアックテイストが強く、リスナーを選ぶ内容でした。

評価:★★★★

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2008年3月15日 (土)

祝!復活!!

      
OBLIVION DUST(DVD付)

アーティスト:OBLIVION DUST

OBLIVION DUST(DVD付)

1997年にメジャーデビューし、その後、一部では熱烈な支持を得ながらも、2001年に惜しまれつつ、その活動に幕を閉じたバンド、Oblivion Dust。その彼らが、昨年9月、突然ライブを決行し、そのまま再結成!そして、ついに、約7年2ヶ月ぶりとなるニューアルバムが発売されました!!

内容は、デビュー前と同様、疾走感のあるハードロックに、打ち込みの音なども加えて、スケール感のましたロックサウンド。途中、「When You Say...」「The Ocean」といったバラードナンバーなども加えつつ、最後は、ハードなロックナンバー「Microchipped」で締めくくるといった、ある意味、王道的な展開でアルバムは構成されています。

そして、このアルバムについて一言でいえば、直感的に「カッコいい!!」

こういったら誤解されそうなんですが、ある意味、Oblivion Dustって、すごいベタなんですよ。

基本となるのは、ゴリゴリのハードロックで、ポップも至ってメロディアス。また、打ち込みのサウンドを随所に入れて、音数を増やす構成になっています。

まあ、これだけなら、一昔前のビートロックバンドと一緒。

ただ、Oblivion Dustがおもしろい点は、これに、グランジ系や、ハードコア系からの影響を加えた上で、ボーカルのケン・ロイドの、英語であることをあえて強調するようなボーカルを加えることによって、ともすれば歌謡曲になりがちな、ベタなハードロックサウンドを、一気に洋楽テイストあふれるロックに作り上げている点でしょう。

そのため、ある意味、ベタなロックであるにも関わらず、非常にカッコいいロックを聴かせてくれています。

彼らって、本当なら、もっと大ブレイクしちゃってもいいバンドだと思うんですけどね~。

この手の再結成って、アルバム1枚でサヨナラ、というケースも少なくないのですが、彼らには、これからもコンスタントに活動を続けていってほしいです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

ATTITUDE/SOUL'd OUT

相変わらずコテコテ

HIP HOP+歌謡曲+ディスコチューン+80年代

のおいしいところを全部持っていって、そのまま詰め込んだ感じ。フックの連続はすごく心地よい一方、さすがに、少々食傷気味な側面も。

まあ、彼らは、このコテコテな部分も含めて、「良さ」だとは思うんですけどね。

評価:★★★★

ファミリージェネシス/YMCK

チップチューンの代表的なミュージシャンの3枚目。

ちなみにチップチューンとは、ファミコンの音源のような、制約の多いコンピュータ音源を利用して作成される、独特な電子音楽のこと。(詳しくは、Wikipedia参照

確かに、最初は、懐かしくも新しいサウンドがおもしろいんですが、アルバム1枚続くと、さすがに飽きるよ。チップチューン自体は、おもしろい試みだと思うんで、今後発展するかもしれないけど、まだ現段階だと、シングルの単発ヒットレベルで終わってしまいそう。

評価:★★★★

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2008年3月14日 (金)

変態ポップはヒットチャートを制するか。

      
TEENAGER

アーティスト:フジファブリック

TEENAGER

今、最も期待される新人バンドの新譜。

独特なメロディーの節回しや、キーボードの音などを効果的に入れてくるサウンドが特徴的で、その一筋縄ではいかないサウンドセンスには、一種の「変態性」を感じさせてくれます。

また、その楽曲のタイプは、実に様々。例えば、本作でいえば、

「ペダル」では、ギターのアルペジオを美しく聴かせたかと思えば

「記念写真」では、ピアノの音を印象的に用い

「Strawberry Shortcakes」では、独特なアレンジの音世界が印象に残り

「Super King」では、ホーンセッションを効果的に用いるなど、実に多種多様。

また、本作のハイライトは「若者のすべて」でしょう。タイトル通り、10代後半から20代前半の甘酸っぱい思い出をノスタルジックに描いています。具体的なドラマ描写こそあまりありませんが、だからこそ逆に、誰にとっても思い当たる節のあるような、心に響く名曲になっています。

その枠にはまらない、自由自在で、かつ、変態チックな曲づくりは、往年のユニコーンを彷彿とさせます。(まあ、奥田民生は事務所の先輩ですしね。)

冒頭でも書いたとおり、今、もっとも今後に期待したいバンドの一組です。

ただ、一方で、それだけに気になった点も。

それは、全体的に音の独自性に頼りすぎているきらいが見える点です。

いまひとつ、インパクトが、その「音」自体に頼っていて、メロディーや歌詞からのインパクトが薄いのです。前述の「若者のすべて」にしても、名曲なのは間違いないのですが、パッと聴いて、その世界が頭に入ってくるか、といわれると微妙なところなのです。

また、ユニコーンと異なる点としては、ユーモアセンスがちょっと薄いなぁ、という点。こちらも音のユーモアさに頼りすぎていて、歌詞は至ってオーソドックス。ここらへんは好き嫌いもありそうですが、ああいうユーモラスな音世界を作り出しているのだから、それにあわせて歌詞にもユーモアさが欲しいなぁ。

そういう点もあるので、正直、もう一歩がんばってほしいなぁ、とも思うのですが、下の評価は今後の期待もこめて。これから、まだまだ楽しみなバンドです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

BEST/THE BACK HORN

うーん、こうやって曲を並べると、THE BACK HORNが、あれだけ期待されながら、なぜいまひとつブレイクしきれないのかわかる感じがする・・・。

冒頭の「サニー」みたいな曲からスタートすると、インパクトが強烈なのですが、全体に似たタイプの曲や世界観の歌詞が多いので、後半になると飽きてくるんですよね。1曲1曲取れば名曲なんですが、残念です。

評価:★★★★

音楽の子供はみな歌う/サンボマスター

シングルレベルだと、ポップだなぁと思う曲が多いのですが、アルバムで聴くとかわんないよね、安心します。ハードでファンクなロックンロールサウンドと、その心の叫びをしっかりと聴かせてくれます。

評価:★★★★★

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2008年3月13日 (木)

何を歌っても桜井の曲になっちゃうんだよね。

Title:沿志奏逢2
Musician:Bank Band

Bank Bandとしての2枚目のオリジナルアルバム。

Bank Bandの設立趣旨については、とりあえず、wikipediaにゆずります。

Bank Band(wikipedia)
ap bank(wikipedia)

収録曲は、邦楽のカバーを中心に、オリジナル曲を含む全14曲なのですが、この選曲がおもしろい。

決してメジャーではなく、知る人ぞ知る的な曲を集めたものの、決してマニアックに走りすぎるわけではない・・・いってみれば「名の知れたミュージシャンの、知られざる名曲」を多く選んでいます。(まあ、矢野顕子「ひとつだけ」や、RCサクセション「スローバラード」は定番曲ですが)

個人的には、やはりKANの曲をカバーしてくれたことがうれしいなぁ。それも「何の変哲もないLove Song」を選ぶところが、本当にKANちゃんのファンなんだなぁ、ということを感じさせます。

しかし、一方、これらのカバーが「名カバーか」といわれると、少々微妙な点が。

というのも、桜井って、ボーカリストとして、あまりにも桜井らしさが出すぎているんですよね。

それでいて、どれもミスチルの時と同様、叙情感をあおって歌い上げるような歌い方をしています。

結果、これらのカバー曲は、いわば「桜井」という濃い色のペンキで、曲の上を塗りたくられたような、そんなカバーになっています。

要するに、元曲の本来の良さが、少々後ろに下がってしまう部分が否めないんですよね。

この強烈なボーカリストの個性があるからこそ、ミスチルというバンドは、長く日本のヒットシーンの中心に居続けられるんでしょうが・・・。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

EIGHTH WORLD/MISIA

MISIAらしさがすっかり確立されたアルバム。最近のMISIAって、かなりポップに曲をまとめてくるよなぁ。昔って、もうちょっと本格派R&Bっぽかった印象があるんですが。自分の耳が、以前より本格的なR&Bも「ポップ」と認識するようになったんだろうか?

評価:★★★★

Fantastic OT9/奥田民生

なんというか、アルバムのリリースを重ねれば重ねるほど、奥田民生以外、誰にも歌えないようなアルバムをつくってきますね、この人は。

彼のアルバムの素晴らしさは、その絶妙な力の抜き具合だと思う。

ちょっと聴いた感じだと、彼の曲って、すごく力が抜けていて、ある意味「ふにゃふにゃ」。しかし、よくよく聴いてみると、しっかり要所要所では、骨太のロックを聴かせてくれているんですよね。

そんな音をポップにまとめあげられるのって、彼だけだし、また、彼のあのおとぼけた(ような)ボーカルがあってのことなんですよね。

ますます円熟の域に達成しようとしているアルバムでした。

評価:★★★★★

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2008年3月12日 (水)

シングルチャートはジャニーズ系の独壇場だね(^^;;

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

1位はSMAPの新曲。

これで、先々週の嵐、先週のNEWSと続いて3週連続ジャニーズ系が1位。1週あけてその前がKAT-TUNなんで、まさにシングルチャートはジャニーズ系の独壇場ですね。

ただ、ジャニーズ系は、初動がすごくても、その後、あっという間にチャートから消え去ってしまうので、かつてのビーイング系ブーム、小室系ブームみたいに、ベスト10がほとんどジャニーズ系、という事態にならないのが救いなのですが。

また、SMAPの新曲ですが、初動はわずか11万枚。30万枚超えだった嵐、KAT-TUNの3分の1、20万枚超えだったNEWSの半分。ただ、ここらへん、一部の熱烈な固定ファンというよりも、広く浅いファン層に支えられてるのが、長く人気を保つ理由でしょうか?逆に、こういうタイプのアイドルの方が、曲に恵まれれば、「世界でひとつだけの花」のように、メガヒットを生み出しやすいといえるでしょう。

2位ORANGE RANGE。一時期ほどの勢いはないけども、それなりにヒットを飛ばしつづけています。

7位には絢香、10位にGReeeNの新曲がそれぞれランクイン。どちらもビミョ~~に、下降線をたどっています。

もっとも、GReeeNに関しては、バンド自体の名前で売れたというよりも「愛唄」の良さで売れた、という印象が強いだけに、意外とがんばっているなぁ、という印象。一方、絢香は、むしろ、彼女の名前で売れた、という印象があるので、最近の傾向はちょっと気になるところです。

東方神起ってどれだけ人気があるか、いまひとつ読み取りにくいな・・・。つーか、これほど「シングル買うのは固定ファンのみ」というアイドルも、珍しいかも。

ちなみに先週取り上げたロングヒット3曲は、

青山テルマfeat.Soulja「そばにいるよ」は4位

ジェロ「海雪」は5位

清水翔太「HOME」は8位

清水翔太は、ちょっと苦戦気味か?

ちなみに10位以下では12位にエレカシのニューシングルがランクイン。アルバムもそこそこ売れたし、なんか、再び人気が出てきているのか?


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

1位、アジカン、強し!

「ソルファ」以来の1位獲得ですか。しっかりと人気を確保していますね。まだまだ快進撃は続きそう。

2位はELT、3位は一青窈と女性ボーカル組みが並んでいます。

ELT人気ってなんかしぶといなぁ・・・。ちなみに本作、マッキーの「冬がはじまるよ」のカバーも収録。それはかなり気になります。

一青窈人気もしぶといですね。微妙にしっかり固定ファンを獲得しているって感じで・・・。

7位に初登場したのは、KDDIの「LISMO!」のCMコンピレーション集「Best Of LISMO!」がランクインしています。

邦楽のCMコンピ集がベスト10入りするのははじめて、ということ。ORANGE RANGEやアジカン、宇多田ヒカルのヒット曲などを数多く収録しています。確かに、いままでこの手の、最近のヒット曲を集めた邦楽コンピって、あまり売れた印象がないよなぁ。ただ、このCD不況の中、この手のコンピが売れた、となると、後に続く企画が出てきそうな予感もします。

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2008年3月11日 (火)

この浮遊感とポピュラリティーのバランスがたまりません!

      
magic hour

アーティスト:キセル

magic hour

感想は、タイトルが全てです!

・・・

まあ、突き詰めればそんな感じになるんですが。

インディーレーベルのカクバリズム移籍第1弾となるアルバムで、新譜としては、約2年8ヶ月ぶり。途中、コンスタントに活動はしていたのですが、かなりお久しぶりとなる新譜でした。

ぶっちゃけ、メジャーからインディーに戻っちゃったってことですね。

しかし、本作の出来、個人的には最高傑作であり、かつ、今年を代表する傑作が生まれたかな、とすら思っています。

もともと、タイトル通り、キセルといえば、そのアコースティックなサウンドに、ダブテイストの音処理を加え、独特な浮遊感をアレンジに出し、それにポップなメロディーをのせて歌い上げるバンドで、その浮遊感とポップのバランスがたまらないのですが

そのバランスとして、私は、本作くらいのバランスがちょうど心地よかった!!

いままでの作品と比べると、少々浮遊感の部分が後ろに下がって、ポップテイストにまとまった感じを受けるのですが、より、キセルのメロディーをじっくりとリスナーに聴かせることに成功したアルバムになっていたと思います。

インディーに戻ったのに、ある意味、メジャー時代よりも広いリスナー層に受けそうな作品。

ともかく、この独特な音楽の世界を楽しみたい方、一度、彼らのサウンドに触れてください。

本当に、この浮遊感とポップスのバランスがたまりません!!

評価:★★★★★

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2008年3月10日 (月)

偉大なバンドのラストアルバム

      
Syrup16g

アーティスト:Syrup 16g

Syrup16g

素晴らしいロックバンドが、またひとつ、その歴史に幕を閉じました。

Syrup16g

そんな彼らが、最後に残したアルバムが本作。アルバムタイトルに本人たちの名前を題した作品は、正直言ってしまえば、彼らの最高傑作、ではありません。また、彼らのその活動を総括したような内容、でもありません。

でも、彼らの最後を飾るにはふさわしいアルバムだったと思います。

このラストアルバム、最後であることを意識したような歌詞が多く収録されています。

例えば、「さくら」という曲では、

「すべてを失くしてからは
どうでもいいと思えた
枯れてしまった桜の花
かき集めているんだろう」

(「さくら」より抜粋 作詞 五十嵐隆)

どちらかというと、春になった喜びを歌った曲が多い「桜」ソングの中で、こういう失望感を歌った内容は、彼ららしいといえるのですが、この曲に限らず、失望感を歌った曲が多く収録されていました。

ただ、雑誌などのインタビューでは、解散することを決めてから書いたのではない、と言っているのですが・・・どこか終わりに向かうような感情はあったのでしょうか。

しかし、そんな失望感の中で、ひとかけらの希望や、優しさを追求しているのもまた、Syrup16gの大きな特徴であり、かつ、このアルバムの大きなポイントだったと思います。

具体的に言えば、このアルバムのラストを飾るレクイエムでもある「夢からさめてしまわぬように」の中でも、

「君からもらった空の色
風に吹かれ歩いてゆく
君から学んだその後で
僕は何を返すんだろうか
逢いたいよ」

(「夢からさめてしまわぬように」より抜粋 作詞 五十嵐隆)

というように、失望感の中に、どこか前向きさを感じさせます。

本作は、アルバム全体としては、激しいバンドサウンドもあまりありませんし、また、かつてのような、一度聴いただけで忘れられないような、インパクトの強い歌詞もありません。しかし、しっかりと、Syrup16gとしてのスタンスと、最後に向けてのメッセージを感じさせてくれる作品だったと思います。

ひとつの素晴らしいバンドが、幕をおろしました。

しかし、ひとつの物語は幕をおろしたものの、メンバーそれぞれの物語はまだまだ続きます。

今後の彼らの活動に期待すると共に、また、五十嵐隆が今後、どのような傑作を世に出してくれるのか、楽しみにしていたいと思います。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

MIRACLE/Sherbets

決して悪くはない。悪くはないんだけど・・・ここ最近のベンジーの作品って、完全に一種の様式化しちゃってるよなぁ。本作は、特に、そんな印象を強く感じました。いや、いくら悪くないアルバムをつくっていても、様式化しちゃったら、ロックをやる人間として厳しいだろう・・・。

評価:★★★★

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パヤパヤ

以前から、書店に並んでいて気になっていたのですが、ついに買ってしまいました(^^;;

THE COOL JAZZ COLLECTION

あのディアゴスティーニです(笑)。

ってか、なんだかんだいっても、惹かれちゃうシリーズって少なくないですよね(苦笑)。

以前から、ジャズについてもちょっと知りたい。だけど、名盤を片っ端から聴いたり、「JAZZの歴史」みたいな本を買って勉強するまでの労力を使いたくない、と思っていた身にとっては、ある意味、最適なシリーズ。

私みたいに、ジャズを教養程度に知りたい、という人にちょうどいいのかもね。

で、1回目はマイルス・デイヴィス。私でもその名前を知っているジャズ・プレイヤーです。

CDもさっそく聴いてみたのですが・・・感動しました!!

もう、トランペットが歌っているんですよ!泣いているんですよ!この微妙な表現力に、聴きほれてしまいました。他のプレイヤーの演奏も見事ながら、なんというか、ロックとは全く違った観点からのダイナミックさを感じさせられます。

わずか5曲、それもディアゴスティーニ(笑)で聴いて言うのもなんだけど、やはりジャズも素晴らしいなぁ、なんて感じてしまいました。


 

でも、ひとつ疑問が。

例えば、これを「ロック」でやったとして。

昔のロックもこれからいろいろ聴いてみたいという方に、この手のシリーズを進められるか、といわれると、おそらく「NO」なんですよね。

例えば、ビートルズの場合、「イエスタデイ」や「LET IT BE」なんかのヒット曲だけ5曲収録したCDをつけられて、ビートルズの良さを知れるか、といわれるとほど遠いわけで。

それは例えば、ストーンズでも、ツェッペリンでも同じこと。

特にロックの場合、アルバム1枚で、その世界を表現するケースが多いので、代表曲数曲ピックアップして「ロックの歴史を学ぶ」なんて到底無理な訳です。

そういうことを考えると、ジャズが好きな人にとっては、こういうシリーズで「ジャズの素晴らしさがわかる」というのは、ちゃんちゃらおかしい話なのかなぁ・・・なんて思ったりします。

そこらへん、どうなんでしょう??


もうひとつ、悲しいニュースが飛び込んできてしまいました。

元レピッシュ上田現 逝去

タイトルから、彼らの一番のヒット曲を持ってくるところからもわかるように、レピッシュに対しては、特別な思い入れが、というバンドではありませんでした。

しかし、レピッシュというバンドの評判を聴いていたり、上田現というミュージシャンの作品に触れたりして、そんな私でも、上田現が素晴らしいミュージシャンで、レピッシュというバンドも素晴らしいバンドだった、ということは、今では強く感じています。

それだけに、この若すぎる死というのは残念で仕方ありません。

ご冥福をお祈りします。

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2008年3月 9日 (日)

今、もっとも勢いのあるユニットです。

      
5296

アーティスト:コブクロ

5296

ここ最近、コブクロ人気がとんでもないレベルになっています。

おととい発売されたベストアルバムが200万枚を突破。このニューアルバムも、既にミリオンを突破し、いまだに売上を伸ばし続けています。

コブクロの曲って、ある種の癖がなく、メロディーも、しっかりと耳に残りながらも、過剰なインパクトもなく、ある意味、万人が聴いて「いい曲だね」と感じられる曲。先日のヒットチャートのコラムでも書いた、最も浮動層を取り込みやすいタイプのミュージシャンで、だからこそ、固定ファン狙いが多い最近のヒットシーンの中で、爆発的に売れているのかもしれません。

ただ、これだけ勢いがあるミュージシャンにも関わらず、アルバムの出来は、いつもほとんど変わりません。普通、こういう脂ののった時期のアルバムって、奇跡的な傑作が出てきたりするんですが、よくも悪くも「良作」という作品。まあ、こういう傑作もないかわりに駄作もないスタンスは、今後、長く人気が持続しそう。

評価:★★★★

以下余談

なんか、コブクロって、人気の出方がちょっと珍しいタイプのミュージシャンなんですよね。

というのも、一時期まで、コブクロって、完全に「YELL」の一発屋、と見られかねないほど、デビュー作で大ヒットを記録したものの、以降、人気が下降線をたどっていました。

しかし、その後、「風」のロングヒットなどをはさんで、「永遠にともに」で大ブレイク。現在に至ってます。

ただ、こういう一発ヒットの後に、再度復活を果たしたミュージシャンって、珍しいんですよね。

そう考えて、他に類似例を探したところ、一組、彼らと似たような経緯をたどったミュージシャンがいました。それは

CHAGE&ASKA

彼らも、「万里の河」でヒットを記録したものの、その後、「DO YA DO」まで10年間、シングルでベスト10入りできませんでした。しかし、その後の人気はご存知の通りで。
(ただ、チャゲアスに関しては、「万里の河」以降の時代をリアルタイムに経験していないので、本当に、一時期のコブクロのように、一発屋に近いイメージがあったのかは不明ですが)

そして、その一方で、両者ともに共通するのが、シングルヒットこそなかったものの、その間、アルバムは売れ続けたという点。つまり、しっかりと熱烈な固定ファンをつけていたという点でしょう。

おもしろいのは、同じような人気の経緯をたどった2組のミュージシャンが、共に男性デゥオである、ということ。曲のタイプとしては、ちょっと異なる両者ですが、男性デゥオ同士、通じるものがあるのでしょうか??


ほかに聴いたアルバム

BIRDSONG EP/bird

birdによるベストアルバム。全編、birdらしいアコースティックのオーガニックソウル調にアレンジされており、元曲とかなり印象が異なる点もおもしろい。特にユニークだったのが、サンボマスターのカバーで、サンボマスターのメロディーの良さを再認識させてくれました。

評価:★★★★

SUBTERRANEAN ROMANCE/DOES

骨太のロックサウンドを聴かせてくれる3ピースバンド。ただ、あまり印象に残らなかった・・・。いまひとつ、これといった個性を感じられなかったな・・・。

評価:★★★

DAZZLING SOUND/真心ブラザーズ

やはりソロと真心としての作品は大きく違いますね。真心の作品の中では、桜井の楽曲は、もっとポップに、ロック寄りになるし、YO-KINGの作品は、もっとマイルドに、ポップ寄りに仕上がっています。全体的には、桜井のカラーが強かったかな?しっとりと聴かせるポップが多かった印象が。きっちりとつくられている良作という感じです。

評価:★★★★

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2008年3月 8日 (土)

「ヴィジュアル系」が最近、また注目されてきていますね。

      
DECADE2003-2007

アーティスト:Dir en grey

DECADE2003-2007

デビュー10年を記念して、2枚同時にリリースされたベスト盤。もう10年もたつんですね。デビュー当初、大物バンドとして注目され、YOSHIKIプロデュースでデビューしたものの、他のミュージシャンと同様(例 GLAY、北野井子)、YOSHIKIがプロデュースしているうちはあまり売れなかったなぁ・・・ということがやたら印象に残っています。

その後、地道に活動を続け、いつの間にか、海外で注目を集めるバンド、なんてことになりました。最近、またヴィジュアル系バンドが一部で注目を集めるようになっていますが、そんな動向の先駆け的なバンドと言えるでしょう。

でも、正直なところ、「DECADE 1998-2002」の方は、全然おもしろくありませんでした。

つーか、おそらく、典型的なヴィジュアル系の音といって想像していただければわかるような曲で、ちょっとメタルの影響を受けた、歌謡曲風ビートロックを、やけに仰々しく歌い上げるというパターンが続いていました。

一方、そんな曲調がグッと変化し、一気におもしろくなったのが「DECADE 2003-2007」の方。

ハードコアやメタルのハードなサウンドを全面に押し出した、ゴリゴリのロックサウンドが展開され、おそらく、slipknotとかKornとかが好きなら、はまってしまいそうなタイプのサウンド。一方で、どこか歌謡曲のテイストが入ったメロディーとのアンバランスさがユニークで、ここらへんのおもしろさが海外でも受けたのかなぁ・・・なんて思ってしまいました。

いい意味でも悪い意味でも癖のあるバンドなので、好き嫌いはわかれそうですが、「DECADE 2003-2007」だけでも、ハードコア系が好きならチェックしてみて損はないかも。

ただ、なんでヴィジュアル系のバンドって、揃いも揃って、あんな鼻にかかるような歌い方をするんだ?もっと素直に歌えばいいのに??

評価:
「DECADE 1998-2002」★★★
「DECADE 2003-2007」★★★★


ほかに聴いたアルバム

KEEP ON,MOVING ON/ウルフルズ

ソウルやロックンロールの原点を目指し、なおかつポップスさとユーモアさを追及している、彼ららしい作品。特に、本作は、原点志向を強く感じられました。おそらく本人たちのことを歌ったラストナンバー「四人」は、おもわず聴き入ってしまいます・・・。

評価:★★★★★

PAYDAY/THE HELLO WORKS

スチャダラパーとSKY MONGOOSE、ロボ宙によって結成されたユニット。雰囲気としては、バンドサウンドを取り入れたスチャダラって感じかな?ハナレグミを迎えてセルフカバーした「今夜はブギー・バック」は懐かしくも、今聴いても新鮮味を感じます。

評価:★★★★

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2008年3月 7日 (金)

こういう売り方は「あり」なのかぁ??

      
Sweet,Sweet Happy Birthday

アーティスト:つじあやの

 

★初回限定盤 『(秘)メガヌード』パッケージ
初回限定盤はスリーブケース仕様になっており、そのスリーブケースを外すと、なんとそこには“メガネ”をはずしたつじあやの素顔が!!
自身初のメガネなしショット。その名も『(秘)メガヌード』パッケージ!!
今後2度とない今作のプレミアムジャケット、買い逃しは厳禁です!!

(Amazon.co.jpの内容紹介より抜粋)

・・・・・・ってか、やけにマニアックな売り方だなぁ、おい!!

というか、つじあやのって、そういうキャラクターだったっけ??いいのか?この売り方??

まあ、そういう本筋から離れた話はとりあえず横においておいて・・・

つじあやのの新作は、かなりシンプルな、彼女らしいメロディーやアレンジの作品に仕上がっています。

具体的に言うと、アコースティックメインのアレンジに、彼女のウクレレの音が鮮やかに鳴っている、シンプルなアレンジ。それに、彼女の暖かいメロディーと声が載っています。

雰囲気的には、「BALANCO」あたりを彷彿とさせる作風といった感じでしょうか。ただ、一方、そういう初期の作品とはまた異なった印象を受ける側面がありました。

それは、この歌詞の世界。

もう、彼女も、それなりに「大人」のお年頃なのですが、本作は、そんな女性としてのつじあやのの成長を感じる、大人の雰囲気を感じる歌詞になっていました。

具体的に、本作の1曲目「マーメイド」では、いきなりこんな歌詞が登場しています。

「 今夜月の下で生まれ変わる熱い体
私 生まれ変わる 波に抱かれ踊りながら」

(「マーメイド」より 作詞 つじあやの)

他にも「揺れる夜、愛に抱かれて」では、

「あなたといると花になるのよ
とても愛しいその腕は
私を抱いて夢を見るのよ」

(「揺れる夜、愛に抱かれて」より 作詞 つじあやの)

なんていう、結構どぎつい表現も。

いままでも、比較的彼女は、歌詞の中に「抱く」という表現をつかってきましたが、どちらかというと抱く対象は「夢」だったり「希望」だったり、せいぜい、軽いハグ程度の表現でした。しかし、今回では、具体的に、セックスを彷彿とさせるような表現も多く出てきており、より大人の恋愛を感じさせる作品になっていました。

作風としては、デビュー当初から同じようなタイプの曲が多い彼女ですが、しかし一方で、歌詞の世界では、しっかりと成長しているんですね。

いままでのイメージとはちょっと違う面もあるかもしれませんが、つじあやのが、また一歩、大きく前進したことを感じさせる傑作でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

ファンキーモンキーベイビーズ2/ファンキーモンキーベイビーズ

最近、すっかり歌謡曲化してしまったHIP HOPですが、ある意味、その典型例。
つーか、一応ラップというスタイルはとっているけど、完全に歌謡曲です。
サビの部分じゃラップしてないしね(^^;;

メロディアスで耳に残るけど、面白みという点はほとんど感じられない作品。

評価:★★★

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2008年3月 6日 (木)

2007年ベストアルバム(邦楽編)その2

おまちかね(?)しました。2007年ベストアルバム第2弾です。

5位 ワルツを踊れ Tanz Walzer/くるり

聴いた当時の感想は、旧サイト→「REVIEW」→「く~こ」へ

突然、ウィーンでのレコーディングを実行し、管弦楽とロックンロールの、あらたな次元での融合を目指した1枚。くるりの、あくなき挑戦心を感じさせる傑作でした。

 

4位 ぶっ生き返す/マキシマムザホルモン

      
ぶっ生き返す

アーティスト:マキシマム ザ ホルモン

ぶっ生き返す

聴いた当時の感想は、旧サイト→「REVIEW」→「ま行」へ

そのふざけたようなジャケットや、曲タイトルに誤解している方も多いかもしれませんが、内容は、至って正統派なハードコア。しかも、しっかりポピュラリティーも兼ね備えています。最近、人気上昇中ですが、その理由が痛いほどわかる傑作です。

 

3位 セカンド/ミドリ

      
セカンド

アーティスト:ミドリ

セカンド

聴いた当時の感想は、旧サイト→「REVIEW」→「ま行」へ

セーラー服を着たボーカルだけでインパクト大のバンドですが、内容もかなりのインパクト。パンキッシュなサウンドながらも、意外とポップで切ないメロディーラインと、エロティックな歌詞が魅力的なバンドです。2007年、同じく発売されたミニアルバム「清水」も傑作でした。

 

2位 空洞です/ゆらゆら帝国

      
空洞です

アーティスト:ゆらゆら帝国

空洞です

聴いた当時の感想は、こちら

ゆらゆら帝国の、新たな一歩を感じさせる傑作。あくなく轟音を追及していた彼らが、音と音の間にあるものを聴かせることに成功している作品です。その音の「空洞」に、圧倒される1枚。

そして、2007年のNo.1は・・・

・・・

1位 平成風俗/椎名林檎×斎藤ネコ

      
平成風俗

アーティスト:椎名林檎×斎藤ネコ

平成風俗

聴いた当時の感想は、旧サイト→「REVIEW」→「さ、し」へ

いや、そもそもこの1位はかなり迷いました。まず第一にオリジナルじゃないし・・・(^^;;

ただ、なんだかんだいっても、2007年に一番はまったアルバムですし、また、椎名林檎というミュージシャンの実力を再認識させてくれたアルバムという意味で、あえて2007年の1位とさせていただきました。

そんな訳で、あらためて1位から10位を振り返ると・・・

1 平成風俗/椎名林檎
2 空洞です/ゆらゆら帝国
3 セカンド/ミドリ
4 ぶっ生き返す/マキシマムザホルモン
5 ワルツを踊れ/くるり
6 FUNFAIR/RIP SLYME
7 レキシ/レキシ
8 COSMICOLOR/m-flo
9 spirits/soulja
10 LIFE STORY/THA BLUE HERB

今年は、正直言うと、ぶっちぎりの傑作、というのは少なかったような。傑作揃いの昨年に比べると、いまひとつ、はまった作品も少なかったし、少々小粒だったかな、という感じがします。

ただ、その一方で、相変わらず強いのがHIP HOP勢かな。特に今年は、souljaのような、新たな可能性を感じるミュージシャンも出てきていて、これからが非常に楽しみです。


さて、次は洋楽編なのですが、これは、まだ昨年発売の分で聴ききれていない分が・・・(^^;;しばしお待ちを・・・。

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2008年3月 5日 (水)

ロングヒットの予感

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

タイトル通り、ロングヒットの予感がする3曲がランクインしているチャートです。

その3曲とは

青山テルマfeat.Soulja「そばにいるね」

ジェロ「海雪」

清水翔太「HOME」

まあ、青山テルマは、既にロングヒットしているのですが・・・。

3曲とも

・ ミディアムテンポで口づさみやすいポップナンバー
・ ある程度の話題性
・ ミュージシャンに、ある種の「色」がついていない

という3点で、浮動層を取り込みやすく、ロングヒットにつながりやすいナンバーといえるでしょう。

ここ最近、シングルチャート上位を占めるのが、アイドル系かアニメ系で、一部の固定ファンの熱烈な支持を受ける一方、他の浮動層には全く支持を得られないようなシングル曲が多くなっています。

そんな中、こういうタイプの曲が、浮動層の熱烈な支持を得て、ロングヒットになりがち。

昨年でいえば、「千の風になって」とか、GReeeNの「愛唄」みたいなタイプですね。

ただし、この手のミュージシャンは、えてして一発屋になりがちなんだよなぁ・・・。

そういう意味では、次のアルバム、次のシングルが注目されます。

一方、1位NEWS、2位EXILEはガッチリと固定ファン層を抱えての危なげないランクインという感じですね。3位YUIも、ここ最近は固定ファン層を確保してきて、上位チャートの常連となってきています。

8位ドリカムは、アルバムからのリカットながらも、見事ベスト10入り。アニメ映画「one piece」の主題歌という話題性と、シングルバージョンをアルバムバージョンとは大きく変えてきたからでしょうか。

10位のAKB48って、↓で話題となった曲ですよね・・・

「AKB48の『景品商法』中止 『独禁法に抵触する恐れ』」
(J-Cast ニュースより)

いやぁ、なんか、ここまで自分たちの「お客様」をバカにしちゃっている戦略を、平気でとる業種も、音楽業界くらいかも(苦笑)。ある意味、特殊な業界ですよね、本当に。

チャットモンチーの11位は残念!!ちょっと変わった雰囲気の曲なんですが、癖になりそうなパワーを持っている楽曲です。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

なんだかんだいっても、1位にはBoAちゃんが見事ランクイン。ただ、初動は前作を大きく下回っているみたいなので、やはり、今後の動向が気になります。

今週はあまり動きがないチャート。そんな中で、洋楽の女性シンガーが気を吐いています。

3位には、セリーヌ・ディオンのベストがランクイン。日本オンリーの企画盤で、1ヶ月のみの限定発売らしいです。ちょっとあざとい。いや、意外と好きなんで、ちょっと気になるんですが(^^;;

4位にサラ・ブライトマンのアルバムがランクインしています。こちらも、イメージ的には、セリーヌ・ディオンのリスナー層と微妙にかぶりそう・・・。

そして9位にはJANETのニューアルバムがランクイン。ちなみに10位には、お兄さんのマイケル・ジャクソンの「スリラー」がランクインしていて、兄妹そろい踏みのチャートとなっています。

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2008年3月 4日 (火)

2007年ベストアルバム(邦楽編)その1

ようやく、先日、2007年の邦楽アルバムについて全て聴き終わりました。というわけで、今回は、私が昨年聴いたアルバムの中から、お気に入りベスト10をセレクト。2回にわけて紹介していこうかと思います。

まずは・・・

10位 LIFE STORY/THA BLUE HERB

      
LIFE STORY

アーティスト:THA BLUE HERB

LIFE STORY

聴いた当時の感想は、旧サイト→「REVIEW」→「Ta」へ

前作「SELL OUR SOUL」には及ばなかったものの、他のハードコア勢を寄せ付けない傑作をリリース。エレクトロニカの影響を受けた独特のトラックや、心に突き刺さるようなリリックも衝撃的でした。

 

9位 spirits/soulja

      
Spirits(初回限定盤)(DVD付)

アーティスト:SoulJa,青山テルマ

Spirits(初回限定盤)(DVD付)

聴いた当時の感想は、こちら

最近は、アンサーソングの方がヒットしていますが・・・。

先行するシングルヒットのイメージが強いのですが、アルバムも大傑作。日本のHIP HOPの新たな一歩を感じさせてくれる作品でした。

 

8位 COSMICOLOR/m-flo

      
COSMICOLOR

アーティスト:m-flo,m-flo loves DOPING PANDA,m-flo loves Alex,m-flo loves BONNIE PINK,m-flo loves STAR TREKTM,Thaitanium,Edison Chen,Ryohei m-flo loves Chan,m-flo loves MINMI,m-flo loves Chara,m-flo loves Crystal Kay,m-flo loves 安室奈美恵,m-flo loves melody.

COSMICOLOR

聴いた当時の感想は、旧サイト→「REVIEW」→「M」へ

いわゆる「loves who?」シリーズの最終作にして集大成。LISA脱退後、その後が不安視されたm-floでしたが、そんな危惧をふっとばした傑作。やはりm-floはすごい!「loves who?」シリーズはこれが最後だそうなのですが、次の展開も気になります。

 

7位 レキシ/レキシ

      
レキシ

アーティスト:レキシ

レキシ

聴いた当時の感想は、旧サイト→「REVIEW」→「ら行」へ

すいません。このアルバムについては、なにぶん、趣味によるところが大きいのですが・・・(^^;;ただ、そこらへんを差し引いても、ユニークで、かつ、音楽的にもキッチリ聴かせてくれる傑作なのは間違いありません。日本史好きはもちろん、そうでない方も是非。

 

6位 FUNFAIR/RIP SLYME

      
FUNFAIR

アーティスト:RIP SLYME,MONGOL800,COMA-CHI

FUNFAIR

聴いた当時の感想は、こちら

ここ最近、勢いのあるRIP SLYMEの新作は、前作に引き続き、とびきりユニークで、踊りだしたくなる傑作でした。彼らのエンタテイメント性は、本当に日本の中で指折りですね。まだまだこの勢いは続きそうです。


とりあえず、今回は6位まで。次回は、1位まで紹介します。
たぶん、明日の更新はヒットチャートになりそうなので、あさってになりそうですが・・・。

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2008年3月 3日 (月)

「あの頃」を思い出す..だけど...

      
AND I LOVE YOU

アーティスト:DREAMS COME TRUE

AND I LOVE YOU

ここ最近、ドリカム人気が再び盛り上がってきています。

ドリカムのかつてのヒット曲「未来予想図」をモチーフにした映画が放映されたり、その映画の主題歌が、久しぶりの大ヒットを記録したり、再び勢いづいています。

そんな彼女たちの勢いそのままにリリースされたのが本作。既発のシングルとそのカップリング曲で、13曲中6曲もうまっているので、出来が良いといえば当たり前なのですが、その既発のシングルを含め、実にドリカムらしい、切なくなるようなラブバラードや、とことん明るいラブソングがつまった作品になっていてました。

それはまるで、全盛期だった「MILLION KISSIES」や「The Swinging Star」の頃を思い起こさせてすらくれます。

具体的には・・・

大ヒットした「ア・イ・シ・テ・ルのサイン」は、まさに名曲「未来予想図」の続編的内容ですし・・・

「サヨナラ59ers!」は、タイトルからしてそうなのですが、「SAYONARA」を思い出させるマイナー調の悲しいバラードナンバーですし・・・

とことん明るい「CARVANAL」は、「うれしい!楽しい!大好き!」「決戦は金曜日」を足して2で割った作風といったところでしょうか。

そして、本作でなんといっても聴きどころは、タイトル曲の「AND I LOVE YOU」でしょう。昨年急逝した、吉田美和の内縁の夫、末田健にささげたラブソングで、ストレートにその心境を吐露した内容は、聴いていて胸に迫るものがあります。「私情をみんなに聞かせて 申し訳ないけど」とエクスキューズしていますが、それでも、ミュージシャンとして、この感情を歌にのせざるを得なかったのでしょう。

しかし、そんな歌がアルバムのタイトルになるとは・・・プライベイトも切り売りしなければいけないポップスミュージシャンの厳しさも感じさせますね(^^;;

一時期、本格的R&Bやソウル方向に向かっていた彼女たちですが、ここ最近、昔のR&B風ポップス路線に戻ってきていました。そして、そんな中、ついにリリースされた、全盛期に迫る傑作だったと思います。ドリカムの底力を感じさせる作品でした。


ただ、その一方で、「全盛期に迫る」といってしまうには、ひっかかる点があるんですよね。

それはもう、ドリカムはかつてのドリカムじゃない、という点。

かつてのドリカムは、男性メンバー2人+女性メンバー1人という組み合わせで、女性と男性が、恋愛ではなく、友情で結ばれているという点が話題となり、男性2人+女性1人の組み合わせを「ドリカム編成」「ドリカム状態」なんて読んで、一種の流行にもなりました。

そして、そんな恋愛ではなく友情で結ばれているバンドというところに一種の物語性が感じられ、彼女たちの曲をいろどっていました。

しかし、その後の結果は、みなさんご存知の通りで・・・・・・・・・

吉田美和にしても、略奪婚ってのも、正直、少々ひっかかる部分があるし・・・・・・・・・

よく

「ミュージシャンは純粋に音楽のみで評価すべきだ」

という意見は見られます。それはそれで間違いなくひとつの真実だとは思うのですが、でも一方で、やはり音楽を聴く時、そのミュージシャンが持つ物語性やバックグラウンドもまた、音楽を彩る材料になるのではないでしょうか。

そんな訳で、もっとぶっちゃけて言ってしまうと・・・

 

MILLION KISSES

アーティスト:Dreams Come True

MILLION KISSES

この3人の笑顔ってのは、二度と戻ってはこないんだよなぁ・・・(T T)

ってことです。

評価:★★★★★
↑あ、もちろん「AND I LOVE YOU」のね。


さて、あの頃って、こういうドリカム状態のバンドが一種のブームとなり、数々の男性2+女性1のバンド、ユニットがデビューしました。でも、

Every Little Thing→1人脱退し、2人組に

the brilliant green→メンバー同士が結婚

MY LITTLE LOVER→メンバー同士が結婚→1人脱退→もう1人脱退→離婚

globe→メンバー同士が結婚

Hysteric Blue→・・・・・・・・・・・・

そんな訳で、男性2+女性1のメンバーが友情を保ったまま長続きしているバンドは、一組もありません。やはり、男女の友情というのは、非常に難しいのか??????

最近、久しぶりのドリカム状態のバンドとしていきものがかりというバンドが人気を集めていますが、彼女たちの今後はいかに???

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2008年3月 2日 (日)

心にしみいるという表現が最適な作品

空気公団作品集

アーティスト:空気公団

空気公団作品集

こんなことを書いてしまうと、熱心なファンからお叱りを受けそうですが(って、私自身もファンですが)・・・地味、どうしようもなく地味・・・しかし・・・それがいい!!

アコースティックベースのシンプルなアレンジで、ほとんどフックがないシンプルなメロディーライン。そんな楽曲を書くミュージシャンは、他にもたくさんいますが、ここまで淡々とメロディーをつむぐバンドは空気公団だけではないでしょうか。それでも、トイズファクトリーからリリースされたアルバム「融」は、比較的フックも聴いていて聴きやすいのですが、なぜか「融」から収録された曲は1曲のみ。シングルともなった「夕暮れ電車飛び乗れ」も収録されていません。

そういうこともあって、ベスト盤にも係わらず、全体的に悪く言ってしまうと非常に地味。良く言うと、玄人好みのアルバムになっています。どうも、実際に彼女たち自身、そういう玄人好みの曲を選んだ節があり、公式サイトアルバム紹介サイトにも、「うしろまえ公園」の曲解説に

「意外と本人はこういう地味な、アルバムの最後から2番目の
ポジションの曲が一番好きだったりするんだよね。
ミュージシャンならわかってくれると思う。たぶん。」

(公式サイトより引用)

なんて書いてあったりします。

そんなこともあって、このアルバムは、何度も聴いて良さをかみしめるような、スルメ盤になっています。ベストアルバムなのに(笑)。

本来、「空気公団の入門盤」であるべきベストアルバムが、こういう玄人好みの選曲なのって、実際どうよ?と思ってしまうのですが、でも、これもこれで空気公団らしさかもしれません。実際、空気公団というバンドを良くあらわしている選曲だとも思います。

個人的には、もっと(特にアルバム単位では)売れていいバンドだと思うんですけどね。こういう色気のなさが、彼らがいまひとつ一部の音楽ファンだけに支持されているバンドのままである理由かもしれません。そういう方針に関しては、正直、賛否ありそうだし、私個人の意見としても、無条件では賛成できないのですが。

ちなみに、今回、ベスト盤ですが、全曲、再レコーディングされているらしく、ベスト盤でも、しっかりと作りこんでくるのはファンとしてはうれしい話です。

ともかく、まさにこれこそ「心にしみいる」という表現がピッタリの名曲ぞろい。地味なだけに、とっつきにくい(ベスト盤なのに!)アルバムかもしれませんが、一度その世界に触れてほしい作品です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

My foot steps-20th anniversary memorial collection-/永井真理子

はぁ。永井真理子って、もうデビューから20年なんですか・・・。

オールタイムベストということもあって、全盛期の作品だけじゃなく、売れなくなってからの(失礼!)作品も収録されているため、「永井真理子かぁ。昔聴いていたなぁ」というオールドリスナーにはちょっと物足りないかも。また、ボーイッシュだった彼女のイメージと比べると、しっとりとした雰囲気の作品も多いので、この点も、かつてのリスナーのイメージとは異なるかも。ただ、最近の曲も昔の曲と比べて、決して見劣りはしてないんですよね。また、もうちょっと注目されてもいいシンガーかも。

評価:★★★★

ラブシック/マボロシ

HIP HOPやソウル、ファンクをベースに、派手なロックンロールやレゲエなども取り入れ、音楽に壁をつくらない姿勢がうれしい作品。勢いがあって、ポップで、かつユーモアもあるいい作品です。ただ、一方、これだけいろいろなジャンルを集めている割には、パターンが少々前作と似てきているかな。せっかく音楽に壁をつくらない姿勢を貫いているんだから、もっと違ったアプローチの作品もほしいところか。

評価:★★★★

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2008年3月 1日 (土)

原点回帰を目指した・・・のか?

orbital period

アーティスト:BUMP OF CHICKEN

orbital period

BUMP OF CHICKENとしては、独特なファンタジック、童話風の世界感が光る歌詞が特徴的。そのもっともたる例はインディーズ時代の「THE LIVING DEAD」だと思うのですが、本作も、そんな「THE LIVING DEAD」同様、どこか童話的な世界感が強く感じられた作品でした。

また、シングル曲も6曲も収録されており、そのため、全体的にも、非常にポップで、聴きやすい内容にまとまっています。

実際、個人的には、メジャーデビュー後では、一番の出来だったかも・・・とも思います。ただ、シングル曲があまりにも多いため、「一番の出来」というのは、少々反則気味かも、とは思うのですが。

ただ、その一方で、ここ最近の彼らに関して感じるのは、少々「狙いすぎ」という点。

このアルバムについてくるブックレットに記載された童話なんかがまさにそう。「狙いすぎ」な上に、童話としては話が冗長になりすぎていて、少々面白みがない(はっきりいってしまえば、ストーリーもありきたり)。ボーカルの藤原本人が書いたらしいのですが、こういう企画をつくるのなら、誰かプロにお願いした方がよかったのでは?

また、歌詞の方も、童話的であるにはあるのですが、以前に比べ、少々抽象的に描こうとしすぎなきらいがあります。まあ、具体的に言ってしまうと、いかにも意味深に描こうとしすぎ。「THE LIVING DEAD」の時のような、もっと素直な歌詞の方が、心に響くと思うんですけどね。

厳しいことを言ってしまうと、彼ら(というかボーカルの藤原基央)、一部の音楽雑誌や評論家から異常に持ち上げられすぎていないか?いや、間違いなく実力のあるミュージシャンなのは間違いないけど、変に「時代のカリスマ」「天才」みたいに評される天才肌のミュージシャンというよりも、もっと素直で普遍性のあるポップスソングを書く、ある意味大衆的な(いい意味でね)ミュージシャンだと思うんだけどなぁ。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

デパクラ~DEPAPEPE PLAYS THE CLASSIC/DEPAPEPE

DEPAPEPEが、クラッシックの名曲のカバーに挑戦したアルバム。クラッシックの荘厳な雰囲気と反して、どれもポップにまとめあげていて、とても聴きやすく、クラッシックといわれる音楽の、特にメロディーラインのすばらしさを再認識させてくれるアルバム。個人的には、「パッヘルベルのカノン」が大好きなので、カバーされているのはうれしいけど、これに関しては、アコギのカバーになって、少々薄っぺらく感じてしまったのが残念。

評価:★★★★★

GUIDANCE FOR LOVERS/the ARROWS

一部では注目はされているものの、いまひとつパッとしないなぁ。ダンスミュージックを取り入れたギターロックというのが「売り」な割りには、ダンスミュージックの要素が中途半端。例えばNONA REEVESみたいに、もっと大胆にダンスミュージックを取り入れればいいのに、とは思うんですが。個人的には、地元名古屋出身ということで応援はしたいのですけどね。

評価:★★★

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