TEARDOP/The Birthday
TEARDROP
アーティスト:The Birthday | |
ミッシェル・ガン・エレファントという、あまりにも大きな十字架を、いかにしてふりほどくか。
おそらく、ミッシェル解散後のチバユウスケに課せられた、大きな課題は「これ」ではないでしょうか。
あまりにも特徴的な、しゃがれたボーカルは、ミッシェルの大きな個性を形づくっていた一方、ミッシェル解散後も、どうしても、その声だけで「ミッシェル・ガン・エレファント」というバンドが思い浮かんでしまう結果となっています。
事実。同じくロックバンドの雄だった、元ブランキーのベンジーは、いまだにブランキーという影を引きずって、苦しんでいるような印象すら受けてしまいます。
そんな中、The Birthdayというバンドにおいて、彼が出した答えは、
ミッシェルと違う路線も取り入れながらも、ミッシェル・ガン・エレファントの後継的な路線も引き継ぐ
というやり方。
新たな路線を模索しつつ、ミッシェル・ガン・エレファントの元ボーカルという立場も否定しないやり方でした。
前作では、新たな路線を押し出した作風になっていましたが、本作では、むしろポスト・ミッシェル的な路線が目立ったような印象を受けます。
例えば、冒頭の「バブスチカ」から、かつてのミッシェルを彷彿とさせるような、ヘヴィーなグルーヴを聴かせてくれますし、
疾走感のある「アリシア」も、かつてのミッシェルの路線を継承しているように感じます。
ただ一方では、「プレスファクトリー」などは、かなりポップ路線。以前のミッシェルでは、あまり聴けなかったタイプの曲調で、新たな路線の模索かな、とも感じさせます。
全体として、まだまだ模索の途上ながらも、The Birthdayとしての路線が徐々に固まりつつある、その過程を楽しめるアルバム、といった感じがします。
ただ、ちょっと残念なのは、勢いのあった前半に比べ、後半はちょっと失速してしまった点でしょうか。
まあ、ともかく、The Birthdayの、これから、が楽しみになる作品だったと思います。
評価:★★★★★
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