« 「生きる」ことへの情念を感じさせる傑作 | トップページ | ある意味、これが「日本らしさ」? »

2008年2月26日 (火)

いろいろと語りたくなってしまう作品

      
SPEEDWAY

アーティスト:TM NETWORK

SPEEDWAY

活動しているんだかしていないんだかわかんない、TM NETWORKの3年半ぶりとなるオリジナルアルバム。アルバムタイトルの「SPEEDWAY」というのは、メンバー3人がTM結成前に所属していたバンド。しかし、これがまた、いつものことながら、ファンにとっては一言も二言も物申したくなってしまうアルバムだったりします。

(1)そもそも、何で今、「SPEEDWAY」??

例のごとく、Wikipediaの記述によると

「本作の製作へのきっかけは小室哲哉がiTunes Storeで「SPEEDWAY」の楽曲を見つけたことから始まり、レコーディングに際し、小室曰く「SPEEDWAYの『3rdアルバム』」であると述べている。」

だそうです。ただ、彼らの原点でもあるバンドの名前を、あえてアルバムタイトルに持ってくる意味がわかりません。「SPEEDWAY」という名前はもっと重要なものじゃないのか?例えば、これを機に、原点回帰し、本格的に活動を再開する、というのなら十分理解できるのですが。

以前にも書いたのですが、中途半端に再結成し、活動を続けるくらいなら、バンドとしての物語は「解散」で終わらせるべき、と思っているだけに、TM NETWORKの中途半端な活動と、そして、意図が不明な「SPEEDWAY」というアルバムタイトルには疑問を感じてしまいます。

(2)つーか、小室哲哉は大丈夫なのか?

なんか、ここ最近、すっかり音楽活動をしなくなってしまって、週刊誌などでも、その凋落ぶりが時たま話題となってしまう小室先生。しかし、その凋落ぶりは本作からも痛いほど感じられます。ってか、本作、11曲中5曲も木根尚登作曲だしね。

これは、あくまでも私見なんですが、今の小室先生って、どういう音楽をやりたいのか、見失ってしまっている感じがするんですよね。小室哲哉というミュージシャンのすごさというのは、時代の半歩先を行く音楽を見つけるその嗅覚と、その半歩先の音楽にヒットチャートで通用するレベルまでのポピュラリティーを加味してしまう天性のポップスセンス。その才能ゆえに、「小室系」の大ヒットという一時代を築き上げました。

しかし今、小室哲哉自身、その半歩先の音楽を見つけられないでいる印象を受けます。実際、ここ最近の小室作品って、一応先端的な音楽を目指しているっぽいんですが、どこを目指しているのか、いまひとつ焦点が定まっていませんし、それは本作も同様。もう、完全にスランプに陥ってしまっていることが、痛いほどわかってしまいます。

ちょっと話はそれるけど、かつての小室哲哉がやっているようなことを今やってるのが、中田ヤスタカなんじゃないかなぁ。ちょうど時代の半歩先を行っているような音を(まあ、半歩先というよりも、ちょっと昔懐かしい感じの音なんだけど)ポップにまとめあげているし。いわゆる「おたく層」からの盛り上がりという点で、TM NETWORKの盛り上がりと、Perfumeの盛り上がりって、共通する点もある気がするし・・・。

(3)しかし、にも関わらず、復帰後TMのアルバムの中では、一番の出来なんだよなぁ。

皮肉なことに、小室先生がちょっと後ろに下がって、木根尚登が前に出てきて、また、下手に「先端」の音を強調するのではなく、あくまでもメロディーを前に押し出した結果、復帰後のTMの作としては文句なしに一番よく出来たアルバムになっていました。

まあ、小室先生が迷走しちゃっている今、あくまでもメロディーを前に押し出した方針というのは正しいと思うけど・・・いい出来なのは間違いないけど・・・でも、これでいいの?

うーん、木根さんの才能をあらためて感じたという意味では、木根さんのファンとしてはうれしい事実なんだけど、TM NETWORKのファンとしては、なんとも煮えきれない作品でした。

本当に、大丈夫?小室先生??

評価:★★★★
↑「純粋に」メロディーの良さだけを評価すると★★★★★でもいいけど、前述の理由から1つマイナスです。


ほかに聴いたアルバム

The Gospellers Works/ゴスペラーズ

ゴスペラーズのカバー曲や、他のミュージシャンとのコラボ曲、メンバーでのソロでの活動曲などをまとめた、アナザーワーク集。

どの作品も、それなりのクオリティーにまとめあげていて、かつ、ゴスペラーズらしさもきちんと出していたのはさすが。あらためて、彼らの底力を感じさせる作品集でした。

評価:★★★★★

|

« 「生きる」ことへの情念を感じさせる傑作 | トップページ | ある意味、これが「日本らしさ」? »

アルバムレビュー(邦楽)2008年」カテゴリの記事

コメント

お久しぶりです。
TMのニューアルバムであるだけにゆういちさんのレビューを読んだ以上はきちんとチェックしました。
当アルバムにて一番お気に入りだった曲は「N43」(作詞・作曲共に木根さん)だけに、木根さん作曲の楽曲のインパクトが大きかったです。木根作品にはやはり聴き応えのあるものがありました。
ゆういちさんもおっしゃられているように小室先生は半歩先の音楽を見出せなくなって迷走しているというのは私も感じられました。ネタソングとして聴けば面白い(?)「WELCOME BACK2」からもそんな雰囲気が漂っていました。ちなみにこの曲に関しては、ネタとして楽しむ分には高い評価を付けてもいいのですがTM的な曲としてみると良い曲とは
思えません。
過去の音楽シーンに与えた影響が大きいにもかかわらずTMが今一つ再評価に結び付かない所には、こういった中途半端な再結成だったり小室先生のあまりもの凋落ぶりみたいな所にあるのではないかと思ったりします。TMに影響を受けたであろう曲はアニメやゲーム系を含めてもそれなりに存在すると感じられるのですが、これだけ再評価がされないというのもファンだった者としては不満もあります。
そういえば来年2009年は復活から10周年、デビューからすれば25周年という節目の年にあたる訳ですが、ここでやっぱり頑張って少しでも良い曲を世に出して欲しいと思っています。次の活動再開が2010年代もいくらか経過してからちょこちょことなんて事はして欲しくないです。

投稿: MoTo | 2008年3月11日 (火) 00時38分

>MoToさん
そうなんですよね。「WELCOME BACK 2」、ネタ的にはユニークかもしれないけど、TMの曲と考えると、駄作。かつての遺産に頼っているって感じですよね。
まあ、TMの場合、その後の小室先生のあまりの活躍ぶりに、「小室サウンド」に色がつきすぎちゃっている点も、再評価されにくい理由かもしれません。
小室先生も、TMをやるならやるで、本腰入れてほしいですよね、本当に・・・。

投稿: ゆういち | 2008年3月12日 (水) 00時28分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/505136/10739822

この記事へのトラックバック一覧です: いろいろと語りたくなってしまう作品:

« 「生きる」ことへの情念を感じさせる傑作 | トップページ | ある意味、これが「日本らしさ」? »