« ゆずのね 1997-2007/ゆず | トップページ | ゆういち的KAN論(??) »

2008年2月 2日 (土)

five-star/YUKI

      
Single Collection”five-star”

アーティスト:YUKI

Single Collection”five-star”

バンドとして、一世を風靡した後のソロって、いろいろと難しいものがありますよね。

バンドでは出来なかったことが出来るからといって、好き勝手やってたら、昔のファンが離れてしまって、人気が落ち目になってしまったり。

バンドの音をそのまま承継したら、人気も続いたけど、いつまでたっても「元~の」という肩書きが消えなかったり。

奥田民生みたいに、ソロとして完全に成功して、ヘタしたらバンド時代以上の人気を獲得できたミュージシャンもいれば、米米の石井竜也みたいに、ソロの後はいまひとつパッとしなくなってしなかったミュージシャンもいたりします。

バンド時代とは違うことをやりつつ、いかに個性を出していくのか、というのが、バンド解散後のソロとしての、非常に難しい課題なのではないでしょうか。

JUDY AND MARYというモンスターバンド解散後のYUKIは、いかに元ジュディマリという肩書きをはずし、ソロとして自立していくか、という模索の積み重ねではなかったでしょうか。

ソロデビュー後のシングルを発売順に並べたこのベストアルバムは、そんなYUKIの積み重ねの歴史を、ありのまま感じられる作品になっています。

ソロデビュー直後の彼女に関しては、ただひとこと。

痛々しい

につきてしまいます。

「the end of shite」でガレージパンク風な曲をリリースし、脱ジュディマリを露骨にはかったかと思えば

「66db」では、エレクトロニカ風なアレンジを加えてきて、「今風」をアピールしたり

ちょっと厳しい言い方にしてしまえば、サブカルに媚びたような姿勢が見え隠れしていて痛々しい。

以前のアルバム評にも書いたと思うのですが、この頃の彼女って、おそらく、CHARAとかUAとか、そこらへんの位置を狙っていたんだろうなぁ、というのが嫌というほどわかってしまって、辛い内容になっています。

しかし、そんな痛々しさが徐々に消え、YUKIとしての個性が確立されたのは「ハローグッバイ」あたりからでしょうか。

素直なポップで明るいナンバーが続き、YUKIのボーカルにもピッタリあったかわいらしいナンバーが続いています。

無理に洋楽風を目指したソロデビュー初期のナンバーと比べると、歌謡曲風な方向性も否めないのですが、素直な作品が続いていて、誰でも口ずさめるような、名曲が続いています。

ジュディマリ時代に見せていたYUKIのボーカリストとしての良さがしっかりと戻り、かつ、ソロとしてのYUKIの個性が確立されてきた、といってもいいのではないでしょうか。

この作品も、チャート1位を記録し、ベスト盤であるという点を差し引いても、ソロとしての人気を確立したといっても間違いないでしょう。

もう、彼女に対して「元ジュディマリの」というのは失礼にあたりそうですね。

女性シンガーYUKIの、確かな歩みを感じさせるベストアルバムでした。

評価:★★★★★

|

« ゆずのね 1997-2007/ゆず | トップページ | ゆういち的KAN論(??) »

アルバムレビュー(邦楽)2008年」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: five-star/YUKI:

« ゆずのね 1997-2007/ゆず | トップページ | ゆういち的KAN論(??) »