five-star/YUKI
Single Collection”five-star”
アーティスト:YUKI | |
バンドとして、一世を風靡した後のソロって、いろいろと難しいものがありますよね。
バンドでは出来なかったことが出来るからといって、好き勝手やってたら、昔のファンが離れてしまって、人気が落ち目になってしまったり。
バンドの音をそのまま承継したら、人気も続いたけど、いつまでたっても「元~の」という肩書きが消えなかったり。
奥田民生みたいに、ソロとして完全に成功して、ヘタしたらバンド時代以上の人気を獲得できたミュージシャンもいれば、米米の石井竜也みたいに、ソロの後はいまひとつパッとしなくなってしなかったミュージシャンもいたりします。
バンド時代とは違うことをやりつつ、いかに個性を出していくのか、というのが、バンド解散後のソロとしての、非常に難しい課題なのではないでしょうか。
JUDY AND MARYというモンスターバンド解散後のYUKIは、いかに元ジュディマリという肩書きをはずし、ソロとして自立していくか、という模索の積み重ねではなかったでしょうか。
ソロデビュー後のシングルを発売順に並べたこのベストアルバムは、そんなYUKIの積み重ねの歴史を、ありのまま感じられる作品になっています。
ソロデビュー直後の彼女に関しては、ただひとこと。
痛々しい
につきてしまいます。
「the end of shite」でガレージパンク風な曲をリリースし、脱ジュディマリを露骨にはかったかと思えば
「66db」では、エレクトロニカ風なアレンジを加えてきて、「今風」をアピールしたり
ちょっと厳しい言い方にしてしまえば、サブカルに媚びたような姿勢が見え隠れしていて痛々しい。
以前のアルバム評にも書いたと思うのですが、この頃の彼女って、おそらく、CHARAとかUAとか、そこらへんの位置を狙っていたんだろうなぁ、というのが嫌というほどわかってしまって、辛い内容になっています。
しかし、そんな痛々しさが徐々に消え、YUKIとしての個性が確立されたのは「ハローグッバイ」あたりからでしょうか。
素直なポップで明るいナンバーが続き、YUKIのボーカルにもピッタリあったかわいらしいナンバーが続いています。
無理に洋楽風を目指したソロデビュー初期のナンバーと比べると、歌謡曲風な方向性も否めないのですが、素直な作品が続いていて、誰でも口ずさめるような、名曲が続いています。
ジュディマリ時代に見せていたYUKIのボーカリストとしての良さがしっかりと戻り、かつ、ソロとしてのYUKIの個性が確立されてきた、といってもいいのではないでしょうか。
この作品も、チャート1位を記録し、ベスト盤であるという点を差し引いても、ソロとしての人気を確立したといっても間違いないでしょう。
もう、彼女に対して「元ジュディマリの」というのは失礼にあたりそうですね。
女性シンガーYUKIの、確かな歩みを感じさせるベストアルバムでした。
評価:★★★★★
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