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2008年1月13日 (日)

The Best of Dragon Ash with Changes/Dragon Ash

      
The Best of Dragon Ash with Changes Vol.1

アーティスト:Dragon Ash

The Best of Dragon Ash with Changes Vol.1

2枚同時にリリースされた、Dragon Ashのベスト盤

Dragon Ashは、2007年でデビュー10周年となるわけですが、この1997年という年の近辺では、その後に大きな影響を与えたミュージシャンたちが数多くデビューしている年だったりする訳で・・・

TRAICERATOPS 1997年

GRAPEVINE 1997年

スーパーカー 1997年

くるり 1998年

Boom Boom Satellites 1998年

その他にも、NUMBER GIRLが1997年に「SCHOOL GIRL BYE BYE」でインディーズでのアルバムデビューを果たしています。

そう考えると、1997年近辺というのは、日本のロック史上において、ひとつのターニングポイントだったりする訳で。まあ、後付からもしれませんが。

ただ、そんな中で、Dragon Ashはあきらかに異質。というのも、この1997年近辺デビュー組というのは、あくまでも個人的な印象としてですが、音楽に対してのスタンスが非常に真面目。どちらかというと、ストイックに、音楽に取り組む姿勢が感じられます。

例えばTRICERATOPSやGRAPEVINEは、音楽のルーツに真摯に向き合おうとしていますし、くるり、スパカ、ナンバガ、ブンサテあたりは、音楽の新たな可能性を切り開こうとしています。

一方、Dragon Ashは、あくまでも「楽しければいい。興味のある音楽をとにかくやってみよう」というスタンスを感じ取れます。

最初はパンクロックからスタートした彼らは、次はミクスチャーロックへ走り、HIP HOPにはまり、その後はエレクトロ系に手を出し、最近はラテンフレーバーと、ある意味、節操がありません(笑)。

このスタンスって、同時期のデビュー組というよりも、その後の世代、例えばORANGE RANGEやASIAN KUNG-FU GENERATIONあたりと同じ匂いを感じます。

ただ、その結果として、「summer tribe」では、かつて手を組んでいたZEEBRAにディスられ、「Life goes on」では、パクリとしてネット上でバッシングをあび、その他にも、HIP HOP系シンガーを中心として、格好のディスの対象になっています。

そういうDragon Ashのスタンスがありかなしか、といわれれば、個人的には、(露骨なパクリはもちろん無しとしても)十分ありだと思います。

でも、彼らのようなスタンスの一番の弱みって、こういうスタンスを続けていく限り、「売れる」ことが至上命題とされるんですよね。だって、自分の好きなことを好きなようになっていて、結果、全く売れませんでした、じゃあ、学生ののりと一緒。お金をもらってやることではありません。

その点、彼らは、降谷建志の天性のものともいえる、メロディーメイキングの才の恵まれているからこそ、一線で活躍していけるわけです。「好きなことを好きなようにやる」ってのは、楽しているように見えて、それでお金を稼いでいる以上、非常に厳しいものであるんじゃないかなぁ。

今回リリースされた2枚のアルバム、個人的には、初期の作品を集めたVol.1の方が、もっと素直に、純粋に、音楽を楽しんでいたということが感じられるのと、売れる直前のミュージシャンによくある「勢い」というのを感じられるので、お勧めです。

Vol.2の方は、安定感もまし、安心して聴いていられる一方、「売れる」ということに対するプレッシャーか、いろいろなところからのバッシングに対する影響か、全体的に曲が縮こまっている感が否めません。ちょっとその点、今後が気にかかるところ。もう、そろそろ「ベテラン」の域に入りつつあるミュージシャンなんだから、バッシングを気にせず、開き直ってもいいんじゃないかなぁ。

・・・でも、そういう開き直りが出来ないところが、降谷建志のおぼっちゃん気質なんでしょうけどね。

評価:
Vol.1 ★★★★★
Vol.2 ★★★★

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コメント

こんばんは。
確か遠い昔に(テレホタイム全盛だった時[爆])
掲示板にカキコして以来、果たして何年ぶりなんでしょ
うか?(爆)ずっとROMだった訳なんですが、レビ
ューを楽しく読ませていただきました。(自分が良
い!!と思ったアルバムの時は、ゆういちさんはど
の様に感じているのかの対比とか)

HP→blogへのリニューアルおめでとうございます。

Dragon Ashも気がついたら長いキャリアのバンド
になりましたね。そしてアルバム1枚ごとに基本的
にスタンスを変えてきますよね。今思えば、個人的
に「Lily of da valley」が1番脂が乗っていたと思う
し、Dragon Ashにとって1つの到達点だったのでは
と。(「INDEPENDIENTE」もサウンドは良かった
と思うんですけど、降谷君の歌声にもうちょっと
突き抜け感が欲しかった。陽ではなく陰の様な歌声
はちょっとラテンサウンドと合っていなかった様な)

1ファンとしては次はどういう事をやっていくのか
な?と非常に楽しみなんですけどね。(というより、
私が好きなバンド[SING LIKE TALKING・EGO-WRA
PIN'・ZAZENBOYS]は、基本的に節操がないです。
[ZAZENBOYSがフュージョンをやり出した時は物凄く
衝撃が走ってしまいました])

個人的には、ずっと歌さえ歌ってくれたら私は文句は
言わないです。ゆういちさんも書かれた通り、メロデ
ィーメイキングの才に恵まれていると私も思っている
ので。HIPHOPに傾倒していっている姿を見て、良い
メロディーラインを書けるのに非常にもったいない!!
と何度も思っていたんですが。(この点に関しては、
ある意味ZEEBRAがDisしてくれた事に感謝している部
分があります。)

長々となってしまいましたが、これからもゆういちさん
のCDレビューを楽しみにしています。(またROMに戻っ
てしまうかもしれないですが[爆])

           -追記-
ゆういちさんのblogをリンクしたいのですが、宜しい
でしょうか?(自分のblogではほとんど音楽ネタはや
らないんですが)宜しくお願いします。m(_ _)m

投稿: cozey | 2008年1月16日 (水) 01時05分

>cozeyさん
おお、どうもお久しぶりです!
テレホタイム、懐かしい響きですね(笑)。
彼のメロディセンスは天下一品ですよね。
個人的には、HIP HOPとあわせた「Under Ages Song」とか「陽はまた昇りくりかえす」のような路線が好きなんですが、やはりあのメロディーがあるからこそ、いろいろなジャンルに挑戦しても、いつもそれなりのアルバムを産み出してこれるんだなぁ、と思います。
ROMに戻るなんていわないで、是非是非また書き込みに来てくださいね!(笑)
リンクの件は全然OKですよ!どうもありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。

投稿: ゆういち | 2008年1月16日 (水) 23時31分

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