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2003年3月

2003年3月23日 (日)

LIVE EPIC 25 ライブレポート再掲

EPIC RECORDS JAPAN 25th ANNIVERSARY「LIVE EPIC 25」

大江千里/大沢誉志幸/小比類巻かほる/佐野元春/鈴木雅之/TM NETWORK/THE MODS/渡辺美里/鈴木聖美/バービーボーイズ/HARRY/松岡英明

会場 国立代々木競技場第一体育館 日時 2003.2.22(Sat.) 17:00~

ある世代以上の人にとっては、ある意味とんでもないライブイベントが実現しました。80年代、日本のミュージックシーンで一世を風靡したエピックソニーが、レーベル設立25周年を記念して実施したこのイベント「LIVE EPIC 25」。まさに80年代のミュージックシーンを彩ったミュージシャンが一堂に会したイベントライブで、私もこの面子を知った時には、なにがなんでも行かねば!という思いにかられ、なんとかチケットを入手し、当日、足を運ぶことができました。

当日、会場にはエピックソニー全盛期の80年代に青春をおくった人々が集まっていました・・・年齢層高い!(笑)まあ、渡辺美里のライブの時もこんなもんなんですが、私、いつも足を運んでいるライブだと確実に平均年齢を上回っているライブが多いのですが、この日は確実に平均年齢からはるか下、という雰囲気でのライブでした(笑)。会場にギッシリと埋まった人、人、人・・・どの人も、これからはじまるライブを心待ちにしていることが伝わってくるような、開始前の会場でした。

会場では、懐かしいエピックソニーのミュージシャンたちの音楽が客入れにつかわれ、否応なしに雰囲気が盛り上がってきます。そして、やがてライブがスタート。一発目は鈴木雅之のライブからのスタートとなりました。なんと、この日は彼のステージに、トランペットで桑野信義が参加!途中のMCでは「今日はあえてこう言わせてください。RATS&STARです!」と言うなど、鈴木雅之のライブというよりも、完全にRATS&STARのステージといった雰囲気になってしまっていました。あの人がいなかったら、おそらくRATS&STARとして出てたんだろうなぁ(苦笑)。そして、そんなメンバーにより「ランナウエイ」そして「め組のひと」とまさに誰もが知っているRATS&STARの大ヒット曲が披露され、はなっから会場は大きな盛り上がりを見せました。

そして、その後には鈴木雅之の実の姉である鈴木聖美が加わり、姉弟のデゥエットで「TAXI」そして「ロンリーチャップリン」が披露されました。しかし、鈴木聖美はまさにソウル姉ちゃんって感じで、声もすごく声量があってびっくりしちゃったし、それよりも雰囲気が豪快でした(笑)。そして、この鈴木雅之のライブで一番意外だったのは・・・鈴木雅之って意外とおしゃべりだったんですね(笑)。彼ってテレビでは寡黙でほとんどしゃべらないっていう印象が強かったのですが、ライブになるとあの桑まんに勝るとも劣らないくらいしゃべるしゃべる(笑)。これにはちょっとびっくりすると同時に、鈴木雅之のイメージがガラッと変わってしまいました(笑)。

その後は鈴木聖美、桑野信義が去り、鈴木雅之ひとりで、彼のソロデビュー曲である「ガラス越しに消えた夏」を披露・・・と、途中から、この曲の作曲者である大沢誉志幸が登場!曲の途中で、鈴木雅之から大沢誉志幸に入れ替わるという、なかなか憎い演出を見せてくれました。

その大沢誉志幸は、「ガラス越しに消えた夏」の後、いきなり「CONFUSION」で飛ばしまくります。ここ最近はすっかり音楽界から去ってしまい、人前に全く姿をみせなくなっていた彼。このライブで堂々の復活だそうで、まさにこれからのやる気も感じられるステージでした。その後は「宵闇にまかせて」と続いた後、名曲「そして僕は途方に暮れる」へ。この名曲をしっとりと聴かせてくれました。とりあえず、大沢誉志幸もはじめて生で見たのですが・・・うーん、声があまり出てなかったなぁ(^^;;やはり久しぶりということで歌い慣れていないんでしょうね。また、残念ながらあまり現役感も感じられなかったし・・・これから再び活動を再開するみたいなのですが、ライブを数多くこなしていくうちに、徐々にいいステージになっていくといったところでしょうか。

次に登場してきたのは小比類巻かほる。なんか、大人の女性って雰囲気をかもし出した衣装で、とてもきれいでした。ただ、「LEGEND」で聴いた時も思ったのですが、この日のライブも完全に「歌謡ショー」といった感じで、ある意味、80年代そのまんまなんですが、今見ると、ちょっと古臭く感じてしまうステージでした。「HOLD ON ME」、そして「TOGETHER」の2曲を披露。彼女は声量があって、歌もなかなか上手いんですが、前述の通り、どこか覇気がなくて、いわゆる現役感に乏しいステージでした。

続いて登場してきたのが、松岡英明。事前に、出演者として名前が出ていなかった、いわゆるシークレットでの登場でした。もう、ステージに出てとにかくびっくりしたのが、昔そのまんま(笑)。それもピンクのスーツという奇抜な格好で、ステージ狭しとかけまわる姿には、軽く感動すら覚えてしまいました。だって、その振り付けも昔のまんまだったんですから・・・。曲は「以心伝心」1曲だけだったのですが、途中では、この日、事前にキャンセルが発表され多くのファンをがっかりさせた岡村靖幸の「だいすき」をワンフレーズだけ織り込むなど、なかなか憎い演出も見せてくれました。ある意味80年代そのまんまのステージは見ていてとても楽しかったステージでした。

続いては大江千里の登場。ピアノの弾き語りで「YOU」からスタートしたその姿に、KANや槇原敬之の先輩格なんだな、ということを感じました。大江千里は以前渡辺美里のライブのゲスト出演として見たことはあるのですが、本人のステージはこれがはじめて。ピアノの弾き語りの後は、マイク1本でステージをかけまわりながら「REAL」そして「十人十色」と続きました。彼、もういい歳のはずなんですが、若々しいなぁ(笑)。相変わらずといった印象を強く受けました。あと、予想していたけど歌、めちゃくちゃ下手くそですな(笑)。声が全然出ていなかったし、安定感もゼロだし・・・(^^;;はっきりいって、代々木の会場ほどの大きさじゃあ、曲がまともに聴こえないというレベルだったのですが、ま、3曲程度だったので苦にはなりませんでした。あとMCではエピックレコードに関しての思い出などを語っていて、彼のエピックへの愛情を感じたMCでした。

ここではじめてのセットチェンジへ。この日のライブは基本的にバックのメンバーがおなじサポートメンバーというスタイルだったんです。キーボードに西本明、サックスには山本拓夫、ギターに葛城哲哉といったなんか美里のライブあたりでおなじみのメンバーに、さらにギターに佐橋佳幸、キーボードに元ボガンボスのKYONという豪華なメンバーでのサポートとなっていました。

ここでセットチェンジが行われたのは、次がバンドだったからでして・・・このセットチェンジの最中にはエピックのミュージシャンの、懐かしい映像が流れており、この会場の雰囲気の盛り上げに、一役買っていました。

このセットチェンジを経て登場したのがTHE MODS。この日、はじめてのバンドなのですが、はっきりいって、いままでとはあまりの音質の違いにビックリしてしまいました。シンプルな、70年代的な雰囲気を継承するロックンロールバンドで、ゴツゴツしたギターの音にグルーヴィーなドラムスが気持ちいいステージでした。THE MODSは、実は2年前にエゾロックで見ていて、これが彼らのステージを見る2度目。エゾロックの時には若手ロックバンドに囲まれて、安定感がある一方緊張感がないなぁ、と不満に感じたのですが、この日は逆に、ロックンロールバンドとしての迫力を感じさせてくれるライブでした。まあ、正直この日、他のミュージシャンの多くが「ナツメロ」的な雰囲気を持っていた中だっただけに、彼らのロックンロールなバンドサウンドが目立ったんでしょうね。彼らのステージから、次のHARRY、そしてバービーボーイズまでは確実に会場の雰囲気がかわっていました。

HARRYは、アコギ1本だけをかついでステージに登場。スライダーズの「風が強い日」を1曲のみ歌い、ステージから去っていきました。うーん、HARRYらしくて格好いい!!(笑)この日、THE MODSやTHE STREET SLIDERSはあきらかに他のバンドとファン層が違っている上に、HARRYに関してはこの日、シークレット扱いだっただけに「誰?あの人??」的な人も結構いたらしい(苦笑)。HARRYに関しても、去年、クワトロで一度見てその時も感じたのですが、圧倒的な存在感がありますね。アコギ1本での弾き語りはかなり胸に響いてきて、すごく格好よかったです。なんといっても、ナツメロに走っていなくて「現役感」を感じたステージでした。

そして、この日一番の目玉はやはりバービーボーイズの限定復活ライブでしょう。バービーボーイズについては、中学生のころ解散直後に出したベスト盤を聴いた時には、ほとんどピンと来なかったのですが、ここ最近リリースされた「STAR BOX」や「THE LEGEND」などを聴いて、はまってしまい、そのため、この日の限定復活ライブもすっごく楽しみにしていました。この日のステージでは「Blue Blue Rose」からスタート、その後「負けるもんか」「女ぎつね on the Run」というステージでした。

個人的に、この日のライブで一番よかったと思うのはこのバービーボーイズで・・・なに?10年以上ぶりのステージのはずなのに、何この現役感は??とても10年以上前に解散したバンドとは思えない迫力がありました。KONTAも杏子もそのままだし、CDで聴くと80年代的でちょっとグルーヴに欠けるな、と思っていたバンドサウンドも、生で聴くと十分今でも通用するグルーヴを感じる内容となっていたし・・・。とにかく、KONTAにしろ杏子にしろすごく若々しくて、ステージ上で映えてたんです。まあ、杏子の方はいまでも現役バリバリで活躍中なのですが、KONTAの方は俳優業がメインになってしまった、はずなのに。KONTAと杏子のからみもバッチリと決まっていて、見ていてハラハラドキドキするような緊張感の漂うステージでした。それと同時に、ますますバービーボーイズが素晴らしいバンドだったということを実感したステージでした。あ~まだ活動中に知りたかったなぁ。もっとも、彼らの活動中はまだ小中学生だっただけに、あの魅力はわからなかったでしょうが。とにかくステージに釘付けになった素晴らしいパフォーマンスでした。杏子はやはりKONTA と一緒の方が似合っているよなぁ。

バービーボーイズの後は、個人的に一番楽しみにしていたTM NETWORKの登場となりました!TM NETWORKは中学生の頃、一番最初にはまったミュージシャンの一組で、復活後も一度でいいからライブに行きたいなぁ、と思いながらいままで過ごしてきました。木根尚登のソロライブは以前に足を運んだことがあるのですが、宇都宮隆と小室哲哉を生で見るのはこの日がはじめて。ステージ上に並んだ3人の姿を見て、素直に感動してしまいました(TT)。

この日のステージでは「BE TOGETHER」「Get Wild」「SELF CONTROL」と、ファンにとっては感涙モノの彼らの代表曲3曲を披露。短い時間のステージでしたが、ただただその歌に聴きほれ、ただの「一ファン」になってしまった瞬間でした。ただし、客観的に言ってしまえば、この日のステージは決してほめられてものじゃなかったですね。ウツの声は全然出ていなかったし、いまなお現役で活動中にも関わらず、現役感を感じられない、ナツメロ的なステージになってしまっていました。TMは、復活後の曲もいまひとつばかりだし、完全に「終った」バンドになってしまったんでしょうか?ファンとして素直に感動して胸いっぱいになった一方、どこか寂しさも感じたステージでした。

そして、続いて登場してきたのが渡辺美里。いやあ、ご存知の通り、渡辺美里の大ファンなんですが、この日のライブについては、彼女に関してあんまり楽しみにしていなかったんですよ。だって、毎年必ず1度は、年によっては2度以上ライブを見ているミュージシャンなんだもん(笑)。しかあし、はじまったステージを見てびっくり!彼女が「君にあえて」を歌う後ろでピアノを弾いていたのは・・・なんと、小室哲哉じゃありませんか!!80年代に数多くのヒット曲を生んできた往年のゴールデンコンビのステージ上での復活に、驚喜してしまいました。もう、長年の美里ファンとしてはこのコンビを見たかったんですよ!!このステージを見れただけでも来た価値がある、といえるステージでした。

その後は「MY REVOLUTION」「恋したっていいじゃない」「10years」と続きました。ここらへんは、ライブで何度も何度も聴いているおなじみのナンバーですな(笑)。途中のMCでは西武でもおなじみの「アリーナ!」「スタンド!」が聴かれたりして・・・(笑)。そして、どうもこの日のイベント、渡辺美里目当ての客が一番多かったみたいですね。この日一番の盛り上がりを見せたステージで、ファンとしては素直にうれしかったです。

この日のイベントでトリを飾ったのは佐野元春でした。ギター一本をかついで登場した彼は、いい感じに歳をとった渋くて格好いいおじさまって感じで、いい雰囲気をかもし出していました。ああいう感じで歳は取りたいですな(笑)。この日のステージでは「約束の橋」からスタートし、その後「SO YOUNG」「アンジェリーナ」と彼の代表曲が続きました。会場があっという間に元春色に染まった、まさにこの日一番のベテランとしての風格を感じさせるステージだったと思います。そして、彼くらいの歳になってもなお感じるロックンロール魂。しばし、そのサウンドに酔いしれました。

さらにその後に「これからみんなを呼びたいんだけど、いいかな」なんていう、いかにも彼らしいMCで(笑)、この日出演のメンバー全員が再びステージへ!レーベルファウンダーの丸山さんが紹介された後、最後は、みんなで「サムデイ」の大合唱となりました。途中、大沢誉志幸がリードを取ったり、渡辺美里と小室哲哉がすぐそばで何かを話しているような姿に、またもやファンとして純粋に感動したり(笑)、この日のイベントの幕としてふさわしい、にぎやかな終わり方でした。最後は、スクリーンにその日のライブの模様がダイジェストで映し出され、映画の最後のような終り方でこの日のイベントは終わりました。

80年代、日本のミュージックシーンを彩ったミュージシャンたちが一堂に会したイベントライブ。まさに代々木体育館の中だけ、80年代にタイムスリップしたようなそんな印象を受ける素晴らしいライブイベントでした。個人的にリアルタイムからはちょっとずれるだけに、素直に「青春時代に戻った」とは感じられなかったのですが、それでもTM NETWORKのステージの時には、しばし中学時代に戻ったように感じた、ノスタルジック味あふれるイベントでした。

ま、音楽ファン的な観点から言わせてもらえば、HARRYとバービーボーイズを除いては、どこか現役感に欠けた、ナツメロ歌謡ショー的な雰囲気もなきにしもあらずって感じで、純粋にステージだけだと物足りなさを感じたミュージシャンも多かったんですが・・・でも、この日のライブの趣旨からするとそういう批判はあてはまらないんでしょうね。ただ、その一方、いまなお現役最前線を感じるHARRYと、10年以上ぶりのステージにも関わらず、まだ現役で活動中のミュージシャンをしのぐようなステージを見せてくれたバービーボーイズの実力をあらためて感じることのできたイベントでもありました。

とにかく。総じて素敵なライブイベントだった事実は間違いありません。会場にあつまったひとたちに笑顔が絶えなかったのは、やはりみんなみずからの青春時代にしばし帰ることができたからでしょうか。まさに満足感を胸いっぱいにためて会場を後にすることのできた、素晴らしい夜でした。

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