2026年9月 4日 (金)

ヤバTらしさを貫いたデビュー10周年の作品

Title:Magical Tank-top Parade
Musician:ヤバイTシャツ屋さん

今年、メジャーデビュー10周年を迎えたヤバイTシャツ屋さんのニューアルバム。前作から約3年3か月ぶり。途中ベストアルバムを挟んだものの、ちょっと久々、インターバルが開く形での新譜となりました。正直なところ、人気面においては一時期よりも若干落ち着いた感もある彼ら。とはいえ、今年は2度目となる志摩スペイン村でのライブを成功。さらに来年も同じくスペイン村でのライブを予定しているなど、まだまだ勢いのあるところも感じます。

まず本作で特徴的なのは、タイアップ曲が多く収録されている点。タイトルチューンである「Magical Tank-top Parade」はポカリスウェットの夏フェスムービーに起用されているほか、「ええがな」は「【推しの子】」実写ドラマシリーズ第5話の主題歌になっていたり、「すこ。」はテレビアニメ「村井の恋」のエンディングに起用されていたりします。また、その他にも「PAC-MANISM」はタイトル通り、あのPAC-MANとのコラボ曲であったり、「WEST NIGHT」は男性アイドルグループWEST.に提供した曲へのセルフカバーであったりと、タイアップやコラボ曲が多く収録されたアルバムになっています。

そして、アルバム全体としてはいつものヤバTのスタイルを貫いている作風。基本的に現代の流行に寄せた、くだらない題材にちょっと皮肉的な視点を加えた歌詞、一方、ポップスパンクのメロディアスなメロディーラインにほどよくメロコアの要素を加え、ハードな要素を加えた作風と、いつものヤバTらしい楽曲が並びます。

特徴的なのがMVも公表されている「アルゴリズムの犬」で、「Z世代」「ドバガキ」など最近はやりの単語を用いつつ、現代社会をユーモラスに皮肉ったナンバー。サビの部分もかなりインパクトのある点もヤバTらしい曲となっています。ROTTENGRAFFTYのNOBUYAをフューチャーした「コンプライアンス」もユニークな作品。くだらない歌詞をラウドロック風にカッコよくアレンジして歌っている点もユニークですし、こちらも現代社会をどこかユーモラスに皮肉っている点も彼ららしさを感じます。

またアルバムの最後を締めくくる「Song Battle」も印象的。彼ららしいハイテンポなポップスパンクの曲なのですが、ユーモラスな歌詞の中にこれからのバンドとしての自負心と、これからの決意を感じさせる歌詞が印象的。一見、おふざけ風ながらもロックバンドとしての矜持を感じさせる楽曲が印象的です。

そんな感じで、いままでのヤバTのスタイルを貫きつつも、ロックバンドとしての矜持を感じさせる作品だった本作。基本的にはいままでの彼らの作品の延長線上といった感じなのですが、一方で、いままでの作品とくらべるとありぼぼのボーカルがちょっと多かったようにも感じます。その点は、男女デゥオというスタイルをとっているヤバTの特徴を強調した、といった点もあるのでしょうが、一方で、ありぼぼのボーカルはアニメ声のハイトーンボイスで、ある程度ならばアルバムの中でちょうどよいインパクトとなるのですが、前に出すぎてしまうと、個人的にはちょっと違和感も・・・。ここらへんは正直、好き嫌いの範疇ではあると思うのですが・・・。

デビュー10周年を迎えた彼ら。いままでの彼らのスタイルをさらに前に進めた本作。これからの彼らの活躍にも期待です。

評価:★★★★★

ヤバイTシャツ屋さん 過去の作品
We love Tank-top
Galaxy of the Tank-top
Tank-top Festival in JAPAN
You need the Tank-top
Tank-top Flower for Friends
BEST of the Tank-top


ほかに聴いたアルバム

Rooom/Aooo

元赤い公園の石野理子やボカロPとしても人気を博しているすりぃが結成したバンドAoooの、フルアルバムとしては2枚目となる作品。直近のEP「Fooocus」で彼女たちの楽曲ははじめて聴いてみたのですが、ほどよくインパクトのあるJ-POPなメロやサウンドに軽快なギターロックというスタイル。全体的には明るいポップチューンがメインで、いい意味で広い層に聴きやすいタイプのアルバムとなっています。今後のさらなるブレイクも期待できそう。

評価:★★★★

Aooo 過去の作品
Fooocus

HALO/SHAKALABBITS

2024年に活動を再開したSHAKALABBITSの、実に約9年2ヶ月ぶりとなる新作。活動再開後初の新作ということもあり、挨拶代わり的な要素も強く、基本的にはSHAKALLABTSの王道を行くような、軽快でポップな作品が並びます。力強いバンドサウンドも魅力的で、SHAKALABBITSの魅力をあらためて確認できるようなアルバムに。今後の活動にも期待したいところです。

評価:★★★★

SHAKALABBITS 過去の作品
SHAKALABBITS
4 ALL AGES
Phasemeter Trippin' Bug Shake
Condenser Baby
BRACKISH
Rabbits,Rabbits,All the way 1
Rabbits,Rabbits,All the way 2

What do I crave to see?
Her

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2026年9月 3日 (木)

まだまだちいかわ強い!

今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

まだまだ強い映画ちいかわ関連曲。今週もHeatseekers Songsにはちいかわの曲がズラリと並びました。

今週も、青木遥「机さする」が先週に引き続き1位を獲得。Hot100でも46位までランクアップしています。ほかにもセイレーン(鈴木みのり),人魚(大木咲絵子),人魚(七瀬彩夏)「島のうた(セイレーンver.)」が3位、ハチワレ(田中誠人)「くつずれ」が4位、うさぎ(小澤亜李),モモンガ(井口裕香),人魚(大木咲絵子),人魚(七瀬彩夏)「うさぎラップ (リズム感のある者たちver.)」が5位、うさぎ(小澤亜李),人魚(大木咲絵子),人魚(七瀬彩夏)「うさぎラップ (ソロver.)」が8位と、今週もちいかわ映画の劇中歌がズラリと並んでおり、その人気のほどを感じます。


今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

「『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』オリジナル・サウンドトラック」は今週は3位に。ストリーミング数は2位にダウンしたものの、まだまだ総合順位でベスト3をキープ。まだまだ「ちいかわ」人気は続きそうです。

一方1位は韓国の男性アイドルグループENHYPENの8枚目となるミニアルバム「THE SIN:BLISS」が獲得。CD販売数1位、ダウンロード数7位。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上18万9千枚で1位初登場。前作「THE SIN:VANISH」の初動28万9千枚(2位)からダウン。

2位は旧ジャニーズ系Snow Man「AMENITY」が初登場。ダウンロード数及びストリーミング数1位。10月7日発売予定のアルバムですが、全14曲中9曲が先行配信としてリリースされたものとなります。

4位以下の初登場盤は、4位に韓国の男性アイドルグループALPHA DRIVE ONE「UNBREAKABLE:少年BEAST」が初登場。CD販売数2位、ダウンロード数8位、ストリーミング数11位。7位に同じく韓国の男性アイドルグループNCT127「BLINGY」が初登場でランクイン。CD販売数4位、ダウンロード数2位、ストリーミング数18位。8位には和歌山出身のラッパー、MIKADO「FAME FLAME」がランクイン。ストリーミング数5位。そして10位初登場は韓国の女性アイドルグループTWICEのベスト盤「TWICE BEST ALBUM|#BEST 2015-2025」。CD販売数5位、ダウンロード数15位。

また、9位には韓国の男性アイドルグループBOYNEXTDOOR「HOME」が先週の36位からランクアップ。11週ぶりにベスト10返り咲きとなりました。特にCD販売数が3位にランクイン。来日公演があったので、その影響でしょう。

ロングヒットではILLIT「MAMIHLAPINATAPAI」が先週と変わらず5位をキープ。17週連続のベスト10ヒット。BTS「ARIRANG」も先週と変わらず6位。こちらも24週連続のベスト10ヒットに。一方、Mrs.GREEN APPLE「ANTENNA」は11位にダウン。ベスト10ヒットは通算75週でストップ。また今週、HANA「HANA」が3位から一気に13位にダウン。ベスト10ヒットは26週連続でストップ。こちらはリカレントルールにより、ストリーミング数が2位から9位に大きくダウンした影響。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

今週1位はアボガド6「デビットビット」が先週の8位からランクアップし、ランクイン2週目にして1位獲得。「ボカコレ2026夏」で6位にランクインした曲となります。かなり病んだ感じの歌詞で、どこか感じるアングラ的な雰囲気がユニークな作品。2位はOSTER project「音楽はつづく」が先週と同順位をキープ。3位は山本「重音テトvsダンプカー」が先週の4位からランクアップしています。

今週のHot Albums&Heatseekers Songs&ボカロチャートは以上!チャート評はまた来週の水曜日に!

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2026年9月 2日 (水)

比較的新譜は少ないが・・・

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週は比較的新譜は少ないものの、そのような週によくみられるロングヒット勢の巻き返しはありませんでした。

まず今週1位は=LOVE「恋、はじめました。」が獲得。元AKB48の指原莉乃プロデュースによる声優アイドルグループ。CD販売数1位、ストリーミング数9位、動画再生回数8位。オリコン週間シングルランキングでは初動売上51万4千枚で1位初登場。前作「劇薬中毒」の初動36万枚(1位)からアップしています。

2位は韓国の男性アイドルグループRⅡZE「Sunburst」が初登場。CD販売数及びラジオオンエア数2位。オリコンでは初動売上25万1千枚で2位初登場。前作「All of You」の初動28万7千枚(3位)からダウン。

3位はEBiDAN「Yes!東京」が先週から同順位をキープ。特に動画再生回数は2週連続の1位、ストリーミング数も2週連続の2位となっています。

4位以下の初登場は1曲のみ。5位にアソビシステム所属の女性アイドルグループMORE STAR「サマーゴー!!」が初登場でランクイン。CD販売数2位。オリコンでは初動売上6万7千枚で3位初登場。本作がデビュー作となります。

ロングヒット曲はM!LK「好きすぎて滅!」は6位から7位にダウン。一方「爆裂愛してる」は9位から8位にアップ。これでそれぞれ39週連続、通算28週目のベスト10ヒットになっています。またILLIT「It's Me」は8位から10位にダウン。これで通算11週目のベスト10ヒットとなりました。一方、サカナクション「夜の踊り子」は10位から14位にダウン。ベスト10ヒットは通算13週でストップとなりました。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heatseekers&ボカロチャート!

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2026年9月 1日 (火)

「多様性」を感じるコンピレーション

Title:Official FIFA World Cup 2026™ Album

Fifa_album

今年最大級のスポーツイベントとして、大きな話題となったサッカーワールドカップ。日本も3大会連続決勝リーグ進出を決め、残念ながら決勝リーグでは1回戦敗退だったものの、大いに盛り上がった大会となりました。今回紹介するのは、そんな2026年FIFAワールドカップの公式アルバム。ワールドカップ同様、世界の様々な地域やジャンルのミュージシャンたちを集めた作品となっています

内容的にかなり豪華なメンバーが集まったアルバムとなっており、アメリカ出身のutureや南アフリカ出身のTyla、プエルトリコ出身のDaddy Yankee、ナイジェリア出身のBurna Boy、コロンビア出身のShakiraなど豪華なミュージシャンたちが参加。さらには韓国の女性アイドルグループBlack PinkのLisaも参加し、K-POP勢からの参加となっています。まさに全世界からあつまるサッカーワールドカップの公式アルバムらしいラインナップとなっています。

その中でも特に注目なのはThe Rolling Stonesが「In The Star」で参加している点。原曲をベースにリミックスされた作品となっており、打ち込みベースのスペーシーなアレンジで今風な雰囲気の曲となっており、ストーンズよりずっと下の世代の他のミュージシャンたちの曲ともマッチ。もちろん、ミックジャガーのボーカルやキースのギターもそんなアレンジに負けておらず、年齢を感じさせない勢いを感じる作品になっています。

またユニークなのはBlack PinkのLISAが参加した「Goals」。この曲は、ブラジリアンポップのミュージシャン、Anitta、ナイジェリア出身のミュージシャンRemaとのコラボとなっており、K-POPとブラジリアンポップ、アフロビートが融合した独特の楽曲となっており、冒頭に配置されているように、世界各国のミュージシャンが集合したこのアルバムを象徴するような作品となっています。

さらに興味深いのは「Champions」を歌っているIShowSpeedというミュージシャン。日本ではほとんど知名度がありませんが、こちらアメリカでは著名なYouTuberらしく、こういう「ミュージシャン」が参加している点、現代的に感じますし、そんなYouTuberとストーンズが並んで曲を提供している点にもユニークさを感じます。

そんな世界各国の音楽を取り入れたアルバムではあるものの、全体的にはメキシコも開催国のひとつであり、またアメリカでもヒスパニックの比率が高いため、ラテン系の曲が目立ちます。「Mi Mexico Lindo」ではメキシコを代表するシンガーのAlejandro Fernándezが参加。郷愁感たっぷりの歌声を聴かせてくれますし、「Partidazo」でもベネズエラ出身のDanny Oceanがリズミカルなラテンポップを聴かせてくれます。最後を締めくくる「Dai Dai」では、ラテンを代表する歌姫ShakiraがナイジェリアのBurna Boyとタッグを組み、ラテンとアフロポップを融合させたリズミカルなポップを聴かせてくれています。

このような世界各国のミュージシャンたちが参加し、様々なジャンルの音楽を詰め込んだ、まさに「多様性」を感じさせるコンピレーション。ただ、今、この「多様性」というキーワードに逆風が吹いています。特に今回のワールドカップの開催国、アメリカにおいては、トランプ大統領がこの「多様性」を否定するような方針を次々と打ち出しています。さらに、このトランプとFIFAの癒着が問題となっており、今回の大会ではアメリカ代表選手の処分にトランプが介入し、FIFAがそれに応じるという事態が生じ、猛反発や批判の声があがりました。それだけに、このような多様性の魅力を感じさせるコンピレーションをFIFAが、アメリカが開催国が加わっている大会においてリリースすることに、非常に皮肉を感じました。

もうひとつ今回のコンピレーションで気になったこととして、日本のミュージシャンが参加していないがあげられます。今回、日本はワールドカップに出場しており、一方でK-POPのミュージシャンも参加しているにも関わらず、残念ながら日本のミュージシャンは一切、参加していません。

ここ最近、特に日本のメディアにおいて「J-POPが海外でうけている」という話題をよく取り上げたりします。ただ、実際、アメリカのチャートでもイギリスのチャートでもBABYMETALをのぞいて、J-POPがチャートにあがってくることはほとんどなく、このニュースには以前から眉唾的な疑問を感じていました。そんな中、このコンピレーションで、これだけ世界のミュージシャンが参加していながら日本のミュージシャンが選ばれていない、という事実こそが、今のJ-POPの立ち位置なんだろうな、という現実を実感させられます。このコンピ盤ではそんなJ-POPがどうみられているのか、という事実を強く感じました。

そんな気になる点はあるとはいえ、豪華なミュージシャンが参加し、様々な音楽性を取り込んだ本作は、前述の通り、まさに人間が多様であり、その多様性が音楽に対して、いかにプラスの要素を与えるのか、ということを実感できるコンピレーションアルバム。ロック、HIP HOP、EDM、ラテン、アフロビートなどなどの要素をごった煮にしたような作風がとても楽しく、ワールドカップやサッカーに興味がなくても是非とも聴いてほしいアルバムです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Magazine/YHWH Nailgun

実験的な音楽性で注目を集めるニューヨークの4人組ロックバンドによる新作。前作「45 Pounds」は非常に挑戦的かつ実験的な作風が大きな魅力となっていましたが、今回もその路線を引き継ぎ、アイディア豊富、パンクやファンク、ノイズ、エレクトロなどを融合させたアグレッシブな作品が並びます。ただ、前作も10曲21分という短い作品でしたが、10曲入りわずか11分という短さ。どんどんと新しい曲が展開していくような内容ですが、さすがにここまで行くと短すぎるという感触は否めず、ただ、アイディアを並べているだけ、という感じになっていました。さすがに、もうちょっと曲としての体裁を保ってほしい感じも。惜しい感じもする新作でした。

評価:★★★★

YHWH Nailgun 過去の作品
45 Pounds

EXIT 2B/BOYG1RL&NOVAGANG

Exit2b

マイアミ出身のデゥオ、BOYG1RLと、アメリカのHIP HOPグループNOVAGANGによるコラボアルバム。強いビートのハイパーポップを軸に、ハイチのダンスミュージックやブラジリアンファンクなどワールドワイドな要素を入れた楽曲。ただ、基本的には攻撃的なビートのリズミカルなポップが終始流れるアルバム。若干、勢い重視な感もあるのですが、全11曲入りながらも24分という短い時間もあり、最後まで一気に楽しめるアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★★

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2026年8月31日 (月)

思ったより骨太感もある入門書

今回は最近読んだ音楽関連の書籍の感想です。

「世界一おもしろい現代ヒップホップ入門」。YouTuberとして活躍しているEJによるHIP HOP入門書。HIP HOPの歴史、HIP HOPとはどういうジャンルなのか、概説的に取り上げられている書籍で、「世界一おもしろい」というタイトル通り、非常にわかりやすそうな内容であったため、読んでみました。本書は序章含めて5つのチャプターに分かれており、Chapter0では、まずHIP HOPがどのような音楽なのか、Chapter1,2では本場アメリカでのHIP HOPの歴史、Chapter3では日本でのHIP HOPの紹介、Chapter4ではHIP HOPにおけるライフスタイルについて紹介、解説しています。

まず、予想以上に面白く、勉強になったのがChapter1,2の本場アメリカでのHIP HOPの歴史に関する項目。基本的にアメリカにおけるHIP HOP誕生に関するストーリーから、その後の展開、ギャングスターラップの登場や、HIP HOPの歴史で欠かせないビーフに関する事項、さらにはその結果の悲劇として生じた2パックとノートリアルB.I.G.の悲劇、さらには最後は、直近でHIP HOPに関するニュースとして大きな話題となったケンドリック・ラマーとDrakeのビーフに至るまで、HIP HOPの歴史について追いかけています。

HIP HOPの歴史を語るには、それなりにボリューム感が必要かと思うのですが、本書では2章でまとめているためザックリとしたまとめになっています。ただ、キーになる部分は抑えているため、いままでのHIP HOPの流れはしっかりとつかめる内容になっており、特に初心者にとっては、むしろわかりやすい感じがします。それよりも本書で感心したのは、これだけ概括的な内容でありながらも、HIP HOPの背景となるアメリカにおける社会問題、特に黒人差別がどうHIP HOPカルチャーに結び付いたのか、というのをしっかりと記載されている点でした。

いままでのHIP HOPの歴史に関して何冊か読んだことがあり、ここでも取り上げたことがあります。例えば「ライムスター宇多丸の『ラップ史』入門」や、HIP HOP入門書として話題となった名著「文科系のためのヒップホップ入門」がそれです。それらの書籍にもHIP HOPをめぐる社会的問題とのリンクも記載はされていましたが、そこまで詳しくはなく。本書に関しては、入門書という限られたボリュームの中で、社会問題とのつながりについてしっかりと記載があり、今回あらためて勉強となったと共に、思ったよりも骨太感があり、また、著者のHIP HOPに関するしっかりとした視点を感じることが出来た記載になっていました。

一方、物足りなさを感じたのがChapter3の日本のHIP HOPの紹介について。こちらもかなりザックリとした紹介なのですが、どうも著者自体が、日本のHIP HOPのうち、例えばスチャダラパーやRIP SLYMEのような、ポップ系、文科系的なHIP HOPをどうも評価していないように感じられ、そちら方向のグループの取扱いが非常に低く感じます。特にKICK THE CAN CREWなどはほぼ無視されているほか、なんといってもさすがにRhymesterを取り上げておらず、それはちょっと手落ち感がありすぎないか?という感じもします。

ここらへんにつながるのがChapter4での記載で、「HIP HOPに大切なのはリアルであること」という論説が述べられています。このこと自体はもちろんHIP HOPの基本中の基本な理解ですが、一方では日本のHIP HOPの中で、例えばAnarchyやBAD HOPのような「下流社会」についてラップしたグループを「リアル」として、スチャダラパーやRIP SLYMEのようなグループを「リアルじゃない」とするのにはかなり違和感があります(本書では「リアルじゃない」とまで直接述べている訳ではありませんが)。特に日本においては、アメリカの黒人差別ような社会問題は大きくは生じていない訳で、その中で、下流社会についてラップすればリアルというのは、ちょっと理解として単純すぎるようにも感じました。

全体としてザックリな紹介であり、また日本のHIP HOPの記載に関しては疑問を感じるような部分もありつつも、一方ではこれだけのザックリとした入門書でありつつも骨太な記載も目立ち、特に本場アメリカのHIP HOPに関しては、入門者の最初の1冊としてはかなりお勧めできる入門書だと思います。ただ、実際に曲を聴いてみようとした入門者に対して紹介されているのがアルバムではなくプレイリストで楽曲単位であるのは、今の時代だからなのか・・・とも思ってしまうのですが、その点を差し引いても、入門書として最適な1冊。HIP HOP、特に本場アメリカのHIP HOPについていろいろと知りたいと思っている方にはお勧めの1冊です。

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2026年8月30日 (日)

久々のオリジナルアルバムですが・・・

Title:THE BLACK〇ALBUM
Musician:Dreams Come True

90年代に、文字通り一世を風靡したミュージシャン、ドリカムことDreams Come True。ただし、ここ最近に関しては正直なところ、若干ネガティブなことで話題となるパターンが多いように思います。特に、メンバーの中村正人の言動が炎上要因となるケースが多く、以前にはCDの売上が芳しくないことをブログ上で明かして話題となったり、2024年にはライブ途中に帰ったファンに対する苦言をXに投稿し、炎上騒動になったりもしました。

もともと中村正人自身、感情をすぐに口に出してしまうタイプだそうで、この炎上騒動についてもそのためのようですが、ただ一方、ドリカムとしての活動の焦りのようなものも感じます。ドリカム自体はいまでもドームクラスでもライブが出来る人気を維持しているものの、最近の楽曲自体が話題になることも少なく、かつてに比べるとやはり人気の衰えは否めません。特に90年代、彼らと同時期に一世を風靡していたミスチルやスピッツ、B'zなどのミュージシャンが、ともすればいまだに圧倒的な人気を維持して新曲も話題にのぼるケースが多いことと比べると、ドリカムに関しては少々見劣りしてしまう点が否めません。

今回のアルバムは実にオリジナルアルバムとしては9年ぶり、本当に久々となる作品ですが、このアルバム自体にもそんな微妙さを感じてしまいます。作品自体は「オリジナルアルバム」であることにこだわった構成になっているようで、まず、CDでのリリースのみという形態。楽曲の構成もオープニングやエンディング的な曲を加え、既発表曲についても「TBA Version」としてリアレンジ。あくまでもアルバムとして、最初から最後まで通して聴くことを前提とした作品に仕上げています。

しかし、そこまで凝った作品のはずなのに、全14曲中、10曲までがこの9年間にリリースしたシングルをリアレンジした曲ばかり。残り4曲のうち1曲はオープニングなので、純粋な新曲は3曲のみ。既発表曲はこのアルバム用にリアレンジしているとはいえ、アルバムを待ちに待ったファンにしてみれば、いささか期待はずれな作品といった感じですし、その点にこのアルバムの微妙さを感じてしまいます。

その9年間に発表した楽曲自体は決して悪くはありません。ドリカムらしい、R&B的な要素を加味した明るいポップ路線を主軸としながら、バラエティー富んだ展開が魅力的。ラテン風の「ここからだ!」や、ある意味ドリカムらしい、祝祭色あるマーチ風の「あなたとトゥラッタッタ♪」、ロック風でダイナミックな「スピリラ」、オープニングにアニメの1シーンを加えて、ドラマチックなスタートとなっている「G」など、様々な要素を加えてリスナーを飽きさせません。

新曲にしても、ドリカムらしいハッピーさあふれる「カンパイマーン♪」やユーモラスでかわいらしい「アヒルガーガー」など、楽曲自体はむしろ全盛期に比べても衰えを感じさせない楽曲の数々に、吉田美和、中村正人それぞれの実力を感じさせます。ただ一方で正直なところ目新しいものはなく、メロディーラインにしても歌詞にしても、全盛期に比べるとインパクトの薄さはいなめません。90年代と比べると、2020年代だからこそのドリカムというスタイルは提示されておらず、この点はやはりかつての彼らに比べると停滞してしまっている、という印象は否めませんでした。

はっきり言うと、やはりアルバムというスタイルにこだわるのならば、基本的にはアルバムでの新曲がメインになるような構成にしてほしかったし、既発表曲をあらためてCDで・・・というのならば、ベスト盤みたいなスタイルにしてほしかったように思います。アルバムの出来としては悪くはないと思いますし、シングル単位で全ての曲を追いかけていないリスナーも多いでしょうから、この9年間のドリカムを知ってもらうという意味はあったと思うのですが・・・次は純然たる新曲メインのオリジナルアルバムを聴きたいな。いろいろな意味で微妙さを感じてしまう作品でした。

評価:★★★★

Dreams Come True 過去の作品
AND I LOVE YOU
DO YOU DREAMS COME TRUE?
LOVE CENTRAL
THE SOUL FOR THE PEOPLE~東日本大震災支援ベストアルバム~
ATTACK25
DREAMS COME TRUE THE BEST! 私のドリカム
DREAMS COME TRUE THE ウラBEST! 私だけのドリカム
THE DREAM QUEST
DISCO prime


ほかに聴いたアルバム

FIRST CRY!!/竹原ピストル

今年50歳を迎え、節目の年となった竹原ピストルの新作は、その節目の年らしく、あらためてもう一度デビューアルバムを作る気持ちで制作したという1枚。歌詞は相変わらず彼らしい、飾らない日常をストレートに綴る歌がメイン。ただ、もう一度デビューアルバムを、といっても内容的にはやはり年齢を経て、経験を経たからこその歌詞が多く、最後を飾る「あたりまえの歌」をはじめ、まさに50歳だからこその等身大を感じさせる曲が目立ちます。一方、サウンド面では弾き語り主導だったいままでの曲から一転、バンドサウンドがメインの構成に。力強いそのサウンドが、まだまだ自分はこれからだ、というような鼓舞にも感じられる、そんな1枚でした。

評価:★★★★

竹原ピストル 過去の作品
PEACE OUT
GOOD LUCK TRACK
It's my Life
STILL GOING ON
悄気る街、⾆打ちのように歌がある。
One for the show
すうぉ~む!!
Two for the show ~すうぉ~む!!ツアー 2025~

名盤ライブ「30/奥田民生」@LINE CUBE SHIBUYA/奥田民生

Meibanlive30

ミュージシャンが過去に発表した「名盤」と言われるアルバムを、そのままライブで再現する「名盤ライブ」と呼ばれるイベントが行われているそうですが、本作はそんな中、昨年12月11日に、渋谷のLINE CUBE SHIBUYAで行ったライブの模様を収録したライブ盤。1995年に奥田民生がリリースした「30」を完全再現したセットリストになっており、本編は「30」を曲順そのままで演奏。アンコールではそのほかの奥田民生の曲を演奏するというセットリストになっています。もう30年も前のアルバムの再現ながら、脱力感ある楽曲はこの頃からだったんだなぁ、とあらためて再認識したのと同時に、タイトル通り、30歳の年に作ったアルバムながらも、30年たった今の奥田民生にも、むしろマッチしているような感じすらするのは驚き。あらためてこの「30」の魅力を感じられたライブ音源でした。

評価:★★★★★

奥田民生 過去の作品
Fantastic OT9
BETTER SONGS OF THE YEAR
OTRL
Gray Ray&The Chain Gang Tour Live in Tokyo 2012
O.T.Come Home
秋コレ~MTR&Y Tour 2015~
奥田民生 生誕50周年伝説“となりのベートーベン"
奥田民生になりたいボーイに贈るプレイリスト
サボテンミュージアム

カンタンカンタビレ
MTRY LIVE AT BUDOKAN
ひとり股旅スペシャル@日本武道館
あまりもの

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2026年8月29日 (土)

豪華ゲストが参加

Title:日本民謡より愛をこめて
Musician:民謡クルセイダーズ

日本の民謡とラテン音楽を融合させて、独自の音楽性を作り出している民謡クルセイダーズ。そんな彼らの約2年7ヶ月ぶりとなる単独名義では3枚目となるアルバム。今回のアルバムでも、ドリフでおなじみの「北海盆唄」「花笠音頭」など、おなじみの民謡から、元ちとせと組んだ「ワイド節」のような新民謡まで、日本各地の民謡を取り上げて、ラテンのアレンジを加え、独特のグルーヴ感を生み出しています。

さて、そんな彼らのニューアルバムですが、基本的にはその音楽の方向性はいままでのスタイルから大きな変化はありません。ただ、そんな中で本作の特徴となっているのは豪華なゲストの参加が目につきます。まず、「こきりこ節」「花笠音頭」ではコロンビア出身のミュージシャン、マリオ・ガレアーノによるクンビア・プロジェクト、フレンテ・クンビエロが参加。こちらは以前、コラボアルバムをリリースしている彼らの盟友でもあります。特に「花笠音頭」は先行シングルとしてリリースした曲ですが、「花笠音頭」のこぶしの効いた歌と、ラテンのリズムの相性の良さを感じさせる曲に仕上がっています。

島根県の民謡「しげさ節」では、民謡歌手の朝倉さやとコラボ。彼女も日本の民謡とポピュラーミュージックを融合させたり、ポップスを山形弁でカバーしたりというユニークな活動で注目を集めていますが、本作では軽快なリズムやジャジーなサックスの音色をバックに伸びやかで包容力ある歌声を聴かせてくれており、歌手としての実力を感じさせます。

さらに耳を惹くのが前述の通り、元ちとせを起用した「ワイド節」。徳之島で1978年に誕生した新民謡だそうで、「ワイド」とは徳之島の方言で「がんばれ」「よくやった」という意味だそうです。こちらは何よりも元ちとせのこぶしを利かせた力強いボーカルが魅力的な作品。民謡クルセイダーズのラテン風のサウンドも魅力的ですが、それ以上に元ちとせのボーカルに耳がいく楽曲に仕上がっています。

もちろんその他にも魅力的な楽曲は多く、ラテンパーカッションでリズミカルに楽しく聴かせる「北海盆唄」からスタートし、ジャジーな雰囲気でムード感たっぷりに聴かせる「下津井節」、さらに最後を締めくくる「伊予万才」では、ラテンのリズムにジャジーなピアノも加わり、ライブでも楽しく盛り上がりそうな楽曲。アルバムを締めくくる集大成とも言える作品に仕上がっています。

ゲスト陣を参加させつつ、民謡とラテンを融合させ、民謡の新たな魅力を提示した彼ららしい作品。バンドとしての新しい方向性は提示されたものではなく、いままでの活動を深化させたような作風となっています。そのため、目新しさはありません。本作においては、バンドとしての勢いもありますし、ゲストを加えることによって、いわゆるマンネリになることは回避されています。ただ、今後、このスタイルが続いてしまうと、「大いなるマンネリ」になる危険性も感じました。

とはいえ、本作については間違いなく傑作と言える内容だったと思います。なによりもこの軽快なリズムと民謡独特のうねりでライブが楽しいだろうなぁ、ということを強く感じさせる作品です。

評価:★★★★★

民謡クルセイダーズ 過去の作品
エコーズ・オブ・ジャパン
民謡クンビエロ(フロム・トーキョー・トゥ・ボゴタ)(民謡クルセイダーズ&フレンテ・クンビエロ)
日本民謡珍道中


ほかに聴いたアルバム

MORE JET/ギターウルフ

オリジナルアルバムとしては実に約7年ぶりとなるギターウルフの新作。基本的にはいつも通り、これでもかというほどのノイズをまき散らした、ヘヴィーなガレージロックを聴かせてくれています。前作「LOVE&JETT」は比較的メロディアスな楽曲が多かったのに対して、今回のアルバムはよりパンキッシュでヘヴィーなガレージロック路線を追求した作品に。そのため、大いなるマンネリ的な部分がより強調されてしまった感もあるのですが、一方でギターウルフらしさが全開された作品に仕上がっていました。

評価:★★★★

ギターウルフ 過去の作品
宇宙戦艦ラヴ
野獣バイブレーター
チラノザウスル四畳半
LOVE&JETT
ブラックレザー爆弾 LIVE AT WWWX

Angels On The Dancefloor/tofubeats

tofubeatsの新曲はタイトル通り、「ダンスフロア」をテーマに据えた新作。オリジナル作としての直近作「NOBODY」はボーカロイドソフトを導入した実験的な作品となっていましたが、こちらの作品は全体的にハウスやUKガラージなど、クラブ系の作品が並ぶアルバムに。結果として、ダンサナブルで心地よいものの、目新しさはないダンスチューンといった印象も受けるのですが、それはそれでtofubeatsとしての原点という意味合いも強いアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★

tofubeats 過去の作品
Don't Stop The Music
ディスコの神様
First Album
STAKEHOLDER
POSITIVE
POSITIVE instrumental

POSITIVE REMIXS
FANTASY CLUB
RUN
TBEP
RUN REMIXES
REFLECTION
NOBODY
TB DJ REMIXES

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2026年8月28日 (金)

人生はプリズム

Title:PRISM
Musician:踊ってばかりの国

約2年ぶりとなる踊ってばかりの国のニューアルバム。今回のアルバムタイトルは「PRISM」。プリズムというとご存知の通り、ガラスや水晶などの透明な素材でできた多面体のことで、光を屈折、反射、分散させる性質のある物体のこと。音楽ファン的にはピンク・フロイドの「狂気」のジャケットでおなじみ・・・といった方がよいかもしれません。このアルバムタイトルを、「光をいろんな要素に分散させる」という性質から転じて「多様性」のような意味でつかわれているようですが、今回のアルバムはこのタイトル「PRISM」が、様々な意味で用いられている作品になっていました。

まず、そのリリース形態。CD、配信、LPという形態でリリースされているのですが、それぞれのメディアに沿った音質、マスタリングされているそうです。そこにこだわりを感じさせますし、また、リスナーの側からすると、様々なメディアを通して聴ける「多様性」を意図したリリースとなっています。

次に音楽性の側面。「踊ってばかりの国」の曲を、様々な音楽性の要素に分解して見せる、という意図があるようです。彼らは毎回、サイケデリックロックを主軸にしつつ、様々な音楽性を取り込んだ楽曲を聴かせてくれていますが、今回も同様で、アルバムの冒頭を飾る「PSYCHE STAR」はラーガロック的なスタート。「酸性雨」ではレゲエ的なリズムを取り入れていますし、「シーラカンス」では郷愁感帯びたサウンドに、ハワイアン的な要素が加わります。今回のアルバムに限った話ではないのですが、今回の作品でも様々な音楽的要素を感じさせます。

さらにもうひとつの側面としては「歌詞」。もともとメンバーの下津光史は、社会的なメッセージ性の強い歌詞を多く書いていましたが、今回のアルバムで焦点となっているのは「自由」。今回のアルバムリリースに際して彼は「まさに人生はプリズム」という言葉を述べていますが、プリズムのような人生だからこそ大切となる「自由であるということ」を今回のアルバムのメッセージの軸として掲げているように感じます。

ただし、単純に声高に自由に生きることを歌っている訳ではない点が彼ららしくユニーク「Choose your life」ではタイトル通り、自分の人生を選べと比較的ストレートに歌っているものの、「酸性雨」では「自由に生きるわ/せめて」と「せめて」という言葉をつけて、どこかあいまいさを感じさせつつも自由に生きることの重要さを歌っていますし、「逢魔ヶ時」は、昼と夜の間、世界の境界があいまいになる時間を歌っており、インタビューで「自由を感じるのは白や黒ではなく灰色の部分」と語っているように、そのあいまいさ強調しています。

時として、特にネット上では「0」か「1」かを異常なまでに求められるシーンが少なくありません。自分たちの味方か敵か明確に区別し、少しでも自分たちの意見に異を唱える場合には、すぐに「敵」と判定するシーンがよく見られます。そんな現代だからこそ、このあいまいさを大切にしたい、このあいまいさこそ自由である・・・そんなメッセージを強く感じさせます。

ただ、こういうメッセージの下でこう言ってしまうのは何なのですが、このあいまいにゆれうごく音楽性のためか、アルバム全体としては若干インパクトが弱かったかな、という印象も受けてしまいます。「Blowin'in the wind」のように、グリーヴ感をよく感じさせる比較的インパクトを持った楽曲もあるのですが、アルバム全体としては核になるような曲があまりなかったかな、という印象を受けました。良くも悪くも、ちょっと地味なアルバムだった、という印象は否めません。

もっとも、そのマイナスがありつつも、多彩な音楽性や自由に対するメッセージ性、そして意外にポップなメロディーラインをあわせて、十分「傑作」の水準である作品であることは間違いないでしょう。あいまいさを許容できなくなりつつある現代だからこそ届けたい、人生はプリズムである、そんな主張が心に響いてくる作品でした。

評価:★★★★★

踊ってばかりの国 過去の作品
グッバイ、ガールフレンド
世界が見たい
SEBULBA
FLOWER
踊ってばかりの国
サイケデリアレディ
SONGS
君のために生きていくね
光の中に
moana
Paradise review
On the shore


ほかに聴いたアルバム

仮のまま定着したような愛情で/クリープハイプ

アルバムとしては、「こんなところに居たのかやっと見つけたよ」から約1年半ぶりとなる5曲入りのEP盤。楽曲的にはいつもの彼ららしい、これでもかというほどの哀愁感ただようメロディーラインに、独特のボーカルがのり、さらにはテンポよいバンドサウンドで聴かせるスタイル。基本的にはクリープハイプらしさを感じさせる曲が並び、良くも悪くも安心して聴ける作品になっています。

評価::★★★★

クリープハイプ 過去の作品
吹き零れる程のI、哀、愛
クリープハイプ名作選
一つになれないなら、せめて二つだけでいよう
世界観
もうすぐ着くから待っててね
泣きたくなるほど嬉しい日々に
どうにかなる日々
夜にしがみついて、朝で溶かして
だからそれは真実
こんなところに居たのかやっと見つけたよ

PAPER SLEEVE CD BOX/THEE MICHELLE GUN ELEPHANT

2024年末から、デビュー30周年プロジェクト「THEE 30TH」として、過去のアルバムのリマスター作がリリースされてきたTHEE MICHELLE GUN ELEPHANT。その締めくくり的にリリースされたのがこのボックスセット。いままでリリースされた彼らのアルバムをCD盤でまとめ、また、B面ベスト盤「RUMBLE」にアルバム未収録曲を加えた「RUNBLES」を収録しています。オリジナルアルバムに関しては、いままで当サイトでもレビューしてきたので、今回あらためて聴いたのが「RUNBLES」の方。ただ、基本的に疾走感あふれるガレージロックという路線はB面でも全く変わらず。B面だとちょっと変わった曲も収録、というケースも少なくないのですが、彼らの場合、愚直にロックンロールを追求してきたんだな、ということをあらためて感じます。いままでのリマスター作は基本的にアナログか配信でのリリースでしたので、CDで所有したい、という方はあらためて本作で。

評価:★★★★★

THEE MICHELLE GUN ELEPHANT 過去の作品
THEE GREATEST HITS
cult grass stars
High Time
Chciken Zombies
GEAR BLUES
カサノバ・スネイク
ロデオ・タンデム・ビート・スペクター
SABRINA HEAVEN
SANBIRNA NO HEAVEN
wonder style

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2026年8月27日 (木)

今週もちいかわ強し!

今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

今週もちいかわ映画関連の曲が目立ちました。特にHeatseekers Songsではちいかわ関連の楽曲が並びました。

ただ、先週1位だった「島のうた(セイレーンver.)」は3位にダウンし、代わって1位にランクインしたのは青木遥「机さする」が獲得しました。ちなみにその他にはハチワレ(田中誠人)「くつずれ」が4位、うさぎ(小澤亜李),モモンガ(井口裕香),人魚(大木咲絵子),人魚(七瀬彩夏)「うさぎラップ (リズム感のある者たちver.)」が5位、うさぎ(小澤亜李),人魚(大木咲絵子),人魚(七瀬彩夏)「うさぎラップ (ソロver.)」が8位と、今週もちいかわ映画の劇中歌がズラリと並んでいます。


今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

Hot Albumsでも「『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』オリジナル・サウンドトラック」はワンランクダウンながらも2位をキープ。特にストリーミング数は3週連続の1位を獲得しており、その人気のほどを感じる結果となっています。

一方、1位に初登場してきたのは韓国の男性アイドルグループZEROBASEONE「回帰LOVE」が獲得。CD販売数1位。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上9万枚で1位初登場。日本版2作目となるEP盤。直近作であり、韓国盤EPである「Ascend-」の初動3万4千枚(3位)からアップ。

3位はHANA「HANA」が先週からワンランクダウンながらもベスト3をキープ。これで26週連続のベスト10ヒット&通算21週目のベスト3ヒットとなりました。

4位以下初登場盤は韓国の男性アイドルグループTREASURE「NEW WAV」が4位初登場。CD販売数2位。7位には、PRODUCE 101 JAPAN 新世界「PRODUCE 101 JAPAN 新世界」がランクイン。日韓合弁の芸能事務所LAPONEエンタテイメント主催のアイドルオーディション番組に使われた楽曲を収録した作品。CD販売数3位。8位にはシンガーソングライターmilet「Made of Glass」が初登場。CD販売数4位、ダウンロード数では1位を獲得しています。

ロングヒット盤ではILLIT「MAMIHLAPINATAPAI」が今週は2ランクダウンの5位。これでベスト10ヒットは16週連続に。BTS「ARIRANG」は2ランクダウンの6位。こちらは23週連続のベスト10ヒット。Mrs.GREEN APPLE「ANTENNA」はワンランクダウンの10位。こちらは通算75週目のベスト10ヒット。なお、先週までベスト10ヒットを続けていたマイケル・ジャクソン「スリラー」は14位にダウン。ベスト10ヒットは9週連続でストップとなりました。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

今週はボーカロイド曲の祭典、ボカコレ2026 Summer開催週ということでボカコレ関連の曲が上位にランクインしています。まず1位は東京真中「フォーモ」が獲得。本作はボカコレ2026 Summerの4位獲得曲となります。2位はOSTER project「音楽はつづく」。こちらはボカコレ1位獲得作。3位はSohbana「恋」が初登場。こちらはボカコレ2位獲得作となっています。

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2026年8月26日 (水)

ベスト3はアイドル勢

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週はベスト3にアイドル勢が並びました。

まず1位は韓国の男性アイドルグループTOMORROW×TOGETHER「セツナハナビ(Setsuna Hanabi)」が初登場。CD販売数2位、ダウンロード数及びラジオオンエア数1位、ストリーミング数13位。オリコン週間シングルランキングでは初動売上33万6千枚で2位初登場。前作「誓い(CHIKAI)」の初動35万8千枚(1位)より若干のダウン。

2位はAKB48「好きish」が初登場でランクイン。CD販売数1位、その他は圏外となっています。オリコンでは初動売上55万9千枚で1位初登場。前作「名残り桜」の初動44万6千枚(1位)からアップ。

3位は先週1位のEBiDAN「Yes!東京」が2ランクダウンながらもベスト3をキープしています。

4位以下の初登場曲は1曲のみ。4位に元SexyZoneの中島健人「鬼事」が初登場。フジテレビ系アニメ「逃げ上手の若君」オープニングテーマ。CD販売数3位、ダウンロード数4位。オリコンでは初動売上8万6千枚で3位初登場。前作「IDOLIC」の初動7万5千枚よりアップしています。

ロングヒット曲では、まずM!LK「好きすぎて滅!」が4位から6位、「爆裂愛してる」が6位から9位にダウン。ストリーミング数が「好きすぎて滅!」は2位から4位にダウン。一方「爆裂愛してる」は7位から6位にアップしています。これでそれぞれ38週連続、通算27週目のベスト10ヒット。

ILLIT「It's Me」は7位から8位にダウン。ただし、ストリーミング数は4位から3位にアップしています。これで通算10週目のベスト10ヒットに。また、サカナクション「夜の踊り子」は8位から10位にダウンしながらも、今週もベスト10入り。こちらはストリーミング数が5位から7位にダウン。通算13週目のベスト10ヒットとなりました。

一方、米津玄師「IRIS OUT」は9位から11位にダウンし、再びベスト10陥落。ベスト10ヒットは通算42週で再びストップです。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heatseekers&ボカロチャート!

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