2008年10月 5日 (日)

やわらかな音

Title:BABY'S CHOICE
Musician:TWIGY

BABY’S CHOICE

最近のTWIGYは、前作「AKASATANA」では、PREFUSE73とコラボレートをするなど、エレクトロニカ系へと興味がむかっていました。

しかし、本作はその反動でしょうか、やわらかい雰囲気のトラックの目立つ作品となっていました。

エレクトロ路線への興味は随所に感じられるのですが、生の音を取り入れた音づくりは、暖かさを感じさせます。まあ、アコースティックテイストバリバリのオーガニックサウンド・・・とまではいかないのですが。

また、女性ボーカルをフューチャーし、R&B風ポップス+ラップと、最近の売れ線っぽいポップナンバー「OOO BABY」や、60年代モータウン風のトラックが特徴的な「WUTUWUN?」など、ポップなナンバーも多く、実験性が先立っていた前作とは大きな違いを感じられます。

ただ、一方では「TOAST'N HONEY」のような実験的な要素の強いナンバーも収録されていたり、あらたな可能性の模索も感じ取れました。

あえていえば、ポップな作品はあくまでもポップに、実験的な作品は実験的に、と、ポピュラリティーと実験性の両立という観点からは、バラバラに構成されていて、少々アルバムとしてのまとまりも欠けていたかもしれません。

しかし、様式化しがちな最近のHIP HOPシーンの中で、確固たる個性を感じさせるアルバムなのは間違いありません。TWIGYの音は、まだまだ進化していきそうです。

評価:★★★★★

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2008年10月 4日 (土)

渋谷系とメタルを一緒にしたら?

 Coaltar Of The Deepers/Breastroke - The Best Of Coaltar Of The Deepers

Title:THE BREAKSTROKE
~The Best of COALTAR OF THE DEEPERS

Musician:COALTAR OF THE DEEPERS

先日見に行った、「デトロイト・メタル・シティ」は、渋谷系ポップスを好み主人公が、ひょうなことから、デスメタルバンドのボーカリストとして活動をする話でした。

主人公の好きな「渋谷系」という音楽と、「デスメタル」とのギャップの大きさが笑いのポイントの一つでしたが、世の中は広いもので、渋谷系音楽とメタルを両立させちゃっているバンドがいたりします。

それが彼ら、COALTAR OF THE DEEPERS

当サイトでは以前から応援しているのでご存知の方も少なくないかと。また、最近は、ボーカルのNARASAKIは、大槻ケンジと組んでいろいろと活躍しているので、その名前をみかける機会も増えてきました。

本作は、1998年にリリースされ、その後廃盤となった、初期ディーパーズのベスト盤です。初期ディーパーズの音は、昨年、EP BOXの発売こそありましたが、なかなか聴ける機会がなく、貴重なアルバムと言えるでしょう。

渋谷系とメタルの融合・・・といっても、融合されているのはそれだけではありません。メタル以上に強い要素がシューゲイザーサウンド。甘~いノイジーなギターサウンドに、ポップなメロディーをかぶさるという手法は、The Jesus And Mary Chainを彷彿とさせますが、そこにメタルの要素を加えることにより、ジザメリともマイブラともRIDEとも異なる、独特のサウンドを作り上げています。

最近の作品は、実験的に様々なジャンルの音を取り込むケースが多いのですが、初期ベストの曲は、シューゲイザー直系の楽曲が並んでいます。また、この段階で、既に自分たちの世界を確立していたんですね。日本にも、決してイギリスの模倣ではないシューゲイザーバンドがいたことを、このアルバムを聴いて再認識してほしいです。ギタポ好きはまずは聴いて欲しい作品です。

評価:★★★★★

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2008年10月 3日 (金)

空間で音を鳴らす

Title:I'm not fine,thank you.And you?
Musician:54-71

I'm not fine, thank you. And you?

54-71というバンドを一言で言ってしまうと、「空間で音を鳴らすバンド」と言えるでしょう。

とことんまでそぎ落としたシンプルなバンドサウンドに、淡々としながらも、どこか狂気を秘めたようなラップが乗る。既存のどのロックバンドとも違う、どのHIP HOPグループとは異なる、音世界を作り上げています。

音を最小限までそぎ落としているからこそ、ひとつひとつの音が最大限の主張をなげかけています。また、音と音の間ですら、私たちに何か語りかけてくるよう。どんな音を詰め込んでも、彼らの音から出てくる主張にかなうことはないでしょう。

前作から5年ぶりとなる本作。その路線はかわらなかったのですが・・・

どうもいまひとつ、マンネリ気味に感じられてしまったんですよね。全体的に、音から狂気が薄くなってしまったように感じられます。以前の作品に感じた、1つ1つの音の緊迫感が、この作品では若干薄れてしまったかも。

あまりに音がシンプルなだけに、ミュージシャンの微妙な変化がすぐ音に反映してくるのでしょうか。いままでの作品に感じたすごみが、本作では少々後退してしまったように感じました。

ただ、その点を差し引いても、なお感じられる狂気、研ぎ澄まされた音の主張、やはり唯一無二のバンドだと思います。いままで聴いたことないような音の世界に触れたい方は、一聴を。

評価:★★★★

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2008年10月 2日 (木)

世界観にさらなる磨きをかけて

Title:パルス
Musician:THE BACK HORN

パルス(初回限定盤)(DVD付)

メジャーデビューから既に7年目。立場的には「中堅」の彼らですが、ここに来て、人気が急上昇してきています。

きっかけは昨年リリースされたシングル「罠」が、アニメ「機動戦士ガンダム00」のテーマ曲となり、チャート9位を記録したこと。しかし、この手のアニメタイアップはしばしば、ファンが極端に曲にだけつき、ミュージシャンとしてのファンがほとんどつかないケースが往々にしてあります。

しかし、その後リリースしたベスト盤が、なんと初のベスト10ヒットを記録。次のシングル「覚醒」もチャート15位と好成績を記録し、そしてこのアルバムは、初登場5位を記録。アニメタイアップでつかんだファンもしっかりと取り込んで見事ブレイクを果たしました。

でも、その理由もこのアルバムを聴くとわかる気がするんですよね。

このアルバム、いままでのアルバムに比べて、とてもわかりやすいポップな内容になっています。

なんてこと書くと、「売りに走ったか?」と思われそうなのですが、そうではなくて・・・

例えば歌詞。あいかわらず徹底して日本語のみで綴った内容なのですが、悲しみや苦しみが多い世界の中で、それでも前向きに生きていこうというメッセージが、よりストレートに伝わってきます。

シングル「覚醒」でも

「僕らはいつだって独りじゃない ここに居るよ
未来がどんな遠くても
世界が目覚める あの夜明けに手を伸ばすよ
溢れる本当の想い重ねて」

(「覚醒」より 作詞 菅波栄純)

とストレートながら心に響く内容になっています。

そして例えばメロディー。マイナー調主導のコード進行は基本的にかわらないものの、音がよりメロディアスに、ポップになっているように感じました。いい意味で、垢抜けたかも。また、アレンジも比較的シンプルで、より彼らの主張が伝わりやすい内容になっていたと思います。

アルバムの内容の出来と、人気の動向が一致する、これほど幸せな結果はありません。彼らにとってもファンにとってもとても幸福な1枚。まだまだTHE BACK HORNの快進撃は続きそうです。

評価:★★★★★

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2008年10月 1日 (水)

人気者勢ぞろい

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週のベスト3はいずれも初登場。いずれもチャートの常連が並んでいます。

1位EXILE「The Birthday~Ti Amo~」。初動17万枚。シングルの初動売上としては十分すぎる結果なのですが、アルバムの売上から考えると、少々寂しいかも。浜崎あゆみとか倖田來未なんかもそうなんですが、最近のavex勢って、売上面から人気はあるはずなんですが、誰もが知っているヒット曲が少ないような感じがするんだよなぁ。

2位も人気もの同士のユニット、絢香×コブクロ「あなたと」がランクインしてきています。「WINDING ROAD」以来、2作目。この手の企画モノが2作続くのは、少々珍しいかも。絢香の人気が少々縮小気味なので、テコ入れ的な要素もあるのか?

で、3位がモーニング娘。「ペッパー警部」でした。初動3万8千枚というのは、昔に比べればかな~り寂しいとはいえ、なんだかんだいってもチャート3位に入ってくるの根強い人気はあるんですね。曲はご存知、ピンクレディーの大ヒット曲のカバー。一応、原曲の最高位4位を上回る結果を見せたのですが、向こうは勢いにのってきているデビューシングル、こちらは落ち目だからなぁ・・・(苦笑)。

以上3曲、ベスト10常連がベスト3を締めました。一方、6位に入ってきたのは、これが2作目となるBREAKERZ「世界は踊る」がランクインしてきています。今、いろいろと話題のDAIGOのバンドですね(^^;;前作初登場10位を上回る人気を見せました。もっとも、売上的には前作初動1万5千枚に対して、1万9千枚と微妙な程度の増加なのですが・・・(それでも26%増なので、十分な上昇と言えるかもしれませんが)。

ちなみに彼ら、れっきとしたビーイング系なのですが、ビーイング系の中で今、一番勢いがあるのは(B'zは例外として)彼らでしょうね。それにしてもビーイング系といえば、かつてはシンガーのキャラクター性を徹底的に隠してきていたのに、今や、シンガーのキャラクター性で人気を確保しているバンドが一番人気というのにすごく皮肉を感じます。

初登場はあと2曲。9位に加藤ミリヤ「SAYONARAベイベー」、10位に三木眞一郎 come across ロック・オン・ストラス「永遠の螺旋」がランクイン。10位は「機動戦士ガンダム00」のタイアップ曲ですね。

チャートラッシュも一区切りで、今週は、ここ最近強いロングヒットも見てみたいと思います。

まずはなんといってもポニョ(笑)。映画のヒットももちろんのこと、シングルも今週も8位にランクイン。5位→9位→5位→8位となかなかしぶとい強さを見せています。まだまだロングヒットは続きそう。

そしてMr.Children「HANABI」。こちらも今週4位にランクイン。1位→1位→2位→4位と徐々にランクダウンはしていますが、まだまだロングヒットしそうな予感がします。

また、今後の動向に注目なのが、アンジェラ・アキ「手紙~拝啓、十五の君へ~」でしょうか。3位→5位という動向なのですが、曲の内容が、幅広い層に受け入れられそうなタイプなだけに、ロングヒットの予感がします。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週アルバムチャートで1位を獲得したのが、SMAP「super.modern.artistic.performance」でした。この作品、なんといっても作家陣が超豪華。Perfumeで話題の中田ヤスタカや、久保田利伸、菅野よう子らが参加している他、なんと!あのバート・バカラックも楽曲を提供している超豪華さ。つーか、この作品に限らず、ジャニーズ系って、使っているミュージシャンが結構豪華なんだよね、いつも・・・。

ちなみにこのアルバムでSMAPはアルバム総売り上げ1,000万枚を突破したそうです。これは、CHAGE&ASKAについで、男性ボーカルグループでは2組目・・・男性ボーカルグループ??相変わらずオリコンらしい重箱の隅をつつくような記録なのですが、チャゲアスと同じ括りにするか?フツー・・・。それならば、「男性アイドルグループでは史上初」(だよね、多分)にした方がはるかに響きがいいと思うんだけども、変なところでジャニーズに配慮しているのか??

そして3位には、先日シングル「もう一度」をヒットさせた童子-Tのアルバム「12 Love Stories」がランクイン!彼自身、アルバムでは初となるベスト10ヒット。本格的にブレイクか?

初となるベスト10ヒットといえば、9位のPlastic Tree「ウツセミ」も同様。最近、ビジュアル系が再ブームになりつつあるので、その流れでしょうか?ただ、彼らの場合、既にキャリア10年以上のベテラン。以前からその音楽性は、ビジュアル系の枠組みを超えて評価されていたバンドなだけに、ブームにのったのかもしれませんが、人気が上昇してきているのはやはりうれしい話です。

他には・・・5位「D.Gray-man COMPLETE BEST」。こちらはアニメ「D Gray-man」の主題歌集です。

10位にはマイケル・ジャクソン「KING OF POP」がランクイン。マイケル・ジャクソンのベスト盤なのですが、国ごとに曲が微妙に異なるみたいですね。マイケル・ジャクソンといえば、かつては、このアルバムのタイトルのように言われていたんですよね。最近は、すっかりスキャンダルまみれで、その影がありませんが・・・。

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2008年9月30日 (火)

この流れは大きな流れになるか?

Title:Moira
Musician:Sound Horizon

6th Story CD「Moira」(通常盤)

以前取り上げたlivetune feat.初音ミクでも触れたのですが、いわゆるアキバ系の音楽の流れとして、同人音楽という流れが出てきているそうです。

個人的に、この流れには少々興味を持ちました。というのも(こうやって言うと、怒られてしまうかもしれませんが)アキバ系は、世間一般的には、決して高い地位が認められているわけではなくむしろ弱者的な立ち位置にいます。しかし、音楽ってしばしばそういう弱者的立ち位置のコミュニティーから、草の根的にシーンが盛り上がってくるんですよね。アメリカの黒人から産み出されたブルースやジャズしかり、失業に苦しむイギリスの若者から生み出されたパンクしかり。

で、このアルバムはなんとオリコンチャートで3位を記録。デイリーでは一時、安室奈美恵のベストを上回り1位を記録するなど本格的な大ヒットを記録しました。そんな訳で、これを機会に、ちょっと聴いてみることにしました。

Sound Horizonというミュージシャンの特徴として、「物語音楽」というジャンルを標榜しているらしく、このアルバムも「6th StoryCD」と題されているように、アルバム1曲通じてひとつの物語になっている構成のコンセプトアルバムになっています。

楽曲の方は、おおざっぱに言うと、ミュージカルのような雰囲気になっています。詳しく言えば、クラッシック音楽からの影響を土台として、プログレやヘヴィーメタルの影響を感じさせるポップス。映画音楽に雰囲気が近いかもしれません。

ただ、全体的に完成度は高いものの、優等生的。音楽理論に裏付けられた音大生あたりが作りそうな感じで、ポピュラーミュージックとしては、少々面白みはかけるかも。また、音をこれでもかといほど詰め込みすぎ・・・。ある意味、脂分たっぷりのラーメンみたいな感じで、ちょっと聴いた感じだと心地がいいのですが、徐々にくどくなってきます。事実、4、5曲目くらいでお腹いっぱいになってしまいました。先日のlivetuneも全く同様なんだけども、音に緩急をつけてほしい。音を分厚くして耳障りをよくするのって、ヒット曲狙いの商業音楽の手法なんだよなぁ。

さて、そして彼の売りである「物語」の部分なのですが、こちらは典型的なファンタジー。最近では「指輪物語」や「ナルニア」などで受け入れられてきたとはいえ、好き嫌いは極端にくわかれそう。また、幕間に入るやりとりもいささか「アニメ的」で、こちらも好き嫌いはわかれそう。

でも残念ながらわかりにくい。いや、ストーリーが複雑というわけじゃなくて、聴き取りにくいんですよ。Amazonのレビューを見ると、他の作品ではそうではないみたいなのですが。歌詞カードの内容もかなり省かれているみたいだし。物語の内容をアピールしたいのであれば、やはり歌詞カードに内容を詳細に書くべきだと思うけどなぁ。

以上を踏まえて。

総じて言えば、一部の内輪受け的な要素を強く感じました。というか、最近って、アキバ系にしても、ヴィジュアル系にしても、「わかる人だけわかればよい」という雰囲気を感じてしまうんですよね。以前なら、そういう音楽って、アングラシーンだけで終っていたのですが、最近は市場が小さくなったのと、ネットなどを通じて、そういうサブカル系の趣味を持った人たちがむすびつきやすくなったことから、十分ヒットするようになってきています。

万人受けする音楽をやれ、というわけじゃないんですよ。音楽の世界観はこのままでいいと思う。ただ、自分の音楽がどうすればもっと多くの人の耳に届くのか悩んで欲しい。そして時としてそういう苦悩がとんでもない傑作にむすびついてくると思うんです。そういう苦悩の部分が少々物足りなかったかなぁ、と思います。

個人的な感想を言うと

あの、実は私、ファンタジー好きなんですよ(^^;;っていっても、そんなに片っ端からファンタジーを読んでいるわけじゃないんですが、「指輪」「ナルニア」「ゲド」を一通り読んだくらいのファンで・・・。そんな訳なんで、嫌いじゃなかったな。少なくとも、次も聴いてもいいかな、とは思いました。でも、いろいろな意味で、もう一工夫が欲しいよなぁ。

評価:★★★★

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2008年9月29日 (月)

monkey majikが売れた理由

Title:TIME
Musician:monkey majik

TIME(限定生産盤)(DVD[PV]付)

安室奈美恵のベストアルバムに続いて初登場2位

正直言って、この結果には少々驚かされました。というのもmonkey majikに関しては、「Around The World」でのブレイク以降、シングルの売上は下降線で(「Together」でちょっと盛り返したみたいですが)典型的な一発屋路線を進んでいるように感じたからです。

それだけに、このアルバムのヒットに驚いてしまったのですが(初動順位だけなら、前作を上回りましたし)実際に聴いてみると、なんとなく、monkey majikのアルバムが売れた理由がわかるような気がしました。

実にストレートで素直なポップスアルバムだなぁ。
この作品を聴いてまず感じた感想はこれでした。

アルバムは、メロディー主体のポップソングがメインなのですが、変に凝ったアレンジをする訳でもなく、実験的な曲を書くわけでもなく、淡々と進みます。そして、メロディーがいいんですよね。特に派手でもないし、やけに耳に残るといった感じでもなく、部屋のBGMにピッタリといった、主張しすぎることのないポップソングが並んでいます。

曲の雰囲気は全然違うのですが、彼らと立ち位置が似ていたシンガーが一組いました。それはコブクロ。彼らも決して派手ではないのですが、しっかりとしたメロディーを売りに固定ファンを確保していきました。その後大ブレイクしてしまって、いまやトップミュージシャンの一組になったのですが、大ブレイク前のコブクロとmonkey majikには、立ち位置的に似ているものを感じました。

ただ、コブクロは歌謡曲テイストが強く、メロディーは少々暑苦しくもあるのですが(笑)、monkey majikとはその部分は大きく異なります。monkey majikの曲は、洋楽テイストが強く、作風はクール。しかし、どこか歌謡曲のテイストがまぎれこんでいて、洋楽チックでありながらも日本人の耳なじみするメロディーを作り出しているのも彼らの魅力といった感じでしょうか。

もし今後も、このペースで作品を作り続け、固定ファンが増えていけば、ひょっとしたらコブクロみたいに大ブレイク、ということもありえるかもね。名盤とか絶賛するようなタイプの作品ではありませんが、素直なポップソングを楽しみたい方にはお勧めのアルバムです。

評価:★★★★

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2008年9月28日 (日)

素直に楽しめる映画でした。

デトロイト・メタル・シティドキュメントDVD 松山ケンイチ×クラウザーII世×根岸崇一

話題の映画「デトロイト・メタル・シティ」を見てきました。

もともと、原作の漫画も好きで、全巻読んでいます。で、この映画みたいに、漫画や小説の原作付映画って、原作ファンを失望させたり、怒りをかったりするケースが往々にして見受けられます。特に本作のように、原作がまだ完結していない場合はなおさらです。

しかし、その点、この映画は非常に上手く漫画の世界を取り入れていました。漫画の登場人物のキャラクターはそのまま、漫画に出てくるエピソードを上手く取り込みながら、映画ならではのテーマ性を持たせて、軸となるオリジナルストーリーを展開し、エンディングまで持ってきていました。おそらく、オリジナルストーリーの部分やエンディングは、漫画を読んでいる人にとっても納得のいくものではないでしょうか。こういう上手いエンディングをもってこられると、逆に原作者が厳しかったりして(笑)。

で、全体のストーリーもひとつのテーマに沿って展開しています。そのテーマ自体は、少々臭いなぁ、と思ったのですが(笑)、変に説教臭くなることはなく、不必要にテーマに深みを持たせることもせず、あくまでもギャグに徹したストーリー展開で、難しいことを考えず、素直に楽しめて、笑えて、少しだけ胸がキュっとなってしまうような、そんな映画でした。

あと、他のサイトとかでも結構指摘されていることなんですが、DMCのファンがいい味出していますね。まあ、原作でも、DMCのファンが話の流れを持っていく展開は多いのですが、その点も映画でもきちんと踏襲されています。松雪泰子の放送禁止用語バリバリの社長もおもしろかったし、加藤ローザもかわいかったし(ってか、相川さんに関しては、原作よりもよかったかも(笑))難しいことを考えずに、素直に楽しめる映画だったと思います。

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2008年9月27日 (土)

モーサムよ、何処へ行く??

Title:SING!
Musician:MO'SOME TONEBENDER

SING!

今回のアルバム、おそらく、CDプレイヤーのプレイボタンを押した直後に、CDを間違えたのか?と思うかもしれません。ガレージパンクバンドのアルバムを入れたはずなのに、聴こえてくるのは、ニューウェーヴテイストのポップソング・・・しかし大丈夫です。これは紛うことなく、MO'SOME TONEBENDERのニューアルバムです。

以前から、エレクトロ路線の曲や、ポップ路線の曲も手がけていた彼らですが、今回の作品は、全面的にエレクトロやニューウェーヴ、そしてポップの路線で貫かれているアルバムになっています。1曲目の「シンクロニシティ」は前述の通りですし、ようやくバンドサウンドが表に出てきた「カクカクシカジカ」は、同時にテクノポップ色も強い作品ですし、「虹を架けて」では、スペーシーな雰囲気のシンセのサウンドが特徴的ですし、「アイドンノウ」は至ってポップな作風ですし・・・。

今回の作風の変化については、ファンの間でもどう捉えるかで意見がわかれそうです。正直言って、私には今回のアルバム、「迷走している」と感じられました。

確かに、primal screamやRADIOHEAD、そして日本のくるりみたいに、アルバムをリリースする毎にそのスタイルを変化させるミュージシャンも少なくありません。しかし、彼らは、新譜で、先駆的なサウンドやムーブメントを取り入れるか、新たな音を模索して実験しているかのいずれかを試みています。

しかしモーサムの新譜のスタイルは、決して先駆的なサウンドでも、新たな音への挑戦でもありません。そこに、方向転換の必要性は感じられません。また、それでは、いままで築いてきた彼らのスタイルは何だったのでしょうか?突然の方向転換は、彼らの、自分たちのスタイルへの自信のなさの表れように感じました。

ただ、本作が駄作か、といわれるとそうではありません。今回のアルバムでは、ポップなスタイルを取り入れたため、MO'SOME TONEBENDERというバンドが、実は非常に素晴らしいメロディーセンスを持ったバンドだ、ということに、あらためて気がつかされる作品になっていました。

そういうこともあり、本作は、今後活動を続け、何作か後に彼らのスタイルを確立したとしたら、この作品はに大きな意味を持ってくる「問題作」になる可能性がある作品です。しかし、このような方向転換をしたバンドは、そのままフェイドアウトして消えていってしまうケースが少なくありません。そのため、この作品は彼らにとって岐路と言えるかもしれません。

また、そのため本作の評価は非常に難しいです。この作品の出来、単独で考えれば★★★★。結局、迷走を続けフェイドアウトしていくのなら、バンド崩壊の序曲という意味で★★★。一方、バンドとしてのスタイルを確立し、その段階から見て、意味のある作品となれば、★★★★★。このアルバムの持つ意味は、今後の彼らの活動で決まってきそうです。

で、結局↓

評価:★★★★

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2008年9月26日 (金)

言葉の重さが響きます。

Title:戦場カメラマンの唄~鴨志田穣・西原理恵子ラストコラボレーション

鴨志田穣・西原理恵子ラストコラボレーション 戦場カメラマンの唄

西原理恵子という人気漫画家がいます。

破天荒な体当たりエッセイ的な漫画と、叙情的なストーリーを両立させる、おそらく日本でも唯一の漫画家で、「恨ミシュラン」や「ぼくんち」などの漫画をヒットさせています。最近では、毎日新聞に連載されている「毎日かあさん」が話題になったりしているので、名前はご存知の方も多いかと思います。

で、その旦那さん(だった)のが鴨ちゃんこと鴨志田穣氏。もともと戦場カメラマンとして活躍しており、西原理恵子との結婚後は、数々のエッセイ集や小説も手がけています。しかし、戦場カメラマンとして過酷な現実に直撃するうちに、アルコール依存症にかかり、その後、アルコール依存症は克服するものの、ガンをわずらい、昨年、42歳の若さでこの世を去りました。

そんな鴨ちゃんが、生前に残した詩に、ミュージシャンたちがメロディーをつけてリリースしたのが今回のこの作品です。CDブックの仕様となっていて、西原理恵子がイラスト&漫画を描いていて、鴨ちゃんに縁の深い人々や、この企画に参加したミュージシャンがコラムをよせています。

で、今回、このアルバムを聴いたのは、もちろん私自身が西原理恵子の熱烈なファンだから、というのが一番の理由だったりします(笑)。

さて、ここ数日で取り上げたソウルフラワーユニオンや、ONE DAY AS A LIONも、戦争に対して強烈なアンチのメッセージを送っています。しかし、リアルに戦場を見てきた鴨志田穣氏の書く歌詞は、誰の歌詞よりもリアリティーがあり、かつ重みがあります。

表題曲の「戦場カメラマンの唄」では、戦場で起こった現実をストレートに描写した後に

「知らなくていいんだ
見なくていいんだ
感じなくていいんだ
そのために撮るんだ」

(「戦場カメラマンの唄」より 作詞 鴨志田穣)

と締めくくります。あまりにリアリティーのある表現と、そして彼がなにより、戦場カメラマンという仕事に感じていた重みに、心が締め付けられます。

また、「苦しくなる」はアルコール依存症の現状を描く、こちらもユーモアを交えながらも、その実、重いナンバー。そして一転、子供たちへの愛情たっぷりな歌詞を親の視点で書いた「おおきくなあれ」「夢を追って」は、とても心が暖まる歌詞に仕上がっています。

そして妻(だった)西原理恵子への惜しみない愛情を歌った「大切な人」は、聴いていて恥ずかしくなるほどの最上級のラブソング。西原理恵子の漫画でも、二人の愛情はよくわかるものの、どこかぼかしたりちゃかしたりして書いているだけ(この歌詞のイラストでも、西原は舌を出しておどけてますしね)に、あまりに具体的な内容にもちょっとドギマギしちゃいます。

どれもあまりに私的な表現が強く、それだけにリアリティーがあり、ひとつひとつの言葉に重みを感じました。

そんな歌詞と対照的に、歌やアレンジは、特段の特徴もなく、あっさりテイストだったかも。ただ、それは、この歌詞を生かそうとした結果の選択だったのかもしれません。シアターブルックやおおはた雄一など豪華メンバーが参加しているだけに、どの曲もしっかりとしたメロディーとアレンジで、この歌詞をしっかりと受け止めています。そういう意味では、曲としては主張は薄めながらも、この鴨ちゃんの歌詞を生かすには、ちょうどよいバランスだったのかもしれません。

正直、鴨ちゃんと西原理恵子については、どーしても、既存のサイバラの漫画などを読んでいるかどうかで、この作品の印象がかなり変わるような感じがします。そういう意味で、個人的にはかなり気に入りましたが、サイバラのファンじゃない人に受け入れられるかどうかは少々微妙。そういう意味では、個人的には、このCDを聴く前に、「毎日かあさん」を読んでみることをお勧めします。サイバラの作品の中では、比較的癖が薄めですし、また、鴨ちゃんと西原理恵子や子供たちの関係もよくわかる作品なので・・・。

評価:★★★★

毎日かあさん カニ母編 Book 毎日かあさん カニ母編

著者:西原 理恵子
販売元:毎日新聞社
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