2017年9月21日 (木)

ロングヒットの強さが目立つチャートに

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週のHot100は大物アイドル系の新譜がなくCD売上が伸びなかった影響かロングヒット系がランキングを伸ばす結果となりました。

そんな中でも強さを発揮して初登場1位となったのが福山雅治「聖域」でした。テレビ朝日系ドラマ「黒革の手帖」主題歌。先週の57位からCDリリースにあわせてのランクインとなっています。CD売上・ダウンロード・ストリーミング数(以下「実売数」)で1位、PCによるCD読取数2位、Twitterつぶやき数で15位と上位にランクインしている他、ラジオオンエア数でも4位と根強い人気を見せています。オリコンでも初動売上5万7千枚で1位初登場。ただし前作「I am a HERO」の15万8千枚(1位)から大きくダウンしています。

さて2位からはいずれもロングヒット中の曲が並んでいます。2位にDAOKO×米津玄師「打上花火」が、3位に星野源「Family Song」が並んでおり、前者はこれで6週目、後者は5週目のベスト10ヒットとなっています。

DAOKO×米津玄師はYou Tube再生回数で1位と強さを見せており、さらには実売数2位、PCによるCD読取数3位といずれも上位にランクイン。ラジオオンエア数が62位と低めなのが気になりますが、根強い人気が続いています。さらに今週、米津玄師「ピースサイン」が20位から10位にランクアップ。7月24日付チャート以来9週ぶりのベスト10返り咲きを果たしています。ただ本作はこの間、ずっとベスト20をキープしており、ロングヒットを継続していました。

一方星野源は実売数5位、PCによるCD読取数1位が上位に引き上げる結果に。ラジオオンエア数22位、Twitterつぶやき数28位、You Tube再生回数16位と前作「恋」ほどの勢いは感じませんが、こちらも根強い人気をキープしています。

さらに4位にはEd Sheeran「Shape Of You」が先週の5位よりランクアップ。You Tube再生回数が先週の3位から2位へとランクアップし、さらに実売数4位と強さを勢いを取り戻しています。

一方でロングヒット組では先週までロングヒットを続けていた乃木坂46「逃げ水」は今週18位に後退。ベスト10ヒットは6週にとどまりました。

さて続いては初登場組。まずは5位に山下達郎「REBORN」が先週の33位からCDリリースにあわせてランクアップし、ベスト10入りを果たしました。映画「ナミヤ雑貨店の奇蹟」主題歌。実売数13位、PCによるCD読取数15位、Twitterつぶやき数54位に留まりましたが、ラジオオンエア数では見事1位を獲得しています。ラジオリスナー受けがいいという点は山下達郎らしいですね。オリコンでは初動売上8千枚で6位獲得。前作「CHEER UP! THE SUMMER」の9千枚(8位)より若干のダウンとなりました。

6位は女性ボーカルグループLittle Glee Monster「明日へ」が初登場でランクイン。実売数は3位と好調だった一方、ラジオオンエア数が21位、PCによるCD読取数が22位、Twitterつぶやき数が10位に留まり、この位置でのランクインとなりました。オリコンでは2位初登場で自己最高位を記録。ただし初動売上1万9千枚は前作「だから、ひとりじゃない」の2万8千枚(3位)からダウンしています。

今週の初登場は以上。今週は他にもベスト10圏外からの返り咲きがありました。

それが9位ランクインのアメリカの女性シンガーソングライター、Taylor Swift「Look What You Made Me DO」(邦題「ルック・ホワット・ユー・メイド・ミー・ドゥ~私にこんなマネ、させるなんて」)。先週の11位からランクアップし、2週ぶりにベスト10返り咲きとなっています。ラジオオンエア数7位、You Tube再生回数8位と上位にランクインしており、アルバムリリースまでロングヒットが期待できます。

今週のHot100は以上。今週は諸般の事情により順番が入れ替わってしまいましたが、来週は水曜日にHot100にかかるチャート評を更新予定です。

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2017年9月20日 (水)

返り咲きの1位だが・・・

すいません。諸事情によりアルバムチャートから先の更新です。

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週の1位はなんと3週ぶりに返り咲きとなりました。

今週の1位は桑田佳祐「がらくた」。先週の3位から返り咲いて見事1位獲得です。ただし初動売上はわずか1万3千枚。先週の1万9千枚からダウン。CDが売れない昨今とはいえ、かなり寂しい結果となりました。

2位は女性声優内田彩「ICECREAM GIRL」が獲得。シングルアルバム通じて自身初のベスト3ヒットとなりました。初動売上は7千枚。直近作は2枚同時リリースのミニアルバム「Sweet Tears」(8位)「Bitter Kiss」(9位)から横バイという結果に。

3位はアメリカのロックバンドFOO FIGHTERS「Concrete and Gold」が獲得。FOO FIGHTERSは90年代を代表するグランジ系ロックバンドNIRVANAのドラマーDavid Grohlを中心に結成されたバンド。アルバムでのベスト10入りは前々作「Wasting Light」以来。また自身初のベスト3ヒットとなりました。ただし初動売上7千枚は前作「Sonic Highways」の1万1千枚(12位)よりダウンしています。

続いて4位以下の初登場盤です。まず4位には「D'ERLANGER TRIBUTE ALBUM~Stairway to Heaven~」がランクインです。主に80年代に活躍し一世を風靡したロックバンドD'ERLANGERへのトリビュートアルバム。2007年に再結成し、いまなお精力的な活動を続けています。そんな彼らの楽曲をカバーしたのはDir en greyやムック、GLAYからTERUxHISASHIにラルクのhydeなど豪華なメンバー。D'ERLANGERの根強い人気を伺わせます。初動売上6千枚。

5位には5人組ロックバンドRevision of Sence「布教用BEST」がランクイン。積極的なライブパフォーマンスで人気上昇中のバンドらしく、本作で初のベスト10ヒットとなりました。初動売上6千枚。

7位初登場はGLIM SPANKY「BIZARRE CARNIVAL」。男女2人組のルーツ志向のロックユニット。初動売上5千枚。直近作のミニアルバム「I STAND ALONE」(10位)から横バイ。オリジナルアルバムである前作「Next One」の6千枚(9位)から若干のダウンとなっています。なんか、チャートの谷間の週を狙ってリリースしているような・・・。

最後10位には女性アイドルグループ東京パフォーマンスドールのミニアルバム「Summer Glitter」がランクイン。新生東京パフォーマンスドールのアルバムとしては初となるベスト10ヒット。ただし初動売上4千枚は前作「WE ARE TPD」の9千枚(12位)から大幅減という結果となっています。

今週の初登場盤は以上でしたが、チャートの売上水準が低迷した影響でベスト10返り咲き組が1枚。DJ和「ラブとポップ ~好きだった人を思い出す歌がある~ mixed by DJ和」が先週の13位からランクアップし6位再登場となりました。ただし売上は7千枚から5千枚にダウンしています。

今週のアルバムチャートは以上。明日にはHot100を。

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2017年9月19日 (火)

THE COYOTE BAND名義での4作目は・・・

Title:MANIJU
Musician:佐野元春&THE COYOTE BAND

佐野元春&THE COYOTE BAND名義となる4作目のアルバム。THE COYOTE BANDとの名義となったアルバムはいずれも若々しさにあふれた勢いのあるギターロックとなっているのが大きな特徴でした。しかし今回のアルバムに関してはむしろ若々しい勢いというよりは大人の雰囲気を感じるアルバムに仕上がっていました。

フィリーな雰囲気の「悟りの涙」やバイオリンを入れてアコースティックに聴かせる「蒼い鳥」、ちょっとエキゾチックな音を入れた「天空バイク」など、「新しい雨」「禅ビート」など、前作同様ギターロックの路線が根底にありつつも全体的にはソウルやブラックミュージック的な要素を多く含んだ作風となっており、いままでのTHE COYOTE BANDの作品と比べると落ち着いたという印象を受けるアルバムになっていました。

もっとも「落ち着いた」といっても悪い意味でベテランらしい保守的な作品に仕上がった、といった感じではありません。メロディーラインはポップで勢いがあるし、THE COYOTE BANDの演奏は前作までの作品同様、若々しさも感じます。

そして本作もメッセージ性が強く、世の中を鋭く切り裂くような歌詞は健在。例えば「現実は見た目とは違う」では

「本物の聖者は
名前がない
見せかけの聖者は
名前しかない

本物の聖者は
真実を問う
見せかけの聖者は
裏切りに沿う」

(「現実は見た目とは違う」より 作詞 Motoharu Sano)

と昨今世の中を席巻しているポピュリズムを皮肉るような歌詞が特徴的。さらに「朽ちたスズラン」では

「あのひとの嘘はもつれた災いを招くだろう
偽りの涙に愛の海は氷で埋まるだろう
気取った奢りが果てしない争いを誘うだろう
あのひとの金と時間はやがて石になるだろう」

(「朽ちたスズラン」より 作詞 Motoharu Sano)

とデマにまみれた昨今の社会情勢を鋭く批判しています。

さらに今回のアルバムでユニークな試みだったのが1曲目「白夜飛行」と10曲目「夜間飛行」同じ歌詞の曲を全く別のアレンジで収録しています。「白夜飛行」はテンポよいギターロック、「夜間飛行」はジャズ風に仕上げており、両者、全く異なった感覚の楽曲になっています。ある意味アルバムの中で交錯する2つの音楽的な世界観を切り取った、本作を象徴するようなアルバムになっていました。

ここ最近のアルバムとはちょっと異なった雰囲気のアルバムを作り上げながらも今回も傑作に仕上げてきた作品に佐野元春のミュージシャンとしてのキャパの大きさとその実力をあらためて感じた傑作アルバム。彼のすごさをさらに実感させられました。

評価:★★★★★

佐野元春 過去の作品
ベリー・ベスト・オブ・佐野元春 ソウルボーイへの伝言
月と専制君主
ZOOEY
BLOOD MOON


ほかに聴いたアルバム

Tiny Screams/鬼束ちひろ

昨年行われた彼女のライブの模様を収録した初となるライブアルバム。ピアノ、チェロ、パーカッションのみというシンプルなアレンジに、基本的に彼女らしい歌い上げるバラードナンバーが並んだ選曲になっています。そのため似たような曲が多いのですが・・・そのことが全く気にならない内容。楽曲としてクオリティーの高さもさることながら、その力強く感情たっぷりで胸をうつ彼女のボーカルでシンプルなアレンジをバックとして歌い上げられているからこそ同じような曲が並んでいても全く飽きることがなく楽しめるアルバムになっているのでしょう。ボーカリスト鬼束ちひろの実力がよりクリアにあらわれたアルバムでした。

評価:★★★★★

鬼束ちひろ 過去の作品
LAS VEGAS
DOROTHY
ONE OF PILLARS~BEST OF CHIHIRO ONITSUKA 2000-2010
剣と楓
FAMOUS MICROPHONE
GOOD BYE TRAIN~ALL TIME BEST 2000-2013
シンドローム

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2017年9月18日 (月)

カシオトーンを駆使したサウンド

Title:EXPO町あかり
Musician:町あかり

「昭和アイドル歌謡曲風」を標榜している女性シンガーソングライター町あかりの最新作。今回のアルバムの大きな特徴のひとつが楽曲の作り方。今回のアルバムに収録されているのはカシオ計算機からリリースされているキーボード、カシオトーンと音楽制作ソフトのガレージバンドを駆使してつくられた楽曲だそうで、ちょっとチープさを予測させるような音楽制作方法が話題となっています。

そして今回のアルバム、サウンド面ではこういった制作手法がプラス方向にうまく機能していました。もともと町あかりの楽曲というとサウンド的には比較的チープという印象があったためカシオトーンのサウンドでもほとんど気になりません。またそこらへんの女の子の会話や本音、あるあるネタを織り込んだ歌詞は軽いな雰囲気のサウンドにもちょうどマッチしており、むしろサウンド面でちょっとチープさがあった方が楽曲に合っているように思います。

まああとそうはいってもさすがはカシオ(?)。確かにチープはチープなのですが、少なくとも楽曲を邪魔してしまうほどのチープさは感じません。楽曲によっては安っぽい打ち込みの音を前に出している曲もありましたが、それもあえて狙ってのサウンドであり楽曲の中で自然に溶け込んでいます。カシオトーン内蔵のプリセットパターンをほぼそのまま使用したそうですが、それでいてきちんと楽曲にマッチさせているあたり、さすがといった感じの「プロの仕事」を感じさせます。

さてそんな最新作ですが、楽曲の基本的な方向性は前作、前々作と同様・・・なのですが今回の作品に関しては前作、前々作ほどに「昭和アイドル歌謡曲」という路線を前に押し出しておらず、上にも書いた通り、女の子の本音や日常風景、あるいはあるあるネタをインパクトある歌詞で上手く織り込んだポップソングが並んでいます。

ジャンル的にも「お願い!刑事さん」みたいなアイドル歌謡曲王道路線のような楽曲や「たおやかだ~aki~」のようなベタな歌謡曲な楽曲から「は!ction」のようなちょっとジャジーさを感じる曲や「自律神経乱れ節」のような民謡風な楽曲、「ハイヒールが折れたわ」みたいなムーディーな路線まで様々。基本的には80年代の歌謡曲的なサウンドを根底にバラエティーある内容となっています。

また楽曲的に大きなインパクトとなっているのがその歌詞。日常の会話をそのまま歌詞に取り入れたような内容になっており、かつ非常にインパクトあるフレーズを上手くサビとして取り込んでいます。このスタイルも前作、前々作から大きな違いはありません。

ただ基本的に出オチ的な一発ネタがメインということもあり、インパクトあるフレーズばかりが目立っていてそれに続く内容があまりない・・・という欠点も以前から同様。ただ今回のアルバムに関しては、その一発ネタのような歌詞があまり気になりませんでした。「昭和歌謡曲」的なイメージが前作、前々作ほど強くなかったため、昭和歌謡曲の名曲と比較されることがなかったのも大きな要因かもしれませんし、また1曲あたり2、3分という短さゆえに一発ネタ的な勢いだけで突っ切れたという部分も大きいかもしれません。またなによりも彼女の書く歌詞がより進化してきていて、一発ネタを引っ張ることにより生じる不自然さが薄くなってきたのかもしれません。

いままで3作、彼女のアルバムを聴いてきたのですがその中では文句なしに一番楽しめたアルバムだったように思います。サウンド的なB級さと歌詞の世界が上手い具合にマッチした作品に仕上がっていました。そのあるあるネタにも思わず共感してしまう、最初から最後まで楽しいアルバムです。

評価:★★★★★

町あかり 過去の作品
ア、町あかり
あかりの恩返し


ほかに聴いたアルバム

LIVE A LIVE/ヒステリックパニック

名古屋で結成された5人組ロックバンド。地元ということで名古屋ではレコード店などでよくプッシュされていたので以前から名前は知っていたのですが今回アルバムをはじめて聴いてみました。

楽曲的にはメタル色も強いハードコアバンド。ただハードコアなサウンドとポップなメロが交互に展開されるスタイルで方向性的にはマキシマム ザ ホルモンやヤバイTシャツ屋さんに近い感じがします。ただ全体的に音はごちゃごちゃしておりいまひとつ整理されておらず、バンド演奏ものっぺりしている感じでいまひとつ。外部からプロデューサーを招いて交通整理した方がよいのでは?

評価:★★★

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2017年9月17日 (日)

こちらはデビュー35周年

Title:ALL TIME BEST
Musician:安全地帯

今年、デビュー35周年を迎えたロックバンド、安全地帯。そんな彼らのオールタイムベストがリリースされました。さらにそんな安全地帯の中心メンバーでありボーカリストである玉置浩二のソロキャリアを統括したベスト盤も同時リリース。2作品同時に聴いてみました。

Title:ALL TIME BEST
Musician:玉置浩二

実は私、安全地帯をアルバムという形で聴いたのはこれがはじめて。もちろん大ヒット曲であり本作にも収録されている「ワインレッドの心」や玉置浩二の「田園」などは聴いたことがありました。ただ、今回はじめてベスト盤という形でまとめて聴いてみました。

安全地帯というと以前から、一部で・・・というよりも具体的にミュージックマガジン誌近辺あたりで非常に評価が高いのですが、今回のベスト盤を聴いてみても、正直そこまで高い評価に対してはあまりピンと来ませんでした。

もちろん、数多くのヒット曲にスタンダードナンバーも歌っていたミュージシャン。一定以上の「実力」があることは間違いありません。今回聴いたベスト盤2作にひんに関しても数多くの名曲が収録されている点には異論はありません。

ただ今回のベスト盤を聴いて強く感じてしまったのですが、彼らの楽曲はあまりにも保守的。確かにそのしんみりとうっとりするメロディーラインは魅力的ではあるのですが、よくも悪くも一昔前そのままの歌謡曲であり、目新しさは感じませんでした。とはいえ個人的には井上陽水と組んだ「夏の終りのハーモニー」のメロは絶品だと思いましたが・・・。

しかし一方、もうひとつ大絶賛されている玉置浩二のボーカル、これに関してはもうもろ手を挙げて絶賛するしかないですね。彼の楽曲に関しては以前から聴いたことはあったのですが、あらためて聴くとその歌の上手さに関しては文句のつけようがありません。

声量、表現力ともに申し分ないのですが、なによりそのボーカルが実に自然体であることが大きな魅力に感じます。とかく特に日本では「歌が上手い」と称されるボーカリストはいかにもゴスペル風の声をはりあげてその声量を聴かせたり、あるいは感情過多というほどのボーカルを聴かせたりして、なによりも「歌の上手さ」を強調しようとするスタイルが目立ちます。

ただ彼のボーカルはその歌声にしても表現力にしてもとにかく自然体。まったく聴いていて違和感がないのに心に響いてくるボーカルを聴かせてくれます。今回、ベスト盤としてこういう形で彼の歌をまとめて聴いて、そのボーカリストとしての実力、魅力を強く感じることが出来ました。

もっとも彼らの楽曲に関して上で否定的な書き方をしていますが、数多くのヒット曲を抱え第一線で活躍してきたミュージシャンだけに凡百のミュージシャンでは到底かなわないような作品を奏でているのは間違いありません。どちらかというと「良質な歌謡曲」といったイメージなのですが・・・彼らの活躍をまとめて聴くには最適なベスト盤になっていました。

評価:どちらも★★★★

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2017年9月16日 (土)

20周年の記念盤

Title:万謡集
Musician:氣志團

ここ最近、再び勢いが増している氣志團。なんと今年、結成20周年を迎える彼ら。ある意味「出オチ」感すらある彼らが20年もこのスタイルで活動を続けられるのは驚異的でもあるのですが、そんな彼らの新作はなんと全曲、彼らが敬愛するミュージシャンたちからの提供楽曲でつくられた作品。豪華ミュージシャンが作詞作曲勢にズラリと並んだアルバムとなっています。

それだけにアルバム全体的にバラバラになっている・・・かと思いきや、むしろ全体的にはいかにも氣志團らしい楽曲の並び、ある種の統一感がありました。クレイジーケンバンド横山剣が提供した「東京湾大飯店」やハイロウズ真島昌利が提供した「逃げろ!逃げろ!」などは聴いただけで誰がつくったのか一発でわかるような癖のある楽曲だったのですが、その他の曲に関しては、作った側が「氣志團」というバンドをイメージしながらつくったのでしょう、10-FEETのTAKUMAが提供した「フォーサイクル」がハードコアパンク風だったり、BUCK-TICKの櫻井敦司、今井寿コンビが提供した「恋するクリスチーネ」がグラムロック風だったりとバンドの個性をそれなりに出しつつも、基本的には氣志團としてイメージされるようなビートロックの楽曲が並んでいます。

歌詞の方もいかにも氣志團らしい青春系の歌詞が並ぶのも特徴的。特にラストを飾る秋元康が作詞で参加した「リーゼント魂」などはまさに氣志團のいままでの歌詞の傾向を上手くとらえて歌詞にした内容。ここらへんを卒なく仕上げてくるあたりはさすが秋元康といった感じなのでしょう。

またこれだけいろいろな個性が集まった楽曲を氣志團が演奏するとしっかりと氣志團の曲になっていたのも印象的でした。氣志團といえばその不良のルックスからキャラクター的な部分で個性を確立しているバンドというイメージが強いのですが、今回、こうやって他人が提供した楽曲を並べて聴くと、彼らがバンドとしてもしっかりと個性を確立しているんだということにあらためて気が付かされます。

前作「不良品」は彼ら自身が氣志團というバンドをしっかりと見つめ直して実に氣志團らしいアルバムに仕上げた傑作になっていましたが、今回は周りの人たちが氣志團というバンドをどう見ているのかを表現したアルバムと言えるかもしれません。そういう意味では前作と対照的なアルバムと言えるでしょう。

ただ個人的にはもうちょっと楽曲的にぶっとんでいてもおもしろかったのでは?とも思ってしまいました。前山田健一が提供した「はすっぱ」みたいなムード歌謡風バリバリの普段の氣志團では聴けないような楽曲もあるのですが、上にも書いた通り、全体的にはビートロック路線で統一されており、こういう楽曲もありなんだ、という意外性にはちょっと乏しい内容でした。他の人が楽曲を提供するだけに、もっと氣志團としてはありえないような楽曲も何曲かあってもおもしろかったと思うのですが・・・。良くも悪くも「氣志團らしい」アルバムに留まっていました。

とはいえ著名なミュージシャンたちが楽曲を提供しているだけにポップでインパクトある楽曲揃い。最初から最後までポップなビートロックを存分に楽しめるアルバムでした。結成20年を迎えてまだまだ勢いのある彼ら。これからの活躍にも期待です。

評価:★★★★

氣志團 過去の作品
房総魂~Song For Route 127
木更津グラフィティ
蔑衆斗 呼麗苦衝音
日本人
氣志團入門
不良品


ほかに聴いたアルバム

松永天馬/松永天馬

アーバンギャルドのリーダーとしても活躍している松永天馬の初となるソロアルバム。もともとアーバンギャルドでも変態性あるエロチックな歌詞を書いていましたが、ここ最近、社会派な路線が続いています。そんな中リリースされたソロアルバムは、自分の名前を題したアルバムらしく、彼の内面をそのままさらけだしたような歌詞が大きな魅力に。変態性を感じるエロチックな歌詞に彼の本音をある意味赤裸々に綴ったような内容が特徴的。ある意味、聴く人は選びそうですが、それだけ強烈な個性を感じさせるアルバムでした。

評価:★★★★

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2017年9月15日 (金)

結成25年を超えていまだ感じる新鮮味

Title:Metaltic Nocturne
Musician:noodles

昨年、結成25周年を迎えてすっかりベテランバンドの域に達した3ピースガールズバンドnoodlesの最新アルバム。ご存じの通り、もともとthe pillowsの山中さわおの目にとまり、彼が主催する「DELICIOUS LABEL」に所属することになってその活動をスタートさせた彼女たち。ある意味、the pillowsの「妹分」的な彼女たちなのですが、楽曲もthe pillows同様、ストレートでポップなオルタナ系ギターロックが心地よい作品が並んでいます。

以前にも書いたアルバム評で彼女たちを「女版the pillows」と何度か書いたのですがそのイメージは本作も変わりません。本作の冒頭を飾る「Heart Bop」のギターのイントロや途中の入るギターのフレーズなどはthe pillowsの影響を強く感じますし、「right hand arrow」なども出だしのギターフレーズはまんまthe pillows。ミディアムテンポでメロディアスなナンバーなのですが、どこかキュートさも感じるフレーズにもthe pillowsらしさを感じます。

基本的には英語詞が主体となったオルタナ系ギターロックが主軸となったアルバム。the pillows以上にシンプルなギターロックが目立ちますし、比較的ポップス路線が目立つ最近のthe pillowsに比べるとよりへヴィーなギターサウンドを前に押し出した「ロック」な楽曲が目立ちます。

以前聴いたアルバム「Explorer」では打ち込みやアコースティックな要素を入れてそれなりにバリエーションを出そうとしていましたが、本作ではあくまでもギターロックに特化。そのため正直言うと、若干バリエーションの不足が目立ちました。もっとも、アルバムとしてはわずか38分という短さ。そのため楽曲的に「似た曲が多い」と感じる部分も少なくありませんでした、ほとんどだれることなく一気に聴き切ることが出来るアルバムになっていました。

特にタイトルチューンとなった「Metaltic Nocturne」では哀愁感あるメロディーラインに強いインパクトを感じ、アルバムの中でひとつの核となっていました。メロディーラインはより洋楽テイストを強く感じ、the pillowsとは異なる方向性にnoodlesとしての個性もしっかりと感じることが出来ます。

また前半、英語詞の曲が並ぶのに対して後半は日本語詞の曲が並び、アルバムの中でバリエーションを持たせているのも特徴的。もうちょっといろいろと挑戦した方が・・・と思うこともなきにしろあらずなのですが、割り切ったようなシンプルなギターロックがとにかく魅力的で、最後まで楽しむことが出来るアルバムになっていました。

結成から25年以上を経過しながらも勢いのあるギターサウンドにいまなお新鮮味すら感じることが出来るnoodlesのアルバム。このベテランバンドながらも若手のような新鮮味が残っているという点でもthe pillowsと共通しているように思います。個人的には(以前のアルバムでも書いたのですが)もっともっと売れてもいいと思うんだけどなぁ。全ギターロックファンにお勧めしたいアルバムです。

評価:★★★★★

noodles 過去の作品
SNAP
Explorer

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2017年9月14日 (木)

アラ還おじさん、がんばる

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週のアルバムチャートではアラ還世代の男性ミュージシャンの活躍が目立ちました。

まず1位2位には浜田省吾(64歳)のアルバムがワンツーフィニッシュです。1位は「The Moonlight Cats Radio Show Vol.1」、2位は「The Moonlight Cats Radio Show Vol.2」。2枚同時リリースとなったのは彼がR&Bの名曲をカバーしたミニアルバム。初動売上はいずれも2万2千枚と低水準となってしまったのですが、それでも1、2フィニッシュは見事。直近のオリジナルアルバム「Journey of a Songwriter~旅するソングライター」に続いての1位獲得となっています。なお初動売上は直近作「"J.BOY"30th Anniversary」の2万8千枚(2位)よりダウンしています。

そして3位には先週1位の桑田佳祐(61歳)「がらくた」が2ランクダウンながらもベスト3をキープ。今週、ベスト3にランクインしてきたのがいずれも還暦越えの男性ミュージシャンという結果となっています。

さらに9位にはさだまさし(65歳)「惠百福 たくさんのしあわせ」がランクインしてきています。60歳を超えていることが信じられないようなアグレッシブな活動を見せるハマショーや桑田佳祐と比べると、こちらは良くも悪くも「年齢なり」といった感じ。初動売上は8千枚。直近作は裏ベスト「御乱心~オールタイム・ワースト~」でこちらの1万2千枚(8位)よりダウン。直近のオリジナルアルバム「風の軌跡」の1万3千枚(8位)からもダウンしています。

世代的にはそんなアラ還おじさんとは一回り近く下なのですが、「がんばるおじさん」という意味では奥田民生(52歳)もそうでしょう。5位に「サボテンミュージアム」が初登場でランクイン。最近はユニコーンでの活動も目立ってましたので、オリジナルアルバムとしては「O.T.Come Home」以来約3年10ヶ月ぶりとなるアルバム。初動売上1万2千枚。直近作はライブ盤「奥田民生 生誕50周年伝説“となりのベートーベン"」でこちらの1千枚(48位)からはさすがに大きくアップ。オリジナルアルバムとしての前作「O.T.Come Home」の1万9千枚(8位)からもダウンしています。

今週はそんなおじさん勢の活躍が目立ちましたが、もちろんその他のミュージシャンもがんばっています。まず4位にヴィジュアル系ロックバンドシド「NOMAD」がランクイン。初動売上1万6千枚。直近作はベスト盤「SID ALL SINGLES BEST」の1万3千枚(6位)よりアップ。ただし直近のオリジナルアルバム「OUTSIDER」の3万2千枚(5位)からは大きくダウンしてしまいました。

6位には4人組ロックバンドSUPER BEAVER「真ん中のこと」が入ってきました。全6曲入りのミニアルバムでベスト10入りは前作「27」に続いて2作目。初動売上1万枚は前作の6千枚(10位)からアップしています。

さらに10位にはRIZE「THUNDERBOLT~帰ってきたサンダーボルト~」がランクインしてきました。2000年にシングル「Why I'm Me」がヒットを記録したミクスチャーロックバンド。その後、メンバーチェンジなどがあったものの地道に活動を続けてきました。そしてアルバムとしては2000年のデビューアルバム「ROOKEY」以来のベスト10ヒット。オリジナルアルバムとしては7年3ヶ月ぶりと久々のリリースだったのですが、見事ヒットを記録しました。ただし初動売上7千枚は前作「EXPERIENCE」(16位)からほぼ横ばい。もっとも久しぶりのアルバムにも関わらず、初動売上を落とさなかった点、根強い人気を感じます。

今週初登場は以上でしたが、ベスト10圏外からランクアップし、初のベスト10入りを記録したアルバムがありました。それが先週の35位から8位にランクアップした菅野ようこ「NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』緊急特盤 鶴のうた」。NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」で、直虎の幼馴染として登場する高橋一生演じる小野但馬守政次が番組の中で壮絶な最期をとげたそうですが、その彼への追悼盤として急きょリリースされたのが本作だそうです。件の大河ドラマは全く見ていないので、なぜ本作がここまで売れるのかわからないのですが、なんだかんだいっても大河ドラマの人気は高いんだな、ということを感じさせます。

また今週、韓国の男性アイドルグループEXO「The War:EXO Vol.4(Korean Ver.)」がベスト10圏外からランクアップして7位にランクインしてきました。もともとは7月にリリースされたアルバムだったのですが、その時は初動売上1万枚で11位止まり。今回、7月リリースの作品に新曲を追加したリパッケージアルバムがリリースされ、再度順位を伸ばし、同作としては初のベスト10入りとなりました。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に。

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2017年9月13日 (水)

あの曲がまたベスト10に返り咲き!

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週、再びSMAP「世界で一つだけの花」が先週のランクイン圏外からベスト10に返り咲いています。おそらくメンバーのジャニーズ事務所退社のニュースが大きく報じられ、その影響でファンが再びCDの購入に走ったのでしょう。また9月9日は彼らのデビュー記念日であり、その影響も大きそう。CD販売・ダウンロード・ストリーミング数(以下「実売数」)で14位、さらにはTwitterつぶやき数で1位を記録し、今年の1月9日付チャート以来、36週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。ちなみにオリコンでも1万7千枚を売り上げ、9位にランクアップしてきています。

ちなみに今週の1位もジャニーズ系。関ジャニ∞「奇跡の人」が初登場で獲得しています。日テレ系ドラマ「ウチの夫は仕事ができない」主題歌。作詞作曲はさだまさしで関ジャニ版関白宣言的な歌詞が印象的。歌詞の内容が若干保守的な感じなのが気にかかりますが。実売数及びPCによるCD読取数1位、Twitterつぶやき数6位、一方ラジオオンエア数は43位にとどまっています。オリコンでも初動売上25万2千枚で1位初登場。前作「なぐりガキBEAT」の27万3千枚(1位)からダウン。

今週2位はDAOKO×米津玄師「打上花火」が先週から変わらず2位をキープ。実売数2位、PCによるCD読取数3位を記録している他、You Tube再生回数は先週から変わらず1位をキープ。まだまだ勢いは続いています。また3位は星野源「Family Song」が先週5位からランクアップしベスト3返り咲き。PCによるCD読取数2位のほかは実売数9位、You Tube再生回数15位と前作のような勢いは感じませんが、上位に食い込んできたのは他に大きなヒットが少ない影響でしょう。

続いて4位以下の初登場曲です。6位にポルノグラフィティ「キング&クイーン」が先週の99位からCDリリースにあわせてベスト10入り。日テレ系「ワールドグランドチャンピオンズカップ2017」テーマ・ソング。いわゆる「グラチャンバレー」のテーマ曲ですね。この手のスポーツイベントの番組テーマ曲らしい爽快さとスケール感をあわせもったポップソングになっています。実売数6位、Twitterつぶやき数9位、ラジオオンエア数17位、PCによるCD読取数11位と万遍なく上位に食い込んでいます。オリコンでは5位初登場。初動売上2万1千枚は前作「LiAR」(6位)から横バイ。

7位にはamazarashi「空に歌えば」が先週の37位からCDリリースにあわせてベスト10入り。日テレ系アニメ「僕のヒーローアカデミア」オープニング・テーマ。アニメ主題歌らしい疾走感あるロックチューン。実売数7位、PCによるCD読取数16位、Twitterつぶやき数17位、You Tube再生回数24位にランクインしましたがラジオオンエア数は66位と伸び悩みました。オリコンでは初動1万4千枚で13位初登場。前作「命にふさわしい」の1万6千枚(5位)からダウンしています。

8位初登場は小沢健二とSEKAI NO OWARI「フクロウの声が聞こえる」。今年2月、CDでのシングルリリースとしては実に19年ぶりとなる「流動体について」をリリースし大きな話題となったオザケン。そんな彼の早くもリリースされた最新作はなんとSEKAI NO OWARIとのコラボ。かなり意外な組み合わせで賛否両論といった感じのこのコラボ。ただ楽曲的には作詞作曲はオザケンですし、基本的にはオザケンっぽいポップチューン。セカオワのボーカル深瀬の声がフリッパーズ・ギター時代の相方、小山田圭吾に似ているという声もあり、ひょっとしたらコラボの理由はそこ?なんて妄想も抱いてしまったりします。実売数13位、ラジオオンエア数7位、PCによるCD読取数8位、Twitterつぶやき数15位。ラジオオンエア数が若干上位なのがオザケンのファン層によるものか。オリコンでは初動2万枚で6位初登場。オザケンのシングルとしては前作「流動体について」の3万7千枚(2位)よりダウン。セカオワのシングルとしては前作「RAIN」の5万8千枚(2位)よりダウンしています。

初登場組は以上。ロングヒット組としてはまずEd Sheeran「Shape Of You」が10位から5位に再びランクアップ。You Tube再生回数が先週から変わらず3位をキープしている他、実売数が8位から5位へとランクアップしています。また乃木坂46「逃げ水」が今週4位にランクイン。これで6週目のベスト10ヒットとなり、ロングヒットとなっています。

今週のHot100は以上。明日はアルバムチャート。

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2017年9月12日 (火)

彼らの歩みがわかるオールタイムベスト

Title:LAST BEST~豊作参舞~
Musician:米米CLUB

「浪漫飛行」「君がいるだけで」などの大ヒット曲を連発し、90年代を代表するバンドの一組としてその名を知られる米米CLUB。97年に解散したものの2006年に再結成し今に至っています。ただ再結成後しばらくは積極的な活動を続けたものの、ここ数年は活動も停滞気味。結局、ボーカルのカールスモーキー石井のソロ活動が忙しいということもあり、今後4年間はバンド活動休止が決定。そのラストを飾るアルバムとして初となるオールタイムベストがリリースされました。

ベスト盤としては12年前にリリースされたファン投票によるベスト盤「米~Best of Best~」以来。こちらは再結成前にリリースされたアルバムということで今回ははじめての再結成後の楽曲を含めたベスト盤に。また、前作ではダンス系の楽曲と聴かせる系の楽曲をCD2枚にわけたアルバムになっていたのに対して本作はデビューシングル以降の全シングルを発売順に並べた内容。そのため、米米のバンドとしての歩みがよくわかる内容になっています。

今回は全3枚組でのリリースだったのですが、この3枚の分け方がちょうど米米の歩みとマッチしているような分け方になっていました。Disc1は「I・CAN・BE」から「ひとすじになれない」まで。いわばメガヒットとなった「君がいるだけで」リリース直前までの作品で、デビュー時からブレイク時までの流れがわかる内容に。Disc2は、その大ヒットした「君がいるだけで」から97年の解散前までのシングル。さらにDisc3は再結成後の楽曲と、ちょうど米米の歩みとマッチしたCDの分け方となっています。

そして今回圧倒的によかったのがDisc1。特に「浪漫飛行」リリース前の楽曲に関して、もちろん以前から知っていたのですが今回久しぶりに聴いてみて、こんなによかったっけ?とあらためて米米の魅力を再認識させられました。いわゆるPファンクから強い影響を受けたファンクナンバーに、ユーモラスな歌詞を加えた内容。ただメロディーラインにしろサウンドにしろファンクそのままというよりも微妙に歌謡曲的なテイストが加わっており、いい意味で日本人にとって聴きやすい味付けがされています。「嫁津波」みたいな民謡風の楽曲もユニーク。彼らが日本流ファンクを実に自然体に完成させてしまっていたことにいまさらながら気が付かされました。

しかし、正直言って「浪漫飛行」以降のナンバーについては日本流ファンクという視点から大きく遠ざかってしまい、悪くはないのですが「売れ線のJ-POP」になってしまっていておもしろさという観点からはグッと後ろに下がってしまったように思います。いわば「浪漫飛行」や「君がいるだけで」の二番煎じを狙っているような縮小再生産的な楽曲がほとんど。アルバム単位ではわからないのですが、シングル曲では初期米米で感じたような魅力はほとんど感じられません。

いまさらながらなのですが、なんで「浪漫飛行」後の米米に関しては初期の歌謡ファンク路線をシングルとして一切やめてしまったのかかなり疑問に感じてしまいます。初期のファンク路線が全く売れずに「浪漫飛行」でいきなりブレイク、というのならわかるのですが、「浪漫飛行」以前も「KOME KOME WAR」「FUNK FUJIYAMA」がベスト10ヒットを記録しており、十分広く受け入れられていましたし、「浪漫飛行」ブレイク後には2ndシングル「Shake Hip!」を再発しヒットを飛ばしています。もし、初期ファンク路線の楽曲を大ブレイク後もシングルとしてリリースしていれば、もっとファン層を広げられたのではないか、と今となっては思ってしまいます。まあリアルタイムでは「FUNK FUJIYAMA」がヒットした頃って、ヒットシーンでファンクを音楽のジャンルとして受け入れられるような土壌がなく、むしろ「コミックバンド」的な括りで彼らのことを語られることが多く、そんなイメージを払拭したかったのかもしれませんが・・・。

また今回のベスト盤で予想以上に良かったのが再結成後の楽曲を集めたDisc3。特に再結成後のシングル曲では、「MATA(C)TANA」「御利益」のような初期ファンク路線が復活。初期米米を彷彿とさせるようなアバンギャルドでポップでユニークな米米路線が復活しています。一方では「恋のギャンブル」のような「浪漫飛行」系の楽曲や「君を離さない」のようなJ-POP王道系のバラードもちゃんと残っており、いわば米米の様々な魅力をきちんと伝えた楽曲になっています。再結成によってようやく彼らがやりたいような路線の楽曲をシングルとしてリリースできるようになったんだなぁ、ということを今回、あらためて感じてしまいました。

なんかライブにも足を運んだことがあるくせに気が付くのが遅すぎるよ、と言われそうですが、あらためて米米CLUBの魅力を認識できらベスト盤でした。再度の活動休止はちょっと残念なのですが・・・また4年後、魅力的な楽曲を聴かせてくれることを願っています。

評価:★★★★★

米米CLUB 過去の作品
komedia.jp
米米米~SUNRICE~


ほかに聴いたアルバム

プラチナムベスト ORIGINAL LOVE~CANYON YEARS SINGLES&MORE/ORIGINAL LOVE

あるミュージシャンの代表曲をまとめてUHQCD仕様でリリースするベスト盤シリーズ「プラチナムベスト」。本作はORIGINAL LOVEのポニーキャニオン在籍時のシングル曲などをまとめた2枚組のベスト盤。いかにも本人が直接関与しないレコード会社主導のベスト盤っぽいのですが、公式サイトでも紹介されているようですので、基本的に本人公認のベスト盤のようです。

大ヒットした「プライマル」のようにいかにも彼らしいシティポップ路線の曲からラテン色を入れてきたりスカ風のリズムを入れてきたりジャジーだったりと、しっかりORIGINAL LOVEとしての色を感じつつもバラエティー富んだ作風が魅力的。オールタイムベストでないのは残念ですし、ブレイク作「接吻 kiss」は収録されていませんが、彼の代表曲は概ね網羅しておりORIGINAL LOVEの入門盤としても最適なベスト盤です。

評価:★★★★★

ORIGINAL LOVE 過去の作品
白熱
エレクトリックセクシー
ラヴァーマン

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