ソウルミュージックの敬愛を感じさせつつ・・・
Title:Acoustic Soul 2021~2024
Musician:スガシカオ
スガシカオが、インディーズで活動していた2014年に、メジャー復帰を決意し、インディーズラスト作としてリリースした「ACOUSTIC SOUL」。そして2020年にリリースした「ACOUSTIC SOUL 2」。今年、メジャー復帰10周年を記念し、パッケージとしては通販及びライブ会場限定でリリースされた、その2作からの曲に新曲も追加してリリースされたのが本作です。ちなみに公式サイトの紹介では、この「ACOUSTIC SOUL」「ACOUSTIC SOUL 2」から4曲+新録6曲という記載となっていますが、4曲は「ACOUSTIC SOUL」から「見る前に跳べ.com」「きみが好きです」の2曲、「ACOUSTIC SOUL 2」からは「発芽」「ヤグルトさんの唄」の2曲を収録。ちなみに「ACOUSTIC SOUL」からは「情熱と人生の間」も収録されていますが、こちらは2024ver.なので新録扱い、ということなのでしょう。
ちなみに「Acoustic Soul」というタイトルなので、アコースティックアレンジのアルバム、といった印象を受けるのですが、そういう意味ではなく「ソウル黄金期のアナログ楽器をつかったソウル」という定義だそうです。そのため、アルバム全体としてはアコースティックアレンジの企画盤、みたいな感じではなく、いつものスガシカオのオリジナルアルバム、といった感覚で聴けるアルバムとなっています。
また、ソウルミュージックに対する敬愛と拘りを感じさせるアルバムとなっており、ミディアムファンクの「ゼロジュウ」からスタートし、エレピでメロウに聴かせる「発芽」、エレピで明るく聴かせつつ、ファンキーなリズムが楽しい「見る前に跳べ」、リゾネーター・ギターでブルージーに聴かせる「きみが好きです」、ホーンセッションも入れて軽快に聴かせるソウルチューン「情熱と人生の間」などなど、ソウルミュージックあるいはブルースからの要素を強く感じされる作風に、彼のブラックミュージックへの傾倒ぶりが感じます。
ただ、基本的にはそんなソウルミュージックの要素を色濃く入れつつも、ゴリゴリのソウルを前面に押し出す訳ではなく、楽曲としてはソウルへ興味のないようなリスナー層へも訴求できるようなポップな作品にまとめあげている、という点が大きな特徴。特に今回のアルバムでは、サウンド的な拘りとは相反するように、J-POP中心のヒットチャートの中でも違和感ないような、歌を前に押し出したポップミュージックが並んでいます。
さらにそんな中でも歌詞が強いインパクトを与える曲が多かったのも印象的で、例えば「ヤグルトさんの唄」は彼の母親に対する思いを歌った歌で、本作の初回盤では、自叙伝的小説の「ヤグルトさんの唄」がついてきます。残念ながら同書は読んでいないのですが、この曲に対する強い思いを感じさせます。また「Soul Music」はタイトル通り、彼のソウルミュージックへの想いを歌ったナンバーで、彼のその愛情を強く感じることが出来ますし、メッセージ性の強い「あなたへの手紙」も印象的。さらに「6月9日」は、この日に急逝した、彼の現場マネージャーへの追悼歌となっており、こちらの歌詞にも胸をうたれます。
そんな訳で、ソウルミュージックへの敬愛を感じさせつつ、全体としてはいつものスガシカオらしいポップミュージックをしっかりと聴かせてくれたアルバム。今回も彼の実力を実感できた傑作アルバムでした。
評価:★★★★★
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