2017年5月26日 (金)

2017年を象徴する1枚

Title:DAMN.
Musician:Kendrick Lamar

今、最もアメリカで高い人気と話題を誇るラッパー、Kendrick Lamar。アルバムをリリースするたびにアメリカのみならず世界中で大きな話題となり、かついずれもアルバムも高い評価を受けているのですが先月、突然ニューアルバムのリリースを発表。そこからわずか1週間でリリースされたアルバムが本作です。チャート的にもビルボードチャートでは初動売上60万3千枚という今年1番という驚異的な売上を記録。3週目にしてミリオンセールスを達成するなど相変わらず怒涛の勢いを続けています。

彼は毎回、アルバムの中でアメリカの現代社会が抱える問題点や矛盾を鋭く描写し、それが賛否両論含めて大きな話題となっています。そのため彼の楽曲の何が話題になるかと言えばやはりそのリリック。ただ残念ながら突然リリースされたということもあってか、対訳付きの国内盤リリースは今年の7月を予定とかなり先になっています。ここらへん、確かに彼の書くリリックはアメリカ社会、それも黒人社会を反映しているため日本人にとっては複雑でわかりにくい部分も多いのでしょうが、これだけ話題になっているアルバムなだけにリリースから3ヶ月もインターバルが出来てしまうのは非常に残念に感じます。

以前のDrakeのアルバムでも参考にしたのですが、今回も「RO69」のサイトで音楽評論家の高見展氏により1曲毎に彼が何を綴っているのか解説したページがあったので今回もそれを参考にしつつアルバムを聴きすすめました。英語が出来ない私にとっては非常に参考になります。

【完全解読】ケンドリック・ラマー『DAMN.』は、これを読みながら聴け(前編)
【完全解読】ケンドリック・ラマー『DAMN.』は、これを読みながら聴け(後編)

このサイトを参考にすると本作でもこのアルバムで綴られているのはアメリカ社会が抱える問題点。それも単純な白人vs黒人みたいな手法ではなく、アメリカ社会の問題点を自分たちの内面で抱えている問題ではないかと問いかけています。この単純に「社会の責任」としないような手法は前作でも見られましたが、ここらへんの考察が賛否を産むとともに大きな評価を得る要因ではないでしょうか。

このリリックが直接的には理解できないのは非常に残念なのですが、本作が日本人にとっても十分楽しめるアルバムである点は間違いありません。例えば前作に収録されていた「Aright」に対する批判報道に対する反論として話題となった「DNA.」はまさにその強いメッセージ性を反映するかのような力強いラップが耳を惹きます。

今回の作品は、ソウルやファンク、ジャズ寄りの嗜好が強かった「To Pimp A Butterfly」や「untitled unmastered.」に比べてアーバン・ヒップホップ寄りに戻った作品となっていますが、それでもやはりジャジーでメロウなトラックやファンキーなサウンドが大きな魅力に。前作にも参加し、先日も傑作アルバムをリリースしたばかりのThundercatが参加した「FEEL.」はグルーヴィーなベースラインが非常に心地よいサウンドを醸し出していますし、RIHANNAが参加した「LOYALTY.」もスローファンクなナンバーがとても気持ちの良いグルーヴ感を作り出しています。

また「XXX.」ではあのU2が参加して話題も。ただテンポよいエレクトロトラックのどこにU2が?と思いつつ、最後にオチのように顔を出してくるという構成がユニーク。ほかも全体的に音を絞ったシンプルなトラックでメロウでグルーヴィーに聴かせるサウンドが非常に魅力的。聴いていてうっとり来るようなトラックだけでも十分聴ける傑作となっていました。

7月にリリースされる国内盤も対訳がついてくるだけに非常に気になるのですが・・・とりあえず今の段階でも十二分に今年を代表するアルバムと言える作品だと思います。トランプが大統領に就任した2017年という年を象徴するようなアルバムです。

評価:★★★★★

Kendrick Lamar 過去の作品
Good Kid M.a.a.D City
To Pimp A Butterfly
untitled unmastered.


ほかに聴いたアルバム

Sometimes I Sit & Think & Sometimes I Just Sit/Courtney Barnett

本作は先日聴いたグラミー賞ノミネート作品を集めたオムニバスアルバム「2016 Grammy Nominees」ではじめて知ったオーストラリアの女性シンガーによるアルバム。グラミー賞最優秀新人賞にノミネートされた彼女ですが、80年代から90年代のオルタナ系インディーギターロックを彷彿とさせる粗いギターサウンドが特徴的。イメージで言えばPIXIESやSONIC YOUTHを一人で演っているような感じ。そんな粗いギターロックに対してメロディーラインは至ってポップ。個人的には完全に壺にはまりました。本作は2015年リリース作なのでちょっと前のアルバムということなのですが・・・そろそろ次のアルバムがリリースされないかな。これからが非常に楽しくなってくるミュージシャンです。

評価:★★★★★

automaton/Jamiroquai

多分アラフォー世代にとってはその名前だけで懐かしさを覚えるイギリスのロックバンドJamiroquaiの7年ぶりとなる最新作。オリコンチャートではきちんとベスト10入りを記録し根強い人気を感じさせます。楽曲的にはJamiroquai風のダンスポップを今時なエレクトロサウンドにきちんとアップデートしてきた作品に。目新しさみたいなものは感じませんが、一方できちんと現役感は伝わってくる作品になっており、まだまだ第一線で活躍を続けるバンドなんだということがヒシヒシと伝わってくるアルバムになっています。

評価:★★★★

Jamiroquai 過去の作品
Rock Dust Light Star

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2017年5月25日 (木)

19年2ヶ月ぶりの1位獲得

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

根強い人気を感じます。

今週1位を獲得したのはTHE YELLOW MONKEY「THE YELLOW MONKEY IS HERE. NEW BEST」。昨年再結成を果たした彼らの再結成後初となるアルバムでもある本作はタイトル通りのベスト盤。え?またベスト盤・・・?と思ってしまうそうなのですが本作はベスト盤はベスト盤なのですが全曲新録という内容。2013年にリリースしたベスト盤「イエモン-FAN'S BEST SELECTION-」の楽曲を新たに録音したアルバムとなっており、ファンにとってはオリジナルアルバム感覚で聴けるうれしいアルバムであるのと同時に、メンバーにとっては再度自分たちの立ち位置を確認した再結成後の第一歩としてふさわしいアルバムとも言えるかもしれません。

初動売上は4万5千枚。直近作はベスト盤の「イエモン-FAN'S BEST SELECTION-」の初動4万2千枚(2位)よりアップ。なんと彼らがアルバムで1位を獲得したのは1998年の「PUNCH DRUNKARD」以来19年2ヶ月ぶりという快挙。もっともいくらCDが売れないからといって初動4万5千枚はちょっと寂しい感じもするのですが、ただ本作はデビューした記念日にリリースされたということで月曜日のリリース。チャート的にはもっとも不利な発売日でのリリースとなり、それでも1位を獲得するあたり、彼らの人気の高さをうかがわせます。

2位初登場はLinked Horizon「進撃の軌跡」がランクイン。Sound Horizonの別名義でのプロジェクトによる2枚目のアルバム。アニメ「進撃の巨人」に使用されたタイアップ曲を中心とした選曲になっています。初動売上2万5千枚は前作「ルクセンダルク大紀行」の1万6千枚(15位)からアップ。Linked Horizonとしてはアルバムでの初のベスト10ヒットとなりました。

3位にはさユり「ミカヅキの航海」が入ってきました。これがアルバムではデビュー作となる女性シンガーソングライター。「酸欠少女」というキャッチコピーを使用したり、彼女をそのまま描いたアニメキャラを登場させ「2.5次元パラレルシンガーソングライター」と名乗ったり、中2病的な雰囲気がちょっと狙いすぎな感じもします。初動売上2万3千枚でデビューアルバムながらも見事ベスト3入り。

続いて4位以下の初登場盤です。まず5位に小泉今日子「コイズミクロニクル~コンプリートシングルベスト 1982-2017~」がランクインしてきました。デビュー35周年を記念してリリースされた、彼女の全シングルを網羅した3枚組のベスト盤。最近では天野春子名義で歌ったNHKの「あまちゃん」に使用された「潮騒のメモリー」がヒットして話題となりましたが、音楽活動としては散発的な活動が続いている彼女。そんな彼女ですが、このベスト盤では見事ベスト10ヒットを果たしました。初動売上1万6千枚。直近作「Koizumi Chansonnier」の3千枚(21位)より大幅増。彼女のアルバムでのベスト10入りは1992年3月にリリースしたベスト盤「K2 Best Seller」で記録した2位以来、25年2ヶ月ぶり(!)となります。

5位には日本でも高い人気を誇るアメリカのロックバンドLinkin Park「One More Light」が初登場でこの位置に。初動売上1万5千枚は前作「The Hunting Party」の2万7千枚(4位)からダウン。ただし全世界同時リリースの影響で金曜日リリースとなった影響も。

7位初登場は「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ COMPLETEBEST」。タイトル通りTBS系アニメ「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」を収録したベスト盤。初動売上1万3千枚でベスト10入りを記録しています。

初登場最後は8位にランクインしたカイワレハンマー「BegInner2」。You Tuberである男性2人によるラップユニット。初動売上8千枚で前作「Prequel」の2千枚(24位)からアップ。初のベスト10入りとなりました。しかし、You TuberがこうやってCDデビューしちゃう時代なんですね・・・。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2017年5月24日 (水)

アイドル勢の1位獲得が続く

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

アイドル勢の1位獲得が続いている最近のHot100。今週はジャニーズ系。1位は亀と山P「背中越しのチャンス」が獲得しました。名前の通り、KAT-TUNの亀梨和也と山下智久とのユニット。2人が共演している日テレ系ドラマ「ボク、運命の人です。」主題歌として起用されています。CD販売・ダウンロード・ストリーミング数(以下「実売数」)及びPCによるCD読取数1位、Twitterつぶやき数3位を獲得し、CD販売にあわせて先週の41位からランクアップして1位獲得となりました。ちなみにこの2人、2005年に修二と彰名義でシングル「青春アミーゴ」をリリースしており、それ以来の顔合わせとなっています。なおオリコンでも初登場1位を獲得。初動売上17万5千枚は12年前の「青春アミーゴ」で記録した初動52万枚(1位)から大幅減。まあ、12年前とはCD市場の状況が全く違うので単純比較はできませんが。

2位にはスリーピースパンクバンドWANIMA「CHARM」が先週36位からCD発売にあわせてランクインです。リクルート「タウンワーク」CMソング。爽快なポップスパンクなナンバーで、おそらくパンク系では最も今、勢いのあるバンドと言えるでしょう。実売数3位、ラジオオンエア数3位、PCによるCD読取数7位、Twitterつぶやき数8位、You Tube再生回数10位と万遍なく上位にランクインしています。オリコンでも同曲が収録されたシングル「Gotta Go!!」が3位初登場。初動売上4万5千枚は前作「JUMP UP!!」の3万6千枚(4位)からランクアップし、シングルアルバム通じて初のベスト3ヒットとなりました。なお前作「JUMP UP!!」の間に配信シングル「やってみよう」がリリースされておりHot100では最高位8位を記録しています。

3位は韓国の男性アイドルグループMONSTA X「HERO」が初登場でランクインしています。実売数2位、PCによるCD読取数6位、Twitterつぶやき数5位を記録。ラジオオンエア数が圏外なのは相変わらずのK-POPらしい傾向。途中、効果音としてスーパーマリオでつかわれる効果音が入ってくるのですが、歌詞にも「囚われの城からだって救い出して」「マンマミーアじゃ済まされないかも」など明らかにマリオを意識した歌詞が登場するので、そういうことなのでしょう。本作がデビューアルバムでいきなりのベスト10入り。オリコンでも初動売上4万8千枚で2位に入ってきています。

今週は他にもK-POP勢も目立つチャートに。4位に防弾少年団「血、汗、涙」が先週の1位からランクダウンしながらもこの位置をキープしていますし、さらに5位にはTWICE「SIGNAL」が初登場でランクイン。こちら9人組のK-POPの女性アイドルグループなのですが、メンバーのうち3人が日本人、1人が台湾人と日台での販売を意識した構成になっています。本作はシングルリリースはありませんが、You Tube再生回数で1位、Twitterつぶやき数で2位を獲得し、見事ベスト10入りしてきました。6月28日に日本でのデビューアルバム「#TWICE」のリリースも予定されていて注目されているのですが、以前、彼女たちが行っている「TTポーズが女子中高生の間で流行」なんていうかな~~り怪しいニュースが流れただけに、一部メディアによるごり押しぶりが気になるところなのですが・・・。

今週の初登場組は以上。なおロングヒット組ですが、まず星野源「恋」。今週は9位から8位にランクアップ。You Tube再生回数はついに1位を明け渡したものの、まだ2位をキープ。PCによるCD読取数でも10位に入っており、まだまだ根強い人気を感じます。またロングヒットの気味だった倉木麻衣「渡月橋~君 想ふ~」は6位から10位にランクダウンし、後がない状況になりました。

また主にダウンロードの売上のみで先週4位にランクインしたChe'nelle「Destiny」が今週6位をキープ。また西野カナ「パッ」は先々週の3位から5位→7位とランクダウンしているもののスローペース。今後の動向も気になります。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2017年5月23日 (火)

3人組となった新たな一歩

Title:光源
Musician:Base Ball Bear

昨年、ギターの湯浅将平が脱退。それも突然、レコーディングの現場にあらわれなくなり「失踪」という形での脱退という非常に衝撃的な脱退劇となりました。その結果、制作活動が一時ストップしたのかベスト盤を挟み、1年5ヶ月ぶりにリリースされたのが本作。メンバーが3人となって初のオリジナルアルバムとなりました。

そんな突然の脱退劇という予期せぬ事態で3人組となったBase Ball Bearですが今回のアルバムを聴くと、その脱退劇がむしろプラスに働いたのではないか、と思うほどの出来になっていました。今回のアルバムの大きな特徴は楽曲的にブラックミュージック寄りになったという点。前作「THE CUT」でもファンクやソウル的な要素を強く感じましたし、いままでのBase Ball Bearの楽曲にもそのような要素は感じることが出来たのですが、今回のアルバムではファンクやソウルの要素をより明確に感じることが出来ます。

「すべては君のせいで」はファンキーなサウンドでリズミカルに聴かせるディスコチューンでいきなり黒っぽいギターとベースの音が楽しめますし、「(LIKE A)TRANSFER GIRL」も同じくファンキーなサウンドが楽しいディスコチューンになっています。さらにアルバムの中で耳をひくのが「Low way」「寛解」で、メロウな雰囲気あふれる楽曲になっておりサウンドにもグルーヴ感を感じとても心地よいシティポップ風な楽曲に仕上がっています。

いままではギターロックバンドというイメージが強く、実際にあくまでもバンドサウンドを重視した曲作りをしていた彼ら。ただ今回、メンバーのうちギタリストが抜けることによりバンドサウンドという枠組みにとらわれない曲づくりが出来、その結果、より黒さが増したサウンドになったように思います。特にサウンドのバランスとしてベースラインを前に出したような曲が多く、この点もギタリストがサポートとなった結果、遠慮なく本人たちのやりたい音づくりが出来た結果かもしれません。

最後2曲に関しては以前の彼らと同様のギターロックになっていましたがこちらに関しては悪くはないのですが平凡という印象でちょっと残念な締めくくり。ただアルバム全体としては間違いなく傑作アルバムだったと思います。特にいままでのBase Ball Bearらしさをきちんと残した上で新機軸をきちんと押し出したという意味では非常にバランスのよい作品だったと思います。

ちなみに今回の歌詞は「青春」をテーマとしているそうで、この点もBase Ball Bearらしい感じ。特に1曲目「すべては君のせいで」は学生時代の恋愛を描写しており、甘酸っぱい気持ちになれます。ここらへんもBase Ball Bearらしさをきちんと保ったアルバムになっており、歌詞の側面でも楽しむことが出来るアルバムになっていました

ギタリストが失踪、脱退という衝撃的な展開となっていまったBase Ball Bearでしたが、むしろこれからの活動が楽しみになってくるようなアルバムをリリースしてきました。3人組となって新たな一歩を踏み出した彼ら。その第1弾としてこれからの彼らの方向性をしっかりと示すことができたアルバムでした。

評価:★★★★★

Base Ball Bear 過去の作品
十七歳
完全版「バンドBについて」
(WHAT IS THE)LOVE&POP?
1235
CYPRESS GIRLS
DETECTIVE BOYS

新呼吸
初恋
バンドBのベスト
THE CUT
二十九歳
C2
増補改訂完全版「バンドBのベスト」


ほかに聴いたアルバム

Q/女王蜂

フルアルバムとしては復帰後2作目となるアルバム。前作に比べるとダンサナブルなエレクトロサウンドがメイン。妖艶さとダンサナブルでポップな楽曲のバランスが中途半端に感じた前作に比べると、ダンサナブルなポップという方向性に舵を切った印象が。全体的にはグッとポップで聴きやすいアルバムに仕上がっています。一方、妖艶さという観点ではかなり薄味になってしまった印象が。ポップスさ妖艶さどちらも中途半端だった前作から比べるとグッとよくなっている感じはするのですが、彼らの個性という意味では妖艶さという要素ももうちょっとほしいような。

評価:★★★★

女王蜂 過去の作品
孔雀
蛇姫様
奇麗
失神

SPLASH☆WORLD/miwa

途中、バラードベストのリリースを挟み、1年10ヶ月ぶりとなるmiwaのニューアルバム。もともと典型的なJ-POPというイメージが強い彼女でしたが、本作では悪い方向にそれが顕著にあらわれてしまっています。楽曲にはインパクトはあるものの単調でおもしろみがありません。安易にストリングスを入れてスケール感を出そうとしているのも悪い意味でJ-POP的。いままで聴いた彼女のアルバムの中で、一番厳しい出来だったかも・・・。

評価:★★★

miwa 過去の作品
guitarium
Delight

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2017年5月22日 (月)

ハイペースでの3枚目

Title:Arca
Musician:Arca

Kanye West、FKA Twigs、さらにはBjorkのアルバムへプロデューサーとして参加するなど、数々の大物ミュージシャンとのコラボで話題となったベネズエラ出身のトラックメイカーArcaの約1年5ヶ月ぶりとなるアルバム。オリジナルアルバムのインターバルが1年5ヶ月というのは比較的短めのスパンなのですが、その前のアルバム「Xen」から前作「Mutant」の間もわずか1年弱というインターバルでのリリース。さらにはその間に無料ダウンロードで「Sheep」をリリースしており、そのハイペースなリリースぶりが目立ちます。

今回のアルバムは1曲目「Piel」ではいきなり人の声からスタートします。ハイトーンボイスで静かに歌い上げつつ、そのバックに静かだけども無機質なエレクトロサウンドが鳴る展開。さらに2曲目「Anoche」も静かなエレクトロサウンドの響きの中で静かに歌い上げるハイトーンボイスの悲しげな歌声が響きます。1、2曲も幻想的な曲調の中、徐々にスケール感が増していくのですが、3曲目「Saunter」はダイナミックなエレクトロサウンドの中、静かな歌声が響く荘厳さを感じるナンバー。教会音楽にも通じるような荘厳な響きをエレクトロサウンドで再現した聴かせるナンバーが続きます。

この音数を絞ることにより空間を聴かせ、結果重厚感を醸し出しているサウンドにハイトーンボイスの歌声がのるというスタイル。その後も「Reverie」「Coraje」と続き、このアルバムの中で示されたひとつの方向性となっています。彼の奏でる無機質で散発的なエレクトロサウンドの響きは決して聴きやすいものではなく、実験的と感じられるものなのですが、今回は重厚な歌が重なることによりアルバム全体として非常に聴きやすい楽曲が並んでいました。

特に後半、「Desafio」などはメロディーラインにもインパクトがありポップとすら感じられる楽曲になっていますし、続く「Fugaces」も重厚なエレクトロサウンドの中で歌われる歌は、どこか物悲しく、しんみり心に響くようなポップソングに仕上がっています。楽曲はいずれもどこか底知れない不気味さを同時に感じさせる部分はありつつも、ポップという印象を受けるアルバムでした。

もっともポップで意外と聴きやすいという印象はいままでのアルバムでも感じられました。今回のアルバムに関しては、「歌」の部分を押し出すことによりそのポピュラリティーがより強まったように感じます。また1曲あたり3、4分という、1曲をだれずに聴くにはちょうどよい長さなのは本作も同様。今回はさらに全13曲43分という短さにおさめており、前作のように最後の方はだれてしまった・・・ということもありませんでした。Arcaらしい強い癖はそのままにいい意味で聴きやすく仕上がっているアルバムだったと思います。その勢いはまだまだ続きそうです。

評価:★★★★★

Arca 過去の作品
Xen
Sheep(Hood By Air FW15)
Mutant


ほかに聴いたアルバム

ArtScience/Robert Glasper Experiment

新世代のジャズミュージシャンとして高い注目を集めているピアニスト、Robert Glasperの最新作。ジャズピアニストといっても、ジャズをベースにAOR、サイケロック、フリージャズ、HIP HOP、R&Bなどの多彩なジャンルを自由自在に取り入れ、なおかつポップにまとめあげている作品になっています。自由度が増した反面、良い意味でよりポップに聴きやすくなった印象も。

評価:★★★★★

Robert Glasper 過去の作品
Black Radio
Black Radio 2(Robert Glasper Experiment)

Paradise/ANOHNI

昨年リリースされた「Hopelessness」が大きな話題となった、Antony&the Johnsonsとして活動していたAntony Hegartyの新名義、ANOHNI。「Hopelessness」に続く新作は6曲入りのEP盤。ダイナミックで破壊的なサウンドを聴かせるエレクトロサウンドを主軸に据えつつ、そこに美しい彼女のボーカルがのるというスタイルは「Hopelessness」と同様。非常にスケール感も覚えるアルバムで、力強さを感じさせるアルバムでした。

評価:★★★★★

ANTONY AND THE JOHNSONS(ANOHNI) 過去の作品
The Crying Light
SWANLIGHT
CUT THE WORLD

Hopelessness

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2017年5月21日 (日)

25周年企画第1弾

Title:ウルフルズTribute~Best of Girl Friends~

今年デビュー25周年を迎えたウルフルズ。25周年という記念の年の今年、ニューアルバムのリリースや野外ライブの開催など様々な企画が用意されているようですが、その第1弾的企画になるのが本作。様々なミュージシャンが参加して彼らの曲をカバーするトリビュートアルバムです。

〇周年企画にトリビュートアルバムをリリースする試み、ここ最近では珍しくない・・・どころかむしろ「ありがち」な企画。ただそんな中で本作がユニークなのはタイトルにもある通り、すべて女性ミュージシャンによるカバーになっている点。ウルフルズの歌を女性シンガーがどのようにカバーするのか、ある意味とても興味深い企画でもありました。

その結果として非常にユニークなカバーが多く収録された聴きどころの多いアルバムになっていました。特にウルフルズの曲をそのままカバーすると女性ボーカルだと違和感があるからでしょうか、原曲を大きくいじった自由度の高いカバーが多かったのが特徴的。1曲目Superfly「ヤング ソウル ダイナマイト」こそ、Superflyもウルフルズと同様、ファンク色強い曲も演るだけに原曲に比較的近い雰囲気でのカバーになっていましたが、続くチャットモンチー「かわいいひと」は軽快なチンドン風の鐘が鳴り響くかわいらしいアレンジのポップチューンになっていますし、UAの「歌」も静かで空間を生かしたアレンジに彼女の歌を前に押し出した楽曲になっており、完全にUAの曲に仕上がっています。

ハンバートハンバートの「SUN SUN SUN '95」もレトロポップ調の軽快で楽しいポップナンバーになっていますし、原曲だとパワフルなボーカルが前に出ていたふくろうずによる「バンザイ~好きでよかった~」もシンプルなポップにまとまっています。

久しぶりにその名前を聞いた松崎ナオ「暴れだす」も特徴的なそのボーカルが耳を惹きます。リズムが微妙にラテン風なのもユニークなところ。BONNIE PINKの「僕の人生の今は何章目だろう」もレゲエ風なアレンジがちょっと意表をつかれますが、完全にBONNIE PINKの曲になっているのも面白い感じ。そしてラストを飾るのはおなじみ「ガッツだぜ!!」を木村カエラがエレクトロパンク調にカバーしています。

全12曲を12組のミュージシャンが12通りの解釈でカバーしており、そのいずれも自らの曲としてしっかりと取り込んでいます。基本的にこの手のトリビュートは名カバーがあっても一方ではずれも少なくないのですが、このアルバムに関しては基本はずれはありませんでした。

また一方で楽曲がこれだけ自由度の高いカバーに耐えられるのもやはりひとえにウルフルズの原曲がしっかりとしたメロディーラインを持った曲ばかりだからなのでしょう。またよくよく考えるとウルフルズの楽曲は、トータス松本の力強いボーカルとファンキーでソウルなサウンドから男っぽいというイメージはありつつ、歌詞についてはマッチョっぽさは薄く、そういう意味でも女性シンガーのカバーでもしっくりくる内容だったのかもしれません。

ウルフルズの楽曲を違う側面からスポットを当て、あらなた魅力を引っ張り出してきたアルバム。ウルフルズが好きならもちろん、個々のミュージシャンのファンでも満足できるトリビュートアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Babe./阿部真央

前作「おっぱじめ」からちょうど2年ぶりとなる新作。この2年の間に出産、離婚を経た彼女。今回の新作では特に母であることを意識した曲を収録しています。それが「母である為に」「この時を幸せと呼ぼう」で、どちらも子供への惜しみない愛情を歌った歌になっています。この2曲も大きなインパクトがあるのですが、アルバム全体としてはロック色の強いアルバムに。以前の彼女の曲といえば、いろいろなジャンルに手を出しすぎてバラバラになっていた印象が強いのですが、前作あたりから楽曲にまとまりが出てきたような感じがします。いい意味でアルバムに安定感が出てきた作品。「母」となった彼女が今後どのような曲を聴かせてくれるのか、非常に楽しみです。

評価:★★★★

阿部真央 過去の作品
ポっぷ
シングルコレクション19-24
おっぱじめ

Superfly 10th Anniversary Greatest Hits “LOVE, PEACE & FIRE”/Superfly

タイトル通り、デビュー10周年を記念してリリースされたSuperflyのベスト盤。もっともベスト盤は4年前にリリースされたばかりで、かつその後リリースされたオリジナルアルバムが1枚のみという状況なので、感想としては前のベスト盤とほぼ一緒(^^;;洋楽的な部分と歌謡曲的な部分のバランスが絶妙で垢抜けた部分といい意味でベタな部分が同居しているポップスがとても心地よいアルバムです。内容的には5つですが、あまりにもベスト盤のスパンが短いということで。

評価:★★★★

Superfly 過去の作品
Superfly
Box Emotions
Wildflower&Cover Songs:Complete Best 'TRACK3'
Mind Travel
Force
Superfly BEST
WHITE
黒い雫 & Coupling Songs:`Side B`

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2017年5月20日 (土)

デビュー5年目で早くもベスト

Title:5th Anniversary Best
Musician:家入レオ

タイトル通りデビュー5周年を記念してリリースされる女性シンガーソングライター初のベストアルバム。デビューからわずか5年、アルバムも4枚のみでベスト盤リリースというのは昔ならばかなり早いペースという印象を受けるのですが・・・ただここ最近、ともすれば「10周年」でベスト盤を出した後、「15周年」「20周年」でのベスト盤をリリースしてくるようなミュージシャンが少なくない中、5年目のベスト盤というのは妥当なのかもしれません。

直近のオリジナルアルバム「WE」でよりその傾向が強くなったのですが、家入レオの楽曲のイメージといえばもろ90年代のガールズポップ路線。「ガールズポップ」というと最近ではアイドルの楽曲を指して使われることも多いようですが、ここで言うガールズポップというのは90年代のアイドル冬の時代と呼ばれた頃、女性シンガーを実力派として売り出しつつもアイドル的な要素を織り込んで売り出したようなミュージシャンたちのこと。個人的にも高校生の頃、結構好んで聴いていたジャンルなのですが、彼女はその中でも特にポップスロック寄りのシンガーに似たようなものを感じます。具体的に言えば久宝留理子、久松史奈、田村直美、永井真理子、近藤名奈・・・彼女からイメージされるシンガーは次々と出てきます。

彼女はメロディーのインパクト、特にサビのインパクトが非常に強く、その点は良くも悪くも「売れ線」といった印象も強く受けます。「Bless You」など「愛なんていつも残酷で もう祈る価値ないよ」というこれでもかというほどのインパクトを持った歌詞からスタート。デビューシングルとなった「サブリナ」もサビ先でインパクトあるフレーズからスタートしますが、彼女の楽曲は売れるポップスのお手本と言ってしまっても過言でないインパクトを持っています。

90年代のガールズポップ路線といえばその傾向をもっとも強く感じたのは「Shine」。特にサビに入る直前からサビへの入りに関しては高校時代によく聴いていたポップスを思い出す、どこかノスタルジックな雰囲気すら感じてしまいます。90年代風といえば「Hello To The World」にもそんな懐かしい空気を感じます。多保孝一が楽曲を提供しているこの曲はちょっと70年代ロックの匂いも感じてSuperflyっぽい雰囲気もあったりするのですが。

90年代ポップ色の強いインパクト重視の楽曲は目新しさはないのですがアラフォー世代にとってはある種の懐かしさを感じるポップスの連続だと思います。ただ彼女の楽曲でちょっと気になるのは、彼女は「シンガーソングライター」という肩書がついているのですが、ほとんどの曲は単独作曲ではなく西尾芳彦や多保孝一との共作であるという点。なんとなくのイメージ論なのですが、彼女が中心となっているというよりも、彼女が口ずさんだ1フレーズ程度のメロディーラインを他の作家陣がむりやり引き延ばして楽曲にしているように思います。今後も作家陣に恵まれればいいのですが、この手のシンガーは一度売れなくなると作家陣に恵まれなくなり、一気に落ちていくというケースが多いだけに気になるところ・・・。まだ22歳の彼女、まだまだ成長していく余地のあるシンガーだと思うので、今後の活躍も気になるのですが。

評価:★★★★

家入レオ 過去の作品
LEO
a boy
20
WE

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2017年5月19日 (金)

弦楽四重奏によるセルフカバー

Title:la RINASCENTE
Musician:KAN

KANちゃんの新作はセルフカバーアルバム。今回のセルフカバーは彼の過去の名曲を弦楽四重奏によるアレンジがほどこされた内容になっており、優雅なストリングスの調べを楽しめるアルバムになっています。タイトルの「la RINASCENTE」とはフランス語で「生まれ変わる」という意味だとか。一時期「フランス人になりたい」とフランスに移住していた彼らしいタイトルになっています。

ちなみにジャケット写真もDonald Fagenの「The Nightfly」のパロディー。まあ、「The Nightfly」のジャケットはよくパロディーに用いられるジャケットなのでパロとして用いるにはちょっとベタなセレクトなのですが、歌詞カードを1ページめくってあらわれる写真はKANらしいお遊びがあらわれます。

さてJ-POPのミュージシャンのセルフカバーでストリングスアレンジを用いてくるというのも正直言ってしまえばよくあるケース。特にオーケストラアレンジをほどこして「ロックとクラシックの融合」と謳い文句のアルバムをつくってくるミュージシャンは昔からゾクゾクと登場してきます。

ただ個人的にこの手のストリングスアレンジアルバムであまり「これ」といった傑作に出会えたことはほとんどありません。一番の理由はその企画の安直さ。原曲をそのままクラシック風にアレンジしただけの結果、ただ単にスケール感を増そうとしたストリングスアレンジが非常に平凡に仕上がったケースがほとんど。ストリングスアレンジとしてもセルフカバーとしても中途半端という出来になってしまっているケースが大半です。

それだけに今回のアルバムに関してもあまり高い期待はしていなかったのですが・・・ただそこはさすがにKANちゃん!私が知っている限りではこの手のセルフカバーアルバムでは一番の出来だったように思います。

ストリングスアレンジによって原曲のイメージが大きく変わった作品はありません。KANの曲の大きな特徴であるピアノの音も変わらず入っています。ただ、弦楽四重奏という最小限のストリングスにおさえられたアレンジは比較的シンプルでムダを感じません。公式サイトの紹介にも「KAN自身による丁寧な編曲」という書き方をしていますが、よくよく練り込まれたアレンジの妙技を感じます。

ご存じ「愛は勝つ」は原曲を持っていたダイナミズムを今回のセルフカバーでも感じられますし、「まゆみ」などは原曲でもストリングスを用いたアレンジでしたが今回のセルフカバーではより優雅さを感じるカバーになっています。また全体的にも楽曲に「優雅さ」を増したように感じた今回のセルフカバー。大衆音楽であるポップソングを貴族的にクラシカルに優雅にまとめているというのもKANらしいある種のユーモアさを感じました。

ちなみに今回のセルフカバーアルバムに書き下ろしの曲が1曲ありますが、イントロ的なインスト作なので過大な期待は不要かと。ただアルバム全体としては彼の名曲をあらたな側面で切りとった非常にユニークなセルフカバーの作品になっていたと思います。KANのアレンジャーとしての才能が光るアルバムでした。

評価:★★★★★

KAN 過去の作品
IDEAS~the very best of KAN~
LIVE弾き語りばったり#7~ウルトラタブン~
カンチガイもハナハダしい私の人生
Songs Out of Bounds
何の変哲もないLove Songs(木村和)
Think Your Cool Kick Yell Demo!
6×9=53
弾き語りばったり #19 今ここでエンジンさえ掛かれば


ほかに聴いたアルバム

Change your pops/雨のパレード

最近注目を集めている新人バンドのメジャー2作目となるアルバム。自らを総合芸術の「創造集団」を名乗っているようで、バンドメンバー4名のほか、デザイナー集団もメンバーを擁するグループだそうです。なんだか「意識高い系」みたいな感じが気になるのですが、ピアノとシンセを主軸としたドリーミーな美しいサウンドに、歌謡曲テイストも感じる哀愁感あふれるメロディーラインにはとても耳を惹くものがあります。ちょっとどこかで聴いたような・・・感が否めず、サウンドにしろメロにしろもうちょっとインパクトが欲しいな、と思う部分は強いのですが、確かにおもしろそうな新人バンドであることは間違いなさそう。今後の成長に期待です。

評価:★★★★

Mr.KingKong/The Mirraz

何の事前告知もなく4月1日にいきなり配信限定でリリースされたThe Mirrazの新作。配信のみでいきなりリリースという形態は海外ではよくあるのですが日本ではまだまだ珍しい感じ。最近はEDM方向にシフトしてしまった彼らですが、この新作はまたパンキッシュなギターロック路線に戻ってきています。

ハイテンポなリズムに早口気味の歌というスタイルも以前のThe Mirrazそのままのスタイル。「ミュージシャンライフ!」「ボクハ芸能人」のように自虐的に自らの生活を描写するスタイルもThe Mirrazらしさを感じます。ある意味原点回帰的で、世の中を斜めから見たような彼ららしい痛快さも感じるのですが、一方では「飯マズ嫁と僕の物語」のようにネタ的にはユニークなのですが歌詞の内容は薄っぺらい楽曲もチラホラ。早口の歌で歌詞を詰め込んでいるんだから、もうちょっとネタを深掘りしてほしいのですが・・・ここらへんがThe Mirrazがいまひとつブレイクできない原因なのかも・・・。

評価:★★★★

The Mirraz 過去の作品
We are the fuck'n World
言いたいことはなくなった
選ばれてここに来たんじゃなく、選んでここに来たんだ
夏を好きになるための6の法則
OPPOTUNITY
しるぶぷれっ!!!
BEST!BEST!BEST!
そして、愛してるE.P.

ぼなぺてぃっ!!!

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2017年5月18日 (木)

1位返り咲き!

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

なんと3週目にして1位返り咲きです。

今週1位はゆず「YUZU 20th Anniversary ALL TIME BEST ALBUM 『ゆずイロハ 1997-2017』」。売上は2万3千枚と1位としてはかなり寂しい数字とはいえ、3週目にして見事1位返り咲き。根強い人気を見せつける結果となりました。

2位は先週1位のKis-My-Ft2「MUSIC COLOSSEUM」がワンランクダウンでこの位置。そして3位にランクインしたのがゲスの極み乙女。「達磨乙女」が入ってきました。ボーカル川谷絵音のベッキーとの不倫騒動、さらにタレントほのかりんとの交際の際に生じた未成年への飲酒騒動と悪い意味でお茶の間レベルで有名になってしまった彼ら。その影響で昨年12月に活動を休止したものの、今年4月に早くも活動を再開。そして昨年にリリースが予定されていた本作が満を持しての発売となりました。

ただ初動売上はわずか1万4千枚で前作「両成敗」の7万1千枚(1位)より大幅減というかなり厳しい結果に。前作「両成敗」をリリースした頃は不倫騒動が逆に売上的にプラスへと働いたのですが今回は大きくファン層を減らす結果となりました。

個人的には別に不倫騒動も未成年の飲酒騒動もどうでもいい話なんですが、さすがに現状を全く把握していない川谷絵音の軽率な行動もマイナスとなりましたし、さらにわずか5ヶ月の活動自粛という、それ単なるオフじゃん、という中途半端な責任回避行動もマイナスに働いてしまったような感じもします。あんな中途半端な活動自粛をするくらいならば、「音楽活動とは関係ない」といって突っぱねればよかったのにね。まあ先行シングルなどによるプロモーション活動が出来なかった点や収録曲のタイアップなどが一切取れなかった点も売上減の大きな要因なのでしょうが。

続いて4位以下の初登場盤です。まず4位に角松敏生「SEA IS A LADY 2017」がランクイン。本作は1987年にリリースしたインストアルバム「SEA IS A LADY」を再録した上に新曲を加えた作品。初動売上1万2千枚は前作「SEA BREEZE 2016」の7千枚(7位)よりアップ。前作は彼にとって久々のベスト10ヒットとなりましたが、ひょっとしたら久々のベスト10入りということ自体がアナウンス効果となり、このヒットに結びついたのでしょうか。

5位には藤原さくら「PLAY」がランクインです。昨年、フジテレビ系ドラマ「ラヴソング」に出演し、主題歌「Soup」も大ヒットを記録、一躍話題となった女性シンガーソングライター。ブレイクからアルバムリリースまで1年近くインターバルをあけるというのは戦略的には機を失した感もあるのですが、見事ベスト10ヒットを記録しています。初動売上は1万1千枚。前作「good morning」の1千枚(44位)から大きくアップしています。

6位にはチバユウスケ率いるロックバンドThe Birthday「NOMAD」がランクイン。約1年7ヶ月ぶりとなる新作。初動売上1万枚は前作「BLOOD AND LOVE CIRCUS」の1万1千枚(5位)から若干のダウン。

初登場最後は10位、9mm Parabellum Bullet「BABEL」がランクイン。ベスト10入りは2013年の「Dawning」以来、ベスト盤含めて3作ぶり。ただし初動売上8千枚は前作「Waltz on Life Line」の1万枚(12位)からダウンしています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2017年5月17日 (水)

今週はK-POPが1位

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

最近、アイドル勢の1位獲得が続いていますが今週は韓流男性アイドルが1位獲得です。

今週1位は防弾少年団「血、汗、涙」が先週の28位からCDリリースにあわせてランクアップ。1位獲得となりました。CD販売・ダウンロード・スクリーミング数(以下「実売数」)及びTwitterつぶやき数1位、PCによるCD読取数5位、You Tube再生回数6位と、ラジオオンエア数は圏外でしたが、K-POPとしては比較的各種チャート万遍なく上位にランクインしてきています。オリコンでは初動23万8千枚で1位獲得。前作「RUN-Japanese Ver.-」の12万4千万(2位)からアップ。個別握手券がついてきているのが初動売上増の大きな要因のようです。

2位はRADWIMPS「サイハテアイニ」が先週の20位からCDリリースにあわえてベスト10入り。アクエリアスCMソング。Hot100ではご存じのように映画「君の名は。」で使用された「前前前世」「なんでもないや」「スパークル」「夢灯籠」のいずれもロングヒットを記録しましたが、続く本作もそれなりに快調なスタート。実売数2位、ラジオオンエア数及びPCによるCD読取数いずれも1位を記録いています。オリコンでも初動3万4千枚で2位を獲得。ちなみに前作は「君の名は。 English edition」で初動1万4千枚(6位)とここからはアップしているものの、既存曲の英語バージョンという企画モノのためあまり比較にはならず。前々作「記号として」は初動1万4千枚(13位)よりアップしていますが、こちらもアルバムからのリカットシングルのため参考程度。その前の「ピクニック」(初動1万5千枚(7位))も完全生産限定という特殊な形態。というわけで、通常の販売形態での純然たる新曲は2013年の「五月の蠅」以来ということに。同作の4万3千枚(3位)からはダウン。映画「君の名は。」のタイアップ効果による人気回復の傾向もあったかもしれませんが、以前の全盛期の人気までには残念ながら回復していないようです。

3位も男性アイドルグループ。M!LK「テルネロファイター」が初登場でランクイン。「テルネロ」という意味不明なコミカルな言葉を繰り返しており、80年代あたりのコミカルなジャニーズ系のアイドルポップを彷彿させるナンバーに。実売数は3位ながらもラジオオンエア数67位、PCによるCD読取数25位、Twitterつぶやき数18位といずれも下位に。オリコンでも初動売上3万2千枚で3位初登場。前作「疾走ペンデュラム」の3万5千枚(3位)よりダウン。

続いて4位以下の初登場曲です。まず4位にChe'nelle「Destiny」が先週の13位からCDリリースにあわせてランクイン。TBS系ドラマ「リバース」主題歌。実売数5位、PCによるCD読取数7位と上位にランクインした一方、ラジオオンエア数29位、Twitterつぶやき数87位と伸び悩みました。ちなみにオリコンは初動1千枚で36位という結果になっており、完全に上位ランクインはダウンロードでの発売の影響が大きくなっています。なお初動売上は前作「Happiness」の3千枚(36位)よりダウンしています。

7位初登場はEXILEの事務所、LDH所属のHIP HOPユニットDOBERMAN INFINITY「DO PARTY」。タイトル通り、アゲアゲのパーティーチューン。実売数は4位でしたが、ラジオオンエア数72位、PCによるCD読取数41位、Twitterつぶやき数73位が足を引っ張る結果に。オリコンでは初動2万7千枚で4位初登場。前作「GA GA SUMMER」の2万4千枚(7位)から若干アップしています。

8位にはCYaRon!「近未来ハッピーエンド」が初登場でランクイン。アニメキャラによるアイドルプロジェクト「ラブライブ!サンシャイン!!」からのキャラクターソング。実売数9位、PCによるCD読取数3位、Twitterつぶやき数12位ですがラジオオンエア数が圏外というのがキャラソンらしい感じに。オリコンでは初動2万4千枚で6位初登場。前作「元気全開DAY!DAY!DAY!」の2万2千枚(6位)からアップ。

最後10位には韓国のバンドCNBLUE「SHAKE」が初登場でランクイン。ただ軽快なエレクトロダンスポップでバンド色は皆無。実売数8位、PCによるCD読取数10位、Twitterつぶやき数8位だったのに対してこちらもラジオオンエア数圏外が足を引っ張りました。オリコンでは5位初登場。初動売上2万5千枚で、前作「Puzzle」の2万8千枚(4位)からダウンしています。

さて今週のロングヒット組ですが、まず星野源「恋」。今週は先週の7位から9位にランクダウンしたもののまだベスト10に健在。You Tube再生回数は今週も1位を記録しています。またロングヒットの気配のある倉木麻衣「渡月橋~君 想ふ~」は8位から6位にランクアップ。好調に推移しています。一方Austin Mahone「Dirty Work」は12位にランクダウン。ただYou Tube再生回数は2位となっていますのでまだ盛り返しもあるかも。Ariana Grande,John Legend「Beauty and the Beast(邦題 美女と野獣)」も13位にランクダウン。こちらは思ったほど伸びませんでした。

今週のHot 100は以上。明日はアルバムチャート。

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