2020年11月26日 (木)

まさかの1位獲得!

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週はちょっと意外な作品が1位獲得です。

今週1位に初登場したのはエレファントカシマシのボーカリスト、宮本浩次によるソロアルバム「ROMANCE」でした。彼が歌謡曲やJ-POPのカバーに挑戦したカバーアルバムで、小坂明子の「あなた」、松田聖子の「赤いスイートピー」、ユーミンの「恋人はサンタクロース」、さらには宇多田ヒカルの「First Love」と様々な女性ボーカル曲のカバーに挑戦。CD販売数1位、ダウンロード数2位、PCによるCD読取数で5位を獲得し、総合チャートで見事1位獲得となりました。オリコン週間アルバムチャートでも初動売上4万7千枚で1位初登場。前作「宮本、独歩」の初動3万5千枚(3位)を上回り、エレカシを含め、シングルアルバム通じて、初の1位獲得となりました。

こういうアルバムが話題となり1位獲得というのはかなり意外な気もするのですが、ただ、レコード会社側がこれに味をしめて、第2弾第3弾とかリリースしてきそうでちょっと不安が・・・。正直言うと、次はエレカシとしての新譜を聴きたいのですが・・・そういう意味ではちょっと複雑な心境も抱いてしまう1位獲得でした。

2位には韓国の男性アイドルグループBTS「BE」が初登場。11月20日に韓国盤でリリースされたニューアルバムで、ビルボードでは配信部分のみでのランクインながらも、ダウンロード数で1位を獲得し、2位に初登場してきました。

3位は先週2位の嵐「This is 嵐」がワンランクダウンながらもベスト3をキープ。CD販売数は2位から3位、PCによるCD読取数も1位から2位にダウンしています。

続いて4位以下の初登場盤です。まず6位にはGirls2「大事なモノ/#キズナプラス」が初登場。テレビ東京系女児向けドラマ「ガールズ×戦士シリーズ」から派生したアイドルグループ。CD販売数は4位でしたが、PCによるCD読取数は76位に留まり、総合順位はこの位置に。オリコンでは初動売上1万2千枚で5位初登場。前作「私がモテてどうすんだ」の6千枚(8位)からアップしています。ちなみに同作、ミニアルバムとなっていますが、タイトルの2曲+1曲+その3曲のカラオケという6曲入りで、事実上のシングル。なのに、なぜアルバム扱いとしたのでしょうか?ひょっとしてシングル扱いにすると、Hot100では上位に食い込むことが出来ず、曲が埋没してしまうから、なんて理由だったりして?

初登場はもう1曲。7位にMISIA「So Special Christmas」がランクイン。CD販売数5位、ダウンロード数7位、PCによるCD読取数9位。本作は彼女がクリスマスソングのカバーや、彼女のオリジナル曲のセルフカバーを収録したクリスマスアルバム。タイトルの「So」は、知的障害のある人たちに様々なスポーツトレーニングとその成果の発表の場である競技会を年間を通じて提供している国際的なスポーツ組織「SPECIAL OLYMPICS(SO)」の理念に共感する意味も込められているそうで、収益の一部を、SOの日本組織「公益財団法人スペシャルオリンピックス日本(SON)」に寄付されるそうです。オリコンでは初動売上9千枚で7位初登場。前作「MISIA SOUL JAZZ BEST 2020」の2万3千枚(3位)よりダウンしています。

今週の初登場は以上。一方、今週はベスト10返り咲きも。あいみょん「おいしいパスタがあると聞いて」が先週の11位から9位にランクアップし、2週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。これでベスト10記録を通算10週に伸ばしています。一方、ロングヒットでは米津玄師「STRAY SHEEP」が7位から5位にアップ。ベスト10ヒットを16週連続としています。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2020年11月25日 (水)

再び1位に返り咲き

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週はあの曲が再び1位に返り咲き。強さを見せつけています。

今週1位を獲得したのは大ヒット中の映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」主題歌、LiSA「炎」。先週、2位にランクダウンしたのですが、わずか1週で1位に返り咲きました。CD販売数は6位までダウン。ラジオオンエア数9位、PCによるCD読取数2位、Twitterつぶやき数は11位に留まりましたが、ダウンロード数、ストリーミング数、You Tube再生回数、カラオケ歌唱回数の4部門で1位を獲得。その強さを見せつける結果となりました。一方で先週3位にランクアップした「紅蓮華」は6位にダウン。ただ、ベスト10ヒットは通算46週に伸ばしています。

さらに今週、LiSAの曲がもう1曲ランクインしてきています。それが10位初登場となったLiSA×Uru「再会」。一発撮りパフォーマンスを届けてきたYou Tubeチャンネル「THE FIRST TAKE」が、配信専門レーベル「THE FIRST TAKE MUSIC」を設立。その第1弾となるのが本作で、LiSAとシンガーソングライターUruによるコラボ曲。ダウンロード数2位、ラジオオンエア数で1位を獲得。ストリーミング数40位、Twitterつぶやき数61位、You Tube再生回数27位を記録し、総合順位でベスト10入りを果たしています。ちなみに本作、作詞作曲プロデュースはYOASOBIのAyaseが担当。まさにHot100でロングヒットを繰り広げているミュージシャン同士の共演となっています。

で、そのYOASOBI「夜に駆ける」は4位から5位にワンランクダウン。ただ、ストリーミング数3位、You Tube再生回数2位、ダウンロード数9位は先週から変わらず。ベスト10ヒットを31週連続に伸ばしています。

ベスト3に戻ります。2位は大阪を拠点に活動するAKB48の姉妹グループNMB48「恋なんかNo thank you!」が初登場でランクイン。CD販売数は1位でしたが、その他、PCによるCD読取数12位、Twitterつぶやき数36位でそのほかは圏外。総合順位も2位に留まりました。オリコン週間シングルランキングでは初動売上13万枚で1位初登場。前作「だってだってだって」の19万7千枚(2位)よりダウン。

3位は韓国の女性アイドルグループTWICE「BETTER」が先週の17位からランクアップし、ベスト10入りを果たしています。CD販売数2位、ダウンロード数22位、ストリーミング数24位、ラジオオンエア数2位、PCによるCD読取数7位、Twitterつぶやき数5位、You Tube再生回数12位。オリコンでは初動売上8万3千枚で2位初登場。前作「Fanfare」の17万6千枚(1位)からダウン。

続いて4位以下の初登場曲ですが、4位以下初登場は前述のLiSA×Uruを除くとあと1曲。優里「ドライフラワー」が先週の16位からランクアップ。ランクインから4週目にして初のベスト10ヒットを記録しています。ちなみに女性ではなく男性シンガーソングライターです。ダウンロード数33位、Twitterつぶやき数86位、カラオケ歌唱回数56位ですが、ストリーミング数で4位、You Tube再生回数で9位を記録し、見事ベスト10入り。もともと、昨年リリースされた「かくれんぼ」がTikTokで使用されるなど大きな話題を呼び、今年10月でリリースされた同曲のヒットにつながりました。TikTok発のヒットで、シンプルなラブバラードという構図は、今年大ヒットを記録した瑛人「香水」と似たようなシチュエーション。具体的な「モノ」一語をタイトルにしている点も共通しています。この曲も「香水」同様のロングヒットを記録するのでしょうか。

一方ロングヒット組は、まずBTS「Dynamite」は5位から4位にアップ。ストリーミング数2位、You Tube再生回数3位は先週から変わらず。これでベスト10ヒットは14週連続に伸びています。また、NiziU「Make you happy」は7位から9位にダウン。ストリーミング数は7位から8位にダウン。一方、ダウンロード数は10位から9位、You Tube再生回数も6位から5位にアップしており、まだヒットは続きそう。これでベスト10ヒットは21週連続となりました。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2020年11月24日 (火)

コロナ禍で中止になったツアーのライブ音源

Title:ザ・クロマニヨンズ ツアー PUNCH 2019-2020
Musician:ザ・クロマニヨンズ

コロナ禍の中、ライブの先行きが全く見えません。緊急事態宣言解除後は徐々にライブも再開。恐る恐るという状況ながらも、ライブは復活しつつあります。ただ、とはいえまだまだその開催は限定的。さらにここ最近の「第三波」到来により、今後の行く末も見渡せない状況となってしまっています。誰にも気兼ねなく、満員のライブ会場で、大きな声を出しながらライブを出来る日がいつになるのか・・・ともすれば悲観的な状況になってしまいます。

そんな状況の中リリースされたのが今回のザ・クロマニヨンズのライブアルバム。昨年リリースされたアルバム「PUNCH」からのライブツアーの模様を収録したライブ盤なのですが、ご多分に漏れず、このツアーも途中にコロナ禍によって中止という憂き目にあってしまいました。そんな「幻のツアー」(といううたい文句なのですが、中止になったとはいえ、ある程度は実施されているライブなだけに「幻」とはちょっと違う感じもするのですが)の模様を収録したライブアルバムとなっています。

結成から14年目。気が付いたらヒロト&マーシーのバンドとしてはもっとも長く活動しているバンドとなったクロマニヨンズ。もちろんそのライブにも定評のある彼らですが、ライブ盤は2013年にリリースされた「ザ・クロマニヨンズ ツアー 2013 イエティ 対 クロマニヨン」以来2作目ということになります。そう考えると、ライブバンドの彼らにしてみれば、決してライブ盤の数は多くありません。それにも関わらず、あえてライブアルバムをリリースするというのは、このコロナ禍の中で、ライブの実施もままならない中、少しでもライブの熱狂をファンに伝えたい、そんなクロマニヨンズの想いがあるのでしょう。

そしてその想いを反映するかのように、ライブの雰囲気をそのままパッケージしたライブアルバムに仕上がっていました。「PUNCH」直後のツアーということもあり、最初は「PUNCH」の曲をそのまま曲順に沿って演奏。A面曲を終了後、「旅立ちはネアンデルタール」などを挟んで、その後はB面曲に。こちらもアルバムのラスト曲「ロケッティア」こそ最後の方にまわされているものの、基本的に曲順に沿ってライブはすすんでいきます。そしてアルバム曲を一通り演奏した後は「エイトビート」「エルビス(仮)」「ナンバーワン野郎!」などが並び、さらには終盤は「タリホー」で盛り上がる・・・全23曲。アルバムの曲を中心に、しかし盛り上がる代表曲はしっかりと演奏して会場を盛り上げる、典型的といえば典型的な展開ながらも、理想的な構成のライブになっていました。

ライブ音源にはしっかりと観客からの歓声も入っています。基本的にMCは入っていないのですが、ファンの歓声を含め、その場の「音」をすべて収めるような録音になっていることもあり、ライブの臨場感がしっかりと伝わってきます。そして、あらためて感じるのですが、ザ・クロマニヨンズの曲は本当にライブ向きだな、ということを強く感じます。楽曲は非常にシンプル。もともとヒロト&マーシーのバンドの曲はシンプルなパンクロックがメインなのですが、このシンプルさがザ・クロマニヨンズの曲ではさらに拍車がかかっています。しかし、シンプルであるからこそバンドとしての実力が試されているのは間違いなく、そしてザ・クロマニヨンズはライブにおいて、そのバンドとしての実力をいかんなく発揮する演奏を聴かせてくれています。

そんな彼らのライブの魅力をしっかりと伝えてくれる、そんなライブアルバムになっていました。あらためて、素晴らしいライブを1日も早く聴きたい!そう感じる内容になっていました。満員のライブハウスでのザ・クロマニヨンズのライブが、次、いつになるかはわからないのですが・・・その日が1日でも早くくることを願って、今はこのライブアルバムで、疑似ライブを楽しみたいところです。

評価:★★★★★

ザ・クロマニヨンズ 過去の作品
CAVE PARTY
ファイヤーエイジ
MONDO ROCCIA
Oi! Um bobo
ACE ROCKER
YETI vs CROMAGNON
ザ・クロマニヨンズ ツアー2013 イエティ対クロマニヨン
13 PEBBLES~Single Collection~
20 FLAKES~Coupling Collection~
GUMBO INFERNO
JUNGLE9
BIMBOROLL
ラッキー&ヘブン
レインボーサンダー
PUNCH


ほかに聴いたアルバム

Bedroom Joule/[Alexandros]

[Alexandros]のニューアルバムは、「新型コロナウイルス「COVID-19」感染拡大の状況下、最前線で働く人や自宅で過ごす人が眠る前にベッドルームでリラックスして聴き、楽しんでもらえるように」という思いから作られたコンセプトアルバム。各メンバーの自宅からリモートで制作されたアルバムで、基本的に過去の作品のリアレンジが主となっています。6月に配信でリリースされた後、数曲加えた8月にCDでもリリースされました。アレンジは、本作のコンセプトに沿った、ゆっくりと聴かせるようなアレンジがメイン。そのため率直に言って「地味」な点は否めず、当初、配信で聴いた時はさほどピンと来ない作品でした。ただ、CDリリースに合わせてインスト曲などが入ることにより、アルバム全体として起伏が生じて、アルバム全体としてのインパクトもグッと増した印象が。エレクトロサウンドとアコースティックな音のバランスも絶妙で、コンセプト通り、ゆっくりと味わえるアルバムになっていました。

評価:★★★★★

[Alexandros] 過去の作品
Schwarzenegger([Champagne])
ALXD
EXIST!
Sleepless in Brooklyn

FRAGILE/LAMP IN TERREN

これがメジャー5作目となるギターロックバンドの約1年10ヶ月ぶりの新作。序盤はドリーミーでスケール感のあるミディアムテンポの楽曲で、正直、BUMP OF CHICKENからの影響…というか、そのままといった楽曲。ただ、基本的にはメロディーラインには聴かせる曲が少なくなく、アコギで切ないメロをしんみり聴かせる「チョコレート」は絶品。中盤あたりまでは彼ららしさも出ている傑作の様相を呈していたのですが、後半はどこにでもいるような平凡なギターロック路線に戻ってしまい、最後はちょっとダレてしまいました。バンプに似ているという点も含めて、それなりの良作ながらもどこか物足りない…というのは以前の彼らのアルバムと同様。ある意味、非常に惜しいバンドに感じます。ここらへん、あとひとつ壁を乗り越えたらブレイクしそうなのですが。

評価:★★★★

LAMP IN TERREN 過去の作品
silver lining
LIFE PROBE
fantasia
The Naked Blues

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2020年11月23日 (月)

次は南インドの音楽との融合

Title:Global Control/Invisible Invasion
Musician:Ammar 808

チュニジア人のシンセ奏者/プロデューサーであるソフィアン・ベン・ユーセフによるソロユニット、Ammar 808。以前も当サイトで紹介した「Maghreb United」が世界的にも注目を集めヒットを記録し、一躍、ワールドミュージック界の注目の的となりました。本作は、そんな彼の2枚目となるアルバム。再び大きな注目を集める1枚となっているそうです。ちなみに前作「Maghreb United」でも書いたのですが、彼の名前「808」は「ヤオヤ」こと日本のメーカー、ローランドによるリズムマシーン、TR-808から取られたということ。そういう意味では日本人にとっても親近感の持てるミュージシャンと言えるかもしれません。

前作「Maghreb United」はタイトル通り、北アフリカのマグレブの音楽と西洋的なエレクトロビートと融合させた音楽。ただ、このマグレブ音楽を軸として様々な音楽とごった煮になったような、ある種の「B級」感あふれたサウンドが大きな魅力でした。そして今回、彼が取り込んだのは南インドの古典音楽であるカルナータカ音楽。彼自身、若いころにインドに留学したことがあるそうで、それだけインド音楽にも深い造形を持っているそうで、彼の幅広い音楽的な素養を感じられます。

もっともカルナータカ音楽、と言われても、私自身はインド音楽にさほど詳しい訳ではないのですが・・・ただ、アルバムの1曲目「Marivere gati」では、まさしくインド!といった感じの女性ボーカルのこぶしの利いた妖艶なボーカルからスタートします。そしてその音楽のバックには強いビートのエレクトロサウンドが。続く「Ey paavi」も伸びやかで妖艶なサウンドに、ちょっとチープなエレクトロサウンドがエキゾチックな雰囲気を醸し出しています。男女2人のやり取りのようなボーカルもコミカル。どこか感じるB級的な雰囲気が大きな魅力にも感じます。

このこぶしを利かせた妖艶なボーカルスタイルでエキゾチックな雰囲気を醸し出しつつ、チープさを感じるエレクトロビートを力強く聴かせるというのが本作の主なスタイル。その後も「Geeta duniki」などでは非常にメランコリックなメロディーラインが魅力となっていますし、「Duryohana」で聴かせる、ハイトーンのホーンも、おそらくインドの楽器なのではないでしょうか?エキゾチックな雰囲気が強い魅力になっています。

ただ一方、非常にユニークなのですが、全8曲の作品、その8曲が8曲、微妙に異なるエレクトロのビートを聴かせてくれており、これがアルバムの中でのバリエーションとなっています。「Mahaganapatim」はアクセントを聴かせつつ、エッジの効いた細かいリズムパターンが特徴的ですし、「Pahi jagajjanani」は、テクノの要素の強い、あか抜けたスペーシーなリズムが特徴的。最後を締めくくる「Summa solattumaa」もチープな雰囲気ながらも力強いはじけるようなエレクトロビートを聴かせてくれます。

チープな雰囲気のエレクトロサウンドでB級的な・・・という言い方をしていますが、ただバリエーションに富んだリズムパターンやサウンド、幅広い音楽的素養からは間違いなく彼の実力を感じさせます。本作もまた前作同様のごった煮的なアルバムだったのですが、そのごった煮の素材が前作とは異なる点もおもしろいところ。これからどんなサウンドをごった煮してくれるか・・・彼の活動からは目が離せなさそうです。

評価:★★★★★

Ammar 808 過去の作品
Maghreb United


ほかに聴いたアルバム

Magic Oneohtrix Point Never/Oneohtrix Point Never

ニューヨーク・ルックリンを拠点に活動するダニエル・ロパティンによるソロプロジェクトの約2年ぶりのニューアルバム。前作「Age of」ではじめて彼の作品を聴いたのですが、その前作はいかにもソフトロック的なアルバムジャケットで、内容も歌モノ・・・ながらも微妙に歪んだサウンドメイキングが魅力的な内容でした。今回のアルバムも様々なサウンドをサンプリング。1曲の中でどんどんと雰囲気が変わっていくドラスチックな展開もスリリングな作品になっていたのですが、「歌モノ」的な要素が強かった前作に比べると、メロディアスな部分は要所要所に感じるものの、全体的には「実験的」な要素が強くなっていたアルバムになっていました。ちょっととっつきにくかった部分もあり、個人的には前作の方が好みだったかな。様々な音楽的な挑戦がおもしろいアルバムではあるのですが。

評価:★★★★

Oneohtrix Point Never 過去の作品
Age of

Hey Clockface/Elvis Costello

かなり不気味なジャケット写真が妙に目をひくエルヴィス・コステロの約2年ぶりとなるニューアルバム。前半は、2曲目の「No Flag」をはじめギターサウンドとシャウト気味のボーカルでロッキンな曲を聴かせつつ、主軸となるのはムーディーなミディアムテンポのナンバー。メランコリックなメロディーラインも特徴的で、良くも悪くも「良質な大人の音楽」というイメージを強く抱くアルバムになっています。アルバムの出来としては一定以上の安定感があり、その点はさすがはコステロといった感じでしょうか。しっかりと聴かせる作品になっていました。

評価:★★★★

Elvis Costello 過去の作品
Momofuku(Elvis Costello&the Imposters)
Secret,Profane&Sugarcane
National Ransom
Wise Up Ghost(Elvis Costello&The Roots)
LOOK UP(Elvis Costello&the Imposters)
Purse(Elvis Costello&The Imposters)

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2020年11月22日 (日)

18歳未満お断り?

Title:ブルーフィルム-Revival-
Musician:cali≠gari

いや~いきなりドギツイ18禁的なジャケットで申し訳ありません。今回紹介するアルバムは、もともとcali≠gariが2000年にリリースしていた通称「エロアルバム」というアルバム。もともと、現在のボーカリスト石井秀仁が加入直後にリリースされたアルバムで、インディーズでの当初リリース時に完売。翌年には2ndプレスもリリースされたものの、こちらも現在では廃盤となり入手困難。そんな中、今回は新曲に新たなカバー曲を追加した全10曲入りのアルバムとしてリニューアル。すべて新録という、かなりの力の入れようの新作となっています。

オリジナル盤リリース時はオリジナルコンドームが購入特典として付いてきたという、とことん「エロ」路線を突き進んだ本作。楽曲もここで堂々と書くのもはばかられるような(笑)エロエロの楽曲が続きます。そんな未成年お断りの下ネタ満載のアルバムなのですが、これがビックリするほどカッコいい楽曲の連続になっています。まず1曲目は今回あらたに収録されたカバー曲。イタリアのDJユニットSPANKERSが2000年にリリースして大ヒットを記録した「Sex On The Beach」のカバーなのですが、原曲のおバカなパーティーチューンの雰囲気が一転。ヘヴィーなギターサウンドでゴリゴリと攻めてくる、ヘヴィーなパンクナンバーに早変わり。これ、原曲よりカッコよくない?と思ってしまう、cali≠gari流の名カバーに仕上がっています。

オリジナル版では冒頭を飾っていた「エロトピア」もヘヴィーなギターリフをバックに、妖艶でエロチックな雰囲気を醸し出しつつ、ヘヴィーなロックナンバーになっています。さらに続く「ミルクセヰキ」は軽快なスカ調のナンバー。タイトルは間違いなくダブルミーニングなんでしょう。ミルクを男性のあれに例える手法は、戦前のブルースナンバーでもよく見られる手法なのである意味、お決まりともいえる歌詞。ただリズミカルなスカのリズムが楽しいロックナンバーに仕上がっています。

その後もジャジーなアレンジを加えて妖艶に聴かせる「真空回廊」、バンドサウンドにシンセの音色を加えてメランコリックに聴かせる「原色エレガント」、ノイジーでサイケなアレンジでドリーミーに聴かせる「さかしま」など、それぞれバリエーションある作風ながらもcali≠gariの音楽性の広さを感じさせる楽曲に仕上がっており、「エロアルバム」というギミックを用いつつ、その実、アルバムの内容としては彼らのバンドとしての実力を存分に発揮した楽曲が並んでいます。

今回、新曲として収録された「デリヘルボーイズ!デリヘルガールズ!」もかなりインパクトの強いポップなナンバーに。ポップで軽快なギターロックのナンバーになっており、絶妙に加わるファンキーなリズムも楽しいナンバー。90年代のJ-POPの雰囲気も感じられる楽曲になっており、岡村靖幸あたりが好きなら気にいるかも?ある種のなつかしさも感じました。タイトル通りの爽やかに仕上げつつも、エロい歌詞も非常にユニークです。

ラストを飾るタイトルチューン「ブルーフィルム」もまた、パンキッシュで賑やかなバンドサウンドも楽しい、メロディーは至ってポップなギターロックナンバー。メロディーラインは爽やかにまとめつつ、どこか切なく、メランコリックさを歌詞も妙に耳に残る楽曲に仕上がっています。

また、実験的で非常にユニークだったのがインストナンバー「音セックス2020」で、様々な音をサンプリングし、それを絡み合わせることで音でセックスを表現したようなナンバー。これもまたエロネタながらも、かなりサウンドとして挑戦的な楽曲となっており、非常に楽しくも、同時に彼らの挑戦にうならせるような楽曲になっていました。

「エロ」というある種の飛び道具を用いつつ、楽曲としてはかなり凝った名曲がそろっている非常にカッコいいアルバムになっていた本作。cali≠gariのバンドとしての実力を存分に発揮したアルバムになっています。「エロ」というギミックを用いたからこそ、バンドとしての自由度が高まった結果、より傑作がリリースされ、ということかもしれません。ジャケット写真で引いてしまった方でも是非聴いてほしい傑作アルバム。ロックのアルバムとして文句なしにカッコいい1枚でした。

評価:★★★★★

cali≠gari 過去の作品
10
cali≠gariの世界

11
12
13
この雨に撃たれて


ほかに聴いたアルバム

はじまっていく たかまっていく E.P./サンボマスター

サンボマスターの新作は、タイアップ付の新曲2曲とライブ音源3曲からなる5曲入りのEP盤。タイトルチューンである「はじまっていく たかまっていく」はラップ的な要素も入れて意欲的な部分もあったりするものの、全体的にシャウトもサウンドも抑えめ。2曲ともタイアップを意識したようなポップ寄りの曲になっており、サンボマスターとしての魅力は薄め。ライブ音源の方も、パンクな彼らを前面に押し出した、といった感じではなく、全体的に「売り」を意識したようなアルバムになっていたのはちょっと残念でした。

評価:★★★

サンボマスター 過去の作品
音楽の子供はみな歌う
きみのためにつよくなりたい
サンボマスター究極ベスト
ロックンロール イズ ノット デッド
終わらないミラクルの予感アルバム
サンボマスターとキミ
YES

Walking On Fire/GLIM SPANKY

GLIM SPANKYの最新作は、ギターサウンドといよりもバンド全体としてダイナミックな作風に聴かせている点が特徴的。デビュー当初の60年代的なルーツ志向から、前作で感じたもうちょっと時代が下ったハードロック色という方向性は今回のアルバムもそのまま。非常に力強いサウンドがインパクトになっています。同じルーツロック志向ながらも微妙にスタンスを変えつつ活動を続ける彼女たち。このハードロック路線をさらに先鋭化していくのでしょうか?

評価:★★★★

GLIM SPANKY 過去の作品
ワイルド・サイドを行け
Next One
I STAND ALONE
BIZARRE CARNIVAL
LOOKING FOR THE MAGIC

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2020年11月21日 (土)

いつもながらのシンプルなポップアルバム

Title:Love Goes
Musician:Sam Smith

約3年ぶりとなったサム・スミスのニューアルバムは、今回の新型コロナの影響を大きく受けてしまうアルバムになってしまいました。もともとは「To Die For」というタイトルで5月1日にリリースされることが決定された本作。しかしコロナ禍の最中ということで5月のリリースは延期に。さらに「To Die For」というタイトルがコロナ禍の中では不謹慎ということになり、タイトルも「Love Goes」に変更。10月30日にようやくニューアルバムのリリースとなりました。

そんなコロナ騒動に思いっきり巻き込まれてしまった今回のアルバムですが、そんな中でリリースされた先行シングルはバラードシンガーのイメージが強い彼にしては、比較的テンポのよいダンサナブルなシングル曲が続いていたということでも話題になりました。事実、本作に収録されている「Diamonds」やBurna Boyをゲストに迎えた「My Oasis」などは確かにリズミカルなナンバーですし、タイトルそのまま「Dance('Til You Love Someone Elese)」「Dancing with a Stranger」のようなエレクトロダンスチューンも収録されています。そういう意味ではいままでの彼のアルバムに比べると、比較的ダンサナブルな楽曲も収録されているアルバムと言えるかもしれません。

ただ正直なところアルバム全体としてはダンスチューンも目立つバリエーションのある作品というよりは、いつものサム・スミスと同様、ミディアムチューン中心に美しいメロディーラインを聴かせる作品というイメージで大きな変化はありませんでした。アルバムもアカペラのバラードソング「Young」からスタートしますし、前半は前述の先行配信曲や「Another One」「So Serious」のようなテンポよくメロディアスな曲が並ぶのですが、そんな曲も基本的には伸びやかなサム・スミスのボーカルが主軸となっており、彼のいままでのイメージから大きな変化はありません。

さらに後半にはスケール感あるバラードナンバー「Kids Again」やストリングスも入ってダイナミックに歌い上げるバラード「Fire on Fire」など、彼らしいバラードナンバーが続きます。そんな中でも特にインパクトがあるのがタイトルチューンでもある「Love Goes」。メランコリックなメロディーラインにファルセットも入って美しく聴かせる彼のボーカル、さらに途中ホーンセッションも入ってスケール感を覚えるサウンドも見事で、タイトルチューンらしいアルバムの中での主軸となっている楽曲に仕上がっています。

そんな訳でいままでの彼の楽曲と大きな相違はなく、サウンドは比較的シンプル。バリエーションもダンスチューンが耳を惹くものの、バラエティー豊富な、というよりはあくまでも歌を聴かせるスタイルという点に大きな変化はありません。ただ、それでも最後まで飽きることなくしっかりと聴かせることが出来るのは、いままでの彼の楽曲同様、美しいメロディーラインと美しいボーカルが際立っているからでしょう。まただからこそシンプルなサウンドでも十分勝負できるだけのクオリティーを維持しているのでしょう。今回のアルバムも、そんな彼の魅力が満載の傑作アルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★★

Sam Smith 過去の作品
IN THE LONELY HOUR
Thrill It All


ほかに聴いたアルバム

The Power Of The One/Bootsy Collins

Pファンクのメンバーであり、ファンク界隈では最も著名なベーシストのひとりBootsy Collins。70歳近い今となっても、Pファンクのノリと全く変わらない精力的な音楽活動を続けていますが、本作は約3年ぶりとなるニューアルバム。基本的にはいつも通り、終始ご機嫌なファンクチューンが並んでいる作品に。大いなるマンネリといえばマンネリなのですが、最初から最後まで続くファンキーなリズムに聴いていてご機嫌になってくる、とても心地よさを感じるアルバムでした。

評価:★★★★

Bootsy Collins 過去の作品
THA FUNK CAPITAL OF THE WORLD
World Wide Funk

Positions/Ariana Grande

アメリカのシンガーソングライター、アリアナ・グランデのニューアルバム。基本的に楽曲は彼女ののびやか美しい歌声を主軸に据えた、清涼感あってメロディアスなポップチューンが並んでいます。ただ、そのキュートなルックスとは裏腹に・・・というと怒られてしまいそうですが・・・メッセージ性を込めた作品が特徴的で、タイトルチューンの「Positions」は女性大統領に扮したPVも話題になり、女性の社会的な立ち位置をメッセージに込めたといわれていますし、1曲目を飾る「Shut up」も今の時代にリリースされると、トランプ大統領に向けたメッセージソングにすら感じます。そういうメッセージ性を楽曲の中にさらりと取り入れつつ、全体的にはキュートなポップチューンにまとめあげている点に彼女の実力を感じさせる、そんな作品でした。

評価:★★★★

Ariana Grande 過去の作品
My Everything
The Best
Sweetener
thank u,next

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2020年11月20日 (金)

久々にコンパクトでポップなアルバム

Title:SIGN
Musician:Autechre

その独特の音世界で様々なミュージシャンへの影響を与え、多くの音楽リスナーに支持されるエレクトロユニットAutechre。既に結成から30年以上、ワープ・レコードでアルバムデビューしてから25年以上が経過するベテランユニットだったりします。ただ既に「ベテラン」の域に達している彼らですが、その制作意欲は全く衰えていません。衰えていないどころか、ここ数年はオリジナルアルバムが非常に長尺化している傾向にあり、前作「NTS Sessions」はCDにすると8枚組、全8時間にも及ぶという強烈な長さのセッション。前々作「elseq 1-5」も5時間にも及ぶアルバムになっており、その前の「Exai」も2時間に及ぶアルバムと、近年になるに至って、どんどんインフレ化していきました。

そんな中、リリースされた約2年ぶりとなるアルバムは、全11曲、65分という、比較的シンプルで「常識的」な長さのアルバムになっています。まあ、正直なところ、前作「NTS Sessions」はアルバムとして長すぎて、ちょっと冗長といった印象を受けるアルバムでしたので、今回のアルバム程度の長さがちょうどよい、といった感じでしょうか。実際、アルバム全体としては、おそらく良い意味で取捨選択されているようなシンプルな構成の楽曲が並び、いい意味で「ポップ」という印象を受けるアルバムに仕上がっていたように感じます。

アルバム全体としては、比較的ダウナーで、ドローン的な要素を含んだ楽曲が多く見受けられる内容になっています。1曲目「M4 Lama」など、まさにドローン的なサウンドにメタリックな音が重なるようなダウナーな作風になっていますし、続く「F7」もハイトーンのメタリックなサウンドで構成されながらも、全体的には陰鬱な印象の受ける作風になっています。

後半も「sch.mefd 2」「gr4」など、メタリックなサウンドを入れつつ、ドローン風のサウンドが低音で響く、ダウナーな楽曲が並びます。ただ、楽曲としては5~6分程度の曲が並んでいるため、ポピュラーミュージックとしての体裁は兼ね備えており、その中に実はポップなメロディーラインが流れているため意外と聴きやすい、というのは彼ららしさを感じます。「au14」などはリズミカルなテンポのエレクトロビートが軽快な作品になっており、聴きやすいポップな作風となっているため、これが中盤に入っていることでアルバムにひとつの核が生じていますし、ラストを飾る「r cazt」などはメロディーラインに哀愁感すら漂っており、そのメロが心に残るようなアルバムに仕上がっていました。

ここ最近のアルバムの中では断然ポップで聴きやすいアルバムに仕上がっていた本作。ちょっと冗長的だったここ最近のアルバムに比べて、グッと引き締まったアルバムといった印象も受けました。彼らの魅力をしっかりと感じることの出来る傑作アルバムです。

評価:★★★★★

・・・と思っていたら、それからわずか20日後、早くもニューアルバムがリリースされました。

Title:PLUS
Musician:Autechre

続けざまにリリースされたこのアルバムは、決して「SIGN」のアウトテイク集、ではなく歴とした新作となるそうです。実際、ドローンの要素の強かった「SIGN」と比べると、メタリックなエレクトロビートでリズミカルな楽曲が目立つのが今回のアルバム。1曲目「DekDre Scap B」こそダウナーな作風になっているものの、強いビートが目立つ曲調ですし、続く「7FM ic」もテンポよいエレクトロビートが主軸となっている曲になっています。

その後もエッジの効いたエレクトロビートの「X4」やスペーシーなサウンドにアーケードゲーム風なノイズが混じる「ii.pre esc」、さらに最後の「TM1 open」は、ピコピコサウンドとも言うべき軽快なエレクトロサウンドで疾走感もって展開される曲調に、聴いていて楽しくなってしまうような楽曲に仕上がっています。

今回のアルバムも、全9曲63分という「常識的」な内容。ただ、「SIGN」に比べると、「ecol4」が15分弱、「X4」が12分、ラストの「TM1 open」が11分と1曲の長さは前作に比べて若干長尺な曲も目立ちます。もっとも、軽快なエレクトロサウンドがミニマル的に続くリズムとなっているため、長尺でも比較的聴きやすい構成に。アルバム全体としても前作以上に「ポップ」にまとまっていて聴きやすいアルバムに仕上がっていたと思います。

「SIGN」とは異なる作風のアルバムということで、「SIGN」「PLUS」合わせてAutechreの今やりたいことを表現した構成になっている、ということなのでしょうか。ただ、1枚あたりのアルバムの長さは1時間程度と(彼らにしては)コンパクトにまとまったのですが、2枚合わせると2時間強と今回もやはりそれなりのボリュームのなってしまった作品に。やはり彼らの衰えない創作意欲をカバーするためには、60分程度の長さでは物足りなさすぎるということなのでしょうか。ただ、それでも2枚のアルバムに分けたことにより、それなりにメリハリがついて、それぞれのアルバムがいい意味で引き締まっている、聴きやすいアルバムに仕上がっていたように感じます。Autechreの実力をしっかりと感じられる2枚のアルバムでした。

評価:★★★★★

Autechre 過去の作品
Quaristice
Oversteps
move of ten
Exai
NTS Sessions 1-4


ほかに聴いたアルバム

MTV Unplugged/Pearl Jam

彼らがデビューアルバム「TEN」で大ブレイクした直後、1992年3月に行ったアコースティックによるスタジオライブ番組「MTVアンプラグド」で行ったパフォーマンスの模様を収録したライブアルバムいままで「レコードストアデイ」の限定商品としてアナログリリースされたことはあったのですが、単独での通常リリースは今回がはじめて。コロナ禍でライブもままならない中でのライブの穴埋め的な意図もあるのでしょうか?

ただ、アコースティックなライブパフォーマンスながらも、そんな中からにじみ出てくるパワフルな演奏を感じられるのがこのアルバム。「MTV Unplugged」というと大人の雰囲気のパフォーマンス、というイメージが強いのですが、1992年、若いエネルギーがありあまる彼らにとっては、アコースティックライブであろうと、そのパワーを「封印」することは出来なかった模様。ただ、このアコースティックなサウンドと、彼らのみなぎるパワーの絶妙なバランスがユニークなライブパフォーマンスに仕上がっています。今となっては非常に貴重な音源。逆に、今の彼らだったら、どのようなパフォーマンスをするのか気になるところでもあるのですが。

評価:★★★★★

Pearl Jam 過去の作品
Backspacer
Lightning Bolt
Gigaton

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2020年11月19日 (木)

上位は男性アイドル勢がズラリ

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先週は嵐が圧倒的な強さで1位を獲得しましたが、今週も上位は男性アイドルグループがズラリと並びました。

まず1位を獲得したのがすとぷり「Strawberry Prince」。You Tubeやツイキャスなどで活躍している6人組グループで、アニメキャラクターを表に押し出して活動しているグループ。アルバムタイトルのすとろべりーぷりんすがもともとの名前なのですが、アルバムの名義としては略称が正式名称になっているようです。CD販売数1位、ダウンロード数3位、PCによるCD読取数4位。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上22万9千枚で1位初登場。前作「すとろべりーねくすとっ!」の16万8千枚(2位)からアップしています。

ネット初のバーチャルアイドルグループが1位になりましたが、2位はリアルな男性アイドルグループ。嵐「This is 嵐」がワンランクダウンながらもベスト3をキープ。CD販売数は2位にダウンしましたが、PCによるCD読取数は今週も1位を維持しています。

3位初登場は日韓合同の男性アイドルグループORβIT「00」がランクイン。オーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN」をきっかけに誕生したグループ。これで「オルビット」と読むそうです。ちなみにアルバムタイトルは「オーツ―」と読むようです。CD販売数5位、PCによるCD読取数は28位でしたが、ダウンロード数は2位にランクインし、総合順位でベスト3入りとなりました。オリコンでは初動売上2万9千枚で3位に初登場しています。

続いて4位以下の初登場盤です。まず4位に浜田省吾「In the Fairlife」が入ってきました。CD販売数3位、ダウンロード数6位、PCによるCD読取数16位。2004年から断続的に活動を行っている、浜田省吾とアレンジャーの水谷公生、そして女性作家の春嵐の3人のユニット、Fairlifeで発表した楽曲を再編集したミニアルバムとなります。オリコンでは初動売上2万枚で5位初登場。直近作はR&Bのカバーアルバム「The Moonlight Cats Radio Show Vol.1」「The Moonlight Cats Radio Show Vol.2」で同作の初動2万2千枚(1位、2位)より若干のダウン。オリジナルアルバムとしては前作「Journey of a Songwriter ~旅するソングライター」の初動2万4千枚(1位)からダウンしています。

5位は元関ジャニ∞の渋谷すばるによる「NEED」がランクイン。CD販売数4位、ダウンロード数69位、PCによるCD読取数47位で総合順位はこの位置に。関ジャニ∞脱退及びジャニーズ事務所退所後2作目のアルバムとなります。オリコンでは初動売上2万1千枚で4位初登場。前作「二歳」の6万8千枚(4位)から大きくダウンしています。

8位には韓国の男性アイドルグループSuperM「Super One」がランクイン。SHINee、EXO、NCTというアイドルグループのメンバーから選抜されたメンバーによるグループ。CD販売数は6位でしたが、その他のチャートでは圏外。本作がアルバムでは初の国内盤となります。オリコンでは1万2千枚を売り上げて7位にランクインしています(先週までは輸入盤の売上でランクインしていたようです)。

初登場最後は9位にオーストラリアのロックバンドAC/DC「Power Up」が入ってきています。CD販売数は15位、ダウンロード数も12位でしたが、PCによるCD読取数が6位という、ちょっと珍しい結果に。洋楽なのでレンタルも解禁されていないし、ファン層的に、CDをパソコンに取り込んで…という方は決して多くないように思うのですが、なぜここまで高順位となったのでしょうか?オリコンでは初動売上7千枚で10位初登場。前作「Rock or Bust」の9千枚(14位)からはダウンしています。

一方、今週のロングヒット盤ですが、米津玄師「STRAY SHEEP」。今週は先週の6位から7位にワンランクダウン。ただ、これでベスト10ヒットは15週連続となりました。一方で先週まで9週連続ベスト10ヒットを続けていたあいみょん「おいしいパスタがあると聞いて」は今週11位にランクダウン。ベスト10連続ヒットはとりあえず9週で終了となりました。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2020年11月18日 (水)

「鬼滅」人気は続くものの・・・

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先日、このコロナ禍の中でも無事開催にこぎつけた紅白歌合戦の出場者が発表となりました。そんな中でネガティブな意味で話題になったのがジャニーズ系が総勢7組も出場するという点。かなり偏り気味なラインナップが物議をかもしています。

今週1位を獲得したのは、そんなジャニーズ系の初登場組の一組。SixTONESのニューシングル「NEW ERA」。日テレ系アニメ「半妖の夜叉姫」オープニングテーマ。先週の86位からCDリリースに合わせて一気にランクアップし、1位獲得となりました。CD販売数、PCによるCD読取数及びTwitterつぶやき数1位、ラジオオンエア数3位、You Tube再生回数40位。オリコン週間シングルランキングでは初動売上44万6千枚で1位初登場。前作「NAVIGATOR」の初動62万2千枚(1位)からダウンしています。

そして2位3位には「鬼滅」曲が並びました。2位には先週まで1位をキープしていたLiSA「炎」がワンランクダウン。ただ、ダウンロード数、ストリーミング数及びYou Tube再生回数の1位は先週から変わらず。CD販売数は5位から2位にアップしているなど、まだまだ高い人気を伺わせます。そして「紅蓮華」が5位から3位にランクアップ。2週ぶりのベスト3返り咲きとなり、ベスト10記録と通算45週に伸ばしています。ちなみに彼女も今年の紅白出場組の一人。「鬼滅の刃」効果でかなり盛り上がりそうです。

続いて4位以下の初登場曲です。まず6位に菅田将暉「虹」がランクイン。映画「STAND BY MEドラえもん2」主題歌。11月25日リリース予定のシングルからの先行配信。ダウンロード数2位、ストリーミング数18位、ラジオオンエア数58位、Twitterつぶやき数48位で、初登場でベスト10入りです。映画のテーマに沿ったような、割とベタで泣かせにかかるようなミディアムチューンになっています。菅田将暉は昨年出場したものの、今年は紅白落選組。確かに今年は大きなヒットがありませんでしたしね・・・。

初登場組もう1作は10位に男性シンガーソングライター平井大「Stand by me,Stand by you」が先週の12位からランクアップし、初登場から10週目にしてベスト10入りを果たしました。2週間に1度のペースで配信シングルをリリースしてきた彼の第8弾となる楽曲で、9月にリリースされた作品なのですが、徐々に人気を集め、ついにベスト10入り。楽曲のタイプとしては、前述の「虹」やあるいは瑛人の「香水」にも通じるような、良くも悪くもベタな感じのするミディアムチューンのラブソング。ダウンロード数26位、You Tube再生回数20位ですが、ストリーミング数で6位を獲得しています。今後、ロングヒット曲となっていくのでしょうか。

一方ロングヒット組は、まずYOASOBI「夜に駆ける」は6位から4位に再度のランクアップ。こちらはストリーミング数3位、You Tube再生回数2位は先週から変わらず。ただし、ダウンロード数は5位から9位にダウンしています。ちなみに紅白には残念ながら出場せず。この曲のヒットを考えると、十分初出場に値するミュージシャンだと思うのですが・・・辞退したのでしょうか?これでベスト10ヒットを30週連続に伸ばしました。

BTS「Dynamite」は7位から5位に再度アップ。こちらもストリーミング数2位、You Tube再生回数3位は先週から変わらず。なおBTSは紅白に今年も落選。まあ、紅白のためだけに日本に来日するのも、今の状況では難しいかもしれませんが。これで13週連続のベスト10ヒットとなっています。

NiziU「Make you happy」は8位から7位にアップ。ストリーミング数7位は先週から変わらず。You Tube再生回数は5位から6位に、ダウンロード数は7位から10位にダウンしています。彼女は今年の紅白初登場組。特にCDデビュー前でありながらも出場を決めたということでも話題となりました。ただ、ビルボードチャートをウォッチしている身としては「CDデビューまだだっけ・・・」と意外な気持ちになりました。今週でベスト10ヒットが連続20週となりました。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2020年11月17日 (火)

非常に「器用な」ユニット

Title:かつて天才だった俺たちへ
Musician:Creepy Nuts

MCのR-指定とDJのDJ松永によるユニット、Creepy Nutsのミニアルバム。Creepy Nutsの2人といえば、以前から非常に高い評判で知られていたユニット。R-指定は「ULTIMATE MC BATTLE」で3年連続グランドチャンピオンに輝いたほか、テレビ朝日系バラエティー「フリースタイルダンジョン」で、般若の後をついで「ラスボス」に就任するなど、高いスキルで知られていますし、一方、DJ松永の方も「DMC WORLD DJ CHAMPIONSHIPS 2019」で優勝するなど、非常に高いスキルを持つメンバー同士のユニットとなっています。

私も以前から彼らのことは知っていましたが、いままでアルバムを聴く機会がなく、音源を聴くのがこれが初。ただ今回のアルバム、ミニアルバムということなのですが、「ラジオ盤」ということで楽曲の間に彼らのトークが入り、全70分近い長さのボリューミーな内容に。タイトル通り、彼らのラジオ番組を聴いているような、そんなユニークな構成になっています。

そんなはじめて聴いた彼らの楽曲なのですが、まずは聴いてみて、彼らが非常に器用なユニットだな、ということを感じました。というのも、今回収録されている全7曲、ある意味バラバラな音楽性のユニークな内容に仕上がっていたからです。まず「ヘルレイザー」はホーンセッションの入ってムーディーな雰囲気の曲からスタートしたかと思えば、「耳無し芳一style」はトラップのサウンドを取り入れた、今風のサウンドが耳に残る楽曲に。かと思えば「オトナ」はメランコリックな歌モノになっていますし、「日曜日よりの使者」は、なんと菅田将暉と組んでハイロウズのカバーに挑戦。同じく菅田将暉と組んだ「サントラ」はむしろ青春パンク路線か?と思わせるようなロックな楽曲になっていますし、メロディアスな「Dr.フランケンシュタイン」から、ラストを飾るタイトルチューン「かつて天才だった俺たちへ」は軽快なHIP HOPチューンながらも、ジャジーな雰囲気のベースラインやドラムスが印象的な楽曲に仕上がっています。

全体的にはゴリゴリとラップを聴かせるスタイルというよりは、ほどよく歌も入ってメロディアスなポップに仕上げており聴きやすい内容に。ただ、最初にも書いた通り、R-指定もDJ松永も共に高いスキルの持ち主、ということもあって、これらバリエーションある楽曲を卒なくこなしちゃっている、という印象を受けました。ある意味、楽曲のスタイルがバラバラなだけに、Creepy Nutsらしさというのがちょっと見えにくいかも?と思わないこともないのですが、どの曲も軽快なポップにまとめている点が彼ららしさ、と言えるのかもしれません。

今回は「ラジオ盤」ということに曲間にトークが入る点も特徴的。正直言ってしまうと、彼らのトークは決して凝った上手いものではなく、何度も聴くような内容ではないかもしれません。ただ、それぞれ楽曲がどのようなコンセプトで作成されているのかを、軽快なトークの中でちゃんと語っており、そういう意味でははじめて彼らの楽曲を聴く人にとっても、彼らのことをよく知ることが出来る構成になっている、と言えるかもしれません。また、楽曲のタイプがバラバラなだけに、曲間のトークがちょうど楽曲同士の連結環の役割を果たしている部分もありました。そういう意味ではよく出来た構成と言えるのかもしれません。

ちなみに「ラジオ盤」のトークの中ではなぜか語られていなかったのですが、配信音源はトーク部分がカットされているため、楽曲部分だけまとめて聴けます。とりあえず彼らの曲を聴いてみたいから、トークは・・・という方にはこちらが良いのかも。ただ、彼らがどのようなミュージシャンか知るためには「ラジオ盤」のトーク部分は最適なので、一度はチェックしてみて損はないかも。個人的にはちょっと器用すぎるかも?という印象を受けた部分もあったのですが、次回作も聴いてみたいと思わせる、そんなユニットでした。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

ABRACADABRA/BUCK-TICK

前々作「アトム 未来派 No.9」、前作「No.0」とここに来てバンドとしての勢いを感じさせる傑作が続いたBUCK-TICK。それだけにそれに続く最新作である本作も期待しながら聴いたのですが、正直言って前半に関しては、それなりの良作ではあるものの、正直言うと、比較的無難にまとめているかな…という印象を受けてしまいました。ただ、それでも彼ららしいメランコリックなメロディーラインはインパクト十分。ベテランらしい底力を感じます。また中盤以降はエレクトロサウンドを全面的に押し出しているのですが、こちらも力強いビートでインパクトがあり、バンドとしての実力を感じます。前々作、前作ほどではないものの、BUCK-TICKというバンドの衰えを知らない勢いも感じさせる良作に仕上がっていました。

評価:★★★★

BUCK-TICK 過去の作品
memento mori
RAZZLE DAZZLE
夢見る宇宙
或るいはアナーキー
アトム 未来派 No.9
CATALOGUE 1987-2016
No.0

2020/eastern youth

このコロナ禍に襲われた2020年という年をあえてタイトルとしたエモコアバンドeastern youthの新作。非常にヘヴィーでエモーショナルなバンドサウンドとボーカルは相変わらず。比較的前向きなメッセージも多く込められており、コロナ禍で世間全般が暗くなってしまっている今の状況の中だからこその作品という感じもしますし、だからこそ「2020」というアルバムタイトルにしたのかもしれません。ただ、一方では良くも悪くもいつも通りのeastern youthといった感じ。正直言えば目新しさはなかったし、若干「大いなるマンネリ」な気配も。その点は前作「SONGentoJIYU」でも感じたのですが、今回のアルバムではその感覚がより強くなってしまっていました。

評価:★★★★

eastern youth 過去の作品
地球の裏から風が吹く
1996-2001
2001-2006

歩幅と太陽
心ノ底ニ灯火トモセ
叙景ゼロ番地
ボトムオブザワールド
SONGentoJIYU

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«カレー屋の匂いも漂ってくるような