2021年11月28日 (日)

今年2枚目!

Title:Blue Banisters
Musician:Lana Del Rey

ハイプ的な評判も多かったデビュー当初の印象から一転、最近では傑作アルバムを連発し、すっかり「実力派シンガーソングライター」として、その地位を確立してきたLana Del Rey。今年3月にはアルバム「Chemtrails over the Country Club」をリリースし、同作も文句なしの傑作アルバムだったのですが、それからわずか7ヶ月、異例とも言える短いスパンでニューアルバムがリリースされました。

予想外の2021年2枚目となるニューアルバム。まさに今の彼女の勢いも感じさせます。ただし、基本的な路線としては前作以前の彼女のスタイルと同様。50年代~60年代あたりの「古き良き時代」のアメリカ音楽の要素を取り入れたような、メランコリックでレトロ感のあふれるシンプルなポップソング。1曲目の「Text Book」などは、そんな彼女の「王道」を行くような、レトロ感と哀愁感があふれるポップソング。続くタイトルチューン「Blue Banisters」もしんみりと幻想的な雰囲気すらする歌声を聴かせてくれますし、「Arcadia」もピアノの音色をバックに、シンプルでどこか懐かしい感じのする伸びやかなポップチューンを聴かせてくれます。

その後も「Beautiful」「Violets for Roses」「Wildflower Wildfire」のような、シンプルなピアノの演奏でメランコリックなポップソングをゆっくりと歌いあげる楽曲がメイン。「Nectar Of The Gods」「Living Legend」のようなアコースティックギターを入れてくることもありつつ、基本的にはシンプルなアレンジのポップソングがメイン。その中でちょっと目立つのが「Dealer」で、こちらは力強いドラムのリズムが流れる楽曲になっています。楽曲時代はレトロな雰囲気のメランコリックなナンバーという点は共通するのですが、リズムを強調したサウンドにちょっと今時なものも感じられ、アルバムの中でのちょうどよいインパクトとなっていました。

ただ今回のアルバム、ピアノやアコギをメインとしたシンプルなサウンドがメインということで、前作同様、決してバリエーションは多くありません。1曲1曲に関しては、その美しい歌声とメランコリックなメロが魅力的なポップスということは間違いないのですが、正直なところ、似たタイプの曲が多く、後半になると、若干飽きが来てしまったようにも感じてしまいました。

しかし、その印象が変わったのは締めくくりの「Sweet Carolina」。こちらもピアノをバックとしたシンプルに聴かせるポップスなのですが、絶妙な泣きメロがインパクトのあるナンバーで、若干飽き始めてきた私の耳をグッとつかみました。これが最後に来たため、結果として非常に後味が良く終わった作品に。一気にアルバム全体の印象も良くなり、聴き終えることが出来ました。

わずか7ヶ月でのスパンでのリリース。勢いがあるともいえるのですが、一方では乱発気味に終わるリスクもあるリリース。実際、前作と比べると、若干、そんな印象も否めない部分もありました。ただ、全体的には、それ以上に美しいメロディーが映える傑作アルバムにまとまっていました。しんみりとその美しい歌声に聴き惚れつつ、懐かしい感情にひたれる、そんな1枚でした。

評価:★★★★★

Lana Del Rey 過去の作品
Born To Die
Ultraviolence
Norman Fucking Rockwell!
Chemtrails Over The Country Club


ほかに聴いたアルバム

I Dream Of Christmas/Norah Jones

彼女初となるクリスマスアルバム。スタンダードナンバーとオリジナル曲を半々程度収録した構成になっており、いつもの彼女と同様、スモーキーなボーカルでムーディーに聴かせる曲が魅力的なナンバー。良くも悪くもいつもの彼女といった感じで目新しさはありませんし、スタンダードナンバーにしても比較的「無難」にまとめあげている印象も。ただ、そのため安心に聴けるアルバムということは間違いありませんが。

評価:★★★★

NORAH JONES 過去の作品
THE FALL

...FEATURING NORAH JONES(ノラ・ジョーンズの自由時間)
LITTLE BROKEN HEARTS
COVERS(カヴァーズ~私のお気に入り)
foreverly(BILLIE JOE+NORAH)
DAY BREAKS
First Sessions
Begin Again
Pick Me Up Off The Floor
'Til We Meet Again

MONTERO/Lil Nas X

シングル「Old Town Road」がビルボードで19週連続の1位という史上最長となる記録を叩き出し大きな話題となったラッパー。一方で、同性愛者であることをカミングアウト。これは、「男らしさ」が誇張されるHIP HOPシーンの中で異例ともいうべき行為で、大きな話題となりました。本作はそんな話題のラッパーによるデビューアルバム。ただ、ラップ以上にメランコリックでメロディアスなポップがメインとなっており、HIP HOPリスナー問わずに楽しめそうな作品に。今時なトラップの要素を入れつつ、一方、ラテンやフォークなどの要素も感じられるなどバラエティーも豊富。確かにこれは売れそうだなぁ・・・とも感じさせる1枚でした。

評価:★★★★

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2021年11月27日 (土)

本格的な活動再開か?

METAFIVE"METALIVE 2021"

会場 KT Zepp Yokohama(オンライン) 日時 2021年11月20日(土)20:00~

今回紹介する参加したオンラインライブは、いろんな意味で「話題」のライブと言えるかもしれません。今年7月に開催された東京オリンピック。その開会式の音楽を巡り、コーネリアス小山田圭吾の、過去に行った「いじめ」発言が、大きな問題となりバッシングを受けました。その結果、小山田圭吾の音楽活動は停止を余儀なくされたほか、7月に行われる予定だったMETAFIVEのライブや、さらに8月に予定されていたMETAFIVEのアルバムも発売中止にまで追い込まれました。

今回のライブは、その中止となった7月のMETAFIVEのライブ当日に、ライブが行われる予定だったKT Zepp Yokohamaで行われた無観客ライブの模様を配信されたもの。さらに今回、発売中止となったアルバム「METAATEAM」がついてくる・・・ということもあり、参加してみることにしました。

時間になると、まずはおもむろにメンバーが登場。全員、青色のカッターシャツに紺色のパンツという姿でおそろいで登場。ちなみに高橋幸宏は病気療養中のため、GREAT3の白根賢一がドラムのサポートにはいっていました。まずは、はじめて聴く曲だったのですが、こちらは最新アルバム「METAATEAM」の1曲目「Full Metallisch」、2曲目「The Paramedics」だったようですが、これが予想以上にカッコいい。かなり力強いバンドサウンドで展開されており、彼らが意外に「ロックバンド」としての側面が強いんだな、ということも実感しました。また、アルバムの出来の良さもうかがわせます。

その後は「Musical Chairs」「Maisie's Avenue」「Gravetrippin'」と続くのですが、いずれも軽快なバンドサウンドで聴かせてくれます。特に「Gravetrippin'」では小山田圭吾のギタープレイがかなり前面に押し出されたナンバー。久しぶりに動く彼の姿を画面から見ました。7月ということでバッシング騒動の真っ最中の頃の映像なのですが、この日のプレイはそんな状況を感じさせないアグレッシブなプレイを聴かせてくれます。

続く「Luv U Tokyo」はその小山田圭吾のボーカルからスタート。彼のアップが映し出されるのですが・・・失礼ながら、ちょっと老けたかなぁ・・・とはいえ、思ったよりも元気そうで、ちょっと安心しました。さらに「Albore」「Peach Pie」「Disaster Baby」と続いていきます。特に「Disaster Baby」はかなり迫力ある演奏を聴かせるロックバンド然としたステージに惹きつけられるかと思いきや、続く「Whiteout」では一転、ちょっとジャジーな雰囲気も加味したメロウでエレクトロな楽曲となり、METAFIVEというバンドの音楽性の広さを感じさせる展開となっていました。

「TURN TURN」では再び小山田圭吾のボーカル曲に。彼の弾くギターサウンドにエレクトロのサウンドも重なる、METAFIVEらしさを感じさせるナンバー。同じくギターサウンドが軽快に鳴り響く、ニューウェーブ風な「Don't move」へとつなぎ、ラストは「環境と心理」は小山田圭吾のボーカルを聴かせてくれる曲。最後はメンバーがシルエットで映し出される中、小山田圭吾だけがこちらに深々とお辞儀をしたのが強く印象に残りつつ、ステージは幕を下ろしました。

ライブ自体は1時間強。METAFIVEのライブパフォーマンスについては今回、はじめて見たのですが、予想していた以上に「ロックバンド然」とした感じのステージで、モノトーン的なステージの雰囲気と合わさって、非常にカッコよさを感じさせました。そして、久しぶりに見た動く小山田圭吾には、感じるものもありました。

ライブ後の感想を見ると、小山田圭吾に対して否定的なものは一切なく、あれだけバッシングした人はどこに行ったんだ?という感も強くしました。しばらくはテレビなどでの活動は難しいとは思うのですが、そういう意味ではライブやCD音源などの活動は今後、問題なく行えそうな感じもするのですが・・・このライブ配信を機に、METAFIVEとしても小山田圭吾としても本格的な活動再開を願いたいところ。思った以上にカッコいいパフォーマンスに終始惹きつけられるステージでした。ちなみにCDの方は12月中に送付されるそうで、そちらも非常に楽しみです。

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2021年11月26日 (金)

「普通」でない今だからこそ

Title:WE GO
Musician:TOMOVSKY

新型コロナが流行りだし、世の中が大きく変貌してから、既に1年半以上が経過しようとしています。その中で、コロナ禍の前の「普通」は大きく変化してしまいました。友人とみんなで集まるのも難しくなり、満員のライブ会場というのもなくなりました。そんな「普通」が「普通」でなくなった中でも人々は営みをつづけ、なんとかやりくりしつつ、今を過ごしています。

ただ、もともとそんな世の中の「常識」に対して斜めから観察し、ユニークでシニカルな視点を描いていたTOMOVSKYにとっては、むしろこの「普通」ではない現在を描くことは、お手の物といった感じではないでしょうか。前作「LIFE RECORDERS」はコロナ禍から半年あまりでのリリースということもあり、あまりコロナ禍が反映された内容ではありませんでした。そして、その前作からわずか1年というスパンでリリースされた本作は、まさにコロナ禍を存分に発揮させた内容。コロナ禍を曲に読み込んだミュージシャンは少なくありませんが、これほどユニークな視点で、なおかつ冴えわたった歌詞を書きまくっているアルバムは本作くらいではないでしょうか。

まず非常にユニークなのはタイトルチューンの「WE GO」

「前みたいな日々に
前みたいなカンジに
戻りたいなんて
思ってないんだよ」
(「WE GO」より 作詞 大木知之)

個人的にはコロナウイルスごときで、前の日常が崩されてたまるか、と思っているだけに、この歌詞には最初、疑問も感じました。ただ、聴きすすめていくと

「せっかく休んだんだからさ
全然ちがう事しなきゃだよ」

と、いわゆるコロナ禍の中で言われる「ニューノーマル」とも異なる、これはこれで新たな一歩を進もうという非常に前向きな内容。最後まで聴けば、思わず「なるほど」と思わされる、TOMOVSKYらしい歌詞になっていました。

もともとTOMOVSKY自体、「現場は部屋。作業は単独。外に出るのは誰もいない真夜中早朝。アルコールは部屋飲みか散歩飲み。何十年もソーシャルディスタンスな生活を送ってきた男。」(コメントより)だったそうで、このコロナ禍も自然に受け止めたらしく、「世界が止まっているあいだ」もまさに「世界が止まっているあいだは/世界が近くなった気がした」と、この状況の中での心境を素直に吐露していますし、「いちいちコロナのせいにしない」と歌う「コロナ関係なし」「一番怖いのは生きてる人間」と身も蓋もない歌詞を披露する「いちばん怖いのは」などなど、今までのTOMOVSKYの中でも、もっとも素直な感情をそのままストレートに歌った歌詞が目立ちました。

ただ、そんな中でちょっとほろりとさせてくれるのが最後から2曲目の「無事で」という曲。「何をしてでも/何て言われても/キミは生きててね」とコロナ禍の中で苦しい状況の世相も反映したような、メッセージソング。「生活保護とか/遠慮せず/もぎ取ってるといい」と彼にしては珍しく、社会性ある歌詞まで登場するなど、今だからこそ伝えられる非常に強い、彼らしいメッセージと言えるでしょう。

さらにユニークなのはここでガラッと雰囲気が変わり、ラストの「52」では「52歳」と「ご自由に」を書けたユニークなメッセージ。52歳まで生きれれば自由に生きれるんだよ!と実体験を踏まえたのか、その前の「無事で」からつながる、ユニークながらも前向きでメッセージ性の強い曲になっていました。

楽曲の方は、いつもながらの宅録スタイル。ピアノを中心とした比較的シンプルなアレンジの曲が並びます。「オトナになりたい」ではThe Beatlesの「Hello Goodbye」を楽曲に組み込むというユニークな試みも。とにかく最初から最後までTOMOVSKYだからこその歌える、コロナ禍を彼なりの視点で描写した1枚。最初はコロナの中でのソーシャルディスタンスな現状を肯定しているかのような歌詞に若干違和感を覚えたのですが、最後はみんなが明るく笑顔になれる、そんなTOMOVSKY流コロナ禍の過ごし方を歌った傑作でした。

評価:★★★★★

TOMOVSKY 過去の作品
幻想
秒針
いい星じゃんか!
終わらない映画
BEST3
SHAAA!!!
FUJIMI
SHINJUKU TIME 2018-1
SHINJUKU TIME 2018-2
LIFE RECORDER

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2021年11月25日 (木)

アルバムチャートもジャニ系が1位2位

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

Hot100と同じく、Hot Albumsも1位2位にジャニーズ系男性アイドルグループが並びました。

まず1位には関ジャニ∞「8BEAT」がランクイン。CD販売数及びPCによるCD読取数で1位を獲得。途中ベスト盤を挟みつつ、オリジナルアルバムとしては約4年5ヶ月ぶりとなるニューアルバム。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上26万1千枚で1位初登場。直近のベスト盤「GR8EST」の30万5千枚(1位)よりダウン。またオリジナルアルバムとしての前作「ジャム」の32万7千枚(1位)よりもダウンしています。

2位にはV6のベスト盤「Very6 BEST」が先週の4位からランクアップ。2週ぶりのベスト3返り咲きとなりました。これで1位2位とジャニ系が並ぶ結果になっています。

3位は韓国の男性アイドルグループSEVENTEEN「Attacca」が先週の3位から同順位をキープし、今週もベスト3入りとなりました。

続いて4位以下の初登場盤です。4位にはAdele「30」がランクイン。CD販売数は10位、PCによるCD読取数は21位でしたが、ダウンロード数で1位を獲得し、総合順位で見事4位に食い込みました。Adeleはご存じの通り、2011年にリリースした前々作「21」が全米で1千万枚。前作「25」も900万枚を突破するなど、圧倒的な人気を誇るイギリスのシンガーソングライター。約6年ぶりとなる本作も、待ちに待たれた1枚となっています。ちなみに「30」というタイトルですが、彼女は現在33歳。どうも30歳の時に制作を開始したため、このタイトルになったようです。オリコンでは初動売上8千枚で5位初登場。前作「25」の1万2千枚(13位)よりダウン。ただ、前作リリース時とはストリーミングなどの状況が格段に変化した中では立派な初動売上でしょう。

8位には女性アイドルグループBiSHのアユニ・DによるソロプロジェクトPEDRO「後日改めて伺います」がランクイン。CD販売数6位、ダウンロード数16位、PCによるCD読取数22位。オリコンでは初動売上7千枚で6位初登場。前作「浪漫」(9位)から横バイ。

9位10位には、T.M.Revolution西川貴教と、アニソンを中心に手掛ける作曲家、志倉千代丸によるアニメキャラの男性アイドルプロジェクトB-PROJECTより「B with U(ブレイブver.)」「B with U(ダイコクver.)」がそれぞれランクイン。前者がCD販売数5位、後者が7位で、そのほかのチャートはランク圏外となっています。オリコンでは、両者をあわせた「SPECIAL BOX」が初動売上4千枚で10位初登場。前作で2枚同時リリースとなった「S級パラダイスBLACK」「S級パラダイスWHITE」の、それぞれ初動1万6千枚(5位)、1万4千枚(7位)からはダウンしています。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2021年11月24日 (水)

ジャニ系が1位2位を獲得する中、鬼滅人気も・・・

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週はまず1位2位とジャニーズ系が並びました。

まずはなにわ男子「初心LOVE」が先週に引き続き1位を獲得。PCによるCD読取数は2位となりましたが、PCによるCD読取数及びYou Tube再生回数で1位を獲得し、2週連続の1位となりました。一方、2位もジャニーズ系男性アイドルグループ。NEWS「未来へ」が初登場。日テレ系ドラマ「二月の勝者-絶対合格の教室-」テーマ曲。CD販売数は同作が1位を獲得したものの、PCによるCD読取数2位、ラジオオンエア数60位、Twitterつぶやき数10位で、You Tube再生回数はランク圏外。総合順位は2位となりました。オリコン週間シングルランキングでは初動売上13万2千枚で同作が1位を獲得。前作「BURN」の14万8千枚(1位)よりダウンしています。

3位にはLiSA「明け星」が先週の11位より、CDリリースに合わせてランクアップ。3週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。オリコンでは初動売上4万4千枚で4位初登場。前作「HADASHi NO STEP」の9千枚(5位)より大きくアップしています。本作はテレビアニメ「鬼滅の刃 無限列車編」のオープニングテーマ。CD売上の大幅増は鬼滅人気がまだまだ続いている証でしょう。CDでは本作と両A面扱いとなっているエンディングテーマ「白銀」も今週、4位初登場。ダウンロード数で1位を獲得したほか、ストリーミング数で75位、ラジオオンエア数29位、Twitterつぶやき数18位、You Tube再生回数18位を獲得。2曲同時ランクインとなり、鬼滅人気を見せつける結果となりました。ただ、これからどれだけロングヒットを獲得できるのかが、勝負とも言えるのでしょうが。

続いて4位以下の初登場曲ですが、初登場はあと1曲。6位にハロプロ系女性アイドルグループつばきファクトリー「涙のヒロイン降板劇」がランクイン。CD販売数3位、ダウンロード数20位、ラジオオンエア数22位、PCによるCD読取数19位、Twitterつぶやき数89位。オリコンでは初動売上5万8千枚で3位初登場。前作「断捨ISM」の3万6千枚(4位)からアップしています。

さて今週は、初登場3曲+ベスト10返り咲き1曲がランクインということもあり、ロングヒット系は軒並みランクダウンという結果となりました。まず長らくロングヒットを続けてきた優里「ドライフラワー」は5位から8位にダウンしています。これでベスト10ヒットは53週連続。ただ、ストリーミング数は先週から変わらず4位、カラオケ歌唱回数も40週連続の1位となっており、まだ巻き返しの可能性はありそう。ちなみに「ベテルギウス」は4位からワンランクダウンの5位。こちらもストリーミング数で1位をキープしています。

さらにback number「水平線」は6位から10位にダウン。これで14週連続のベスト10ヒットとなりましたが、後がなくなりました。ただこちらも、ストリーミング数が先週の3位から2位にアップするなど、来週以降の巻き返しの可能性も高そうです。

そして今週、BTS「Butter」が11位にランクダウン。ベスト10ヒットは連続26週でストップしました。さらに今週「Permission to Dance」「Dynamite」の巻き返しもなく、ついにBTSが昨年の9月2日付チャートで「Dynamite」がベスト10入りして以来、約1年3ヶ月ぶりにベスト10から姿を消す結果となりました。

Official髭男dism「Cry Baby」も10位から12位にダウン。こちらもベスト10ヒットは通算21週でとりあえずストップ。ただBTS「Butter」もストリーミング数6位、ヒゲダン「Cry Baby」もストリーミング数5位と上位にランクインしており、来週以降のベスト10返り咲きの可能性もありそうです。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2021年11月23日 (火)

日本人にはなじみのないミュージシャンがメインだが・・・

Title:Home In The World: Woody Guthrie's Dustbowl Ballads

今回紹介するアルバムは、様々なミュージシャンが1枚のアルバムをカバーした、というトリビュート的なカバーアルバム。元となったアルバムは、ボブ・ディランに大きな影響を与えたといわれ、アメリカのフォーク・ミュージックの父ともいわれるウディ・ガスリーが1940年にリリースしたアルバム「ダストボウル・バラッズ」。SP3枚組となった本作は、彼にとって唯一のアルバムであり代表作だそうですが、今でも名作として知られています。本作は、そんなアルバムを2021年にグラミー賞を受賞したプロデューサーのランドール・ポスターがカバーを企画。様々なミュージシャンたちが参加したカバーアルバムとなっています。

さて、本作が紹介されているサイトで紹介している、本作に参加している豪華なミュージシャンたちの名前は・・・リー・アン・ウォマック、ジョン・ポール・ホワイト、マーク・ラネガン、リリー・メイ、シャベルス&ロープ、クリス・シール、コルター・ウォール、ワトキンス・ファミリー・アワー・・・・・・すいません、全然知りません(^^;;基本的にフォーク、カントリー、ブルーグラス系のミュージシャンがメイン。アメリカでは一定以上の知名度を上げている豪華ミュージシャン勢ですが、残念ながら日本での知名度はほとんどありません。

ただ、日本人にはとっつきにくいカントリー系のアルバムかな、と思って聴き始めたのですが、これがなかなか聴いていて楽しめる、興味深いアルバムに仕上がっていました。

基本的にはやはりフォーク、カントリー系の楽曲がメインとなるのですが、ただそんなイメージの中、ミュージシャンそれぞれ自らの個性を出しつつ、バラエティー富んだ作風の曲を聴かせてくれています。冒頭のシャベルス&ロープ(すごい名前だな・・・)が歌う「Dust Bowl Blues」はアコギ1本でブルースの作品に仕上げていますし、かと思えば続く「 I Ain't Got No Home In This World Anymore」は日本人にも耳なじみありそうな、70年代フォークを彷彿とさせる作品になっています。

続く「Blowin' Down This Road」は初期ボブ・ディランに通じるようなフォークソングですし、さらに「Pretty Boy Floyd」も郷愁感あふれるフォークソングに仕上がっています。一方、以前、当サイトでもアルバムを取り上げたことがある女性シンガーソングライターWaxahatcheeによる「Talking Dust Bowl Blues」はタイトルの通り、ポエトリーリーディングの作品になっており、アルバムの中では一風変わった展開となっています。

さらにブルーグラスのミュージシャン、クリス・シールによる「Tom Joad,Pt.1」はバンジョーをかき鳴らしつつ軽快に歌い上げるナンバーで、おそらく日本人にとって典型的なカントリーとなっています。一方、同じ曲をリリー・メイがカバーした「Tom Joad,Pt.2」はキュートな彼女のボーカルもあって、爽やかなポップ色も強い作品に。この2曲の聴き比べも楽しいところです。

後半も、Swamp Doggによる「Dust Bowl Refugee」は哀愁感たっぷりに歌い上げる70年代風のハードロック風な作品になっていますし、マーク・ラナガンの「Dust Pneumonia Blues」はギターを爪弾きながら力強いバンドサウンドを聴かせるブルースロック風の楽曲に。ロックな作品もしっかりと聴かせてくれます。

そんな訳でフォーク、カントリー系のミュージシャンがメインとはいえ、しっかりとバリエーションを感じられる幅の広さ、懐の深さも感じられました。参加ミュージシャンもフォーク、カントリー系のミュージシャンばかりで日本人にとっては馴染みの薄いミュージシャンがメインですが、ただ、楽曲的には日本人にとってもしっかりと楽しめる作品になっていたと思います。ちょっと渋い1枚ですが、アメリカポップミュージックの源流のひとつということで興味を持たれた方は要チェックの1枚です。

評価:★★★★★

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2021年11月22日 (月)

今なお挑戦心盛ん

Title:BLESSING AND MIRACLES
Musician:SANTANA

結成から50年以上が経過し、すっかり「レジェンド」と呼ばれるバンドのひとつとなっているロックバンドSANTANA。通常、このレベルに達している多くのベテランバンドは、たま~にアルバムをリリースする程度となり積極的な活動を見せませんし、そのたまにリリースされるアルバムも、昔のファンにアピールできるような「大いなるマンネリ」的な作品がほとんど。グループとしてほとんど隠居状態となっているのがほとんどです。

しかしここに至ってSANTANAは、バンドとして「隠居」するような雰囲気は一切見せていません。前作「Africa Speaks」もアフリカ音楽の要素を積極的に取り入れた非常に挑戦的な作品になっていました。さらに今回のアルバムも、その「Africa Speaks」からわずか2年というインターバルでリリースされており、彼らのような「レジェンド」クラスのミュージシャンとしては異例というほど短いスパンでの新作リリースとなっています。

今回のアルバムも現役感バリバリのかなり挑戦的な作品に仕上がっています。オープニング的な曲を挟んで事実上の1曲目「Santana Celebration」は軽快でラテンなパーカッションをバックにSANTANAが哀愁感たっぷりのギターを聴かせるという、王道的な楽曲からスタートするのですが、続く「Rumbalero」は息子であるサルバドール・サンタナが参加した作品なのですが、エレクトロなサウンドを取り入れた作風に。さらになんと、プロコル・ハルムの「Whinter Shade Of Pale」をカバー。スティーヴ・ウィンウッドがボーカルで参加している、かなり豪華なコラボなのですが、ラテン色を強く取り入れた彼ららしいカバーに仕上げてきています。

さらに「She's Fire」ではダイアン・ウォーレンのメランコリックな歌声にラッパーのG-Eazyもフューチャー。トラックもHIP HOPテイストを取り入れた作風にチャレンジとかなり挑戦的な作風を聴かせてくれます。

後半は一転、ロックバンドLiving Colorのボーカリスト、コリー・グローヴァーを迎えた「Peace Power」はヘヴィーなギターリフを聴かせるハードロックなナンバー。さらに「America For Sale」ではメタル風な作品に仕上げてくるなど、ヘヴィーな路線へと一気にシフトします。しかし、このバラエティー富んだ展開はまだまだ止まりません。ブルースロック風の「Mother Yes」や哀愁感たっぷりのフュージョン風のギターインストナンバー「Song For Cindy」を挟んで「Angle Chori/All Together」では、先日亡くなったジャズ・ピアニストのチック・コリアとのコラボ。エレクトリックピアノとギターサウンドの絡みにラテンのリズムが加わるあたり、SANTANAらしいコラボに仕上げています。

さらにラスト「Ghost Of Future Pull II」ではジャジーなリズムを聴かせてくれるなど、最後の最後までバラエティー富んだ展開。ハードロックからメタル、ブルースロックにジャズ、さらにはHIP HOPにまで挑戦する意欲的なスタイルに、結成から50年以上も経て、まだまだ一線で活躍を続けるロックバンドなんだ、ということを強くアピールされたようなアルバムに仕上がっていました。

そしてこれだけバラエティー富んだ展開だと、逆にアルバム全体がバラバラになってしまう危険性もありますが、SANTANAの場合、ご存じ、カルロス・サンタナの哀愁感たっぷりのギターサウンドがアルバム全体に流れており、しっかりと統一感を出しています。このギターサウンドは、ある意味、昔ながらの「ベタ」とも言えるプレイで、ここらへんは昔からのファンにとっても安心して聴ける内容になっていますし、逆に「ベタ」なギターサウンドが流れておりファンとしては安心して聴けるからこそ、それ以外の部分で挑戦が出来る、と言えるのかもしれません。

「レジェンド」の域に達しても、まだ全く隠居する気もゼロ。現役のバンドとしてあくなき挑戦を続けるSANTANAは、あらためてすごいバンドだなぁ、と感じました。よく考えたら、彼らの大ヒット作でグラミー賞も独占した「Supernatural」も結成から30年以上が経過した1999年の作品ですしね。あらためて、SANTANAのすごさを感じさせてくれる作品でした。

評価:★★★★★

Santana 過去の作品
Guitar Heaven:The Greatest Guitar Classics Of All Time
POWER OF PEACE(THE ISLEY BROTHERS & SANTANA)
Africa Speaks


ほかに聴いたアルバム

Demodelica/Primal Scream

1991年に発売され、ロック史に残る名盤としても名高い、Primal Screamの「Screamadelica」。本作は、その発売30周年を記念してリリースされた、未発表デモ音源とミックス音源を収録されたアルバムです。「Screamadelica」の原型らしい、比較的シンプルなアレンジでの楽曲が収録されており、まさに「生まれたて」といった感のあるデモ音源。完成形との聴き比べも楽しいですが、シンプルなデモの段階で既に独特なグルーヴ感は感じられ、楽曲としての強度の強さを感じされます。「Screamadelica」を愛聴する方なら間違いなくチェックしておきたい作品です。

評価:★★★★

primal scream 過去の作品
Beautiful Future
Screamadelica 20th Anniversary Edition
More Light
Chaosmosis
Give Out But Don't Give Up:The Original Memphis Recordings
MAXIMUM ROCK ‘N’ ROLL: THE SINGLES

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2021年11月21日 (日)

隔靴掻痒な1冊

本日は、最近読んだ音楽関連の書籍の紹介です。

昨年、覚せい剤保持でつかまり活動休止となったものの、今年10月にアルバム「宜候」で活動を再開した槇原敬之。本作は、そのアルバムリリースと同時に発売された、彼の活動を追ったノンフィクション作品。音楽評論家の小貫信昭による著作となります。

デビュー前夜からアルバム「宜候」リリースに至るまでの彼の活動を、彼が書いた楽曲に沿って追いかけた構成になっており、各章、その時々の彼の活動の「キー」となるような曲のタイトルが付されており、その曲を含めて、その時期を象徴するような曲の歌詞も収録されています。曲自体はもちろんのこと、歌詞も重要なキーワードとなるのは槇原敬之らしいといった感じも受けます。

この中でやはり非常に興味深かったのはデビューから、彼の初期の活動の推移。ちょうど私が中学生の頃から高校、大学に至るまでの槇原敬之の活動でしょう。断片的には聴いたことある話だったのですが、彼のデビュー前からデビューに至る話は非常に興味深く楽しめました。リアルタイムで彼のブレイク直後を知っている身としては、あの頃の槇原敬之といえば、まさに「そこらへんにいる浪人生」を地で行くような風貌で、その普通すぎるいで立ちが印象に残っていました。

ただこのノンフィクションを読むと、希代のメロディーメイカーとしての彼の才能はもちろんのこと、音楽に関する情熱やその行動力についても、デビューに至るまでのその活動は、やはり常人とは異なる部分を感じさせます。やはりミュージシャンとして成功をおさめる人というのは、風貌がどんな「普通」であろうと、常人とは異質な部分があるんだな、ということをあらためて感じました。

また、デビュー後の彼の活動については、私が中学生から大学生までリアルタイムで追っていったのですが、その当時は私自身、ポピュラーミュージックに対する知識が乏しく、なぜ彼がこのような曲を作るのか、その意味するところがわからなかったことが多々ありました。しかしこの本で、当時感じていた疑問の「答え合わせ」が出来たように思います。特に印象深かったのが、異質で、リリース当初はファンとして少々戸惑いも感じてしまった1996年の、彼の全英語詞のアルバム「Ver.1.0E LOVE LETTER FROM THE DIGITAL COWBOY」に関するエピソード。洋楽を聴いていて「ラップやヒップホップが全盛になりつつあった。メロディーというものが、すぽっと消えてしまった気がした。」という危機感から作成されたアルバムだったそうです。ただ、当時、日本ではまだまだHIP HOPがほとんど浸透していないような状況でしたし、そんな中でこういうアルバムがファンの間で若干戸惑いを持って受け入れられたのは仕方なかったのかな、という感じもします。ある意味、少々「時代を先取りしすぎた」感のあるアルバムだったのでしょう。

そんな特に前半に関しては非常に興味深く読むことが出来た本書でしたが、正直言うと、最後まで読むとタイトルのとおり、隔靴掻痒、つまり槇原敬之に関して特に知りたいことがほとんど触れられておらず、かなりもどかしい思いをした著作になっていました。

槇原敬之に関して知りたいこと・・・というとある程度想像はつくかと思います。そう、彼が「同性愛者」だという事実と、なぜ2度にわたり覚せい剤の使用という犯罪を犯してしまったか、という事実。どちらも彼の活動に大きな影響を与えている点だと思います。どちらも軽くは触れられているのですが、残念ながらほとんどスルーしてしまっており、深く触れられていません。

もちろん「同性愛者」であるという点は、あくまでも彼のプライベイトな部分であり、第三者である著者が、本人が語りたいかどうかという意思を無視して安易に語ることは出来ない素材でしょう。そういう意味では仕方なかったのかもしれません。一方、覚せい剤の件については、やはり活動を再開するにあたって、しっかりと語られるべき話だと思いますし、著作の中でほとんどなかったかのように(特に2回目については)さらっと書いているだけの構成についてはかなり疑問です。特に1回目の逮捕以降、「ライフソング」という、本書いわく「仏教の思想に影響を受けた」のような即物的な価値観にとらわれない、本質的に大切なものを語るような曲を数多く書きながら、なぜ本人は「覚せい剤」というもっとも即物的な快楽におぼれたのか・・・この彼の「行動」と「楽曲」の大きな矛盾について全く触れていないというのは、「評論」としては完全に片手落ちと言えるでしょう。

もっとも、「ぴあ」という音楽業界ど真ん中の会社から発行された「音楽評論家」という音楽業界のど真ん中で飯を食っている人の著作としては、覚せい剤犯罪という話にもなかなか突っ込めなかったのでしょう。ただ、本当は活動再開の第1弾の「禊」として、語ってもらわなくてはいけないこの段階ですら、この犯罪についてほとんど突っ込めなかったとしたら、もうそれは「評論」家とは言えないのでは?

そして残念ながら槇原敬之の言葉の中でも非常に気になる部分がありました。それは2度目の逮捕を受けた時の心境として「その当時はもうすでに薬もぜんぜんやっていなかったし、そのなかでの逮捕となったので、自分の心が自分のことをいちばんわかっていた」という一文。でも、覚せい剤でつかまった人って、大抵「自分のことはよくわかっている。もうやめられる」って言うんですよね。彼の場合、1回目から2回目までスパンがあるだけに「中毒」ではないと思うのですが、ただ、1回目の逮捕ならともかく、2回目の逮捕でこういう心持ってかなり危険で、若干「本当に反省しているの?」とすら思ったりしています。ファンとしては非常に残念なのですが、この発言からすると、3回目があっても不思議ではないかも・・・と感じてすらしまいました。

前半については非常に興味深く楽しめた部分はありつつも、ある程度予想はしていたとはいえ、かゆいところに手が届いていない、非常にもどかしさを感じる1冊でした。ただ、槇原敬之の気になる部分について深く突っ込むためには、音楽業界とは直接関係のないノンフィクションライターが、例えば文春あたりの音楽業界とはちょっと離れた出版社で書くしかないんだろうなぁ。正直、槇原敬之のその音楽活動を駆り立てるような本質の部分ももっと知りたかった・・・そう感じてしまった著作でした。

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2021年11月20日 (土)

かなりバラエティーに富んだ作風

Title:The Atlas Underground Fire
Musician:Tom Morello

ご存じRAGE AGAINST THE MACHINEのトム・モレロによるソロアルバム。2018年にリリースされたソロアルバム「The Atlas Underground」の続編とも言えるアルバムで、このコロナ禍の中で作成された作品。特にロックダウンの間はエンジニアとのやり取りが出来ず、すべてのギターパートを携帯のヴォイス・メモをつかって録音したのだとか。ただ、それが逆にギター・パートを考えすぎることなく、本能を信じて作品をつくることにつながったそうです。

今回のアルバムはかなり豪華なゲストが多数参加している点が大きな特徴。全12曲中、1曲目「Harlem Hellfighter」以外はすべてゲストが参加したアルバムになっています。特に大きな注目を集めているのが「Highway to Hell」。あのAC/DCのカバーなのですが、ゲストにブルース・スプリングスティーンとパール・ジャムのエディ・ヴェダーという豪華なメンバーが参加した作品。エディーのシャウトにボスの熱唱も非常に力強く、ヘヴィーなギターリフも非常にかっこよく、これぞロック!というようなナンバーに、ロックリスナーならおもわずにんまりするような作品だったのではないでしょうか。

続く「Let's Get The Party Started」もRATMを彷彿とさせるようなヘヴィーなギターリフにボーカルのシャウトがのったミクスチャーロックの楽曲。本作はBring Me To The Horizonがフューチャーされているのですが、若々しさを感じさせるナンバーです。もっとも、Bring Me To The Horizon自体は、そろそろ中堅の域に入ってくるようなバンドですが・・・。

その後も「Save Our Souls」のようなヘヴィーなギターリフを聴かせるナンバーも多いのですが、一方、多彩なゲスト勢に合わせ、非常にバリエーション富んだ内容になっているのが本作の特徴。カントリーミュージシャンのクリス・ステイプルトンをゲストに迎えた「The War Inside」はカントリー風のメロディーラインのバックに、泣きのギターサウンドを聴かせてくれますし、Mike Posnerがゲストで参加した「Naraka」では伸びやかな彼の歌に、トラップ風のリズムも。ダミアン・マーリーが参加した「The Achilles List」もRATM風のミクスチャーのナンバーなのですが、こちらはレゲエの要素も強く、さらに「Charmed I'm Sure」ではデジタルロックの要素も強く感じます。

一方で、ヘヴィーなギターリフが目立ちつつも、アルバム全体としては「ポップ」というイメージも強く残る作品で、「Driving to Texas」は女性ボーカルのポップチューンでギターはほとんど目立ちませんし、「Night Witch」も女性ボーカルでポップ色が強く、聴いていて、「あれ?違うアルバムを再生しちゃったかな?」と思うほどでした。

このバラバラさはある意味ソロらしいとも言えますし、いろんな音楽に挑戦する姿勢も強く感じます。正直、このアルバムの前編とも言える「The Atlas Underground」はEDMの要素を無理に入れようとした結果、非常に中途半端な作品になっていました。今回のアルバムに関しては、トムのギターをいかした、RATMを彷彿とさせるようなカッコいい作品も少なくなく、グッと良くなったのは間違いありません。

ただ、全体的には良くも悪くもバラバラという感は否めず、ちょっと方向性がちぐはぐで、いまひとつ印象が薄くなってしまった作品でもあったように感じました。まあ、バラバラなのは意図的という感もしますし、彼がやりたいように演ったソロアルバムということで仕方ないのかもしれませんが・・・。ちょっと残念にも感じました。

ちなみにこのアルバム、ちょっと気になることがあるのですが、冒頭の「Harlem Hellfighter」。女性ボーカルらしき声が入るのですが、この歌が日本語っぽいんですが、でも日本語の意味は聴き取れません。そもそもボーカルは誰??メロディーラインも完全にJ-POPといった感じで、気になります。調べても不明だったのですが・・・。

評価:★★★★

Tom Morello 過去の作品
The Atlas Underground

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2021年11月19日 (金)

秦基博の魅力を感じる

Title:BEST OF GREEN MIND 2021
Musician:秦基博

3月に弾き語りベストアルバム「evergreen2」をリリースした秦基博。本作はそれに続く弾き語りTOUR「GREEN MIND 2021」の中からベストアクトをセレクトしたライブベストアルバム。2010年には「BEST OF GREEN MIND '09」がリリースされていますので、それに続く・・・と言いたいのですが、「'09」は純粋な録音音源に対して本作はライブ音源という違いがあります。

これは、以前にリリースされたベスト盤でのレビューでも書いたのですが、秦基博というミュージシャンは良くも悪くも非常にシンプルなポップミュージシャンというのが大きな特徴です。サウンド的に決して目新しいことや斬新なことをするようなミュージシャンではありませんし、じゃあメロディーラインに関して、特段大きな特徴があるのか、と問われると、圧倒的な美メロといった感じでも、ユニークな凝ったメロを書くミュージシャンという訳でもありません。

この、ただただシンプルなポップスを愚直に書き続けるというのが秦基博の大きな特徴なのですが、それゆえにアルバム単位ではインパクトが薄くなってしまうという転も気になる点でした。しかし、ベスト盤で彼の代表曲をまとめて聴くと、確かに優れたポップミュージシャンだな、と感じます。

なによりも彼の魅力が最も現れているように弾き語りアルバム。シンプルなポップソングを書く彼だからこそ、変に分厚いバンドサウンドよりも、シンプルな弾き語りの方がマッチしています。ただ、このライブアルバムの前提となる弾き語りベスト「evergreen2」はメロディーラインのインパクトも薄く、最後は若干ダレてしまうアルバムになっていました。

それだけに今回のライブアルバムについてもちょっと心配はしていたのですが、聴き始めるとそんな不安は完全に払しょくされました。オープニングを挟み冒頭の「僕らをつなぐもの」「Sally」がまずは非常に素晴らしい楽曲が並びます。シンプルなアコギで聴かせる曲なのですが、胸がキュンと来るような切ないメロディーラインが大きな特徴となっており、あらためて彼の魅力を感じることが出来ます。

その後も「やわらかな午後に遅い朝食を」「恋の奴隷」など、アコギ1本でしんみりと聴かせます。ドラムや打ち込みのリズムが入ったり、エレキギターで聴かせる曲もあるのですが、やはり全体的にはアコースティックギターでしんみりと聴かせる作品が魅力的。アコギのみだからこそ感じられる会場のスケールや、あるいはライブ会場の緊迫も、楽曲のちょうどよいアクセントになっていたように感じました。

こうやって曲を並べると、確かに比較的昔の曲の方が魅力的・・・という部分もあるのですが、「告白」「さよならくちびる」など比較的最近の曲でも魅力的な曲はありますのでご安心を。秦基博のメロディーメイカーとしての実力が、決して衰えたわけではないということを感じさせてくれる部分でもありました。

「evergreen2」はさほどはまれなかったのに、このライブ盤がこれだけ魅力的だった、というのはちょっと不思議でもあるのですが、昔の曲も収録されていた点と、やはりライブならではの緊迫感がいい影響を与えた点も大きかったように感じます。あらためてポップミュージシャン秦基博の実力を感じさせてくれるアルバムでした。

評価:★★★★★

秦基博 過去の作品
コントラスト
ALRIGHT
BEST OF GREEN MIND '09
Documentary
Signed POP
ひとみみぼれ
evergreen
青の光景
All Time Best ハタモトヒロ
コペルニクス
evergreen2

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