2017年4月23日 (日)

若々しさすら感じらせる最新作

Title:NOOK IN THE BRAIN
Musician:the pillows

相変わらず精力的な活動を続けるthe pillows。前作はキングレコードへの移籍ということもあり1年半というインターバルがありましたがその反動か本作は前作からわずか11ヵ月という短いスパンでのリリースとなりました。

前作では長年サポートベーシストとして参加していた鈴木淳が離れ、数人のベーシストがゲストとして参加していましたが本作はサポートベーシストをVOLA&THE ORIENTAL MACHINEの有江嘉典が全面的に参加しています。今後は彼に固定されていくのでしょうか。

さてそんな短いスパンとなったニューアルバム。非常に軽やかでポップ。the pillowsらしいともいえる王道のオルタナ系ギターロックに仕上がっています。前作「STROLL AND ROLL」ではギターのへヴィネスさが増したような作品を聴かせてくれていましたが今回のギターはとても軽やか。疾走感あるギターロックは勢いすら感じられます。

彼ららしいということでうれしくなるのは2曲目の「王様になれ」。ギターリフがthe pillowsっぽい・・・というよりも彼らが大きな影響を受けたPIXIESそのまんまなギターリフがうれしくなってきちゃいます。

ただそんな彼ららしいといえるアルバムなのですが歌詞については前作に引き続きちょっと変化を感じられます。例えば「王様になれ」では

「脳細胞の支配下で世界を創れ
王様になれ」

(「王様になれ」より 作詞 山中さわお)

と彼らしい独特な表現での「応援歌的」な歌詞になっています。4曲目「パーフェクトアイディア」も同じく軽快なギターのオルタナ系ロックなのですが

「眠れる森のキミを連れ出したい
魔法使いも科学者も丸め込んで
暴れてみようぜ」

(「パーフェクト・アイディア」より 作詞 山中さわお)

と非常に前向きを感じさせるような歌詞になっていました。

そんな歌詞にひっぱられてかアルバム全体に明るさを感じさせる本作。中盤「She looks like new-born baby」「pulse」でちょっと雰囲気は変わるものの終始一貫、ポップで勢いのあるギターロックが続きます。ある意味、いつも通りの彼らで大いなるマンネリと言えなくもないのですが、ただアルバム全体としてはマンネリどころか新鮮さ、ある種の若々しさすら感じさせます。後半の「BE WILD」などCMソングに起用されるだけありポップな作風が耳に残る作品なのですが、若手バンドのような初々しさすら感じる疾走感ある楽曲に仕上がっていました。

これはひょっとしたらサポートベーシストがかわりバンドとして雰囲気がちょっと変わった影響なのかもしれません。それによりバンドに新しい空気が入って来たのかも。以前からベテランとしては信じられないほどの若々しさを保っていた彼らですが今回のアルバムではよりバンドとしての新鮮さを感じます。ポップなギターロックで勢いを感じさせた作品でした。

評価:★★★★★

the pillows 過去の作品
LOSTMAN GO TO YESTERDAY
PIED PIPER
Once upon a time in the pillows
Rock stock&too smoking the pillows

OOPARTS
HORN AGAIN
トライアル
ムーンダスト
Across the metropolis
STROLL AND ROLL


ほかに聴いたアルバム

CHANCE/HY

途中、BIGMAMAとのコラボアルバムもあったものの単独名義のオリジナルとしては1年8カ月ぶりとなる作品。爽快で明るい彼ららしいいつも通りのJ-POPチューン。良くも悪くもベタなメロディーラインでそれなりにインパクトはあるものの平凡。ただ、本作では「ロックスター」「三月の陽炎」などおもしろさを感じる曲がところどころ入っていたりするのでついつい毎作聴いてしまうのですが。

評価:★★★

HY 過去の作品
Whistle
PARADE
Route29
HY SUPER BEST
GLOCAL

LOVER
Synchronicity(HY+BIGMAMA)

FREEDOMOSH/KEMURI

2012年の再結成後はコンスタントにアルバムをリリースしてきた彼らでしたがここに来てちょっとスパンがあり約1年8ヶ月ぶりとなるニューアルバム。ただ基本的にはいつも通りの彼ら。ギターサウンドにアップテンポで軽快なリズム。ある意味「大いなるマンネリ」的なワンパターンな楽曲ですが、ライブで盛り上がりそうな楽しめる楽曲が並んでいます。

評価:★★★★

KEMURI 過去の作品
ALIVE Live Tracks from The Last Tour "our PMA 1995-2007"
RAMPANT
SKA BRAVO
F

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2017年4月22日 (土)

今だからこそ思うことも

Title:19972016
Musician:BOOM BOOM SATELLITES

1997年、テクノの名門レーベルR&Sレコーズからデビュー。ヨーロッパのメロディーメイカー誌に「ケミカル・ブラザーズ、プロディジー以来の衝撃」と称されて日本でも大きな話題となった2人組ロックデゥオ。その後、日本でも絶大な人気を得るに至りました。

しかしボーカル川島道行はデビュー直後に脳腫瘍を発症。その後、何度かの再発に悩まされながらその都度乗り越えてきたのですが、2015年の再発以降、体調が悪化。昨年リリースされた「LAY YOUR HANDS ON ME」が彼らにとって最後の作品となってしまいました。そして昨年10月、わずか47歳という若さで逝去。その人生に幕を下ろしました。

本作は19年に及びBOOM BOOM SATELLITESの活動を総括するベストアルバム。2010年にリリースされた「19972007」のリマスター盤に、その後の楽曲を集めた「20082016」の2枚組を加え、さらに彼らのライブをドキュメンタリー的に総括的に収録したライブDVDがついた全5枚組という内容となっています。

さて、今回のベスト盤にあたって「別冊カドカワ」から発刊された「BOOM BOOM SATELLITES」の総力特集号を読みながら聴いてみました。

彼らから影響を受けたミュージシャンや関係者、そして最後はメンバー中野雅之によるインタビューからBOOM BOOM SATELLITESとはどんなバンドだったか、ということに迫った一冊。バンド活動が終わった今だからこそ語れる話なども多く、非常に読み応えのある内容に仕上がっていました。

この本の中でもあらためて語られているのですが川島道行が脳腫瘍を最初に発症したのがR&Sからデビューが決まった直後。BOOM BOOM SATELLITESの活動の軌跡は川島の病気との争いの軌跡でもあり、彼の病気もまたバンドの音楽性に大きく影響を与えていたことを、よくよく考えれば当たり前の話なのですが、この本でも述べられています。

そういう観点からベスト盤を聴いてみると、いろいろと感じる部分があります。デビュー当初のビックビート的なテクノとロックを融合させたダイナミックな作風から徐々にジャズなどの要素を加えた内省的な楽曲へとシフトしていくのですが、「別冊カドカワ」でも語られているようにこれもまた川島の病気が影響していることもわかります。

特に「19972007」と「20082016」での差は大きく、ロックサウンドのダイナミックにサウンドをベースに様々な挑戦心を感じさせる「19972007」に対して、「20082016」はエレクトロサウンドを中心としてもっと落ち着いた内省的な色合いが強い作風になっています。

また今回のベスト盤を聴いてひとつ感じたことがありました。これは特に「別冊カドカワ」の中でも語られていませんし、私の印象論に過ぎない部分があるのですが・・・「19972007」がアルバム全体としてひとつの流れになっているように感じたのに対して「20082016」は1曲1曲がひとつのドラマのように完結している、そんな印象を受けました。それは1つ1つの曲に関して完成度があがり、1曲で彼らがやりたいことがすべて詰め込まれるようになった結果かもしれません。そのためアルバムとしてもひとつの流れにようなものはあまり感じず、1曲1曲がそれぞれ強い個性を放ち展開していっているという印象を受けました。

これはあくまでも私の印象ですが、バンド活動後期の彼らは、川島の病気もあり、より一層、1曲1曲に悔いのないよう全力で取り組んできたためかもしれないなぁ・・・ということを漠然と感じました。もちろん、この推測は全く誤りかもしれません。また川島の病気よりも、音に対して完全主義的な強いこだわりを持っている中野雅之の曲に対するこだわりが後期になってより強くなった影響もあるのかもしれません。ただ今回、バンド活動を総括して振り返ることにより、BOOM BOOM SATELLITESがどのような軌跡をたどって来たか、バンドが今だからこそ感じることが少なくない、そんなベスト盤になっていました。

DVDの方はドキュメンタリー色が強い内容で、ライブをじっくり見せるというよりもライブを通じたバンドの歩みを紹介するような内容になっています。映像には最後の告知の前日に行われたフジロックの最後のステージの模様や(こちらも「別冊カドカワ」を読んでから見ると、胸に来るものがあります)、最後のライブとなってしまった「WILD BUNCH FEST. 2015」の映像も収録されており、心うたれる展開になっています。

また最後に「別冊カドカワ」の方の感想も追加で。様々な方のインタビューがのっていて非常にボリュームある内容だったのですが、ひとつ不満があるとすれば、影響を受けたミュージシャンのインタビューよりももっと関係者のインタビューにページを割いてほしかったかな、という点。ミュージシャンへのインタビューでは、「そんなに関係しているの?」という人もいたりして、それならもっと関係者へのインタビューを厚く聴きたかったな、と思ってしまいました。

ただ最後の中野雅之のインタビューはファンなら必読。最後の中野にとってのBBSでの「最高の瞬間」という質問に対する答えは感涙モノです。これに限らずベスト盤を聴く上でぜひとも読んでおきたい内容の連続で、ファンなら絶対に読んでおきたい満足度の高い一冊でした。ムック本なので書店にはもう並んでいないかもしれませんが・・・Kindle版はネットで簡単に読むことが出来ますので、今からでも是非!

評価:★★★★★

BOOM BOOM SATELLITES 過去の作品
EXPOSED
19972007
TO THE LOVELESS
EXPERIENCED
REMIXED
EMBRACE
EXPERIENCEDII
SHINE LIKE A BILLION SUNS
LAY YOUR HANDS ON ME


ほかに聴いたアルバム

UNOFFICIAL/THE ORAL CIGARETTES

本作で初のオリコンアルバムチャートベスト3入りを記録するなど人気上昇中のロックバンド。ただ楽曲的にはよくありがちなポップなメロのJ-POP路線でボーカルの歌い方もどこか耽美的でヴィジュアル系の典型例といった雰囲気もあるバンドになっています。それでも前作はインパクトあるメロディーラインにおもしろさを感じたのですが本作はこれといって引っかかりを覚えるようなメロディーもなく厳しい展開に。平凡なポップバンドといった印象でおもしろみは感じられませんでした。

評価:★★★

THE ORAL CIGARETTES 過去の作品
FIXION

もうすぐ着くから待っててね/クリープハイプ

クリープハイプの新作は5曲入りの、事実上のEP盤。ただ彼ら曰く「作品集」らしく、シングルとアルバムの中間に位置する作品ということでしょうか。基本的にギターロックメインの中、「ただ」は情熱的だけどちょっと理屈っぽいラブソングが彼ららしい作品。「陽」は女性視点の心象的で文学的な歌詞が魅力的な楽曲でホーンやギターがちょっとソウル風なのも耳に残ります。ラストは「陽」のKANA-BOON谷口鮪とのデゥオバージョンなので事実上楽曲は4曲。クリープハイプらしいちょっと理屈っぽい感じの歌詞は気になるのですが、ただ短い中に彼らの魅力がしっかりと入った作品になっていました。

評価:★★★★★

クリープハイプ 過去の作品
吹き零れる程のI、哀、愛
クリープハイプ名作選
一つになれないなら、せめて二つだけでいよう
世界観

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2017年4月21日 (金)

ソロ2作品の共通項と相違点

本日はほぼ同時期にリリースされたB'zの2人によるソロアルバム2作品を紹介。どちらも海外のミュージシャンとのコラボ作となっており、対比的な作品となっています。

Title:CHUBBY GROOVE
Musician:INABA/SALAS

Title:Electric Island,Acoustic Sea
Musician:Tak Matsumoto&Daniel Ho

このB'zメンバーによるソロアルバム2作。共通項としてはどちらも海外のミュージシャンとのコラボ作となっているという点。稲葉浩志はアメリカのギタリストでミックジャガーやロッドスチュワートとのセッションも経験しているスティーヴィー・サラスとのコラボ。松本孝弘はハワイ音楽部門でのグラミー賞獲得も経験しているダニエル・ホーとのコラボとなっています。

楽曲的にもハードロック色の強いB'zの楽曲からするとポップな作風となっているという点でも共通項と言えるでしょう。ただB'zの楽曲からの距離感としてはかなり異なる対照的な2作になっていました。

稲葉浩志ソロの方はいわばB'zの延長線上のような音楽。ただし松本孝弘のギターをスティーヴィー・サラスに置き換えたアルバム・・・ではありません。ちょっとビックリしたのが全体的にエレクトロサウンドを前面に出した打ち込み主導の作品となっていること。ファンキーなリズムをところどころで聴かせてくれるのですが、エレクトロサウンドが軽快でポップ色が強いアルバムになっています。

このシンセサウンドが前に出ているポップなロックナンバーというスタイル、イメージとしてはかなり初期B'zのスタイルに近いものを感じます。例えば「AISHI-AISARE」などまさにデビュー当初のB'zというイメージ。へヴィーなギターサウンド主導のハードロックというイメージがすっかり構築されてしまったため忘れられてしまったB'zの原点。原点回帰を意図したかはわかりませんが、B'zらしいロッキンなリズムのメロディーとB'zのイメージを色濃く残す稲葉浩志のボーカルを入れつつ、ここ最近のB'zではできなくなってしまったシンセ主導のポップチューンを出したアルバムになっています。B'zの延長でありつつB'zではできないことをやる・・・ある意味、ソロアルバムらしいソロアルバムといった感じがします。

初期からのB'zリスナーとしてはちょっと懐かしさを感じつつ、軽快なシンセサウンドが素直に楽しめるポップスロックのアルバムに仕上がっていました。若干チープさもあるのですが、45分というちょうど良い長さのためだれずに最後まで楽しめるアルバムでした。

一方、松本孝弘のソロはB'zで聴かせるハードロックな作風からガラリとイメージを変えたアルバム。B'zの延長線上だった稲葉浩志の作品と比べるとあきらかにB'zとは全く異なる方向性を意図したアルバムだったと思います。まあコラボしたギタリストもハワイアンというB'zとは全く違う土俵のミュージシャンですしね。

ただ・・・正直言ってつまらない・・・松本孝弘のソロ前作「New Horizon」も大型ショッピングセンターでBGMとして流れていそうな全くひっかかりのないフュージョンだったのですが今回のアルバムもまさしくそんなイメージ。フュージョン的な色合いは薄くなったのですが、ハワイ音楽のギタリストとのコラボといってもハワイアン的なイメージも少なく、かといってハードロック色も薄く、特にひっかかりもないギターアルバムになっていました。

特に和風のアイコン的にところどころ三味線の音が入ったりするのですが、和風のイメージとしていかにもな使われ方があまりにも陳腐・・・アルバム全体としてもこれといったおもしろいアイディアも感じられる、さらっと流して聴けてしまうような、まさしくショッピングセンターあたりのBGMで流れていそうなアルバムになっていました。

うーん、松本孝弘は基本的にハードロックのギタリストなのかなぁ。Larry Carltonとのコラボ作が傑作だっただけに今回も海外のギタリストとのコラボということで期待はしていたのですが残念ながら期待はずれの作品でした。残念です。

評価:
CHUBBY GROOVE ★★★★★
Electric Island,Acoustic Sea ★★★

稲葉浩志 過去の作品
Hadou
Singing Bird

TAK MATSUMOTO 過去の作品
TAKE YOUR PICK(Larry Carlton&Tak Matsumoto)
Strings Of My Soul
New Horizon


ほかに聴いたアルバム

Free Will/PLAGUES

ベテランロックバンドの約4年3カ月ぶりとなる新作。長いキャリアの持ち主なだけに、非常に安定感あるオルタナ系ギターロックを聴かせてくれます。決して目新しさはないのですが、メロディアスなメロディーラインが魅力的。分厚さもある骨太のギターサウンドも安定感がありカッコいいです。楽曲によってはロックンロールナンバーやブルース色の強いナンバーなどバリエーションも備え、ベテランバンドとしての底力を感じさせてくれました。

評価:★★★★★

PLAGUES 過去の作品
CLOUD CUTTER

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2017年4月20日 (木)

今週はK-POPが上位に

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

K-POP勢が上位に揃ってランクインです。

まず1位にD-LITE(from BIGBANG)「D-DAY」がランクインです。ミュージシャン名義通り、韓国のアイドルグループBIGBANGのメンバーによるソロミニアルバム。今回は作曲に絢香、秦基博、いきものがかりの水野良樹を起用。サウンドプロデュースも亀田誠治を起用するなど、あきらかに日本向けの「J-POP」なアルバムに仕上がっているようです。初動売上は3万8千枚。前作「でぃらいと」の6万8千枚(1位)から大幅ダウン。

そして3位にもK-POPのバンドFTISLAND「UNITED SHADOWS」がランクインしています。初動売上1万8千枚は前作「N.W.U.」の2万3千枚(3位)よりダウンしています。

その2枚の韓流勢に挟まれて2位にランクインしたのが三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE「THE JSB WORLD」。これで2週連続の2位となりました。

続いて4位以下の初登場盤です。まず5位に加藤ミリヤ「Utopia」がランクイン。初動売上9千枚は前作「LIBERTY」の1万4千枚(4位)から大幅ダウン。ここ最近、オリジナルアルバムは2万9千枚→1万4千枚→9千枚と推移しており凋落傾向が続いています。

6位には「ワイルド・スピード アイスブレイク」がランクイン。4月に公開予定の映画「ワイルド・スピード アイスブレイク」のサントラ盤。「ワイドル・スピード」シリーズの前作「スカイミッション」のサントラ盤は数多くの著名HIP HOPミュージシャンの参加が話題となりヒットを記録しましたが本作も2 CHAINZ、WIZ KHALIFAなど数多くの人気HIP HOPミュージシャンたちが参加。金曜日リリースにも関わらず、初動6千枚でベスト10入りしてきました。前作「スカイミッション」のサントラ盤は海外の先行リリース。国内盤リリース段階での初動売上3千枚で18位初登場。2週目に1万2千枚に売上を伸ばし9位にランクインしています。本作は初動6千枚で海外と同時リリースで初週にベスト10入り。今後、前作のようにロングヒットを記録するのでしょうか。

7位初登場はロックバンドBase Ball Bear「光源」。ギターの湯浅将平が突然脱退し3人組となってから初となるアルバムです。初動売上は6千枚。直近作はベスト盤「増補改訂完全版『バンドBのベスト』」で、こちらの初動売上2千枚(28位)よりアップ。オリジナルアルバムとしては前作「C2」の6千枚(14位)からは横バイ。オリジナルとしては前々作「二十九歳」以来のベスト10入りとなりました。

初登場最後は10位。GLIM SPANKY「I STAND ALONE」がランクイン。男女2人組ロックデゥオによるミニアルバム。初動売上5千枚は前作「Next One」の6千枚(9位)から若干のダウンとなりました。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2017年4月19日 (水)

今週もAKB系が1位

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週もAKB系が1位獲得。

1位は新潟を拠点に活動するAKB48の姉妹ユニットNGT48のデビューシングル「青春時計」が獲得。オリコンでは初動16万枚で1位。

2位は同じAKB48関連。欅坂46「不協和音」がワンランクダウンで2位。

3位はGERERATIONS from EXILE TRIBE「太陽も月も」が獲得。オリコンは初動2万3千枚で6位。前作「PIERROT」の6万2千枚(2位)よりダウン。

4位と6位には「ニコニコ動画」で人気を博したシンガー2人からなるユニットAfter the Rain「アンチクロックワイズ」「解読不能」がそれぞれランクイン。前者がTBSテレビ系アニメ「クロックワーク・プラネット」エンディング・テーマ、後者がNHK「アトム ザ・ビギニング」オープニングテーマとそれぞれアニソン。オリコンでは前者が3位、後者が4位にランクイン。売上はいずれも3万4千枚。

9位に倉木麻衣「渡月橋~君、想ふ~」がランクイン。映画「劇場版 名探偵コナン から紅の恋歌」主題歌。オリコンでは初動売上2万9千枚で5位初登場。前作「無敵なハート」の2万6千枚(5位)よりアップ。

10位には高橋優「ロードムービー」がランクイン。映画「映画クレヨンしんちゃん 襲来!! 宇宙人シリリ」主題歌。オリコンでも初動1万4千枚で9位にランクイン。前作「光の破片」(13位)から横ばい。

今週のHot100は以上。アルバムチャートはまた明日に。

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2017年4月18日 (火)

失恋を乗り越えて(?)

Title:Dirty Projectors
Musician:Dirty Projectors

バンド名を冠したタイトルが否応なしに内容への期待が高まるDirty Projectorsの約5年ぶりとなるニューアルバム。前作「SWING LO MAGELLAN」は2012年を代表する傑作アルバムとして高い評価を得ましたが、バンドの中心メンバーであるDavid Longstrethがアルバム後のツアー直後に失恋を経験。そのショックから立ち直れず音楽活動を中断していましたが、その後徐々に様々なミュージシャンへのゲスト参加により活動を再開。ついに久々となるニューアルバムがリリースされました。

その間、バンドメンバーが脱退し、事実上、DavidのソロプロジェクトとなったDirty Projectors。そのため今回のアルバムに関してはバンド色はほとんどなく、エレクトロサウンドを前面に押し出されたアルバムとなっています。もともと前作からポストロック色の色合いが濃かった彼らですが、今回のアルバムに関しても1曲の中に様々な音、アイディアが詰め込まれた作品になっています。特に今回、その軸を担ったのが元BATTLESのTyondai Braxton。ノイジーなエレクトロビートがダイナミックに展開する中、ピアノとストリングスが絶妙に重なる「Death Spiral」などでは特に印象的な仕事ぶりを聴かせてくれます。

今回の作品では事実上のソロとなった影響か豪華なゲスト勢が大きな特徴となっています。「Cool Your Heart」では女性ボーカリストDawn Richardがゲストボーカルとして参加。伸びやかでちょっとトライバルな雰囲気を残しつつ伸びやかでメロウな歌声を聴かせてくれますし、この曲に関してはなんと作詞ではあのSolangeが参加していたります。

また今回のアルバムで一番印象的だったのがパーカッションのリズム。ブラジル出身のパーカッショニストMauro Refoscoがゲストとして参加していますが、「Keep Your Name」「Up In Hudson」では非常に印象的なパーカッションを聴かせてくれます。エレクトロサウンドで無機質なサウンドが多い中、楽曲に暖かみを加えています。

今回のアルバムに関しては、前作に比べてR&Bの色合いが強くなった点も特徴的。David Longstrethのボーカルに憂いを感じられるのも特徴的。特にDavid Longstrethのボーカルにはまだ失恋を引きずっているのか・・・という情けなさを感じると同時に同じ男性としてはその気持ちに同情できるものを感じてしまいます。

ただし、実験的なエレクトロサウンドを奏でつつも基本的にメロディーラインは非常にメロディアスで胸をうつものがあります。特に「Work Together」は様々なサウンドがコラージュ的に組み合わさったような作品でありつつ、メロディーにはとてもポップ。他の曲に関してもしっかりとしたメロディアスなメロディーラインが流れています。

このサウンドは複雑ながらもメロディーはポップというバランスは前作「SWING LO MAGELLAN」から同様。R&B風という方向性も前作からも感じることが出来、そういう意味では根本的な部分においては前作からしっかりと貫かれているものがある作品だったと思います。前作に続きまたもや今年を代表する傑作の1枚となりそうな作品。前作同様、その美しいメロディーラインに惹きつけられたアルバムでした。

評価:★★★★★

Dirty Projectors 過去の作品
SWING LO MAGELLAN


ほかに聴いたアルバム

2016 Grammy Nominees

毎年リリースされるアメリカ・グラミー賞のノミネート作品を収録したオムニバスアルバム。今のアメリカの、ひいては世界のミュージックシーンの動向を知るには最適なアルバム。2016年のノミネート作ではThe Weeknd、Alabama Shakes、Kendrick Lamar、D'Angelo&The Vanguardなどブラックミュージックで実に魅力的な作品が多くリリースされており、その層の厚さ、新たなシーンの予感も感じさせます。一方、個人的に非常に惹かれたのがCourtney Barnettの「Pedestrian At Best」。完全に初耳だったのですが、PIXIESやDINOSAUR JR.の、それも80年代あたりの荒々しさとポップスさを同居させたようなオルタナ系ギターロックが実に魅力的な女性ロックシンガーの楽曲。遅ればせながらはまりました。これはアルバムも聴いてみなくては・・・。全体的にも名曲が多く、シーン全体に勢いを感じさせる2016年のノミネートでした。

評価:★★★★★

Grammy Nominees 過去の作品
2011 GRAMMY NOMINEES
2012 GRAMMY NOMINEES
2013 GRAMMY NOMINEES
2014 GRAMMY NOMINEES
2015 GRAMMY NOMINEES

The Painters EP/Animal Collective

配信限定で急きょリリースされた4曲入りのEP盤。昨年リリースされた「Painting With」と同時期に録音された3曲とMartha & the Vandellasの「Jimmy Mack」のカバーの全4曲を収録したアルバム。前半2曲「Kinda Bonkers」「Peacemaker」はタブラやシタールっぽいサウンドを取り入れたエキゾチックなサウンドが非常にユニーク。一方後半の「Goalkeeper」「Jimmy Mack」はコミカルなサウンドが魅力的でした。

どこかコミカルなサウンドという意味では「Painting With」に通じる今回のアルバム。その「Painting With」はコミカルな楽しさはあったものの聴いていて疲れてしまったアルバムでしたが今回の作品はわずか4曲ということもあって疲れる前に終わってしまうアルバム。それだけに「Painting With」の良い部分のみを抽出したEPになっていました。わずか4曲ですが、彼らのアイディアのつまった個性的な楽曲が並んだ傑作です。

評価:★★★★★

Animal Collective 過去の作品
Merriweather Post Pavilion
CENTIPEDE HZ
Painting With

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2017年4月17日 (月)

ジャケット写真からは想像できない内容に

Title:Drunk
Musician:Thundercat

今回紹介するアルバムはThundercatことアメリカのベーシスト、Stephen Brunerのアルバム。今、最も話題のベーシストのひとりで、Flying LotusやKendrick Lamarといった今を輝くミュージシャンたちのアルバムにも参加。大きな評判となっています。

このアルバム、まず惹かれるのはこのジャケット。カッコいいかどうかと言われると微妙なのですが、60年代や70年代のレアグルーヴのアルバムを彷彿とさせるような「黒さ」を感じさせるジャケット。正直、今回本作を聴いたきっかけがこのジャケット。話題のベーシストのアルバムということで真っ黒いグルーヴ感あふれる作品を期待して聴いてみました。

しかし、これが全く予想外の方向性のアルバム。オープニングのナンバーに続いて聴こえてくるのは透き通るハイトーンボイスに80年代風のサウンドを感じるメロウなエレピが魅力的な「Captain Stupido」。続く「Uh Uh」もハイテンポでファンキーなベースがさく裂していますが、そこにのっかかるボーカルはハイトーンボイスでフィリーな雰囲気すら感じらせるもの。続く「Bus In These Streets」もおもちゃ箱のような楽しげなエレクトロサウンドがワクワクさせてくれるポップチューンになっています。

全体的には80年代あたりのAORやフィリーソウルあたりの影響を強く感じるメロディアスでポップな楽曲が魅力的なアルバム。「Show You The Way」に至ってはMichael McDonaldが参加。懐かしさを感じる思いっきり80年代のAORサウンドに仕上がっていますし、「Blackkk」も透き通るハイトーンボイスが魅力的。日本人にとっては「Tokyo」なんて曲があるのもうれしいところ。こちらもいかにも80年代あたりのFM局で流れていそうな雰囲気のAORナンバーに仕上がっています。またタイトルチューン「Drunk」のようなジャジーな要素を入れた楽曲も大きな魅力となっています。

そんな80年代なサウンドが魅力的なアルバムですが単純にノスタルジックなアルバムでもありません。もともと魅力的なプレイを聴かせるベーシストなだけにところどころにちゃんとベースの音でグルーヴ感を奏でていますし、なによりもリズムを前に押し出した楽曲の構成やエレクトロサウンドはちゃんと今風にアップデートされています。音を詰め込むよりも空間を聴かせるようなほどよいサウンドのバランスなども見事です。

また全24曲入りという内容ですが1曲あたり2、3分という長さの楽曲が次々と繰り出されるアルバムの構成もいい感じ。変に間延びしたアレンジもなく、次から次へとテンポよく楽曲が展開していくためまったく飽きがありません。ともすれば長くなりがちなブラックミュージックのアルバムの中で54分という長さも長すぎず短すぎずほどよい長さとなっています。

正直、最初ジャケット写真から予想していた内容からはかなりかけ離れたアルバムの内容でしたが、でも予想以上の傑作アルバムになっていました。とにかくメロディーやサウンドが聴いていて心地よさを感じさせる楽曲の連続。間違いなく今年のベスト盤候補の傑作アルバム。ジャケットに逆にひいてしまったような方も、是非ともチェックしてほしいアルバムです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

HYMS/Bloc Party

メンバー2人が入れ替わりあらたなメンバーとなった新生Bloc Partyの4年ぶりとなる新作。エレクトロサウンド主体なのですが、ロック寄りの曲だったり渋く聴かせる曲があったりバレエティー富んだというと響きがいいのですが、全体的にどうもチグハグさを感じる1枚。楽曲的にインパクトが強いキラーチューンがなかったのも大きなマイナス要素。前作も正直ちょっと微妙な出来でしたが、今回のアルバムもちょっと微妙な出来・・・。

評価:★★★

BLOC PARTY 過去の作品
Intimacy
FOUR

Live In Sweden 1987/Johnny Winter with Dr.John

2014年に惜しまれつつこの世を去ったJohnny Winter。本作はタイトル通り1987年に行われたスウェーデンでのライブの模様をおさめたライブ盤。いまだ若々しい彼の迫力あるギターサウンドが思う存分楽しめるアルバム。「with Dr.John」という名義通り、Dr.Johnがピアノで参加しているものの彼はバックに徹しており、Dr.John目当てだとちょっと期待はずれかも。ただ所々Dr.Johnの個性が光るピアノプレイが入って来たりするのがおもしろいところなのですが。

評価:★★★★

Johnny Winter 過去の作品
Step Back

Dr.John 過去の作品
Locked Down
Ska-Dat-De-Dat:Spirit of Satch

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2017年4月16日 (日)

本作でもまた故郷を離れて

Title:ELWAN
Musician:TINARIWEN

「砂漠のブルース」と呼ばれ、ワールドミュージックリスナーに留まらない範疇で注目を集めているマリ出身のバンドTINARIWEN。途中、ライブ盤のリリースもありましたがオリジナルアルバムとしては3年ぶりとなるニューアルバムです。前作「EMMAAR」では政治的な理由から故国マリを離れアメリカでのレコーディングとなりましたが(やはり「残念ながら」という言い方になるのでしょうか)前作に続いてアメリカでレコーディングされたアルバムとなりました。

ただアメリカ録音によるためか多くのゲスト陣が参加しているのが本作の特徴。以前、当サイトでもアルバムを紹介したことがあるKurt Vileがギターで参加しているほか、QUEENS OF THE STONE AGEのMark Kaneganのボーカルで参加。その他、Matt SweeneyやAlan Johannesといったゲストミュージシャンが名前を連ねています。

Kurt Vileが参加した「TIWAYYEN」では彼らしいオルタナ色の強いノイジーなギターが目立ちます。それに引っ張られてか、2曲目「SASTANAQQAM」も同じくオルタナ色の強いギターが耳を惹く楽曲になっています。ただ、このゲスト勢がアルバムに対して強い影響を与えているかというとそういった感じではなく、逆にKurt Vileがギターで、さらにMark Laneganがボーカルで参加した「NANNUFLAY」はTINARIWENらしい荘厳な雰囲気とスケール感を覚えるコール&レスポンスのナンバー。確かにMark Laneganのボーカルも目立ちますが、TINARIWENの楽曲の中に参加させてもらっているという印象を強く受けます。

そのためアルバム全体としてはいつものTINARIWENといった印象を受ける本作。もっともそれはマンネリという意味ではなく、相変わらず彼ららしいブルージーなギターサウンドと独特なリズムとコール&レスポンスが織りなすグルーヴ感が実に魅力的な楽曲が並んでいます。特に「IMIDIWAN N-AKALL-IN」などは彼らの魅力ともいえるギターサウンドがうねるように楽曲全体を展開していき、それにパーカッションの音が重なり、彼ららしいグルーヴ感が実に魅力的なナンバー。軽快なパーカッションとアコギでラテン風味たっぷりの「ASSAWT」も哀愁感あふれるメロディーが耳に残ります。

そんな中、前作に引き続きマリを離れてのレコーディングとなった本作。その影響か前作に引き続き強いメッセージ性を持った歌詞が目立ちます。特に「ITTUS」は静かなギターとボーカルだけでメッセージを力強く聴かせるナンバー。歌詞の内容は「我が国の団結と高い生活水準」を求めるメッセージのようで、ストレートながら切実な思いが胸をうちます。

また「テネレの成れの果て」という邦題がついた「TENERE TAQQAL」も故郷の惨状を嘆いた歌詞が続かれており強いメッセージ性を感じます。ちなみに「テネレ」とはタマシェク語で「何もない地」もしくは「砂漠」を意味するそうで、この複数形が彼らのバンド名であるTINARIWENだそうです。

これらの歌詞は残念ながら私たちにダイレクトに伝わってはきませんが、それでもその力強いボーカルと演奏からは彼らの伝えようとする想いは伝わってくるよう。彼らの強いメッセージが込められた1枚でした。

評価:★★★★★

TINARIWEN 過去の作品
IMIDIWAN:COMPANIONS
TASSILI
EMMAAR
Live in Paris(不屈の魂~ライヴ・イン・パリ)


ほかに聴いたアルバム

night thoughts/Suede

90年代初頭に絶大な人気を得て、かのブリットポップムーブメントの先駆け的な存在となったイギリスのロックバンドSuede。2003年に解散したものの2010年に再結成。本作は再結成後2作目となるアルバムとなります。

基本的にはミディアムテンポのギターロックがメイン。幻想的で耽美的な雰囲気を堪能できるアルバムで、良くも悪くもSuedeらしさは今も健在となっています。イギリスのアルバムチャートでは最高位6位を記録。アメリカビルボードではなんと自身初となるベスト10ヒットを記録するなど、なにげに再結成後もその人気の健在ぶりを見せている彼ら。確かにその魅力は十分感じられるアルバムで、1度目の解散前の彼らが好きなら十分に楽しめる作品だと思います。

評価:★★★★

Let Me Get By/Tedeschi Trucks Band

ルーツ志向のブルースロックが魅力的な彼らの3年ぶりとなる新作。楽曲はいつも通りブルースやソウルなどを取り入れつつダイナミックなロックサウンドに仕上げている彼ららしい楽曲に。目新しさはないもののバンドのグルーヴ感を十分すぎるほど楽しめる作品で、良い意味で安心して聴けるアルバムになっています。

評価:★★★★

TEDESCHI TRUCKS BAND 過去の作品
Revelator
MADE UP MIND

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2017年4月15日 (土)

今のPOLYSICS

Title:Replay!
Musician:POLYSICS

今年、結成20年を迎えたPOLYSICSの20周年記念の企画盤的アルバム。彼らの過去の代表曲のうち特にライブで盛り上がる曲を厳選しリテイクした上でライブ音源も収録した、特に「ライブバンドPOLYSICS」の魅力を前に押し出した企画盤になっています。

これは折に触れ言っているんですが・・・POLYSICS、20年ですか・・・インディーズ時代から破天荒なライブが話題となっていたバンドだったのですが、どちらかというと勢い重視の彼ら。率直に言って、これほど長く続くバンドとは思いませんでした。

さて今回の企画盤。彼らの代表曲をセレクトしておりまさにベスト盤といっていい内容になっています。ただうれしいのはその長さ。楽曲を厳選に厳選して12曲42分という長さにおさめています。この手のベスト盤、最近は特に3枚組4枚組と長くなる傾向にあります。まあ代表曲をまとめて聴けるという意味ではそれも悪くないのですが、はじめて聴くようなミュージシャンのアルバムとしては聴くだけで体力がいりますし、なにより「代表曲を何曲か聴きたいだけ」という程度だったとすると、逆にそんなボリュームいらないという印象すら受けてしまいます。

それだけに20周年といってもベスト盤的な内容にわずか42分というのは非常に潔さを感じます。またほどよい長さで最初から最後まで全くだれずに聴くことが出来、若干の聴き足りなさを感じる長さで、他のアルバムも聴いてみたくなるというという意味ではちょうどよい長さだったと思います。

そして今回のアルバムに収録されている彼らの代表曲を聴いてみると、POLYSICSってこんなにポップなメロディーを書くバンドだったんだ、ということを強く感じました。おそらくライブで盛り上がるということでよりポップなメロディーが流れている曲を選んでいるということもあるのでしょう。またパンキッシュで勢い重視だった初期に比べるとここ最近はポップなメロディーを書いた曲が多く、バンドとしてポップなメロディー志向に向いているこということもあるのでしょう。サビのフックもしっかり聴いており、歌詞にもインパクトがあり思った以上に初期の作品からきちんとポップミュージシャンとしての実力を見せていたのだな、と再認識しました。

さらに今回の作品、2017年バージョンとしてリテイクされているのですが、楽曲の雰囲気としてかなり変わっているのも特徴的でした。特に多くの曲に共通するのが、ギターやドラムといった生音のバンドサウンドがより重みを増し、サウンドとして重厚感ある腰の落ち着いた音になったという点でした。以前の彼らの楽曲はピコピコサウンドを前に出したエレクトロポップミュージシャンとしての側面をより強く押し出していました。その路線ももちろん魅力的ですし、今回のリテイクに関してももちろんエレクトロポップの方向性は残されています。ただそれ以上にロックバンドとして実力をつけているというのが顕著にあらわれた今回のリテイク。ある意味ピコピコポップという飛び道具的なものに頼らなくても勝負できるんだという自信すら感じることが出来ました。

またこのリテイクにより、オリジナルに比べてよりメロディーラインが前に押し出されたようにも感じます。サウンドのユニークさに必要以上に頼らず、ギターやベース、ドラムスといったバンドサウンドやメロディーラインといった楽曲のコアな部分の魅力をより前に押し出してきたように感じました。今回のアルバムで彼らが意外なほどポップなメロディーを書くバンドだったんだと再認識したのは、そんなリテイクの方向性にもよったのではないでしょうか。

わずか42分という長さといい初心者にも最適なベスト盤ですし、またリテイクという内容上、ファンにとってもPOLYSICSの今の立ち位置を再確認できる企画盤だったと思います。むしろ今のPOLYSICSが奏でているという点において、初心者にとってはこれより過去にさかのぼる必要のない、最初の1枚として機能しているアルバムだと思います。POLYSICSというバンドの魅力がつまったアルバムでした。

評価:★★★★★

POLYSICS 過去の作品
We ate the machine
We ate the show!!
Absolute POLYSICS
BESTOISU!!!
eee-P!!!
Oh!No!It's Heavy Polysick!!!
15th P
Weeeeeeeeee!!!
MEGA OVER DRIVE
ACTION!!!
HEN 愛 LET'S GO!
HEN 愛 LET'S GO! 2~ウルトラ怪獣総進撃~
What's This???


ほかに聴いたアルバム

NEW TRIBE/a flood of circle

途中ベスト盤を挟んで、新作としては約1年半ぶりとなるa flood of circleのニューアルバム。アルバム毎に出来不出来の差が大きい彼ら。前作「ベストライド」はポップ寄りになっており結果、あまり良い出来ではありませんでした。今回のアルバムはガレージ色の強い曲からポップ寄りの曲まで比較的バランスよく配置されたようなアルバム。相変わらずポップ寄りの作品はボーカル佐々木亮介の端整な歌い方もあいまってベタな内容になってしまっています。ガレージ寄りの作品に関しては文句なしにカッコいいだけに、もうちょっとポップな曲はひとひねりが欲しいと思ってしまうのですが。

評価:★★★★

a flood of circle 過去の作品
泥水のメロディー
BUFFALO SOUL
PARADOX PARADE
ZOOMANITY
LOVE IS LIKE A ROCK'N'ROLL
FUCK FOREVER
I'M FREE
GOLDEN TIME
ベストライド
"THE BLUE"-AFOC 2006-2015-

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2017年4月14日 (金)

ミュージシャンとしてはもちろん現役

1990年代後半、「1/2」「桜」「DNA」の大ヒットで一躍時代の寵児となった女性シンガーソングライター川本真琴。しかし2000年代に一時期活動を休止。その後インディーズにその活動の中心を移しました。その後もインディーズではそれなりにコンスタントに活動をしていたものの、知る人ぞ知る的な活動が続き、すっかり「あの人は、今」的な過去の人になっていました。

しかし昨年、本当に久しぶりにお茶の間レベルに川本真琴の名前がクローズアップされることになりました。ただし、それは恋愛スキャンダルという形で。そのちょっとめんどくさい、ストーカー気質なTwitterが大きな話題となりました。正直なところ、めんどくさいストーカー気質というのは彼女のいままでの楽曲や言動からイメージ通りでもあったのですが・・・その相手が・・・狩野英孝とは・・・・・・。

ただそんな騒動とは裏腹に、2016年はむしろ彼女の音楽活動は活発化していました。

Title:川本真琴withゴロニャンず
Musician:川本真琴withゴロニャンず

こちらは川本真琴を中心に、元LABCRYの三沢洋紀、テニスコーツの植野隆司、池上加奈恵、スカートとしての活動で知られる澤部渡で結成された5人組バンドの1stアルバム。豪華なメンバー・・・というよりはむしろ知る人ぞ知るようなサブカル/アングラ勢を集めたようなバンドとなっています。

作詞作曲は川本真琴を中心にメンバー全員が手掛けた内容になっています。ただ楽曲的には意外とストレートなポップ。マニアックなメンバーに反して難解なポップソングになっていなかったのはひとえにやはり川本真琴の影響でしょうか?「music pink」という暖かい雰囲気のポップソングからスタートし、「summertimeblues」は、まあちょっとベタなタイトルですが、ストレートなオルタナ系ギターロックになっています。

ただこの豪華メンバーの個性が出てきて、サウンドに若干ひねりが入って来たのがその後。「私が思ってること知られたら死んじゃう」はタイトルからして例のSNSの騒動を反映されたタイトルでは?なんて思ってしまうのですが、ワウワウギターがちょっとソウルな雰囲気を醸し出すミディアムポップ。「エリエリ」もファンキーなサウンドやラップが入ってきたりとちょっとエキゾチックな雰囲気のあるユニークな作品に仕上がっています。

歌詞にしろメロディーにしろどこかコミカルさ、ユニークさを感じさせる9曲。それぞれポップなメロディーラインにメンバーの個性が入った楽曲に仕上がっていました。ただ全体的にメロディーのフックは抑えめ。そのためポップなメロが流れているといっても、万人向けにアピールするにはちょっと弱さも感じる部分があるのは残念でした。

評価:★★★★

Title:ふとしたことです
Musician:川本真琴

そしてもう1枚、2016年にリリースされたのが本作。デビュー20周年を記念してリリースされたセルフカバーアルバム。ご存じ「愛の才能」「1/2」という大ヒット曲や「タイムマシーン」「やきそばパン」のような懐かしい楽曲をピアノとストリングスという非常にシンプルなアレンジでカバーしています。

「愛の才能」や「1/2」がヒットしたころの彼女のイメージといえば若さあふれる彼女がギターをかき鳴らし爽やかに歌い上げるというイメージがありました。それだけにピアノでカバーというのはちょっとイメージから離れる部分もあるかもしれません。

しかし例えば「愛の才能」。ピアノ1本でジャジーに仕上げているのですが、これがジャズアレンジに驚くほどマッチ。大人の雰囲気となったこの曲は、大人になった川本真琴が歌うにはピッタリのカバーに仕上がっています。「1/2」も持ち味の爽やかさを生かした上でピアノやストリングスでしんみり大人なポップスへとアップデートしています。他の曲に関してもピアノを中心としたアレンジで上手く大人なポップスへと仕上げており、彼女のメロディーメイカーとしての才能を(「愛の才能」は岡村靖幸作曲ですが)再認識させる結果となっています。

そんな中に入っている新曲「ふとしたことです」もなかなか良い出来栄えに。素朴なアレンジのちょっとジャズ風のポップスなのですが、全盛期の彼女の曲と比べても遜色ない出来栄えに。いまだに彼女の才能が衰えていないことがわかります。

彼女自身、自らすすんでメジャーシーンから姿を消した部分があるため、今後再びメジャーシーンにカムバックする可能性は低いのですが、このアルバムを聴く限り、まだまだ多くのファンを獲得できるポテンシャルはあるミュージシャンだと思います。今回の騒動で久しぶりに彼女の名前を聞いた方、せっかくなので久しぶりに彼女のアルバムを聴いてみてはいかがですか?

評価:★★★★★

川本真琴 過去の作品
音楽の世界へようこそ(川本真琴feat.TIGAR FAKE FUR)
The Complete Single Collection 1996~2001
願いがかわるまでに


ほかに聴いたアルバム

Things Discovered/People In The Box

CDリリース10周年を記念してリリースされた2枚組のアルバム。1枚目は新曲に再録曲、さらにはメンバーそれぞれがプロデュースした作品が並ぶ「ニューアルバム」で、2枚目は過去の楽曲をメンバーがセレクトしてリマスタリングした「ベスト盤」という変則的ながらもPeople In The Boxというバンドがわかるような構成になっています。

ポストロックやシューゲイザー、ミニマルミュージックやソウル、ファンクなど様々な要素を取り込み、複雑なリズムやサウンドで組み立てたアレンジを構築しながらも楽曲全体としては爽やかでむしろポップという印象を受ける楽曲を作り上げているのが彼らの特徴。彼らの代表曲も収録された本作はPeople In The Boxの入門盤としても最適な作品。個人的にはもっともっと売れてもいいバンドだと思っているのですが・・・ただ一方、確かに「これは」といったパンチ力にちょっと欠ける点も否めないんだよなぁ・・・。

評価:★★★★★

People In The Box 過去の作品
Ghost Apple
Family Record
Citizen Soul
Ave Materia
Weather Report
Talky Organs

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