2019年6月17日 (月)

ライブのたびに新曲!

世の中を斜めから見たようなユニークな視点で切り取った歌詞が大きな魅力のシンガーソングライター、TOMOVSKY。そんな彼が昨年のはじめに、ライブのたびに新曲を発表し、年末にそれをまとめたアルバムをリリースすると宣言。結果として毎回、ライブのたびに必ず新曲を発表し、アルバムを発表。見事、公約を達成しています。今回紹介するのは、そうしてリリースされた2枚のアルバムです。

Title:SHINKYOKU TIME 2018-1
Musician:TOMOVSKY

Title:SHINKYOKU TIME 2018-2
Musician:TOMOVSKY

この「ライブのたびに新曲を披露する」という公約のすごいところは、本当に文字通り、「ライブのたび」という点。ワンマンや対バン形式のライブ、イベントなどはもちろん、インストアライブのような類のライブでも新曲を作ってきているようで、そのスタンスはかなり徹底しています。

また、新曲が誕生するその瞬間をとらえているという点も大きな特徴で、全編、新曲披露時のライブ録音。そのため、録音環境が整っていないような会場ではかなり音が悪い曲もあるのですが、新曲発表に際してのTOMOVSKYのMCや、その時の観客の反応もそのまま収められており、一種のドキュメンタリーのような感触のある作品にもなっていました。

そんな肝心の楽曲の方なのですが、基本的にはおそらく2度とライブでは演らないだろうなぁ、というような即興的な曲やネタ曲がメイン。特に地方ライブではその地方のネタをそのまま取り込んだような曲が多く、ライブハウスの名前そのままな「FANDANGO」やら「九州ピーポー」やら、さらにそのまま「マツモト」「名古屋」なんて曲まで登場しています。

ほかにもアカペラのラップだけというスタイルの「無意味に燃えてるぜ」みたいな「これで新曲でいいの?」と思うような曲もあったり、「食っとけよ」のような替え歌があったり、そこで見たポスターの標語をそのまま歌詞にしただけだろ?といった感じの「犯罪者が恐れるのはあなたの視線」なんて曲もあったりします。

ただし、そんなネタ曲なども含めて、彼らしいユニークな視点を取り込んだ歌詞も目立ち、ライブのたびに作られる即興的な新曲にも関わらず、TOMOVSKYの魅力をしっかりと感じられる曲が多く収録されていました。視覚から与える影響についてユニークに歌った「トンボのめがねと同じしくみ」だったり、郷愁的な雰囲気を漂させつつ、「流氷もあの雲もただの水」と根も葉もないことを歌う「流氷もあの雲も」だったり、異常気象のことを「天気の神がバランス感覚ないからだ」と歌う「お天気の神」など、ユニークな視点は冴えまくっています。

ほかにもふたの留め具がバカになってパカっと空いてしまうコロコロを「自我が芽生えた」と歌うシュールな「ピンクコロコロに自我」という曲もあったり、「ギリギリセーフ」なんかはハロウィンをテーマとした一発ネタが笑える曲になっていますし、即興的なテーマでも強いインパクトを受ける曲が少なくありません。

またもちろんそんな即興的な曲ばかりではなく、例えば「平成の次はまた昭和」なんかは「また昭和が来るからやり直せる」というユニークながらもちょっと切ない歌詞も印象に残る曲で、次のアルバムに収録されていても不思議ではないしっかりとした曲になっていましたし、幼い頃の思い出を歌った「お盆」も子供の頃の思い出の中の父親が今の自分よりも年下という歌は、おそらくある一定の年代以上の方にとっては強く共感できそうな内容で、こちらも次のアルバムに収録されていても不思議ではない内容になっていました。

彼のオリジナルアルバムは、比較的一本のテーマに従った曲が多く、それもまた魅力的なのですが、今回のアルバムはテーマ性がなかっただけに自由度がより広く、そういう意味ではテーマに従ったオリジナルアルバム以上に、ありのままのTOMOVSKYの魅力を強く感じることが出来たアルバムとも言えるかもしれません。確かに即興的なネタ曲も少なくありませんでしたが、その誕生の瞬間をとらえたというユニークさも併せて、聴きごたえのある魅力的なアルバムでした。

評価:どちらも★★★★★

TOMOVSKY 過去の作品
幻想
秒針
いい星じゃんか!
終わらない映画
BEST3
SHAAA!!!
FUJIMI


ほかに聴いたアルバム

ALIVE -The live history-/KOKIA

KOKIAの最新作は2010年から2018年に行われたライブから曲をピックアップして収録した2枚組のライブベスト。オーケストラアレンジのスケール感あるアレンジからアコースティックのシンプルなアレンジから自由自在に歌いこなす彼女の、透明感があってファンタジックなボーカルスタイルが大きな魅力。序盤のちょっと説教じみたMCにはちょっと引いてしまった部分はありましたが、最後までその世界観が楽しめるライブベストに。正直、少々感情過多な部分もあり、その点は賛否別れそうな部分はあるのですが、その点を差し引いても実に強い魅力を感じるライブ盤に仕上がっていました。

評価:★★★★

KOKIA 過去の作品
The VOICE
KOKIA∞AKIKO~balance~
Coquillage~The Best Collection II~
REAL WORLD
Musique a la Carte
moment
pieces
心ばかり
Where to go my love?
I Found You
EVOLVE to LOVE-20 years Anniversary BEST-
Tokyo Mermaid

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2019年6月16日 (日)

アフリカとラテンの融合

Title:Celia
Musician:Angelique Kidjo

西アフリカはベナン共和国出身の女性シンガーソングライター、アンジェリーク・キジョーの最新作。グラミー賞を3度受賞しているほか、ザ・ガーディアン紙では「世界で最も影響力を持つ女性100人」に選ばれているなど、すっかりアフリカを代表するミュージシャンとして活躍しています。

そんな彼女の前作は、Talking Headsの名盤「Remain In Right」をアルバムごとカバーしたアルバムとして多いに話題となり、当サイトでも紹介させていただきました。アフロビートを取り入れた西洋音楽をアフリカの視点から解釈したというユニークなアルバムでしたが、本作のコンセプトもある意味、前作から続くもの。今回のアルバムは、伝説的なサルサ歌手、セリア・クルスに捧げた作品。サルサをアフリカ音楽の視点から再解釈しているユニークなアルバムになっています。

そもそもサルサという音楽はキューバからの難民によりニューヨークで生まれた音楽。西洋音楽と非西洋音楽の融合から生まれたという意味では、前作で彼女がカバーした「Remain In Right」と似たような構図かもしれません。また、そのサルサもルーツをたどるとやはりアフリカ音楽に結びつくわけで、そんなサルサという音楽をアフリカ音楽の視点から再解釈した試みは非常に興味深く感じます。

実際にサルサというジャンルとアフリカの音楽の相性はとてもよくマッチしているように感じます。例えば1曲目「Cucala」はアフリカ的なポリリズム風のビートやコールアンドレスポンズというスタイルと、サルサの要素を感じる爽快感あるホーンやギターの音色が非常に上手くマッチ。「Toro Mata」も哀愁感あふれるメロディーラインはまさにラテンといった感じなのですが、これにトライバルなパーカッションが実に上手く融合されています。

また「Sahara」のようにピアノとストリングス、さらには静かなパーカッションをバックに哀愁感たっぷりに伸びやかに歌い上げる楽曲は完全にラテン風。また、その歌声には彼女のボーカリストとしての実力を感じされます。さらに軽快なパーカッションとホーンセッションが楽しい「Baila Yemaya」もラテンのテイストが強いナンバーに仕上がっています。

このようにラテンテイストの比較的強いナンバーが並ぶ今回のアルバムですが、その一方、アルバム全体としてトライバルなパーカッションが一貫して流れている作品に。また、アフリカ音楽的なコールアンドレスポンスやポリリズムも多く取り入れており、そういう意味ではラテン色とアフリカ色を見事に両立されているアルバムになっていました。まさに彼女なりにサルサを解釈したアルバムと言える1枚で、前作に引き続き、間違いなく傑作と言える作品に仕上がっていたと思います。アフリカ音楽が好きな方にもラテンが好きな方にも文句なしでお勧めしたい作品です。

評価:★★★★★

Angelique Kidjo 過去の作品
Remain in Light


ほかに聴いたアルバム

Retroactive-EP1/Keane

2013年にリリースしたベスト盤を最後に無期限の活動休止となったイギリスのロックバンドKeane。ただ昨年、待望の活動再開がアナウンスされ、9月には待望の新譜も予定されています。本作はそんなニューアルバムに先駆けてリリースされたEP盤。過去のライブ音源やデモ音源を収録した4曲入りの作品で、どちらかというとファンズアイテム的な様相の強いアルバムになっています。活動再開へのご挨拶的な作品と言えるでしょうか。ただ、ピアノを主体としたサウンドに狂おしいまで美しい彼らのメロディーに、Keaneの魅力を再認識させ、また来るべきアルバムが楽しみになってくるような、そんな作品でした。

評価:★★★★

KEANE 過去の作品
Perfect Symmetry
NIGHT TRAIN
Strangeland
The Best Of Keane

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2019年6月15日 (土)

アルバム1枚 13,000円也(!)

Title:The KING
Musician:Anarchy

日本の「下流社会」の様子をリアルに描いたリリックが注目を集め、人気を博しているラッパー、Anarchyの新作。今回の新作は、なんといってもその売り方が大きな話題となっています。なんと、CDの販売価格が13,000円(!)。今回の価格設定について本人は「一度でいいから自分が作ったものに自分で値段をつけてみたい」と語っていましますが、ダウンロードやストリーミングなどで簡単に曲が聴ける今だからこそ、あえてCDに価値を見出し、一般的な価格から大きくかけ離れた高値を付けるという試みは非常におもしろいと思います。

ただ、今回、結果としてAmazonのレビューでも荒れてしまったようにその売り方に大きな問題を抱えてしまいました。それは、CDの限定生産を公言し予約を促したのですが、実際はCDだけではなくストリーミングやダウンロード販売も行われた点。もっとも、CD販売に価値を見出さず、どういう形でも曲さえ聴ければいいというリスナーも少なくなく、またその姿勢も決して否定できません。そのため、CDをあえて高値で販売した一方、その試みを良しとしないリスナーのためにもストリーミングやダウンロード販売を行うこと自体については問題ありません。問題は、ストリーミングやダウンロード販売を行うことを当初のCD販売の告知時に公表しなかったこと。その結果、CD自体に13,000円という価値を見出していなくても、他に聴く手段がないから、と考えたファンが泣く泣く大枚をはたいたようなケースが出てしまい、そういうファンにとっては、今回の売り方が一種の詐欺まがいのように感じられる結果になってしまっています。このやり方については事実上、ファンを騙すような恰好になってしまい、非常に残念に感じます。

さて、そんなちょっと「ケチ」がつくことになってしまった今回のアルバムですが、まず大きな特徴としてAnarchyをはじめとする13人のラッパーが参加。ソロ曲1曲の他はすべて他のラッパーとのコラボ作となっている作品になっていました。その唯一のソロ作はタイトル曲であり1曲目を飾る「The KING」。彼とHIP HOPとの出会い、そしてHIP HOPへの愛情と決意を綴ったリリックが印象的。本作は彼のソロ作ですが、数多くのラッパーの名前が登場し、リリックの中で様々なラッパーとのコラボが行われた作品になっています。

リリックが印象的といえば続くMIYACHIとコラボした「Run It Up」が印象的。今風なトラップのサウンドが耳に残る作品なのですが、「いくらいくらいくら?俺の価値はいくら?」というリリックに今回、13,000円という価格設定を行った彼の考えが反映されています。また、コラボという面で一番印象に残ったのが般若とのコラボ「Kill Me」。一発で般若とわかるその声が印象的ですし、またユニークなライムが耳に残りますし、さすがは「ラスボス」と思わせる般若の実力が反映されたコラボになっていました。

アルバム全体としては今風のトラップ風のリズムが目立つダークな雰囲気のトラックが印象的。ただ、正直言うと、13人とのラッパーとのコラボということなのですが、そのコラボがあまり上手くいかされていなかったようにも感じます。その理由として全体的にAnarchyの個性を強く押し出しすぎてしまい、ラッパーの個性がさほど生かされていなかったように感じた点。逆に言うと、それほどAnarchyの個性が強かったということも言えるのでしょうが、もうちょっとゲストの個性を前に出してもよかったのでは?もっとも、般若なんかは十分彼の個性を発揮していただけに、コラボしたラッパーの多くがAnarchyに負けてしまっているというだけのことかもしれませんが・・・。

また、いままでアンダーグラウンドを押し出したリリックが多かった彼でしたが、どうも今回のアルバムではリリックが丸くなった、というよりも若干型にはまったようなリリックが多くなってしまって、「アンダーグラウンド風」のみを醸し出しているだけで、インディーズ時代の「ヤバさ」がなくなってしまっている感を覚えます。もっともこの傾向はメジャーデビュー以降のアルバムに共通する問題点。ただ、そんな中でも今回のアルバムのラストを締めくくる「Lucky13」では、そんな彼の原点とも言える貧乏時代の思い出と感謝をリリックにしており、胸をうつ内容に仕上がっていました。

とりあえず売り方という点はともかくとして純粋にアルバムの内容としては下のような評価で。正直言って、アルバムの内容として13,000円か、と言われると、熱心なファンじゃなければ「うーん」と思ってしまうような感じかもしれません。よほどのファンじゃなければストリーミングか、(ストリーミングは権利の関係か1曲、未配信となっていますので)ダウンロードで十分かと。ちなみにレンタルも解禁されているので、そちらもありかも。試みとしてはおもしろいとは思います。ただその告知方法が残念に感じるアルバムでした。

評価:★★★★

Anarchy 過去の作品
Dream and Drama
Diggin' Anarchy
DGKA(DIRTY GHETTO KING ANARCHY)
NEW YANKEE
BLKFLG


ほかに聴いたアルバム

Sanctuary/中田裕二

ソロとして早くも8枚目となるニューアルバム。相変わらずの歌謡曲路線にはある種の安定感も覚えるのですが、ただ、全体的にはちょっとマンネリ気味。ラップを取り入れた曲もあったり、今回は打ち込みを取り入れた作品も多かったのですが、肝心の歌自体に関してはインパクト不足で、正直なところ、最後の方は飽きてしまいました。そろそろ新機軸を見せてくれるか、もうちょっとメロディーか歌詞にインパクトが欲しいところ。

評価:★★★

中田裕二 過去の作品
ecole de romantisme
SONG COMPOSITE
BACK TO MELLOW
LIBERTY
thickness
NOBODY KNOWS

CHANGES/NAMBA69

ご存じ、Hi-STANDARDのフロントマン、難波章浩率いるNAMBA69のニューアルバム。ko-hey加入後、フルアルバムとしては本作が初となりますが、以前に比べて音がかなり分厚くなり、パンクロックというよりもハードコア的な様相が強くなってきたアルバムになっています。ただし、分厚いサウンドになってもメロディアスでポップなメロは相変わらず。むしろサウンドが分厚くなったため、ポップのキュートさがより際立ったようにも感じられるアルバムでした。

評価:★★★★

NAMBA69 過去の作品
21st CENTURY DREAMS
LET IT ROCK
Ken Yokoyama VS NAMBA69(Ken Yokoyama/NAMBA69)

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2019年6月14日 (金)

完全に1人のみのステージ

斉藤和義 弾き語りツアー2019 "Time in the Garage"

会場 名古屋国際会議場センチュリーホール 日時 2019年6月4日(火)18:30~

Saitokazuyoshi

以前から足を運びたいと思っていた斉藤和義ワンマンライブ。いままではなかなかタイミングも合わず、足を運べなかったのですが、ついに行ってきました!今回足を運んだのは、彼がライフワークともしている弾き語りツアー。実は斉藤和義のライブは今から19年前(!)に一度、渋谷公会堂でワンマンライブを見たことがあるのですが、実にその時以来のワンマン。ただし、彼のステージ自体は2013年にTHE BAWDIESとの対バンライブを見ているので、その時以来のステージとなりました。

ステージは、今回のライブタイトルに沿ってか、古びたガレージのような舞台セットに。そこにソファーが2つとドラムセットが置いてありました。開演時間を5分ほど経ったころ、おもむろに自動車(それも古い)が止まる音がすると、舞台セットのドアに灯りがともり、そしてせっちゃんが登場。もちろん、会場は大歓声でのスタートとなりました。

まずせっちゃんはステージ真ん中のソファーに座ると、1曲目は「月光」からスタート。個人的にも大好きな曲で、その歌詞にまずは聴き入ります。さらに「愛に来て」と続きおなじみの「ずっと好きだった」に。

そんな感動的な曲と対照的だったのが序盤のMC。いきなりセンチュリーホールのことを「せん〇りホール」なんて言いだしたり、この日の楽屋のトイレにはウオシュレットがついていなかったらしく、直前にもよおしたため、「ア〇ルが崩壊しています」なんて言いだしたりと、とてもそのままここには書けないような下ネタの連続(笑)。せっちゃんらしいのですが、かなり飛ばしまくっていました。

その後も「レノンの夢も」や昔の曲ということで「何となく嫌な夜」で聴かせます。さらにここでリゾネーターギターを取り出し、リゾネーターギターの紹介。昔、エレキがなかった頃、音が小さくてホーンなどの中に伴奏としてしか用いられなかったギターに、反響板などをつけて音を増幅させることによりメインの楽器として用いられることになった・・・という説明の後で(ちなみにリゾネーターギターという固有名詞は出てこなかったな・・・)ムッシュかまやつの「やつらの足音のバラード」へ。哀愁感たっぷりのリゾネーターギターの大きな音でしんみり聴かせてくれました。

さらに「時が経てば」へ。物語調の歌詞も聴かせる内容なのですが、最後の「がんばれ」というメッセージ性強い歌詞も力強く響きます。その後は新曲「小さな夜」。こちらは「ベリーベリーストロング」の10年後をイメージして書かれた曲だとか。伊坂幸太郎の小説「アイネクライネナハトムジーク」の主題歌にもなっているこの曲。もともとはせっちゃんと伊坂幸太郎がコラボしようという話からこの小説が生まれたそうで、そんなエピソードや、今回映画音楽を担当することになったエピソードなどを交えつつ、この新曲を聴かせてくれました。

その後はドラムセットに座り彼のドラムプレイで「幸福な朝食 退屈な夕食」で盛り上がります。この曲、30歳の頃のギター演奏をおさめたマスターテープを流しつつ演奏するというスタイルで、新旧せっちゃんのセッションというユニークなスタイルに。続く「老人の歌」も同じく19歳の頃のマスターテープに今の彼のギタープレイを重ねたセッションとなっており、1人での弾き語りライブらしいユニークな試みになりました。

そしてライブは終盤に。ここからは「Good Luck Baby」や「Stick to fun! Tonight!」など盛り上がるナンバーでみんな立ち上がって会場のテンションも最高潮に。本編は「マディーウォーター」「Summer Days」と続きます。「Summer Days」では最後のミュージシャンの名前を羅列する歌詞のところで「ショーケン」「ミチロウ(=遠藤ミチロウ)」「シェケナベイビー(=内田裕也)」と最近鬼籍に入ったロックミュージシャンたちの名前を歌に入れて、彼らを悼むシーンもあったりしつつ、本編は幕を下ろしました。

もちろんその後はアンコールへ。アンコールではこの日のツアーグッズであるエプロンをつけてせっちゃんが登場(笑)。「空に星が綺麗」からスタート。さらにアコギ1本でしずかにしんみり歌う「歌うたいのバラッド」は非常に感動的でした。そしてラストは「Endless」で締めくくり。会場も大盛り上がりで約2時間半のステージは幕を下ろしました。

この日は弾き語りライブということで完全に彼1人のみのステージ。ただし、その中でも打ち込みを用いたり、リゾネーターギターみたいなユニークな楽器を取り出したり、ドラムやキーボードの演奏があったり、過去の彼の演奏とのセッションがあったりと、様々な見どころの多いステージで、最後までファンを飽きさせない内容になっていました。

また、1人でのステージということで比較的MC多めのまったり目のステージになるのかな・・・と予想していたのですが、思ったよりもMCは少な目で、全編、曲を歌いまくるステージに。現在52歳という彼ですが、年齢を感じさせないアグレッシブなステージでした。一方、MCの方は下ネタ満載で、ここではいろいろと書きにくいMCで(笑)。せっちゃんといえばツアーのたびにライブアルバムをリリースしているのですが、このライブアルバムにもっとMCも収録してほしいなぁ、と思っていたのですが、このMCの内容では、確かにアルバムには収録できないなぁ(^^;;

そんな訳で約2時間半、実に内容の濃いステージで、彼の魅力を満喫できたステージでした。あと、これはあくまでも私事なのですが・・・実はこのライブの前に仕事で非常に嫌なことがありかなり落ち込んでいました。そんな中、彼の曲ってあらためて聴くと、どうにも現状が上手くいかなくもがいている人に対する応援歌的な歌詞になっているんですよね・・・正直、かなり彼の歌が心に染み入り、ライブが終わった後、元気が出るようなステージでした。

本当に素晴らしいステージで大満足。次はバンド形態でのワンマンライブにも行ってみたい!やはり斉藤和義は素晴らしいミュージシャンだな、ということをあらためて認識したステージでした。

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2019年6月13日 (木)

ベスト盤が1位2位

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

まず今週はベスト盤が1位2位に並びました。

まず1位はaikoのベストアルバム「aikoの詩。」がランクイン。いままでのシングル曲を両A面曲を含めてすべて収録したシングルコレクション。CD販売数1位、PCによるCD読取数で2位を獲得し、総合順位は見事1位獲得となりました。ちなみにオリコン週間アルバムランキングでも初動売上8万9千枚で1位獲得。直近作「湿った夏の始まり」の初動6万8千枚(3位)からアップしています。

2位は男性5人組のアイドルグループ、Da-iCEのベストアルバム「Da-iCE BEST」がランクイン。CD販売数2位、ダウンロード数8位、PCによるCD読取数48位を獲得。オリコンでは初動売上3万5千枚で2位初登場。直近のオリジナルアルバム「BET」の3万8千枚(3位)からダウン。ベスト盤の初動がオリジナルアルバムの初動売上を下回るのは固定ファンのみに支えられており、それ以外に人気が波及していないアイドル系によくありがちな傾向で、そういう意味では「らしい」結果となっています。

3位にはAvicii「TIM」がランクイン。CD販売数では9位、PCによるCD読取数は53位でしたが、ダウンロード数で1位を獲得。総合順位でも見事ベスト3入りとなりました。昨年4月にわずか28歳という若さで急逝した、世界的な人気を誇るEDMミュージシャン。本作は彼の残された録音やメモなどを基として共同プロデューサーたちが作り上げた3枚目となるアルバム。オリコンでは初動売上7千枚で9位初登場。前作「Stories」の9千枚(11位)より若干のダウンとなっています。

続いて4位以下の初登場盤です。まずは6位にテヨン「VOICE」がランクイン。韓国の女性アイドルグループ、少女時代のメンバーによる日本盤では初となるミニアルバム。CD販売数4位、PCによるCD読取数78位で総合順位は6位にランクイン。オリコンでは初動売上1万7千枚で6位初登場。

7位には一十木音也(寺島拓篤) 「うたの☆プリンスさまっ♪ソロベストアルバム 一十木音也『I am Here.』」が初登場。女性向け恋愛アドベンチャーゲーム「うたの☆プリンスさまっ♪」のキャラクターによるベストアルバム。CD販売数5位、PCによるCD読取数13位を獲得。オリコンでは初動1万9千枚で4位初登場。

初登場組最後は8位に氷川きよし「新・演歌名曲コレクション9-大丈夫/最上の船頭-」がランクイン。CD販売数6位、その他は圏外という結果に。氷川きよしのファン層的にはパソコンやらダウンロードやらは使わなそうだなぁ。昭和歌謡曲のカバーと自身のオリジナル曲を収録した「新・演歌名曲コレクション」シリーズの第9弾。オリコンでは初動売上1万7千枚で5位初登場。前作「新・演歌名曲コレクション8-冬のペガサス-勝負の花道~オーケストラ」の1万8千枚(4位)から微減。

ロングヒットでは、back number「MAGIC」は先週の8位から2ランクダウンながらも10位をキープ。CD販売数20位、ダウンロード数6位で、一方、PCによるCD読取数は今週1位を獲得。まだまだその強さを感じます。一方、あいみょん「瞬間的シックスセンス」は残念ながら今週11位にダウンし、ベスト10から陥落しています。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2019年6月12日 (水)

米津玄師旋風吹き荒れる

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今、間違いなくもっとも勢いのあるミュージシャンの一人、米津玄師。今週のヒットチャートはまさにそんな彼の人気を象徴するようなチャートとなりました。

まず1位には米津玄師「海の幽霊」が先週の9位からランクアップ。映画「海獣の子供」主題歌。今週、配信を開始されたことによりランクを大きくアップ。ダウンロード数及びラジオオンエア数で1位、Twitterつぶやき数4位、You Tube再生回数2位で見事CD販売なしでの1位獲得となりました。

さらに2位には菅田将暉「まちがいさがし」が先週の8位からランクアップ。2週ぶりのベスト3返り咲きとなっていますが、こちらも米津玄師作詞作曲プロデュースによる作品。結果として米津玄師関連作品が1、2フィニッシュを飾るという結果になっています。ちなみに本作はダウンロード数及びストリーミング数2位、You Tube再生回数で1位を獲得。ストリーミングやYou Tubeで強いあたり、ロングヒットの予感がします。

一方、米津玄師「Lemon」は今週10位までランクダウン。さすがに後がなくなってきました。とはいえ、ダウンロード数5位、PCによるCD読取数及びYou Tube再生回数4位、カラオケ歌唱回数では1位をキープしており、まだまだ巻き返しの可能性も?

3位はようやく初登場曲。V6「ある日願いが叶ったんだ」が初登場。メンバーの井ノ原快彦主演ドラマ「特捜9」主題歌。CD販売数1位、PCによるCD読取数2位、Twitterつぶやき数6位を獲得。オリコン週間シングルランクインでは初動売上9万4千枚で1位獲得。前作「Super Powers」の10万枚(1位)よりダウンしています。

続いて4位以下の初登場曲です。まず6位に名古屋を拠点に活動する男性アイドルグループMAG!C☆PRINCE「ゴメン、、離したくない」がランクイン。CD販売数は2位にランクインしましたが、そのほかはラジオオンエア数で99位、Twitterつぶやき数は100位にとどまり、総合順位ではこの位置に。オリコンでは初動売上8万3千枚で2位初登場。前作「SUMMER LOVE」の8万4千枚(1位)から微減。

そして7位にはハロプロ系女性アイドルグループJuice=Juice「『ひとりで生きられそう』って それってねぇ、褒めているの?」が初登場でランクイン。タイトルは秋元康っぽい感じもするのですが、楽曲的には王道のアイドルポップのハロプロ系らしい曲調に。CD販売数は3位でしたが、ダウンロード数29位、PCによるCD読取数21位、Twitterつぶやき数67位にとどまり、総合順位はこの位置に。オリコンでは初動売上6万4千枚で3位初登場。前作「微炭酸」の6万2千枚(3位)より若干のアップとなりました。

今週の初登場曲は以上ですが、今週はベスト10返り咲き曲も。MAN WITH A MISSION「Remember Me」がCD販売にあわせて先週の13位から5位に大きくアップ。4週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。フジテレビ系ドラマ「ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~」主題歌。 CD販売数は6位でしたが、ダウンロード数は5位から3位にアップ。総合順位も5位にランクインしています。オリコンでは初動売上3万2千枚で6位初登場。前作「Take Me Under」の2万4千枚(4位)よりアップ。

最後にロングヒット曲ですが、今週、あいみょん「マリーゴールド」は5位から9位にダウン。「Lemon」同様、こちらも厳しい結果になっています。ストリーミング数及びYou Tube再生回数は3位にダウン。ダウンロード数も6位から7位にダウンしています。ただ、とはいえまだまだストリーミング数もYou Tube再生回数も上位にランクインしており、こちらも今後の巻き返しに期待したいところです。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums。

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2019年6月11日 (火)

多彩な女性ボーカルが参加

Title:I Am Easy To Find
Musician:The National

アメリカはニューヨーク、ブルックリンを拠点として活動しているインディーロックバンド、The National。2010年にリリースしたアルバム「High Violet」がアメリカビルボードチャートで3位にランクインするなどブレイク。特に前々作「Trouble Will Find Me」は各種メディアなどでも高い評価を受け、日本でも一気に注目が集まりました。ただ、彼ら自体の結成は1999年というから、なにげにキャリア20年を誇るベテランバンド。その作風からは長いキャリアに裏付けされた安定感も覚えます。

さて、そんな彼らの約2年ぶりとなるニューアルバム。本作もアメリカビルボードでは5位、イギリスのナショナルチャートでは2位にランクインするなど、人気の面でも安定してきています。The Nationalといえば、哀愁感と優しさを同居させたようなメロディーラインをシンプルに聴かせるポップバンドという点がひとつの大きな特徴。本作でも、その特徴な遺憾なく発揮されています。アルバムの冒頭を飾る「You Had Your Soul With You」もテンポ良い楽曲ながらもゆっくりと優しく包み込むのようボーカルで歌われる暖かみのあるポップソングが魅力的。まずは彼ららしい魅力的なポップチューンでアルバムの幕は開きます。

そして今回のアルバムの特徴は数多くの女性ボーカリストが参加している点。例えばボーカル、マット・バーニンガ-のボーカルに寄りそうように優しく歌われる「Roman Holiday」ではデイヴィット・ボウイのセッションミュージシャンとしても活躍したゲイル・アン・ドロシーが参加。彼女はどちらかというとバックコーラスとしての参加となるのですが、長いキャリアを持つ彼女らしい深みのあるコーラスが大きな魅力となっています。

またタイトル曲「I Am Easy To Find」ではThis Is the Kit名義でも活躍している女性シンガー、ケイト・ステーブルスが参加。静かな歌声で優しく聴かせてくれていますし、「So Far So Fast」ではアイルランドのシンガーソングライター、リサ・ハニガンがほぼメインボーカルとして参加。ドリーミーでサイケ気味なサウンドをバックに、その美しいボーカルを聴かせてくれています。

さらには女性ボーカルではありませんが、「Her Father In The Pool」「Dust Swirls In Strange Light」「Underwater」ではブルックリン青少年合唱団が参加。合唱団の美しく澄み切った歌声が、楽曲に神々さすら与えており、アルバムの中でも大きなインパクトとなっています。

そんな訳で女性ボーカリストの参加により楽曲がより美しく、優しさを感じさせるようになった今回のアルバム。それに呼応するためか、サウンド面でも前作に見受けられたガレージロック的な楽曲はなくなり、逆にピアノやストリングスを取り入れたアコースティック色の強い楽曲が多くなり、サウンド面でも優しさを感じさせるポップなアレンジに仕上がっていたように感じます。

ちなみに今回のアルバム、女性ボーカルが参加するも、あえて特定のボーカリストが参加するのではなく、多くのボーカリストが参加しているのは、マット曰く「人々のアイデンティティの構造をより多く表現しようと思った」からだそうで、その多様性もまたこのアルバムの大きな魅力となっています(ちなみに男性が参加していないのはマットが男は嫌だったからだそうです(笑))。

前作も比較的シンプルで優しいポップチューンが大きな魅力でしたが、今回は多様な女性ボーカルが参加することによりその魅力がより際立った傑作アルバムに仕上がっていたと思います。シンプルゆえに比較的多くの方に素直にお勧めできる傑作アルバム。ポップなメロディーが心に染み入る作品です。

評価:★★★★★

The National 過去の作品
Sleep Well Beast


ほかに聴いたアルバム

Rammstein/RAMMSTEIN

ドイツのメタルバンドによる約10年ぶり、久々となる新作。非常に重いメタリックなサウンドでダークに聴かせる楽曲が特徴的。このヘヴィーな楽曲の雰囲気に、ある種の堅苦しさを感じさせるドイツ語が妙にマッチしており、妙なインパクトを与えています。彼らのアルバムを聴くのはこれがはじめてですが、このドイツ語という点も含めて非常にインパクトを覚えるアルバムになっていました。

評価:★★★★

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2019年6月10日 (月)

伝説のバンドによる伝説のステージ

Title:三田祭 1972
Musician:村八分

1969年から1973年の4年間のみ活動し、その激しいパフォーマンスで「伝説的なバンド」として今でも名高い村八分。本作は1972年11月23日に、慶応義塾大学三田祭の前夜祭でのライブの模様を収録したライブアルバム。もともとこのライブの模様は2000年に「Live'72-三田祭-」として発表されていましたが、今回は新たに発見されたコピーテープを使用。ゆらゆら帝国などでおなじみのエンジニア、中村宗一郎によるリマスタリングが施され、新たにリリースされました。

そんなリマスタリングが施されたアルバムなのですが、それにも関わらず正直言って音はかなり悪いです。曲によってはボーカルのチャー坊こと柴田和志の声がほとんど聴こえないような曲もあり、その点は「リマスタリングだから」といって期待すると若干期待はずれに感じる部分があるかもしれません。もっとも、当時の機材で、かつ学園祭での演奏ということを考えれば、この音の悪さでも仕方ないのでしょうが・・・。

ただ、そんな音の悪さを差し引いても、70年代初頭にこれだけかっこいいバンドが日本に居たのか!!ということをあらためて驚かされる迫力ある演奏が実に魅力的なアルバムになっています。シャウト気味のしゃがれ声で歌うチャー坊のボーカルが非常にカッコよく、強く印象に残ります。また、迫力あるバンドサウンドも印象的。サウンド的にはローリングストーンズからの影響が顕著で、特に「あッ!!」のギターリフなどはまさにそのまんま。もっとも1972年といえば、ストーンズにとっては「メイン・ストリートのならず者」がリリースされた頃で、今から考えると、ようやくそのスタイルを確立させてきたころ。その頃に、ストーンズフォロワーとはいえ、ここまでの実力を感じさせるバンドが日本に居たということは驚きです。

なにより彼らのカッコよさを感じさせる大きな要素はそのリズム感の良さのように思います。ともすれば今ですらそう感じることが多いのですが、どうも日本人はリズム感が悪いようで、スクエアでグルーヴ感が皆無のリズムを奏でるロックバンドが今でも少なくありません。そんな中で彼らは、それこそストーンズに通じるようなブラックミュージックからの影響をしっかりと感じさせるグルーヴィーな演奏を聴かせてくれます。また、「水たまり」「機関車25」などブルースの影響をダイレクトに感じさせるギターを聴かせてくれたりして、こちらの演奏も見事。正直、メロディーラインにはちょっと和風というか歌謡曲的な部分も垣間見れるのですが、このリズムのカッコよさが彼らの大きな魅力になっているように感じます。

時代的にはちょうどこの年の2月にあさま山荘事件が発生するなど、学園紛争の余波が残る時代。オーディエンスには政治思想を持ったグループも詰めかけるなど、かなり物々しい雰囲気だったとか。今回のライブ盤ではそんな緊迫感も演奏を通じて感じることが出来ます。逆に、これだけ緊迫感のある演奏は、こんな会場の雰囲気を反映してのことだった、と言えるかもしれません。この緊張感あふれる雰囲気もこのライブ盤の大きな魅力に感じます。

また今回のアルバムには、当日の模様をおさめたDVDも収録。ただ、こちらはねじ巻き式の8mmフィルムで撮影されたため、断片的な映像。音も入っているのですが、こちらは撮影者監修の元で、後付けで音を重ねたもの。途切れ途切れの映像であり、鑑賞用というよりは、記録的な価値の強い映像となっています。ただ、この断片的な映像なのですが、そこからはしっかりと当日のアグレッシブな彼らのステージの魅力が伝わってきます。今の目から見ても、これよりかっこいい演奏を聴かせてくれるロックバンドは今の日本でどのくらいあるんだろう・・・と考えてしまうような、魅力的なステージでした。

こんなカッコいいバンドが、今から40年以上前に日本に存在していたということにあらためて驚かされるライブ盤。音的には非常に悪いため、聴きずらさを感じる部分も少なくありませんが、それを差し引いても「名盤」と言えるライブ盤だったと思います。時代の空気も感じられるロック好き必聴のアルバムです。

評価:★★★★★

村八分 過去の作品
ぶっつぶせ!!


ほかに聴いたアルバム

Mr.cook/東野純直

最近、ラーメン屋での修行を経て、独立。人気ラーメン店の店主として成功を収めたことも話題となった東野純直。ただ、音楽活動も継続しているようで、このたび8年ぶりとなるニューアルバムがリリース。彼はデビューアルバム以来、アルバムタイトルの頭文字がAからスタートし、アルファベット順に並んでいるのですが、本作ではついに「M」まで到達。「Mr.cook(=料理人)」というタイトルはまさに今の彼を表しているタイトルという訳でしょうか。

そんな久々となったニューアルバムですが、楽曲のスタイルとしては以前と全く変わりません。ピアノをバックに歌う爽やかなポップチューンの連続。本作では分厚いバンドサウンドでダイナミックに聴かせる曲も多く、スケール感を覚える曲も少なくありません。ここらへんの音の分厚さは90年代っぽい感じもするのですが、良くも悪くも安定感のあるポップソングが楽しめる1枚でした。

評価:★★★★

東野純直 他の作品
GOLDEN☆BEST 東野純直~アーリーシングルコレクション~
Loading Myself

THE WORLD/go!go!vanillas

最近、人気上昇中のロックバンド、go!go!vanillasのニューアルバム。彼らのアルバムは今回はじめて聴いたのですが、基本的にポップで軽快なギターロックをメインに、ガレージロックな作品があったり、サマーポップ風のさわやかなナンバーがあったり、カントリー風の曲があったりとバラエティー豊富。ひとつ核となるような曲が欲しいかも、という印象も受けるのですが、そのバリエーションの多さに最後まで飽きずに楽しめるアルバムになっていました。

評価:★★★★

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2019年6月 9日 (日)

アフリカン・アメリカンの「レガシー」をテーマに

Title:LEGACY!LEGACY!
Musician:Jamila Woods

前作でデビュー作であるアルバム「Heavn」が、各種メディアの年間アルバムランキングで上位にランクインし高い評価を得たシカゴのR&BシンガーJamila Woods。最近では話題のHIP HOPミュージシャン、Chance the Rapperの「Sunday Candy」に参加していることでも大きな注目を集めました。そんな彼女の約3年ぶりとなる2枚目のニューアルバムが本作。今回、彼女のアルバムをはじめて聴いたのですが、このデビュー作の高い評判に違わぬ傑作アルバムに仕上がっていました。

まず本作で印象的だったのは彼女の歌声。アルバムの1曲目を飾る「BETTY」は静かな雰囲気のトラックでしんみりと聴かせる楽曲になっていましたが、包み込むような雰囲気のボーカルが魅力的。ちょっとしゃがれた雰囲気の声も大きな魅力となっており、一言でいえばスモーキーという表現がピッタリ来るのでしょうか。ボーカリストとしての深みを感じるそのボーカルが大きな魅力になっていました。

また今回のアルバムは「LEGACY!LEGACY!」というタイトルが示すように彼女が今までの人生で影響を受けてきた芸術作品がテーマになっています。実際、特にアフリカン・アメリカンの芸術家の名前を冠した楽曲が並んでおり、「ZORA」は1920年代から40年代に活躍した作家、ゾラ・ニール・ハーストンの名前ですし、「MILES」はまさにジャズの巨人、MILES DAVISの名前。同じくジャズミュージシャンの「SUN RA」の名前を付けた曲もありますし、「MUDDY」なる曲はやはりMUDDY WATERSの名前を冠した曲ということでしょうか。アフリカン・アメリカンの偉大なる業績を伝えるテーマ性の強いアルバムになっています。

もっとも楽曲的にはそんな偉人たちの影響をそのまま受けた・・・というよりはしっかりとジャミーラの色と付けた、聴かせるメロウなソウルチューンが並びます。アルバムとしてはしっかりと歌を聴かせる楽曲が並んでおり、シンプルに彼女の歌声を聴かせる楽曲が耳を惹きました。

そんな中でも例えば「SONIA」ではラップを取り入れ、エレクトロなトラックの中には今風のリズムを入れてきていますし、「MILES」ではその名前の通りか、エレクトロジャズの要素も。また、「MUDDY」では力強いギターの音も取り入れたり、楽曲によりバラエティーを感じさせまず。全体的には彼女のスモーキーなボーカルを含め、昔ながらのソウルの要素を強く感じつつ、一方では強いリズムトラックが耳を惹く、比較的今風にアップデートされたサウンドが大きな魅力に感じました。

今回のアルバムがはじめて聴いた彼女のアルバムとなるのですが、その歌声とメロディーに強く惹かれる傑作アルバムだったと思います。まだ本作が2作目となるキャリア的にはまだまだのミュージシャンですが、ボーカルにはある種の貫禄すら感じますし、これからの活躍が非常に楽しみなミュージシャン。ソウルやR&Bが好きなら間違いなく要チェックの1枚です。

評価:★★★★★

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2019年6月 8日 (土)

シンプルなサウンドと歌が魅力的

Title:Spirit
Musician:Rhye

ロサンジェルスを拠点に活動する男性2人組デュオ、Rhye。デビュー作「Woman」で大きな注目を集め、昨年リリースした2枚目のアルバム「Blood」も傑作アルバムに仕上がっていました。そんな彼らが続いてリリースしたのは前8曲入りのEP。うち1曲はイントロ的、あと1曲インターリュード的なインストナンバーが入り、実質6曲入り27分という短い作品ですが、今回のアルバムも彼らの魅力がしっかりと詰まった傑作アルバムに仕上がっていました。

さて、ピアノの静かな音色に彼らの澄み通るボーカルを聴かせるイントロ曲「Dark」に続くのが事実上の1曲目であり、ミュージックビデオが先行配信された「Needed」なのですが、まずこれが実に美しい!彼らのウイスパー気味のハイトーンボイスに静かなピアノやストリングスが重なるサウンドがとにかく美しいのですが、さらに静かに聴かせるメロディーラインがとにかく切なく、胸に染み入ってくるような楽曲になっています。

さらに「Patience」ではアイスランドのミュージシャン、オーラヴァル・アルナルズが参加。本作もピアノの音色とボーカルがとにかく美しいナンバーなのですが、特に本作では楽曲全体に流れるピアノの調べが非常に瑞々しい美しさを感じさせます。そしてインスト曲を挟み、「Wicked Dream」はメロディアスな歌を聴かせる、この中では比較的テンポが速めのポップチューン。シンセも入り、ちょっと懐かしさも感じるAORのテイストの強いナンバーに仕上がっています。

後半も美しい楽曲が続きます。「Awake」はピアノとストリングスの音色のみで伸びやかに美しく聴かせるバラードナンバー。幻想的な雰囲気はこのアルバム随一な楽曲に仕上がっています。そしてラストを締めくくる「Save Me」は切なく歌い上げるボーカルが印象に残るのですが、ピアノの音色は意外と可愛らしく、比較的明るくポップにまとまった楽曲に。最後は爽やかな印象でアルバムは幕を閉じます。

全編、ピアノやストリングスが入り静かに美しく聴かせるサウンドと、澄み切ったボーカルが歌う切ないメロディーが魅力的な楽曲が並びます。エレクトロサウンドなども取り入れていた前作「Blood」と比べると、打ち込みは抑えめとなり、ピアノとストリングスのアコースティックな音が目立つ構成になっています。その結果、サウンド的には暖かみが増したという印象を受けるのですが、一方、そのサウンドに呼応するようにボーカルには前作よりも包容力を感じさせます。ただしその一方で、前作の魅力だったボーカルのエロティシズムは本作からは皆無。もっともその歌声は前作から大きくは変わっているわけではなく、サウンドとのバランスにより絶妙にスタイルを変えてくる、そのボーカリストとしての表現力に舌を巻く内容になっていました。

楽曲的には決して今風といった感じではなく、シンプルなサウンドにあくまでも歌を聴かせる、いい意味でシンプルな、ある種の普遍性を感じさせるポップスが魅力的。特に今回の作品ではアコースティックなアレンジもあり、そのシンプルさがより前に出てきたように感じます。とにかく終始、その美しい歌声に聴きほれる傑作アルバム。シンプルなゆえに、その歌の魅力がより際立ったアルバムでした。

評価:★★★★★

Rhye 過去の作品
Blood


ほかに聴いたアルバム

Purse/Elvis Costello&The Imposters

4月13日のレコードデイ限定でリリースされたエルヴィス・コステロの4曲入りEP。その後、ストリーミングでも配信を開始し、そちらで聴くことが出来ました。全4曲入りの内容はコステロがボブ・ディラン、バート・バカラック、ジョニー・キャッシュ、ポール・マッカートニーという錚々たる面子とコラボした楽曲が収録された作品。どれもミディアムテンポで聴かせる曲が多く、いい意味で安定感を覚える楽曲に。正直言うと派手さはないのですが、安心して聴くことが出来る良質なポップスが4曲並ぶ作品になっていました。

評価:★★★★

Elvis Costello 過去の作品
Momofuku(Elvis Costello&the Imposters)
Secret,Profane&Sugarcane
National Ransom
Wise Up Ghost(Elvis Costello&The Roots)
LOOK UP(Elvis Costello&the Imposters)

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