2018年7月16日 (月)

数多くのミュージシャンへ影響を与えたガールズバンド

Title:CHATMONCHY Tribute ~My CHATMONCHY~

2005年にメジャーデビュー。3枚目となるシングル「シャングリラ」が大ヒットを記録し、一躍人気バンドの仲間入りを果たし、その後も根強い人気を誇ったガールズバンド、チャットモンチー。ただご存じのように今年7月の解散(完結)を発表し、その活動に幕を下ろします。そんな彼女たちへのトリビュートアルバムがリリースされました。

チャットモンチーの音楽シーンに対して与えた影響というのは、まず何よりも女の子だけでもバンドが出来るということを形で示した点が大きいように感じます。いままでの日本の音楽シーンではレベッカにしろLINDBERGにしろジュディマリにしろ、ボーカルは女の子だけどもそのほかのメンバーは男というスタイルのバンドが圧倒的に多かったですし、プリンセスプリンセスのようなヒットを飛ばした女の子オンリーのバンドもありましたが、ポップス寄りだったためか、正直、その後のフォロワーはほとんどあらわれませんでした。

しかし、チャットモンチーの登場以降、女の子オンリーのバンドがグッと増えたように思います。今回のトリビュートに参加しているねごとなんかもまさにチャットモンチーのフォロワー的なガールズバンドですし、最近ではSHISHAMOなどもブレイクを果たしています。SCANDALやSilent Sirenみたいなアイドル寄りのバンドも目立ちますが、チャットモンチーのブレイク以降、ガールズバンドが増えたというのは何よりも彼女たちがロックバンドとしてもカッコよかったというのが大きな要因なのではないでしょうか。

今回のトリビュートアルバムでも、そんなシーンに対するチャットモンチーの影響を示すかのように多くのバンドが参加しています。前述のねごとが「シャングリラ」をカバーしているほか、ここでも何度か紹介している管理人がいま一押しのガールズバンド、CHAIも「Make Up! Make Up!」で参加。さらに今回、一般公募でも参加を募り、ペペッターズ、月の満ちかけというインディーバンドも参加しています。

チャットモンチーといえば、女の子の心境をストレートに歌った歌詞が大きな魅力的。それだけに今回のトリビュートでもガールズバンド、あるいは女性ボーカルのバンドのカバーが一番しっくりきたように感じます。ねごとやCHAIもそうですが、ほかにもHomecomingsやHump Back、集団行動やきのこ帝国などがそんなガールズバンド、あるいは女性ボーカルによるバンド。ある意味「無難なカバー」といった印象でしたが、ただチャットモンチーらしさをいい意味でしっかりと残したカバーだったと思います。

ただ逆に強いインパクトを残したカバーはむしろ男性勢で、まずは冒頭を飾る忘れらんねえよの「ハナノユメ」。バンド結成のきっかけとなった曲だそうで、さらに彼らの代表曲「CからはじまるABC」では歌詞の中でチャットモンチーが登場するくらい大きな影響を受けているバンド。がなり声と分厚いサウンドでのパンクのカバーに仕上げており、チャットモンチーの曲を忘れらんねえよのスタイルに無理やり引きずり込んだようなカバーになっていますが、とにかく熱いそのボーカルからはチャットモンチーへの愛情が最も伝わってくるカバーとなっていました。

またグループ魂の「恋愛スピリッツ」のカバーもユニーク。まあ、彼らは多くのトリビュートアルバムに参加していて、そのカバーのスタイルはある意味全く同じなのですが、今回は曲の途中にコントが、それもチャットモンチーご本人出演で登場するスタイル。結構ブラックなネタでユニークな内容になっています。

さらに強いインパクトだったのがラストのギターウルフ「東京ハチミツオーケストラ」。原曲はチャットモンチーらしい可愛らしいギターロックなのを無理やりギターウルフらしい強烈なガレージロックでカバー。あまりの変貌ぶりは賛否両論ありそうですが、間違いなく強いインパクトのあるカバーになっていました。

そんなインパクトあるカバーがありつつも、ただアルバム全体としては正直言うと、良くも悪くも無難な感じがして、イメージを大きく逸脱したり、彼女たちの曲をつかって実験をするようなインパクトあるカバーは少なかったかな。比較的若手のバンドが多く、チャットモンチーがラスト前のトリビュートということで若干遠慮してしまったのでしょうか。ファンにとっては安心して聴けるのですが、もうちょっと意外性あるカバーも欲しかったかもしれません。ただ、チャットモンチーの魅力はきちんと伝わるカバーに仕上がっていたと思います。チャットモンチーのファンはもちろん、参加しているファンにとっても楽しんで聴けるトリビュートアルバムだと思います。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

週刊少年ジャンプ50th Anniversary BEST ANIME MIX vol.2

創刊50周年を迎えた人気漫画週刊誌「週刊少年ジャンプ」のテレビアニメの主題歌や挿入歌などを集めたノンストップミックスアルバム第2弾。正直、第1弾に比べると最近のアニソンの割合が多くなり、アラフォー世代にとって懐かしいと感じる曲は少なくなってしまうのがちょっと残念。最近の曲に関しても良くも悪くもいかにもJ-POPな曲が多く、インパクトはあるものの平凡な曲が多かったかも。とはいえ「うしろゆびさされ組」やらドラゴンボールの「魔訶不思議アドベンチャー!」やら、高橋ひろの「アンバランスなKissをして」やら小比類巻かほるの「City Hunter ~愛よ消えないで~」やら懐かしい曲もチラホラ収録されており、やはりそれなりに楽しんで聴くことが出来ました。

ただ前作同様、50周年の企画盤なのに70年代以前のアニメ主題歌が皆無なのはちょっと残念。第3弾まで予定されているようですが、オールタイムのミックスにするよりも年代別に分けた方がリスナー層も分けられてよかったのでは?またWANDの「世界が終るまでは・・・」をはじめスラムダンクの主題歌は収録されていないんですね。ビーイング系はこの手のコンピへの参加を拒否したということでしょうか。ただ、Vol.1でFEEL SO BADが参加していたので、完全拒否という訳ではないと思うのですが・・・。

評価:★★★★

週刊少年ジャンプ50th Anniversary BEST ANIME MIX vol.1

Telepathy/SPECIAL OTHERS ACOUSTIC

インストバンドSPECIAL OTHERSのアコースティック編成、SPECIAL OTHERS ACOUSTIC名義による2枚目のアルバム。軽快なサウンドのポップスが多く、いい意味での聴きやすさを感じる一方、アコースティック編成らしい暖かいサウンドにほっとするようなインストナンバーが並んでいます。目新しさはないものの、しっかりと心に響いてくるアルバムです。

評価:★★★★★

SPECIAL OTHERS 過去の作品
QUEST
PB
THE GUIDE
SPECIAL OTHERS
Have a Nice Day
Live at 日本武道館 130629~SPE SUMMIT 2013~
LIGHT(SPECIAL OTHERS ACOUSTIC)
WINDOW
SPECIAL OTHERS II

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2018年7月15日 (日)

結成35年。超ベテランバンドの軌跡。

Title:GREATEST HITS VOL.1
Musician:The Flaming Lips

結成から35年。サイケデリックなサウンドとキュートなメロディーラインで根強い支持を誇るバンド、The Flaming Lips。その彼らの初となるオールタイムベストがリリースされました。CDでは3枚組となり、全52曲3時間40分強というかなりボリューミーな内容がまずは目をひく今回のベスト盤。さすが30年以上のキャリアを誇る超ベテランバンドなだけあります。

楽曲はワーナー移籍後のもの。1992年にリリースされたアルバム「Hit to Death in the Future Head」以降の曲が収録されています。CDのうち1枚目2枚目は、その「Hit to Death in the Future Head」から最新アルバム「Oczy Mlody」までの曲がリリース順に収録され、彼らの歩みがわかる構成に。そして3枚目のCDにはレア音源や未発表曲などの楽曲が収録されています。

The Flaming Lipsといえばアルバム毎にいろいろなタイプの楽曲を聴かせてくれているバンドなのですが、ベスト盤を聴くと、まさにバラエティーあふれる楽曲が並んでおり、彼らの音楽性の広さを強く感じる内容になっていました。1曲目を飾る「Talkin' 'Bout The Smiling Deathporn Immortality Blues (Everyone Wants To Live Forever)」はギターノイズが楽曲を埋め尽くす、まさにシューゲイザー系直系の楽曲からスタート。初期の作品に関しては、まさにそんなシューゲイザー系からの影響を受けたような楽曲が並んでいます。

ただそんな雰囲気が徐々に変わってくるのが「Brainville」あたりから。サイケな作風のアレンジにはなっているものの、アコギに鈴の音色も鳴り響く明るい雰囲気のポップテイストの強い楽曲で、ビートルズからの影響も強く感じる本作は、初期のギターロック路線からの新たな方向性を感じさせる曲調となっています。

その後もソウルのテイストを加えてきた「Riding To Work In The Year 2025」、アコースティックなテイストながらもリズムは打ち込みというアンバランスさがユニークな「Yoshimi Battles The Pink Robots Pt.1」、ビートルズ直系のポップな作風が耳を惹く「The Yeah Yeah Yeah Song」、60年代テイストを感じるちょっとレトロな雰囲気の「Silver Trembling Hands」、さらに最近の曲では「Always There In Our Hearts」「How??」のようにエレクトロなサウンドも取り入れています。

3枚目のレア音源でもこのバラエティー性は顕著。「Jets (Cupid's Kiss Vs The Psyche Of Death)」はブルージーなギターを聴かせてくれますし、「If I Only Had A Brain」のようなまるでキッズソングのような曲も。さらにラストは「Silent Night / Lord, Can You Hear Me」(「きよしこの夜」ですね)という日本人にもおなじみのクリスマスソングで締めくくるという展開もユニークです。

ただそんなバラエティーあふれる作風が特徴な彼らですが、基本的にはどの曲もエフェクトをかけまくったサウンドでサイケな雰囲気を醸し出しつつ、メロディーは非常にキュートでポップで耳を惹くというのが共通項。このサイケだけどとてもポップという方向性は「Frogs」など初期の作品でも既に確立されており、例えば「Waitin’ For A Superman (Is It Getting Heavy?)」「Do You Realize??」など美しいメロディーラインがとにかく魅力的という曲がこのアルバムの中でも多く収録されています。

このバラエティー富んだ作風とポップでキュートなメロディーラインという大きな要素のため、今回のアルバム、4時間近くにも及ぶボリューミーな内容ながらも最後までほとんどだれることなく、一気に聴ききれてしまう内容になっていました。そのサイケでドリーミーなサウンドにキュートなメロディーという実に甘美的な雰囲気を味わえるアルバムで、しっかりとThe Flaming Lipsの魅力が伝わってきたベストアルバムだったと思います。

The Flaming Lipsといえばゴム製の骸骨にUSBをつけてEPとしてリリースしたり、さらには本物の骸骨の中に24時間にも及ぶ楽曲をおさめてリリースしたりと、特に最近では奇抜な行動が目立つバンドなだけに、少々とっかかりずらいという印象を受ける方もいるかもしれません。実際、グラミー賞を受賞した「Yoshimi Battles the Pink Robots」やその後のオリジナルアルバムではそれなりのヒットを記録したものの、アメリカビルボードでベスト10入りしているオリジナルアルバムは2009年の「Embryonic」のみと、どちらかというとやはり「音楽ファン受けが強いバンド」という印象も否めません。ただこのベスト盤を聴けば、確かに癖の強さがある部分もありますが、決して聴きにくいバンドではなく、むしろポップなメロディーラインは幅広い層でもアピールできる魅力のあるバンドであることに気が付くのではないでしょうか。さすがに3枚組3時間40分強というボリュームは彼らへの入り口としては少々お勧めしにくい部分もあるのですが・・・興味があればぜひともチェックしてほしい、そんなベスト盤です。

評価:★★★★★

THE FLAMING LIPS 過去の作品
EMBRYONIC
The Dark Side Of The Moon
THE FLAMING LIPS AND HEADY FWENDS(ザ・フレーミング・リップスと愉快な仲間たち)
THE TERROR
With a Little Help From My Fwends
Oczy Mlody

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2018年7月14日 (土)

2人だけのステージ

チャラン・ポ・ランタン ホールツアー2018 ”唄とアコーディオンの姉妹劇場 ~ページをめくって~”

会場 名古屋市芸術創造センター 日時 2018年7月6日(木)

アコーディオンの陽気なメロディーにのって、ジンタやバルカン音楽、サーカス風の音楽など楽しい音楽を奏でるももと小春の2人組デゥオ、チャラン・ポ・ランタン。以前からライブがいかにも楽しそうで、是非ともライブに行きたいミュージシャンの一組だったのですが、このたび、ようやくライブに足を運ぶことが出来ました。

この日のライブは名古屋市芸術創造センターというそこそこの規模の会場。ただ、残念ながら満員という訳にはいかず後ろの方には空席も・・・。客層は意外と年齢層が高く、アラサーから40代50代もチラホラ。確かに「若者に受けそう」なミュージシャンではないのですが、ちょっと意外でした。

さて今回のライブは「唄とアコーディオンの姉妹劇場」ということでももと小春の姉妹2人のみのステージ。ステージはそのためほぼベアのステージに2人のステージドリンクを置いた小さな机が2つと照明が並んでいるだけ。非常にシンプルなステージとなっていました。

そして2人だけではじまったステージはいきなり1曲目から新曲!それも静かに聴かせる楽曲からスタートし、静かにライブは幕をあげました。続く「嘘にキス」も哀愁たっぷりに聴かせる楽曲。序盤は静かにスタートしたライブでしたが、正直、2人だけのライブ。音も歌声とアコーディオンのみというカラオケ音源もないステージで、広い会場の中、少々寂しい雰囲気すら感じてしまったスタートでした。

ただ続いて新曲でツアータイトルにもなった「ページをめくって」でようやくアップテンポの曲になり会場が徐々に暖まります。続くMCでは姉妹で息の合ったコントのようなユーモラスなトークを展開し、そのまま同じく新曲の「juu-juu」へ。こちらも軽快でポップなナンバーで会場は盛り上がりつつ、一気に代表曲の「71億ピースのパズルゲーム」「雄叫び」で一気に盛り上がります。

中盤自称もっともリズム感がないボーカリストというももがタンバリンに挑戦し、上手くリズミカルなタンバリンを鳴らしながら「ストロベリームーン」を可愛らしく歌っていました。その後は「ダンス・ダンス」から軽快な「あの子のジンタ」へ。続くMCでは小春がひとりで。チャラン・ポ・ランタンに憧れてアコーディオンを始める人も最近は少なくないみたいで、「そういうのうれしいよね」という話をしていました。そしてこの話からの流れで「憧れになりたくて」に流れ込みました。

次の曲がはじまる前に小春が一度ステージから去ります。ここでももはステージの下に落ちていたチラシのような紙を拾い上げて、そこに書かれている文章を読むように朗読。そしてそのまま「私の宇宙」を歌います。小春がステージに戻ってくると、いままでとは異なるアコーディオンが。おそらく電子アコーディオンだと思うのですが、甲高い、ビブラフォンのような音色のするアコーディオンをバックにしんみりと歌い上げいます。

「美しさと若さ」「サーカス・サーカス」と続いてライブは終盤戦へ。「この先のシナリオはあなた次第」では観客を立たせてライブを盛り上げます。さらに「メビウスの行き止まり」でライブはさらに最高潮へ。しかしラストはグッと雰囲気がかわり、ももと小春は交互にステージから一度去ります。この日のステージ衣装は人形のようなかわいらしい服装だったのですが、そのいままでの衣装にケープをまとい登場します。ラストはまた朗読からスタート。その朗読からそのまま歌に入るのですが、この曲は初耳。ひょっとしたら新曲でしょうか?しんみりと聴かせるナンバーで、最後は二人背中合わせのまま歌うと、上から雪が舞い降りてきました。美しい雰囲気のまま2人はそのままステージを去り、本編は終了となります。

もちろんそのままアンコールへ。アンコールはツアーTシャツを着たいままでとはうってかわってシンプルな服装で登場。最初はMCをかねてツアーグッズ紹介。そしてまたもや新曲へ。小学館の図鑑NEOのCMソングで「ガリレオ」というこれまた軽快なナンバー。そしてラストは彼女たちの代表曲「進め、たまに逃げても」「ムスターファ」「最後の晩餐」をメドレー形式で一気に披露します。会場のテンションは最高潮のまま、ライブは幕を下ろします。約2時間10分のステージでした。

さて、この日は「姉妹劇場」ということで前述の通り、ステージは彼女たち2人のみ。演奏もアコーディオンのみの演奏で、カラオケの演奏すら入っていない、本当に2人のみのステージでした。正直言うと最初は、広いステージで2人だけの演奏で、ちょっと寂しさすら感じられ、不安も覚えたのですが、ライブが進むにつれてそんな違和感は徐々になくなり、最後は広いステージの上でも全く寂しさを感じさせない2人の存在感を覚えたステージでした。

ステージもかなり凝っていて、シンプルなステージなのですが、後ろの壁に照明で2人の壁を映し出したり、白い布をステージ中央にかかげることにより、ステージの中に「部屋」のような空間を作り出したりと、シンプルながらも工夫を凝らしたライブで、ステージがちょっとした「劇」の空間のようになっていました。

正直なところライブを見終わった後でも、次はライブハウスのようなもっと小さい会場で、かつバンド編成でのライブを見てみたいな、とも思ったのですが、2人のステージももちろんとても楽しく、最初は心配していたステージでしたが、終わった後は非常に満足して会場を後にすることが出来ました。

もものボーカルも予想していたよりも表現力豊富で上手く、また小春のアコーディオンの演奏も非常にアグレッシブな演奏を聴かせてくれ、ライブバンドとしての実力も強く認識することが出来ました。また2人の息の合ったMCもとてもユニークで楽しかった!一度見てみたかった彼女たちのステージですが、期待どおりの素晴らしいライブでした。次は是非ライブ編成で!

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2018年7月13日 (金)

インパクトあるユニークなフレーズで20年

Title:マシンガンズにしやがれ!!
Musician:SEX MACHINEGUNS

デビュー当初から高い技術力を誇った演奏をバックに聴かせる本格的なメタルサウンドと、そんなメタルサウンドにまったくマッチしていないコミカルな歌詞が大きな話題となったSEX MACHINEGUNS。特に1999年にリリースされた「みかんのうた」は、本格的なメタルでありながらもリーダーASACHANGの故郷、愛媛県の名産品みかんへの讃歌を高らかに歌い上げるという曲で、サビの「みかんみかんみかん!」というあまりにもストレートなシャウトはある種の衝撃を与えました。

そんな彼らもメジャーデビューから早くも20年(!)。ただ、途中活動休止の時期もあり、かなりメンバーの変遷も激しいバンドだったりします。結果としてメジャーデビュー時のオリジナルメンバーで残っているのはリーダーのASACHANGのみ(ギターのSUSSYは現在、サポートメンバーとして復帰しているようですが)。事実上、ASACHANGのワンマンバンド的な活動となっていますが、それでも20年間、続いたというのは素晴らしい事実だと思います。

今回はそんなメジャーデビュー20年を記念してリリースされたオールタイムベスト。まずタイトルとジャケットが印象的・・・というか、おそらくいつかはやりたかったんだろうなぁ、これ。言うまでもなくSEX MACHINEGUNSというバンド名自体、パンクバンドSex Pistolsのパロディーなのですが、その彼らの唯一のオリジナルアルバム「勝手にしやがれ!」のタイトルとジャケット写真をそのままパロったのが今回のアルバム。ある意味このパロディー、誰もが考えつきそうなのですが、20年のベストで満を持してといった感じでしょうか。

さてマシンガンズといえば上にも書いたとおり、本格的なメタルサウンドに、それとミスマッチしたユニークな歌詞が特徴的。特に「みかんのうた」で見られるようなとにかくインパクトがあってユニークなワンフレーズをサビでシャウトするというスタイルをよく取り入れているのですが、そのスタイルはデビュー当初から最近の曲に至るまで基本的に変化はありません。

今回のアルバムに関してはほぼ発表順に並んだ内容になっています。途中、特にDisc1の終盤あたり「そこに、あなたが...」のような真面目路線にシフトしようとした曲もありましたが、最近になればなるほどむしろ初期の作品を彷彿とさせるユーモラスな歌詞の曲が多くなってきます。往年のテレビドラマ「西部警察」について歌った「ダイヤモンド軍団」やらタイトル通りの「エグイ食い込み」など、へヴィーなメタルのサウンドとは反するようなユニークな歌詞が魅力的。特に歌詞の展開や物語性で笑わせるというよりも、インパクトあるフレーズで一気に押し切るといった歌詞が多く、それだけに一度聴くと忘れられないような曲が少なくありません。

一方では「情熱の炎」や、今回新曲として収録されている「SAMURAI WARRIOR」のような男らしく熱い内容の歌詞の曲も実は少なくなく、ここらへんはある意味メタルのイメージと一致しているといっていいかもしれません。メタルのイメージとのギャップを楽しむ曲とメタルのイメージに沿ったような曲を同じように楽しめるのも彼らの大きな魅力かもしれません。

ただ楽曲のスタイルも歌詞の方向性もデビュー当初から大きな変化はなく、そういう意味では彼らの曲は「大いなるマンネリ」。もっともデビュー20年を迎えた最近のナンバーでもまだまだ十分インパクトあるフレーズを書いてきていますし、そういう意味では無理にマンネリ路線からの脱却を狙うよりも今後もこの方向性のほうがいいように感じます。また今回、デビュー当初の曲から最近の曲まで通して聴いても、まったく違和感なく、ここ最近の曲もデビュー当初の曲に負けていないインパクトある曲が多いということを再認識しました。正直、一時期に比べて売り上げの側面では落ち込んでしまっている彼らですが、もうちょっと売上的に持ち直してもいいような。へヴィーメタルとはいえ歌詞的にも非常に聴きやすい曲が並んでいるだけに、メタルリスナー以外にも是非とも聴いてほしいベスト盤です。

評価:★★★★★

SEX MACHINEGUNS 過去の作品
キャメロン
SMG
LOVE GAMES

METAL MONSTER


ほかに聴いたアルバム

KICK UP!! E.P./Shiggy Jr.

同じくミニアルバムの前作「SHUFFLE!!E.P.」からわずか半年ぶりのリリースとなった本作。今回もアニメ「斉木楠雄のΨ難」のオープニングテーマに起用された「お手上げサイキクス」など、ノリノリでインパクトあるディスコチューンを中心としたアルバムに仕上がっています。楽曲的には十分なインパクトもあり、わずか5曲のミニアルバムとはいえそれなりにバリエーションを入れてきている魅力的なアルバムに仕上がっています。個人的にはもうちょっと売れてもいいバンドだと思うのですが・・・。次はフルアルバムを聴きたいところ。

評価:★★★★

Shiggy Jr. 過去の作品
ALL ABOUT POP

SHUFFLE!!E.P.
 

山崎×映画/山崎まさよし

Yamasakieiga

山崎まさよしの過去の楽曲のうち、映画で使用された曲だけ集めた配信限定の企画盤。彼の代表曲「One more time,One more chance」が映画「50回目のファーストキス」の挿入歌に使用されたことから企画されたそうです。もっとも「映画に使用された」という共通点のみで楽曲的にはほとんど共通項はなく、「代表曲を網羅」といった感じでもないので、わざわざ聴くにはちょっと微妙な企画盤のような感じもするのですが・・・もちろん収録されている曲は基本的に彼らしい暖かみを感じる名曲ばかりですが。

評価:★★★

山崎まさよし 過去の作品
COVER ALL-YO!
COVER ALL-HO!

IN MY HOUSE
HOBO'S MUSIC
Concert at SUNTORY HALL
The Road to YAMAZAKI~the BEST for beginners~[STANDARDS]
The Road to YAMAZAKI~the BEST for beginners~[SOLO ACOUSTICS]

FLOWERS
HARVEST ~LIVE SEED FOLKS Special in 葛飾 2014~
ROSE PERIOD ~the BEST 2005-2015~
UNDER THE ROSE ~B-sides & Rarities 2005-2015~
FM802 LIVE CLASSICS

LIFE

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2018年7月12日 (木)

人気の「歌い手」グループが初の1位

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

ニコニコ動画を中心に人気の「歌い手」グループが初の1位獲得です。

まず今週1位を獲得したのは動画投稿サイトニコニコ動画の人気コーナー「歌ってみた」への投稿で人気を博した「歌い手」によるグループ、浦島坂田船「V-enus」が1位獲得。本作がシングルアルバム通じて初の1位獲得。初動売上5万5千枚は前作「Four the C」の2万9千枚(4位)からアップしています。

2位は先週1位の宇多田ヒカル「初恋」がワンランクダウンながらもこの順位をキープ。3位には韓国の女性アイドルグループRed Velvet「#Cookie Jar」がランクイン。本作が日本でのデビュー作。初動売上2万6千枚でいきなりのベスト3ヒットとなりました。

続いて4位以下の初登場盤です。5位にはさだまさし「Reborn~生まれたてのさだまさし~」がランクイン。レコードデビュー45周年を迎えるクレープから数えて彼の45枚目となるアルバム。ナオト・インティライミやレキシなども参加して話題となっています。初動売上1万1千枚は前作「惠百福 たくさんのしあわせ」の8千枚(9位)からアップ。

6位には「STORMBLOOD:FINAL FANTASY XIV Original Soundtrack」がランクイン。タイトル通り、「FINAL FANTASY XIV」のサントラ盤。初動売上1万1千枚。「FF XIV」関連だと直近作、祖堅正慶「Eorzean Symphony: FINAL FANTASY XIV Orchestral Album」1万3千枚(7位)よりダウン。

7位初登場は徳永英明「永遠の果てに~セルフカヴァー・ベストⅠ~」。タイトル通り、初となるセルフカバーアルバム。「壊れかけのRadio」「レイニーブルー」「夢を信じて」など往年のヒット曲が数多くセルフカバー曲として収録されています。初動売上は9千枚。直近作はオリジナルアルバム「BATON」で同作の初動1万4千枚(8位)からはダウンしています。

初登場ラスト8位には神崎エルザ starring ReoNa「ELZA」がランクイン。テレビアニメ「ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン」の登場人物によるアルバム。初動売上9千枚でベスト10入りです。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2018年7月11日 (水)

ロングヒットが目立つ

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

まず1位はAKB48系が獲得。

まず1位はSKE48「いきなりパンチライン」。彼女たちとしては珍しいラテン調のナンバー。CD販売・ダウンロード・ストリーミング数(以下「実売数」)で1位、PCによるCD読取数及びTwitterつぶやき数で3位、ラジオオンエア数82位という結果に。オリコンでは初動売上24万枚で1位獲得。前作「無意識の色」の27万8千枚(1位)からダウンしています。

2位はDA PUMP「U.S.A.」が先週の4位からランクアップし、自己最高位を獲得。実売数で2位を獲得しているほか、ラジオオンエア数18位、PCによるCD読取数及びTwitterつぶやき数5位といずれも上位をキープしているのですが、特に強いのがYou Tube再生回数の1位。確かに、この曲、You Tubeでついつい何度も見てしまいます・・・。オリコンのCDシングルランキングでは23位に留まっていますが、デジタルシングルチャートでは2位を獲得しており、典型的なデジタル主導のヒットとなっています。

3位は米津玄師「Lemon」が先週と変わらず3位をキープ。実売数4位のほか、PCによるCD読取数及びYou Tube再生回数が2位を獲得しており、まだまだロングヒットが続きそうです。

この2位、3位ともにロングヒットのナンバーなのですが、今週はほかにもロングヒットが目立ちました。

なんといっても米津玄師。「LOSER」が先週の10位から5位にランクアップしたほか、なんとDAOKO×米津玄師「打上花火」が先週の11位から7位にランクアップ。2月19日付チャート以来21週ぶりのベスト10返り咲きを果たしています。全体的にほかに強力盤がなかったことがロングヒット曲を押し上げた要因になっていると思われますが、「打上花火」は実売数で5位、You Tube再生回数では6位を獲得。特にYou Tube再生回数は20位以内を常にキープしており、驚異的なロングヒットの大きな要因となっています。

続いて4位以下・・・ですが、今週は実は初登場曲がありませんでした。ベスト10圏外からの返り咲きは上記「打上花火」ともう1曲。4位にHKT48「早送りカレンダー」が先週のベスト100圏外からランクアップし、5月21日付チャート以来8週ぶりに返り咲いています。これは例のごとく握手券付の「劇場盤」の通販販売数が加味された影響。オリコンチャートでも2位にランクアップしています。

今週のHot100は以上。明日はアルバムチャート。

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2018年7月10日 (火)

内省的な作風が印象的

Title:Ye
Musician:Kanye West

今、いろいろな意味でアメリカを最も騒がしているミュージシャン、Kanye West。先日もアメリカのトランプ大統領を支持するツイートを行い、賛否両論入り混じる大きな話題となりました。日本でも先日、RADWIMPSの「HINOMARU」をめぐる騒動があったばかりですが、カニエがトランプ支持という投稿をするのを日本で考えれば宇多田ヒカルとかミスチルの桜井とかB'zの稲葉とかそのレベルのミュージシャンが「安倍総理支持」とツイートしたと仮定すれば、確かに賛否入り混じる騒動になりそうな感じも・・・。もっとも彼の場合、アメリカにおける黒人差別という歴史と差別的な発言すら行うトランプ大統領という背景があるだけに、余計にその発言が反響を生み出しているのでしょうが。

そんな騒動の渦中にリリースされたのが今回のニューアルバム。カニエのアルバムといえば、以前、CDではアルバムを発表しないと表明したり、前作「The Life Of Pablo」では当初、自らが共同オーナーをつとめるストリーミングサービスTIDALのみで発表したりとこちらもいろいろな意味で世間を騒がしてきました。そして今回の作品はわずか7曲入り23分というミニアルバムのようなアルバム。今回も配信先行でのリリースとなりましたが、ただCDでのリリースも予定されているようです。

まず今回のアルバムで大きな特徴的なのは、アルバム全体として非常に内省的な内容になっているという点でした。まず冒頭を飾る「I Thought I About Killing You」からして、ストリングス主導のちょっと悲し気なトラックに、ラップはどちらかというとポエトリーリーディング的なもの。さらに今回、この曲のラストに自ら双極性障害であるという告白が大きな衝撃を与えています。

さらにこの曲をはじめ、全体的に美しいメロディーラインが耳を惹く曲が多く、例えば「Wouldn't Leave」も美しいボーカルトラックが強い印象に。この曲は妻のキムへの愛情を歌ったナンバーだそうで、そんな歌詞を反映するかのような実に美しい曲に仕上がっています。「Ghost Town」もメロディアスな歌が中心となった歌モノ。分厚くノイジーなトラックも耳に残るダイナミックなナンバーに仕上がっています。

ラストを飾る「Violet Crimes」は暴力的な犯罪というタイトルとは裏腹に、自分の娘2人に対する愛情を歌ったナンバー。こちらもピアノを中心とした美しいトラックに歌うようなラップに女性ボーカルによる歌も印象に残ります。いろいろと騒動を起こしているカニエ・ウェストもいっちょ前にパパさんなんだなぁ、ということでほほえましくすら感じてしまいます。

そんな訳で、歌詞自体も非常に内省的にまとめあげられており、メロディーやトラックもそれに合わせるようにメロディアスな雰囲気にまとまっている今回のアルバム。衝撃的な告白はあるものの、全体的に等身大の人間としてのカニエ・ウェストを描いており、受け止めやすい内容になっていたと思います。また全体的にメロディアスでポップな内容にまとまっていたため、HIP HOPリスナー以外にとっても十分楽しめる、いい意味で「ポップ」なアルバムになっていたと思います。23分という短さもいい意味で聴きやすい内容に仕上がっていた作品。良くも悪くも話題に上る彼ですが・・・やはりミュージシャンとしては一流であることを感じることが出来た傑作でした。

評価:★★★★★

KANYE WEST 過去の作品
GRADUATION
808s&Heartbreak
MY BEAUTIFUL DARK TWISTED FANTASY
YEEZUS
The Life Of Pablo

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2018年7月 9日 (月)

エレクトロサウンドで今風にアップデート

Title:SAFARI
Musician:土岐麻子

途中、ベスト盤のリリースを挟みつつ、約1年4ヶ月ぶりとなった土岐麻子の新作。前のオリジナルアルバム「PINK」ではサウンドプロデューサーとしてトオミヨウを起用し、エレクトロサウンド色が強くなった作風が大きな特徴となっていました。今回のアルバムも基本的にその作風を踏襲し、前作同様にエレクトロサウンドの色合いが濃いアルバムに仕上がっていました。

今回のアルバムはテーマとして「サファリ体験をイメージし、『人の心の内側に息づく“野性”』や『街の裏側に潜む“生”』などを描いた作品」となっているそうで、そんなアルバムを象徴する作品が1曲目の「Black Savanna」。都会をジャングルに模して描きつつ、その中で生きる自分の孤独さを歌ったような内容になっており、まさに「SAFARI」というタイトルに沿ったような歌詞に。都会を「コンクリートジャングル」と表現する方法は少々陳腐ではあるかもしれませんが、まさにそんな「コンクリートジャングル」を描いたようなアルバムになっています。

サウンド的にも、少々トライバルな雰囲気を醸し出しつつ、スペーシーなエレクトロサウンドになっている作品に。このクラブ系の色合いが強いエレクトロサウンドという方向性も今作は非常に顕著になっており、「FANTASY」「Flame」など、強いビートを強調しつつ、リバースを生かしたエレクトロサウンドが印象的な楽曲を作り出しています。

もともと彼女の楽曲にはジャズやソウルの要素が強く含まれているのですが、特に昨今のジャズシーンではクラブ系サウンドに大きく寄ったミュージシャンも少なくありません。そういう意味でも彼女の楽曲は、ある意味、昨今のジャズシーンやシティーポップの動向に寄り添ったような方向性と言えるでしょう。実際にその試みは見事に成功していたように感じますし、しっかりと「今」を感じさせるアルバムに仕上がっていました。

その上に前作以上にバリエーションの多様さが増した本作。大橋トリオと組んだ「CAN'T STOP」ではエレクトロサウンドにアコギのサウンドを加えたアップテンポなポップスになっており、エレクトロとアコースティックが同居したインパクトあるポップソングに仕上がっていましたし、「SUNNY SIDE」もスウィング風のリズムが軽快で楽しいポップスに。アニメ「グラゼニ」のエンディングテーマにも起用された「SHADOW MONSTER」も軽快なディスコポップに仕上がっており、いい意味でタイアップ曲らしい耳に残るポップソングに仕上がっていました。

本編ラストの「名前」はピアノでしんみり聴かせるバラードナンバーで締めくくり。非常にきれいな形でアルバムは締めくくられます。前作「PINK」もなかなかの良作でしたが、今回のアルバムではより土岐麻子とトオミヨウのタッグが上手くいっていたように感じました。個人的には彼女のアルバムのうち、ここ数作の中では一番の傑作アルバム。このコンビ、次回作も続けるのでしょうか。まだまだこれからも楽しみです。

評価:★★★★★

土岐麻子 過去のアルバム
TALKIN'
Summerin'
TOUCH
VOICE~WORKS BEST~
乱反射ガール
BEST! 2004-2011
CASSETTEFUL DAYS~Japanese Pops Covers~
HEARTBREAKIN'
STANDARDS in a sentimental mood ~土岐麻子ジャズを歌う~
Bittersweet
PINK
HIGHLIGHT-The Very Best of Toki Asako-


ほかに聴いたアルバム

Takeshi Kobayashi meets Very Special Music Bloods/小林武史

ご存じミスチルやレミオロメンなどのプロデューサーとして知られる小林武史が、ここ最近、プロデュースを行った作品を収録したオムニバスアルバム。「初CD化が多数」という売り文句ですが、昔と違って「初CD化」といってもはじめて音源としてリリースされるという訳ではなく、配信限定でリリースされた曲がはじめてCDになった、という意味。そういう意味ではレア度は低めながらも、ミスチル桜井やback number、YEN TOWN BAND、クリープハイプ、Salyuなど豪華なメンバーがズラリと参加したアルバムになっています。

ここ最近の小林武史は、ストリングスを多用した大味なアレンジが多く、正直言って本作もさほど期待していなかったのですが、意外とエレクトロサウンドも多様していたり、彼の本来の持ち味だったはずのメロディーラインをしっかりと前に押し出した作品も多く、そういう意味ではいい意味で小林武史らしさがきちんと出ていた作品になっていました。もちろん曲によっては、いかにも彼らしいストリングスアレンジが入っていたり、ベタなスケール感で大味な印象を受ける作品もありましたが、概してメロディアスなポップソングを素直に楽しめる作品に。参加ミュージシャンのファンなら素直に楽しめるアルバムだったと思います。

評価:★★★★

小林武史 過去の作品
WORKS1

アスター/KANA-BOON

KANA-BOONの新作は、「夏」をテーマとした5曲入りのミニアルバム。まあ基本的にはいつも通りの爽快でアップテンポなギターロックがメイン。それなりにメロディーもサウンドもインパクトあるものの、良くも悪くもいつも通りな感じ。ファンなら安心して楽しめるアルバムになっていました。

評価:★★★★

KANA-BOON 過去の作品
DOPPEL
TIME
Origin
NAMiDA
KBB vol.1

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2018年7月 8日 (日)

J-POPリスナー層にも訴求しそうなポップス

Title:Love Is Dead
Musician:CHVRCHES

かわいらしい女性ボーカルと軽快なポップソングが魅力的で本国イギリスやスコットランドでも高い人気を誇る女性ボーカル+男性2名という3ピースバンドCHVRCHES(チャーチズ)。前作から約2年8ヶ月。待望の3rdアルバムがリリースされました。

彼女たちの音楽の大きな特徴はメロディーが非常にわかりやすく軽快な、どこか80年代も彷彿とさせるシンセポップと、かわいらしい女性ボーカル。基本的に1枚目も2枚目も、そんな彼女たちの特徴をそのまま生かした素直なポップソングが並んでいましたが、3作目となる本作もそんな彼女たちの基本路線をきちんと踏襲した、実に彼女たちらしいポップソングが並んでいました。

また彼女たちの楽曲は、洋楽としては珍しくわかりやすいサビを持ったJ-POP的な構造の曲が多く見受けられるのも特徴的。本作でいえば1曲目「Graffiti」もわかりやすくインパクトあるサビを持っていますし、「Graves」などはまさしくテンポよいリズムとサビにむかって盛り上がっていき、わかりやすいサビが展開する楽曲構造などはまさしくJ-POP的。ここらへん、かわいらしい女性ボーカルとあわさって、普段、洋楽を聴かないようなリスナー層にも訴求しやすいポップスだと思っています。そういう意味ではもっと日本でも売れてもいいタイプのミュージシャンだと思っているのですが・・・。

また「Heaven/Hell」やある種のスケール感を感じるラストソングの「Wonderland」のシンセサウンドなど、80年代の匂いを感じるシンセの使い方にどこかノスタルジックな雰囲気も感じます。ここらへんも彼女たちの音楽がいい意味で聴きやすさを感じさせる大きな要因でしょう。

今回のアルバムでちょっと異色的だったのが「My Enemy」でThe Nationalのマット・バーニンガーが参加していること。マットのボーカルが渋さを感じさせるナンバーになっており、アルバムの中でもひとつのインパクトとなっています。また「God's Plan」でもいつものように男性ボーカル曲を入れてきて、アルバムの中でのバリエーションを持たせています。この曲はよりエレクトロ色が強く、ダンサナブルなテクノ風のナンバーに仕上げており、ここらへんのバリエーションの持たせ方もいつも通りといった感じでした。

そんな訳でアルバムの内容としては1枚目、2枚目と大きな変化はありません。ただ、彼女たちみたいな軽快なポップソングが魅力的なミュージシャンは変にスタイルを変えてくるよりも、本作のようにあくまでもポップであることを追及したアルバムの方が良いのかもしれません。実際、3作目となる本作でもメロディーのポップスさもあり、マンネリな雰囲気を全く感じることなく魅力的なポップアルバムに仕上がっていました。上にも書いた通り、J-POPリスナー層でも違和感なく楽しめるポップスだと思うだけに、普段洋楽を聴かないような方も、是非ともチェックしてみてほしいのですが・・・。日本でももっともっと人気が高まってほしいなぁ。

評価:★★★★★

Chvrches 過去の作品
The Bones Of What You Believe
Every Open Eye

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2018年7月 7日 (土)

戦後日本のポップス史を代表する作曲家による自選集

今の日本のポップスシーンにおいてもっとも重要な作曲家は誰か、と問われた時に筒美京平の名前を出して異論と唱える方は少ないのではないでしょうか。1967年に「バラ色の雲」でヒットを飛ばして以降、数えきれないほどのヒット曲を世に送り出し、総売上枚数7560万枚はかの小室哲哉を上回り、歴代1位を記録しています。さすがにここ数年はかつてほどのヒット曲の量産は行っていないものの、いまなおコンスタントに作曲は続けています。

そんな彼の1967年のブレイクから50年の記念ということで3組の自選作品集をリリースしました。

Title:筒美京平自選作品集 50th Anniversaryアーカイヴス AOR歌謡

Title:筒美京平自選作品集 50th Anniversaryアーカイヴス シティ・ポップス編

Title:筒美京平自選作品集 50th Anniversaryアーカイヴス アイドル・クラシックス

このうち「AOR歌謡」と「シティ・ポップス」に関しては正直言って違いは少々あいまい。あえていえば「AOR歌謡」はAORと名乗りつつも、ムード歌謡や演歌の領域に入るような楽曲も並んでいます。

さてこの自選作品集、それぞれ40曲が収録され、全120曲という大ボリューム。その量にも関わらず誰もが知っているようなヒット曲の連続で、筒美京平の作家としてのすさまじさがわかります。

そしてその曲調なのですが、実にいろいろなジャンルがあってバラバラ。例えば「AOR歌謡」に収録されている五木ひろしの「かもめ町 みなと町」はド演歌ですし、かと思えば小沢健二の「強い気持ち・強い愛」などは当時、「渋谷系」と称されていたこじゃれた洋楽テイストの強いポップチューンに。C-C-B「Romanticが止まらない」のような80年代の王道を行くようなエレクトロポップがあったかと思えば、SHOW-YAの「その後で殺したい」のようなロックナンバーもあったり、さらには「サザエさん」みたいなアニメソングまであったりします。

例えば同じ一世を風靡した作曲家でも、小室哲哉だとか織田哲郎だとか、いずれもその作家の手癖がついており曲を聴いただけで彼らの曲だとわかる楽曲が少なくありません。しかし、彼の場合は楽曲を聴いていてもそんな印象は皆無。完全に裏方に徹しており、そういう意味では徹底して「プロ」だということがわかります。

ただ、そんな中であえて筒美京平らしさを探ろうとすると、ちょっと抽象的な言い方になるのですが、メロディーラインは「エッジの利いた」というよりもどこか丸みを帯びた優しさを感じさせます。強烈なインパクトのあるサビで聴かせるというよりは、楽曲全体のメロディー構成できちんと聴かせてくれるような印象。インパクトあるワンフレーズに安直に頼らない、ある意味腰の落ち着いた楽曲づくりを感じます。

また、特に「AOR歌謡」に収録されている曲のように、ムード歌謡色や演歌色の強い楽曲に関しても、どこかバタ臭さというか洋楽からの影響が垣間見れるのも彼の大きな特徴に感じます。彼は90年代に前述のオザケンやピチカート・ファイヴのような渋谷系と呼ばれる洋楽テイストの強い、その時代の先頭を行っていたようなミュージシャンたちからリスペクトを受け、彼らへの楽曲提供を行っているのですが、それも彼のつくる楽曲が単なる「昔ながらの歌謡曲」ではなく、しっかりと広く海外からの影響も受けている点、渋谷系にもつながるものを感じたのでしょう。

ちなみに今回、3組のアルバムをリリースしたのですが、このうち実は一番おもしろかったのが「アイドル・クラシックス」。なにげにその時代時代を感じさせる楽曲が並んでおり、ほぼリリース順の並びになっているのですが、日本歌謡史をアイドルへの楽曲を通じて垣間見ることが出来るような内容になっています。

さらに今回、「自選作品集」という建付けになっているため、かなりメジャーな曲でも本作からはずれた曲がありました。例えば近藤真彦の「ギンギラギンにさりげなく」などはおそらく誰もが知っている大ヒット曲でありながらも今回のアルバムには収録されていませんし、NOKKOの「人魚」も未収録となっています。収録できない大人の事情がある曲もあるのかもしれませんが、こういうヒット曲も彼にとってはベストといえる出来ではなかったということでしょうか。興味深く感じます。

とにかく日本の歌謡史を彩るヒット曲の連続で、非常にボリューミーな内容ながらも最後までまったくダレルことなく楽しめたオムニバスアルバムでした。あらためて筒美京平という作曲家の偉大さを感じる作品。かなりボリュームある内容ですが、ポップス好きはまずチェックしておきたいオムニバスです。

評価:いずれも★★★★★

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