2018年12月13日 (木)

男性アイドルグループ対決

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週は男性アイドルグループが1位2位に並びました。

1位はジャニーズ系。Sexy Zone「カラクリだらけのテンダネス」。日テレ系ドラマ「ドロ刑-警視庁捜査三課-」主題歌。CD販売数、PCによるCD読取数及びTwitterつぶやき数で1位を獲得。ラジオオンエア数も32位にランクインしています。一方、2位に初登場してきたのが祭nine.「がってんShake!」。こちらは名古屋を拠点にする男性アイドルグループ、BOYS AND MENの弟分、BOYS AND MEN研究生の選抜メンバーにより結成されたグループ。CD販売数2位でしたが、PCによるCD読取数39位、Twitterつぶやき数61位という結果になっています。

結果、ジャニーズ系が1位を制したわけですが、オリコンチャートによるCDの初動売上はオリコン1位のSexy Zone16万5千枚に対してオリコン2位の祭nine.は12万6千枚とさほど差はありません。昔はジャニーズ系以外の男性アイドルグループは遅かれ早かれジャニーズ系によって潰されるといわれたものですが、その時代からすると隔世の感があります。ただし、Hot100のCD販売数以外の順位を見る限りは、まだ両者の人気に差はありそうですが。

ちなみにSexy Zoneは前作「イノセントデイズ」の初動14万8千枚(1位)からダウン。祭nine.は前作「HARE晴れカーニバル」の初動10万2千枚(1位)からアップしています。

3位はEXILEの弟分的ユニットFANTASTICS from EXILE TRIBE「OVER DRIVE」が初登場でランクイン。本作がデビュー作ですが、軽快でポップなEDMチューンとなっており、EXILE系の中ではアイドルテイストが強い印象のグループ。CD販売数3位、ダウンロード数32位、ストリーミング数20位、ラジオオンエア数5位、PCによるCD読取数14位、Twitterつぶやき数31位を記録しています。オリコンでは初動9万3千枚で3位初登場。

続いて4位以下の初登場曲です。まず4位に女性アイドルグループBiSH「stereo future」がランクイン。CD販売数4位、ダウンロード数84位、ラジオオンエア数2位、PCによるCD読取数16位、Twitterつぶやき数40位を記録。オリコンでは初動売上5万7千枚で4位初登場。前作「NON TiE-UP」の7千枚(12位)からアップしています。

今週の初登場組はもう1曲。10位にさユり×MY FIRST STORY「レイメイ」が初登場。テレビアニメ「ゴールデンカムイ」オープニングテーマ。「2.5次元パラレルシンガーソングライター"酸欠少女"」と名乗る中2病全開の女性シンガーと男性ロックバンドによるコラボシングル。楽曲的には比較的シンプルでJ-POP色の強いギターロックといった印象で、両者の「J-POP」っぽい部分を抽出したようなイメージ。CD販売数7位に対してダウンロード数5位と上回っており、比較的幅広い層からの人気を伺わせます。ほかにPCによるCD読取数10位、Twitterつぶやき数37位を獲得。オリコンでは初動1万2千枚で7位初登場。さユりとしては前作「月と花束」の1万3千枚(10位)から若干のダウン。一方、MY FIRST STORYは前作「ACCIDENT」の6千枚(15位)から大幅に売上を伸ばし、シングルでは初のベスト10ヒットとなりました。

また今週は返り咲き組も1曲。Uru「プロローグ」が先週の11位から8位にランクアップ。5週ぶりにベスト10に返り咲いています。いろいろな意味で話題となったTBS系ドラマ「中学聖日記」主題歌。11月12日付チャートで10位に初登場した後、14位→14位→13位→11位と推移しており、ロングヒットの傾向にあります。CD販売数は12位に留まっているものの、ダウンロード数では2位を記録。このダウンロード数がロングヒットの大きな要因となっているようです。

ほかにロングヒット曲では米津玄師「Lemon」が2位から5位にダウン。ただし、ダウンロード数3位、PCによるCD読取数7位、You Tube再生回数2位、カラオケ歌唱数1位とまだまだ高い順位をキープしています。ちなみに米津玄師は「Flamingo」も今週7位にランクインしており、6週目のベスト10入りを記録しておりロングヒットの傾向に。特にダウンロード数が1位を記録しているほか、PCによるCD読取数も2位、You Tube再生回数3位と上位にランクインしており、まだまだヒットは続きそう。

一方DA PUMP「U.S.A.」も今週は3位から6位にダウン。ただYou Tube再生回数は1位をキープ。カラオケ歌唱数及びストリーミング数は2位、ダウンロード数は6位をキープしており、こちらもまだまだロングヒットは続きそうです。

今週のHot100は以上。アルバムチャートはまた明日更新予定!

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2018年12月12日 (水)

ネタ満載の濃ゆい3時間

レキシTOUR2018 まんま日本ムキシばなし

会場 名古屋国際会議場センチュリーホール 日時 2018年11月29日(木)18:30~

その高いエンタテイメント性が評判となり、ライブツアーを行う毎にどんどん人気が増し、会場も大きくなってきた、池田貴史のソロプロジェクト、レキシ。ついに彼のワンマンライブにはじめて足を運ぶことが出来ました。会場はセンチュリーホールという大箱。そしてもちろんソールドアウトでした。

Rekisi_2

ライブは定時、18時半ちょうどに会場が暗くなります。するとステージ後ろのモニターに、いきなり往年の名アニメ「まんが日本昔ばなし」のタイトルで「稲穂の神様」の文字が。さらに池ちゃん本人が主演の「昔ばなし」風のコメディーがスタートします。

物語は池ちゃん扮する農民の吾作が日照りに苦しむシーンからスタート。裏山の祠にお参りをすると、なんと稲穂の神様が登場。この神様が扮するのはなんとロバート秋山という豪華キャスト(笑)。神様曰く、「おもしろいものが見たい」ということで、「じゃあライブを見せましょう」という流れでライブがスタート。さらにここで「まんが日本昔ばなし」のオープニングのパロディー映像が流れ、そしてメンバー登場となりました。

1曲目はいきなり最新アルバム「ムキシ」の先行シングルでもあった「SEGODON」からスタート。まんま産業ロック調のダイナミックなナンバーで序盤からアゲアゲでスタートです。途中のサビではいきなり観客とのコールアンドレスポンズも。しかしここでなぜか「SEGODON」のサビに混じり、HOUND DOGの「ff」の「愛がすべてさ いまこそ歌うよ~♪」と歌わせ、なぜか会場は大盛り上がりでした。

このいきなりラストのような盛り上がりで、この曲が終わると「それではみなさんさようなら~!」とまるでライブが終わるかのような振りを・・・もちろんそれは「ネタ」でその後もライブは続行。そのまま「なごん」へと続き、序盤から一気に盛り上がっていきます。

そんな訳で序盤からいきなり大盛り上がりの中でスタートしたレキシのライブ。対バン形式でのライブは以前見たことあったのですがワンマンは今回初体験。評判は聴いていたのですが、一言で言うと非常に濃いライブでした。とにかく1曲毎に「ネタ」が満載のステージ。さらっと原曲通り歌ってお終いという曲はほとんどなく、バンドメンバーと共にこれでもかというほどの様々なネタを繰り広げていく、まさに捧腹絶倒のステージになっていました。

続く「年貢for you」ではなぜか途中から懐かしのJ-POPを池ちゃんみずから歌い始めます。名古屋ということで名古屋出身のミュージシャンを会場に募ったところ、なぜかまずマツケンの声が・・・(出身は豊橋ですが・・・)。さらにスキマスイッチも。スキマスイッチについては常田真太郎について「勝手にアフロをやめやがって。アフロ界の裏切り者です」とコメントしていました(笑)。

さらに懐かしいアルバムからの曲ということで1stアルバム「レキシ」から「Let's忍者」、そして2ndアルバム「レキツ」から「ペリーダンシング」へ。この「ペリーダンシング」では最後は懐かしい武富士のCMソングへと突入。最後は池ちゃんがCMのようなエビぞりのポーズをかなり無理目に決めて終了、というオチになりました。

この曲の最後ではステージ上に突然イルカの浮き輪が登場し、「KMTR645」へ。この曲、毎回、観客席の上を大きなイルカの浮き輪が舞うことがライブの定番らしく、この日もイルカの浮き輪が1階席で舞っていました。ちなみにこの曲、大化の改新をネタとした曲で、最初なんでイルカの浮き輪?と思ったのですが・・・ああ、蘇我入鹿ね(^^;;

さらに「墾田永年私財法」「SHIKIBU」さらに「GET A NOTE」と続き、まずは前半戦が終了。メンバーが一度ステージから去ると、また映像が流れます。今度も「まんが日本昔ばなし」のパロディーで「鶴の恩返し」。最後は池ちゃんが扮する「鶴」が大空へ去っていくと、まるで紅白の小林幸子を彷彿とさせるような、大きな鶴の羽根を背負ったようなド派手な衣装の池ちゃんが登場。「SAKOKU」へと突入します。ちなみにこの曲、原曲では後半、オシャレオキシこと上原ひろみのピアノソロのシーンがあり、この日のバンドメンバー、ピアノの元気出せ!遣唐使こと渡和久が立ち上がったり、後ろ手にピアノを弾いたりするパフォーマンスを披露し、会場を盛り上げた・・・かと思えばいきなりピアノが鳴っているにも関わらずピアノを離れ踊り出すという「弾いてなかったんかい!」というオチへ。ただ池ちゃんから突っ込みが入った後は、オシャレキシのパートも実際にピアノを弾いて見せていましたが(笑)。

ライブは終盤に「KATOKU」そしてライブでは定番の「きらきら武士」に。会場ではミラーボールがまわり、即席のダンスホールに早変わり。会場全体で大盛り上がりの中、とりあえずは本編が終了です。

ただ本編が終了すると同時に映像がスタート。また最初の「稲穂の神様」の続きが。「かなり楽しいんだけど、もうちょっと」という神様のリクエストに応じてアンコールが(アンコールの拍手は起こっていないんですが(^^;;)スタートしました。

アンコール第1弾は池ちゃんが石川五右衛門の格好に扮して「GOEMON」からスタート。そしてラストはライブの定番曲「狩りから稲作へ」へと流れ込みます。ライブグッズとして「稲穂」が売られているのですが、会場のファンの多くがこの「稲穂」を取り出して歌に合わせてゆらすというなかなかシュールな光景に。最後も「たかゆかしき~♪」というフレーズで盛り上がると、途中からいきなり「劇団四季~♪」に変わり、最後は「劇団四季~キャッツ!」というライブの定番(らしい)ネタへと続きます。

ちなみにこの曲の途中では「名古屋のみなさんは一生懸命盛り上がっていますね。飛ばされまいと必死なんでしょう!」というまさかの名古屋飛ばしのネタが(笑)(名古屋飛ばし・・・ライブツアーで東京大阪のみ、あるいは東京大阪福岡など名古屋がはずされること。国内ミュージシャンではさすがに少ないのですが、外タレではよくあるケースでそのたびに名古屋人としては悔しい思いをします・・・)まさかローカルネタの名古屋飛ばしを知っているとは(笑)。ただその後、「レキシは名古屋を飛ばしません!」といううれしい話に会場は盛り上がり、最後は「縄文式、弥生式、どっちも好き~♪」のフレーズで「名古屋が好き~♪」と歌い、会場は大盛り上がりの中、アンコールは一度終了となります。

しかしその後は再び映像が流れます。これはある程度予想していたのですが、「まんが日本昔ばなし」のエンディング「人間っていいな」のパロディー。ただ、最後、「いいないいな、人間っていいな~♪」からいきなり「稲、INA、I.N.A.」と続き、まさかのDA PUMP「U.S.A.」ならぬ「I.N.A.」でPVのパロディー映像へ!この予想外の展開には腹を抱えて笑いました。

そして、この「I.N.A.」が流れる中、メンバーが再登場。全員、「U.S.A.」のダサカッコいいコスチューンで登場。1人1人メンバー紹介がされ、最後はステージ上みんなで「U.S.A.」の「カモンベイビーアメリカ」を踊りました。この、この日一番受けたネタから最後はバラード曲「マイ会津」へ。最後はしんみりとバラードナンバーで締めくくりライブは終了。全員がステージ前であいさつし、ピッタリ3時間、長丁場のライブが幕を閉じました。

そんな訳で3時間にも及ぶライブだったのですが、曲数はわずか15曲。要するに1曲1曲ネタ満載のため長くなるんですよね。ただそれだけ非常に濃い内容のステージで、長丁場にも関わらず、あっという間のステージでした。

そしてこのネタが、バンドメンバーも巻き込んで笑える、そしてよく考えられているネタの連続で最初から最後まで笑いの絶えないステージ。もう文句なしに楽しかったです。最初にも書いた通り彼のステージはそのネタの楽しさから、どんどんと観客動員が増えているのですが、その理由も納得。確かにこれは一度見たら2度3度みたくなるし、曲を全く知らなくても楽しめるわ。上で書いたネタ以外にもたくさん笑えるネタを見せてくれましたし、私のつたない文章ではなかなか伝わらないでしょうが、本当にエンタテイメント性あふれる楽しいステージを見せてくれました。これは次回のライブも絶対に足を運ばなくてはいけませんね!心から満足して会場を後にすることが出来た、素晴らしいステージでした。

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2018年12月11日 (火)

波乱万丈な生涯

先日、Queenの伝記映画「ボヘミアン・ラプソディー」を見てきたばかりですが、それに続き、またも音楽映画を見てきました。ただし今度の映画は「ボヘミアン・ラプソディー」のような「事実を基にした物語」ではなく、ドキュメンタリー映画。「エリック・クラプトン~12小節の人生」を見てきました。

今回のドキュメンタリーはタイトル通り、エリック・クラプトンの人生を追いかけた映画。貴重な映像や関係者のインタビューにより映画が展開していく形での構成になっています。特に映像に関しては、例えばマディ・ウォーターズのライブ映像や、アレサ・フランクリンのレコーディング風景などかなり貴重な映像も収められており、興味深く見ることが出来ます。インタビューに関しては、今回の映画にあわせて収録されたものだけではなく、過去のインタビュー音源もピックアップされており、既に鬼籍に入った人の貴重な証言も収められています。こちらも映像の内容とあわせて興味深く聴くことが出来ました。

Clapton_2

今回の映画のサブタイトルに登場する「12小節」とは、クラプトンが大きな影響を受けたブルースで一般的な形式のこと。そのため、特に映画の前半では彼とブルースの関わりから、マディ・ウォーターズやB.B.KINGなどのブルースの巨人が次々と登場。ブルースが好きな身としてはかなりうれしい映像、証言の連続でした。また、彼の音楽経歴上、「ロックの歴史」に寄り添うような活動となっているため、特に前半は「ロック史」に関してのドキュメンタリーを見ているような感じにもなってきます。

またクラプトンといえば親友ジョージ・ハリスンの妻、パティ・ボイドに対する横恋慕に関するエピソードが非常に有名で、今回の映画でもその話にかなりの時間を割いているのですが、このエピソードに関して、クラプトンとパティ本人の証言が聴けるのがかなり貴重。少々生々しいような話すらあるし、ネタ的には「音楽」というよりもゴシップ的な話なのですが、とても興味深く、ここらへんのエピソードはまさに下世話ながらものめり込むのように聴いてしまいました。

しかしクラプトンといえば、このパティとのエピソードもそうですが、祖父母を「両親」だとして育てられた幼少期からスタートし、アルコール依存に息子の突然の事故死と、ひとつひとつのエピソードは非常に有名な話ばかりなのですが、こうやってドキュメンタリーとして物語的に並べて紹介されると、彼の人生は実に波乱万丈だったんだな、ということが実感させられます。

正直言うと、クラプトンについては個人的には好きでも嫌いでもないミュージシャンという印象。また、このドキュメンタリー映画の評価もさほど高いものではなかったため、当初はさほど期待していませんでした。ただ、実際に見てみると、その貴重な映像や証言の数々、そして彼の波乱万丈な人生の物語にすっかり見入ってしまい、予想以上に楽しめ、またクラプトンのことが好きになりました。映画の長さもあって、いろいろと省略されてしまった部分もあったようですが、それを差し引いても非常に興味深く楽しめた映画。とても満足した2時間でした。

以下、ネタバレの感想

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2018年12月10日 (月)

J-POP史に残るバンド

Title:BEST MONCHY1-Listening-
Musician:チャットモンチー

今年7月、惜しまれつつその活動を「完結」させたロックバンド、チャットモンチー。その突然の解散に多くのファンが衝撃を受けたと思います。本作はそんな彼女たちが解散後リリースしたオールタイムベスト。彼女たちの代表曲が発表順に収録されているほか、Disc3ではレア音源も収録されている、彼女たちの活動を総括するようなベスト盤となっています。

さてこのチャットモンチーというバンド、個人的には間違いなくJ-POP史に名前を残すレジェンド的なバンドだと思っています。その理由はトリビュートアルバムの感想でも書いたのですが、彼女たちが、数多くのガールズバンドを生み出す先駆け的存在であったため。もちろんチャットモンチーの前にも多くの女性オンリーのバンドはありました。ただ、同じくガールズバンドの代表格であるプリンセスプリンセスなどはあまりにポップス色が強すぎてフォロワー的なバンドはほとんど現れませんでしたし、逆に少年ナイフやZELDA、メスカリンドライブなどはある意味サブカル色が強すぎて、ガールズバンド登場の大きな契機とはなりませんでした。

しかし彼女たちの場合はロックバンドとしてのカッコよさを持ちつつ、同時にヒットチャートで戦えるポピュラリティーも持っており、結果として多くの女性たちに「女の子だけでバンドが出来るんだ」ということを知らしめるきっかけになったと思います。そして、彼女たちのブレイク以降、ねごと、SHISHAMO、yonige、赤い公園、the peggies、CHAI(CHAIはどちらかというと少年ナイフやZELDAからの流れかもしれませんが)などのガールズバンドが登場しました。そういう意味でチャットモンチーというバンドはJ-POP史に大きな痕跡を残したバンドだったと思っています。

そして今回のベスト盤を聴くと、あらためてチャットモンチーというバンドはいろいろな意味でバランスの取れたバンドだな、ということに気が付かされました。楽曲的にロックバンドとしてのカッコよさとポップミュージックとしてのポピュラリティーのバランスの良さはもちろんですし、例えば歌詞の世界にしても男性陣にとっては「かわいらしい」と感じさせるような女の子像を描きつつも、女の子としての等身大の本音をきちんと描いており、この「かわいらしさ」には男性陣に媚びたようないやらしさは感じられません。ここらへんの歌詞の世界観もチャットモンチーというミュージシャンが幅広く支持を集める大きな要因ではないでしょうか。また、ちょっといやらしい話かもしれませんが、彼女たちルックスも、嫌味のない程度にほどよくかわいく、そういう点でも男女ともに広く支持を広げる要因のように思います。

もっともそんな彼女たちも今回のベスト盤を聴く限り、解散の理由として出来ることをやりつくしたという理由が非常に強く納得できる内容になっていました。特に高橋久美子脱退後、2人組になってからは、2人だけでアルバムを作ったり、逆にサポートメンバーを入れてきたり、さらにラストアルバムでは打ち込みを入れてきたりと、様々な作風に挑戦してきました。そしてその結果、この2人だけで出来ることはほぼやりつくした、と感じたのではないでしょうか。今回の解散という話は非常に残念ではありますが、一方でこのベスト盤を聴くと、解散という結論を出したことになんとなく納得がいく感もありました。

そんな訳で、チャットモンチー解散は非常に残念ではあるものの、一方ではどこか「仕方なかったかな」という感想も抱くベストアルバム。おそらくこれからも2人は音楽活動を続けるでしょうが、これからの活躍も楽しみ。これからさらなる飛躍を遂げるであろう彼女たちの今後を心から応援したいと思います。

評価:★★★★★

チャットモンチー 過去の作品
生命力
告白
表情
Awa Come
YOU MORE
チャットモンチーBEST~2005-2011~
変身
共鳴
誕生


ほかに聴いたアルバム

What A Wonderful World/堀込泰行

フルアルバムでは2枚目となる元キリンジ、堀込泰行のニューアルバム。基本的にはキリンジ時代からほとんど変わらないスタイルのシティポップ。「泥棒役者」のような、彼らしいユニークな言葉の使い方をしている楽曲もあり、ファンなら満足できそうな楽曲が並びます。前作「One」ではヘナヘナしたボーカルが気にかかり、今回のアルバムでも正直、キリンジ時代と比べると声が出ていないような印象は受けましたが、前作ほどは気にならず、そういう意味では改善傾向といった感じでしょうか。アルバム全体としては目新しさは感じませんが、彼らしいポップソングで卒なくまとめられている印象が。聴いていて心地よさを感じる良質なポップアルバムでした。

評価:★★★★★

堀込泰行 過去の作品
River(馬の骨)
"CHOICE" BY 堀込泰行
One
GOOD VIBRATIONS

THE PENDULUM/降谷建志

Dragon Ashのボーカリスト降谷建志の2枚目となるソロアルバム。ピアノやストリングスを入れて叙情感を増したサウンドが前作よりも前面に出ているものの、基本的には物悲し気な歌がメインとなるアルバム。彼のメロディーセンスをこれでもかというほど生かしたような美しいナンバーがメインとなっており、前作同様、繊細さと力強さを同居させた、彼らしいソロアルバムになっていました。

評価:★★★★

降谷建志 過去の作品
Everything Becomes The Music

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2018年12月 9日 (日)

スターの孤独を描いた話題作

話題の映画「ボヘミアンラプソディー」を見てきました。

ご存知80年代から90年代にかけて一世を風靡し、日本でも絶大な人気を誇るロックバンドQUEENの軌跡を追った映画。この手の音楽映画としては珍しく大ヒットを記録。日本でも興行収入で週間1位を獲得するなど、異例の大ヒットとなっています。

実は私自身、QUEENについては名盤の誉れ高い「オペラ座の夜」やベスト盤を聴いている程度であり、正直言ってさほど思い入れの深いミュージシャンではありません。ただ、映画は前評判から非常に高かったため、これは見てみなくては、と映画館に足を運びました。

そんな訳でQUEEN自体に対しては比較的ニュートラルな立場から映画を見てみたのですが・・・まず一言で言ってしまえば非常におもしろい映画でした。一応、宣伝文句的には「QUEENの伝記映画」的なプロモーションをされています。事実、QUEENの結成からその後の活躍、さらには数々のQUEENの名曲の誕生秘話的なエピソードも多く紹介しています。さらに一番のクライマックスは終盤21分に及ぶ1985年に行われたチャリティーイベント「LIVE AID」でのQUEENのステージの完全再現。かなり細かい部分までこだわったというその映像は、まるで本当にQUEENのステージを体験しているかのよう。特に映画館の大スクリーンと音響で見ると、迫力ある演奏でグイグイと迫ってきて、21分にも及ぶシーンはひと時も目が離せません。

ただ、この映画で描かれている本題はおそらく「QUEENの伝記」ではありません。映画の中心となるのはボーカル、フレディー・マーキュリーの孤独と苦悩、そしてその後の仲間や家族たちとの和解がメイン。そのため、事実とは異なるような展開があり、その点、熱心なファンからはマイナス評価されているようですが、しかし、映画で何を描きたかったのか、を考えると、そんな異なった事実の描写も十分納得感のあるものでした。

また「フレディーの孤独と苦悩」という映画のテーマがはっきりしていたこともあって、映画全体としての流れもスムーズになっていたように感じます。結果、QUEENの、というよりもフレディーの物語を楽しみつつ、QUEENの音楽も楽しめる、そんなエンタテイメント性あふれる傑作に仕上がっていました。この手の伝記モノとしては異例の大ヒットとなっているのも納得の作品です。 また、そんな訳で、映画と共に大ヒットを記録しているサントラ盤ももちろん聴いてみました。

Title:Bohemian Rhapsody(The Original Soundtrack)
Musician:QUEEN

ちなみにこのサントラ盤、最初聴いたのは映画に行く前。もちろんその時も楽しめましたが、映画を見た後、断然、再度聴いてみたくなりました。

今回のサントラはQUEENの代表曲が収録されているのですが「ベスト盤」というよりもサントラなので当たり前ですが映画の内容に沿ったセレクトがされています。それなので映画を見る前に聴くと、ベスト盤的な内容ではないため違和感を覚える部分もあるかもしれませんが、映画を見た後だといろいろなシーンを思い起こして、胸が熱くなるような、そんなサントラでした。

特に今回のアルバムで目玉的なのが映画でクライマックスだった「Live Aid」。このライブの音源が5トラック収録されており、まさに映画を見た後だとあのシーンと重ね合わせて音源を楽しめるのではないでしょうか。

QUEENの曲は全体的にインパクトあるフレーズが含まれており、ある意味ちょっとベタとも言えるもののダイナミックな楽曲の構成は聴いていて非常に高揚感を覚えます。個人的には若干過剰と思える部分もあるのですが、ただこの高揚感がQUEENの大きな魅力ですし、映画でもこの楽曲の高揚感とフレディーの孤独が良い対比になっていたように思います。

本作単体でもQUEENのベスト盤的に楽しめますし、それ以上にやはりサントラとして映画を見た後に聴くと、さらに魅力的に感じられるアルバムだったと思います。QUEENのファンでもそうでない方も、映画を見ていても見ていなくても、チェックしておきたいサントラ盤です。

評価:★★★★★

以下、ネタバレの感想です。

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2018年12月 8日 (土)

3人のSSWの違いと共通項が上手く反映

Title:boygenius
Musician:boygenius

今回紹介するアルバムはアメリカの女性シンガーソングライターPhoebe Bridgers, Julien Baker, Lucy Dacusの3人が集まったニュープロジェクト。今回、そのプロジェクトの初になる6曲入りEPがリリースされました。すいません、こう書いておいて何なのですが、実は3人とも初耳のミュージシャンばかり。その3人が集まった、と言われてもいまひとつピンと来ませんでした。

そんなこともあって今回、この3人の女性シンガーの曲についてYou Tubeなどであらためて聴いてみました。印象としてはPhoebe Bridgersはギターサウンドをバックにしたフォークロック、Julien Bakerは美しい歌声をアコースティックなサウンドにのせて幻想的な雰囲気に聴かせるポップシンガー、Lucy Dacusはギターサウンドをバックに大人な雰囲気のボーカルでメロディアスに聴かせるシンガーといった印象。

3人のソロを聴くとタイプ的には微妙に異なる3人ですが、ただ一方では同じような方向性も感じられます。まず3人ともフォークからの影響を感じる美しいメロディーラインで聴かせるポップチューンがメインという点。また3人ともボーカルを美しく聴かせる楽曲を奏でているという点でも共通項でしょう。

そんな3人が組んだプロジェクトだからこそ、3人の音楽性の異なる点をうまく生かしつつ、3人の共通項をしっかりと聴かせる、この手のユニットらしいアルバムがリリースされました。まず1曲目「Bite The Hand」はダウナーなギターサウンドを前に出したローファイ気味なギターロック。ノイジーなギターが耳に残る一方、メロディーは至ってポップにまとめていますし、3人によるハーモニーも実に美しくまとまっています。

続く「Me&My Dog」も3人の美しいハーモニーが強く耳に残るナンバー。バックにはノイジーなギターが流れ、幻想的で美しいポップチューンに仕上がっています。ここから一転「Souvenir」はアコースティックギターとピアノで聴かせるフォーキーなナンバー。ただ美しいメロディーとコーラスラインは1、2曲目から変わりません。さらに「Stay Down」もピアノの力強い演奏をバックに美しい歌声でメロディアスに聴かせる曲調。フォークテイストが強い作風なのですが、根底に流れる音楽性は大きな変化はないため、アルバムの流れの中で自然に聴くことができます。

さらに「Salt In The Wound」も再びギターサウンドが前に出てきたロッキンなアレンジとなっていますが、こちらもミディアムテンポでメロディーを聴かせるナンバー。途中から登場する3人のハーモニーの美しさが特に耳を惹きます。そしてラスト「Ketchum,ID」はアコースティックギターをバックで3人で美しいハーモニーを聴かせるフォークソング。プライベイトな雰囲気の強い録音状況となっており、3人の息の合ったコーラスがとても魅力的に仕上げています。

そんな訳で、3人の音楽性の違いと共通項をうまく利用した完成度の高いアルバムに仕上がっていました。3人のフォーキーなサウンドと美しいメロディーライン、そしてなにより息の合ったハーモニーが耳を惹く素敵なポップチューンが並んでいます。3人とも残念ながら日本ではさほど知名度が高くなく、私もいままで一度も聴いたことがなかったのですが、これを機に、ソロ作も聴いてみたいなぁ。とにかく、ポップス、とくにフォークロックあたりが好きならはまること間違いなしの傑作です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Natural Rebel/Richard Ashcroft

元The Verveのボーカリスト、Richard Ashcroftによるソロ5作目のアルバム。イギリス出身の彼ですが、いままでのソロアルバムはイギリスというよりもアメリカのロックの影響を色濃く感じたのですが、本作もカントリーの要素を入れつつ、いなたい感じのロックチューンに、アメリカのカントリーロックからの影響を色濃く感じます。渋い雰囲気の強い大人のロックアルバムといった印象を受けた1枚でした。

評価:★★★★

RICHARD ASHCROFT 過去の作品
THE UNITED NATIONS OF SOUND(RPA&THE UNITED NATIONS OF SOUND)
THESE PEOPLE

A Star Is Born Soundtrack(邦題 アリー/ スター誕生 サウンドトラック)/Lady Gaga & Bradley Cooper

Lady Gaga主演ということで日本でも話題の映画「アリー/ スター誕生」のサウンドトラック。楽曲的にはどちらかというとLady Gagaと共に主演を務めた俳優、Bradley Cooper歌唱による曲が多いのですが、圧巻なのは特に後半に並ぶLady Gagaによる曲。その歌唱力、表現力ともに圧倒するものがあり、Lady Gagaって、こんなに歌が上手かったんだ・・・とあらためて実感させられます。Bradley Cooperもなかなか健闘はしているのですが、ちょっと物足りなかったかな。

評価:★★★★

LADY GAGA 過去の作品
The Fame
BORN THIS WAY
ARTPOP
Cheek to Cheek(Tony Bennett & Lady Gaga)
Joanna

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2018年12月 7日 (金)

アラフォー世代に懐かしいセットリストがうれしい

BON JOVI THIS HOUSE IS NOT FOR SALE 2018 TOUR

会場 京セラドーム大阪 日時 2018年11月27日(火)19:00~

日本でも高い人気を誇るロックバンドBON JOVI。その約5年ぶりとなる来日公演を見に行きました。会場は京セラドーム大阪。わざわざBON JOVIを見に大阪まで・・・ではなく、実は仕事の都合で大阪出張があり、夜、時間があいたので、何かライブでもあれば、と思い調べてみたら、ちょうどBON JOVIの大阪公演が行われている、と知り、以前から1度くらいは見ておきたいと思っていたため、足を運んでみることにしました。

そんな訳で、初となる京セラドーム大阪。思いっきり街中の、それもオフィス街の中にあらわれるドームの風景はちょっと異様ですらありました(^^;;

Bonjovi1

今回は東京ドームと大阪ドームでの2公演ということですが、残念ながら大阪ドームの人の入りは「満員」からは程遠いもの。アリーナ席もスタンド席もスカスカで、沢田研二なら怒って帰りそうなレベル(笑)。平日だからってこともあったのでしょうが・・・おそらくアリーナレベルまで十分に埋めれそうなんでしょうけどね。ただファン層はやはり30代40代と私と同じくくらいの世代がメインながらもそれよりも若いファンもいたりして、それなりに幅広く広がっている感じ。そういう意味ではいい意味でいまだに広く人気が浸透している感もありました。

さて、ライブは外タレとしては珍しく19時ピッタリにスタート。最初は正面スクリーンに大きな日の丸が登場したかと思うと、日の丸から白い2本のたすきのような筋が下りてきて、その「たすき」が日本の高速道路に降り立ち、その後高速道路を走り回り、会場に到着しライブがスタート・・・というオープニングになっていました。

そしてメンバーが登場。Jon Bon Joviは今年56歳・・・なのですが、まだまだ若々しい!まずは最新アルバム「This House Is Not For Sale」からタイトルナンバーの「This House Is Not For Sale」「Knockout」からスタートします。

私はスタンド席の後ろのほうで、比較的まったりしながら見ていたのですが、3曲目に彼らの代表曲のひとつ「You Give Love a Bad Name」に入った時は私のテンションも一気に上がりました。思わず一緒に口ずさんでしまうようなわかりやすいメロディーラインとぶっといバンドサウンドに彼らの魅力を感じます。

その後は比較的「Lost Highway」のような比較的最近の曲や、「Roller Coaster」のような最新アルバムの曲が展開。そして後半になるにつれ懐かしい曲が増えてきます。「Born to Be My Baby」や、「It's My Life」など非常に懐かしく感じつつ、その演奏に聴き入ります。ただ、残念ながら「It's My Life」の高音部など、声が出ておらず、かなり厳しそうな感じでしたが・・・。

終盤にも「Keep the Faith」「Bed of Roses」など、アラフォー世代にとっては感涙モノの懐かしいナンバーの連発。最後も「Lay Your Hands on Me」「I'll Sleep When I'm Dead」など昔の曲が続き、ラストはモニターの映像も赤十字の形になり、バックの映像にはなまめかしい看護婦さんらしき映像が流れつつ「Bad Medicine」へ。これまたおなじみの代表曲で私のテンションも一気にあがり、ライブは終了となりました。

Bonjovi2

その後はもちろんアンコールへ。比較的早いタイミングで再びメンバーが登場し、アンコールも「In These Arms」「Someday I'll Be Satureday Night」「Wanted Dead or Alive」と懐かしいナンバーの連続。そして最後の最後に、出ました!この日一番聴きたかった、個人的にBON JOVIで一番大好きな「Livin'on a Prayer」。これまた最後の最後でテンションあがりまくります。個人的にはこの曲を聴けただけでもライブに来れてよかった(笑)とすら思いました。

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↑全員がステージ上に並んだこの日のラストシーン

そんな訳でライブは2時間15分程度。最後は大盛り上がりの中で終了しました。ライブの構成としては前半は最新アルバムからの曲、比較的最近の曲をとりあえず演っておいて、後半はおそらく多くのファンが聴きたがるような懐かしいナンバーを一気に繰り広げる・・・そんな、良くも悪くもベテランらしい構成になっていました。

ステージの方はかなりシンプルで、メンバーが淡々と演奏するのみといった感じのステージ。特になにかギミック的なものを見せるわけでもなく、大掛かりな仕掛けがある訳でもなく、そういう意味では非常にシンプルなステージだったと思います。

演奏の方はこちらも良くも悪くも非常に安定感あるステージ。途中、ギターの早引きソロが入るなど、「いかにも」な聴かせどころはあるものの、全体的には無難な印象にとどまるステージだったと思います。ただ、ちょっと残念だったのはJon Bon Joviの声がお世辞にも出ているとはいいがたく、上にも書いた通り、「It's My Life」も声が出ていませんでしたし、ラストの「Livin'on A Prayer」もサビの部分を観客に歌わせるなど、若干厳しい部分がありました。

まあそういった点を差し引いても、個人的には懐かしい曲をたくさん聴けたし、なによりもおそらくバンド側がそういった昔のファンを意識した、「はずさない」選曲になっていたので、(「ALWAYS」とか「RUNAWAY」が聴けなかったのは残念でしたが)懐メロ的な意味で十分満足できるステージだったと思います。

さすがにS席1万5千円というチケット代金はちょっとお高いのでさすがに次、行くかどうかは微妙なのですが・・・とりあえず1度は見てみたかったBON JOVIのステージに満足して会場を後にしました。

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2018年12月 6日 (木)

一時代を築いたプロデューサーの総括的コンピ

今年1月、不倫疑惑報道から突然の引退を表明し、シーンに衝撃を与えた小室哲哉。ご存じの通り、90年代後半に彼がプロデュースしたミュージシャンが続々と大ヒットを記録し、J-POPシーンに大きな痕跡を残しました。その彼がプロデュースを手掛けた数多くの楽曲の中から選りすぐりの曲を集めたコンピレーションアルバムがリリースされました。

Title:TETSUYA KOMURO ARCHIVES "T"

Title:TETSUYA KOMURO ARCHIVES "K"

それぞれ4枚組ずつ計8枚100曲にも及ぶボリューム感満点のコンピレーションアルバム。まだTM NETWORKとして活動する以前のSPEEDWAY時代の曲や、その時代に提供した数少ないナンバー「愛しのリナ」から、小室哲哉の名前が一躍知れ渡った「My Revolution」や、渡辺美里、TM NETWORKの曲、そしてご存じ小室ファミリーと呼ばれた安室奈美恵、TRF、華原朋美、hitomi、globeなどの小室系ブーム時代の大ヒット曲、さらに低迷期、詐欺事件を経てリリースされた2010年代の作品群など、最初期から最近の楽曲まで、まさに小室哲哉の作品を網羅的に収録したアルバムになっています。

まとめて聴くとそれぞれ約4時間、計8時間にも及ぶ長さ。まさにたっぷりと小室哲哉の曲を聴くことが出来ます。そして彼の曲を聴くとあらためて思うのですが、プロデューサーとしても数多くの曲を提供してきた彼ですが、どちらかというと職人肌というよりも天才タイプであることを強く感じます。

これは以前からよくわかっていたことなのですが、小室作品は一度聴くとすぐに彼の作品だとわかる手癖が非常に強くついています。具体的に言えば、ピアノで言うところの黒鍵を多用したフレーズ、サビでの転調、同じ音の連打を多用したメロディーなど、小室哲哉の熱心なファンでなくてもおそらくは「これは小室哲哉の曲だ」とすぐわかるよな傾向が彼の作品では非常に強く見て取れます。

例えば同じく数多くの楽曲提供を行っている筒美京平やつんく♂はよくよく聴くと音楽性の方向性はわかるのですが、パッと聴いた感じだと彼らならではの手癖はあまり強くなく、完全に裏方として徹しています。そういう意味では彼らは「職人肌」タイプと言えるでしょう。しかし一方、小室哲哉の楽曲はどんな曲だろうと彼の曲にはぬぐいきれない彼の癖が残っています。そういう意味で彼はまさに職人というよりも天才肌。だからこそ小室哲哉の楽曲が一時期、大いに時代にマッチして一時代を築いたのでしょうし、また同時にあっという間に飽きられて一気にブームが去って行ったのでしょう。

実は最近、この「小室らしい」と言われることを彼自身が嫌がっているということを知りました。うーん、しかし、彼の場合、どうしてもぬぐいきれない小室らしさが楽曲にビッシリとこびりついているんですよね・・・。彼自身もそれをよくわかっているからこそ、そういう発言に至ったのかもしれませんが・・・ある意味、天才ゆえのジレンマといったところなのでしょうか。

さてそんな彼の仕事の総括ともいえる今回のコンピレーションアルバム。大ヒットしたナンバーが数多く収録されている一方、出来るだけ数多くのシンガーの曲を収録したそうで、結果として思ったより小室系ブームの時代の曲が少なく、一方で最近の曲が比較的多い内容となっていました。

その収録曲の方向性としてはわからないこともないのですが・・・正直言うと、さほどヒットしておらず、曲の出来としてもいまひとつな2010年代の曲が多すぎるような印象を受けます。一方で小室系ブームの時代のヒット曲ってもっとあったんじゃない?と思いつつ、あらためて当時のヒット曲を考えると、確かにそれなりには網羅されている選曲になっており、あらためて小室系ブームがいかに瞬間最大風速的に吹き荒れたということを実感させられます。

ただ、例えば安室奈美恵の「Chase The Chance」、trfの「寒い夜だから・・・」、華原朋美の「keep yourself alive」などが未収録となっており、もうちょっと小室系ブームの頃の大ヒット曲が収録されていてもよかったのでは?とも思います。全体的にちょっと2010年代の作品が多すぎ、HIKAKIN&SEIKIN「YouTubeテーマソング」やらAOAの「WOW WAR TONIGHT~時には起こせよムーヴメント girls ver.」とか、これ、曲の出来を含めて収録する必要あったのか?とも思ってしまい、また、ここらへん、なんとなく「大人の事情」を伺えてしまいました。

もっとも大賀埜々、円谷憂子、未来玲可、tohko、翠玲など小室系末期に時代の徒花のように出てきて、小室系ブームの中でそれなりに注目されたもののあっという間に消えて行った女性シンガーなど、リアルタイムで知っていた身としてはちょっと懐かしく感じられ、またここらへんの曲が収録されているのはうれしくも感じられたりして。ここらへんは久しぶりに聴いて懐かしさも感じました。

そんな訳でボリューミーなコンピレーションながらも少々不満に感じる部分も少なくなかったコンピ盤。もっとも、小室哲哉の才能については強く感じることが出来るアルバムだったとは思います。しかし、これで本当に引退しちゃうのかなぁ・・・。不倫疑惑についてはいろいろな噂もあるのですが、ただそれを差し引いても、これで消えてしまうのは本当に惜しい才能なだけに、是非、何年かしたら「引退表明」など知らん顔して復活してほしいのですが・・・お願いします!

評価:どちらも★★★★


ほかに聴いたアルバム

FILM/GOING UNDER GROUND

インディーズでのCDデビューから今年で20年(!)たったGOING UNDER GROUNDの新作。一時期に比べて人気の面では落ち着いたものの、いまなおほぼ1年に1枚のペースでアルバムをリリースし続けるなど、積極的な活動が目立ちます。もっともバンドメンバーは気が付けば3人になってしまいましたが・・・。

そんな彼らの最新作は安定感があり安心して聴ける一方で、良くも悪くも大いなるマンネリ。いつも通りの郷愁感ある、心にキュンと来るメロディーにアコギやピアノを用いつつ、基本的には分厚いバンドサウンドが魅力的なサウンド。ファンにとっては壺をきちんとついた作品なのでそれなりに満足感はありそうですが、代わり映えしない内容となっています。まあ下手に変な挑戦をしないほうがいいんでしょうが・・・。

評価:★★★★

GOING UNDER GROUND 過去の作品
おやすみモンスター
COMPLETE SINGLE COLLECTION 1998-2008
LUCKY STAR
稲川くん
Roots&Routes
Out Of Blue
真夏の目撃者

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2018年12月 5日 (水)

ロングヒット曲が急上昇

今週はシングル・アルバム共に初登場が少なかったため、同時更新です。

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週はロングヒット曲の順位が急上昇しています。

ただそんな中で1位を獲得したのがAKB48「NO WAY MAN」。CD販売数1位、ダウンロード数25位、ラジオオンエア数16位、PCによるCD読取数2位、Twitterつぶやき数3位、You Tube再生回数44位を記録。オリコンでは初動売上120万5千枚を記録。前作「センチメンタルトレイン」の144万枚(1位)からはダウンしています。

そして今週2位と3位に米津玄師「Lemon」DA PUMP「U.S.A.」がそれぞれ5位、6位からランクアップしています。年末に向けての音楽番組の影響や1年の振り返り企画で取り上げられることが多くなった影響もあるかもしれませんが、おそらく一番の要因は今週からHot100でチャートに組み入れられた「カラオケで歌われた回数」の影響ではないでしょうか。「Lemon」が1位、「U.S.A.」が2位を獲得し、曲が(アイドル系みたいにファンズアイテムのように売れているのではなく)本当の意味で売れているんだな、ということを実感させられます。

続いて4位以下の初登場曲です。まず4位にそらる「銀の祈誓」がランクイン。動画サイトへの歌唱動画投稿により人気を博したシンガーによる初のシングル曲。テレビアニメ「ゴブリンスレイヤー」エンディングテーマ。CD販売数1位、PCによるCD読取数10位、Twitterつぶやき数14位を記録。ネット初の人気の割にはYou Tube再生回数で上位に入っていませんし、サブスクリプションも解禁されているのにストリーミング数も圏外。どちらかというと一部の固定ファンに対するアイドル的な人気にとどまっている感があります。「歌唱動画」が話題になった割には肝心の歌唱力についてもかなりの疑問を感じてしまいますし・・・。ちなみにオリコンでは初動売上5万7千枚で2位初登場となっています。

5位初登場はフランシュシュ「徒花ネクロマンシー」がランクイン。アニメ「ゾンビランドサガ」のオープニングテーマ。ちなみにこのアニメタイトルの「サガ」とは「佐賀県」の「佐賀」だそうです(^^;;CD販売数13位に対してダウンロード数では見事1位を獲得しベスト10入り。ほか、PCによるCD読取数7位、Twitterつぶやき数43位にランクインしています。なおオリコンでは初動売上9千枚で13位にランクイン。


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週は比較的新譜も少な目。強力盤も少ないチャートとなっています。

そんな中で1位を獲得したのがジャニーズ系。山下智久「UNLEASHED」が1位獲得です。途中、ベスト盤のリリースはあったもののオリジナルアルバムとしては約4年ぶりの新作となりました。初動売上は8万2千枚。直近作はベスト盤の「YAMA-P」で、同作の初動4万9千枚(1位)からアップ。また、オリジナルアルバムとしての前作「YOU」の4万5千枚(1位)よりも大幅アップとなりました。

2位初登場はテミン「TAEMIN」。韓国の男性アイドルグループSHINeeのメンバーによる日本で初となるソロアルバム。初動売上は6万3千枚。直近作は韓国盤「Move」で、同作の初動6千枚(11位)より大きくアップしています。

そして3位には、ついにベスト3入りしてきましたQUEEN「ボヘミアン・ラプソディー(オリジナル・サウンドトラック)」。先週の4位からワンランクアップです。売上枚数も2万6千枚から2万7千枚へと若干ですがアップ。映画も大評判で、徐々に人気が広まっている感がありますが、サントラ盤もまだまだ売れていきそう。これからのロングヒットが期待できそうです。

続いて4位以下の初登場盤です。まず4位にはX JAPANのボーカリストToshiによるソロアルバム「IM A SINGER」がランクイン。初動売上2万2千枚。彼のソロアルバムがベスト10入りするのは、実に1995年の「GRACE」以来、23年ぶり(!)。ご存じのように、彼は一時期、宗教めいたヒーリングミュージックの世界にはまっていた時期があり、その影響で大量のソロアルバムはリリースされたものの、いずれもオリコンランク圏外。そんな彼が見事復活し、ソロアルバムでもベスト10入りというのは感慨深いものがあります。

ちなみに同作は初となるカバーアルバム。ただ収録曲が浜田雅功と槇原敬之の「チキンライス」だったり、AKB48の「365日の紙飛行機」だったり、ジャンルを問わない選曲といえば耳障りのよい表現ですが、X JAPANのボーカリストとしてのイメージからはかなりかけ離れた選曲となっています。最近はバラエティー番組へ積極的に出演するなどX JAPANのボーカルのイメージからの脱皮をはかっているような感はあるのですが、若干その行動に突拍子もないものを感じ、ある種の不安定感すら覚えます。いまのところは大丈夫だと思うのですが。

5位初登場はValkyrie「あんさんぶるスターズ! アルバムシリーズ Valkyrie」がランクイン。女性向けアイドル育成ゲームのアルバムシリーズ第8弾。初動売上は1万8千枚。前作は同シリーズの第6弾、第7弾が同時にランクイン。Switch「あんさんぶるスターズ! アルバムシリーズ Switch」、MaM「あんさんぶるスターズ! アルバムシリーズ MaM」の1万6千枚(4位)、7千枚(9位)からはいずれもアップしています。

9位にはイケメンの女子をそろえたアイドルグループザ・フーパース「FANTASTIC SHOW」がランクイン。シングルではベスト10入りを果たしていますが、アルバムでは同作が初のベスト10ヒット。初動売上7千枚は前作「FANTASIA」の5千枚(15位)からアップしています。

最後10位に韓国の男性アイドルグループNCT127「NCT#127 Regular-Irregular:NCT 127 Vol.1」がランクアップし、ベスト10に返り咲いています。これは以前リリースしたアルバムに新曲を追加しパッケージを変えた「リパッケージ・アルバム」がリリースされた影響。

今週のチャート評は以上。また来週の水曜日に!

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2018年12月 4日 (火)

前作よりもポップで聴きやすく

Title:Negro Swan
Musician:Blood Orange

前作「Freetown Sound」が大きな評価を集めたプロデューサーとしても活躍しているイギリスのミュージシャン、デヴ・ハインズのソロプロジェクト、Blood Orangeの約2年ぶりとなるニューアルバム。今回の高い注目を集めた新作となりました。

そんな待望のニューアルバムなのですが、まずは率直に言って、非常に心地よいポップな作品に仕上がっていたな、というのが第一の感想でした。まず1曲目「Orlando」はハイトーンボイスが心地よい、ネオソウル風の作風となっています。それだけにいかにも「今時」感を醸し出しつつ、続く「Saint」「Take Your Time」は比較的シンプルでソウルなポップチューンに仕上げています。さらにPuff Daddyと、新進気鋭の女性シンガーTei Shiを迎えた「Hope」もラップとハイトーンで美しく聴かせる女性ボーカルを絡ませつつ、楽曲的にはちょっとジャジーな要素を入れつつも、あくまでもポップにまとめ上げています。

その後も基本的にはハイトーンボイスで気持ちよく聴かせるフィリーな雰囲気のソウルナンバーが続きます。リズミカルなトラックとメロウなボーカルが心地よい「Chewing Gum」、シンプルなサウンドで、ほぼアカペラベースで力強いボーカルを聴かせる「Holy Will」、ループするサウンドが心地よい「Dagenham Dream」など、メロウなボーカルで心地よく聴かせるポップチューンが続きます。

そんな訳で全体的な方向性としては前作「Freetown Sound」同様。今風なサウンドを入れつつも、一方では80年代風な要素を感じさせるサウンドが心地よいソウルチューンの連続。全16曲入りながらも1曲あたり2、3分程度の短いポップチューンにおさめており、全48分という聴いていてちょうどよい長さなのも前作同様。そういう意味では前作の延長線上のような作品と言えるかもしれません。

ただ様々なサウンドとアイディアを入れてきて、少々情報過多にも感じられた前作に比べると、今回のアルバムはよりすっきりとポップなアルバムに仕上がっていたように感じます。そういう意味で前作よりも聴きやすいアルバムに感じました。メディアなどの評価では本作の評価もそれなりに高い反面、前作ほどの出来ではないというのが一般的のようですが、個人的にはむしろ前作よりも本作の方が気に入ったかも・・・。とても気持ちよく楽しめた1枚でした。

評価:★★★★★

Blood Orange 過去の作品
Freetown Sound


ほかに聴いたアルバム

The Atlas Underground/Tom Morello

ご存じRAGE AGAINST THE MACHINEのギタリストであり、最近ではPROPHET OF RAGEとしても活躍しているトム・モレロの、初となるソロ名義でのアルバム。今回は彼のギターサウンドにEDMを取り入れるなど挑戦的な方向性になっています。ただ、正直、EDMという方向性は「いまさら」感は否めませんし、彼のギターを生かそうとした結果、取り入れ方も中途半端に。所々に彼らしいカッコイイギターリフは顔を覗かせるのですが、全体的には「あのトム・モレロのソロ」として聴くと少々期待はずれな内容になっていました。

評価:★★★

Bottle It In/Kurt Vile

The War On Drugsの元メンバーであり、昨年はCourtney Barnettとのコラボでも話題となったギタリストの新作。基本的にはアコギメインでのダウナーな路線は前作から変わらず、地味な作風ながらもメロディアスに聴かせる楽曲は魅力的。ただ今回、1時間18分という長さのアルバムの中で、10分を越える曲が2曲、10分近い曲が1曲あり、いずれも淡々とした作風の曲に。そのためアルバムとしては少々中だるみした感じが否めず、1曲1曲の出来は悪くないのですが、少々聴いていて退屈してしまう部分も。そういう意味では非常に惜しいアルバムなのですが・・・。

評価:★★★★

Kurt Vile 過去の作品
B'lieve I'm Goin Down…
Lotta Sea Lice
Courtney Barnett&Kurt Vile)

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