2019年11月14日 (木)

嵐が躍進するが…

すいません、事情により1日遅れの更新となります。

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先週に続き秋元康系の女性アイドルグループが1位獲得。

今週1位を獲得したのはAKB48の姉妹グループ、NMB48「初恋至上主義」が獲得。CD販売数で1位。PCによるCD読取数11位、Twitterつぶやき数は15位と留まりましたが、総合順位で1位を獲得しました。オリコン週間シングルランキングでは初動売上16万6千枚で1位初登場。前作「母校へ帰れ!」の19万5千枚(1位)からダウンしています。

2位は、発売日の関係で先週は9位に留まっていたの配信限定シングル「Turning Up」がランクアップしてベスト3入り。ダウンロード数1位、ストリーミング数4位、You Tube再生回数1位、Twitterつぶやき数7位、ラジオオンエア数30位で、惜しくも1位は逃しました。ダウンロード数1位はさすがですが、ストリーミング数が4位に留まったあたり、曲自体の支持よりも彼ら自体が人気がある、アイドル的人気にとどまっている感は見て取れます。今後、瞬発的な指標であるダウンロード数ではなく、長く幅広い層に支持される指標であるストリーミング数やYou Tube再生回数でどれだけ上位を維持できるかが、嵐が本質的にどの程度、幅広く人気があるのかわかるポイントと言えるでしょう。

一方、そのストリーミング数1位を25週連続維持しており圧倒的な人気を続けているのがofficial髭男dism「Pretender」。今週は先週の2位よりワンランクダウンの3位となりましたが、しぶとくベスト3をキープしています。一方、先週3位だった「イエスタデイ」は今週8位に、「宿命」は4位から7位にダウン。3曲同時ランクインは続けているものの、大きく順位を落とす結果となりました。もっともストリーミング数は今週も2位「イエスタデイ」、3位「宿命」とベスト3独占をキープ。嵐の前に大きな壁として立ちふさがりました。You Tube再生回数も「宿命」3位、「イエスタデイ」7位と上位を維持しているため、まだロングヒットは続きそうです。

続いて4位以下の初登場曲です。まず4位に女性アイドルグループBiSH「KiND PEOPLE」が入ってきました。CD販売数は2位ながら、ダウンロード数89位、ラジオオンエア数19位、PCによるCD読取数16位、Twitterつぶやき数は30位に留まり、総合順位も4位に留まりました。オリコンでは初動売上6万4千枚で2位初登場。前作「stereo future」の5万7千枚(4位)からアップ。

5位初登場はスターダストプロモーション所属の男性アイドルグループM!LK「ERA」。CD販売数3位だったもののPCによるCD読取数98位、Twitterつぶやき数14位、その他は圏外という結果となり、総合順位ではこの位置に。もろ90年代のJ-POP的な爽快さのあるメロディアスなポップで変な癖がない分、聴きやすい楽曲に仕上がっていました。オリコンでは初動売上4万5千枚で3位初登場。前作「かすかに、君だった。」の5万枚(4位)からダウン。

今週初登場は以上。6位以下はロングヒット曲がズラリと並んでいます。前述のヒゲダン2曲のほか、まず6位には米津玄師「馬と鹿」が5位からワンランクダウン。ダウンロード数2位、PCによるCD読取数は1位を先週からキープ。ただYou Tube再生回数は4位から5位にダウン。こちらは嵐の新曲に押し出された感じですが…。

そして9位にはまだまだがんばっているあいみょん「マリーゴールド」。先週8位からワンランクダウン。ストリーミング数は6位から7位にダウン。You Tube再生回数も2位から4位にダウンしたものの、まだ上位を維持しており、まだロングヒットは続きそう。そして10位にはKing Gnu「白日」が6位から10位にダウン。ストリーミング数は4位から5位にダウン。You Tube再生回数も6位から8位にダウンと下落傾向。ただ、こちらもどちらの順位も上位を維持しており、来週、踏みとどまるか、それともベスト10落ちしてしまうのか、その動向が気にかかります。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2019年11月13日 (水)

歌謡曲路線がより強く

Title:DEEP BLUE
Musician:9mm Parabellum Bullet

9mmとしてはちょっと久しぶりとなる約2年4ヶ月ぶりとなるニューアルバム。その間、2018年にはボーカルの菅原卓郎が歌謡曲をコンセプトとしたソロアルバムをリリースするなど、ソロ活動も行われました。その後リリースされたのが本作。その菅原卓郎のソロ活動が影響を受けたのか…はわかりませんが、今回のアルバムはいままでの作品以上に歌謡曲志向の強いアルバムになっていたように感じました。

例えば「夏が続くから」なども、郷愁感たっぷりのメロディーラインやアコギのフレーズなどはまさに歌謡曲路線。歌詞も夏の風景を物悲しく描いた恋愛歌となっており、ちょっと湿った歌詞の世界観もまさに歌謡曲といった感じ。「Ice Cream」もこれでもかというほど悲しみを帯びたメロディーもいかにも歌謡曲的ですし、どろどろ溶けた恋愛模様を描いた歌詞も実に歌謡曲的といった感じの曲になっています。

もともと9mmの音楽はマイナーコード主体のメロディーラインが主となっており、「歌謡曲的」な雰囲気はいままでの曲にもありました。しかし今回のアルバムについてはそれがより自覚的になっており、かつ、あえていえば非常にベタさを感じさせるような曲調に仕上がっていたように感じます。結果として良くも悪くもいままでのアルバムよりもわかりやすい作風に仕上がっていましたし、ファンの間でも賛否のある作風になっていたようです。

例えば、タイトルチューンである「DEEP BLUE」もヘヴィーで疾走感あるバンドサウンドは9mmらしいダイナミズムを感じつつ、こちらもある意味、わかりやすい歌謡曲風のメロディーラインが印象に残るナンバー。「君は桜」も好きな人を桜に例えるという、非常にベタさを感じさせる歌詞になっていました。

一方ではその結果としていままでの彼らのダイナミックなヘヴィネスさが若干薄れたという側面も否定はできません。「Getting Better」のようにデス声を入れてダイナミックに展開していく楽曲もありましたが、全体的にはポップな作風がより前に押し出された感のあるアルバムになっており、その点も賛否がわかれる部分になっていたようです。

ただ個人的には本作は良い意味でわかりやすさが増して、彼らの魅力をより強く感じられるアルバムになっていたように感じます。特に歌謡曲路線を押し出したことにより、いままでちょっと中途半端さに感じられた、歌謡曲的なメロディーラインとダイナミックな彼らのバンドサウンドのバランスがほどよく取れたようにも感じました。ある意味、ちょっとどっちつかずの感のあったいままでのアルバムから、本作では今後の9mmの方向性がより明確になったようにも感じました。

もっとも、次回作は一転、ヘヴィネスさをより前に押し出した作品になるかもしれませんし、今後の彼らがどのような道を進んでいくかは不明なのですが…ただ、今の9mmの興味のありかが非常によくわかる傑作アルバムに仕上がっていました。いい意味で聴きやすい内容なだけに、彼らについてはじめて触れるアルバムとしてもお勧めできそうな1枚。これからの彼らの活躍も楽しみです。

評価:★★★★★

9mm Parabellum Bullet 過去の作品
Termination
VAMPIRE
Revolutionary
Movement
Dawning
Greatest Hits
Waltz on Life Line
BABEL

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2019年11月12日 (火)

王道路線を追求

Title:Why Me?Why Not.
Musician:Liam Gallagher

ご存じ、元oasisのギャラガー兄弟の弟、リアム・ギャラガーのニューアルバム。oasisの解散から早くも10年が経過(!)したものの、いまだに再結成を望む声は絶えず、兄弟の動向にも大きな注目を集め続ける彼ら。お兄ちゃんノエル・ギャラガーはNoel Gallagher's High Flying Birdsとしての活動をコンスタントに続ける一方、リアム・ギャラガーはoasis解散後、バンドBEADY EYEを結成。ただこのバンドはアルバム2枚をリリースした後に解散し、その後はソロ名義で活動を開始。本作が2枚目のオリジナルアルバムとなります。

そんなギャラガー兄弟ですが、解散後の音楽的な2人のスタンスはある意味、大きく異なりました。ノエルの方はoasisのイメージから異なるような新たな音楽性に挑戦。ここ最近でも打ち込みなどを大胆に取り入れたダンスチューンを発表し、音楽的な幅を広げています。一方リアムはoasisの方向性を引き継ぐ…というよりも初期oasisのサウンドを彷彿とさせるような、まさに王道的な楽曲を歌い続けています。

先行シングルとなっている「Shockwave」などもまさに実にoasisっぽいナンバーで、軽快なリズムにグルーヴィーなサウンド、ちょっと憂いを感じるメロディアスなポップといい、ある意味、リスナーとして望んでいるリアム像をそのまま体現化しているようなナンバーですし、彼のボーカルにもピッタリとマッチしています。タイトル曲「Why Me?Why Not.」もバンドサウンドにストリングスを入れた、これでもかというほど分厚いサウンドに心地よさを感じる楽曲に仕上がっていますし、続く「Be Still」もちょっとしゃがれたリアムのボーカルがピッタリとマッチする、実に彼らしいテンポよいロックチューンに仕上げられています。

さらに後半もサイケ風のサウンドでグルーヴィーに聴かせる「The River」に、同じくヘヴィーなギターサウンドをバックにグルーヴィーに歌い上げる「Invisible Sun」と、まさに王道とも言えるナンバーで気持ちよく楽しめる作風に。最後はミディアムチューンでしんみりとメロディーを聴かせる「Misunderstood」に軽快なポップチューン「Glimmer」とメロディーを聴かせるポップ色の強い楽曲で締めくくり。バンドサウンドを強調した路線をポップなメロを強調した路線をしっかりと両立させてリスナーを楽しませる構成となっていました。

今回も前作と同様、グレッグ・カースティン、アンドリュー・ワイアットというソングライティングチームにリアム本人が加わり楽曲を作成していますが、3人のチーム編成がしっかりと決まった形での、まさにリアム・ギャラガーらしさを追及した作風に仕上げられていました。そんな曲調ゆえに歌いやすかったのか、彼のボーカルも冴えまくっている印象が。ソングライターとしても作品の中で力を発揮している彼ですが、それ以上になによりもあのボーカリストとしての独特の歌声に強い魅力を感じさせるアルバムに仕上がっていたと思います。

そんな感じで良く出来ている作品だとは思いますし、実際、アルバムの売れ行きも好調。先行シングルとなった「Shockwave」もソロキャリア史上最大のヒット曲となったそうです。そういう意味で、リスナーとしてはこういう姿を追い求めているんだな、ということが実によくわかる作品になっていたと思います。ただ、個人的にはちょっとあまりにも王道すぎる、oasisとしての影を追い求めすぎている感はどうしてもマイナス要素として感じてしまいます。まあ、確かにリアムのボーカルスタイルとしてはこういう楽曲スタイルが一番ということはわかるといえばわかるのですが…。それにしてもソロとしてもうちょっと挑戦してほしい感じはするのですが…。

もっとも、このスタイルがやはり彼としてはピッタリと似合っており、売上も好調ということを考えると、今後もこのスタイルでのアルバムは続いていきそう。その一方、oasis再結成の噂は消えずに続いており、今後の動向も気になるところ。個人的には次の作品はoasisで…と思うのですが…まあ、そううまくはいかないだろうなぁ、やっぱり。

評価:★★★★

Liam Gallagher 過去の作品
AS YOU WERE

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2019年11月11日 (月)

事実上、初のベスト盤

Title:Perfume The Best "P Cubed"
Musician:Perfume

最近、すっかり女性アイドル勢が「ロックフェス」などに出演することが珍しくなくなってきました。個人的には無条件にそのような状態が受け入れられている状況には疑問を感じる部分が強いのですが、それはともかくとして、ある意味、そのような流れを最初につくってきたユニットは彼女たちPerfumeといえるかもしれません。中田ヤスタカによるクオリティーの高いテクノポップはロックリスナー層にも訴求し、幅広い支持を集めました。

私自身もPerfumeが出てきた時は、昔の日本のアイドルグループとは異なり、ダンスや音楽を主軸としたプロフェッショナルな大人の女性的な部分を全面に押し出した方向性に、新たな流れを感じました。ただ、残念ながらその後、結局AKBグループのような、以前の日本のアイドルと同じような、幼く、素人っぽい女性グループが主流になってしまってしまうのですが…。ただPerfume自身はその後も中田ヤスタカプロデュースの下、テクノポップ路線を貫いているのはご存じの通りです。

さて、今回紹介する本作は彼女たちにとって初となるベスト盤。ブレイク前の作品を集めた企画盤的な「ベスト盤」や海外向けのベスト的なコンピレーションアルバムのリリースはありましたが、ブレイク後の代表作をまとめた正式なベスト盤は今回が初となります。中田ヤスタカがプロデューサーで参加して以降の彼女たちの楽曲がリリース順に収録。また新曲「ナナナナナイロ」も収録されています。

Perfumeについてはシングル単位では一通り聴いてはいるものの、アルバム単位できちんと聴いたのは2008年にリリースされた「GAME」と現時点で最新作となる「Future Pop」のみ。その2枚のアルバムを聴いた印象としては、最新アルバムの方がよりサウンドを前面に押し出したような曲作りをしている、という印象を受けました。確かに実際、今回のベスト盤を聴いても、ほぼインスト曲である「FUSION」など彼女たちの歌声よりもサウンドを前に押し出したようなポップチューンが目立ちます。ただもっとも、初期の作品でも「Dream Fighter」などサウンドが主体となっている楽曲もありますし、逆に比較的最近の曲でも「Hold Your Hand」のようなアイドルポップ的な色合いの強い曲もあったりして、決して彼女たちの作風に著しい変化があった訳ではありません。アルバム全体として、しっかりとした統一感を覚える内容に仕上がっていました。

なにより初期の作品から最近の作品まで共通しているのは彼女たちの歌声が中田ヤスタカのサウンドのひとつの素材として溶け込んでいる点でした。普通のアイドルポップというと、当たり前ですが女の子たちの歌声が前に押し出されているケースが大半。特に日本のアイドルポップは、ロリ声やアニメ声など、正直変に男性に媚びたような声を出すアイドルが多く、個人的には一種の嫌悪感を覚えるケースが多いのですが、彼女たちの場合は歌声もしっかりとサウンドを構成するパーツとしてピッタリとマッチ。そういう意味でも非常に聴きやすく、また、そういうった点がPerfumeが多くのリスナー層に支持された要因のように感じました。

また、特にここ最近に至って、サウンド的にも挑戦的な作風の曲も増えてきており、中田ヤスタカが自由にPerfumeの作品に取り組んでいるように感じます。同じ中田ヤスタカが全面プロデュースをしているミュージシャンとしては、例えばきゃりーぱみゅぱみゅの場合、彼女自身の色が濃いために、その彼女の色に引きずられるような形で楽曲の方向性が決定してしまうところがあるのですが、Perfumeの場合はポップな作品から若干挑戦的な作品まで受け入れられるような土壌があり、結果、中田ヤスタカが自分のやりたいように曲づくりを行えているように感じました。

そういう点もあって、エレクトロ作品主体ながらもアイドルポップ色の強い曲から、挑戦的なサウンド主体の曲まで幅もあり、全3枚組ながらもバリエーションのある作品で一気に楽しむことが出来たベストアルバムに仕上がっていました。またあくまでもサウンドの中の素材として徹している部分も彼女たちのプロとしての矜持を感じることが出来ますし、そういう意味では他のアイドルグループとは一線を画するようにも感じます。まだまだ彼女たちの活躍は続きそうです。

評価:★★★★★

Perfume 過去の作品
GAME
Future Pop


ほかに聴いたアルバム

小さな夜~映画「アイネクライネナハトムジーク」オリジナルサウンドトラック~/斉藤和義

伊坂幸太郎原作の短編小説「アイネクライネナハトムジーク」の映画のサントラ盤。もともと、同作は伊坂幸太郎と斉藤和義の絆から生まれた作品だそうで、かつてから斉藤和義のファンを公言していた伊坂幸太郎に斉藤和義が作詞のオファーをしたところ、小説なら、ということで書き上げたのが同作。一方、斉藤和義はこの小説から「ベリー ベリー ストロング〜アイネクライネ〜」を作成したそうです。

そんな訳で映画化にあたり劇中音楽を斉藤和義が担当することになった訳ですが、もちろん「ベリー ベリー ストロング〜アイネクライネ〜」も収録。他にも映画のために斉藤和義が書き下ろした主題歌「小さな夜」も収録されています。ただ、基本的には劇中で使われるインスト曲がメイン。そのため映画を見ていない人には楽しめない曲が多い…のですが、この手のサントラにありがちなワンアイディアのワンフレーズが流れるだけの曲というよりは、しっかりせっちゃんらしい暖かいメロディーラインの流れる曲がメインとなっており、映画を見ていなくてもそれなりに楽しめるアルバムに仕上がっていました。斉藤和義ファンなら映画を見ていなくてもチェックしておいて損のないアルバムです。

評価:★★★★

斉藤和義 過去の作品
I (LOVE) ME
歌うたい15 SINGLES BEST 1993~2007
Collection "B" 1993~2007
月が昇れば
斉藤“弾き語り”和義 ライブツアー2009≫2010 十二月 in 大阪城ホール ~月が昇れば 弾き語る~
ARE YOU READY?
45 STONES
ONE NIGHT ACOUSTIC RECORDING SESSION at NHK CR-509 Studio
斉藤
和義

Kazuyoshi Saito 20th Anniversary Live 1993-2013 “20<21" ~これからもヨロチクビ~ at 神戸ワールド記念ホール2013.8.25
KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2014"RUMBLE HORSES"Live at ZEPP TOKYO 2014.12.12
風の果てまで
KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2015-2016“風の果てまで” Live at 日本武道館 2016.5.22
斉藤和義 弾き語りツアー2017 雨に歌えば Live at 中野サンプラザ 2017.06.21
Toys Blood Music
歌うたい25 SINGLES BEST 2008~2017
Kazuyoshi Saito LIVE TOUR 2018 Toys Blood Music Live at 山梨コラニー文化ホール2018.06.02
KAZUYOSHI SAITO 25th Anniversary Live 1993-2018 25<26 〜これからもヨロチクビーチク〜 Live at 日本武道館 2018.09.07

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2019年11月10日 (日)

10年ぶりのピアノアルバム

Title:Spectrum
Musician:上原ひろみ

日本のみならず、今や世界でも高い人気を誇るジャズピアニスト上原ひろみ。精力的な音源制作やライブ活動も続けており、ここ数年もほぼ毎年のようになんらかの形でアルバムのリリースを続けてきました。ただ、ここ最近はTHE TRIO PROJECTとしてのリリースが続いたり、矢野顕子とのコラボや、ハープ奏者のエドマール・カスタネーダとのコラボ作がリリースされたりと、他のミュージシャンと組んだ作品が続いており、ちょっと意外なことにピアノソロアルバムとしては2009年の「Place To Be」以来、約10年ぶりのアルバムとなりました。

さて、ここ最近の上原ひろみの作品というと、比較的ロック寄りの作風によるものが続いてきました。THE TRIO PROJECTはバンドサウンドということもあり、ともすればプログレ的な楽曲すらありましたし、ライブではフジロックにも出演するなど(もっともフジロックに参加しているのは必ずしもロックバンドだけとは限りませんが…)、ロックリスナーを含め広いリスナー層にアピールするような活動も目立っていました。

そう考えると今回のアルバムは彼女の本来の姿、王道的なジャズ路線に戻ってきたアルバム、と言えるのかもしれません。特に「Whiteout」「Blackbird」など、ピアノで美しいメロディーラインを奏でるような曲も目立ち、その美しいピアノの奏でに耳を奪われる瞬間に多く出会うことが出来る作品になっています。アルバムを締めくくる「Specia Effect」も、まさにそんな美しいピアノのフレーズが耳を惹く楽曲。ピアニスト上原ひろみの魅力をアルバム通じて存分に味わえる作品になっています。

ただ、もちろん彼女のアルバムが単にピアノで美しいフレーズを聴かせてお終い…な訳がありません。そもそもアルバムの1曲目を飾る「Kaleidoscope」からしてピアノで奏でられる複雑なフレーズが折り重なる非常にスリリングなナンバー。「Once In A Blue Moon」もヘヴィーなピアノのフレーズでダイナミックに展開していく楽曲になっており、いずれもここ最近のロック寄りになった彼女を気に入ったリスナーも納得できそうな楽曲になっています。また、それ以外にも「Yellow Wurlitzer Blues」はタイトル通りのジャンプブルースの要素を取り入れた陽気でリズミカルなナンバーになっていますし、「Mr.C.C.」もラグタイムを取り入れた軽快な楽曲に。いずれも「古き良きアメリカ」のエンターテイメントを取り入れたような楽曲になっており、聴いていてワクワク楽しくなってくるような楽曲になっています。

そんな彼女の今回のアルバムでの真骨頂とも言えるのが「Rhapsody In Various Shades Of Blue-Medley」でしょう。23分弱にも及ぶこの楽曲は管弦楽の名曲「ラプソディー・イン・ブルー」にジョン・コルトレーンの「ブルー・トレイン」とTHE WHOの「ビハインド・ブルー・アイズ」を「ブルー」つながりで取り入れた楽曲。長尺の中でメロディアスに聴かせたり、ムーディーに展開したり、ダイナミックなフレーズを聴かせたり、と、23分に及ぶひとつの物語を聴かせるような壮大な楽曲に。所々、聞き覚えのあるフレーズが飛び出してくるあたりも非常にユニーク。クラシックとジャズとロックをおなじ楽曲で融合させるあたりも、ジャズをベースにしつつ、様々なジャンルを曲に取り入れてくる上原ひろみらしい作品になっています。

そんな訳で、ロック的な要素を取り入れたここ最近の作品と比べると比較的おとなしいという印象も抱きがちなアルバムですが、そんな中でも様々な音楽性を取り入れ、魅力的なフレーズを聴かせつつ、自在にピアノを操る彼女の魅力を存分に感じられる傑作に仕上がっていました。ピアノアルバムという彼女の基本に立ち返ったからこそ、より上原ひろみの本来の魅力があらわれた作品と言えるかもしれません。次はまた、誰かとのコラボ作になるのでしょうか?彼女の活躍はまだまだ続きそうです。

評価:★★★★★

上原ひろみ 過去の作品
BEYOUND THE STANDARD(HIROMI'S SONICBLOOM)
Duet(Chick&Hiromi)
VOICE(上原ひろみ featuring Anthony Jackson and Simon Phillips)
MOVE(上原ひろみ featuring Anthony Jackson and Simon Phillips)
Get Together~LIVE IN TOKYO~(矢野顕子×上原ひろみ)
ALIVE(上原ひろみ THE TRIO PROJECT)
SPARK (上原ひろみ THE TRIO PROJECT)
ライヴ・イン・モントリオール(上原ひろみ×エドマール・カスタネーダ)
ラーメンな女たち(矢野顕子×上原ひろみ)

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2019年11月 9日 (土)

あえて「ミックステープ」という形で

Title:AFTERMIXTAPE
Musician:KREVA

今年、ソロデビュー15周年を迎えたKREVA。その区切りとなる年を記念すべく9ヶ月連続リリースとしてシングルやDVD、またはベストアルバムをリリースし続けてきましたが、本作がそのトリを飾る10弾目となるアイテム。前作「嘘と煩悩」以来、約2年7か月ぶりとなる待望のニューアルバムとなりました。

今回のアルバムで特徴的なのはやはりそのアルバムタイトル。ここで「ミックステープ」とは、HIP HOPそれもアメリカのものを聴くような方にはおなじみかと思いますが、HIP HOPのミュージシャンがよくリリースするアルバムの形態のこと。もともとサンプリングという形態がよく取られるHIP HOPというジャンルにおいては、元ネタのミュージシャンの許可を取らずサンプリングを使用することがよくあり、そんなイリーガルな形態で作られれたアルバムは通常のリリース形態で販売されず、カセットテープという形で路上販売されており、そんなカセットテープのことを「ミックステープ」と呼んでいました。

最近ではカセットテープという形よりもネット上で無料ダウンロードのような形でリリースされることが多くなってきていますが、いまでも数多くの著名なミュージシャンが「ミックステープ」という形でアルバムを突如リリースするケースが少なくありません。そんな中、特にアメリカのラッパー、Chance The Rapperは無料ダウンロードのみのリリース形態にも関わらず、ビルボードチャートでベスト10入りを記録。さらには音源をリリースしていないミュージシャンとしては史上初、グラミー賞を受賞するなど大きな話題となりました。

もっとも今となっては大物ミュージシャンがミックステープという形でアルバムをリリースしてくることもあり、通常のアルバムとミックステープの境目もあいまいになりつつあります。そんな中、今回、KREVAのニューアルバムはあえて「ミックステープ」というアルバムタイトルでリリース。残念ながら通常のリリース形態となっており無料ダウンロードという形態ではありません。ただ、ジャケット写真はあえて「ミックステープ」をイメージさせるようなチープなジャケットとなっているほか、なにより今回のアルバム、KREVAが自分のやりたいことを自由にやった、非常に自由度の高いアルバムという、まさにミックステープのようなアルバム構成になっているそうです。

やりたいことをやった、という意味でもっとも典型的なのがリリック。例えば「アイソレーター」は世間のマナー違反に対して怒りをつづったリリック。社会派な歌詞といえば社会派なのですが、若干、わざわざ歌わなくちゃいけないほどの題材なのか…と思わないこともなかったり…。「リアルドクターK」なんかも医者をテーマに歌っているのですが、こちらも題材としてはどうなんだろうと思わないこともなかったり…。ただ、それだけKREVAがまずは歌いたいということを歌っているという点で、曲自体も肩の力がいい意味で抜けているような印象を受けます。

さらに「それとこれとは話がべつ!」もユニーク。リリックの内容的にはタイトルそのままなのですが、タイトルのフレーズが非常に耳に残りますし、RHYMESTERの宇多丸と小林賢太郎が参加しているですが、ちょっと理屈っぽく、かつユーモラスなリリックはある意味、RHYMESTERっぽさも強く感じます。聴いていてとても楽しくなるような1曲でした。

サウンド的にもNulbarichのJQが参加し、シティポップ調にまとまった「One」だったり、ドラムンベース風の「S.O.S.が出る前に」だったり、メロウなエレクトロトラックにまとめた「君の愛 Bring Me To Life」だったり、非常に自由度が高いトラックも特徴的。結果としてアルバム全体として若干統一感にかけるきらいがないではないのですが、それ以上に楽曲としての自由度の高さが楽しくなってくるような作品に仕上がっていました。

そんなまさに好き勝手にアルバムを作ったような自由度の高い作品。もっとも、KREVAはソロになってから、比較的(いい意味で)好き勝手に活動を行っている印象も強く、そういう意味では今回のアルバムがいままでの作品と比べて際立って自由度が高い、といった感じではないのかもしれませんが…。ソロ活動15周年の最後を締めるに相応しい、KREVAらしさがきちんと出ていた良作でした。さて、次はそろそろKICK THE CAN CREWの新作も??

評価:★★★★★

KREVA 過去の作品
心臓
OASYS
GO
BEST OF MIXCD NO.2
SPACE
SPACE TOUR
KX
嘘と煩悩
存在感
成長の記録 ~全曲バンドで録り直し~


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2019年11月 8日 (金)

ドリーミーなサウンドが魅力的

Title:Practice of Love
Musician:Jenny Hval

ノルウェーはオスロ出身のシンガーソングライター、Jenny Hvalのニューアルバム。北欧というと数多くのミュージシャンが世界的なヒットを飛ばしていますが、彼女に関しては、まだ「知る人ぞ知る」的な存在のシンガーソングライター。ただ、前作「Blood Bitch」は各種音楽メディアのベストアルバムにランクインされるなど大きな注目を集め、ニューアルバムである本作も高い評価を集めているよう。個人的に完全に初耳のミュージシャンなのですが、はじめてアルバムを聴いてみることにしました。

アルバムは全8曲入り33分という比較的短い内容。いずれもエレクトロのサウンドがメインとなっており、ドリーミーな雰囲気になっているのが大きな魅力となっています。まず序盤の「Lions」「High Alice」「Accident」はいずれもドリーミーなエレクトロサウンドと澄み切った女性ボーカルの歌声がまず耳に残ります。そこにポエトリーリーディングのようなボーカルが重ねられているのはなんとも不思議な感じに…。アルバムの折り返しとなる「The Practice of Love」もポエトリーリーディングのようなボーカルにエレクトロノイズが重なる作風となっており、ドリーミーな雰囲気なのですが、一種独特な不思議な感触の曲調に。しっかりとしたメロディーラインは流れているのですが、前半に関しては、幻想的なエレクトロサウンドの雰囲気を楽しむような曲調になっています。

一方、後半に関しては、同じくドリーミーなエレクトロサウンドを主軸としつつ、メロディーを楽しめる比較的広い層が楽しめるようなポップな作風に仕上がっています。後半戦の冒頭を飾る「Ashes to Ashes」は疾走感あるエレクトロサウンドに軽快なメロディーラインが魅力的なポップチューン。続く「Thumbsucker」もホーンセッションが入りちょっとジャジーな雰囲気を加えたエレクトロポップ。こちらもさわやかなメロディーラインが魅力的。さらに「Six Red Cannas」もスペーシーなサウンドでリズミカルなナンバー。こちらもポップなメロディーよりもドリーミーなサウンドを前に押し出したようなポップチューンなのですが、ダンサナブルな4つ打ちのリズムがメインとなっており、いい意味で「わかりやすい」ダンスチューンに仕上がっています。

そして最後を締めくくる「Ordinary」も荘厳な雰囲気のエレクトロサウンドが楽曲を埋め尽くす中、ポエトリーリーディング的なボーカルの入ったドリーミーな作品で、アルバム全体を締めくくります。どちらかというと前半の雰囲気の曲調に雰囲気が戻り、アルバムは幕を下ろした、といった感じでしょうか。

そんな訳でアルバム全体としてはドリーミーでちょっと独特の味わいのあるエレクトロサウンドを楽しむようなアルバムといった印象。後半は比較的、いい意味で万人受けするような作風の曲が並んでいるものの、全体的には若干癖のあるサウンドが特徴的な印象を受けました。ただ、夢見るような美しいサウンドはメロディー云々関係なく、聴いていて純粋に気持ちよくなる魅力的な内容。確かに独特のサウンドゆえに大ヒットを飛ばすようなタイプのミュージシャンではないものの、気になる方にはとりあえずお勧めしたいアルバムだと思います。まだ知る人ぞ知るシンガーですが、今後、さらに注目を集めてくる、かも。

評価:★★★★★

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2019年11月 7日 (木)

今週は新譜ラッシュ

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週はベスト10のうち7枚が初登場という新譜ラッシュとなりました。

そんな中、1位初登場となったのはジャニーズ系。Hey!Say!JUMP「PARADE」。CD販売数1位、PCによるCD読取数3位を獲得。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上18万9千枚で1位初登場。前作「SENSE or LOVE」の20万9千枚(1位)からダウンしています。

2位初登場はどついたれ本舗「あゝオオサカdreamin'night」。声優によるラッププロジェクト「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」から登場した、大阪を拠点にしているという設定のラップグループ。Hot100で同アルバムのタイトル曲がランクインしましたが、アルバムもCD販売数2位、ダウンロード数1位、PCによるCD読取数3位で総合順位でも2位にランクイン。オリコンでは初動売上8万8千枚で2位初登場。ヒプノシスマイク関連のアルバムでは前作、ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle- 1st FULL ALBUM『Enter the Hypnosis Microphone』」の14万2千枚(2位)からダウンしています。

3位はEXILEの弟分のダンスグループ、THE RAMPAGE from EXILE TRIBE「THE RIOT」がランクイン。約1年1か月ぶりのリリースとなる2枚目のアルバム。CD販売数3位、ダウンロード数11位、PCによるCD読取数9位で総合順位は3位に。オリコンでは初動売上7万枚で3位初登場。前作「THE RAMPAGE」の3万6千枚(2位)からアップしています。

続いて4位以下の初登場盤です。まず4位にはずっと真夜中でいいのに。「潜潜話」がランクイン。You Tubeへの動画投稿で話題となったグループ。ボーカルのACAね以外の詳細不明という謎のグループとなっています。いままで2枚のミニアルバムをリリースしていますが、フルアルバムは本作が初。CD販売数5位、ダウンロード数2位、PCによるCD読取数14位。オリコンでは初動売上2万7千枚で5位初登場。前作「今は今で誓いは笑みで」の2万枚(1位)からアップ。

5位にはるぅと「君と僕の秘密基地」が初登場。動画投稿サイトへの歌唱動画で人気を博した男性ボーカリストによる初のオリジナルアルバム。CD販売数4位、ダウンロード数57位、PCによるCD読取数23位。オリコンでは初動売上4万4千枚で4位初登場となっています。

7位はGirls2「恋するカモ」がランクイン。テレビ東京系のテレビドラマ「アイドル×戦士 ミラクルちゅーんず!」、「魔法×戦士 マジマジョピュアーズ!」、「ひみつ×戦士 ファントミラージュ!」の出演メンバーからセレクトされた女性アイドルグループ。いままでシングルはリリースしてきましたが、本作が初となるミニアルバムとなります。CD販売数6位、そのほかは圏外で総合順位は7位に。オリコンでは初動売上2万枚で6位初登場となっています。

最後10位にはfripSide「infinite synthesis 5」がランクイン。女性声優南條愛乃と音楽プロデューサー八木沼悟志によるユニット。CD販売数9位、ダウンロード数17位、PCによるCD読取数29位。オリコンでは初動売上9千枚で10位初登場。前作「infinite synthesis 4」の1万1千枚(8位)からダウンしています。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2019年11月 6日 (水)

ヒゲダン人気は続く…

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

秋元康系の女性アイドルグループが1位獲得です。

今週、初登場で1位を獲得したのは=LOVE「ズルいよ ズルいよ」。代々木アニメーション学院バックアップの下で女性声優により結成されたアイドルグループ。プロデュースと作詞は元AKB48の指原莉乃が手掛けた体になっていますが、まあ実質的には秋元康が手掛けているんでしょう。CD販売数1位、ラジオオンエア数53位、PCによるCD読取数23位、Twitterつぶやき数13位。オリコン週間シングルランキングでは初動売上14万2千枚で1位獲得。前作「探せ ダイヤモンドリリー」の9万9千枚(2位)からアップしています。

で、今週も圧倒的な人気っぷりを見せたのがOfficial髭男dism「Pretender」は先週から引き続き2位をキープ。You Tube再生回数は1位、カラオケ歌唱回数2位を今週もキープしています。さらに「イエスタデイ」は先週の4位からワンランクアップの3位にランクインし、ベスト3返り咲き。さらに「宿命」も5位から4位にアップ。結果、2位から4位までをヒゲダンの曲が並ぶチャートとなっています。ちなみにストリーミング数は今週も1位「Pretender」2位「イエスタデイ」3位「宿命」とベスト3を独占しています。

続いて4位以下の初登場曲です。まず7位にどついたれ本舗「あゝオオサカdreamin'night」がランクイン。声優によるラッププロジェクト「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」から登場した、大阪を拠点にしているという設定のラップグループ。先日リリースされたアルバムの表題曲で、Creepy NutsのR-指定とDJ松永が楽曲提供を行っているそうです。Hot100ではダウンロード数5位、Twitterつぶやき数1位、ストリーミング数12位、You Tube再生回数36位で総合順位でベスト10入りです。

9位にはRYUJI IMAICHIこと三代目J Soul Brothersの今市隆二のソロシングル「RILY」がランクインしてきました。いままでソロでのアルバムリリースや配信シングルのリリースはあったのですが、CDリリースを伴う形でのシングルリリースはこれが初。CD販売数2位を獲得したものの、PCによるCD読取数14位、Twitterつぶやき数40位に留まり、総合順位はこの位置に。オリコンでは初動売上3万6千枚で2位にランクインしています。

10位には嵐「Turning Up」がランクイン。嵐初の配信シングルとなります。ダウンロード数では見事1位を獲得。他、Twitterつぶやき数で7位を獲得したものの、配信オンリーとはいえ総合順位ではギリギリベスト10入りと少々厳しい結果となりました。嵐といえば、先日、全シングルが配信、ストリーミング解禁となり大きな話題に。ジャニーズ系といえば、いままで所属アイドルのネットへの露出を極端に制限してきただけに、嵐の楽曲のストリーミング解禁には驚かされました。これを機に、日本のミュージシャンのストリーミング解禁がさらに進んでいきそう。とはいえ、嵐といえば来年12月末の活動休止が予定されており、語弊を恐れずにいえば事務所的には投下資本の回収も済み、「終わった」ミュージシャン。それだけに他のアイドルグループにまでストリーミング解禁が波及するか、と言われれば厳しいそうですが…。ただ、嵐の楽曲のストリーミング解禁は間違いなく日本のポップスシーンに大きな影響を与える出来事だったと思われます。

続いてロングヒット曲です。まず米津玄師「馬と鹿」。今週は3位から5位にダウン。ダウンロード数は1位から2位、You Tube再生回数は3位から4位と下落傾向ですが、PCによるCD読取数は1位をキープしており、まだまだ強さを感じます。また、ここに来て再び盛り返してきたKing Gnu「白日」は今週も6位をキープ。特にストリーミング数はヒゲダンの3曲に続く4位を維持しており、根強い人気を感じさせます。

さらにあいみょん「マリーゴールド」も先週から変わらず8位をキープ。ストリーミング数は先週から変わらず6位を維持しているのですが、You Tube再生回数がここに来て2位にアップ。まだまだロングヒットは続きそう。ちなみに先週まで同時ランクインしていた「空の青さを知る人よ」は10位から13位にダウン。残念ながら2曲同時ランクインは連続4週で幕を下ろしました。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2019年11月 5日 (火)

二重構造の構成がユニーク

Title:House of Sugar
Musician:(Sandy)Alex G

アメリカ・ペンシルヴェニア出身の男性シンガーソングライター、(Sandy)Alex GことAlexander Giannascoli(アレックス・ジアンナスコーリ)。もともとデビュー前からアメリカのダウンロードサイトBandcamp上でアルバムを発表してきたのですが、そこで大絶賛を受けると、なんとかのフランク・オーシャンに才能を認められ、彼のアルバム「Blonde」「Endless」に参加し、大きな話題となりました。そんな彼は2015年、イギリスのインディーレーベル、ドミノ・レコーズからデビュー。さらなる注目を集めて、本作が3枚目となるアルバムとなります。

今回はじめて彼のアルバムを聴いたのですが、フォーキーで美しいメロディーを主軸としつつ、サイケやエレクトロなどの要素も取り入れた、非常にユニークなアルバムとなっていました。本作はいきなりサイケデリックなナンバー「Walk Away」からスタート。若干不穏な雰囲気から本作がスタートします。しかし続く「Hope」はアコギベースで軽快に聴かせるポップチューン。さらに「Southern Sky」もアコギとピアノのフォーキーなサウンドをベースにちょっと切ないメロディーが耳を惹く爽やかなポップチューン。このフォーキーでシンプルなサウンドに美しいメロディーラインという構成がアルバムの中の主軸となって作品は展開していきます。

特にメロディーラインで美しいのが後半の「Cow」。こちらもアコギでしんみり聴かせるサウンドを軸にファルセットボイスで美しく聴かせるボーカルが強く印象に残ります。実質上、アルバムのラストを締めくくる「Crime」も、ちょっと懐かしさを感じるメロディーラインに強く心惹かれる楽曲に仕上がっており、最後までメロディーラインの美しさが印象に残る作品に仕上がっています。

ただ、本作がユニークなのは単純にフォーキーでポップなアルバムで終わっていない点でしょう。それは中盤。サイケでドリーミーな「Near」からはじまり、続く「Project2」もドリーミーでポストロック的なエレクトロのインストチューン。打ち込みのリズムを取り入れたポップチューン「Bad Man」と続き、「Sugar」はピアノにエレクトロサウンドを加えた分厚いサウンドで不穏な雰囲気で展開していくダイナミックなインストナンバー。前半と後半のフォーキーな雰囲気とは一転、実験的な雰囲気の楽曲が並ぶ展開となっています。

この、フォーキーなポップと実験的なエレクトロチューンという二重構造がこのアルバムの最大の魅力。フォーキーなポップチューンも、これだけでしっかりと美しいメロディーを聴かせる名曲が並んでいるのですが、ここに中盤のエレクトロチューンが並ぶことにより、音楽性に厚みが加わります。また、二重構造といっても、例えば「Hope」では打ち込みのサウンドを入れてきていますし、逆に「Bad Man」ではポップなメロディーが流れているなど、決して両者が完全に分離している訳ではなく、そのため、アルバム全体としてもしっかりと楽曲の流れが出来上がっており、中盤の展開にも違和感はありません。そういう意味でも実によく出来たアルバムに仕上がっていました。

まだ本国でも耳の早い音楽ファンに知られているようなタイプのミュージシャンのようですが、今後、徐々に注目を集めさらにブレイクが期待えきそう。これからの活躍も楽しみなシンガーソングライター。今のうちに要チェックです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Hollywood's Bleeding/Post Malone

前作「Beerbongs & Bentleys」が大ヒットを記録。特にアメリカのBIllboard Hot 100のベスト20に9曲を同時ランクインさせ、The Beatlesの記録を54年ぶりに更新したということでも大きな話題になりました。本作はそれに続く、約1年5ヶ月ぶりとなる新作。今時のトラップミュージックの要素を取り込んだエレクトロサウンドがメイン。メロディーはどこか物悲しく哀愁感も覚えるものの、必要以上に暗い雰囲気にはならず、いい意味で聴きやすいポップソングとしてまとめています。本作もアメリカやイギリスをはじめ、世界各国のチャートで1位を獲得するなど大ヒットを記録していますが、ほどよく今の音を取り込んだインパクトあるメロディーのポップソングは確かに多くのリスナー層にアピールできそう。大ヒットも納得です。

評価:★★★★

Post Malone 過去の作品
Beerbongs & Bentleys

The Nothing/KORN

アメリカのへヴィーロックバンドによる約3年ぶりとなるニューアルバム。前作に引き続き、よい意味でKORNらしい作品となった本作。デス声がほどよいインパクトとなっているダイナミックなサウンドに、意外とメロディアスでポップという形容すら似合いそうなメロディーラインも魅力的。ここ最近のアルバムの中では非常に聴きやすい出来に仕上がりつつ、一方でKORNらしいヘヴィネスさもきちんと残したアルバムに仕上がっていました。私が聴いたKORNのアルバムの中ではベストの出来かも。

評価:★★★★★

KORN 過去の作品
Untitled
KORNIII:REMEMBER WHO YOU ARE
THE PASS OF TOTALITY
The Serenity of Suffering

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