2018年9月23日 (日)

湿度ある夏を描いた作品

Title:湿った夏の始まり
Musician:aiko

約2年ぶりとなるaikoのニューアルバム。今回のアルバムは6月リリースと、タイトル通り「夏の始まり」にリリースされた訳ですが、このアルバムタイトルは「(2001年発売の)『夏服』の17年後を描きたい、『夏服』の後に私が過ごしてきた夏を描いたアルバムにしたい」とaikoが思ったことによってつけられたとか。要するにこの17年にaikoの歩みがこのアルバムには込められているといったところでしょうか。

そういった観点でアルバムを聴くと、このアルバム、やけに「雨」という言葉が多く登場してきます。「君がスニーカーを履くと 必ず雨が降るね」「ハナガサイタ」)、「雨の匂いに包まれて 泣いたらとてもみじめに見えそう」「あなたは」)、「今降るこの雨 遠くは晴れている」「恋をしたのは」)・・・などなど。まさにアルバムタイトル通り、「湿った夏」を描写したような表現が要所要所に見受けられます。

ちょっと憂いを感じるジャケット写真といい、アルバム全体に湿気を感じるのは、やはり単純にカラッと明るいだけでは語れない、aikoの17年の歩みがあるから、といったところでしょうか。今回のアルバムは、まさにaikoらしい大人の恋愛を綴った作品と言えるのかもしれません。

そんな今回のアルバム、歌詞もそうですが、メロディーやサウンドの面も、aikoらしいいい意味で安定感あるポップアルバムに仕上がっていました。「格好いいな」「愛は勝手」など、aikoらしいこぶしを聴かせたボーカルが魅力的な曲があれば、先行シングルとなった「ストロー」はまさにaikoらしい複雑に展開していくサビが魅力的。それにも関わらずインパクトあって爽やかなメロディーはまさにメロディーメイカーの才が十二分に発揮された作品になっています。

ほかにも疾走感あるギターサウンドが心地よい「ハナガサイタ」「夜空綺麗」や、ビッグバンド風のホーンセッションが入りつつ、メロディーはしんみり聴かせる「うん。」など、基本的にはaikoらしいシンプルなポップチューンが多い中でもバラエティーを持たしています。

ラスト前の「宇宙で息をして」は非常に切ない歌詞が印象に残る、ピアノとストリングスで切なく聴かせるナンバー。そしてラストの「だから」もピアノとストリングスでしんみり聴かせます。ただし最後の曲は恋人どうしの2人がこれから歩んでいこうと歌うナンバーで、爽やかな気持ちでアルバムは幕を下ろします。

正直なところ、基本的にはアルバム全体としてさほど目新しいものは感じません。ただ、良質なポップチューンの並ぶ、高いレベルで安定したポップアルバムに仕上がっていました。そういう意味では今回も文句なしの傑作アルバムと言えるでしょう。安心して聴けるアルバムでした。

評価:★★★★★

aiko 過去の作品
秘密
BABY
まとめI
まとめII

時のシルエット
May Dream


ほかに聴いたアルバム

SOUNDTRACK~Beginning&The End~/吉井和哉

2016年12月の武道館ライブの模様を収録した作品で、ソロデビュー15周年にあわせてリリースされたライブアルバム。当日はリクエストに基づいたセットリストだったようで、それだけに本作もベスト盤的な選曲になっている点が魅力的。基本的にベテランらしい安定した演奏が楽しめるアルバムになっており、ベスト盤的な感覚で楽しめる作品に仕上がっていました。

評価:★★★★★

吉井和哉 過去の作品
Hummingbird in Forest of Space
Dragon head Miracle
VOLT
The Apples
After The Apples
18
AT THE SWEET BASIL
ヨシー・ファンクJr.~此レガ原点!!~
STARLIGHT
SUPERNOVACATION
ヨジー・カズボーン~裏切リノ街~

ALL TIME BEST/UVERworld

UVERworldに関しての印象といえば、シングル曲などを聴く限りでは、一応ハードコアの影響を受けたようなへヴィーなロックの音を鳴らしているものの、サウンドは平坦でメロディーも平凡なJ-POP。いかにも「売れ線ポップ」にありそうな、スタイルだけは「ロック」だけどもルーツレスで楽曲に奥行を感じさせない悪い意味での「J-POP」というイメージでした。ただ、なぜかROCKIN'ON JAPANあたりが妙に絶賛していて、まあ、聴かず嫌いは良くないか、とも思い、今回、3枚組のオールタイムベストを聴いてみた訳です。

・・・・・・が、このベスト盤を聴いた後でも私が最初に彼らに関して思っていた印象が一歩たりとも動きませんでした。正直、メロディーにしてもおもしろさは感じられず、サウンドもただへヴィーな音が鳴っているだけ。彼らに限らず、特に最近のROCKIN'ON JAPANは「なんでこんなつまんないバンドをこれだけ大きく取り上げるんだろう?」というケースが以前に増して目立っている感があるのですが、正直なところ予想していたよりも残念な感じ。もっと雑誌として取り上げるべきミュージシャンはいると思うんですけどね(苦笑)。

評価:★★★

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2018年9月22日 (土)

胸が熱くなるスプリット盤

Title:Ken Yokoyama VS NAMBA69
Musician:Ken Yokoyama/NAMBA69

昨年、2017年の日本のミュージックシーンにおいてもっとも大きなニュースのひとつは、間違いなく約18年ぶりとなるHi-STANDARDのニューアルバムリリースというビックニュースでしょう。90年代の日本のパンクシーンにおいて絶大な人気を誇ったバンド、Hi-STANDARD。特に99年にリリースしたアルバム「MAKING THE ROAD」はミリオンセラーを達成。大きな話題となり、数多くのパンクロックバンドに大きな影響を与えました。

しかし2000年には残念ながらその活動を休止。一時はメンバーの横山健、難波章浩の不仲が伝えられ、実際に2007年には難波章浩のブログ上でハイスタの収益の分配をめぐるトラブルがWeb上で掲載されるなど、その活動再開が絶望視されていた時期もありました。しかし、その後2人の不仲も解消されたようでハイスタの活動も再開し、昨年は待望のニューアルバムのリリースに至りました。

そして今回、なんと横山健と難波章浩のバンド、NAMBA69がスプリットアルバムをリリース。ある意味、一時期の両者の不仲という経緯があり、かつKen Yokoyama名義での活動もNAMBA69としての活動もハイスタ活動休止中に開始された活動であっただけに、ある意味、ハイスタ活動再開以上に胸熱な企画のように感じました。

特に今回のアルバムで印象的なのはNAMBA69の「PROMISES」で、

「We're here!
(Did we really wanna fight?)

We're here!
(Why did we part ways?)」
(訳;僕たちはここにいる! (僕たち本当に喧嘩したかったのか?)
僕たちはここにいる! (何故僕たちは別々の道を歩んだんだろう?))

(「PROMISES」より 作詞 AKIHIRO NAMBA、TOSHIYA OHNO)

と、ハイスタが活動休止となり2人が離れ離れになっていた時期の事を歌ったような歌詞になっていますし、またタイトルとなった「PROMISES」も、ハイスタが活動休止になってもハイスタが戻ってくるまでレーベル「PIZZA OF DEATH」を守っていくという「約束」のことだという話もあります。そういう意味でも難波章浩の思いが強く感じられる曲になっています。

本作にはKen Yokoyamaの楽曲が3曲、NAMBA69の楽曲が3曲収録されています。Ken Yokoyamaの曲は「Support Your Local」とHANOI ROCKSのカバー「Malibu Beach Nightmare」もいずれもへヴィーで、よりハードコア志向が強いナンバーに仕上がっています。また3曲目の「Come On,Let's Do The Pogo」は一転して軽快なスカパンクなナンバーに。いずれもハイスタの方向性とは若干違う雰囲気を見せる楽曲になっています。

一方NAMBA69の曲は前述の「PROMISES」もそうですが、メロディアスパンク色の強い楽曲に。タイプ的には比較的、ハイスタに近いものを感じます。もちろん、Ken Yokoyama、NAMBA69どちらの曲もハイスタとは異なるものなのは間違いありませんが、ハイスタの方向性としては、より難波章浩の意向が比較的強いのかな、という印象も受けました。

ちなみにそれぞれの3曲中1曲はカバーとなっている本作ですが、NAMBA69はblurの「SONG2」をカバー。印象的なイントロと、「フゥーフゥー」という印象に残る合いの手がそのまま残っており、原曲のイメージそのままにパンクロックにした楽しいカバーに仕上がっていました。

前述の通り、Ken YokoyamaとNAMBA69の曲が1枚のCDに収録されているだけで胸が熱くなってくるような1枚。内容的にもお互い思い入れを感じられる名曲、名カバーが揃っていました。またハイスタでの活動とは別に、お互いのソロ活動も継続しそうですね。ハイスタの活動を長く続けるためにも並行してソロとして活動を続けるスタイルの方がいいのかもしれませんね。ハイスタ、Ken Yokoyama、NAMBA69それぞれの今後の活動に期待です。

評価:★★★★★

Ken Yokoyama 過去の作品
Four
Best Wishes
SENTIMENTAL TRASH

NAMBA69 過去の作品
21st CENTURY DREAMS
LET IT ROCK

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2018年9月21日 (金)

3年ぶりのオリジナルアルバム

Title:GOING TO A GO-GO
Musician:クレイジーケンバンド

デビュー以来、律儀にほぼ1年に1枚のペースでアルバムをリリースし続けるクレイジーケンバンド。ただ、昨年はベスト盤、おととしにリリースした「香港的士-Hong Kong Taxi-」はセルフカバーアルバムと2年続けて企画盤的なアルバムをリリース。オリジナルアルバムとしては3年ぶりとちょっと久々のアルバムとなります。

昨年のベスト盤はデビュー20周年、おととしの企画盤は横山剣のデビュー35周年とベテランの領域である彼ら。一時期は「リリースするたびに最高傑作を更新する」と言われるほどの勢いのあった彼らでしたが、ここ最近は一段落。ただ、直近のオリジナルアルバム「もうすっかりあれなんだよね」はここ最近のアルバムとしては一番の出来でしたし、バンドとしては安定期に入っているといった印象を受けます。

実際に今回のアルバムでもタイトルチューンであり1曲目を飾る「GOING TO A GO-GO」は彼ららしい軽快で楽しいポップチューンに仕上がっていますし、おきまりのアイキャッチを挟む「そうるとれいん」も彼ららしいソウルと昭和歌謡が融合した聴かせるナンバーで、暖かいメロディーラインにほっとさせられる名曲。アルバム全体として一時期のような勢いことないものの、安定感のある良曲が並んでおり、ファンならずとも安心して聴ける歌謡曲テイストの強いソウルポップが並んでいます。

さてそんな今回のテーマは「支離滅裂」だそうで、アイキャッチが3トラックがあるため全17曲となる今回のアルバム、様々なタイプの曲が収録されています。おなじみのソウル、歌謡曲の要素だけではなく、例えば「GARDEN」はラテンなパーカッションが目立つナンバーになっていますし、「SOUL 痛  SOUL」では裏打ちのリズムが展開されるレゲエのテイストも強いナンバーに。「オハヨウゴザイマス」はダンサナブルなナンバーに仕上がっているなどバラエティー豊富。音楽のジャンル的な部分のみならず、ほかにも例えば「山鳩のワルツ」はNHKの「みんなのうた」に採用されるなど、子どもにもアピールできるようなポップチューンになっていますし、「夜のドドンパ」「のっぺらぼう」のようなコミカルなナンバーも収録されています。

そんな訳でバラエティー豊富なアルバムとなった今回の作品ですが、ただ正直言うと、このバラエティーの豊富さは今回のアルバムに限った訳ではなく、クレイジーケンバンドは以前から、音楽的な懐の深さを感じさせます。今回のアルバム、「支離滅裂」を唄っている割には、そんなに「支離滅裂」じゃなかったな、と思ってしまいます。個人的にはちょっと安定しすぎている感じもするため、もっと「支離滅裂」になってもおもしろかったのでは?と思う部分もあるのですが・・・。もっとも今回のアルバムテーマの「支離滅裂」は、彼ららしい単なるジョークという気もしないではないのですが・・・。

もっともそうはいっても内容的には上にも書いた通り、安心して聴ける傑作アルバムという点は間違いありません。3年待たされたファンも納得できる内容だったと思います。次はまた1年後にオリジナルアルバムがリリースされるのでしょうか?次回作も楽しみです。

評価:★★★★★

クレイジーケンバンド 過去の作品
ZERO
ガール!ガール!ガール!
CRAZY KEN BAND BEST 鶴
CRAZY KEN BAND BEST 亀

MINT CONDITION
Single Collection/P-VINE YEARS
ITALIAN GARDEN
FLYING SAUCER
フリー・ソウル・クレイジー・ケン・バンド
Spark Plug
もうすっかりあれなんだよね
香港的士-Hong Kong Taxi-
CRAZY KEN BAND ALL TIME BEST 愛の世界


ほかに聴いたアルバム

Rappuccino/GAKU-MC

ラップグループEAST ENDのメンバーで、ミスチル桜井和寿とのユニット、ウカスカジーとしても活躍しているGAKU-MCの2年ぶりとなるニューアルバム。前作同様、日常生活の中での応援歌的な歌詞がメイン。正直、前作でもちょっと気になったのですが、そういうテーマだとしてもあまりにも毒がなさすぎる・・・。特にJ-POP系のミュージシャンでよくありがちな「前向き応援歌」系の歌詞と異なり、歌詞にある程度具体性があるだけに、あまりに清潔に漂白された内容に鼻白んでしまいました。

あとちょっと気になったのが「オー・シャンゼリゼ」のサビを「表参道」に代えた「オー・オモテサンドウ」って曲があるんですよね。でもこのネタって既にKANが「表参道」って曲でやってるんだよなぁ。知る人ぞ知る的な曲ならまだしも、この曲、アイドルグループのチャオ ベッラ チンクエッティがカバーしてオリコンで最高位3位を取っているだけに、周りの誰も「知らなかった」ではちょっと許されないと思うんだよね・・・。もちろん、一言話を通しているんならば、何も問題ない話だとは思うんだけど・・・。

評価:★★★

GAKU-MC 過去の作品
世界が明日も続くなら
ついてない1日の終わりに

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2018年9月20日 (木)

安室奈美恵のベスト盤、再び

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

9月15日の沖縄でのライブを最後に惜しまれつつ引退した安室奈美恵。引退公演は大きなニュースとなりましたが、今週、その引退公演にあわせる形で彼女のベストアルバム「Finally」がランクをあげています。先週の9位から大きくランクをあげ3位にランクアップ。なんとベスト3入りを果たしています。売上枚数も9千枚から2万枚に大きくアップしています。

今週はその引退公演のニュースが大きく取り上げられています。来週以降もまだまだ高い売上をキープしそうです。

そんな中、今週1位を獲得したのは韓国の女性アイドルグループTWICE「BDZ」がランクイン。ちょっと意外な印象も受けるのですが、アルバムシングル通じて初の1位獲得となるそうです。初動売上は18万1千枚。直近作は輸入盤「Summer Nights:2nd Special Album」で、こちらの2万6千枚(4位)からは大きくアップ。国内盤としては前作「#TWICE」の13万枚(2位)からもアップしています。

2位初登場はTHE RAMPAGE from EXILE TRIBE「THE RAMPAGE」。ミュージシャン名義通り、LDH所属の男性ボーカルグループによる1stアルバム。初動売上3万6千枚でデビュー作にていきなりの1位獲得です。

続いて4位以下の初登場盤です。まず7位に岡部啓一「NieR Orchestral Arrangement Special Box Edition」がランクイン。スクエア・エニックスが発売したアクションRPG「ニーア ゲシュタルト」&「レプリカント」とその続編「ニーア オートマタ」のゲームミュージックをオーケストラアレンジにして3枚組としたボックスセット。初動売上は6千枚。

8位初登場はSHINee「THE STORY OF LIGHT EPILOGUE」。いままでEP1からEP3にわけてリリースしていたアルバム「THE STORY OF LIGHT」に新曲「Countless」を加えて1枚のアルバムにしたものだそうで・・・相変わらずアコギな商売しているなぁ(苦笑)。初動売上6千枚。直近作「The Story of Light EP.3」の7千枚(18位)からダウンしています。

9位には「『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』舞台オリジナルソングCD」がランクイン。男子アイドル育成プロデュースゲーム「あんさんぶるスターズ!」が「あんさんぶるスターズ! オン・ステージ」として舞台化。その舞台で使われた楽曲をあつめたアルバムです。初動売上6千枚。

最後10位には「艦隊これくしょん -艦これ-KanColle Original Sound Track vol.Ⅳ【雨】」がランクイン。ゲーム「艦隊これくしょん -艦これ-」のサントラ盤。初動売上6千枚。サントラ盤では前作「艦隊これくしょん -艦これ- KanColle Original Sound Track vol.III 雲」の1万3千枚(7位)より大きくダウンしています。

さてロングヒット組ではサザンオールスターズのベストアルバム「海のOh,Yeah!!」は先週の7位から5位にランクアップ。ただし売上枚数は1万3千枚から1万枚へと若干のダウンとなっています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2018年9月19日 (水)

男性アイドル勢がベスト3独占

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週はHot100としては珍しく、ベスト3に男性アイドル勢が並びました。

まず1位を獲得したのがジャニーズ系アイドル、NEWS「『生きろ』」。先週の47位からCDリリースにあわせての1位獲得です。日テレ系ドラマ「ゼロ 一獲千金ゲーム」主題歌。タイトル通りの前向きソングで良くも悪くもベタなJ-POPらしい曲。CD販売数、PCによるCD読取数及びTwitterつぶやき数で1位。ラジオオンエア数も11位にランクインしています(ダウンロード及びストリーミングは未配信)。オリコンでは初動売上21万5千枚で1位獲得。前作「BLUE」の16万4千枚(1位)からアップしています。

2位初登場は名古屋を中心に活動する男性アイドルグループBOYS AND MEN「炎・天下奪取」。TBS系ドラマ「マジで航海してます。-Second Season-」主題歌。ヒャダイン作詞作曲によるナンバーですが、その割には平凡なアイドルポップといった印象が。CD販売数2位、Twitterつぶやき数11位、ラジオオンエア数26位を獲得(ダウンロード及びストリーミングは未配信)。オリコンでは初動売上11万5千枚で2位初登場。前作「進化理論」の13万9千枚(1位)よりダウンしています。

で3位はK-POPの男性アイドルグループ。MONSTA X「LIVIN' IT UP」が獲得。エレクトロビートの強いHIP HOPからスタートし、サビはポップな歌モノというアイドル系によくありがちなパターン。CD販売数3位、PCによるCD読取数53位、Twitterつぶやき数5位(ダウンロード及びストリーミングは未配信)。オリコンでは初動6万4千枚で3位初登場。前作「SPOTLIGHT」の7万枚(2位)よりダウンしています。

以上1位から3位までCDの売上ランキングと一致しており、かつ、曲がヒットしているというよりもファンズアイテム的にCDだけが売れているアイドル系が並ぶというHot100らしからぬベスト3となりました。ただ、4位以下はある意味、Hot100らしい配信中心のヒット曲が並びます。

まず初登場では6位に西野カナ「Bedtime Story」が先週の16位からCDリリースにあわせてベスト10入り。映画「3D彼女 リアルガール」主題歌。タイトル通りの物語性のある歌詞が聴かせる曲なのですが、物語の展開にひねりもなにもないのが非常に残念。CD販売数が7位なのに対してダウンロード数が3位を記録。ただストリーミング数は31位に留まっており、音源を手元に残したい固定ファンの人気がメインで、ストリーミングでちょっと聴いてみようという層には届いていない模様。ほかにラジオオンエア数12位、PCによるCD読取数16位、Twitterつぶやき数71位、You Tube再生回数60位を記録。オリコンでは初動売上1万6千枚で7位初登場。前作「アイラブユー」(8位)から横バイとなっています。

7位には韓国の女性アイドルグループTWICE「BDZ」が先週の12位からランクアップしベスト10入り。今週のアルバムチャートで上位にランクインしてきているアルバム「BDZ」のタイトルチューン。配信オンリーのためCD販売数はランク外ですが、ダウンロード数35位、ストリーミング数で3位を獲得し、浮動層の人気が高い模様。またラジオオンエア数1位、Twitterつぶやき数2位、You Tube再生回数4位といずれも上位にランクインしています。

このように初登場組はいずれも配信中心のヒットとなっている今週のチャート。また同じく配信中心のヒットとなっているロングヒット曲は今週も目立ちます。まず4位におなじみDA PUMP「U.S.A.」がランクイン。残念ながら先週の2位からはダウンしてしまいましたが、ダウンロード数で5位、ストリーミング数では1位をキープ。さらにYou Tube再生回数でも1位を獲得しています。また米津玄師「Lemon」は7位から5位にランクアップ。こちらはダウンロード数で2位(ストリーミングは未配信)と根強い人気を保っているほか、PCよるCD読取数6位、Twitterつぶやき数8位、You Tube再生回数2位といずれも上位をキープ。まだまだロングヒットが続きそうです。

今週のHot100は以上。明日はアルバムチャート。

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2018年9月18日 (火)

あの頃に戻ったような

B'z LIVE-GYM Pleasure 2018-HINOTORI-

日時 2018年9月6日(木)18:00~ 会場 豊田スタジアム

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個人的に以前から一度は行ってみたいなぁ、と思っていたライブに足を運んできました。B'zのワンマンライブ。今回は5年に1度開催する「Pleasureシリーズ」と題うたれる、主に過去のヒット曲を中心とする構成からなるライブ。だから、という訳でもなくちょうどライブの日程が私の予定と合ったから、というのが大きな理由なのですが、ついに念願のライブに足を運んできました。

いつもはライブには開演時間ギリギリに足を運ぶものの、この日はスタジアムライブということもあって1時間くらい前に会場入り。席に着いてからもビールを飲むなどして、のんびりしながら開演を待ちました。そして席の場所にビックリ。スタンド席だったのですが、ステージのすぐ真横!メンバーの姿が非常にはっきりと見える位置で予想外に良い席でうれしくなりました。

そして開演を5分程度過ぎた頃、ついにライブがスタートしたのですが・・・まずは一言言わせてください。予想以上に最っ高に楽しいライブでした!!

というのもその大きな理由がこの日の選曲。途中のMCでも「みんなが口ずさみやすいもの」と稲葉さんが言っていましたが、ほとんどが1990年代の楽曲ばかり。つまり私が中学生から高校生の頃に聴いていた曲ばかりで、陳腐な言い方かもしれませんが、本当にあの頃に戻ったような錯覚に陥るひと時で、文字通りの感涙モノのセットリストになっていました。

スタートはまず「ultra soul」からスタート。ある意味、つかみ的な盛り上がりやすいナンバーなのですが、それに続いてはなんと「BLOWIN'」!非常に懐かしいナンバーがいきなり飛び出し、気分はあがりまくります。その後、ステージ上のモニターは紙コップでドリンクをのむ稲葉さんをクローズアップ。稲葉さんがカメラを招き寄せるような動作をしたから何かな、と思ったら、紙コップの後ろに「B'z LIVE-GYMへようこそ」という手書きのメッセージが(笑)。なかなかコミカルな演出で盛り上げます。

続いては「ミエナイチカラ ~INVISIBLE ONE~」と懐かしいナンバーから、「TIME」へ。「BLOWIN'」のカップリング曲で、これまた感涙モノ。さらに「love me,l love you」と自分が中高生の頃にリアルタイムで聴いていたナンバーが続き、気分は高揚します。

ここで一度会場はクールダウン。「光芒」をしんみり聴かせた上で、こちらも是非聴いてみたかった「もう一度キスしたかった」を静かに感情たっぷりに歌い上げいます。そして続いては「B'zでは珍しくふりつけのあるナンバー」ということで、「恋心(KOI-GOKORO)」へ!個人的にも大好きなナンバーで、間違いなく聴きたかった曲No.1だったので、もう狂喜です。はじまる前に稲葉さん自らふりつけの指導(?)があり、みんなで踊りつつのライブ。途中、メンバー2人と女性の下半身の風船の像がステージ上に登場し、ちょっとコミカルな雰囲気に。そのまま「OH!GIRL」とこれまた懐かしい、ポップなナンバーと続きます。

「イチブトゼンブ」を挟んで、これまた非常に懐かしい「ZERO」へ。途中ラップのパートでは松本孝弘がこれまた懐かしい「ZERO」の8cmシングルの歌詞カードをみながらラップを口パクなんていうコミカルなシーンが。途中、稲葉さんに突っ込まれていました(笑)。

その後メンバー紹介があり、松本さんが「星に願いを」を叙情感たっぷりにギターソロで披露。そしてステージの下からピアノがせり上がってきたかと思うと、稲葉さんのピアノ弾き語り+ギターによる「ALONE」へと続きます。こちらも私が中学時代の超懐かしいナンバーで、あの頃を思い出してしまいました。

さらにステージ上に怪しげな鏡のようなものが登場。ステージ上が怪しい雰囲気になると「LOVE PHANTOM」へ。これまた聴きたかったナンバーなので否応なしに気分は盛り上がります。途中、「HINOTORI」を挟んで、最後はバンパイアの格好になった稲葉さんが高所にあがると、そのままジャンプ(!)という演出。この曲の時のお決まりの演出みたいですね。最後のダイブはもちろんスタントマンと入れ替わっての演出のようですが。

その後は「Real Thing Shakes」を1番のみ披露し、カッコイイギタープレイを存分に聴かせたかと思うと、「juice」へ。ここでは大きなジュースの缶を模した風船が登場し、観客席の上を跳ねまわりました。「juice」の途中では「NATIVE DANCE」と「太陽のKomachi Angel」をちょっとだけ披露するシーンも。そして「juice」が終ると・・・もうイントロが聴こえただけで気分が一気にあがってしまいます、「BAD COMMUNICATION」へ。こちらも大好きなナンバーで気持ち的に大盛り上がりです。

そして本編ラストはツアータイトルにもなっている「Pleasure 2018-人生の快楽-」。もともと「Pleasure'91~人生の快楽~」が、ライブツアー毎に一部歌詞を替えつつ披露されているそうです。この曲、私が一番最初にリアルタイムで聴いたB'zのナンバーなのですが、その懐かしさと、さらにある意味ノスタルジックさを感じる歌詞の内容から・・・正直、聴いていて涙が出てきました(^^;;

Hinotori2

本編は終わりアンコールへ。ただなかなかメンバーはあらわれません。25分くらい経ってようやく2人が会場の後ろから登場!会場のアリーナ後方部に設けられたミニステージに2人だけのぼってアンコールとなりました。ここでのMCは松本さんに振られ、ここでは「B'zと名古屋」ということで、B'zの初のワンマンライブが名古屋の芸創センターで演ったという話。そしてアンコール1曲目は「Brotherhood」へ。最初はメンバー2人のみの演奏からスタート。最後はバンドの演奏をバックに後方のミニステージからスタンドとアリーナの間の通路を通りつつ、前方のステージへ。歌詞の「We'll be alright」をみんなで大合唱していました。

そして本編ラストは「RUN」で締めくくり。こちらも昔のナンバーで、懐かしさを感じつつ、幕を下ろします。最後はメンバー2人のみがステージ上に並んでご挨拶。約2時間45分程度でライブは幕を下ろしました。

本当に最初から最後まで懐かしい曲の連続。聴きたかったナンバーもかなりの割合で聴けて、かなり満足度の高いライブでした。ライブを見に行って、「自分、このミュージシャンがこんなに好きだったんだ」と気づかされるライブって何度かありましたが、今回もまさにこのパターン。もちろん思い出補正的な部分も大きいのですが、もう最初から最後まで感動しっぱなしのライブでした。

客観的に言えば、ある意味予想通りではあるのですが、非常に完成度の高いステージという印象。演奏は原曲から大きな変化もなく、ある意味CD通り。演奏の迫力で聴かせる、といった感じではないのですが、安定感ある演奏と、数多くのパフォーマンスで彩られており、とにかく楽しめるエンターテイメント性抜群のステージでした。

30周年のステージということもあって、バックのモニターでは過去のライブ映像なども流されて、こちらも懐かしい気分に。「Real Thing Shakes」の前では96年のライブツアー「Sprit Loose」のオープニング映像も流れていたりして、非常に若い2人の姿に懐かしく感じると共に、お金のかかった演出にはCD業界は景気のよかったあの頃を思い出したりして・・・。

しかし稲葉浩志は御年53歳なのに実に若々しい。先日の福岡公演で声が出なくなるトラブルがあったりして、この日もどうも本調子ではなかったようで、本編ラストのMCでは「万全じゃなくてごめんなさい」と言っていたり、アンコールのMCでも「みんなにエネルギーもらって甘えてしまいました」というMCがあったりしたのですが、30年近く前のナンバーを当時と全く変わらないキーと声量で歌い上げるあたり点には驚きを感じます。

一方、松本孝弘はさすがにルックスはそれなりに年齢なりに(^^;;ただやはりギターをかかえているだけで二の腕はかなりムキムキな感じでしたが(笑)。

そんな訳で、稲葉さんのボーカルも万全な状況ではなかったのですが、それを差し引いても最後まで心の底から楽しめるステージでした。再度書きますが、中高生時代にリアルタイムで聴いていた曲の連続で、本当にあの頃に戻ったような錯覚に陥った一瞬。また、次の「Pleasure」シリーズも、是非とも足を運びたいと感じたステージでした。

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2018年9月17日 (月)

前々作、前作も大きな話題に

Title:Ordinary Corrupt Human Love
Musician:Deafheaven

今回紹介するアルバムはDeafheavenというアメリカの5人組バンド。彼らのアルバムを聴くのは本作がはじめてなのですが、前々作「Sunbather」も前作「New Bermuda」も海外では高い評価を得たとか。もともとこのアルバムを聴いたはPitchfolkで「BEST NEW ALBUM」の評価を得たことがきっかけだったのですが、それ以上に興味を引いたのは彼らの音楽のスタイル。ジャンル的にはブラックメタルにカテゴライズされるとか。ただ単純なメタルバンドではなく、シューゲイザーやポストロックなどの影響の強い「ポストメタル」というジャンルにカテゴライズされるバンドのようです。

確かにこのアルバムも、1曲目「You Without End」は静かなピアノの音からスタートします。中盤あたりもバンドサウンドが徐々に加わっていくのですが、メロディアスなフレーズが印象的。ただ中盤、バックにいきなり金切り声が鳴り響き、ブラックメタルらしさがあらわれてきます。

続く2曲目「Honeycomb」はブラックメタルの特徴らしい、トレモロリフと金切り声がいきなり鳴り響きますので、そういう意味ではブラックメタルらしいサウンドと言えるかもしれません。ただ、こちらもそんなヘヴィーなサウンドをバックにダイナミックながらもメロディアスなギターが鳴り響いており、いい意味で聴きやすく、なおかつ重層的なサウンドが楽曲に深みを与えています。

基本的に非常にメランコリックなギターサウンドがメロディアスに鳴り響く中、分厚くダイナミックなバンドサウンドが複雑に展開する構成が特徴的。途中、ブラックメタルらしい金切り声が登場し、メタルらしいへヴィネスさを楽曲に加えています。7曲入りのアルバムながらも、うち4曲が10分以上の曲となっており、その長さの中でサウンドが徐々に展開していくのも大きな魅力となっています。

シューゲイザーからの影響も強いということですが、楽曲のタイプ的にはMOGWAIやGodspeed You! Black Emperorに近いイメージがあります。ブラックメタル好きの壺にももちろんはまりそうなバンドかもしれませんが、それ以上にギターサウンドが主体のポストロックが好きな方にははまりそうなバンドのように感じました。

彼らの曲はメロディーラインも美しく、特に「Night People」ではアメリカでゴシック・ロックを奏でる女性ミュージシャン、チェルシー・ウルフをゲストとして迎えているのですが、こちらはメタル色の薄いポップチューン。ただ男女デゥオの歌のメロディーが美しく、非常に心を打ちます。ラストの「Worthless Animal」も10分という長尺の曲で、ダイナミックなバンドサウンドと金切り声が終始展開されるへヴィーな曲なのですが、どこか郷愁感のあるフレーズが楽曲全体を通じて流れており、心に響いてくる曲になっていました。

今回はじめて聴いた彼らのアルバム。「ブラックメタル」ということで最初は構えたのですが、結果的にはその美しいフレーズとへヴィーなバンドサウンドにすっかりはまってしまいました。申し分ない傑作アルバム。日本ではさほど知名度が高くないように感じるのですが・・・ポストロックが好きならかなりはまりそうな1枚です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Collagically Speaking/R+R=NOW

2度のグラミー賞を受賞し、今、最も注目されるジャズピアニスト、ロバート・クラスパーと同じくケンドリック・ラマーにも重用され大きな話題となったプロデューサーでありサックス奏者でもあるテラス・マーティンというジャズシーンで最も注目を集める2人を中心としたバンド、R+R=NOW。全体的にはメロウなメロディーラインがまず耳に残るポップなナンバーが多く収録されています。ジャズのアルバムながらもソウル、HIP HOPの要素も取り入れており、自由度も高いサウンドも魅力的。ただ全体的にはポップでおとなしくまとまってしまっているような印象も。

評価:★★★★

I'm All Ears/Let's Eat Grandma

「おばあちゃんを食べちゃおう!」とはかなり刺激的な名前のつけられたミュージシャンですが、10代の女の子2人によるイギリスのエレクトロポップデュオ。今年のフジロックにも出演するなど、徐々に話題を集めています。基本的には軽快なシンセの音をバックとしたガールズポップがメインなのですが、終盤には9分にも及ぶ「Cool&Collected」や11分にも及ぶ「Donnie Darko」といった曲も展開。いずれも楽曲が進むにつれ複雑に展開していき、ダイナミックで分厚いサウンドやサイケ風のサウンドなども飛び出すなど、単純なエレクトロポップに留まらない一面を楽しめます。一度その名前を聞いたら忘れられなさそうなユニットですが、これからの活躍も楽しみです。

評価:★★★★

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2018年9月16日 (日)

逝去後20年目のトリビュートアルバム

Title:hide TRIBUTE IMPULSE

ある意味、ブルーハーツと並んでおそらく今、もっとも多くのトリビュートアルバムがリリースされているミュージシャン、hide。今回のアルバムは没後20年にあたってリリースされたトリビュートアルバム。一体何作目だよ!とも思ったりするのですが、今年5月に彼の最期の足取りをたどったドキュメンタリー映画「HURRY GO ROUND」が公開されており、本作はその映画公開にあわせて作成されたといったところでしょうか。

今回のトリビュートアルバムに参加しているのはタイプ的には比較的hideからの影響が容易に想像できるようなロック系ミュージシャンがメイン。西川貴教やACID ANDROID、BREAKERZ、MIYAVIなどが参加しています。カバーも原曲のイメージに沿ったシンプルなカバーがメイン。そのため無難で目新しさはあまり感じられない反面、ファンからすると賛否がわかれそうな「これはちょっと・・・」といった感じのカバーもあまりなく、全体的に卒なくこなしている印象を受けました。

ただ、参加メンバーの中でもっとも意外性があったのがCocco。彼女が「GOOD BYE」をカバーしているのですが、アコギのアルペジオをバックに彼女らしい感情のこもった力強いボーカルで歌い上げており、完全にCoccoの曲として仕上がっている絶品のカバーに仕上がっています。Coccoのファンはもちろんのこと、おそらくhideのファンも大満足のカバーだったのではないでしょうか。

そしてもうひとつ本作の聴きどころが(トリビュートアルバムという趣旨からは少々ずれるのですが)最後に収録されているhideの歌う「HURRY GO ROUND」。今回、はじめて見つかった未発表の音源だそうで、デモ音源なのですが、hideの息吹がそのまま伝わるような生々しいボーカルが収録されており、間違いなくファンなら感涙モノの1曲。ファンにとってはおそらくこの曲を聴くだけで本作を聴く価値はあり、といった感じでしょう。

ほかのカバーは・・・「ROCKET DIVE」をカバーしたDragon Ashはロックバンドとしての魅力を最大限に発揮した疾走感あるロックチューンで、Dragon Ashのバンドとしての実力も強く感じます。西川貴教の「ever free」はエレクトロ・・・というよりもデジロックという表現がピッタリきそうなカバー。良くも悪くも彼らしい、ちょっとベタさを感じるカバーになっています。BREAKERZの「EYES LOVE YOU」は、ある意味今回のカバーの中では良くも悪くももっとも無難で原曲準拠のカバー。ただDAIGOのボーカルはあきらかにhideを意識しており、その点、トリビュートらしい原曲への愛情も感じます。「Bacteria」をカバーしたSEXFRiENDなるグループはアイドルグループBiSHのアイナ・ジ・エンドとMOROHAのUKによるデゥオ。UKのファンキーなアコギ1本でのサウンドが耳を惹き、また、ちょっとベタさを感じるもののロッキンなアイナ・ジ・エンドのボーカルもカッコいいカバーに仕上がっていました。

Coccoやラストのhideなど聴きどころはありつつ、全体的には卒なくまとめた感のあるトリビュートアルバム。おそらくファンにとっても参加ミュージシャンのファンにとってもそれなりに楽しめる内容になっていたと思います。しかし、本当にhideのトリビュート、多いですね。おそらくhideが参加していたX JAPANが、断続的とはいえ未だに活動を続けているため、そこから遡ってhideを好きになるような方が多いんでしょうね。もろ手をあげて絶賛するような内容ではありませんでしたが、十分楽しめるトリビュートアルバムでした。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

XIII/lynch.

名古屋出身のロックバンド、lynch.によるタイトル通り13枚目となるオリジナルアルバム。いわゆるヴィジュアル系にカテゴライズされるタイプのバンドで、楽曲的にはハードコア的な要素も強いタイプ。方向的にはDir en greyやもっとポップ寄りという意味ではthe GazettEと近い感じなのですが、the GazettEよりもさらにポップ寄りになった感じ。悪い意味でヴィジュアル系らしい耽美的なボーカルにベタな哀愁感をたっぷりと塗りたくったメロディーラインが耳につきます。決して悪い内容ではないけれど・・・メロディーはさほど面白味を感じず、ハードコア路線としても少々中途半端。今回はじめて聴いたのですが、おそらく次回作は積極的には聴かないだろうなぁ。

評価:★★★

hameln/おいしくるメロンパン

とにかくユニークなバンド名がまず先に立つスリーピースバンドの3枚目となるミニアルバム。メランコリックさを感じるメロディーラインが魅力的で、所々シティポップ的な要素も感じられる点がユニーク。要所要所にハッとさせられるようなフレーズが登場するなど、その実力を感じさせてくれる一方、肝心のサビについてはちょっと平凡な感じになってしまっているかな。彼ら、まだミニアルバムだけのリリースでフルアルバムをリリースしていないだけに、フルアルバムをリリースした時にどんなアルバムを作ってくるか、非常に楽しみなミュージシャンではありますが。

評価:★★★★

おいしくるメロンパン 過去の作品
indoor

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2018年9月15日 (土)

HIP HOPリスナーに限定しない「聴きやすさ」を感じる傑作

Title:?
Musician:XXXTENTACION

今年6月、フロリダ州南部のディアフィールド・ビーチにて強盗に襲われ、わずか20歳という若さで不遇の死を遂げたラッパー、XXXTENTACION。デビューアルバム「17」はいきなり全米チャート2位を記録。かのケンドリック・ラマーもTwitter上で絶賛するなど大きな話題となり、今年3月にリリースされた同作はビルボードチャートでついに1位を記録するなど、さらに大きくブレイク。さあこれから、という矢先の突然の死はシーンに大きな衝撃を与えました。

ただ残念ながら日本においてはさほど知名度も高くなく、ネット上にあるXXXTENTACIONに関する記事もほとんどが強盗事件を受けてかかれたものばかり。もっともかく言う私も今回の事件を受けて話題となりはじめて彼のことを知っただけに偉そうなことは言えませんが(^^;;どちからというとその話題性から聴いてみたアルバムだったので正直大きな期待はしていなかったのですが、聴いてみるとこれが予想外に「聴きやすい」素晴らしい傑作アルバムになっていました。

まずアルバム全体を貫く大きな特徴としては憂いを帯びた作風の曲が多いという点があげられます。もともと彼のラップには孤独感や厭世観を表現した作品が多いらしく、それがサウンドにも強く反映しています。残念ながらラップの内容自体については詳しくはわからないのですが、そんな方向性は歌詞の世界が詳しくわからなくても、そのサウンドから確実に伝わってくるようです。そして、非英語圏のリスナーにとってもサウンドからしっかりとその主張が伝わってくるという点が、アルバムの聴きやすさのひとつの要因になっているように感じます。

また、今回のアルバム、全18曲入りというボリュームながらも全体の長さはわずか38分という短さ。どの曲も1、2分程度の長さで次々と曲が展開していきます。この次から次へと展開するというアルバムの構成もまた、アルバムの聴きやすさの大きな要素となっています。

そしてジャンル的にはHIP HOPのアルバムなのですが、歌モノの曲が多く収められています。1曲目「ALONE,PART 3」からアコギの音色からスタートし哀愁感たっぷりに歌われる歌モノのナンバーからスタートしますが、続く「Moonlight」も一応はボーカルはラップ風ですし、サウンドもトラップ風ですが、そのラップはまるで歌われているかのようなメロディアスなもの。「Changes」みたいにピアノをバックにソウルフルに歌われるような完全にR&Bのナンバーなどもあったりして、アルバム全体としてラップというよりもメロディーを聴かせる曲が多いのが特徴的。そのためHIP HOPを普段聴かないような方でも聴きやすさを感じるアルバムだったように思います。

さらにサウンド的にもバリエーションを感じさせます。前述の通り、アコースティックなサウンドを取り入れていたり、今風のトラップの要素を入れていたりするのも特徴的ですが、特に特徴的なのはロックからの影響。「NUMB」などダイナミックなサウンドと哀愁感あるメロの組み合わせで、ちょっとベタさも感じるのですが、これだけ聴くと、どこかのオルタナ系バンドの曲と思われても不思議ではありません。「Pain=BESTFRIEND」もギターサウンドをメインとしたロックな歌モノでサビではシャウトまで登場。「schizophrenia」もハードコア風のナンバーとなっており、ロックリスナーにとっても聴きやすいアルバムに仕上がっていました。

そんな感じでアルバム全体としてバラエティーがあり、いい意味でHIP HOPリスナーに限定しない聴きやすさを感じるアルバム。それだけにアメリカで多くのリスナーに支持されていたのが納得感がありますし、またわずか20歳という突然の訃報はあらためて残念に感じてしまいます。残念ながら遺作となってしまった本作ですが、いまからでも是非チェックしてほしい1枚。普段HIP HOPを聴かない方でも十分お勧めできる傑作です。

評価:★★★★★

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2018年9月14日 (金)

アマゾンの奥地から聴こえてくるような(?)

Title:Debut
Musician:ASA-CHANG エマーソン北村

元スカパラのリーダーであり、現在はASA-CHANG&巡礼としての活動やパーカッショニストとして活躍しているASA-CHANGと、JAGATARA、MUTE BEATなどでも活躍したキーボーディスト、エマーソン北村。どちらも日本のミュージックシーンを表から裏から支えてきたいわば重鎮とも言えるミュージシャンなのですが、その2人が手を組み、アルバムをリリースしました。

「Debut」とある意味そのままなタイトルがつけられた本作。どちらもベテランのミュージシャンである彼らのアルバムにこういうタイトルがつけられる点にユーモラスを感じるのですが、それと同時にこの1作だけではなく、今後もコンスタントに活動を続けていこうという決意も感じさせます。

今回のアルバムは全7曲25分の長さのミニアルバム。7曲中6曲はカバーとなっています。そのカバー6曲も有名なスタンダードナンバーのカバーばかりで、タイトルを見ただけでメロディーが思い浮かばなくても実際に聴いてみると「ああ、あの曲」と思う方がほとんどではないかと思います。そういう意味では「ベタな選曲」と言えるかもしれません。

そしてこのカバーが実にユニーク。ASA-CHANGは今回、トランペットでの参加が多く、彼のトランペットがメインのフレーズを奏でている曲が多いのですが、力強い演奏というよりは脱力感のある演奏となっており、どこかユーモラス。またエマーソン北村のキーボードやリズムボックスも、チープな感触を残すようなサウンドと演奏となっており、これもユーモラスを感じさせます。

特にポール・モーリアなどの演奏でも知られるイージーリスニングの代表作「恋は水色」のカバーでは、トランペットとキーボードの音色が脱力感と湿っぽい雰囲気を楽曲に与え、さらにバックに流れるASA-CHANGのタブラの音色が独特のトライバルな雰囲気を楽曲に加えています。イージーリスニングらしい、爽やかで無味透明だった原曲に熱帯雨林のようなねっちりとした独特の空気感を加味しており、そこに楽曲がもともと持っていたインパクトあるフレーズが流れることにより、癖の強い独特な雰囲気を持つ楽曲に変わっていました。

この曲に限らず今回のカバーではどの曲も、どこか湿度の高いねちっとした雰囲気のカバーが多いのが特徴的。特にトライバルな雰囲気を醸し出すリズムやサウンドも多いのですが、もともと活動履歴からもわかるようにASA-CHANGもエマーソン北村もレゲエ、ラテン方面の音楽を奏でるミュージシャン。そのため、今回も曲もレゲエやラテン音楽の要素を強く感じさせ、いわばアマゾンの奥地に流れてくるようなちょっと怪しげな音楽、といったイメージを今回のアルバムからも彷彿としました。

最後の7曲目はレゲエミュージシャンのチエコ・ビューティーをボーカルに迎えた唯一のオリジナル曲「ミリバールの歌」。ちょっとムーディーな雰囲気のある歌モノのポップチューン。オリジナル曲がポップで聴きやすい歌モノというのはちょっと意外な印象もあるのですが、だた全体的に暑さを感じさせるアルバムの中、ラストは爽やかな雰囲気を残しつつアルバムは幕を下ろしました。

とにかくその熱帯雨林のような雰囲気と脱力感を覚えるサウンドが魅力的で強いインパクトを感じさせる傑作アルバム。これがデビュー作ながらもASA-CHANGとエマーソン北村の相性の良さも感じさせます。アルバムタイトルがタイトルなだけにこれからもコンスタントなアルバムリリースも期待できそう。これからがとても楽しみです。

評価:★★★★★

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