2019年3月18日 (月)

安定感ある傑作

Title:ALL THE LIGHT
Musician:GRAPEVINE

デビュー以来、コンスタントなアルバムリリースが続くGRAPEVINE。本作が16枚目のオリジナルアルバムとなりますが、途中、ベスト盤のリリースを挟んだ「真昼のストレンジランド」と「愚かな者の語ること」の間が2年超離れてしまった以外は、すべてオリジナルアルバムのリリーススパンが1年から1年半程度という積極的な活動スタイルには驚きすら感じます。

そしてこれだけ積極的にアルバムをリリースしていながらもどのアルバムも一定以上のクオリティーを保ち、駄作がない、というのも驚くべき事実。さらにここ最近、いい意味での安定感が増してきたように感じます。特に以前はヘヴィーな雰囲気の作品と爽やかな雰囲気の作品を交互にリリースしてきたように感じますが、今回のニューアルバムはGRAPEVINEのこの2つの特徴をうまく融合したアルバムに仕上げていたように感じます。

特に今回のアルバムはいきなりアカペラの楽曲「開花」でスタート。続く「Alright」はシンプルでストレートなギターロックチューン。ホーンセッションも加わり、ストーンズばりのロックンロールチューンを軽快に聴かせます。さらに続く「雪解け」はアコースティック風のナンバーと、比較的爽やかなナンバーが続いていきます。

かと思えば「Asteroids」はちょっと重い、ダウナーな雰囲気のナンバーですし、「God Only Knows」はツェッペリンばりのヘヴィーなギターリフが耳に残るダイナミックなナンバーと彼らのヘヴィーな側面を楽しむことが出来ます。

また全体的にもバラエティーに富んだ作風が特徴的で、「ミチバシリ」ではタブラのリズムが入り、ちょっと不思議な空気感を醸し出していますし、「こぼれる」ではしんみり静かなギターでジャジーな雰囲気に。さらにブルージーなギターを聴かせる「Era」など、全体的にはR&BをベースとしたロックというGRAPEVINEのスタイルから大きくは逸脱せず、統一感はあるものの、様々なタイプの曲が最後まで展開されており、最後まで飽きずに楽しめます。

歌詞についてもここ最近の田中和将の特徴となっているのですが、以前にような深読みが可能な文学的な匂い漂う言葉選びそのままに、以前に比べると主題が比較的わかりやすくなった歌詞が目立ちます。

例えば「雪解け」では

「独りかい
怖がらないでいい
あともう少し
冬が終わるまでは」

(「雪解け」より 作詞 田中和将)

という、比較的わかりやすいメッセージ性を感じる歌詞を聴くことが出来ます。

そんな訳で今回のアルバムもGRAPEVINEらしい安定感のある傑作アルバムに仕上がっていました。これだけコンスタントにアルバムをリリースしながらも、これだけ外れがないというのはすごいなぁ・・・。彼らの活躍はまだまだ続きそうです。

評価:★★★★★

GRAPEVINE 過去の作品
TWANGS
MALPASO(長田進withGRAPEVINE)
真昼のストレンジランド
MISOGI EP
Best of GRAPEVINE
愚かな者の語ること
Burning Tree
BABEL,BABEL
ROADSIDE PROPHET


ほかに聴いたアルバム

Blank Envelope/Nulbarich

初のベスト10ヒットとなった前作「H.O.T」に続き本作もチャートでベスト10入り。AOR、シティーポップのミュージシャンが数多くブレイクを果たしている中、その中心的なバンドのひとつともいえる彼らの最新作。全体的にはミディアムテンポの曲が多く、楽曲のスケール感もいままでに増して広がっているように感じます。ただ一方で前作同様、メロディーラインのフックの弱さが気になり、アルバム全体として印象が薄くなってしまっている点が気にかかります。もうひとつ、壁を乗り越えてほしい印象を受けるバンドですが・・・。

評価:★★★★

Nulbarich 過去の作品
Who We Are
Long Long Time Ago
H.O.T
The Remixies

Hell like Heaven/the peggies

女の子3人組ロックバンドのメジャーでは初となるフルアルバム。疾走感あるシンプルなギターロックがメインで、ポップなメロディーラインに女の子の「かわいらしさ」を前に押し出しつつ、バンドとしてはなかなかヘヴィーなサウンドを聴かせてくれており、そのギャップがかつてのチャットモンチーを彷彿とさせる部分も。そういう意味では「ポップでかわいらしいメロにヘヴィーなバンドサウンド」という点ではポストチャットモンチーの最右翼といった印象もある反面、そのためには、もうちょっと音楽的にはバリエーションも欲しい感じも。メロディーラインのインパクトはいままでのアルバムに加えて増してきた印象もあり、次のアルバムあたり、おもしろくなりそう、かも。

評価:★★★★

the peggies 過去の作品
super boy! super girl!!
なつめきサマーEP

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2019年3月17日 (日)

ヘナヘナな雰囲気ながらも

Title:Ripples
Musician:Ian Brown

1980年代後半から90年代にかけて活躍し、当時のマンチェスター・ムーブメントの中心的存在だったイギリスのロックバンド、THE STONE ROSES。アルバムをわずか2枚リリースした後に解散してしまったのですが、その後の音楽シーンに絶大な影響を与えました。

その後2011年、2016年と再結成。日本でもライブを行い、2016年の再結成時には久々となる新曲もリリースしたのですが、残念ながらアルバムのリリースはなく、現在はまたバンドは解散状態となります。多くの音楽ファンが待ちわびるTHE STONE ROSESの3枚目のアルバムはいつになるのか不明なのですが、バンドのボーカリストであるイアン・ブラウンがこのたび約10年ぶりとなるソロアルバムをリリースし、話題となっています。

ただ、かく言う私は特にリアルタイムでTHE STONE ROSESを聴いていた訳でもなく、バンドに大きな思い入れもありません。そのためソロアルバムも興味はあったもののさほど高い期待の下で聴き始めたという訳ではありませんでした。実際、1曲目「First World Problems」も最初、シンプルでちょっとチープさすら感じるシンセの音と、決して上手いわけではないイアンのボーカルでヘナヘナな感じでの楽曲となっており、最初聴き始めた時はいまひとつか、と感じたのが素直な感想でした。

しかしアルバムを聴き進めていくうちにその印象が徐々に変わっていきました。1曲目「First World Problems」にしても、最初はヘナヘナと感じたのですが、淡々と続くシンセのサウンドとリズムがある種の独特なグルーヴ感を奏でていることに気が付き、さらに2曲目「Black Roses」も、ノイジーなギターサウンドのうねるようなサウンドが独特のリズム感がグルーヴィーでとても気持ちよくなってきます。

続く「Breathe And Breathe Easy(The Eerness Of Now)」はアコギのみで聴かせるナンバーなのですが、さらに「The Dream And The Dreamer」はパーカッションとギター、さらにシンプルながらも重いリズムを刻むベースラインが非常にファンキーで一種のトリップ感を覚えるようなグルーヴを奏でています。そしてこの独特なリズムに、実はヘナヘナと思われたイアンブラウンのボーカルが実にマッチ。比較的平坦で、抑揚をつけないような歌い方なだけに、サウンドが刻むグルーヴを奏でるミニマル的なリズムにピッタリとマッチしているゆに感じました。

後半もタイトルチューンである「Ripples」も淡々とした感じのバックに流れるベースとドラムの重いグルーヴを奏でるリズムがとても心地よく、それに幾分サイケ気味なギターサウンドがのっているサウンドの組み合わせがユニーク。「Blue Sky Day」もミディアムチューンのナンバーでボーカルを前に押し出した楽曲ながらも後半から入ってくるドラムの重いリズムが耳を惹きます。そしてラストの「Break Down The Walls(Warm Up Jam)」は比較的シンプルなサウンドで淡々と進む楽曲。最後もまたヘナヘナとした雰囲気の楽曲となっているのですが、もうここまでアルバムを聴き進むと、このヘナヘナ感が逆に気持ちよくなっているから不思議(笑)。最後は心地よいリズムを楽しみつつアルバムを聴き終えることが出来ました。

そんな訳で最初はヘナヘナなサウンドとボーカルに違和感を覚えたアルバムでしたが、その独特のグルーヴ感が非常に気持ちよく、アルバムを最後まで聴き進むと、そのヘナヘナ感がたまらない魅力に感じた作品に仕上がっていました。THE STONE ROSESの最新アルバムはいつになるかわかりませんが、とりあえずはこのアルバムでファンの方はしばらくは楽しめるのではないでしょうか。聴いていて心地よさを感じる傑作アルバムでした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Remind Me Tomorrow/Sharon Van Etten

ニューヨークはブルックリンを拠点に活動する女性シンガーソングライターのニューアルバム。ミディアムテンポでダウナーな雰囲気を醸し出しているメロディアスなポップチューンが並ぶ作品。ピアノやエレクトロサウンドなどを取り入れつつ、全体的には分厚いサウンドが特徴的で、聴いていて心地よさを感じるポップアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★★

2018 Grammy Nominees

おなじみアメリカのグラミー賞ノミネート作品を集めたオムニバスアルバム。毎年、その出来栄えによって音楽業界全体の「勢い」を占うことが出来ます。ここ数年来、名曲が多く、業界全体に勢いを感じられたのですが、2017年版はその勢いが一気に収まり、そして2018年版は・・・と聴いてみると、正直言って2018年も小粒揃いの不作気味。全体的にはメロディアスなポップチューン、それもカントリー風の泥臭い雰囲気の曲が目立ち、平凡で面白味はありません。2年連続の不作で、ちょっと音楽業界の動向が心配になってしまう内容でした。

評価:★★★

Grammy Nominees 過去の作品
2011 GRAMMY NOMINEES
2012 GRAMMY NOMINEES
2013 GRAMMY NOMINEES
2014 GRAMMY NOMINEES
2015 GRAMMY NOMINEES
2016 GRAMMY NOMINEES
2017 GRAMMY NOMINEES

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2019年3月16日 (土)

切れっ切れのネタが復活

Title:IRON SOUL
Musician:SEX MACHINEGUNS

昨年、メジャーデビュー20周年を迎えたメタルバンド、SEX MACHINEGUNSのニューアルバム。マシンガンズといえば、ギターボーカルの出身地Anchangの出身地、愛媛の名産品、みかんをヘヴィーメタルのサウンドにのせてただただ讃える「みかんのうた」が大きな話題に。非常にユーモラスな歌詞を本格的なヘヴィーメタルのサウンドに載せて歌うというギャップが大きな個性となり人気を博しました。

ただ、そういう歌詞の「ネタ」が大きな武器だっただけに、徐々にマンネリ気味に。最近の曲に関しても、それなりにユーモラスなネタを取り入れてながらも、デビュー当初のような強いインパクトを持った切れっ切れのネタはほとんど出会えなくなりました。

途中ベスト盤のリリースを挟みつつ、約3年ぶりとなる本作に関しても、正直言えば当初、ほとんど期待はしていませんでした。10曲入りのアルバムながらもそのうち2曲が「みかんのうた」「German Power」という昔の曲のリメイク。それらの曲に関してもベテランバンドらしい安定感ある演奏を聴かせてくれた一方で、昔のような勢いは楽曲から感じられませんでした。

しかし、そんなことを感じつつアルバムを聴き進めていくと、そんなネガティブなイメージは徐々に覆ってきました。今回のアルバム、ユーモラスな歌詞の切れがデビュー当初に戻ったかのようなインパクトがあります。「バイキンの逆襲」はズバリ、アンパンマンネタ。アンパンマンのキャラクターが続々と登場する歌詞はかなりユニーク。「コインランドリーサンドマン」ではコインランドリーの洗濯物から持ち主を妄想する歌詞はオチに思わずクスリとさせられますし、巨人の星で星飛雄馬がクリスマス会を開いたものの、誰もやってこなかった、という少々マニアックな回を題材とした「CRUSHクリスマス」も題材のマニアックさを含めてそのユニークさが耳を惹きます。

「うなぎの骨 うなぎの皮 うなぎのヌメヌメ」という歌詞が強いインパクトを持つ「うなぎの王様」のように、メタリックなサウンドに対する歌詞の載せ方のユニークさもデビュー当初の切れ味が戻って来たように感じます。もちろん、本格的なヘヴィーメタルのサウンドは本作も健在。こちらはある種のマンネリ気味ではあるのですが、デビュー当初同様、ある意味「よくありがちな王道のヘヴィーメタルサウンド」なだけにネタとのギャップが大きなユーモアを生み出しています。

デビュー20年を超えた今になって、まるでデビュー当初を彷彿とさせるような傑作アルバムになった本作。ベストアルバムをリリースして心機一新といった感じなのでしょうか。それでいまさらここまでのネタを詰め込んだアルバムをリリースしてくるというのは驚き。これからの活躍がまだまだ楽しみになってくるような作品でした。

評価:★★★★★

SEX MACHINEGUNS 過去の作品
キャメロン
SMG
LOVE GAMES

METAL MONSTER
マシンガンズにしやがれ!!


ほかに聴いたアルバム

中島みゆき ライブ リクエスト -歌旅・縁会・一会-/中島みゆき

中島みゆきがリリースしたライブアルバム「歌旅」「縁会」「一会」に収録されなかった曲を集めたライブアルバム。吉田拓郎の「唇をかみしめて」のカバーも収録されており、アルバムに収録された初となるカバー曲ということでも注目されています。内容自体は「これ、本当にライブ音源なの?」と思うほど安定感があり、歌手中島みゆきの実力を存分に味わうことが出来ます。それなので、ライブならではの臨場感はちょっと薄い感はありますが。

評価:★★★★

中島みゆき 過去の作品
DRAMA!
真夜中の動物園
荒野より
常夜灯
十二単~Singles4~
問題集
組曲(Suite)

中島みゆき・21世紀ベストセレクション『前途』
中島みゆきConcert「一会」(いちえ)2015~2016-LIVE SELECTION-

相聞

Potluck Songs/BEGIN

約3年ぶりとなるBEGINのニューアルバム。本作は全11曲すべてにタイアップがついているというアルバムになっており、既にデビューから25年以上が経った彼らですが、まだまだ根強い人気を伺わせます。今回もアコースティックなサウンドをバックに暖かく聴かせるポップソングがメイン。ただ本作では沖縄民謡の要素は薄く、タイアップ曲ということもあってか、全体的には無難な楽曲に収まっているような印象も受けてしまいました。

評価:★★★★

BEGIN 過去の作品
3LDK
ビギンの島唄 オモトタケオ3
ビギンの島唄 オモトタケオのがベスト
トロピカルフーズ

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2019年3月15日 (金)

完全に暴走

Title:あいつロングシュート決めてあの娘が歓声をあげてそのとき俺は家にいた
Musician:忘れらんねえよ

デビュー当初からもてない暗い男のストレートな本音をパンクロックにのせて歌い上げ、一部で絶大な支持を得ていたロックバンド、忘れらんねえよ。もともと3人組としてスタートしたバンドでしたが、2015年と昨年に相次いでメンバーが脱退。ついにボーカルでバンドのメインライターである柴田隆浩のソロバンドとなってしまいました。

そんな「ソロ」になってはじめてとなるアルバムが本作なのですが、やはりソロになったからでしょうか。柴田隆浩が暴走しまくっています(笑)。もともと聴き手によっては完全にひいてしまいそうな歌詞を書いていた彼でしたが、その方向性が今回は突き抜けてしまっており、比較的、そのような歌詞に共感を抱いていた私でさえ「え、さすがにこれは・・・(^^;;」と思ってしまう歌詞すらありました。しかし、だからこそ柴田隆浩のもっともコアな部分が表に出ており、聴いていて(共感するかどうかはともかくとして)非常に強い彼の叫びが胸に響いてくる作品になっていました。

まずアルバムで大きなインパクトとなっているのはタイトルから。岡村靖幸の名曲「あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう」をパロっているタイトルからして笑えてくるのですが、歌詞もタイトルそのまんま。青春の一風景を切り取った歌詞が途中から一転。「そのとき俺は家にいた」と情景がひっくり返る歌詞の構成も見事。いわゆる「リア充」になれない、クラスの隅っこにいるような男性の悲哀がストレートに伝わってきます。

そしてアルバムの中でもなんといっても彼のメッセージがストレートに伝わってくるのが「踊れ引きこもり」でしょう。タイトル通り、引きこもりに対してエールをおくる楽曲になっているのですが、

「ダセーなんて言わせねえよ個性!
妖怪ウオッチもエヴァも君の名は。も
俺らみたいなやつが作ってる!作ってる!」

(「踊れ引きこもり」より 作詞 柴田隆浩)

という歌詞は、まさに彼の引きこもりたちに対する強い愛情が伝わってくるようです。

「君は乾杯のとき俺とだけグラスを合わせなかった」も、もう歌詞から暗い男性の被害妄想が伝わってくるようで共感してしまいます(笑)。個人的にはどちらかというと気になった女の子に一生懸命話かけようとしすぎて逆に引かれてしまうタイプなので(^^;;歌詞で歌われる好きな子に思いを知られないとして好きでもない子と一生懸命話しているというスタンスにはあまり共感できないのですが、それでも彼の思いがビシビシ伝わってくるような曲になっています。

さすがに「君は電話に一切出ない」「もう30回かけてる」という歌詞はもうさすがに犯罪レベルのストーカーなんじゃないか?と引いてしまいましたが、それを含めて全編、彼のちょっと危なく、そして暗い思いが全速力で暴走して伝わってくるようなアルバム。まさにソロだからこそ出来たアルバムと言えるのではないでしょうか。

ちなみにソロらしいという意味ではユーモアという側面でも自由度が増しています。このアルバムタイトルやジャケット写真もそうですし、「踊れひきこもり」の中では「飲み屋の有線からはこんな歌が聴こえる」という部分からいきなり曲調が変わり、一昔前に流行った女性ボーカルのR&B系の歌+男性ラップの組み合わせのベタなヒット曲風のフレーズが流れ出すというユーモラスな展開に。「君は乾杯のとき俺とだけグラスを合わせなかった」のPVも登場人物全てが柴田隆浩というとんでもなくユニークな映像になっていますし、こういう部分でもいい意味で好き勝手な作品作りが目立ちます。

サウンド的にもいままで以上にパンキッシュで疾走感あるサウンドが目立ち、サウンドの面からも彼の暴走気味な歌詞をバックアップしている感も(笑)。この柴田隆浩の暴走については、ついていけないような部分もありますし、そのため賛否わかれているようですが、個人的には彼がやりたいことが音楽にしっかりと反映された結果、よりインパクトが増し、さらに彼の心の叫びがよりリスナーに突き刺さるような傑作に仕上がっていたように感じました。彼のこの暴走がこれからどこまで続いていくのか・・・楽しみです。

評価:★★★★★

忘れらんねえよ 過去の作品
忘れらんねえよ
空を見上げても空しかねえよ
あの娘のメルアド予想する
犬にしてくれ
忘れらんねえよのこれまでと、これから。
俺よ届け
僕にできることはないかな


ほかに聴いたアルバム

Kazuyoshi Saito LIVE TOUR 2018 Toys Blood Music Live at 山梨コラニー文化ホール2018.06.02/斉藤和義

恒例の斉藤和義ライブアルバム。今回は、アルバム「Toys Blood Music」に伴って実施されたライブツアーより、昨年6月に彼が学生時代を過ごしたゆかりの地、山梨公演の模様を収めたライブ盤。基本的にはいつも通りのステージといった感じ。彼ゆかりの地ということで、山梨県民の壺をつかんだような盛り上がり方をする部分があったりしてユニークさを感じるのですが・・・。ライブの楽しさは十分伝わってくるライブ盤であることは間違いありません。

評価:★★★★

斉藤和義 過去の作品
I (LOVE) ME
歌うたい15 SINGLES BEST 1993~2007
Collection "B" 1993~2007
月が昇れば
斉藤“弾き語り”和義 ライブツアー2009≫2010 十二月 in 大阪城ホール ~月が昇れば 弾き語る~
ARE YOU READY?
45 STONES
ONE NIGHT ACOUSTIC RECORDING SESSION at NHK CR-509 Studio
斉藤
和義

Kazuyoshi Saito 20th Anniversary Live 1993-2013 “20<21" ~これからもヨロチクビ~ at 神戸ワールド記念ホール2013.8.25
KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2014"RUMBLE HORSES"Live at ZEPP TOKYO 2014.12.12
風の果てまで
KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2015-2016“風の果てまで” Live at 日本武道館 2016.5.22
斉藤和義 弾き語りツアー2017 雨に歌えば Live at 中野サンプラザ 2017.06.21
Toys Blood Music
歌うたい25 SINGLES BEST 2008~2017

ALL TIME BEST 1998-2018/コブクロ

CD4枚組のフルボリュームとなるコブクロのオールタイムベスト。具体的で比較的シンプルな表現に終始するラブソングに、同じくシンプルなバンドサウンドをバックに流れるシンプルなメロディーラインが主体。至ってシンプルに歌を聴かせるスタイルが特徴的で、歌だけで勝負しようとする姿勢には誠実性を感じます。ただその結果として、似たような曲が多くなってしまい、さすがに4枚組のアルバムを聴きとおすのはファンではないと体力がいりました。

評価:★★★★

コブクロ 過去の作品
5296
CALLING
ALL COVERS BEST
ALL SINGLES BEST2
One Song From Two Hearts
TIMELESS WORLD

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2019年3月14日 (木)

K-POPの人気女性アイドルグループが1位

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週は、K-POPの人気女性アイドルグループが1位を獲得しています。

今週1位はTWICE「#TWICE2」が獲得。2017年にリリースした「#TWICE」に続くベスト盤という位置づけ。CD販売数及びダウンロード数で1位、PCによるCD読取数で4位を獲得しています。さすがにオリジナルアルバム1枚のみリリースでベスト盤が2枚目って、正直どうよ?と思うのですが、まあ基本的にオリジナルアルバムをわざわざ作って売る気はゼロなんでしょうね。オリコンでも初動売上20万枚で1位を獲得。日本盤の前作「BDZ」の18万1千枚(1位)からアップしています。

2位はあいみょん「瞬間的シックスセンス」が先週の6位から、3位にはONE OK ROCK「Eye of the Storm」が先週の5位からそれぞれランクアップ。いずれも2週ぶりにベスト10に返り咲いています。

続いて4位以下の初登場盤ですが、まず4位にSawanoHiroyuki[nZk]「Rヨ/MEMBER」がランクインしています。「機動戦士ガンダムNT」や「進撃の巨人」など数多くのヒットアニメの音楽を手掛ける澤野弘之のボーカルプロジェクトによる3rdアルバム。CD販売数5位、ダウンロード数2位、PCによるCD読取数29位で、総合順位は4位を獲得。オリコンでは初動売上1万枚で6位初登場。前作「2V-ALK」の1万1千枚(3位)から若干のダウンとなっています。

6位には西川貴教「SINGularity」が初登場。CD販売数3位、ダウンロード数17位、PCによるCD読取数42位を記録。いままでT.M.Revolutionとして活動してきた彼が、本名名義でリリースする初のアルバムとなります。オリコンでは初動売上1万4千枚で2位初登場。T.M.Revolutionとしての直近作はベスト盤「2020-T.M.Revolution ALL TIME BEST-」で同作の初動4万4千枚からダウン。またオリジナルアルバムとしての前作「天」の3万3千枚(2位)よりもダウンしています。

8位初登場は大原櫻子「CAM ON!~5th Anniversary Best~」。タイトル通り、デビュー5周年を迎える彼女のベストアルバム。CD販売数は2位にランクインしましたが、ダウンロード数は45位、PCによるCD読取数は65位に留まり、総合順位では8位となりました。オリコンでは初動売上1万7千枚で4位初登場。前作「Enjoy」の1万9千枚(7位)よりダウンしています。

最後9位に細野晴臣「HOCHONO HOUSE」がランクイン。CD販売数7位、ダウンロード数18位、PCによるCD読取数53位を記録。彼のソロデビュー作であり、日本ポップス史に燦然と輝く傑作として名高い、1973年にリリースされたアルバム「HOSONO HOUSE」をそのまま新録したアルバム。今年デビュー50周年を迎えた彼が、その記念企画第1弾としてリリースしたアイテムだそうです。オリコンでは初動売上9千枚で10位初登場。前作「Vu Ja De」の5千枚(18位)よりアップ。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2019年3月13日 (水)

「国民的ヒット」の次は?

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

昨年、まさに「国民的ヒット」となったDA PUMPの「U.S.A.」。一時期、完全に「過去のグループ」となってしまったDA PUMPですが、この曲で再び大きな注目を集めました。そしてそれに続くニューシングルが今週、CDリリース。ベスト10にランクインしてきました。新曲のタイトルは「桜」・・・うーん、今時むしろ誰もつけたがらないベタなタイトルですが、楽曲は和風な雰囲気たっぷりのミディアムチューンで、「U.S.A.」のイメージからかなり変えてきました。それが今週7位にランクイン。CD販売数8位、ダウンロード数4位、ラジオオンエア数6位、PCによるCD読取数8位、Twitterつぶやき数19位を記録。ただし、固定ファンを超えて広く支持されているかを見る大きな基準となるストリーミング数は59位、You Tube再生回数は13位に留まり、さすがに「U.S.A.」に続くような「国民的ヒット」からは程遠そうな結果となりました。

ちなみにオリコン週間シングルランキングでは初動売上2万7千枚で5位初登場。前作「U.S.A.」の初動売上は1万2千枚(9位)でしたので、そこからは大きく初動売上を伸ばす結果となっています。さすがに2作続けてのロングヒットは厳しそうな感じですが、DA PUMPの新規のファンはそれなりに獲得できたという結果となりました。この支持をどれだけ維持できるか、次回作以降が勝負といった感じでしょう。

さて上位に戻ります。まず今週の1位は関ジャニ∞「crystal」が獲得。フジテレビ系月9ドラマ「トレース~科捜研の男~」主題歌。CD販売数1位、ラジオオンエア数48位、PCによるCD読取数3位、Twitterつぶやき数22位を獲得。オリコンでは初動売上21万4千枚で1位初登場。前作「ここに」の24万2千枚(1位)からはダウンしています。

2位は先週1位の欅坂46「黒い羊」がワンランクダウン。3位はあいみょん「マリーゴールド」が先週から変わらず。ストリーミング数及びYou Tube再生回数は1位をキープしており、まだまだ強さを見せつけています。ただ一方、先週までベスト10ヒットを続けてきた「今夜このまま」は今週、ついに12位にダウン。ベスト10ヒットは17週連続、累計18週目にして一度ストップです。ただし、ストリーミング数は3位、You Tube再生回数は8位とまだまだ根強い人気を見せており、来週以降、再びベスト10返り咲きの可能性も十分ありそうです。

続いて4位以下の初登場曲です。まず6位にパンクバンドWANIMA「アゲイン」が先週の84位からCDリリースにあわせて大きくランクアップしています。TBS系ドラマ「メゾン・ド・ポリス」主題歌。CD販売数4位、ダウンロード数及びPCによるCD読取数5位、Twitterつぶやき数26位、そしてラジオオンエア数は見事1位を獲得。彼ららしい、ひと昔前に流行った青春パンクを思い出させるような前向きなパンクチューンになっています。オリコンでは本作を収録した「Good Job!!」が初動3万2千枚で4位初登場。前作「Gotta Go!!」の初動売上4万5千枚(3位)からはダウンしてしまいました。

初登場はもう1曲。9位にそらる「ユーリカ」がランクイン。TBS系ドラマ「ゆうべはお楽しみでしたね」主題歌。そらるは動画配信サイトで「歌い手」として人気を博したミュージシャン。本作はCD販売数3位、Twitterつぶやき数9位だったものの、You Tube配信数やストリーミング数では圏外となっており、ネット発の割にはネット系のチャートでは苦戦した結果となっています。オリコンでは初動売上3万4千枚で3位初登場。前作「銀の祈誓」の5万7千枚(2位)よりダウンしています。

さてロングヒット組では米津玄師「Lemon」。今週は5位から4位へと再びランクアップ。ダウンロード数3位、PCによるCD読取数4位、You Tube再生回数3位のほか、Twitterつぶやき数及びカラオケ歌唱数で1位にランクイン。まだまだ快進撃を続けています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2019年3月12日 (火)

「ふるさと」を離れて・・・

Bonuta

今日は先日見てきた音楽ドキュメンタリー映画の紹介です。「ナヴィの恋」などで知られる映画監督の中江裕司が3年かけて撮影したドキュメンタリー映画「盆唄」。福島第一原発の事故により、現在、町内ほぼ全域が帰還困難区域となっている福島県双葉町。そこに伝わる「双葉盆唄」について取り上げたドキュメンタリーになっています。もともと、ここ最近、盆踊りなど日本の昔からの音楽文化について興味を持つようになりましたが、そんな中で盆踊りを取り上げたドキュメンタリー映画ということで興味を持ち、映画館に足を運びました。

本作は、双葉町の「双葉盆唄」の太鼓奏者である横山久勝さんを中心として物語は進んでいきます。原発事故によりふるさとを追われた横山さん。ふるさとに伝わる双葉盆唄も消滅の危機に瀕する中、写真家の岩瀬愛さんの紹介によりハワイの日系移民の間に日本の盆踊りが受け継がれていることを知ります。そんな中で消滅の危機にある双葉盆唄をハワイの人たちに引き継いでもらおうとハワイを訪れる・・・というところからドキュメンタリーはスタートしていきます。

で、以下ネタバレありの感想。

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2019年3月11日 (月)

今、最も勢いのあるラッパーの2作品

最近はテレビバラエティー「フリースタイルダンジョン」への出演で知名度を上げ、さらに今年は初となる武道館ワンマンを成功させたラッパー、般若。今回紹介するのは、そんな今最も勢いのあるラッパーの一人である彼に関するアルバム2作品です。

Title:般若万歳II
Musician:般若

まずはこちら、般若の客演曲を集めたMIX盤。 2013年に第1弾がリリースされているため、それから5年のインターバルを置いての第2弾となります。ただ、客演集といっても彼がゲストで参加している曲だけではなく、「LA$T BO$$」「震エテ眠レ Remix」など、般若名義の曲も収録されているほか、ラストは「七股の言い訳」という新曲まで収録されています。

また客演集といっても基本的には般若のヴァースを切り取った形での収録となっています。そのため、般若のアルバムのような感覚でも聴ける作品になっているほか、「Z DUB」(卍LINE / 般若 / SHINGO★西成 )のようなレゲエチューンやTHE BOSS名義のため般若の曲とは大きく異なる雰囲気のトラックが印象的な「NEW YEAR'S DAY feat. 般若」など、般若名義のアルバムでは聴かれないようなバラエティー富んだ展開になっているのもユニーク。多くのミュージシャンが般若を慕っていることがわかります。

もちろんゲストで参加しても般若らしさは健在で、「JAPAN feat. 般若, MARIA, 紅桜 & pukkey」 (DJ KEN KANEKO)では社会派のラップを聴かせ、「傷 feat. 般若」(SHINGO★西成)では自叙伝的なラップを披露しています。また客演ではなく本人名義ですが、「震エテ眠レ」はめちゃくちゃカッコよさげなタイトルだけど、何に震えているかというと、風俗のお姉ちゃんを呼んだ結果、性病に感染しているかどうかという不安という(笑)、ユニークなエロラップになっています。

そんな訳でバラエティー富んだ客演でしっかりと般若の魅力が伝わってくる客演集。全30曲63分というボリュームがありますが、MIX盤らしくテンポよく曲が切り替わりますので、まったくダレることなく最後まで楽しめるアルバムになっていました。

評価:★★★★★

で、そんな般若のニューアルバムもリリースされています。

Title:IRON SPIRIT
Musician:般若

筋トレが日課という般若が、筋トレに関する数々の著作物で知られるTestosterone氏とコラボ。筋トレをしながら聴く音楽というテーマでのアルバムがリリースされました。ちなみに筋トレに関する本も同時にリリースされています。↓

そんな訳でこのアルバム。「黙ってやれ」「覚悟」とまさに筋トレをやろうとする人をやる気にさせるような曲からスタート。その後も基本的に筋トレをテーマとした曲がズラリと並んでいます。

ちなみにお尻を鍛えると美しくなるよ、とラップする「OSHIRI」なんていうそのままストレートなユニークな曲もあったりして、ここらへんのユーモアセンスは健在。ただ一方終盤は直接的には筋トレにからまないような内容のラップもチラホラ。裏切られてもそんな奴はほっといて前を向こうとラップする「裏切り」や、ラストは彼の生い立ちを綴りながらも、そんな中でも大丈夫と前向きに背中を押す「大丈夫」など、かなり前向きな彼なりの応援歌的な曲が並びます。そういう意味では筋トレをしなくても心に響いてくるような曲も少なくありません。ただ、もちろん直接は綴られていませんが、これらの曲に関しても筋トレをやっている人たちに対する応援歌でもある訳ですが。

一方サウンド的には全体的にはダークな雰囲気の曲がメイン。曲によっては「覚悟」のような今時らしいトラップ風の曲などがあったり、「ワンモアレップ」のような軽快なエレクトロチューンもあったりします。

ただ、ここは気になるのですが、基本的にダークな雰囲気の楽曲はどう考えても筋トレ中の曲としてはちょっと合っていないような印象を受けてしまいます。すいません、そんなこと言う私は全く筋トレを行っておらず、筋トレをしながらこのアルバムを聴いた訳ではありませんが(^^;;ただ、筋トレをするのならば、もうちょっと一定のテンポを保ったような、明るい曲の方が合っているようにも思ってしまうのですが・・・。

そんな訳で筋トレのアルバムということで明確なテーマ性があるので万人受けのアルバムではないかもしれません。ただそんな中でも般若らしいユーモアさやそのリリックが心をうつような楽曲も収められており、オリジナルアルバムとしても十分楽しめるアルバムだと思います。そんな私は筋トレを全くやっていないのですが・・・このアルバムを聴きながら、一度、ジムに行ってみようかなぁ・・・。

評価:★★★★

般若 過去の作品
ドクタートーキョー
HANNYA
グランドスラム
THE BEST ALBUM
話半分


ほかに聴いたアルバム

F/フジファブリック

今年、メジャーデビュー15周年を迎える彼らのフルアルバムとしては約2年1か月ぶりとなるニューアルバム。各種メディアでは「最高傑作」という紹介をされている本作ですが、確かに今回のアルバムにかけるバンドの意気込みは強く感じます。シンセやストリングスも取り入れ楽曲のバラエティーとスケール感を広げ、わずか9曲入りながらも様々なタイプの曲が顔をのぞかせます。バンドとしての力の入れ具合はよくわかりますし、実際、それなりに力作に仕上がっているのは間違いないのですが・・・ちょっと最高傑作にしようと意識しすぎだったように感じてしまいました。

評価:★★★★

フジファブリック 過去の作品
TEENAGER
CHRONICLE
MUSIC
SINGLES 2004-2009

STAR
VOYAGER
LIFE
BOYS
GIRLS
STAND!!
FAB LIVE

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2019年3月10日 (日)

バンドの成長を感じる傑作・・・だが・・・。

Title:ANTI ANTI GENERATION
Musician:RADWIMPS

「前前前世」をはじめ、映画「君の名は。」に使用された楽曲の大ヒットにより一躍、国民的バンドとなったRADWIMPS。 ただ、そんな中リリースされたアルバム「人間開花」は歌詞的にも彼ららしいユニークな視点の曲が少なく、サウンド的にも挑戦的なサウンドを取り入れようとしつつも、全体的にアンバランスになってしまう、正直言って彼らとしては「凡作」となっていました。

そんな前作から約2年。「君の名は。」旋風も落ち着いた中リリースされた新作が本作。正直、前作の出来が今一つだったので、あまり大きな期待をしないで聴いてみたのですが、今回のアルバムは前作の懸念が払しょくされた傑作アルバムに仕上がっていたと思います。

特に今回、良くできていたのがサウンド面でのバランス。「IKIJIBIKI」「HOCUSPOCUS」「サイハテアイニ」のような疾走感あるギターロックをしっかりと聴かせる一方、「そっけない」やあいみょんが参加した「泣き出しそうだよ」のようなピアノで歌を聴かせるナンバー、さらに「カタルシスト」ではエレクトロビートでHIP HOP風という挑戦的で、かつ野田洋次郎のソロプロジェクトillionからの流れを感じる曲もありますが、今回のアルバムに関しては全体の中にうまく溶け込んでいます。

このサウンドのバリエーションの多さかつバランスの良さはいままでの作品の中でも一番であり、その点、バランスが悪かった前作と比べるとバンドとして一皮むけた傑作に仕上がっていたと感じました。一方、歌詞については今回に関しても、「そっけない」のような彼ららしいラブソングは顔をのぞかせるものの、前々作までの彼らに比べるとちょっとインパクトは薄めだったかな、と感じます。ただ、それなりに彼ららしさは出ていたと思いますが。

ただ今回のアルバム、1曲、「問題作」と言える楽曲がありました。それが9曲目に収録されている「PAPARAZZI~*この物語はフィクションです~」という曲。この曲はタイトル通り、パパラッチをテーマにした曲なのですが、子供がパパラッチである父親に対して、職業の内容を問うというストーリーからパパラッチに対して強烈な批判を加える楽曲になっています。

いわば強烈なマスコミ批判に賛否わかれる「問題作」となっているのですが、私ははっきりいえば歌詞の面からこの曲は駄作だと思います。歌詞としてはパパラッチ批判を一方的かつ感情的に繰り出すだけでその批判内容も定型的かつ表面的。何ら深みも独特の視点も面白みもありません。それを子供の視点を通して語ろうとするスタイルも、純粋無垢な「公正的な視点」を作り出したいのでしょうが、その方法自体が完全に逃げですし、かつ卑怯に感じます。同様にして、タイトルに「この物語はフィクションです」という一文を入れているあたり、逃げの姿勢を感じ、かつ無責任さすら感じます。

マスコミ批判という、ある意味感情的になりがちな題材を取り扱っているにも関わらず、その扱い方があまりにも雑。かつ表現者として無責任。RADWIMPSといえば昨年、シングル「カタルシスト」のカップリングとしてリリースした「HINOMARU」が、愛国心をテーマにした内容に賛否両論の大炎上を引き起こしました。ただ、構造としては今回の「PAPARAZZI」に非常に似ています。「愛国心」という感情論的になりがちで、かつ人によって様々な考えを持っている題材を取り扱っているにも関わらず、その扱いが非常に雑。また「HINOMARU」に関しても批判の多さにあっさりと謝罪を表明する(にも関わらず、次のライブでは「国を愛して何が悪い」とこの曲を歌ったらしい・・・)姿勢も表現者としての無責任さを感じます。そういう意味では今回の「PAPARAZZI」には、「HINOMARU」に似ている部分を強く感じます。

マスコミ批判といえばかの川谷絵音率いるゲスの極み乙女。も似たテーマで曲を書いています。彼の場合は自業自得なのでしょうが、ただ彼の場合、「僕は芸能人じゃない」ではマスコミ批判だけではなくその向こうにいる視聴者にもスポットをあてていますし、さらに「あなたには負けない」では川谷絵音をめぐるゴシップネタに対してシニカルかつユーモラスに反撃するという、きちんとエンタテイメントとして仕上げています。こういうやり方がミュージシャンとしてあるべきスタイルだと思うし、正直、マスコミ批判というテーマ性に関しては、ミュージシャンとして川谷絵音の方が野田洋次郎に比べて1枚も2枚も上手に感じてしまいました。そもそも今回、マスコミ批判のきっかけとなった週刊誌ネタって、野田洋次郎の親に突撃インタビューを行ったことらしいんですが、それってはっきりいって有名税の範囲内では??

そんな訳で「HINOMARU」と合わせて野田洋次郎のミュージシャンとしての問題点と限界も感じてしまった今回のアルバム。そういう意味では1つ下げようか迷ったのですが・・・ただ、この曲を除けばアルバムの出来としては非常に良いアルバムではあるのは間違いないので、下記の評価で。ただ、今後も同じような歌詞の曲が続いたら厳しいなぁ・・・。誰か、周りももうちょっとアドバイスできるような人材はいないのでしょうか。野田洋次郎もすでに30歳を超えたよい大人なのですが、それにしては感情にまかせて書く歌詞があまりにも幼い・・・。

評価:★★★★★

RADWIMPS 過去の作品
アルトコロニーの定理
絶対絶命
×と○と罰と
ME SO SHE LOOSE(味噌汁's)
君の名は。
人間開花
Human Bloom Tour 2017


ほかに聴いたアルバム

FLAVA/Little Glee Monster

昨年末は2年連続紅白出演を果たし、本作では初となるチャート1位を獲得するなど勢いが続く女性ボーカルグループLittle Glee Monster。爽快なJ-POP路線ながらも、あくまでも「歌」を聴かせるスタイルのため伸びやかに声量を聴かせる曲も多く、微妙にモータウンなどブラックミュージックの要素も加え、アイドルグループとは一線を画する、ボーカリストとしての実力と誇りも感じます。ただ、通常盤のDisc2ではモータウンのカバーメドレーが収録されているのですが、なぜか日本語カバー。彼女たちを聴くような層は英語の歌詞だと受け入れないのでしょうか?かなり残念。正直、アルバムの1曲2曲くらい、もっと洋楽寄りに振り切ってしまった曲を入れてもおもしろいと思うのですが・・・。

評価:★★★★

Little Glee Monster 過去の作品
Joyful Monster
juice

フリー・ソウル・スガシカオ/スガシカオ

ご存知おしゃれなブラックミュージックをあつめたコンピレーションアルバム「フリーソウル」シリーズ。今回取り上げるミュージシャンはあのスガシカオ。比較的「知る人ぞ知る」的な曲を集めるコンピですが、今回のアルバムでは「黄金の月」「愛について」など代表曲も収録。さらにkokua名義でリリースした「Progress」やご存知、SMAPに提供して大ヒットを記録した「夜空ノムコウ」のセルフカバーバージョンも収録。オールタイムベスト的にも楽しめる魅力的なコンピになっていました。

評価:★★★★★

スガシカオ 過去の作品
ALL LIVE BEST
FUNKAHOLiC
FUNKASTiC
SugarlessII
BEST HIT!! SUGA SHIKAO-1997~2002-
BEST HIT!! SUGA SHIKAO-2003~2011-

THE LAST
THE BEST-1997~2011-

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2019年3月 9日 (土)

30年目の彼ら

Title:30
Musician:電気グルーヴ

今年、結成30周年を迎えた電気グルーヴ。ちょうど10年前に20周年記念のアルバム「20」をリリースして以降、5年毎に結成からの年数を冠した「記念アルバム」をリリースしています。「20」「25」と来て3作目となるのが本作。 この5年毎にリリースしている記念アルバム、どちらかというとファンズアイテムの企画盤的な要素が強く、通常のオリジナルアルバムと比べると、いい意味で肩の力が抜けた、良くも悪くもファンの期待に応えたような作品に仕上がっていました。

記念アルバム3作目となる本作も、既発表曲のリメイクも多く、良くも悪くも企画盤的なアルバムと思い、とはいえ彼らだからこそ傑作アルバムを期待しつつ、ただ一方でオリジナルアルバムに比べると期待度はさほど高くありませんでした。しかし、これがそんな予想をはるかに超えるオリジナルアルバムに負けずとも劣らずの傑作アルバムに仕上がっていていました。

まずアルバムの1曲目は「電気グルーヴ10周年の歌 2019」という新曲(!)からスタート。ここらへんの人を食ったようなユニークさが電気らしいのですが、石野卓球とピエール瀧改めウルトラの瀧(今年1年限定で、彼の名前はこのように改名されたそうです・・・)の淡々としたユニゾンのボーカルがユーモラスを演出する中、リズミカルなミニマルテクノが心地よいビートを刻む、ユーモラスさだけではない名曲に仕上げてきています。

さらにこれに続くのが1997年にリリースされ、彼ら最大のヒット曲となった「Shangri-La」のリメイク。ベルリンのユニット、2raumwohnungの女性ボーカリスト、インガ・フンペが参加しているのですが、彼女のボーカルが加わることにより楽曲のメロウさが増し、楽曲の印象も変わります。

その後も「電気グルーヴ30周年の唄」や、テンポを速くしてトランス感が増した、ライブではおなじみ「富士山」のリミックスなど彼らのシュールなコミカルさを前面に出した曲がありつつ、ライブ盤の収録はあったものの、オリジナル音源は初収録となる「いちご娘はひとりっ子」「Slow Motion」など前半は電気グルーヴのポップな側面が前に出した構成になっています。

一方中盤以降はミニマルテクノチューンの「Flight to Shang-Hai(It's a such a super flight)」、ディスコチューンの「Flashback Disco(is Back!)」など彼らのテクノミュージシャンとしての側面により強いスポットをあてたインストチューンが並びます。彼らのミュージシャンとしてのコアな部分がより前に出た構成といってもいいかもしれません。

そういった意味で今回のアルバム、電気グルーヴの多面性にスポットがあたったような構成となっており、そういう意味でも非常に優れた構成のアルバムになっていたと思います。また同時に今回のアルバム、30周年を迎えた彼らが彼らのいままでの活動を、2019年という今の視点から振り返った作品のようにも感じました。

実際今回のアルバム、彼らの活動にとってキーとなるような曲が多く収録されています。「Shangri-La」やライブの定番曲「富士山」は言うまでもありませんし、「Flashback Disco(is Back!)」の元曲となる「Flashback Disco」はまりん脱退後、2人組となった電気グルーヴの初の作品。「Flight to Shang-Hai(It's a such a super flight)」は石野卓球ソロ曲をわざわざ収録していますし、また「wire,wireless」をリメイクした「WIRE WIRED,WIRELESS」は、彼らが主催していたレイヴイベント「WIRE」を完全に完結させるという意味合いを持たせたそうで、彼らの活動の中でもひとつの大きな区切りの作品ともいえるかもしれません。

基本的にそれらの過去の彼らの活動の中でキーとなるような曲を、原曲の雰囲気を維持しつつも今の視点からリメイクしている今回のアルバム。電気グルーヴの集大成的な要素も強く、ある意味ベスト盤的な傑作アルバムに仕上がっていました。そういう意味ではリメイクが多いということでもし敬遠している方がいたら非常にもったいないアルバムで、間違いなく今回のアルバムは電気グルーヴのオリジナルアルバムといえるだけの内容に仕上がっていたと思います。そして個人的には2019年を代表する傑作の1枚だったとすら思いました。おそらく今後も彼らは活動を続け、さらに「35」「40」とリリースしていくのでしょうが、これから先の彼らの活動が待ち遠しくなる作品でした。

評価:★★★★★

電気グルーヴ 過去の作品
J-POP
YELLOW
20
ゴールデンヒッツ~Due To Contract
人間と動物
25
DENKI GROOVE THE MOVIE?-THE MUSIC SELECTION-
TROPICAL LOVE
DENKI GROOVE DECADE 2008~2017
TROPICAL LOVE LIGHTS

TROPICAL LOVE TOUR 2017
クラーケン鷹2018

クラーケン鷹


ほかに聴いたアルバム

ジャガーさんがベスト!/ジャガー

千葉のローカルタレント、ジャガーさん。最近はマツコ・デラックスの番組に出演したり、サザンのMVに登場したりと知名度も全国的になってきたようで、今回のベストアルバムにちょっと興味を抱き聴いてみました。楽曲はヘヴィーメタル然としたスタイルとは裏腹なフォークロックやムード歌謡な楽曲が並びます。バックの打ち込みのサウンドがかなりチープでB級感があるのですが、楽曲自体は意外としっかりした内容になっています。ただ、エフェクトかけまくりのボーカルは正直ちょっと聞き取りにくく癖があり、ジャガーさんというキャラに思い入れがなければさほど楽しめないかも。ジャガーさんというキャラクターのファンならば、是非。

評価:★★★

Sympa/King Gnu

おそらく、今、最も注目されているロックバンド、King Gnuのニューアルバム。本作もいきなりチャートでベスト10入りしてきて大きな話題となりました。ロックを軸にソウルやジャズ、ファンクなどを取り込んだ音楽・・・ということでタイプ的には先にブレイクしたSuchmosやNulbarichと同系列といったイメージがあります。ただ、先のバンドと比べると、メロディーラインはより歌謡曲、というよりもJ-POP色が強く、良くも悪くも「ベタさ」を感じさせる部分も。個人的には今の時点ではそこまで大絶賛するほどは、という印象も否めず、彼らに対する評価はこのアルバムを聴く限りにおいては絶賛もマイナス評価も出来ない「保留」といったもの。ハイプか評判通りの実力派か、次のアルバムをまずは聴いてみたいところです。

評価:★★★★

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