2019年1月18日 (金)

間口は広く、奥行は深く

Title:DANCE TO THE MUSIC
Musician:Shiggy Jr.

とにかくポップでキュートな楽曲が楽しいShiggy Jr.。今回のアルバムに収録された「ピュアなソルジャー」はフジテレビ系火9ドラマのオープニングテーマにも起用されています。また本作の「DANCE TO THE MUSIC」というタイトルもある意味非常にベタなのですが、そのタイトルの通り、軽快で楽しいダンサナブルなポップチューンが多く、このベタさも含めてShiggy Jr.らしさを感じるところではあります。

ただ今回のアルバム、特に前編に関してはいかにもJ-POPテイストな曲が続き、最初はちょっと物足りなさを覚えました。1曲目の「ピュアなソルジャー」は前述の通りタイアップ曲らしいメロのインパクトはある、わかりやすいポップチューン。続く「TUNE IN!!」も軽快なエレクトロダンスチューンなのですが、キャッチーさがいかにもJ-POP的ですし、「シャンパンになりきれない私を」もちょっと90年代のJ-POPを彷彿とさせる軽快なポップチューン。軽くストリングスが入るアレンジも、いかにもヒットチャート王道系といった感があります。

そういった90年代を彷彿とさせるJ-POPナンバーはキャッチーで聴きやすくインパクトはあるものの、ある意味昔から「よくあるタイプ」という印象を受けてしまい、若干平凡さも感じてしまいます。Shiggy Jr.のひとつの魅力である間口の広さは感じるものの、一方ではこれだけだとちょっと奥行が浅いかな、と前半では感じてしまいました。

ただその印象が一気に変わったのが後半戦。軽快でスペーシーなサウンドに心地よさを感じる「DANCE DANCE DANCE」に、「we are the future」は80年代風のディスコサウンドにファンクの要素が入ったダンサナブルなナンバー。J-POPよりも洋楽テイストも強く感じるエレクトロチューンに、前半で踏み入れたShiggy Jr.の世界は、思ったよりも奥行があることに気が付かされます。

さらに原田茂幸がボーカルをつとめた「you are my girl」はメロウに聴かせるソウルテイストのナンバーに仕上げていますし、「どうかしちゃってんだ」もエレクトロダンスチューンにファンクの要素も入ったアゲアゲで楽しいパーティーチューンに仕上げています。

バラードナンバーの「looking for you」を挟み、ラストの「誘惑のパーティー」はボーカル池田智子のかわいらしさを前面に押し出した序盤同様にキュートでキャッチーな曲で締めくくられていますが、この展開で聴かせると、ベタなJ-POPという印象はあまり受けず、Shiggy Jr.の魅力であるキュートさが聴いた後に印象として残る展開となっていました。

そんな訳で、前半、ポップでキャッチーな曲で思いっきり広く間口をあけつつ、後半に彼女たちのコアな部分を聴かせ、音楽性の広さと奥の深さを感じさせるアルバムになっていました。そういう意味では実によく出来た構成のアルバムになっていたと思いますし、またShiggy Jr.というバンドの魅力もしっかりと伝わってくる傑作に仕上がっていたと思います。

ただ一方でちょっと気になったのは、これだけキュートでキャッチーな曲を書いていながらなかなかブレイクできない点。もっとも今、フェスで人気を集められるようなロック系や一種のブーム的になっているHIP HOP系と異なり、タイアップ効果がなかなか利かなくなってしまった中で彼女たちのようなポップ系はなかなかブレイクが厳しくなっているんですよね。ただそんな中、正直彼女たちの曲は十分ヒットポテンシャルのあるインパクトは持っているものの、誰もの耳を一気に惹きつけるような、ほかを圧倒するようなインパクトがあるかと言われると微妙。おそらく一度聴いたら思わず口ずさんでしまうようなキラーフレーズがないと、彼女たちのようなポップバンドはなかなかブレイクできないんですよね。彼女たちにはがんばってほしいのですが・・・そろそろ「これは!」というようなキラーチューンが欲しいところです。

評価:★★★★★

Shiggy Jr. 過去の作品
ALL ABOUT POP

SHUFFLE!!E.P.
KICK UP!! E.P.


ほかに聴いたアルバム

正しい偽りからの起床/ずっと真夜中でいいのに

昨年6月にYou Tubeにアップされた「秒針を噛む」のMVが大きな話題となったミュージシャンのデビューアルバム。ACAねという女性ボーカリストを中心としたユニットらしく、ボカロPとして著名なぬゆりや、アニメーターとして活躍しているWabokuも参加していることでも大きな話題になり、本作もデビュー作ながらベスト10ヒットとなりました。

参加しているメンバーの名前といいミュージシャン名といい、いかにも「今時」な感じ。楽曲的には「自意識高い系女子」といった感じでしょうか。ハイトーンボーカルに疾走感あるギターにシンセを加えた宅録的なサウンドも正直言うと、どこかで聴いたような印象。YUIとか家入レオとかそのあたりを彷彿とさせられる部分も。悪くはないけど目新しさも薄い感じ。良くも悪くも売り出し方を含め、今時のネット志向が強い印象を受けるユニットでした。

評価:★★★

¿WHO?/木村カエラ

木村カエラ約2年ぶりの新譜は5曲入りのミニアルバム。今年、デビュー15周年を迎える彼女ですが、今年リリース予定のフルアルバムを前に、タイアップなどですでに発表されている曲をまとめたそうで、5曲中4曲はタイアップ。あと1曲はミュージカル「アニー」の主題歌「Tomorrow」のカバーとなっています。基本的にどの曲も木村カエラらしい明るいポップソングが多く、目新しさはありませんが、彼女らしさを感じられる楽しい5曲となっています。2年ぶりの新作が5曲入りのミニアルバムというのはちょっと物足りない感もあるのですが、今年リリースされるであろうフルアルバムが楽しみになってくるアルバムでした。

評価:★★★★

木村カエラ 過去の作品
+1
HOCUS POCUS
5years
8EIGHT8
Sync
ROCK
10years
MIETA
PUNKY

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2019年1月17日 (木)

こちらは4週連続1位の快挙

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

これで4週連続の1位獲得となりました。

Hot Albumsで1位を獲得したのは星野源「Pop Virus」。これで4週連続の1位。CD販売数は2位にダウンしたもののダウンロード数、PCによるCD読取数で1位をキープし、総合順位では見事1位を獲得です。ちなみにオリコン週間アルバムランキングでも今週、1万6千枚を売り上げて1位をキープ。こちらでも強さを見せつけています。

続く2位にランクインしてきたのがQUEEN「ボヘミアン・ラプソディ(オリジナル・サウンドトラック)」。先週の2位からワンランクアップで自己最高位タイを記録。CD販売数は4位、PCによるCD読取数は9位に留まったものの、ダウンロード数の2位を獲得し、総合順位ではこの位置となりました。ちなみにベストアルバム「クイーン・ジュエルズ」も先週と同じく7位をキープ。2枚同ベスト10入りを続けています。映画もロングヒットを続けていますが、音楽チャートの方でも快進撃が続いています。

3位は米津玄師「BOOTLEG」が先週の2位からワンランクダウンながらもベスト3をキープ。CD販売数でも6位、ダウンロード数で3位、PCによるCD販売数2位とダウンロード主体で根強い人気を続けています。Hot100の「Lemon」「Flamingo」ともども、ロングヒットは続きそう。

続いて4位以下の初登場盤。今週、初登場盤は3枚のみでしたが、それが4位から6位に並んでいます。

まず5位には韓国の女性アイドルグループOH MY GIRL「OH MY GIRL JAPAN DEBUT ALBUM」がランクイン。あまりにそのままなタイトルですが、フルアルバムとしてはこれが日本デビュー作。CD販売数は1位を獲得していますが、ダウンロード数及びPCによるCD読取数は圏外となっておりこの位置に。オリコンでは初動売上1万5千枚で初登場2位を獲得。ちなみに以前、OH MY GIRL BANHANA名義でミニアルバムをリリースしており、その「バナナが食べれないサル」の初動7千枚(13位)からはアップしています。

5位には男性シンガーソングライター岡崎体育「SAITAMA」が初登場でランクイン。CD販売数5位、ダウンロード数8位、PCによるCD読取数27位を記録。オリコンでは初動売上9千枚で5位にランクイン。直近作は企業や番組とのタイアップのために書き下ろした楽曲をまとめたコンピレーションアルバム「OT WORKS」で同作の初動4千枚(18位)からアップ。ただし、オリジナルアルバムの前作「XXL」の1万3千枚(2位)からはダウンしてしまいました。

6位にはBiSなどが所属する音楽事務所WACKの女性アイドルグループGANG PARADE「LAST GANG PARADE」がランクイン。CD販売数は3位を獲得しましたが、ダウンロード数45位、PCによるCD販売数は圏外となり、総合順位ではこの位置に。オリコンでは初動1万2千枚で4位初登場。前作「GANG PARADE takes themselves higher!!」の6千枚(14位)からランクアップし、初のベスト10ヒットとなりました。

今週、初登場は上位3枚のみでしたが、ベスト10返り咲き組も2枚ありました。まずは9位にRADWIMPS「ANTI ANTI GENERATION」が先週の11位からランクアップし3週ぶりにベスト10返り咲き。CD販売数は15位から22位にダウンしてしまいましたが、PCによるCD読取数は先週から変わらず3位をキープ。ダウンロード数が17位から15位にランクアップし、見事ベスト10に返り咲きです。

もう1枚。西野カナのベストアルバム「Love Collection 2~pink~」が先週の21位からランクアップし10位にランクイン。こちらは4週ぶりのベスト10返り咲き。先日、活動休止を宣言した彼女ですが、今回のランクアップはおそらくその影響でしょう。オリコンチャートでも同作が先週の24位から10位にランクアップし、ベスト10返り咲きを果たしています。ちなみに同時に発売されたもう1枚のベストアルバム「Love Collection 2~mint~」も今週24位から13位にランクアップしています。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2019年1月16日 (水)

ここに来て3週連続1位の快挙

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

なんとここに来て3週連続の1位獲得です。

今週1位は米津玄師「Lemon」。言うまでもなく昨年3月にリリースされたシングルなのですが、紅白出演も大きな話題となり、ここに来て、まさかの3週連続1位獲得です。CD販売数でも3位を獲得しているほか、ダウンロード数、PCによるCD読取数、Twitterつぶやき数、You Tube再生回数、カラオケ歌唱数と5部門で1位を獲得。文句なしの1位獲得となりました。

ちないに米津玄師は「Flamingo」も今週、先週から変わらず5位をキープし11週目のベスト10ヒットに。こちらもロングヒットを続けています。

一方、2018年を代表するもう1曲のヒット曲、DA PUMP「U.S.A.」は残念ながら今週4位にダウン。CD販売数は21位にダウンした他、ストリーミング数も6位に。ただYou Tube再生回数及びカラオケ歌唱数では2位を獲得しており、まだまだロングヒットは続きそうです。

2位は女性シンガーAimer「I beg you」が初登場でランクイン。映画「Fate/stay night[Heaven's Feel]」第二章の主題歌。アニソンを中心に数多くの音楽を手掛けるプロデューサー、梶浦由記が楽曲提供を行ったファンタジックで不思議な雰囲気のナンバー。CD販売数で1位、ダウンロード数2位、PCによるCD読取数3位、Twitterつぶやき数2位と上位にランクインしましたが、残念ながら米津玄師には及ばず2位に留まりました。ちなみにオリコン週間シングルランキングでは初動売上3万枚を獲得し、初の1位を獲得。前作「Black Bird」の1万6千枚(5位)から大幅にアップしています。

3位はあいみょん「マリーゴールド」が先週から変わらず3位をキープ。ストリーミング数では1位をキープしたほか、Twitterつぶやき数が8位に、You Tube再生回数が3位にランクアップしており、根強い人気を見せています。あいみょんは「今夜このまま」も先週の7位からワンランクダウンの6位をキープ。これで10週連続のベスト10ヒットとなりました。

続いて4位以下の初登場曲ですが、まず7位にMrs.GREEN APPLE「僕のこと」が先週の36位からCDリリースにあわせてランクアップし、ベスト10入りを果たしました。「第97回全国高校サッカー選手権大会」応援歌。彼ららしいポップで伸びやかに歌い上げる多幸感のあるナンバーになっています。CD販売数5位、ダウンロード数19位、ストリーミング数13位、ラジオオンエア数1位、PCによるCD読取数11位、Twitterつぶやき数73位を獲得。特にラジオでの強さが目立ちます。オリコンでは初動売上1万1千枚で4位初登場。前作「青と夏」の9千枚(14位)からアップ。2016年の「サママ・フェスティバル!」以来6作ぶりのベスト10ヒットになっています。

初登場組もう1曲は7位初登場AAA「笑顔のループ」。NHK「みんなのうた」オンエア曲。CD販売数で2位、ラジオオンエア数7位を獲得しましたが、ダウンロード数37位、ストリーミング数49位、PCによるCD読取数12位、Twitterつぶやき数35位にとどまり、総合ではこの順位に。オリコンでは初動1万9千枚で2位初登場。前作「LIFE」の3万5千枚からダウンしています。

初登場組は以上でしたが、ロングヒット組ではMISIA「アイノカタチ feat.HIDE(GReeeeN)」が先週の4位からランクダウンしたものの8位をキープ。通算13週目のベスト10ヒットとなりました。特にダウンロード数6位、ストリーミング数4位と配信系で上位にランクインしており、ロングヒットの主な要因となっています。

今週のHot100は以上。明日はアルバムチャート。

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2019年1月15日 (火)

「ポップ」な傾向がより強く

Title:ホームタウン
Musician:ASIAN KUNG-FU GENERATION

オリジナルアルバムとしては約3年半ぶりとなるアジカンのニューアルバム。途中、ベスト盤や「ソルファ」のリメイクアルバムのリリースがあったのですが、新譜としてはちょっと久しぶりのアルバムとなりました。

アジカンといえば、分厚く疾走感あるギターサウンドが心地よく、「ロック」を聴いたという満足感を高く覚えるのが最大の魅力となっています。特に前作「Wonder Future」ではこの「ロック」という側面に焦点をあてたアルバムになっており、特にロックを聴いた満足感を強く覚える作品になっていました。

一方今回のアルバムに関しても分厚いサウンドがまずは心地よく感じます。1曲目「クロックワーク」からギターノイズにへヴィーなバスドラが心地よく響いてきますし、続くタイトルチューンである「ホームタウン」も分厚いバンドサウンドが気持ちよいパワーポップの作品に仕上がっています。

ただ今回の大きな特色はそこではありません。確かにアジカンらしい分厚いバンドサウンドも大きな魅力のひとつではあったものの、アルバム全体としてはミディアムテンポでポップなメロディーラインを聴かせる楽曲がメイン。「ロック」に主軸を置いていた前作とはある意味対照的な、「ポップ」に主眼を置いたアルバムになっていました。

例えば「レインボーフラッグ」などもミディアムテンポでかみしめるように歌う歌詞が前面に押し出されている、歌が主体となっているポップチューンになっていますし、「ダンシングガール」も力強いバンドサウンドが気持ちのいいパワーポップチューンになっているものの、哀愁感も覚えるようなメロディーラインがまずは耳に残るナンバーになっています。同じく「さよならソルジャー」も日本語の歌詞がしっかりと耳に届いてくる歌中心のナンバーに仕上がっていました。

もちろん、先行シングルとなった「荒野を歩け」のような疾走感あるサウンドのロック色の強いナンバーも収録されていますし、どの曲も力強いバンドサウンドからアジカンのロックの側面も強く感じることが出来ます。ただ全体的にはメロディーを前に押し出した「歌」を中心軸に据えたポップな楽曲がメインとなっているアルバムに仕上がっていました。

ただ今回のアルバムではアジカンの、バンドとしてのある種の貫録のようなものも感じました。まずロックバンドとして耳障りのよいアップテンポな曲に頼らず、ミディアムテンポの「歌」で勝負するというあたりに、バンドとしての自信を感じますし、そんな楽曲はどれもアジカンとしての魅力をしっかり伝えている、いい意味での安定感を覚えるような楽曲が並んでいます。こういうアルバムを作ってこれるというあたりに、デビューから15年、そろそろ「ベテランバンド」の域に入って来た彼らの、若手バンドとのある種の格の違いを感じさせる内容になっていたと思います。

なおちょっとユニークなのは今回のアルバムのうち「クロックワーク」ではWeezerのリヴァース・クオモとアメリカのシンガーソングライター、ブッチ・ウォーカーと、「ダンシングガール」ではリヴァース・クオモとの共作となっていますが、必要以上に「洋楽テイスト」を前に押し出す訳ではなく、日本語詞のポップナンバーになっていたという点。ただ、確かにWeezerに通じるようなメロディーラインの良さはしっかりと感じられる楽曲に仕上がっていました。

ちなみに今回、初回限定盤には「Can't Sleep EP」というEP盤がついてきています。こちらは配信では「ホームタウン」とは別枠で配信されているため、初回盤を購入していなくても簡単に聴くことが出来るのはうれしいところ。こちらにはFEEDERのグラント・ニコラスとの共作曲「スリープ」、ストレイテナーのホリエアツシが作曲を手掛けた「廃墟の記憶」、ベースの山田貴洋がボーカルをとった「イエロー」、THE CHARM PARKが作曲を手掛ける「はじまりの季節」が収録。「企画盤」的な色合いの強いバラエティーあふれる楽曲が並んでいますが、ポップという方向性については「ホームタウン」よりもより強く感じられる内容になっています。今のバンドとしての嗜好が「ポップ」であるということをより鮮明に感じられました。

ロック色が薄めということで賛否はある作品ではあるようですが、個人的にはアジカンとしての実力をしっかりと感じさせる傑作であることは間違いないと思っています。メロディーラインももちろん魅力的ですし、分厚いバンドサウンドで満足感の高いアルバムに仕上がっていました。このポップス志向がこれからまだ続くのかは不明なのですが・・・次回作も楽しみです。

評価:★★★★★

ASIAN KUNG-FU GENERATION 過去の作品
ワールドワールドワールド
未だ見ぬ明日に
サーフ ブンガク カマクラ
マジックディスク
BEST HIT AKG
ランドマーク
THE RECORDING at NHK CR-509 STUDIO
フィードバックファイル2
Wonder Future
ソルファ(2016)
BEST HIT AKG 2(2012~2018)
BEST HIT AKG Official Bootleg "HONE"
BEST HIT AKG Official Bootleg "IMO"


ほかに聴いたアルバム

アッコがおまかせ ~和田アキ子50周年記念トリビュート・アルバム~

デビュー50周年を記念したトリビュートアルバム。MISIAやMAN WITH A MISSION、クレイジーケンバンド、サンボマスター、氣志團などポップスフィールドのミュージシャンたちが和田アキ子の楽曲をカバーしています。シンガーとしての実力は折り紙付きの彼女ですが、若干今回の顔ぶれ的には「芸能界的にやらされている」感は無きにしも非ずなのですが、突き抜けた名カバーこそないものの、全体的にほどよくまとめられた聴かせるカバーが並んでいます。

秀逸な出来だったのがやはりクレイジーケンバンド「笑って許して」。和田アキ子らしさと横山剣の魅力を同居させたカバーに仕上げており、相性の良さをうかがわせます。またサンボマスター「どしゃぶりの雨の中で」もエレピの音でレトロな雰囲気を醸し出した力強いカバーに。また、横山健「抱擁」はパンクロッカーである彼としてはちょっと意外な選曲となっており、彼の意外な一面を垣間見れるカバーになっているほか、大原櫻子「さあ冒険だ」は今風のガールズポップになっており、和田アキ子にこんな曲があったんだ、という意外性も感じました。

最初に書いたとおり、突出したものはなく、トリビュートとしては若干「やらさせている」感も感じてしまったものの、はずれもなく、全体的にはよく出来たカバーアルバムになっていました。参加ミュージシャンのファンなら聴いて損のない1枚かと思います。

評価:★★★★

氣志團万博2018

毎年9月に開催され、最近ではすっかりおなじみとなった氣志團主催の夏フェス、氣志團万博。昨年、同イベント参加ミュージシャンによるコンピがリリースされましたが、昨年に続き今年も出演ミュージシャンによるコンピがリリース。ベテランのロックバンドから若手勢、ヴィジュアル系にアイドル、ポップス系からお笑いまで、本当の意味でのジャンルレスなミュージシャンたちが並んでいるのが楽しい感じ。普段から絶対聴かないようなミュージシャンの曲が聴けるのもおもしろいところ。1度くらい行きたいなぁ・・・と思っているのですが・・・。来年も期待。

評価:★★★★

氣志團万博2017

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2019年1月14日 (月)

全15曲にして24分という短さ

Title:Some Rap Songs
Musician:Earl Sweatshirt

ご存じTyler, The CreatorやFrank Oceanなどもメンバーの一員であるオルタナティブ・ヒップホップ集団Odd Future。今回紹介するEarl Sweatshirt(アール・スウェットシャツ)はその中心メンバーの一人。その彼の3年ぶりとなるニューアルバムがリリースされました。

今回のアルバムの最大の特徴は、全15曲入りながらもアルバムの長さがわずか24分という点。要するに1曲あたり2分未満という短いラップが続いていくような内容になっています。そのため聴いているとめまぐるしく次から次へと楽曲が展開していく構成になっており、次々とサウンドが変わるため、最後まで耳を離せない、飽きさせない作品になっていました。

楽曲的にはアブストラクト的な色合いの強い淡々とした雰囲気のラップが続くイメージ。ループするサウンドが明確で、楽曲毎がつながっており、かつ似たような雰囲気の曲が続くため全24分が1曲という感覚でも聴けてしまうようなアルバムにもなっていました。またサウンドの雰囲気としても決して明るさが前に立ったような作風ではなく、むしろ淡々とした楽曲が続くイメージ。1曲あたり2分弱で様々なサウンドが続いていく構成のため、淡々とした作風でもリスナーに最後まで飽きさせない仕上がりとなっています。

ちなみにアルバムタイトルも「Some Rap Songs」と非常にそっけなさを感じさせますが、今回のアルバム、昨年他界した父親に捧げられたもの。特に「Playing Possum」ではその父親と母親の声がサンプリングされており、アルバムの中のひとつの山場となっています。ただこの曲を含めてアルバム全体としてパーソナル的な要素の強いリリックになっているそうで、「Some Rap Songs」というタイトルは、そんなリリックだからこその謙遜的な意味合いがあるのでしょうか。

もっともそんな個人的な内容でありつつも楽曲の中には様々なアイディアも感じられます。ムーディーさを感じる「Loosie」だったり、静かなノイズとピアノで聴かせる「Peanut」だったり、最後の「Riot!」もちょっとレトロな雰囲気が耳を惹きます。個人的な内容といっても、1曲あたりの短さを含め、しっかりとポピュラリティーを保ったアルバムになっていたと思います。

そんな訳で、アルバムの「短さ」を含めて、ラップを普段聴かないような層でも気軽に楽しめそうな作品となっていたと思います。最後まで耳を離せない飽きの来ない展開で楽しめた傑作アルバムでした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Hence/OREN AMBARCHI,JIM O'ROURKE AND U-ZHAAN

オーストラリアのマルチ楽器奏者、オレン・アンバーチの新作は、ジム・オルークとさらに日本のタブラ奏者U-Zhaanを迎えての新作。オレン・アンバーチについては今回、完全に初耳だったのですが、U-Zhaanが参加しているということで聴いてみた本作。アルバム・・・といっても全2曲入り。いずれも20分近いインスト曲が収録されている全40分弱のアルバム。ミニマルテイストなサウンドにタブラの音が入っており、どこかエキゾチックで幽玄的なサウンドが魅力的。決してわかりやすいポップなメロディーが入っている曲ではないのですが、その不思議な魅力あるサウンドについつい惹き込まれる作品でした。

評価:★★★★

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2019年1月13日 (日)

ポップスバンドとしてさらなる成長を遂げた傑作

Title:A Brief Inquiry Into Online Relationships
(邦題 ネット上の人間関係についての簡単な調査)
Musician:The 1975

イギリスのギターロックバンドThe 1975の3枚目のニューアルバム。アルバム毎に高い評価を受けている彼ら。前作「I like it when you sleep, for you are so beautiful yet so unaware of it」はついにアメリカビルボードチャートでも1位を獲得するなど、世界的に高い注目を集めています。そして3枚目となる本作は前作に引き続き長いアルバムタイトルになり、最近の邦楽としては珍しく邦題がつきました。そういう意味で前作の延長線上のようなアルバムなのですが、高い評価を得た前作以上の傑作アルバムに仕上がっていました。

ロックよりもポップス寄りにシフトした前作同様、本作もポップス寄りにシフト。またどこか感じる80年代的な雰囲気も前作と同様といった感じでしょうか。エレクトロなポップチューンも目立ち、最初聴いた時はちょっと軽すぎるかな、といった印象も受けてしまいました。

実際アルバムは、バンド名を冠したインスト曲から軽快なエレクトロポップの「Give Yourself A Try」「TOOTIMETOOTIMETOOTIME」へと続いていきます。ちょっと幻想的な雰囲気の「How To Draw/Petrichor」に続く「Love It If We Made It」もエレクトロアレンジのポップチューンなのですが、アレンジ、メロディー共に80年代のAORを感じさせるようなポップナンバーになっており、どこか懐かしさすら覚えるポップチューンに仕上がっています。

特にこの中盤以降のバリエーションある展開がこのアルバムの一番の魅力。続く「Be My Mistake」はアコギで聴かせるフォーキーなナンバーになっていたかと思えば、「Sincerity Is Scary」はピアノとホーンの音色も印象的なジャジーなナンバーに。ピアノとストリングスにギターの音色も入り、美しく歌い上げる「Inside Your Mind」を聴かせたかと思えば、「It's Not Living(If It's Not With You)」は再び80年代のような軽快な空気感のつまったエレクトロポップへと続き、リスナーを飽きさせません。

終盤もアコギで聴かせる「Surrounded By Heads And Bodies」から、ピアノでムードたっぷりに聴かせるジャジーな「Mine」、そして80年代のAORそのままな「I Couldn't Be More In Love」へと続き、最後は美しいメロディーラインとファルセットボイスでしんみり聴かせる、ミディアムチューンの「I Always Wanna Die(Sometimes)」でアルバムを締めくくります。

そんなバリエーションあるポップナンバーが続いているのですが、どの曲も美しくインパクトあるポップなメロディーラインが流れているため、アルバム全体として統一感がありますし、洋楽リスナーに限らず、幅広い音楽ファンを楽しませる訴求力を感じました。前作に続いて最近の洋楽としては珍しい邦題がついているのですが、それはそれだけ洋楽リスナー層に留まらないリスナー層へアピールできると考えているからではないでしょうか。確かにレコード会社側がそう感じるのも納得のポピュラリティーあるアルバムに仕上がっています。

そして単なるポップなアルバムではなく、その向こうにはジャズやAORからの影響を強く感じる幅広い音楽性が大きな魅力に。ファンキーなリズムが特徴的だった前作に比べると、わかりやすくファンクな楽曲は今回はあまりなかったのえすが、前作同様にブラックミュージックからの影響は顕著に感じられる作風に仕上がっていました。

前作も傑作アルバムだったのですが、本作は間違いなく前作の水準を軽々と超えてしまった年間ベストクラスの傑作アルバムだったと思います。その人気のほども含めて、間違いなくミュージックシーンを代表するバンドへの成長しつつある彼ら。その実力と勢いをしっかりと感じることが出来るアルバムでした。ちなみに本作に続き今年5月にも早くも新作のリリースが予定されており、本作と並んで2部作となる予定だとか。これは5月のアルバムにもかなり期待が持てそうです。

評価:★★★★★

The 1975 過去の作品
The 1975
I like it when you sleep, for you are so beautiful yet so unaware of it(君が寝てる姿が好きなんだ。なぜなら君はとても美しいのにそれに全く気がついていないから。)


ほかに聴いたアルバム

Merrie Land/The Good, The Bad&The Queen

突然、といった感じで少々ビックリしていまいました。ご存知blurのデーモン・アルバーンを中心に、The Clashのポール・シムノン、the verveのサイモン・トング、さらにトニー・アレンがバンドを組み、2007年にアルバム「The Good,The Bad&The Queen」をリリースした彼ら。なんと11年ぶりに活動を再開しニューアルバムをリリースしてきました。

アルバムはメロディーラインを前面に押し出しつつ、どこか幻想的でファンタジックな雰囲気が印象的。サイケな音を入れたり、東洋的な音を入れたり、不気味な雰囲気を醸し出したりと、かなり自由度の高い音を入れ込んでいます。結果として、アルバム全体として少々つかみどころのない感じも否めない印象も。良くも悪くも自由度の高い、デーモンがやりたいことをやった、という印象の強いアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★

Brainfeeder X

フライングロータス主催のレーベル「Brainfeeder」。設立10周年を記念してリリースされたコンピレーションアルバム。 Flying Lotusはもちろん、Thundercatなどの楽曲も収録。全体的にはジャズやエレクトロなどを取り入れた実験的な作風の楽曲が多く、今のシーンの先端を行くサウンドを知ることが出来るうってつけのコンピ盤でした。

評価:★★★★★

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2019年1月12日 (土)

有村竜太朗の魅力がよりはっきりと

Title:個人作品集1992-2017「デも/demo #2」
Musician:有村竜太朗

ヴィジュアル系ロックバンドPlastic Treeのボーカリストによるソロアルバム第2弾。Plastic Treeというと、デビューが1997年というから、既にデビュー後20年以上が経過しているベテランバンド。残念ながら大ヒット作というのはなく、アルバムシングル共にオリコン9位が最高位というバンドなのですが、その高い音楽性から高い支持を集めており、根強い人気を確保しています。

このPlastic Treeというバンドがユニークなのは、一般的にハードロックやへヴィーメタルからの影響が強いヴィジュアル系ロックバンドの中では珍しく、オルタナティブ系のロックバンドに強い影響を受けているという点。そのため、ヴィジュアル系バンドをあまり聴かないようなリスナー層にも高い支持を受けていました。

そして今回の有村竜太朗のソロアルバムには、そんな彼の音楽的志向が、Plastic Treeのアルバム以上に強く出ていたように感じます。特に今回のアルバムではサウンドプロデューサーに凛として時雨などを手掛ける釆原史明、そしてCOALTAR OF THE DEEPERSのNARASAKIを迎えています。COALTAR OF THE DEEPERSといえば、知る人ぞ知る、日本を代表するシューゲイザーバンド。このアルバムでも、シューゲイザー色の強い、心地よいホワイトノイズの楽曲を数多く聴くことが出来ます。

イントロ的な「幻形フィルム/genkeifuirumu」に続く「くるおし花/kuruoshibana」は分厚いギターサウンドとメランコリックなメロディーラインが印象的なナンバー。このメランコリックなメロディーといいノイジーなギターサウンドといい、有村竜太朗が影響を公言しているThe Smashing Punpkinsからの影響を強く感じます。

またシューゲイザー色といえば中盤で聴かせる「ザジ待ち/zajimachi」でしょう。物悲しいメロディーラインをゆっくりと聴かせる楽曲ですが、アウトロでは心地よいホワイトノイズで埋め尽くされて楽曲は終了します。哀愁感あるメロが流れる中、少々サイケ気味の幻想的なギターサウンドが印象的な「日没地区/nichibotsuchiku」もシューゲイザー好きには心地よさを感じさせるナンバー。ラストの「19罪/jukyusai」も泣きメロも印象に残るナンバーなのですが、楽曲を埋め尽くすホワイトノイズに気持ちよさを感じさせるナンバーになっています。

さらにメランコリックに泣かせるメロディーラインも大きなインパクトを持っており、強く印象に残ります。ノイジーなサウンドが強い印象に残る楽曲ながらも一方では歌の部分もしっかりと前に押し出されているようなサウンド構成になっており、プロダクション的にもバランス感覚の良さを感じます。結果としてメロディーメイカーとしての有村竜太朗の魅力がより表に出ているアルバムになっていたように感じます。

正直、彼の歌い方についてはヴィジュアル系特有の鼻にかかったような耽美的な歌い方が特徴的なので好き嫌いはわかれる部分かもしれません。私もPlastic Treeの楽曲についてはアルバムを基本的にすべて聴いているのですが、そのため大はまりは出来ない、という状況でした。しかし前作もそうだったのですが、彼のソロアルバムに関しては、メロディーラインの良さ、サウンドの心地よさがより前に出ていた結果、彼の歌い方の癖を差し引いてもはまってしまう傑作アルバムに仕上がっていたように感じます。それだけ有村竜太朗というミュージシャンの魅力をしっかりと捉えていたアルバムだったように感じました。次はPlastic Treeのアルバムリリースになるのでしょうか。そちらも楽しみなのですが、是非ソロでの活動も今後も継続してほしいなぁ、と感じる作品でした。

評価:★★★★★

有村竜太朗 過去の作品
デも/demo


ほかに聴いたアルバム

植物男子ベランダーSEASON2 ENDING SONGS/大橋トリオ

以前も紹介したNHKドラマのエンディング曲をまとめたコンピレーションアルバム「植物男子ベランダー」の、こちらはSEASON2として2018年9月から12月に放送された放送分に使用されたエンディング曲を集めた配信オンリーでのアルバム。既発表曲のみをまとめたコンピなので目新しさみたいなものはありませんが、ただこうやってあらためて聴くと、いい意味で安心して聴ける大人のポップの名曲が並んでいる印象。大橋トリオの魅力をあらためて強く感じることが出来るコンピになっていました。

評価:★★★★★

大橋トリオ 過去の作品
A BIRD
I Got Rhythm?
NEWOLD
FACEBOOKII
L
R

FAKE BOOK III
White
plugged
MAGIC
大橋トリオ
PARODY
10(TEN)
Blue
STEREO
植物男子ベランダー ENDING SONGS

Little Christmas/佐藤竹善

2018年はEric ClaptonやJohn Legendがクリスマスアルバムをリリースし、さすがアメリカではクリスマスだけで著名なミュージシャンが1枚のアルバムを作ってしまうほどクリスマスに対する思い入れが深いのか・・・と思っていたのですが、日本でもクリスマスをテーマにアルバムをリリースしてきたミュージシャンがいました!SING LIKE TALINGのボーカリスト、佐藤竹善。いままでも「Your Christmas Day」のタイトルで3枚のクリスマスアルバムをリリースしてきましたが、今年は「Little Christmas」のタイトルで新たなクリスマス企画アルバムをリリース。ライブ音源のカバーが中心なのですが、ジャジーな演奏をバックにしんみりと歌い上げる彼の歌声は絶品。大人のクリスマスアルバムといった感じで、寒い季節にはピッタリのアルバムとなっていました。

評価:★★★★

佐藤竹善 過去の作品
ウタジカラ~CORNER STONE 4~
静夜~オムニバス・ラブソングス~
3 STEPS&MORE~THE SELECTION OF SOLO ORIGINAL&COLLABORATION~
Your Christmas Day III
The Best of Cornerstones 1 to 5 ~The 20th Anniversary~
My Symphonic Visions~CORNERSTONES 6~feat.新日本フィルハーモニー交響楽団

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2019年1月11日 (金)

クラプトンのオールタイムベスト

Title:Eric Clapton:Life In 12 Bars(Original Motion Picture Soundtrack)

以前、当サイトでも紹介したエリック・クラプトンの生涯を描いたドキュメンタリー映画「エリック・クラプトン~12小節の人生」。彼の波乱万丈な生涯が描かれた、強い印象に残る映画だったのですが、その映画公開に先立ちリリースされたのがこのサントラ盤。映画を見た後に遅ればせながらサントラ盤も聴いてみました。

さてこのアルバム、映画のサントラ盤なのですが、その収録曲がなかなかすごいものがあります。ご存じの通りクラプトンといえば、生涯にわたり様々なバンドに参加してきました。彼のキャリアの最初の活動であるヤードバーズからはじまり、ブルースブレイカーズ、クリーム、ブラインドフェイス、デレク・アンド・ザ・ドミノス。そしてこのサントラ盤には、彼が参加してきたこれらのバンドの曲を網羅的に収録。さらにはソロ時代の作品が収録されているほか、序盤に彼の影響を受けたブルースの楽曲を収録。そして彼がギターで参加したことでも知られるThe Beatlesの「While My Guitar Gently Weeps」まで収録されています。権利上の関係か、あまりビートルズの作品がこの手のコンピに収録されるケースは少ないだけに、本作に収録されたという事実には驚かされます。

まさにクラプトンのオールタイムベストとも言える内容。まあ、彼の波乱万丈の生涯をわずかCD2枚に収録しているわけで、それだけに省略されている曲も多く、例えば彼の代表曲のひとつとしても知られる「Change The World」などは収録されていないのですが、そういう点を差し引いても、エリック・クラプトンの入門盤としても最適な内容になっていると思います。

そしてその彼の過去の楽曲を聴いてあらためて強く感じた点があります。それは彼が本当に幅広い音楽に挑戦しているということ。今回の映画の副題「12小節の人生」の「12小節」とはブルース形式と呼ばれるブルースの基本的な構成が12小節で成り立っていることからつけられたものです。実際、クラプトンとブルースといえば切っても切れない関係であるのですが、彼の音楽は単純なブルースの模倣・・・ではありません。クリームはサイケロックやハードロックの傾向が強いですし、デレク・アンド・ザ・ドミノスはサザンロックの傾向が強くなります。さらにソロになってからは本作にも収録されている「I Shot The Sheriff」はレゲエミュージシャンのボブ・マーリーの曲のカバーですし、92年にリリースした大ヒット作「アンプラグド」の影響か、最近のクラプトンにはむしろAOR的なイメージすらついてまわります。

逆にそれだけ積極的に様々な音楽に挑戦しているからこそ、ひとつのバンドに留まることなく、様々なバンドを結成・参加して今に至っているのでしょう。本作はそんなクラプトンの活動を、彼が強い影響を受けたブルースの楽曲を含めて網羅的に把握できるアルバムになっていました。映画を見てクラプトンの生涯に感銘を受けた方はもちろん、映画を見ていなくてもクラプトンの入門盤としても最適なアルバムです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Delta/Mumford&Sons

前作「Wilder Mind」は悪い意味でスタジアムバンド的な、スケール感ばかりを前面に出した大味な作品になっていました彼ら。今回も同じようにスケール感がある分厚いサウンドの曲が多い一方、ミディアムテンポ主体のメロディーラインをしっかりと聴かせる曲も多く、決して大味にならない魅力的なメロディーがグッと多くなったように思います。デビューアルバムの時のフォーキーな感じはさらに薄くなった感はあるのですが、バンドとしてより「大物」へと成長を感じされる1枚でした。

評価:★★★★

Mumford&Sons 過去の作品
Sigh No More
Babel
Wilder Mind

The Hansa Session/Chvrches

Chvchesの新作は5曲入りのEP盤。最新アルバム「Love Is Dead」の曲をアコースティックとストリングスのアレンジで収録した企画盤で、タイトルの「Hansa」とはデヴィッド・ボウイやイギー・ポップなど数多くのミュージシャンが作品を収録したベルリンのハンサ・スタジオのこと。エレクトロポップスバンドの彼女たちですが、アコースティックなアレンジをほどこすと、その美しいメロディーラインが際立ち、メロディーメイカーとしての才が目立つ作品になっています。ちなみに本作はLP盤と配信のみのリリースだとか。こういう形態、日本でも取り入れるミュージシャンが増えてきていますが、全世界的な流れになってきているようですね・・・。

評価:★★★★★

Chvrches 過去の作品
The Bones Of What You Believe
Every Open Eye
Love Is Dead

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2019年1月10日 (木)

2018年の代表曲が続々と

一昨日、昨日もヒットチャートでしたが、Billboard Japanでは早くも次の週のチャートが更新となったため、チャート評もそれにあわせて3日連続で更新となります。なお、今週は集計対象週がお正月期間中ということで初登場が極端に少ないため、Hot100、Hot Albums同時更新となります。

(参考サイト)
http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週のHot 100

予想通りでしたが、2週連続の1位となりました。

紅白でも大きな話題となった米津玄師「Lemon」が先週に引き続き1位を獲得。なんとダウンロード数、PCによるCD読取数、Twitterつぶやき数、You Tube再生回数、カラオケ歌唱数で1位を獲得。CD販売数も2位につけており、紅白出演の反響の大きさがわかります。ここに来てこれだけのヒットは驚くべき結果。ちなみにオリコンでも今週の週刊シングルチャートで2万3千枚を売り上げて2位にランクアップしてきています。

そしてその米津玄師に負けて1位獲得ならなかったのが2位DA PUMP「U.S.A.」。こちらも2018年の話題曲。こちらもTwitterつぶやき数、You Tube再生回数、カラオケ歌唱数で2位、ストリーミング数で3位を獲得。ただ、こちらもCD販売数で8位にランクイン。オリコンでも4千枚を売り上げて7位にランクインしてきています。

当サイトを見ていればお気づきかと思いますが、いままでこの2曲、ダウンロードやストリーミングもしくはYou Tube中心のヒットでありCDの売上は今ひとつでした。ただ今回、CDの売上を大きく上げてきたというのは、主に年末の紅白やレコ大の影響でお茶の間レベルに知名度を上げた結果、ダウンロードやストリーミングではなくCDで音楽を主に音楽を聴いているような、おそらく中年層や年配層に支持が広がってたということを意味するのではないでしょうか。「U.S.A.」もそうですが、「Lemon」も本格的に「国民的ヒット」になりつつあるようです。

ちなみに米津玄師は「Flamingo」も4位からワンランクダウンながらも5位にランクイン。こちらも「Lemon」ほどではないものの11週連続のベスト10ヒットとなっており、ロングヒットを記録しています。

そして3位はあいみょん「マリーゴールド」が7位からランクアップ。初となるベスト3ヒットとなりました。あいみょんは「今夜このまま」も7位にランクイン。こちらは5位からのランクダウンとなりましたが、これで9週連続通算10週目のベスト10入りとなりました。

さらに4位にはMISIA「アイノカタチ feat.HIDE(GReeeeN)」が先週の19位からランクアップし、11月5日付チャート以来10週ぶりのベスト10ヒットを記録。特にダウンロード数が12位から2位、ストリーミング数が13位から4位と跳ね上がっており、ランクアップの主要因となっています。彼女も昨年の紅白でその圧倒的な歌唱力が評判となりましたが、まさに紅白の影響によるランクアップと言えるでしょう。

今週唯一の初登場が6位桑田佳祐&The Pin Boys「レッツゴーボウリング」。彼が主催するボウリング大会「KUWATA CUP」の公式ソングとしてリリースされた、タイトル通りのボウリング愛あふれる作品。ボウリングという題材もそうなのですが、平成最後の年に、どこか昭和の空気を感じる懐かしい雰囲気の曲となっています。CD販売数及びラジオオンエア数で1位を獲得したものの、ダウンロード数42位、PCによるCD読取数13位、Twitterつぶやき数58位にとどまっておりこの順位に。桑田佳祐も紅白でサザンとしてのパフォーマンスが大きな話題となりましたが、ソロシングルへの波及はなかったようです。オリコンでは初動3万8千枚で1位を獲得。ただし前作「君への手紙」の7万枚(2位)からダウンしています。

返り咲き組はもう1曲。9位に星野源「アイデア」が先週の40位から大きく順位をあげて昨年10月8日付チャート以来、14週ぶりにベスト10返り咲きとなりました。こちらも昨年の紅白で歌った楽曲であり、紅白効果が大きく出た模様。特にダウンロード数が5位、Twitterつぶやき数が9位と上位にランクインしており、ベスト10返り咲きの大きな要因となっています。


今週のHot Albums

アルバムチャートでも紅白効果が出ています。

まず1位は星野源「POP VIRUS」。これで3週連続1位獲得。CD販売数、ダウンロード数、PCによるCD読取数いずれも1位を獲得しており、その強さを見せつけています。オリコンでも今週も2万7千枚を売り上げて1位をキープ。

そして2位には米津玄師「BOOTLEG」が先週8位からランクアップし、11月12日付チャート以来、9週ぶりにベスト3に返り咲き。CD販売数5位、ダウンロード数及びPCによるCD読取数では2位を獲得。こちらはオリコンでも先週の21位から4位に大きくランクアップしており、紅白効果はアルバムにも大きな影響を与えています。

さらにこちらは紅白ではないのですが3位にQUEEN「ボヘミアン・ラプソディ(オリジナル・サウンドトラック)」が先週の4位からランクアップし、こちらは2週ぶりのベスト3返り咲きとなっています。QUEENはベストアルバム「クイーン・ジュエルズ」も先週の9位から7位にランクアップしており、2枚同時ランクインとなっています。

続いて4位以下の初登場盤ですが、今週初登場は1枚のみ。4位にアイドルグループでんぱ組.inc「ワレワレハデンパグミインクダ」が初登場でランクイン。CD販売数4位、ダウンロード数13位、PCによるCD読取数62位となっています。オリコンではフライング販売の影響で先週付チャートで10位にランクイン。今週は13位にランクダウンしています。

またベスト10返り咲きとしてDA PUMPのベストアルバム「THANX!!!!!!! Neo Best of DA PUMP」が先週の12位から5位にランクアップし、2週ぶりのベスト10返り咲きとなっています。こちらもやはり年末の紅白やレコード大賞出演の効果が大きいのでしょうか。

そんな訳で同時更新となったHot100、Hot Albumsは以上。チャート評は今度は来週の水曜日に!

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2019年1月 9日 (水)

今週からアルバムチャートもBillboard基準となります。

タイトル通りです。いままでチャート評は、シングルはHot100、アルバムはオリコンと使い分けてきましたが、今週からアルバムもBillboardのHot Albumsを基準として紹介します。

ご存じのようにオリコンでは昨年12月よりダウンロード、スクリーミングを含めた「合算チャート」を公表。位置づけ的に従来の「週刊アルバムランキング」より上位に位置づけようとしています。一方、Billboardは従来よりCDリリースにダウンロード、PCによるCD読取数を加えたチャートを「Hot Albums」としています。

シングルチャートではオリコンの合算チャートはCD、ダウンロード、スクリーミングの単純な合算であって、You Tubeやラジオなどを加えた総合チャートであるBillboardと比べると、正直、従来のフィジカルな売上をいまだに重視しており、今のヒットシーンを捉えきれているとは思えません。ただアルバムチャートについては一長一短という印象。Billboardはスクリーミングをチャートに加えていませんし(スクリーミングではアルバム単位の集計が困難であるからと思われます)、オリコンではPCによるCD読取数という基準はありません。

オリコンは売上枚数が明記されていますし、従来のようにアルバムチャートはオリコンを基準し続けてもよかったのですが、シングルがBillboard基準なのでアルバムに関しても統一する意味もありBillboardのHot Albumsを基準として今年から使用させていただくことにしました。またシングルと同様、オリコンの週間アルバムランキングを参考に、初動売上比較は続けていこうと思っています。

そんな訳で、今週のHot Albumsです。

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今年も彼の人気はまだまだ持続していきそうです。

Hot Albumsで1位を獲得したのは星野源「Pop Virus」。CD販売数は2位ですが、ダウンロード、PCによるCD読取数ともに1位を獲得し、総合順位では見事1位を獲得しました。ちなみにオリコンの週間アルバムチャートでも、4万4千枚を売り上げ、2週連続の1位を記録しています。

2位は韓国の女性アイドルグループTWICE「BDZ」が先週の52位から大きくランクをあげて10月29日付チャート以来、10週ぶりにベスト10返り咲き。こちらは既存のアルバムに新曲「STAY BY MY SIDE」を加えてリニューアルしたリパッケージアルバムがリリースされた影響。相変わらずアコギな商売です。

3位はようやく初登場。タッキー&翼「Thanks Two You」がランクインです。滝沢秀明の芸能界引退に伴い引退を発表した彼らの最後となるベストアルバム。ただし通常盤でも全5枚組というかなりボリューミーな内容になっています。CD販売数は1位でしたが、ダウンロードでのリリースはなく、PCによるCD読取数は47位に留まり総合チャートでは3位止まり。オリコンでも初動売上4万2千枚で2位に留まっており、有終の美は飾れませんでした。ただし、前作「TRIP&TREASURE TWO」の1万9千枚(4位)からは大幅にアップしています。

4位はQUEEN「ボヘミアン・ラプソディ(オリジナル・サウンドトラック)」がランクイン。先週、オリコンでは7週目のベスト10ヒットとなりましたが、Hot Albumsでも今週、8週目のベスト10ヒットとなっています。さらにHot Albumsではフジテレビ系ドラマ「プライド」でQUEENの「BORN TO LOVE YOU」が起用されたことに伴い、2004年にリリースされ大ヒットした日本独自企画のベストアルバム「クイーン・ジュエルズ」が9位にランクインしており、QUEENのアルバムが2枚同時にランクイン。その強さを見せつける結果となっています。

5位にはKEY「Hologram AS USUAL」がベスト10初登場。韓国の男性アイドルグループSHINeeのメンバーによるソロデビュー作となります。CD販売数は4位でしたが、ダウンロード数は26位、PCによるCD読取数は61位に留まっており、総合では5位に。オリコンでは初動売上2万6千枚で4位にランクインしています。

7位にはMISIA「Life is going on and on」が初登場でランクイン。デビュー20周年を迎えた彼女の3年ぶりとなるオリジナルアルバム。CD販売数6位、ダウンロード数10位、PCによるCD読取数37位で総合順位はこの位置に。オリコンでは初動1万6千枚で6位初登場。直近作はジャズアルバム「MISIA SOUL JAZZ SESSION」で同作の7千枚(11位)よりはアップ。オリジナルアルバムとしての前作「LOVE BEBOP」の1万3千枚(5位)よりアップしています。MISIAはここ数作、7万→5万4千枚→1万9千枚→1万3千枚と凋落傾向が続いてきましたが、ここでようやく下げ止まりました。本作に収録されたTBS系ドラマ「義母と娘のブルース」の主題歌「アイノカタチ」のロングヒットが大きかったようです。

8位には米津玄師「BOOTLEG」が先週の12位からランクアップし、2週ぶりのベスト10ヒットに。CD販売数は13位に留まっていますが、ダウンロード数は5位、PCによるCD読取数は3位を記録しており、Hot100同様、米津玄師人気を反映したチャートとなっています。

10位には韓国のアイドルグループ東方神起「New Chapter #2:The Truth of Love」がランクイン。ダウンロード数で3位を獲得。ほかはチャート圏外ながらもベスト10入りです。同作は韓国でリリースされたアルバム。オリコンでは輸入盤が初動売上9千枚で12位にランクインしています。

今週のHot Albumsは以上。これからはHot Albumsを基準にヒットチャートを紹介していきたいと思いますので、引き続き、よろしくお願いします。

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«2018年を象徴するようなチャート