川谷絵音がまたもや新バンド!
Title:SOME BUDDY
Musician:礼讃
indigo la Endやゲスの極み乙女の川谷絵音のニューバンド、礼賛のニューアルバム。いままで配信で1作リリースしており、これがアルバムとして2作目となるようです。ただ、1作目は見逃しており、個人的にアルバムを聴いてみるのは本作が初めてとなります。川谷絵音は前述のindigo la Endやゲスの極み乙女の他にもジェニーハイやichikoroなどのバンドにも参加しており、このバンドは一体何組目だよ?とも思うのですが、ワーカホリックなその仕事ぶりが目立ちます。
今回のバンドはもともと、川谷絵音がはじめた自分の曲を様々な人に歌ってもらうプロジェクト、美的計画に、お笑いコンビ、ラランドのサーヤが参加したことがきっかけ。川谷絵音から声をかけて結成となったそうです。彼女がボーカルで参加しているほか、川谷絵音とおなじくゲスの極み乙女に所属している休日課長もベーシストとして参加。ほか、ギターの木下哲、ドラムスにDALLJUB STEP CLUB、あらかじめ決められた恋人たちへのGOTOが参加。総勢5名でのバンドとなっています。
ジェニーハイもそうでしたが、お笑いタレントと組んでいるあたり、川谷絵音は積極的に音楽業界の外部の人と組んで、音楽業界の中の人だけでは生み出せないような新たなケミストリーを生み出したいのでしょうか。ただ、例の不倫騒動も加味すると、単なる「芸能界好き」なような印象も受けてしまうのですが(笑)
ただジェニーハイもそうでしたが、企画的なものかと思いきや、かなり本気モード。これだけワーカホリックな感じだと、楽曲のクオリティーが下がりそうな感じですが、クオリティーが下がるどころか、むしろここ最近の川谷絵音関連の音源の中では、もっともクオリティーが高いのでは?と思うような傑作に仕上がっています。楽曲は、どちらかというとゲスの極み乙女につながるような、ラップテイストの楽曲がメインなのですが、メランコリックなメロディーラインと、ジャズやファンクなどの要素を加えて、エッジを利かせたサウンドとの組み合わせが見事。疾走感あるリズミカルな「SLUMP」からスタート。メランコリックなメロディーラインがindigoにも通じるような「鏡に恋して」、同じくおなじお笑いユニットの令和ロマンの高比良くるまがラッパーとして参加。ちょっと不穏な雰囲気がカッコいい「GOLDEN BUDDY」など、序盤からかなり飛ばしまくった曲が続きます。
その後もサウンドにジャズ的要素を加えた「ウラメシヤ」や、疾走感あるロックチューンに、ファンキーなギターがカッコいい「Bless u」、ホーンセッション入ってファンキーで爽やかな「曖昧なBEACH」、RIP SLYMEのRYO-Z、ILMARI、DJ FUMIYAも参加し、HIP HOPテイストも強い「TRUMAN」など、HIP HOP、ロック、ジャズ、ファンクなどを自由に楽曲に組み込みポップにまとめあげる、バラエティー富んだ作風が魅力的な作品に仕上がっています。
ちなみに礼賛に関して、作詞はCLRことラランドのサーヤ、作曲もCLRと礼賛の共同名義となっていますが、作詞はともかく、作曲の方は、かなり川谷絵音の手癖も強い楽曲となっており、明らかに川谷絵音が主導の曲作りになっていることを感じさせます。バンド名義なのでおそらく最初のメロの原案をCLRが作り、全員のセッションの中で楽曲を作りあげつつも、なんだかんだいってもやはり川谷絵音がまとめあげていく、という流れなのでしょうか。そういう意味では間違いなく川谷絵音のバンドのアルバムとなっています。
一方、もうひとつ特筆したいのが、ボーカルのCLR。ちょっと気だるい感じの声色が非常に印象的でインパクトがあり、マイナーコード主体な礼賛の楽曲にもピッタリマッチしています。最初、プロのシンガーかと思いきや、お笑いタレントということでビックリしたのですが、確かに美的計画で組んだことをきっかけに川谷絵音から声がかかった、という理由はわかるような気がします。彼女のボーカルもまた、バンドとしての大きな魅力となっており、また礼賛というバンドを特徴づける大きな要素となっていました。
スタートしたばかりのバンドということで勢いもあり、おそらく川谷絵音も新鮮な気持ちでバンドに加わっているのでしょう。また、バンドとしての雰囲気もいいのかもしれません。個人的に年間ベストクラスの傑作だと思います。それにしても川谷絵音は、あれだけ多くのバンドに加わり、なおかつ同時並行的にコンスタントに活動を行っているのが驚くべきところ。あらためて彼のアグレッシブな活動ぶりとその実力に感嘆する作品でした。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
BLUE/Galileo Galilei
Galileo Galileiの過去の楽曲を再録した、配信限定のアルバム(ただし、一部ライブ会場ではCD販売された模様)。アルバム最後に収録されている「あおにもどる」以外は、過去作のリメイクとなっているため、ベスト盤的に楽しめるアルバムと言えるかも。楽曲は「青」をテーマにセレクトされているため、そういう意味ではコンセプトアルバムとも言えるかもしれません。楽曲は全体的に分厚いバンドサウンドにエレクトロサウンドの要素も取り入れて、メランコリックなメロで聴かせる特徴的。そんなにガラリと大きく変化したような感じはしないのですが、コンセプチャルな方向性が若干頭でっかちに感じる部分も含めて、彼ららしいといった感じでしょうか。
評価:★★★★
Galileo Galilei 過去の作品
パレード
PORTAL
Baby,It's Cold Outside
ALARMS
SEE MORE GLASS
Sea and The Darkness
車輪の軸
Bee and The Whales
MANSTER
MANTRAL
Vermillion's/sumika
メンバーの黒田隼之介の急逝というショッキングな出来事を経て、3人組となったsumika。その後もメンバーの体調不良などで活動の一時休止を余儀なくされた時期もあるなど、バンドとして困難な時期を経た彼らですが、シングルやライブはその間も比較的積極的に活動を続け、このたびようやくアルバムがリリースされました。ただ、そんな彼らですが、楽曲のスタイルは基本的には変わりなく。ピアノやストリングスなどを使った陽気なポップソングがメイン。アニメ「ダンジョン飯」のテーマ曲となった「運命」をはじめ、聴いていて素直に楽しくなるポップスが彼らの持ち味ゆえにタイアップ曲も多いのでしょう、14曲中8曲までがタイアップという構成となっています。同じように陽気で明るいポップスを奏でるMrs.GREEN APPLEがあれだけ爆発的に売れているのだから、彼らももうちょっと売れてもいいようにも思うのですが。
評価:★★★★
sumika 過去の作品
Familia
Chime
Harmonize e.p
AMUSIC
For.
Sugar Salt Pepper Green(sumika[camp session])
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