2022年12月 7日 (水)

再逆転!

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

ヒゲダンと米津玄師のデッドヒートが続いています。

Subtilte

先週は、CDリリースの影響で米津玄師が1位を獲得したのでが今週は再逆転。再びOfficial髭男dism「Subtitle」が先週の2位から1位に返り咲きました。これで2週ぶり通算5週目の1位獲得に。一方、米津玄師「KICK BACK」は先週の1位からワンランクダウンの2位となっています。ヒゲダンはストリーミング数が今週7週連続で1位を獲得しているほか、ダウンロード数も2位から1位にアップ。米津はこちらもストリーミング数が7週連続で2位、ダウンロード数は3位から2位にアップ。一方、You Tube再生回数はヒゲダンは先週から変わらず3位、米津は1位から2位にダウンと、こちらだけヒゲダンと米津の順位が逆転しています。ちなみに今週で両者とも8週連続のベスト10ヒット&ベスト3ヒット。どちらもまだまだロングヒットが続いていきそうです。

3位はKing&Prince「ツキヨミ」が先週から同順位をキープ。特にCD販売数が先週の3位から1位にアップ。オリコン週間シングルランキングでも今週1位を獲得しています。売上枚数でも先週の7万6千枚から10万1千枚にアップ。メンバー3名脱退というニュースに加えて、紅白出演や、12月3日に日テレ系「ベストアーティスト2022」にメンバー脱退発表後、初の生パフォーマンスを披露したことによる影響でしょうか。

続いて4位以下の初登場曲です。まず4位にM!LK「STARS」が初登場。CD販売数4位、ストリーミング数41位、その他は圏外という結果に。スターダストプロモーション所属の男性アイドルグループ。オリコンでは初動売上4万1千枚で4位初登場。前作「奇跡が空に恋を響かせた」の2万9千枚(1位)よりアップしています。

6位にはハロプロ系女性アイドルグループOCHA NORMA「運命 CHACHACHACHA〜N」がランクイン。CD販売数2位、ダウンロード数39位、その他は圏外となっています。オリコンでは初動売上7万4千枚で2位初登場。前作「恋のクラウチングスタート」の初動9万5千枚(2位)よりダウンしています。

8位初登場はGENERATIONS from EXILE TRIBE「PARTY7~GENEjaNIGHT~」。ご存じEXILEの弟分のダンスグループで、本作はライブでのみ披露されていた楽曲で、限定盤シングルとしてのリリースだそうです。CD販売数3位、その他はランク圏外で総合順位はこの位置に。オリコンでは初動売上4万5千枚で3位初登場。前作「愛傷」の初動1万8千枚(9位)より大幅アップ。

また今週、先週ベスト10入りしたKing Gnu「Stardom」についてCD販売数が加味されています。ただ、順位は8位から5位にアップと思ったより伸び悩み・・・。オリコンでは初動売上2万7千枚で5位初登場。前作「カメレオン」の2万3千枚(2位)より若干アップ。2022 NHKサッカーテーマ曲で、あれだれW杯で盛り上がっている割には、思ったほど売れていない感じも・・・。

続いてロングヒット曲ですが、まずAdo「新時代(ウタ from ONE PIECE FILM RED)」は5位から7位にダウン。You Tube再生回数も6位から10位にダウン。一方、ストリーミング数は6週連続の4位となっており、まだまだ根強い人気も感じます。これでベスト10ヒットは連続26週になりました。

なとり「Overdose」は今週も先週から変わらず9位をキープ。またストリーミング数は今週も3位をキープしており、これで6週連続の3位に。ベスト10ヒットは連続11週となりました。

一方、YOASOBI「祝福」は7位から10位にダウン。これでベスト10ヒットは連続9週になりましたが、後がなくなりました。ただダウンロード数は先週から変わらず5位、ストリーミング数は6位から7位にダウンしていますが、まだまだ強さを感じます。来週、ふんばりを見せるのでしょうか?

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2022年12月 6日 (火)

50年前の日本ロック黎明期の雰囲気を伝える

Title:OZ DAYS LIVE '72-'73 Kichijoji The 50th Anniversary Collection

60年代にフィードバックノイズを前面に押し出した圧巻のサウンドが他を圧倒。伝説的バンドとして今なお語り継がれる裸のラリーズ。公式音源がほとんど世に出回らなかったことから、カルト的な人気も博ていた彼らでしたが、今年になって公式音源が正式に再発。先日、ここでもその音源を紹介しました。そして、こちらもそんなラリーズ音源再発に呼応する形でリリースされた音源。1972年から1973年という短い間でしたが、吉祥寺にあったライブハウス「OZ」の音源を収録した全3枚組となるオムニバスアルバムで、そのうち、裸のラリーズの音源が10曲にわたり収録されています。

この「OZ」というライブハウス、短い間ではあったものの、その間、裸のラリーズ、南正人、久保田麻琴と夕焼け楽団、カルメン・マキ&OZ、四人囃子、安全バンド、クリエイション、頭脳警察などなど、日本のロック黎明期を飾るミュージシャンたちが数多く演奏したことでも知られる伝説のライブハウスで、本作は、もともと1973年にレコード盤でリリースされたアルバム。その後、CDで再発されたのですが、廃盤となっていたところ、このたび「50周年記念盤」として再発されたものです。

全3枚組のアルバムで、Disc1から2にかけて、裸のラリーズの音源が10曲、Disc2に、南正人の音源が4曲、Disc3には都落ちの音源が3曲、アシッド・セブンの音源が7曲という構成となっています。さらに100ページに及ぶブックレットがついてきており、当時の雰囲気を伝える貴重な写真がついているほか、「OZ」の関係者による対談を収録した記事がついてきており、当時の様子を知ることが出来る内容になっています。

まずなんといっても注目されるのは裸のラリーズの音源ですが、まず冒頭の「OZ Days」からして、いきなりフィードバックノイズでガツンと脳天をかち割られるようなスタートとなっています。その後の楽曲については、先日紹介した裸のラリーズのアルバムのように、フィードバックノイズの洪水が押し寄せる・・・といった感じではないものの、かなり荒々しくヘヴィーなバンドサウンドは今聴いても迫力があり、50年も前の音源とは信じられないほど。こちらに収録された音源ではサイケデリックバンドというよりは、フォーキーなメロディーをバックにヘヴィーなバンドサウンドを繰り広げるハードロックバンドというイメージが強くなっているのですが、しっかりと裸のラリーズのすごさを感じされる音源にはなっていました。

南正人はフォークシンガーというイメージが強く、この並びで収録されるのはちょっと意外性があったのですが、「海が見えるあの丘へ」では力強いロックのサウンドをしっかりと聴かせてくれています。全体的にはフォークの色合いも強かったものの、裸のラリーズの次に並んでいても違和感ない作品を聴かせてくれていました。

あと2組は今回、音源を聴くのはもちろん、名前もはじめて聴いたバンド。都落ちは60年代ロックンロールのカバー。これはこれでカッコいいのですが、特に特色も感じないロックンロールそのままのカバーなだけに、他と比べるとちょっと物足りなさを感じてしまう印象も。最後のアシッド・セブンもなかなか興味深く感じられるバンドで、かなり骨太で泥臭さを感じさせるサウンドとボーカルを主軸としたガレージロックバンド。特に圧巻だったのが23分にも及ぶ「風よ吹きまくれ涙は枯れる光の中に」で、哀愁たっぷりのメロディーラインを聴かせつつ、サイケデリックなバンドサウンドでリスナーを圧倒するような楽曲。非常に個性を感じさせるバンドでした。

一方、再発盤の目玉のひとつであるブックレットの方ですが・・・こちらは正直、ちょっと残念な内容でした。「100ページに及ぶブックレット」という売り文句だったのですが、その大半は英訳版に割かれており、対談シーンはわずか20ページ程度。往時を彷彿とさせる写真の数々は貴重でしたし、対談で語られる数々の証言も貴重ではあるものの、やはり全体的には少々、物足りなさも否めませんでした。

収録曲全体としては、やはり裸のラリーズが頭2つくらいとびぬけている感じ。今の耳で聴いても非常にカッコよさを感じるものがあります。ただ、それ以外のミュージシャンについても、これだけカッコいいバンドが、50年も前の日本のライブシーンで活動していたのか、と驚かされるものもあり、全3枚組、非常に聴きごたえのあるオムニバスアルバムとなっていました。期待していたブックレットはちょっと残念でしたが、それを差し引いてもお勧めしたい、日本ロック黎明期のすごさを感じさせる作品でした。

評価:★★★★★

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2022年12月 5日 (月)

前作の方向性を踏襲

Title:The Car
Musician:Arctic Monkeys

Arctic Monkeysの前作「Tranquility Base Hotel & Casin」は、まさに賛否両論の異色作といっていい1枚でした。いままでのガレージロック路線が一転、オールドスタイルのムーディーな作風となり、ファンの間でも賛否両論を巻き起こすような作品となりました。本作は、そこから約4年5ヶ月ぶりとなるとなるニューアルバム。今回の作品はどのような方向性にシフトするのか、注目を集めるアルバムとなりました。

そして、結論から言うと、基本的には前作の方向性を踏襲したアルバムに仕上がっていました。しんみり聴かせるムーディーなアルバム。アルバムの1曲目「There'd Better Be A Mirrorball」のイントロからして、ストリングスとピアノでムード感たっぷりに聴かせるスタート。この1曲目のイントロから、もうリスナーにとってはどんなアルバムになるのか、予想の出来る作品になったのではないでしょうか。

そんな訳で、前作と同じ方向性のムード音楽を聴かせるスタイルの今回のアルバム。もっと言ってしまえば、このムード音楽という方向性がより強くなった作品にようにも感じます。続く「I Ain't Quite Where I Think I Am」はギターリフが入るのですが、非常にムーディーに聴かせるサウンドで、さらにストリングスも重なってムード音楽の雰囲気がさらに高まっています。さらに「Jet Skis On The Most」も同様に、ギター、ピアノそしてストリングスでムーディーな雰囲気を醸しつつ、しんみりゆっくり歌い上げるボーカルがメランコリックな雰囲気にさらに拍車をかけています。

タイトルチューンの「The Car」もストリングスで伸びやかに聴かせるムード感たっぷりのナンバー。エレピも入ってしんみり聴かせる「Big Ideas」やアコギアルペジオでメランコリックたっぷりの「Mr Schwartz」、ラストはストリングスが分厚く重なるサウンドが耳を惹く「Perfect Sense」で締めくくり。最後までストリングスやピアノを多用したムーディーな作風の曲が並びました。

前作同様、パッと聴いた感じだと地味な印象を受ける本作。ただよくよく聴くと、メロディーラインの美しさが耳を惹くナンバーになっていた・・・というのも前作と同様でした。今作は前作のように、ヘヴィーなバンドサウンドを聴かせるような曲もなく、一貫してしんみりとムーディーな雰囲気で聴かせる曲が並んでいます。前作の方向性を確固たるものとした作品と言えるかもしれません。

ただ結果としてアルバム全体としてちょっと似たようなタイプの曲が並んでしまった、といった印象は否めません。バリエーションという観点からすると、少々物足りなさを覚えてしまうという点は残念ながら否定できませんでした。また、同時に前作から同じ方向性のアルバムが続いただけに、やはりこちらもちょっとマンネリ気味なのは否めない部分も・・・。もちろん、そのメロディーラインの良さにより、しっかりと聴けるアルバムになっていたと思うのですが、美メロだけで突き通すとしてはちょっと物足りなさも感じてしまいます。

もし前作の前にこちらのアルバムがリリースされたら、傑作アルバムという評価になるのでしょうが、そういう意味で惜しさを感じるアルバムだったように思います。この2枚のムード歌謡路線のアルバムが続き、次のアルバムは再びガレージロック路線に回帰するのか、それとも・・・。今後の彼らの方向性に注目したくなる作品でした。

評価:★★★★

ARCTIC MONKEYS 過去の作品
Humbug
SUCK IT AND SEE
AM
Tranquility Base Hotel & Casin
Live at the Royal Albert Hall


ほかに聴いたアルバム

¡Ay!/Lucrecia Dalt

コロンビア出身で、現在はベルリンを拠点に活動している実験音楽家による新作。実験音楽といっても、彼女の出自であるラテンの音楽を取り入れつつ、ムーディーなメロディーラインを聴かせる作風。サイケデリックな要素や実験音楽的な要素も随所に感じるものの、一方ではムーディーな作風が意外と聴きやすさも感じられる作品に仕上がっていました。

評価:★★★★

blueblueblue/Sam Gendel

今年に入って早くも2枚目のアルバムとなるマルチ・インストゥルメンタル奏者、サム・ゲンデルのニューアルバム。昨年も複数枚のアルバムをリリースしており、そのワーカホリックぶりが目立ちますが、この最新アルバムは江戸時代に発展した日本の伝統的な刺しゅうである「刺し子」の模様にちなんだ作品となっており、曲名が、その模様の名称となっています。ただ、楽曲自体は「和風」というイメージはなく、ギターとサックスをベースにしつつ、ミニマルテイストのサウンドを静かに聴かせてくれます。サウンドにはフリーキーさを感じつつも、基本的には郷愁感を覚えるようなサウンドで、いい意味での聴きやすさも感じます。ただ、これまで聴いた彼のアルバムに比べると、新しいアイディア的な要素は薄めで、多作ゆえに全体的なクオリティーが若干下がってしまっているような感じも・・・。もうちょっと制作は絞ったような方がいいような・・・。

評価:★★★★

Sam Gendel 過去の作品
Satin Doll
AE-30
Superstore

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2022年12月 4日 (日)

名曲揃いの2時間!

PIXIES JAPAN TOUR 2022

会場 ダイアモンドホール 日時 2022年11月25日(金)19:00~

Pixies1

7月のレキシ以来、ちょっと久々となるライブに足を運んできました。今回行ってきたのは、ちょっと久々となるPIXIESのライブ。オルタナ系ロックバンドの先駆的存在として一部で熱烈な支持を得て、その後のシーンに大きな影響を与えたバンド。当初の活動期間は7年ほどと短く、「伝説のバンド」となっていたのですが、2004年にまさかの再結成。その直後の来日公演にももちろん足を運びました。ただ、その後、断続的に活動を続け、ちょくちょく日本にも来日。アルバムも何枚かリリースしたのですが、作品的には過去の貯金でなんとか維持できるような、かつての傑作と比べると・・・というレベルの作品だったので、正直、ここ最近は若干、気持ち的に遠のいていたのですが、今年リリースしたアルバム「Doggerel」は久々に傑作と言えるだけの充実作となっており、その直後の来日公演。日程的にも足を運べる日程であったため、久々(確か2010年のサマソニ)以来、彼らのライブに足を運んできました。

会場はダイアモンドホール。チケットは売り切れはしなかったようですが、コロナ禍の入場制限も解除され、人数的にはほぼ満員という熱気あふれる会場。世代的には確かに私と同世代も目立つのですが、20代30代という若い世代もチラホラ見受けられ、PIXIESが後の世代にも大きな影響を与えていることをあらためて実感させられました。

直前まで仕事があったので会場に入ったのは5分程度の遅刻。ただ、通常、この手のライブは10分程度遅れてはじまるのが普通。外タレでは下手すれば30分程度遅れることもよくあるケースなだけに、まだはじまっていないだろう、と高をくくっていたのですが・・・会場入りすると、既にホール内からは爆音が・・・。なんと、既にライブはスタートしていました!

Pixies2

4人のみのシンプルなステージ。ブラック・フランシスは基本的にアコースティックギターをかかえてのシャウト。全員熟年のバンドなのですが、年齢を感じさせない迫力のあるステージを見せてくれます。

「Doggerel」リリース直後のステージなのですが、楽曲的には過去のベスト的なセレクトで出し惜しみなしのセットリスト。前半から「Gouge Away」やさらに「Debaser」では大きな歓声も。さらに「Hey」や「head on」、「Bone Machine」などの代表曲が続々と続いていきます。

Pixies3 

紅一点のベーシストはパズ・レンチャンティン。キム・ディールが脱退してしまったのは非常に残念なのですが・・・。キム・ディール脱退後のメンバーで彼らのライブを見るのは今回はじめて。ただ、しっかりキム・ディールの後釜のコーラスラインを聴かせてくれていました。

中盤には「Doggerel」からのナンバーが並びました。「Vault of Heaven」「Who's More Sorry Now?」「There's A Moon On」「The Lord Has Come Back Today」と続きます。個人的には、最新アルバムからのナンバーも気に入っただけに、ここらへんの曲がきちんと聴けたのはうれしいところ。往年のナンバーと並んでも、見劣りはありません。

とはいえ、正直、最新アルバムからの曲と往年のナンバーでは明確に客席の反応が違うのは致し方ないところでしょうか・・・「Doggrel」からのナンバーに続き、「Here Comes Your Man」のイントロがスタートした段階で、再び大歓声があがります。個人的にも、やはり大興奮してしまったのですが。

Pixies4

最後までメンバー全員、楽器の持ち替えもなく、シンプルにステージは進みます。基本的にMCもなしで、途中、ほとんど休憩らしいシーンもなく、彼らの力強い演奏が息つく暇なく続いていくというステージに。ギミック全くなしというステージに彼ららしさを感じます。

後半も「Monkey Goes To Heaven」「Crackity Jones」「Wave of Mutilation」「Where is My Mind?」さらに「La La Love Song」と名盤「Dollitle」からのナンバーを中心に、代表曲が並ぶ構成になっており、会場も興奮のるつぼに。みんな暴れるというよりも、やはり彼らの奏でる素晴らしいメロディーラインと迫力あるサウンドに身体を揺らす、そんなステージになっていました。

ラストはおそらく、ここ最近のライブのラストナンバーであるNeil Youngのカバー「Winterlong」(だと思う)で締めくくりとなりました。

Pixies5

最後はメンバー全員がステージ前に並んで、肩を組んであいさつ。なにげにパズ・レンチャンティン含めてメンバー4人、仲よく演っているんだな、ということを感じます。MCなしのステージで、今回はアンコールもなし。40曲近いというフルボリュームで、終了時間が9時というピッタリ2時間のステージが幕を下ろしました。

そんな訳で久々となるPIXIESのステージでしたが、率直に言って、いままで見た彼らのステージの中でベストだったようにすら感じます。特にメンバー4人の相性がいいのでしょう。非常に息の合ったステージを見せてくれました。シンプルに曲を並べただけの構成というのもPIXIESらしさを感じ、しっかりと楽曲で勝負するという彼らのスタンスも感じさせます。久々に彼らのライブに足を運んで大正解!PIXIESの魅力を再認識できた2時間でした。

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2022年12月 3日 (土)

原坊の世界をしっかり満喫

Title:婦人の肖像(Portrait of Lady)
Musician:原由子

ご存じサザンオールスターズのキーボーディストであり、桑田佳祐の奥さんでもある原由子のニューアルバム。2010年にベストアルバム「ハラッド」を、2002年にはカバーアルバム「東京タムレ」をリリースしているものの、純粋なオリジナルアルバムとしては1991年の「MOTHER」から実に約31年ぶりとなるニューアルバムとなりました。これだけオリジナルアルバムの間隔が空いたというのも驚きですが、個人的に、その31年も前のアルバム「MOTHER」をリアルタイムで聴いていたというのも軽くショックなのですが・・・。

今回のアルバムは、サザンオールスターズのデビュー44周年となる2022年6月25日にリリース。桑田佳祐の全面バックアップの下に作成されたアルバムで、前作「MOTHER」では原由子の曲と桑田佳祐の曲、それぞれ別々だったのに対して、今回のアルバムは両者の共作が目立ちます。サザンの44周年の節目(・・・なのか?)なのですが、サザンとしての活動はなく、原由子の新作がリリースされたのですが、桑田佳祐自身は「代理・サザンオールスターズのニューアルバムだと思っていただきたい」と語っているようで、桑田佳祐のバックアップぶりも目立ちます。

ただ、そんな新作ですがサザンのニューアルバムとは全く異なる、しっかりと原坊らしさが表に出た、彼女らしいアルバムに仕上がっていたと思います。ストリングスとシンセで高らかにアルバムのスタートを告げるような「千の扉~Thousand Doors」からスタート。桑田佳祐が唯一、楽曲制作に全く関わっていない「Good Times~あの空は何を語る」は、現在のロシアウクライナ情勢を反映させた、ちょっと哀しげな雰囲気の歌詞も印象的なのですが、アコースティックに聴かせる郷愁感あるサウンドは、明確にサザンの世界とは異なるものを感じます。

「旅情」もタイトル通り、彼女らしい郷愁感あふれるナンバー。「ぐでたま行進曲」も、こちらもタイトルから想像できる通り、サンリオのキャラクター「ぐでたま」をモチーフとした曲で、「ぐでたま」が登場する実写ドラマの主題歌だそうで、こちらも原坊らしさを感じさせる明るいキッズソングとなっていますし、先行シングルとなった「ヤバいね愛てえ奴は」も、ストリングスとアコースティックギターで暖かく聴かせる彼女らしい楽曲に仕上がっています。さらにラストを飾る「初恋のメロディ」も切なく爽やかな郷愁感持って聴かせるラブソングとなっており、こちらも彼女らしさが表れている印象を受けました。

一方で、「スローハンドに抱かれて(Oh Love!!)」「夜の訪問者」は昭和歌謡の要素が強く、いかにもサザンというか、桑田佳祐らしさを感じる曲・・・といっても、「スローハンドに抱かれて(Oh Love!!)」の方は原由子作曲による曲で、桑田佳祐からの影響というか、やはり夫婦らしく、音楽的にはやはり共通項も多いんだろうな、とも感じさせる楽曲になっています。

全体的には、「代理・サザンオールスターズのニューアルバム」という桑田佳祐のアピールと反して、しっかりと原由子らしい作品となっています。かつ前作「MOTHER」の頃の作品は、もっとかわいらしく、「女の子」っぽさを感じさせる曲も目立ったのですが、今回のアルバムはしっかりと「大人の女性」を感じさせるような、しっかりと聴かせる曲が並んでいます。今の彼女を反映させた、等身大の作品と言ってもいいでしょう。

ただ、その上で気になるのが、アルバム全体としてはパワー不足を感じてしまいます。確かに原由子は間違いなくボーカリストとしてのシンガーソングライターとしても、しっかりとした実力がありますし、そこに日本を代表するミュージシャンで日本屈指のメロディーメイカーの桑田佳祐がバックアップをつとめるわけですから、楽曲のクオリティーとしては十分なものはあります。しかし、前作「MOTHER」では一度聴いたら忘れられないようなインパクトの強い曲や、原由子の新たな境地を感じさせるような曲もあった反面、今回のアルバムに関しては、正直、楽曲としてのインパクトは薄めで、新たな境地を感じさせるような作品もありませんでした。

良くも悪くも卒なくこなした安定感のあるアルバムだったかな、というのが今回の感想。もちろん、それでも十分楽しめるポップスアルバムなのは間違いないのですが、期待したほどではなかったかな、というのが率直な感想。いいアルバムではあるとは思うのですが・・・。

評価:★★★★

原由子 過去の作品
ハラッド

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2022年12月 2日 (金)

志磨遼平の好むポップソング

Title:戀愛大全
Musician:ドレスコーズ

昨年リリースした「バイエル」以降、約1年4か月ぶりとなるニューアルバム。ただ、オリジナルアルバムとしては前作となる「バイエル」は、ピアノの弾き語りからスタートし、徐々に作品を作り上げていく過程を見せるという、企画モノ的な側面も強かったため、純粋なオリジナルアルバムとしては2019年の「ジャズ」以来、ということになるのでしょうか。もっとも、その間にもベスト盤をリリースしたり、音楽劇のサントラ盤をリリースしたりと、かなり積極的な活動が目立ちます。

ドレスコーズというと、ご存じの通り、現在は志磨遼平のソロプロジェクトなのですが、そのため彼の音楽的な嗜好が強く反映される内容になっています。特にドレスコーズの初期は4人組バンドで、ロック色が強かったのですが、徐々にポップ色の強い作風に移行。途中、ファンクなどの要素が加わることもあったのですが、ここ最近はよりポップ、それも60年代や70年代あたりのレトロでキュートなポップソングの影響を受けたような作風の曲が目立ち、メロディーラインの甘さをより前に押し出した曲調が目立っています。

今回のアルバムも、まさにそんなドレスコーズのポップな側面がさく裂したアルバム。まずそもそも「戀愛大全」というアルバムタイトル自体から、とてもスィートでキュートな内容であることを彷彿とさせます。そんな期待を持ちつつアルバムを聴くと、このキュートでポップなメロディーラインを軸としつつ、バラエティーに富んだ作品に仕上がっていました。

まず1曲目「ナイトクロールライダー」は比較的分厚いバンドサウンドが加わった、ロック色の強い作品。ただ、ここにシンセの音色が加わり、ポップなメロディーラインもあり、彼らしいキュートなポップスに仕上がっています。続く「聖者」はモータウンビートの軽快なビートにドリーミーなシンセの音色が加わった、これまたキュートなポップチューン。さらに「やりすぎた天使」もウォール・オブ・サウンズの影響を受けた分厚くドリーミーなサウンドで聴かせるポップな楽曲に仕上がっています。

さらにバラエティー富んだ曲調は続きます。メロウさを感じ、シティポップテイストの強い「夏の調べ」にシューゲイザー的なノイズが楽曲を覆うドリームポップチューン「ぼくのコリーダ」、同じくドリーミーなサウンドが大きな魅力となっていながら、切ないメロも耳を惹く「エロイーズ」、軽快なシンセポップが80年代っぽい「ラストナイト」、ネオアコ的な雰囲気のあるキュートなギターポップ「惡い男」、分厚いサウンドに哀しげなメロが印象的な「わすれてしまうよ」と続き、最後はしんみり聴かせるバラードナンバー「横顔」で締めくくります。

そんな訳で、1曲1曲バラエティーに富んだ構成を見せる今回のアルバム。ただもっともどの曲も、分厚いドリーミーなサウンドでコーティングされており、志磨遼平ならではのキュートなメロディーラインを聴かせてくれるということでしっかりと統一感があります。ドレスコーズが志磨遼平のソロプロジェクトになってから、彼は自由に好きなようにポップソングを奏でていましたが(それはバンド時代も一緒だったかも?)、その自由度がさらに増した感のある、志磨遼平の好むポップソングがアルバム全体に繰り広げられた作品になっていました。

アルバムの構成として、10曲入り38分という長さもポップアルバムとしてちょうどよい長さ。最後までキュートな志磨遼平の音楽の世界を無心に楽しめる傑作に仕上がっていました。ここ最近、ポップ嗜好が強かった彼が、ある意味、行き着いたアルバムと言えるかもしれません。一方で、なにげに「バンド幻想」も抱いている彼は、それだけにひょっとしたら次回作は、バンドという方向性に戻る可能性も??

評価:★★★★★

ドレスコーズ 過去の作品
the dresscodes
バンド・デ・シネ
Hippies.E.P.

オーディション
平凡
ジャズ
バイエル(Ⅰ.)
バイエル(Ⅱ.)
バイエル
ドレスコーズの音楽劇《海王星》


ほかに聴いたアルバム

HELLO/ROTTENGRAFFTY

ロットン4年ぶりのニューアルバム。ここ数作はエレクトロサウンドを取り入れた曲も目立ったのですが、本作はヘヴィーなバンドサウンドを前面に押し出した曲が並びます。また、メランコリックなメロディーラインに良くも悪くもJ-POP的なものを感じるバンドですが、今回はさらに推し進めて哀愁感ただよう、ともすれば「歌謡曲」的なメロディーラインの曲に。ある意味、ロットンらしさをより前面に押し出したアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★

ROTTENGRAFFTY 過去の作品
LIFE is BEAUTIFUL
PLAY
You are ROTTENGRAFFTY

radio JAOR ~Cornerstones 8~/佐藤竹善

SING LIKE TALKINGのボーカリスト、佐藤竹善がライフワーク的に続けているカバーアルバム企画第8弾。今回は、「架空のFMラジオ局」をモチーフに、主に70年代~80年代の邦楽を取り上げています。公式サイトの紹介では「世界的に注目が集まる」と書いているのですが、それはもうちょっと洋楽テイストの強いシティポップ系の曲で、こちらで取り上げられているのは、確かにシティポップにカテゴライズされる曲ですが、もうちょっと歌謡曲寄りの作品が並んでいます。ただ、個人的にはKANの「カレーライス」が取り上げられているのが、そのセレクトといい、ファンとしてはうれしい感じ。また、2009年にスマッシュヒットしたコーヒーカラーの「人生に乾杯を!」をクリスマスバージョンとしてリメイクしてカバー。こちらも懐かしく楽しめました。全体的にはジャジーやソウル的な要素をより強めた大人の雰囲気漂うカバーに仕上げており、原曲の目新しい解釈というものはないものの、佐藤竹善らしい色を加えたカバーに仕上がっています。良い意味で安心して楽しめる作品です。

評価:★★★★★

佐藤竹善 過去の作品
ウタジカラ~CORNER STONE 4~
静夜~オムニバス・ラブソングス~
3 STEPS&MORE~THE SELECTION OF SOLO ORIGINAL&COLLABORATION~
Your Christmas Day III
The Best of Cornerstones 1 to 5 ~The 20th Anniversary~
My Symphonic Visions~CORNERSTONES 6~feat.新日本フィルハーモニー交響楽団

Little Christmas
Don't Stop Me Now~Cornerstones EP~
Rockin’ It Jazz Orchestra Live in 大阪~ Cornerstones 7

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2022年12月 1日 (木)

ソロ35周年のベスト盤が1位獲得

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週はソロデビュー35周年のベテランシンガーのベスト盤が1位獲得です。

今週1位は桑田佳祐「いつも何処かで」。先日、原由子のソロアルバムがリリースされたばかりですが、夫婦そろってのアルバムリリースとなります。こちらは2枚組のベストアルバムで、桑田佳祐ソロ作だけではなく、KUWATA BAND名義の曲も収録。ベスト盤としては2012年の「I LOVE YOU-now&forever-」以来、10年ぶり。その10年前には同じくベスト盤「TOP OF THE POPS」、さらにその10年前には「フロム イエスタデイ」をリリースしていますので、綺麗に10年毎にベスト盤をリリースしていることになります・・・ちょっとリリースしすぎでは?CD販売数、ダウンロード数、PCによるCD読取数いずれも1位獲得。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上15万4千枚で1位獲得。直近のミニアルバム「ごはん味噌汁海苔お漬物卵焼き feat.梅干し」の初動9万7千枚(1位)からはアップ。ベスト盤としての前作「I LOVE YOU-now&forever-」の初動43万2千枚(1位)からは大きくダウンしています。

2位は先週1位のSEVENTEEN「DREAM」がワンランクダウンながらも今週もベスト3をキープしています。

3位は宮本浩次「秋の日に」が初登場。ご存じエレファントカシマシのボーカリストによる6曲入りのカバーアルバム。CD販売数及びダウンロード数3位、PCによるCD読取数20位。オリコンでは初動売上1万9千枚で3位初登場。前作「縦横無尽」の初動2万9千枚(2位)よりダウン。大ヒットしたカバーアルバム「ROMANCE」に続くカバー作で、「ROMANCE」が売れただけに、「カバー曲を歌うミュージシャン」路線にシフトしているような方向性に違和感を覚えてしまうのですが・・・。これでいいのか?

続いて4位以下の初登場ですが、4位には俳優としても活躍している松下洸平「POINT TO POINT」がランクイン。フルアルバムとしては本作が1枚目となります。CD販売数4位、ダウンロード数7位、PCによるCD読取数38位。オリコン初動売上1万1千枚(4位)は前作「あなた」(7位)から横バイ。

6位には韓国の男性アイドルグループONEUS「Dopamine」がランクイン。CD販売数5位、その他は圏外となります。オリコンでは初動売上5千枚で8位初登場。日本では本作がデビューアルバムとなります。

7位初登場は女性アイドルグループTEAM SHACHI「舞いの頂点を極めし時、私達は如何なる困難をも打ち破る」がランクイン。自主レーベル「ワクワクレコーズ」立ち上げ後、初となるアルバム。CD販売数6位、ダウンロード数53位。オリコンでは初動売上7千枚で6位初登場。前作「TEAM」(6位)より横バイ。

初登場最後は10位にASKA「Wonderful world」。CD販売数8位、PCによるCD読取数24位。薬物使用による逮捕から8年。最近では地上波にも登場するようになり、活発な活動も目立つようになった彼ですが、ただ、薬物使用時の周りに対する言動や、陰謀論まみれのTwitterのつぶやきからして、個人的には音楽と人柄は切放して考えるべき、という考えの持ち主なのですが、ここまで来ると、正直、彼の音楽を到底聴く気にはなれません・・・。というか、あれだけ陰謀論にまみれた主張をする人を、あんなに容易に地上波に出していいの??とすら思うのですが。オリコンでは初動売上6千枚で7位初登場。前作「Breath of Bless」の7千枚(14位)よりダウン。

続いてロングヒット盤ですが、まずは松任谷由実のベスト盤「ユーミン万歳!~松任谷由実50周年記念ベストアルバム~」が今週5位にランクインし、8週連続のベスト10ヒットとなりました。ここ数週、ランクダウン傾向とはいえ、3位⇒4位⇒4位⇒5位とその下落は非常にゆるやかで根強い人気を感じさせます。

一方、Ado「ウタの歌 ONE PIECE FILM RED」は先週の5位から8位に再びダウン。ただ、ここに来てダウンロード数が4位から2位に再びアップしています。これで16週連続のベスト10ヒットとなりました。

また、先週までロングヒットを続けていたSnow Man「Snow Labo.S2」は今週11位にダウン。ベスト10ヒットは連続9週でストップとなりました。

今週のHot100は以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2022年11月30日 (水)

逆転!

今週のHot100

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ここ数週、ヒゲダンと米津玄師のデッドヒートが繰り広げられていましたが、今週は米津が見事逆転しています。

米津玄師「KICK BACK」は長らくヒゲダンの後塵を拝していましたが、今週、見事1位を獲得。6週ぶりの1位返り咲きとなりました。もっとも理由ははっきりしており、今週、「KICK BACK」のCDシングルがリリースされ、その売上が加わった影響。CD販売数1位、PCによるCD読取数3位がランキングに加わり、1位獲得となっています。ちなみにオリコン週間シングルランキングでも初動売上30万枚で1位初登場。前作「M八七」の初動22万8千枚(2位)よりアップしています。

一方、Official髭男dism「Subtitle」は先週の1位からワンランクダウンの2位。ただ、ダウンロード数はヒゲダン2位、米津3位、ストリーミング数もヒゲダン1位、米津2位とヒゲダンが上回っています。ただし、You Tube再生回数は今週、米津玄師が3位から1位にアップした一方、ヒゲダンは2位から3位にダウンしており、両者が逆転しています。

3位にはKing&Prince「ツキヨミ」が先週の7位からランクアップし、2週ぶりのベスト3返り咲き。特にCD販売数が今週4位から3位にアップしています。

続いて4位以下の初登場曲ですが、4位に≠ME「はにかみショート」がランクイン。指原莉乃プロデュースによる声優アイドルグループ。CD販売数2位、PCによるCD読取数38位、Twitterつぶやき数13位。オリコンでは初動売上12万4千枚で2位初登場。前作「す、好きじゃない!」の初動9万2千枚(2位)からアップ。

6位にはBTSのメインボーカルJung Kookによるソロ「Dreamers」がランクイン。FIFAワールドカップカタール2022公式テーマソング。配信限定のシングルで、ダウンロード数1位、ストリーミング数21位、ラジオオンエア数10位、Twitterつぶやき数43位で、総合順位はベスト10入りを果たしています。

8位初登場はKing Gnu「Stardom」が先週の16位からランクアップし、ベスト10初登場。こちらは2022NHKサッカーテーマソング。4年前のワールドカップ時のテーマソングはSuchmosだったので、なんとなく系統は似ている点、同じ人がセレクトしているのでしょうか?ただ、いろいろと物議をかもした前回と比べると、今回はすんなり受け入れられているようです。まあ、曲調はかなり異なりますが・・・。11月30日リリース予定のシングルからの先行配信。ダウンロード数4位、ストリーミング数17位、ラジオオンエア数2位、Twitterつぶやき回数97位、You Tube再生回数31位。来週はCD販売数が加わるので、グッと順位はあがりそう。

最後10位にはハロプロ系女性アイドルグループJuice=Juice「全部賭けてGO!!」が初登場。CD販売数4位、ダウンロード数56位、ラジオオンエア数25位、PCによるCD読取数42位、Twitterつぶやき数64位。オリコンでは初動売上3万8千枚で5位初登場。前作「プラスティック・ラブ」の4万6千枚(3位)からダウンしています。

一方、ロングヒット曲は、まだまだ強いAdo「新時代(ウタ from ONE PIECE FILM RED)」が今週はここに来て、6位から5位にアップ。ストリーミング数が5週連続で4位をキープしているほか、You Tube再生回数が8位から6位にアップしています。これで25週連続のベスト10ヒットとなりました。

7位にはYOASOBI「祝福」がランクインし、これでベスト10ヒットを連続8週に伸ばしています。特にダウンロード数5位、ストリーミング数6位と上位をキープ。ただここ3週は4位⇒5位⇒7位と下落傾向となっています。

なとり「Overdose」は8位から9位にさらにダウンと下落傾向。ただ、ストリーミング数は今週も3位をキープし、これで5週連続の3位となりました。こちらはベスト10ヒットを連続10週に伸ばしています。

そしてTani yuuki「W / X / Y」は今週11位にダウンと、ベスト10ヒットはとりあえず通算32週でストップ。ただ、ストリーミング数はこちらも6週連続の5位となっており、まだベスト10返り咲きをうかがう位置にいます。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2022年11月29日 (火)

時代を超えた伝説のバンド

裸のラリーズというバンド名、ある程度、日本のロックに詳しい方ならご存じの方も多いのではないでしょうか。ギターヴォーカルの水谷孝を中心に、1960年代に結成。水谷孝を中心にメンバーが流動的ながらも1990年代まで活動を断続的に活動を続けていましたが、その大きな特徴は、これでもかというほど強烈なフィードバックの嵐を繰り広げるギターを中心としたサイケデリックな作風。唯一無二なそのサウンドを奏でるバンドでありつつ、一方で活動がアンダーグラウンドであったため、その実像については謎な部分が多く、さらに公式にリリースされたアルバムが1991年頃にリリースされた、わずか3枚のアルバムのみ。それもどうも水谷孝の意向で、リリース枚数は限定されたようで、インターネットオークションでは非常に高値で売却されていた「幻のアルバム」となっていました。

長らく「伝説のバンド」として神格化されていた裸のラリーズでしたが、昨年10月、突如、オフィシャルサイトがオープン。その中で水谷孝が2019年に死去したことを示唆するような記載がなされており(後に事実と確認)、さらにオフィシャル音源のリリースを拒んでいた水谷孝の逝去の影響か、このたび3枚のオリジナルアルバムが復刻。今回、さっそく伝説のバンドの3枚のアルバムを聴いてみました。

Title:67-’69 STUDIO et LIVE
Musician:裸のラリーズ

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まず1枚目のこのアルバムですが、アルバムの冒頭でいきなり大きくショックを受けるのではないでしょうか。いきなり強烈なインダストリアルメタル張りのヘヴィーなノイズからスタート。さらに1曲目「Smokin' Cigarette Blues」はまさにインダストリアルを彷彿とさせるような強烈なビートとノイズをギターを中心としたバンドサウンドで生み出しており、その音の洪水に圧倒されます。続く「La Mai Rouge」も不穏な雰囲気のギターノイズが展開されるダークなナンバー。独特なダークなサウンドが繰り広げられます。

ただ、もうひとつ大きな特徴だったのが、そんな圧倒的なフィードバックノイズの洪水を聴かせつつも、一方では意外とメランコリックなメロディーの歌モノも聴かせているという点で、この2曲に続く「眩 暈 otherwise My Conviction / Vertigo otherwise My Conviction」はひとつの展開。ヘヴィーなギターサウンドをバックにしつつ、メロディーラインは至ってメランコリック。郷愁感のあるメロディーラインは、むしろ典型的な60年代の日本のロックバンドのようなスタイルを感じさせます。この強烈なフィードバックノイズのサイケなサウンドで楽曲を埋め尽くしながらも、一方では、むしろ60年代フォークの影響すら垣間見れるメランコリックなメロディーラインも流れているというある種の奇妙なバランスこそが裸のラリーズのひとつの魅力のように感じます。

評価:★★★★★

Title:MIZUTANI / Les Rallizes Dénudés
Musician:裸のラリーズ

Rallizes2

そして、そのメランコリックという側面が強調されたのが、この2作目のアルバム。フィードバックノイズの嵐だった1枚目とはうって変わって、1曲目「記憶は遠い」から、アコースティックギターをバックにフォーキーな作風になっており、しっかりと歌を聴かせる楽曲に。続く「朝の光 L'AUBE」も、美しい鐘のサウンドにアコースティックギターのサウンドをバックに、切なくメランコリックに歌い上げる曲調が特徴的。その後も同様にメランコリックな歌を聴かせる曲が続き、このアルバムの前半だけ聴かせると、60年のフォークグループとすら感じられる方もいるかもしれません。ただ一方で歌詞の世界にはどこかサイケデリックな要素が感じられる部分も強く、裸のラリーズらしい独自性もしっかりと感じられます。

一方で後半、20分以上にも及び「The Last One」では最初は静かなギターでスタートするものの、徐々にダイナミックに展開。後半の繰り返させるギターリフと轟音に軽くトリップしそうな感じすらするサイケな作品に。後半のギターリフはミニマル的な要素も感じさせます。ラストの「黒い悲しみのロマンセ otherwise Fallin’ Love With」もフィードバックノイズを奏でるダークなギターをバックに哀愁たっぷりの歌を聴かせる楽曲に。全体的に水谷孝の内面を聴かせるような、単なる轟音を鳴り響かせるだけではないラリーズの魅力を感じさせるアルバムに仕上がっています。

評価:★★★★★

Title:'77 LIVE
Musician:裸のラリーズ

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ある意味、3作のうち、裸のラリーズらしい強烈さが一番あらわれているのがこの作品かもしれません。1977年3月12日に東京の立川市で行われたライブ音源を収録したアルバム。まず特に強烈なのが「氷の炎」で、これでもかというほどのギターのフィードバックノイズが楽曲を埋め尽くします。「夜より深く」も同じく狂暴とも言えるギターノイズが埋め尽くす作品。エフェクトをかけて浮遊感すら感じさせるサウンドは、今のダブの要素も感じさせます。最後を締めくくる「The Last」も強烈なギターノイズからスタート。こちらはギターリフがどこかミニマル的に聴かせる楽曲で、最後の最後までギターノイズで空間を埋め尽くすような楽曲が並びます。

ただ一方で、こちらも意外とメロディーラインのポップスさを感じさせる曲も多く、例えば「夜、暗殺者の夜」などはギターノイズで埋め尽くしつつも、ギターリフが意外とメロディアスにまとまっており、意外とポップという印象を受けるかもしれません。「夜の収穫者たち」も疾走感あるガレージロックの様相もあり、メロディーが意外とメロディアスという印象を受けそうです。

フィードバックノイズの洪水に圧倒されつつ、ただ、これが1977年のライブ音源という事実にあらためて驚かされます。日本国内はもとより、海外に目を向けても、70年代にこれだけ圧倒したギターノイズを奏でるバンドは思い当たりません。今のノイズミュージックの萌芽が70年代ということで、同時代の音源をYou Tubeで聴いたのですが、どちらかというとノイズで埋め尽くすというよりも、実験的にノイズを(ある種恐る恐る)奏でているような印象。ある意味、日本においても世界においても隔絶した存在のバンドだったのではないでしょうか。

フィードバックノイズの洪水に意外とポップなメロディーラインという点で、シューゲイザー系と重ね合わせる向きもあるそうです。シューゲイザー系というと80年代に起こったムーブメントであるため、そこから20年近く前に裸のラリーズという存在が日本にいたことも驚きですが、ただ、個人的にはその両者は似て非なるもの、という印象を受けます。シューゲイザー系は同じフィードバックノイズの洪水でも、こちらは甘いクリームのようにフィードバックノイズを音楽に対して塗りつくし、キュートなメロディーラインを聴かせてドリーミーにまとめ上げています。一方、裸のラリーズはこれが夢ならば完全に悪夢。フィードバックノイズはリスナーの耳に容赦なく攻撃を加えるような狂暴な武器。ある種、リスナーに対しても挑戦を企てるかのような攻撃性のあるサウンドになっており、そのスタンスにおいてシューゲイザー系とは全く異質であることが感じされます。

彼らの楽曲は、時代を超えた今においても、ある種非常に狂暴に聴こえ、その攻撃性は全く失われていません。むしろいまから50年近く前に、このようなバンドが日本で活動していたことに大きな驚きすら感じます。今回の3枚のアルバムの再販で、あらためて裸のラリーズというバンドのすさまじさを多くのリスナーに知らせることが出来た貴重な作品になりました。神格化された伝説は知っていましたが、確かにこれは「伝説」となるには十分すぎるアルバムだったと思います。そのフィードバックノイズの洪水に、聴きながらただただ立ち尽くしてしまう、そんなとんでもないアルバムでした。

評価:★★★★★

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2022年11月28日 (月)

自由度の高いエレクトロの傑作

Title:Cherry
Musician:Daphni

Caribou名義でも活動しているカナダのエレクトロミュージシャン、Dan Snaith(ダン・スナイス)のソロプロジェクト、Daphni(ダフニ)のニューアルバム。Daphni名義のオリジナルアルバムとしては3枚目となるアルバムで、特に2017年にリリースされた前作「Joli Mai」は、各種メディアの年間ベストでも上位にランクインするなど、高い評価を受けるアルバムになりました。

・・・と言っても私自身、彼のアルバムを聴くのは今回がはじめて。どんなアルバムであるのか、よくわらかないまま今回アルバムを聴いてみたのですが、本作に関して、彼自身「このアルバムを統一したり、まとまらせたりするような明確なものは何もない。ただ作っただけなんだ」と語っているようで、実際にアルバム全体として特に統一感もあるわけではない、自由度の高いアルバムに仕上がっていました。

アルバム冒頭の「Arrow」はハウス系のリズミカルなミニマルナンバーになっていますし、続くタイトルチューンの「Cherry」は同じくミニマル系のナンバーなのですが、硬度のあるサウンドが繰り返されるテクノ系の楽曲に仕上がっています。かと思えば続く「Always There」はちょっとエキゾチックなサウンドが入ったメランコリックなナンバーで、1曲目2曲目とは明確に方向性が異なり、まさに自由度の高い作品ならではの展開となっています。

その後もスペーシーなエレクトロチューンの「Crimson」「Arp Blocks」に、ボーカルをサンプリングしてリズミカルに聴かせるミニマルテクノ「Mania」、疾走感あるサウンドにリズミカルなバンドサウンドが加わり、AOR的な様相も感じさせる「Take Two」、エレクトロサウンドにメロウさも感じさせる「Clavicle」に、同じくピアノとサンプリングされたボーカルでメロウさを感じさせる「Cloudy」と続いていきます。

かと思えば終盤はメタリックなビートで力強く聴かせる「Karplus」、ピアノの音色が入って力強いビート感の「Amber」と続き、続き、ラストはピアノを入れて軽快にリズミカルに聴かせる、タイトル通り、将来への希望を感じるような「Fly Away」と続きます。最後まで、前述の彼のインタビュー通り、自由度の高い作品に仕上がっていました。

ただ、統一感が本当にないかと言えば、アルバム全体で言えば、やはりミニマルなサウンドが一つの軸になっています。また、リズミカルな4つ打ちのビートは基本的に良い意味で変なひねりもなく、ポップで聴きやすい作風に仕上がっていた点もひとつの統一軸でしょう。さらにアルバム全体としてメロディアスなメロディーラインがしっかりと流れており、その点もポップで聴きやすいという印象を受けた大きな要素。全体的にいい意味でリスナーを選ばない、比較的広いリスナー層にお勧めできるアルバムになっていたと思います。

高い評価も納得の傑作アルバム。全14曲入り47分程度のアルバムの長さも最後まで楽しむにはちょうどよい長さですし、難しいこと抜きに、そのミニマルなサウンドを最初から最後まで楽しめる作品に仕上がっていました。

評価:★★★★★

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«強烈なビートでインパクトの塊