2018年8月20日 (月)

cero流ダンスミュージック

Title:POLY LIFE MULTI SOUL
Musician:cero

ここ最近のシティポップを巡るある種の「ブーム」ともいえる人気の中、「ブーム」に留まらない確固たる個性を確立しつつ、シーンを推進しているのが彼ら、cero。前作「Obscure Ride」はなんとオリコンチャートでベスト10入りを記録するなどヒットを記録しましたが、本作はなんと最高位4位を記録。前作同様、決して「わかりやすいポップなアルバム」といった感じではないだけにこの人気には驚かされます。

特に前作「Obscure Ride」は「今の時代のブラックミュージックのアルバム」という印象を受けたのですが、今回のアルバムはそこからさらに推し進めて、「今の時代のアルバム」といった表現で単純にカテゴライズされないような作品に仕上がっていたように思います。

前作同様、ジャズやHIP HOPの要素を色濃く取り入れつつも、音楽性の多彩さは前作を上回るように感じます。例えば「魚の骨 鳥の羽根」ではトライバルなサウンドを取り入れていますし、「溯行」はブラジル音楽の雰囲気を感じます。「夜になると鮭は」ではミニマルなサウンドを取り入れていますし、「TWNKL」ではダビーな要素を入れてきています。

さらに今回、初回盤に付属してきた同アルバムのインストを聴いたのですが、こちらのアルバムも実に素晴らしかった!この手のインストアルバムはよくありがちなのですが、正直言うと、アルバムの「補助的」な出来になっているのがほとんど。あくまでも「歌」が入ったアルバムが「主」である、という作品ばかりなのですが、今回のアルバムに関してはインスト版のみで十分作品として通用する出来栄えになっていました。

それだけ彼らのサウンドのクオリティーが高いということでしょうし、さらに特に今回のアルバム、彼らがそのサウンドに強い意気込みを持って作り上げていたということなのでしょう。ただし若干気になるのはそれだけちょっと「歌」の力は弱かったのかな、という点。「Double Exposure」のようなメロウな歌を聴かせる曲もあったのですが、正直なところメロディーラインのインパクトは少々薄いように感じます。

もっともそれは今回のアルバムのマイナス点、というよりもおそらく彼らが「歌モノ」のアルバムを志向したわけではなく、「歌」もあくまでもほかのサウンドと同列に位置しているようなアルバムを作り上げた、ということを意味するだけなのでしょう。もちろん、メロディーのインパクトは弱くても楽曲自体は十分なインパクトを持っていますし、また、明確な「歌モノ」でないアルバムがここまでヒットを記録するあたりにも驚きを感じてしまいます。

また序盤の「魚の骨 鳥の羽根」だけではなく、後半の「レテの子」もトライバルなリズムを軽快に聴かせてくれますし、「Waters」も彼ららしい独特のグルーヴ感を聴かせるダンスチューン。最後のタイトルチューン「Poly Life Multi Soul」も軽快でダンサナブルなナンバーになっていますし、全体的にcero流のダンスミュージックが随所に聴かれるアルバムに仕上がっています。もちろんこのダンスミュージックもわかりやすい四つ打ちのリズムではなく彼ららしい黒いグルーヴ感がとても気持ち良く楽しむことが出来る傑作揃いでした。

そんな訳で、現在のシティポップシーンを牽引しつつも、しっかりとceroとしての独自の世界観を前作以上により発揮できた傑作アルバムに仕上がっていました。若干取っつきにくい部分がありましたが、聴けば聴くほどその独自のグルーヴにはまってしまう傑作アルバム。インスト版も傑作でしたのでこちらも是非。

評価:★★★★★

cero 過去の作品
My Lost City
Obscure Ride


ほかに聴いたアルバム

WHITE/清水翔太

前々作「PROUD」以来、R&BやHIP HOP路線に回帰した清水翔太ですが、今回のアルバムも基本的にはその路線を踏襲。エレクトロサウンドを大幅に取り入れたHIP HOP的要素も強い今時なサウンド構成となっています。決して悪くはないのですが、前作同様、いまひとつインパクトが弱く、とりあえず今時のサウンドを入れてみました、的な無難な内容になっていた印象も。いいアルバムだとは思いますが、ちょっと物足りなさも感じてしまいました。

評価:★★★★

清水翔太 過去の作品
Umbrella
Journey
COLORS
NATURALLY
MELODY
ENCORE
ALL SINGLES BEST
PROUD
FLY

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2018年8月19日 (日)

今年もプチ夏フェス?

名古屋なんて、だいすき 夏の宴~Summer Music Live~

寺井尚子

会場 名古屋城 二之丸広場ステージ 日時 2018年8月8日(水) 18:30~

毎年、お盆前のこの時期に名古屋城で開催される「名古屋城夏祭り」。そのイベントの一環としてライブイベントが開催されています。昨年、氣志團のライブが行われ足を運んだのですが、ちょっとした夏フェスの雰囲気を味わえるような雰囲気でとても心地よく、今年は誰がライブをやるのかなぁ、と公式サイトをのぞいたところ、今年は寺井尚子のステージが行われる、ということもあり、さっそく足を運んでみました。

ちなみに今回のイベントは「名古屋なんて、だいすき 夏の宴~Summer Music Live~」と題され、寺井尚子以外のミュージシャンのステージも行われたようですが、時間の関係と正直、ほかのミュージシャンにはさほど惹かれなかったこともあり18時20分頃に会場に到着・・・が、なんと既にステージがはじまっていました。なんでも準備が早く終わったため10分程度開始が早まったとか・・・うーん、18時半スタートとアナウンスされている以上、それに合わせてくるファンもいるんだから、早くはじめるのはNGなんじゃないか?

Terainaoko

さて会場に到着したものの、昨年は観客席を囲むようにあった屋台が今年は1つのみ。それもアルコール販売もなく、かなり寂しい雰囲気に。全体的に客の入りも少な目で、天守閣が建替え工事中なだけにやはり名古屋城夏祭り自体の規模が縮小気味なのかなぁ。なんとか近くでビールを売っている屋台を見つけアルコールを確保し、また五平餅を売っている屋台も見つけたので五平餅とビールを片手に、ライブを楽しみます。

会場に着いた時は「シャレード」を披露していました。かなりアグレッシブな演奏で、ちょっと寂しい雰囲気とは全く皆無。いきなり彼女のバイオリンの演奏に惹きつけられます。基本的にこの日のステージは今年リリースしたアルバム「The StandardⅡ」と昨年リリースした「The Standard」からの選曲だったようで、続いては「蜜の味」をメロディアスに軽快に聴かせてくれ、さらに「デヴィルメイケア」を哀愁感たっぷりのラテン調に聴かせてくれました。

続いては聴きなじみある「デイドリームビリーバー」を。こちらはなじみあるフレーズをバイオリンで伸びやかに聴かせたかと思えば、その後は彼女なりのアレンジを大幅に加えて、完全に寺井尚子の曲として仕上げていました。「イッツ・オール・ライト・ウィズ・ミー」の後はメンバー紹介。スーツにネクタイ姿で演奏していて暑そうだな、と思ったドラマーが名古屋市瑞穂区出身らしく、大きな喝采を集めていました。

そして続いては「ボーイ・ネームド・チャーリー・ブラウン」。バラードナンバーでしんみり。そしてラストは「国境の南」で爽やかな演奏を。この時間帯になると陽もすっかりと沈んで夕闇の中、気持ちよい気分でまずは本編の幕が下ります。

その後はアンコールとなるわけですが、メンバー全員がステージから降りないうちに再びステージ上に戻り、早くも演奏スタート。アンコールは彼女のライブでもおなじみ(らしい)「Spain」で締めくくり。こちらも聴き馴染みあるナンバーで会場は盛り上がり、約45分の幕が下りました。

そんな訳で、昨年は屋台もたくさん出てまさに夏フェス気分だったステージだったのですが、今年は残念ながらそんな雰囲気はなくちょっとガッカリ。ただ、演奏自体はそんな雰囲気とは全く関係なく、非常にアグレッシブで素晴らしいステージ。また、名古屋は連日の灼熱地獄だったのですが、台風の影響か、この日の夜は心地よい風が吹いており、比較的涼しく、気持ちよい気分でライブを楽しむことが出来ました。

45分のライブとはいえ、寺井尚子の演奏をしっかりと聴くことが出来、とても楽しめたステージでした。なかなかお得感のあるステージ。また、こういうステージが行われたら、是非足を運びたいです。

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2018年8月18日 (土)

シンプルでポップなアルバム

Title:The Now Now
Musician:GORILLAZ

一時期はデーモン・アルバーンとジェイミー・ヒューレットが仲たがいし、その「バンド」としての行方も心配されたGORILLAZ。ただその後2人の関係も修復し、昨年は久々となるニューアルバム「Humanz」がリリースされました。その後、長い沈黙の期間を取り戻すかのように活動が活発化。前作からわずか1年2ヶ月で早くもニューアルバムがリリースされました。

前作「Humanz」は数多くの大物ゲストが参加。中にはかのノエル・ギャラガーが参加するなど大きな話題となりました。また楽曲としてもバリエーションが多く、エレクトロサウンドをメインにしつつ、HIP HOPやレゲエなどの要素も取り込んだ多彩な音楽性が大きな魅力のアルバムとなっていました。

そして今回のアルバムは、ある意味前作「Humanz」とは対照的なアルバムとなっていました。ゲストとして「Humility」にジャズギタリストのジョージ・ベンソン、「Hollywood」ではラッパーのスヌープ・ドッグにエレクトロミュージシャンのジェイミー・プリンシパルが参加していますが、ゲスト勢はこの程度。前作ではあまり目立たなかった2D(=デーモン・アルバーン)のボーカルが前面に押し出された作品となっています。

さらにバラエティー豊富だった前作とは対照的に、今回のアルバムは前作と同じくシンセのアレンジを主軸にしつつも、比較的シンプルなポップソングが並ぶ内容となっていました。1曲目の「Humility」から爽快な雰囲気のサウンドをバックにしたメロディアスなポップチューンになっていますし、続く「Tranz」も打ち込みのリズムが軽快な明るいポップチューン。中盤特に印象的だったのが「Idaho」で、アコギの美しいアルペジオが全編に流れる、牧歌的な空気を感じるしんみり聴かせる暖かいナンバーになっています。

後半も「Magic City」「One Percent」のようなサイケテイストも感じるドリーミーなアレンジのナンバーも目立つものの、これらの曲に関してもしっかりと「歌」が流れており、サウンドよりもメロディーラインを聴かせるような構成になっています。最後まで終始、メロディアスな歌を聴かせる構成になっていました。

サウンド的にもシンセの音色はどこか80年代的で懐かしさを感じさせるような音になっています。中盤「Lake Zurich」はこのアルバム唯一のインストナンバーになっているのですが、エレクトロサウンドが軽快なダンスチューン。どこかディスコテイストの懐かしさすら感じさせるポップチューンになっていました。

また今回のアルバム、GORILLAZのアルバムの特徴的だったHIP HOP的な要素がほとんどありません。唯一、スヌープ・ドッグが参加した「Hollywood」ではHIP HOP的な要素を感じられましたが、このアルバムの中では例外的。そうい意味でも歌を聴かせるポップなアルバムという点が明確になった作風と言えるでしょう。

正直言って、アルバムの中でキラー・チューンになりそうなインパクトあるポップソングもありませんし、一度聴いた感じだと地味にすら感じられるアルバムかもしれません。ただ、2度3度聴くと、知らず知らずに癖になるようなアルバムになっており、それもやはりデーモン・アルバーンのポップスメイカーとしての実力所以なのでしょう。シンプルなアルバムでしたが、それゆえにデーモンの実力が如実にあらわれた作品と言えるかもしれません。今回のアルバムも文句なしの傑作でした。

評価:★★★★★

GORILLAZ 過去の作品
D-Sides
Plastic Beach
THE FALL
The Singles Collection 2001-2011
Humanz

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2018年8月17日 (金)

またもや新たな作風で

Title:ガラパゴス
Musician:水曜日のカンパネラ

ほぼ毎年のようにアルバムをリリースし、なおかつ傑作を連発している水曜日のカンパネラ。今回も前作「SUPERMAN」からわずか1年4ヶ月という短さでのニューアルバムのリリースとなりました。

また彼女たちについて驚かさせているのは単純なリリース間隔の短さのみではありません。なによりも驚かされるのはこれだけ頻繁にアルバムをリリースしながらも、アルバム毎にそのスタイルを変化させているという点でしょう。特にここ数作はエレクトロサウンドを作品毎に進化させており、トラックメイカーのケンモチヒデフミの意欲的な挑戦が目立ちます。

そして今回のアルバムでも当たり前のように前作「SUPERMAN」からそのスタイルを大きく変化させていました。本作では前作以前と同様、エレクトロなサウンドにコムアイのラップがのるというスタイルには変化はありませんが、サウンド的にはどこかエスニックな雰囲気を漂わせつつ、ドリーミーに聴かせるような楽曲が多く収録されています。PVも作成された「かぐや姫」では、そのタイトルであるかぐや姫のイメージそのままに月世界を彷彿とさせるドリーミーな空気感が魅力的。続く「南方熊楠」もドリーミーなシンセのサウンドをバックに疾走感あるパーカッションのリズムが大きなインパクトに。コムアイのボーカルもサウンドの一部となって幻想的な雰囲気を醸し出すのに一役買っています。

その後も「マトリョーシカ」もミディアムテンポで幻想的なサウンドが大きな魅力。この曲ではMoodoidというフランスのバンドとコラボしており、そのため楽曲の中にフランス語の歌詞も登場。フランス語の歌詞がまた独特な雰囲気を醸し出しているほか、ラストにはコムアイのボーカルを逆再生で入れており、不思議な感覚をより強調しています。

今回のアルバムはそんな感じに、全体的には幻想的な雰囲気のサウンドが魅力的。プラス、どこかエキゾチックな空気感を感じる楽曲が目立ちます。ユーモラスな歌詞が目立った前作「SUPERMAN」から一転して今回のアルバムはコムアイのボーカルが比較的後ろに下がり、サウンドを主体としたナンバーが並んでいました。

そんなアルバムですがちょっと雰囲気が異なるのがラスト2曲。「愛しいものたちへ」はオオルタイチプロデュース+作詞作曲によるナンバーで、アコースティックなサウンドでコムアイの伸びやかなボーカルで聴かせる歌モノのナンバー。郷愁感も覚えるサウンドになっており、水カンとしてもかなり異色的な作風になっています。ラストの「キイロのうた」も映画「猫は抱くもの」の劇中歌なのですが、こちらはピアノの音色と幻想的なシンセの音色をバックに美しく聴かせるコムアイのボーカルが印象的な歌モノ。ただこちらはコムアイやケンモチヒデフミが作詞作曲を行っているだけに、基本的には今回のアルバムのコンセプトにもマッチしたドリーミーな色合いの濃い作風になっていました。

今回もまた大きく作風を変化してきた彼女たちですが、もちろん楽曲自体は相変わらずの傑作揃い。挑戦的な作風は相変わらずですし、コムアイのハイトーンボイスがアルバム全体を貫かれているため、ラスト2曲についても作風が微妙に異なるのですが、アルバムの中で違和感はありません。これだけアルバムを頻発していながらも勢いは全く衰えておらず、その底知れぬ才能にあらためて驚かされる傑作でした。

ただ今回のアルバムで気になった点がひとつ。今回、CDで購入したのですが、歌詞カードもついておらず、「ガラパゴス」というタイトルがプリントアウトされた赤い透明のプラスチックケースに、コムアイのプリクラのような写真が貼ってあるだけ・・・。おそらく完全にCDで売る気はないんだろうなぁ・・・。さすがにそれなりのお金を出すんだから、せめて歌詞カードくらい、と思ってしまうのですが・・・おそらく近いうちにCDをリリースせずにLPとダウンロードのみという販売スタイルに移行しそうな雰囲気を感じました。

評価:★★★★★

さて、そんな彼女たちが音楽を担当した映画のサントラ盤が配信限定でリリースされました。

Title:猫は抱くもの(オリジナル・サウンドトラック)
Musician:水曜日のカンパネラ

映画サントラとはいえ、水曜日のカンパネラが楽曲を手掛けたんだからさぞかし・・・と期待したのですが、残念ながら水カンらしさを感じるような作品は少なく、純粋に映画の雰囲気に沿ったBGM的な作品が並んでいました。ただ、ラストに収録された「マヨイガのうた」は「ガラパゴス」にも収録されておらず、このアルバムだけで聴けるナンバー。こちらは水カンらしいエレクトロアレンジの軽快なトラックにコムアイのハイトーンのボーカルがのるナンバー。幻想的な作風はアルバム「ガラパゴス」の方向性にもマッチしており、アルバムに収録されてもよかったのに・・・とも思うのですが、この1曲を聴くだけでも損はないかも、と思えるだけの名曲。ただ、配信サイトならこの曲だけ聴くことが出来るので、わざわざアルバム単位で購入したり聴いたりする価値は、映画を見た方以外は低いかも。

評価:★★★

水曜日のカンパネラ 過去の作品
私を鬼ヶ島へ連れてって
ジパング
UMA
SUPERMAN


ほかに聴いたアルバム

THE BLUE HEARTS TRIBUTE HIPHOP ALBUM「終わらない歌」

おそらくブルーハーツというミュージシャンは、もっともトリビュートアルバムがリリースされているミュージシャンではないでしょうか。以前から様々なミュージシャンが参加したトリビュートアルバムが数多くリリースされています。ただ、その多くが-特に最近のアルバムになればなるほど-やっつけ的な内容が多く、正直言ってうんざりするほど今一つな出来のトリビュートアルバムが少なくありません。

そんな中リリースされた今回のトリビュートアルバム。HIP HOPのミュージシャンが参加したトリビュートアルバム。HIP HOPとブルハの結びつきがいまひとつ不明なので不安感も覚えるトリビュートアルバムだったのですが、これが予想外に素晴らしい出来のアルバムになっていました。PUNPEEややけのはら、田我流など、今のHIP HOPシーンで注目をあつめるミュージシャンが参加した本作。カバーというよりも原曲をサンプリングしたHIP HOPの「新曲」的な出来になっているのですが、原曲の魅力はしっかり残しつつ、HIP HOPとして再構築しており、それぞれのミュージシャンの曲にしっかりと仕上がっています。今時のHIP HOPシーンの流れもしっかりと反映されており、そういう意味でもブルーハーツの音楽と今の日本のHIP HOPがガッツリと四つを組んだトリビュートアルバムに。参加ミュージシャンのファンなら文句なしに聴いてほしい1枚。ブルハのファンは・・・HIP HOPが苦手という方も多そうですが、これが今のHIP HOPの現状ということを知ったうえで、是非とも聴いてほしいトリビュートアルバムです。

評価:★★★★★

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2018年8月16日 (木)

2週連続でサザン強し!

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

さすがに2週連続1位獲得です。

今週1位はサザンオールスターズのベストアルバム「海のOh,Yeah!!」。これで2週連続の1位獲得。売上枚数は7万9千枚と先週の32万5千枚を大きく下回っていますし、今週、ほかに強力盤がいなかった点も2週連続1位の大きな要因でしたが、それでもこの結果には相変わらずのサザンの強さを感じます。また、先週7位にランクアップしてきた1998年にリリースされたベスト盤「海のYeah!!」は今週6位にランクアップ。売上枚数はこちらも8千枚から6千枚にダウンしているものの2週連続、サザンのアルバムが2枚同時にベスト10にランクインした結果となっています。

さて今週は売上対象週がお盆前ということも影響したのか、初登場盤が4枚のみと少な目のチャートとなりました。ただなぜか同じタイプのアルバムがまとめてランクインしてくる結果となっています。

まず今週2位にランクインしてきたのが三代目J Soul Brothersのボーカル登坂広臣がHIROOMI TOSAKA名義でリリースしたアルバム「FULL MOON」がランクイン。こちらも先週ランクインした今市隆二と同様、三代目J Soul Brothersのアルバム「FUTURE」の一部としてソロアルバムをリリースしたことがありましたが単独でのリリースはこれが初。初動売上5万4千枚で2位獲得となりました。

今週はこのほかにEXILE「STAR OF WISH」が8位に、RYUJI IMAICHI「LIGHT>DARKNESS」が10位にランクイン。売上枚数的にはどちらも1万3千枚(5位)→6千枚、1万3千枚(2位)→4千枚と大きくダウンしているものの、結果としてEXILE系のアルバムがベスト10圏内に3枚並ぶ結果となりました。

3位には男性アイドルグループDa-iCE「BET」がランクイン。初動売上3万8千枚は前作「NEXT PHASE」の4万6千枚(4位)からダウンしています。

続いて4位以下の初登場盤ですが、まず4位に韓国のアイドルグループSUPER JUNIORのメンバーによる派生ユニットSUPER JUNIOR-D&E「STYLE」がランクインしています。初動売上は2万7千枚。前作「Present」の6万2千枚(2位)からダウンしています。

そしてこのK-POPの男性アイドルグループのアルバムも今週2作まとめてランクイン。今週5位にSEVENTEEN「YOU MAKE MY DAY」が先週の18位からランクアップ。2週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。これは9月に開催される握手会に参加できるエントリーカード付のアルバムが8月7日よりリリース開始になったことがベスト10返り咲きの大きな要因のようです。

今週、返り咲き組はもう1枚。9位に安室奈美恵「Finally」が先週の13位からランクアップ。7月2日付チャート以来7週ぶりのベスト10返り咲きとなっています。ただし売上枚数5千枚は先週の6千枚からダウン。低水準のランキングに助けられた形のベスト10返り咲きになっています。もっともいまだにこれだけ売れ続けていることが驚きなのですが・・・。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2018年8月15日 (水)

ロングヒット作が盛り返し

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週はチャート対象週がお盆前ということで強力曲が少なかった影響か、ここ最近、ちょっと勢いが落ちてきていたロングヒット曲が巻き返してきました。

まずDA PUMP「U.S.A.」が4位から2位にランクアップ。CD販売・ダウンロード・ストリーミング数(以下「実売数」)が6位から3位にランクアップ。You Tube再生回数は相変わらずの1位獲得で3週ぶりの2位返り咲きとなっています。

また先週9位までランクダウンしてここまでかと思われた米津玄師「Lemon」は今週4位にランクアップ。特に実売数が15位から8位、Twitterつぶやき数も15位から6位にアップしており、You Tube再生回数2位とあわせて総合順位のランクアップを押し上げる結果となりました。

そんな中、1位を獲得したのは乃木坂46「ジコチューで行こう!」。先週の12位からCDリリースと共にランクアップし1位を獲得。実売数、PCによるCD読取数、Twitterつぶやき数で1位、ラジオオンエア数9位、You Tube再生回数26位を獲得。ちなみにオリコンチャートでは初動売上98万8千枚で1位獲得。前作「シンクロニシティ」の111万6千枚からダウンしています。

3位初登場は韓国の男性アイドルグループUP10TION「CHASER」が初登場でランクイン。実売数2位、Twitterつぶやき数15位を獲得。オリコンでは初動売上3万5千枚で2位初登場。前作「WILD LOVE」の2万9千枚(3位)よりアップしています。

続いて4位以下の初登場曲です。まず5位にあいみょん「マリーゴールド」が先週の28位からCDリリースにあわせてランクアップしベスト10入り。あいみょんは最近注目を集めている女性シンガーソングライター。ちょっと奇抜な名前とは裏腹にメロディーラインはちょっと懐かしさを感じる90年代のJ-POP風で、歌詞は好きな子をマリーゴールドに例える詩的な歌詞が印象に残ります。実売数9位、PCによるCD読取数23位、Twitterつぶやき数49位を記録しているほか、ラジオオンエア数では見事1位を記録し、チャートを引き上げています。確かに楽曲的には万人にアピールできそうな「グッドミュージック」で、ラジオ受けしそうなタイプに感じます。ただしオリコンシングルチャートでは初動売上3千枚で26位に留まりました。前作「満月の夜」ならの2千枚(31位)を上回りましたが、CDの売上は伸びていません。ただし、デジタルシングルランキングでは5位に入ってきており、ネット配信中心のヒットになっている模様。ここ最近、楽曲自体が支持される場合はもっぱらCDの売上よりもネット配信の売上が先行するケースが目立ちますが、この曲もそのパターンのようです。

6位初登場はスターダストプロモーション所属の男性アイドルグループ超特急「Jesus」が初登場でランクイン。テレビ朝日系ドラマ「ヒモメン」主題歌。実売数5位、PCによるCD読取数27位、Twitterつぶやき数10位を記録。オリコンでは初動売上3万4千枚で3位初登場。前作「a kind of love」の9万8千枚(2位)から大幅ダウンとなっています。

9位には輿水幸子(竹達彩奈),多田李衣菜(青木瑠璃子),藤原肇(鈴木みのり),水本ゆかり(藤田茜),森久保乃々(高橋花林)「いとしーさー」がランクイン。アイドル育成しミューレションゲーム「アイドルマスター」から派生したアニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ劇場」のエンディングテーマ。この手のキャラソンで珍しく沖縄民謡調を取り入れた楽曲。この手の曲はサビは結局普通のアイドルポップというパターンが多いのですが、一応はサビまで沖縄民謡の雰囲気を残したまま展開しています。実売数6位、PCによるCD読取数7位、Twitterつぶやき数29位を獲得。オリコンでは同曲が収録された「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS LITTLE STARS! いとしーさー」が初動2万6千枚で4位を獲得。シンデレラガールズシリーズでは直近作閃光☆HANABI団「THE IDOLM@STER MILLION THE@TER GENERATION 10 閃光☆HANABI団」の1万5千枚(8位)からはアップ。同じ「CINDERELLA GIRLS LITTLE STARS!」シリーズでは前作「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS LITTLE STARS! Snow*Love」の1万7千枚(6位)からもアップしています。

最後10位にはMISIA「アイノカタチ feat.HIDE(GReeeeN)」が先週の23位からランクアップしてベスト10入り。TBS系ドラマ「義母と娘のブルース」主題歌。CDリリースは8月22日を予定しており、その先行配信分のみでランクインとなりました。今回の曲でMISIAはタイトル通り、GReeeNのHIDEをフューチャー。作詞作曲もGReeeeNが手掛けています。うーん、MISIAといえばデビュー当初は「時代の最先端を行くクラブ系の女性シンガー」みたいな立ち位置でデビューしたのですが、GReeeeNとコラボするところまで来てしまったんですか・・・。MISIAのボーカルでなんとかMISIAの曲っぽくは仕上がっているのですが、歌詞のあまりに何も言っていない薄っぺらい内容に愕然。ここらへん、今週ランクインしているあいみょんの歌詞と比較するとその差が歴然かと。実売数4位のみでのベスト10入り。オリコンではデジタルシングルランキングで1位を獲得しており、ドラマも話題になっているだけにヒットを記録しそうな予感はあるのですが・・・うーん・・・。

今週のHot100は以上。明日はアルバムチャート。

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2018年8月14日 (火)

ラストアルバムでありながら・・・

Title:誕生
Musician:チャットモンチー

昨年11月、非常にショッキングなニュースが飛び込んできました。チャットモンチー解散。2005年のデビュー以来、女の子だけのロックバンドとして高い注目を集め、かつ高い人気を博してきた彼女たち。途中、メンバーの脱退や、結婚・出産などの出来事がありつつ活動を続けてきましたが、デビューから13年目である今年、残念ながらその活動に幕を下ろしました。

そんな彼女たちのラストアルバムが本作。そしてタイトルが「誕生」・・・最後のアルバムにつけるタイトルとしてはあまりにもユニークです。ただ彼女たちは今回のチャットモンチー解散の理由について、インタビューなどでチャットモンチーとしてやれることはやりつくした、チャットモンチーという殻を抜け出して新たな一歩に進みたい、という話をしていました。そういう意味では今回のアルバムに「誕生」と名付けたのは、チャットモンチーという殻を割って、新たな一歩を踏み出すための最初のアルバムという意味があったのかもしれません。

実際驚かされるのは今回のアルバム、ラストアルバムにも関わらずいままでのチャットモンチーとは違うスタイルに挑戦しています。2016年のライブでは「チャットモンチー・メカ」と称したメンバー2人と打ち込みのみによるライブを行っていましたが、今回のアルバムも1曲目「CHATMONCHY MECHA」ではいきなりエレクトロサウンドのインストチューンからスタート。続く「たったさっきから3000年までの話」でも大々的にエレクトロサウンドを導入したナンバー。その後も打ち込みを取り入れた曲が続き、ロック色が強かったいままでのチャットモンチーからは一風変わった作風になっています。

最後のアルバムがあえていままでのチャットモンチーらしくないアルバムを作ってきたあたりに彼女たちのあくなき挑戦心を感じさせます。実際、女の子オンリーのバンドというチャットモンチーのスタイル自体、今となっては珍しくなくなりましたがデビューした2005年当時は非常に珍しく、まさに挑戦的と言えましたし、メンバー脱退後は新しいメンバーを加えず2人だけでアルバムを作ったりライブツアーを行ったりと、そのポップな作風とは異なる挑戦的なスタイルを多く見せていました。

そういう意味ではこのラストアルバムでエレクトロサウンドを導入するという挑戦を行うあたり、チャットモンチーらしいと言えるのかもしれません。もっとも今回のアルバム、ラストらしい試みも少なくなく、例えば「砂鉄」ではメジャーデビュー当時のメンバーである高橋久美子が作詞を手掛けており、デビュー当時からのファンにとってはうれしい「3人組チャットモンチー」が曲の中で復活しています。

また彼女たちにとってラストのナンバーとなった「びろうど」もある意味ファンへのメッセージとこれからの決意を歌ったようなラストらしいナンバー。ちなみにボーカルには4才になる橋本絵莉子の息子も参加しています。

ただ、そんなラストアルバムだったのですが、正直な感想としてアルバムの出来としては残念ながら決して良くはありませんでした。エレクトロサウンドも目新しいものではありませんでしたし、メロディーラインのインパクトもいまひとつ。解散が決まりながらもアルバム1枚をリリースしてくれるのはファンとしてはうれしいものの、3年ぶりのアルバムでありながら7曲入りの事実上ミニアルバムな構成も物足りなさを感じます。正直言ってしまえば、確かにチャットモンチーとしてのモチベーションは低くなっているんだな、ということを感じてしまったアルバムでした。

そんな訳で、ラストアルバムで新たな挑戦という点では斬新なスタイルではあったものの、一方、チャットモンチーとしてやりつくした感を覚えてしまうという点では悪い意味でラストアルバムらしい作品と言えるかもしれません。確かに「チャットモンチーとしてやりつくした」というメンバーの解散理由もよくわかってしまうような気もします。チャットモンチーの解散という事実は非常に残念なのですが、ただ一方、メンバーが新たな一歩を進めるという意味では決してネガティブなことではないのかもしれません。えっちゃんとあっこのこれからの活躍に心から期待したいところです。

評価:★★★★

チャットモンチー 過去の作品
生命力
告白
表情
Awa Come
YOU MORE
チャットモンチーBEST~2005-2011~
変身
共鳴


ほかに聴いたアルバム

植物男子ベランダー ENDING SONGS/大橋トリオ

今年4月から7月にNHK総合で放送したドラマ「植物男子ベランダー」。このドラマのエンディングを担当していたのが大橋トリオ。毎回、エンディングテーマが変わる構成だったようで、そのエンディングテーマをまとめたのが配信限定でリリースされた本作です。基本的に大橋トリオの代表曲の中から、おそらくよりドラマにマッチしたオーガニックな雰囲気の曲をまとめた企画盤で、暖かい雰囲気の楽曲が魅力的。彼の曲は良くも悪くも優等生的な部分が強いのですが、こうやって並べて聴くと、やはり魅力的な名曲が多いなぁ、と感じさせてくれます。基本的に既発表曲ばかりですが、入門盤としても最適なアルバムでした。

評価:★★★★★

大橋トリオ 過去の作品
A BIRD
I Got Rhythm?
NEWOLD
FACEBOOKII
L
R

FAKE BOOK III
White
plugged
MAGIC
大橋トリオ
PARODY
10(TEN)
Blue
STEREO

「天命の城」オリジナル・サウンドトラック/坂本龍一

今年6月に日本でも公開された韓国映画「天命の城」。その劇中音楽を坂本龍一が担当。はじめて韓国映画の音楽を担当するということでも話題となりました。映画は1936年に起こった「丙子の役」を舞台とした歴史スペクタクルのようですが、その映画に合わせるかのような、全体的にダークな雰囲気が覆いつつも、スケール感あるダイナミックなサウンドが目立ちます。基本的にいかにも映画音楽的な内容なので、映画を見ていないと厳しいものはありますし、特に挑戦的な作風の曲もありませんでしたので、熱心なファンか、映画を楽しんだ方はどうぞ。

評価:★★★

坂本龍一 過去の作品
out of noise
UTAU(大貫妙子&坂本龍一)
flumina(fennesz+sakamoto)
playing the piano usa 2010/korea 2011-ustream viewers selection-
THREE
Playing The Orchestra 2013
Year Book 2005-2014
The Best of 'Playing the Orchestra 2014'
Year Book 1971-1979
async
Year Book 1980-1984

ASYNC-REMODELS
Year Book 1985-1989

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2018年8月13日 (月)

歌手宇多田ヒカルの才能を強く感じる傑作

Title:初恋
Musician:宇多田ヒカル

宇多田ヒカルについてはここ最近、明らかに歌手としての「ステージ」が変わった、そう感じます。久々の新作となった前作「Fantome」から声質があきらかに変わり、大人の女性になったことを強く感じました。ただ一方、大人な声質になったけども表現力の面で物足りなさも感じたのも事実でした。しかし、今回のアルバムに関してはあきらかに表現力の面でもグッと大人びた印象を受けます。ひとことで言ってしまえば「すごみが増した」といったところでしょうか。サウンド的には洋楽テイストの強いR&Bなのですが、ボーカルで言えば歌謡曲的な「情念」すら感じる部分もありました。

アルバムの出だしの「Play A Love Song」からそのハイトーンボイスで優しく聴かせる歌声にまずゾクゾクっとさせられますが、序盤ではタイトルチューンでもある「初恋」が秀逸。サウンド的にはシンプルなピアノやストリングスをバックに歌い上げる楽曲なのですが、恋する切なさを静かに歌う彼女の歌声は切なさも感じられ、胸をうちます。

基本的には今回のアルバム、そんな彼女の歌を前面に押し出して聴かせるようなスタイルのアルバムになっていました。全体的にリズムやサウンドを聴かせるというよりもシンプルに彼女の歌に主軸を置いたような構成になっており、そのため彼女の歌の持つ力がよりわかりやすい形でアルバムに収録されていたように感じます。

後半でも「残り香」のように伸びやかなボーカルを聴かせるナンバー、「夕凪」のようなピアノやストリングスで郷愁感を出しつつ、そんなサウンドが作り出す雰囲気に沿った歌を聴かせるナンバーなど聴かせどころはたくさん。最後を締めくくる「嫉妬されるべき人生」も静かながら力強い歌声を聴かせてアルバムを幕を閉じます。

さてそんな今回のアルバム。サウンド的にはピアノやストリングスを軸としたシンプルなサウンドで上にも書いた通り、基本的には歌を生かすようなサウンドになっていました。そのためサウンドの側面からは決して目新しいといった感じはありません。ただ、そんな中、「Too Proud」ではHIP HOP的なトラックを用いており、男性ラッパーがゲストに参加。「残り香」でも最近流行りのトラップミュージック的な高音のスネアが短く早いリズムを流すリズムトラックを入れてきたりと、特に後半では今風のHIP HOPの要素を入れてきてしっかりと今の時代にアップデートしてきています。ここらへん、歌を中心としたアルバムとはいえサウンド的にはさりげなく今時の音をしっかりと取り込んできている点、彼女のミュージシャンとしての視線はしっかりと今という時代を見据えているんだな、ということを感じさせます。

そんな訳で冒頭にも書いた通り、歌手宇多田ヒカルとして大きく一歩前へ踏み出した傑作アルバムに仕上がっていました。もう本当にミュージシャンとして立っているステージが変わったな、ということを強く感じさせます。宇多田ヒカルのすごさをただただ感じた1枚でした。

評価:★★★★★

宇多田ヒカル 過去の作品
HEAT STATION
This Is The One(Utada)
Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.2
Fantome


ほかに聴いたアルバム

SHISHAMO 5/SHISHAMO

チャットモンチーなき後(?)のガールズギターロック界を担うべき3ピースバンドSHISHAMOのニューアルバム。基本的に明るくポップなギターロックに女性の本音を描いたような歌詞が魅力的。良くも悪くも非常にシンプルなギターロックというスタイルなのですが、以前の作品に比べてポップスさが増したような印象もあります。いい意味で売れているバンドらしく、よりポピュラリティーが広がりつつある印象を受けるアルバムでした。

評価:★★★★

SHISHAMO 過去の作品
SHISHAMO 3
SHISHAMO 4

天体/Polaris

もともとはLab LIFeとして活動していたオオヤユウスケとFishmansの柏原譲によるユニットPolaris。一時期は活動休止状態でしたが、ここにきて活動を活発化。フルアルバムとしては3年4ヵ月ぶりとなるニューアルバムがリリースされました。とはいっても基本的にはこれまでの彼らのスタイルと変わらず、ダビーな雰囲気で横ノリのリズムが心地よい浮遊感あるポップチューンがメイン。終始、夢見心地な気分になる心地よいポップチューンが魅力的な作品でした。

評価:★★★★★

Polaris 過去の作品
MUSIC
走る

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2018年8月12日 (日)

ブルース界最後のリビング・レジェンド

Title:THE BLUES IS ALIVE AND WELL
Musician:BUDDY GUY

ここ数年、非常に残念ながらブルース全盛期を知る最後の世代のレジェンドたちが鬼籍に入るというニュースが続いています。2013年にはボビー・ブランドが鬼籍に入り、2015年にはB.B.KINGもついにあの世に旅立ちました。また、ブルースではなくロックンロールですが、昨年はチャック・ベリーも亡くなっています。

そんな中、最後に残ったリビング・レジェンドといえるのが彼、BUDDY GUY。御年82才となる彼ですが、いまだに2、3年に1枚のペースでアルバムをリリースし続けており、バリバリ現役の姿を見せ続けています。

本作はそんな彼の約3年ぶりとなるニューアルバム。タイトルからして「THE BLUES IS ALIVE AND WELL」と、まさに彼自身、最後のブルース・レジェンドとしての立場を引き受けるかのようなアルバムタイトルになっています。また今回のアルバムはなんといってもゲスト勢が豪華。「Cognac」ではジェフ・ベックとキース・リチャーズが、「You Did The Crime」ではミック・ジャガーがゲストとして参加しています。このとんでもない豪華な顔ぶれがゲストとして参加するあたり、彼の今の音楽シーンの中での存在感の大きさがわかります。

そしてそんな立場を背負った彼がリリースした最新作は、いつも以上に気合いが入りまくっている作品になっていました。基本的にスタイルは良くも悪くも以前から大きな変化がありません。楽曲的にはシカゴブルースの王道を行くような路線。今回のアルバムでも特段の目新しさはありません。

ただ、「Whiskey For Sale」では非常に力強いギターとシャウト気味なボーカルを聴かせ、ファンキーなナンバーに仕上げていますし、「Old Fashioned」の力強いギターリフも印象的。ホーンセッションも入って賑やかなナンバーに仕上がっています。ラスト前の「End Of The Line」でも力強いギターサウンドを聴かせますし、ボーナストラックである「In This Day And Age」でもギターでグイグイと押し込んでくるナンバーで、ギタリストとして全く衰えを感じさせないパワフルなプレイを聴かせてくれます。

ジェフ・ベックとキース・リチャーズが参加している「Cognac」ではさすがに2人の天才ギタリストが参加しているだけあって、表現力あふれる力強いギターが実に魅力的ですし、ミック・ジャガーがボーカルではなくハーモニカで参加している「You Did The Crime」ではそのハーモニカの音色をバックに力強い歌声でバラードを歌い上げています。

正直言ってボーカルはちょっと安定感が欠ける部分もあり、寄る年波を感じてしまう部分は否定できません。ただ、ギタープレイはいまなお年齢を感じさせない現役感がありますし、ボーカルにしても声量は十分。アルバム全体を通じて、82歳という年齢を感じさせない若々しさがあります。ここ最近は無難にまとめたようなアルバムが続いていたのですが、今回のアルバムはタイトルからもそうですが、ブルース界を背負って立つという意気込みを感じさせる勢いを取り戻したかのようなアルバムに仕上がっていました。しかし、彼はまだまだ元気に現役を続けそうですね。次の作品もその次の作品も、まだまだ傑作を期待できそうです。

評価:★★★★★

Buddy Guy 過去の作品
LIVING PROOF
Live at Legends
RHYTHM&BLUES


ほかに聴いたアルバム

HEAVEN&EARTH/Kamasi Washington

今をときめくケンドリック・ラマーやサンダーキャットの作品でも話題となったアメリカのジャズ・サックス奏者、カマシ・ワシントン。「新世代ジャズの象徴」みたいな紹介のされ方をしていますので、どちらかというとエレクトロサウンドなどを入れて、「クラブ系」の色合いが強いサウンド・・・と予想して聴いたのですが、サウンド的にはAORやフュージョンなどの色合いが強い感じ。哀愁感を帯びたメロディーもアルバムに終始流れており、むしろオーソドックスなフュージョン系ジャズという印象を強く受けました。ちょっと期待していた音とは違った感じでしたが・・・これはこれで2枚組のフルボリュームな内容を楽しめた作品でした。

評価:★★★★

永井“ホトケ"隆のブルースパワー・ラジオ・アワー ~10th アニバーサリー

以前にも紹介しました日本を代表するブルースミュージシャン永井"ホトケ"隆がパーソナリティーとなってコミュニティーFMを中心に放送している日本唯一のブルースのラジオ番組「ブルースパワー」。3年前に7周年を記念したコンピレーションアルバムがリリースされましたが、本作はその第2弾。タイトル通り、番組は見事10周年を迎え、それを記念して本作がリリースされました。

コンピレーションのスタイルとしては前作と同様。BUDDY GUYやLIGHTNIN' HOPKINS、B.B.KINGやMAGIC SAMなどブルースのレジェンドたちの曲を集め、その曲の合間にラジオ番組よろしく永井"ホトケ"隆による曲紹介が入るスタイル。まさにブルースの入門盤としてうってつけな1枚で、ブルースに興味があるけどどこから入ったらいいかわからない・・・という方に是非ともおすすめしたいコンピになっています。

ただ、前作同様、なぜかロバート・ジョンソンとマディー・ウォーターズは未収録。ここらへん、権利の関係なのかなぁ。ちょっと残念な感じも。まあ、それを差し引いても文句なしに素晴らしいコンピレーションなのは間違いありません。入門盤としてはもちろんですが、ブルースをいろいろと聴いている方にも、永井"ホトケ"隆のブルースにかける思いを曲の合間に聴け、ブルースの魅力がより強く感じることが出来る魅力的なコンピになっていました。

評価:★★★★★

永井“ホトケ”隆のブルースパワー・ラジオ・アワー

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2018年8月11日 (土)

EPシリーズに続く5年ぶりの新作

Title:Bad Witch
Musician:NINE INCH NAILS

NINE INCH NAILS5年ぶりとなるニューアルバムがリリースされました!・・・とはいっても、2016年にEP盤「Not The Actual Events」が、2017年にもEP盤「Add Violence」がリリースされていますので、そんなに久しぶりといった感触はありません。特に今回のアルバムも全6曲30分という短さ。前作「Add Violence」リリース時もEP盤のシリーズは3作ある、というアナウンスがされていましたので、実質的にEP盤第3弾的な位置づけのアルバムといった感じになるのでしょうか。

そんな彼らの5年前のアルバム「Hesitation Marks」はエレクトロ色が強く、彼らとしては「軽い」というイメージのあるアルバムでした。ただ、その後リリースされた2枚のEP盤はグッと彼らの本来の持ち味であるインダストリアルの色合いが強いアルバムにシフトしました。そして続く今回のアルバムに関しても、初期の彼らを彷彿とさせるようなインダストリアルメタルの色合いが強く出たアルバムになっていたと思います。

まず1曲目「Shit Mirror」はノイジーなギターにシャウトするボーカルが重なった、疾走感あるナンバーで、インダストリアルというよりもパンク的な色合いの強い作品。まずは気分的にかなり高揚感のある楽曲からはじまります。続く「Ahead Of Ourselves」もテンポよいリズミカルな打ち込みからスタートするナンバー。途中、ヘヴィーなシャウトはあるものの、リズミカルで聴きやすいナンバーとなっています。

ここらへんはある意味、「つかみ」といった感じでしょうか。グッとインダストリアル色が強くなるのが3曲目「Play The Goddamned Part」。出だしからして不穏でメタリックなサウンドがまず耳を惹きます。かなり不気味な雰囲気で淡々と続いていくのですが、序盤から流れていたフリーキーなサックスが後半では全面に押し寄せ、最後までダークで不穏な空気感が続いていくナンバーになっています。

続く「God Break Down The Door」もフリーキーなサウンドと複雑なリズムのドラムスが終始耳を惹くナンバー。不気味なメロディーラインも妙に耳に残ります。さらに「I'm Not From This World」もヘヴィーでメタリックなサウンドで不気味な雰囲気が淡々と続くナンバー。静かなインダストリアルサウンドが非常に緊迫感ある雰囲気を作り出しています。

そんなインダストリアル色の強く不気味で緊迫感ある中盤からラストの「Over And Out」は最後を締めくくる軽快なエレクトロナンバー。いままでの雰囲気から力が抜けたような感じの楽曲になっているのですが、ところどころ、メタリックな雰囲気を残しており、聴き終わった後、なんとも言えない気持ちになって終わります。

昨年、そして一昨年にリリースされたEP盤も30分弱の短さにNINの魅力が凝縮された内容でしたが、今回のアルバムもその延長戦上のような、30分という短さの中で彼らの魅力が凝縮されているようなアルバムになっていました。ただ、そのEP盤2枚に比べてもよりインダストリアル色が強くなっており、ヘヴィーなサウンドの中に感じられる緊迫感が強い魅力に。ポピュラリティーという側面からはちょっと低めかもしれませんが、NINの良さを十分すぎるほど感じられる傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

NINE INCH NAILS 過去の作品
GhostI-IV
THE SLIP
Hesitation Marks
Not The Actual Events
Add Violence


ほかに聴いたアルバム

OIL OF EVERY PEARL'S UN-INSIDES/SOPHIE

イギリスはグラスゴー出身の女性ミュージシャン、サミュエル・ロングによるソロプロジェクトによる初となるフルアルバム。もともとプロデュースワークでも大きな話題を呼んでおり、過去にはマドンナの曲のプロデュースを手掛けたほか、日本でも安室奈美恵の曲のプロデュースを手掛けて話題を呼んだこともありました。

本作は1曲目「It's Okay To Cry」ではスケール感あるエレクトロサウンドで伸びやかに聴かせるポップチューンを聴かせ、北欧的なちょっと幻想的な雰囲気のあるポップミュージシャンなのかと思いきや、2曲目以降は破壊的なエレクトロサウンドやノイズなどで楽曲をメタメタに切り刻むような作風の曲が続き、ある意味、非常に実験的でパンキッシュな作風が目立ちます。ただ、意外とポップな作風が楽曲を流れている曲も多く、ラストの「Whole New World/Pretend World」もデジタルビートのデジロック風の作品・・・とベタな表現が出来るようなロッキンでポップなナンバーになっていたりします。

1曲目のスタートから2曲目以降の展開にちょっとビックリさせられますが、独特なエレクトロサウンドの魅力をしっかり楽しめる作品。実験的な作風でありつつも、意外とポップで聴きやすい、そう感じるアルバムでした。

評価:★★★★★

Lush/Snail Mail

2年前、16才の時にリリースしたEP「Habit」が各種メディアで大絶賛を集め、一躍注目のミュージシャンとなったSnail Mailによるデビューアルバム。基本的にはシンプルなローファイ気味のギターロックといった感じで、女性のソロロックミュージシャンということもあってイメージ的にはコートニー・バーネットと近い部分を感じます。楽曲的にド派手さはないのですが、シンプルなだけにしっかりとしたメロディーラインを聴かせてくれています。これからの活躍も楽しみな新人ミュージシャンです。

評価:★★★★★

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