2026年6月 9日 (火)

2025年を代表するHIP HOPアルバム2枚

数か月前、HIP HOPの年刊誌「ele-king presents HIP HOP 2025-26」を紹介しました。今回は、ちょっと遅くなってしまいましたが、同誌で紹介されていた1位2位にランキングされていたアルバムの紹介です。

Title:BLACK'!ANTIQUE
Musician:Pink Siifu

Blackantique

まず年間1位にランクインされていたアルバム。アラバマ州バーミングハム出身のラッパー、Pink Siifuのアルバム。様々なジャンルを取り入れた実験的なHIP HOPが特徴的で、現代のHIP HOPの重要人物として高い評価を受けるラッパーだそうです。

「ele-king presents HIP HOP 2025-26」では、アンダーグラウンドHIP HOPを特集しており、その中でも彼は取り上げられていたのですが、確かに本作はPink Siifuの様々なアイディアを内包した、実験性の高い作品に仕上がっています。特に序盤はインダストリアル色の強いサウンドが特徴的。ヘヴィーでノイジーなタイトルチューンの「BLACK'!ANTIQUE」から、狂暴なノイズの炸裂する「ALIVE&DIRECT'!」など、前半のサウンドについては、むしろロックリスナーの方が親和性が高いのではないか、と思うようなヘヴィーなサウンドの曲が並びます。

一方後半は、「U.ALREADY'!」「OUTSIDE'!」など、メロウなトラップビートの曲が並び、こちらは今風のHIP HOPといった感じ。かと思えば「TRANSLATION'!」ではラテンのサウンドを取り入れたり、「FACECARD'!」のようなシンプルなエレクトロトラックで実験性の強い楽曲もあったり、「8)」のようなドリーミーな作品があったりと、楽曲ごとにPink Siifuの様々なアイディアがつまった展開となっており、最後まで耳を離せないアルバムとなっています。

全19曲1時間17分。アルバムとしてはちょっと長い作品になっており、様々なアイディアの詰まった作品の連続は、ちょっと散漫さも感じる点は否定できないのですが、一方では次々と繰り広げられる楽曲の数々に最後まで耳の離せない作品、とも言えるかと思います。年間1位という高い評価も納得のアルバムでした。

評価:★★★★★

Title:Life Is Beautiful
Musician:Larry June,2 Chainz&The Alchemist

こちらは同誌で年間2位にランクインしていたアルバム。サンフランシスコ出身のラッパー、Larry Juneとサウスのトラップ・ラッパーとして知られる2 Chainz、さらにプロデューサーのThe Alchemistが組んだアルバムです。

基本的に特にThe Alchemistのサウンドメイキングが聴いていてとても心地よい作品となっていました。非常に滑らかで、メロウなトラックが魅力的。Larry Juneのラップは、どこか力の抜けたようなフロウが印象的で、力強さのある2 Chainzのラップとは対照的。いわば異なるスタイルの2人のラッパーの対比が特徴的なのですが、ただ全体的にはメロウなトラックも合わさり、脱力感のある楽曲が特徴的。ある意味「大人なHIP HOPのアルバム」と言ってもいいような作品に仕上がっています。

The Alchemistのトラックや、Larry Juneのラップによって、トータルとして聴くと正直、あまり派手さはなく、淡々と展開していく作品となっていますが、心地よいトラックやフロウが合わさり、ずっと聴いていたくなるような、そんな心地よさを感じるアルバムになっていました。年間2位ということですが、そういう「今年を代表するアルバム!」と高らかに謳うような作品とはちょっと違うような感じはするのですが、ついつい聴きたくなるような、いわば「ベストアルバムの次の1枚」として選びそうな、そんな作品だったと思います。

評価:★★★★★

The Alchemist 過去の作品
The Elephant Man's Bones(Roc Marciano&The Alchemist)

さて、そんな2025年度の1位2位に選ばれたHIP HOPのアルバムを紹介しましたが、この2枚を聴いて感じるのは、確かにHIP HOPシーンが現在、停滞気味である理由がなんとなくわかるような気がしました。いや、この2枚が駄作、という訳ではありません。どちらも文句なしの傑作アルバムだと思います。ただ、いままで次から次へと新しいスタイルが登場し、シーンを切り開いていったHIP HOPというジャンルにおいて、この2枚はいずれも「2025年ならでは」という印象はありません。一時期、シーンを席巻したトラップも完全に飽きられた感もありますし、それに続くあたらしいHIP HOPのスタイルも正直、出てきているように感じません。このままHIP HOPは、過去に隆盛を誇った他のジャンルの末路と同様、「過去のジャンル」となってしまうのか、それとも巻き返しにはかるのか・・・。ジャンルとして岐路に立っているようにも感じます。今後のシーンの動向に注目していきたいところです。

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2026年6月 8日 (月)

希望にみちた、ライブ感ある新作

Title:産声
Musician:Mr.Children

アルバムタイトルに合わせた赤ちゃんの泣き顔が印象的なジャケットの、約2年5ヶ月ぶりとなるミスチルのニューアルバム。今回のアルバムタイトル「産声」は「胸の中で新しい命が産声をあげる」というテーマをあげており、閉塞感のただよう現代において、将来への希望を意識したような作品になっています。

さて、そんな本作ですが、前作「miss you」が内省的な作品になっていたため、今回のアルバムはライブ感を意識したアルバムになっているそうです。序盤に配された「Again」はドラマ「リブート」主題歌となった先行シングルですが、メランコリックなスタートから、サビにむかって大きく開けるような展開、ストリングスやサックスも入れたサウンドで感じさせるスケール感など、まさにライブ感を意識したような作品となっています。

アルバム構成としても全体的にライブを意識したような構成となっており、スケール感のある序盤から、ちょっと切ないメロがミスチルらしい「ウスバカゲロウ」やイギリスの音楽フェス、グラストンベリーをタイトルとして、ホーンやギターの使い方がちょっとUKっぽさを感じつつ、聴かせるメロとスケール感を同居させたようなナンバーである「Glastonbury」、閉塞感ある現状を歌いつつ、それでも生きていくための希望を歌うメランコリックなギターロック「禁断の実」など、アルバム前半は比較的聴かせるナンバーが続きます。

そして、ライブさながらに後半にかけては盛り上がるような目立ちはじめます。タイトルからしてユニークな「空也上人」は、軽快なギターロックで徐々にテンションがあがっていき、「Stupid hero」「Nowhere Man~喝采が聞こえる」は、まさにホーンやストリングスも入って、明るく盛り上がりそうなナンバー。スタジアムバンドらしいスケール感も覚えます。さらに本作のハイライトとも言えるのがタイトルチューンの「産声」で、バンドサウンドにホーンセッションも入れて、明るくスケール感もって歌い上げるナンバー。「今日生きてるってこと/それだけで奇跡なんだろう」と歌う、希望に満ちた歌詞も印象的で、今後のライブの定番になりそうな予感もします。

ラスト「Umbrella」「家族」と最後はちょっとフォーキーで聴かせるナンバーで締めくくり。いわばチルアウト的な感じでしょうか。「家族」に関しては、桜井の過去の恋愛遍歴を考えると、どの口が言うか、感は否めないのですが(笑)。

そんな感じで、内向きな感のあった前作に対して、全体的にライブ感あふれる外向きを意識した本作。ポップなメロとスケール感あるアレンジ、さらに前向きで希望を感じさせる歌詞と、非常にミスチルらしい作品となっていました。そういう意味でファンならまずは安心して楽しめる傑作であることは間違いないでしょう。ただ一方で、ミスチルらしい作品であるという意味は、あまり驚きもなかったな、という意味でもあります。良くも悪くも大いなるマンネリ感もあり、「高位安定」というイメージも強かった本作。傑作だとは思うのですが、目新しさも感じなかった、そんな新作でした。

評価:★★★★★

Mr.Children 過去の作品
SUPERMARKET FANTASY
SENSE
Mr.Children 2001-2005<micro>
Mr.Children 2005-2010<macro>

[(an imitation) blood orange]
REFLECTION
重力と呼吸
SOUNDTRACKS
Mr.Children 2011-2015
Mr.Children 2015-2021&NOW
miss you


ほかに聴いたアルバム

OITOMA/大森元貴

現在人気沸騰中のバンドMrs.GREEN APPLEのボーカリスト、大森元貴による初のソロEP。NHKEテレの「天才てれびくん」に提供した「こたえあわせ」のセルフカバーも収録されていて、娘が同番組を見ているのですが、この曲、かなりよく口ずさんでいます。ここらへんの曲のインパクトの強さ、いい意味に万人受けする曲の壺を心得ている点が、彼の才能であり、ミセスが人気を確保している大きな理由なのかな、と思ったりもします。今回のソロ作、バンドとして人気絶頂期の今にあえて出すということもあって、バンドで出来ない実験的な作風・・・というのが一般的な評価で、確かにアンビエント的な色合いを強めた曲などもあって、その挑戦は垣間見えるのですが・・・基本的にはミセス同様、メロディアスでポップな作風が主軸。基本的に根っからのポップミュージシャンで、「実験的な曲」に本来は合ったミュージシャンじゃないんでしょうね。まあ、ソロ作なのでそこらへんは自由に演ればいいですし、それが出来るというのはミセス人気があるからの特権だと思うのですが。

評価:★★★★

Bloomin'/ユッコ・ミラー

その奇抜なファッション性と、見た目に寄らず高い技術を持ったサックスプレイで注目を集めるジャズサックスプレイヤー、ユッコ・ミラーのメジャーデビュー10周年を記念したアルバム。今回は初の全曲オリジナル曲という意欲的な作品で、彼女らしいアグレッシブなサックスプレイを聴かせてくれる曲を軸に、「AKUJYO」では和太鼓を取り入れて和風な楽曲に仕上げてきたり、「Hair Style」「Anemone」ではなんと本人がボーカルに挑戦。このボーカルがなかなか魅力的で、最初、本人歌唱と気が付かなかった・・・。メジャーデビュー10年目にして、さらに先へと向かおうとする彼女の挑戦心を強く感じる、意欲的な作品でした。

評価:★★★★★

ユッコ・ミラー 過去の作品
SAXONIC
Kind Of Pink
Ambivalent
Link(ユッコ・ミラー feat.H ZETTORIO)

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2026年6月 7日 (日)

はじめて(?)のクラシックコンサート

第30回記念スーパークラシックコンサート ペルカ・ポペルカ指揮 ウィーン交響楽団

ピアノ 角野隼斗

会場 愛知県芸術劇場コンサートホール 日時 2026年5月28日(木)18:45~

Classic1

今回はライブ・・・・・・というよりもコンサートのレポートです。それもクラシック音楽。以前から、クラシックのアルバムについてもちらほら聴いていて、コンサートも行きたいなぁ、と思っていたのですが、足を運んできました。ウィーン交響楽団によるコンサート。さらにピアノはあの角野隼斗がゲストで参加!交響楽団のコンサートは、おそらく子供の頃に親につれられて足を運んだことがあるような気もするのですが、おそらく、海外の交響楽団によるコンサートに足を運ぶのは初めての経験。どんな感じだろう・・・とちょっとドキドキしつつ足を運びました。

観客層は、シニア層がやはり一番目立つ一方、30代、40代あたりもチラホラ。年齢層の平均は高めながらも、全体的には30代以上、幅広い観客層だったように感じます。コンサートは定刻通り、18時45分にスタート。劇団員が会場入りし、最後に指揮者のぺルカ・ポペルカが盛大な拍手の中にステージに入り、コンサートがはじまります。

1曲目はドヴォルザークの序曲「謝肉祭」Op.92。はじめて聴きます。そしていざ演奏がはじまると・・・まず感じたのは、演奏がすごく美しい!いや、交響楽団の演奏は、もちろんCDで何度も聴いているのですが、こうやって生で聴くと、その演奏の美しさがより際立つ感じがします。とにかく聴いていて心地よい、そんな感覚がまず最初に来ます。とても心地よく、演奏を楽しむことが出来ました。

それに続く2曲目はラヴェルのピアノ協奏曲 ト長調M.83。ここでピアノに角野隼斗が登場。ステージ中央に設置されたグランドピアノでの演奏をはじめます。

この曲もおそらくはじめて聴いた1曲なのですが、これはラヴェルがアメリカの音楽に影響を受けて書いた曲だそうで、クラシックのイメージよりも、よりモダンな感じが。トランペットの軽快なサウンドが加わり、ジャズ的な要素も感じさせる曲で、そういう意味では、クラシックにあまりなじみの薄い私のような人間でも、すんなり楽しめるような曲だったと思います。角野隼斗のピアノをふくめて、とても楽しむことが出来ました。

終わった後、盛大な拍手が。角野隼斗はステージ袖に下がりますが、拍手に応じてすぐに戻ってきて、さらに再びステージ袖へ。2回目の登場の後、アンコールへ。さきほどの曲が、ラヴェルがアメリカの音楽に影響を受けたということで、今度は逆にアメリカの音楽家がヨーロッパ音楽に影響を受けた曲、ということでガーシュインの「パリのアメリカ人」を披露。こちらはトランペットとコントラバス、パーカッション、ピアノの四重奏による演奏なのですが、パーカッションのリズムも加わって、角野隼斗のピアノもどちらかというとジャズ寄りの演奏。クラシック音楽とはかなり雰囲気の異なるステージながらも、易々とジャズ風の演奏をこなす角野隼斗の実力も感じさせるステージでした。

その後は20分の休憩に入り後半へ。後半はドヴォルザークの交響曲第9番 ホ短調 Op.95「新世界より」。特に第1楽章のメロディーは、歌詞がつけられて、「遠き山に日は落ちて」という歌でも知られている曲ですね。耳なじみのあるフレーズが登場し、私のような初心者にもおなじみの楽曲。心地よく、その演奏を楽しむことが出来ました。

演奏が終了すると盛大な拍手が。指揮者は一度舞台袖に下がった後、再び登場。さらに舞台袖に下がり、2度目の登場の後、アンコールへ。アンコールはドヴォルザーク スラブ舞曲Op.72-2という曲。5分程度の短い楽曲でした。その後も盛大な拍手が起こり、舞台袖に戻った指揮者が再び2度、ステージに戻った後、ダブルアンコールへ。2曲目はヨハンシュトラウスⅡのポルカOp.324「雷鳴と電光」という曲を披露。ここでコンサートは終了。終了は21時ちょっと前で、2時間強のコンサートでした。

そんな訳で事実上、はじめてのクラシックのコンサート。クラシック初心者の私にとって、ともすれば退屈に感じるのではないか、とも心配していたのですが、全然そんなことはありませんでした。まずなにより、とても美しい交響楽団の音色やハーモニーに酔いしれて、曲が知っているかどうかよりも、この「音色」に終始、惹きつけられたステージでした。この美しい音色はずっと聴いていられるような感じ。全体的に優しく包み込むような感じの演奏に感じられ、これは指揮者の個性が出ていたのでしょうか。とても心地よさを感じるステージでした。

一方、クラシック初心者ゆえにとまどう「お約束」の部分も。クラシックのコンサートでもアンコールがあるのははじめて知りましたし、指揮者が舞台袖に引っ込んだ後、すぐに登場する(それも何度も!)アンコールのスタイルも、ポップスのライブになじみのある人間にとっては、ちょっと奇妙な印象も受けました。

予想以上に楽しく、満足感のあるコンサートでした。さすがにポップスのライブにあれだけ足を運んでいて、それプラス、クラシックの、というのはなかなか時間が取れないのですが、機会を見つけてまた、良さげなクラシックのコンサートに足を運びたいなぁ。すっかりクラシック音楽に魅了された2時間でした。

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2026年6月 6日 (土)

トゥアレグ族としての原点をみつめつつ、政治性のあるメッセージも

Title:Hoggar
Musician:Tinariwen

本サイトでも毎作取り上げていますので、すっかりおなじみかと思います。サハラ砂漠西部を拠点とする、ベルベル人系の遊牧民、トゥアレグ族によるバンド、Tinariwen。現地の民族音楽の要素を取り入れたそのサウンドは、ブルースに近い雰囲気を醸し出しているため、「砂漠のブルース」と呼ばれ、世界中で高い評価を受けています。

本作はそんな彼らの10枚目となるオリジナルアルバム。直近作「Idrache (Traces Of The Past)」は未発表音源を集めた企画盤的な作品でしたので、オリジナルアルバムとしては「Amatssou」以来、約3年ぶりとなる新作となります。前作「Amatssou」はカントリーやフォーク、ロックやサイケデリックなどの要素を積極的に取り入れた作品となっていますが、今回のアルバムはトゥアレグ族の民俗音楽に回帰した作品になっている点が特徴的。特に、前作「Amatssou」の後のツアーを実施した後、民族紛争の影響でマリ北部の彼らの本拠地を去り、アルジェリアに移住せざるを得なくなった彼ら。今回のアルバムタイトル「Hoggar」はトゥアレグ族にとって象徴的な場所であるアルジェリア南部のホガール山脈にちなんでつけられたそうで、トゥアレグ社会をあらためて見つめなおした作品と言えるかもしれません。

そんな新作の1曲目「Amidinim Ehaf Solan」は、実に彼ららしいと言えるコールアンドレスポンス主体のデザートブルース。実に彼ららしい楽曲からのスタートとなっており、本作を象徴する出だしとも言えるでしょう。力強いグルーヴィーなサウンドが特徴的な「Erghad Afewo」は、彼ららしい砂漠のブルースの作品。歌詞は民族紛争をテーマとした政治的な作品ともなっており、こちらも本作のテーマに沿った作品に。6分にも及ぶ長尺の曲ながら、彼ららしいミディアムでグルーヴィーなサウンドを聴かせる「Tad Adouya」もまた、彼ららしさを強く感じる作品。ちなみに本作では、アルジェリアの若手ロックバンドImarhanのIyad Moussa Ben Abderahmaneが参加。若手への音楽の継承という、このアルバムのテーマのひとつを象徴する作品となっています。

基本的に、そんなTinariwenらしい作品が並ぶ本作ですが、そんな中でもいままでの作品とはちょっと異なる点は、女性ボーカルを積極的に取り入れている点で、「Sagherat Assani」では積極的に女性ボーカルを前面に押し出した楽曲に。アルバムの中でもひとつのインパクトとなっていますが、この作品は、トゥアレグ族の女性がかかえている問題を提起した作品となっているそうです。

その後もテンポよいリズムと明るいサウンドが気持ちよい「Amidinin Wadar Nohar」やアコースティックなサウンドで渋くブルージーに聴かせる「Khay Erilan」など聴かせどころもたくさん。ラストを飾る「Aba Malik」はサイケな雰囲気たっぷりの妖艶なサウンドとグルーヴィーなリズムが特徴的。ちょっと不気味な雰囲気での締めくくりなのは、現状の容易ならざるトゥアレグ族の状況を描写しているのかもしれません。

全体的には、Tinariwenらしさを感じさせる、トゥアレグ族としての原点を彷彿とさせる原点回帰的な作風となりつつ、女性ボーカルを前に押し出したりすることにより、バリエーションも感じさせるような作品に。実に彼ららしい作品でおそらく、昔からのファンにとっては気に入る作品になっているのではないでしょうか。また、Tinariwenを最初に聴く作品としても、彼らの特徴がしっかりと出ている作品になっていました。彼らの魅力を感じつつ、本作のテーマともなっているトゥアレグ族をめぐる状況も、いろいろと考えさせられる1枚でした。

評価:★★★★★

TINARIWEN 過去の作品
IMIDIWAN:COMPANIONS
TASSILI
EMMAAR
Live in Paris(不屈の魂~ライヴ・イン・パリ)
ELWAN
Amadjar
Amatssou
Idrache (Traces Of The Past)


ほかに聴いたアルバム

Live at Rockpalast 1999/Dr.John

Drjohn1999

1999年に、テレビ番組「ロックパラスト」のために行ったライブの模様を収めたライブアルバム。Dr.Johnが軽快に演奏するピアノを主軸に、終始陽気で軽快な楽曲が並ぶ作品。ブルースやファンク、ラテンなどの要素も取り入れて、バラエティーに富んだ作風も魅力的。Dr.Johnの王道とも言える作品が並びますが、それだけに、難しいこと抜きにして楽しめるライブアルバムになっていました。

評価:★★★★★

Dr.John 過去の作品
Locked Down
Ska-Dat-De-Dat:Spirit of Satch
Live In Sweden 1987(Johnny Winter with Dr.John)
Dr. John: The Montreux Years

Aldeia Coração/Antonio Loureiro

ブラジルのマルチ楽器奏者でシンガーソングライターのAntonio Loureiroの単独名義では約7年ぶりとなるニューアルバム。ブラジル音楽のMPBにジャズの要素を加えた独自の音楽性は相変わらずながら、今回の作品は「Vai Cair」のようにエレクトロの要素も入れた曲もあり、新たな挑戦も感じます。その一方、歌モノの作品も目立ち、いい意味で聴きやすくポップになったような印象も。ジャズ、ブラジル音楽、ポップ、エレクトロがほどよいバランスで聴かせてくれるアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★★

Antonio Loureiro 過去の作品
Antonio Loureiro
So

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2026年6月 5日 (金)

その「音楽的素養」に驚き

Title:BAA,AS THE SHADOWS LOOM
Musician:No.MEN

今回紹介するのは、最近、注目をあつめつつある4人組ガールズバンド。ガールズバンドと言われると、いかにもチャットモンチー直系のポップスロックバンド的なものを想像しますが、彼女たちのタイプは全く別。ブラックミュージックやファンクなどの要素を取り入れた、独特の音楽性が注目を集めています。

まさにこのアルバムも、オープニング的な1曲目「BAA,AS THE SHADOWS LOOM」ではメロウなサックスからスタート。気だるい感じの語りからスタートする、80年代ソウル的な楽曲からスタート。さらに「黙示録」でも、ファンキーなベースラインが特徴的な、ファンクやソウル、ジャズなどの要素を取り入れた作品に。MVも作成され、アルバムの表題曲ともなっている「Unlovable」もメロウなソウルチューンとなっており、軽快でファンキーなリズムが心地よい、アーバンな楽曲に仕上がっています。

ただ、そんなソウルやファンクの要素を取り入れた楽曲をベースにしつつも、それだけにとらわれない幅広い音楽性も大きな特徴で、まず序盤「Setelan」は、ファンキーなトラックを聴かせつつも、HIP HOP的な要素を取り入れた曲。ソウルからの影響にはルーツ志向を感じさせる彼女たちですが、一方では、ちゃんと「現代風」な音も楽曲に加えています。

さらに中盤の「GAME」は、エレクトロサウンドを中心に据えたディスコチューン。続く「Dear B.Dash」もエレクトロサウンドを取り入れたスペーシーな作風となっており、前半のソウルやファンク、ジャズ中心の作風からはグッと変わったエレクトロチューンのリズミカルな楽曲が並んでいます。

そして後半は比較的シンプルなギターロックがメインに。「斜陽」は、しんみり聴かせるちょっとフォーキーな作風の作品に。さらに「Hug」では、ポップで軽快なギターロックのナンバーに。シンプルなギターロックのサウンドは、ちょっと少年ナイフっぽさも感じさせる部分も。さらにはラストを飾る「surrender」はダウナーでノイジーなギターサウンドを主軸に入れたサウンドで、ちょっとシューゲイザーからの影響すら感じさせるあたり、序盤の彼女たちの作風からは大きく異なり、その音楽性の広さは驚きでもあります。

そんな感じで幅広い音楽性に驚かされる1枚なのですが、さらにメンバーの平均年齢が18歳という若さにも驚き。特にソウルやファンクの影響を受けた曲に関しては、非常に大人なサウンドを醸し出しており、これだけ若いメンバーが、どこでその音楽的素養を身に着けたのか、驚かされます。ちなみに、彼女たち、名古屋出身のバンドということで、その点でも応援したくなりますが・・・本当に末恐ろしい感じもあるバンド。徐々に注目を集めてきているようですので、今のうちに是非ともチェックしておきたいところ。これからの活躍が、本当に楽しみになってくる1枚です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

SHISHAMOでした!!!/SHISHAMO

今年6月の等々力陸上競技場でのワンマンライブを最後に活動休止を発表した3ピースガールズバンドSHISHAMOが最後にリリースしたベストアルバム。メンバーそれぞれがセレクトした楽曲が収録されており、宮崎盤は切ないラブソングが目立ち、松岡盤はほっこりとしたラブソングが目立ち、吉川盤はロックなナンバーが目立つと、それぞれの嗜好が見えてくるのがおもしろいところ。ただ、全体的に良くも悪くもシンプルなオルタナ系のギターロック+女の子の素直の心境を綴ったラブソングというスタイルがメインで、それはそれでインパクトもあってよく出来ている一方、バラエティーという観点ではちょっと物足りなさも感じてしまいます。歌詞かサウンドか、どちらかにもうちょっとバラエティーを広げてもらったらもっとおもしろいバンドになったと思うのですが・・・。

評価:★★★★

SHISHAMO 過去の作品
SHISHAMO 3
SHISHAMO 4
SHISHAMO 5
SHISHAMO BEST
SHISHAMO 6
SHISHAMO 7
ブーツを鳴らして-EP
恋を知っているすべてのあなたへ
ACOUSTIC SHISHAMO
SHISHAMO 8

kurayamisaka tte, doko? #6 「くらやみざかより愛を込めてツアー」 (kawasaki CLUB CITTA')/kurayamisaka

Kurayamisakattedoko6

最近注目のロックバンド、kurayamisakaの配信限定ライブアルバム。昨年11月9日に、神奈川のCLUB CITTA'で行われたライブの模様を収録したアルバム。90年代のオルタナ系ロックやシューゲイザー系の王道を行くようなサウンドで、ある意味、目新しさはないものの、奇をてらわないストレートなオルタナ系ロックへの愛情が心地よさを感じます。ライブで轟音で聴くのは気持ちよさそう。一度、ライブにも足を運んでみたいなぁ。チケットを確保するのは難しいようですが・・・。

評価:★★★★★

kurayamisaka 過去のアルバム
kurayamisaka yori ai wo komete

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2026年6月 4日 (木)

BTS、HANAは変わらず

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

BTSとHANAは先週から変わらず。

まずBTS「ARIRANG」は今週で通算9週目の1位獲得。ベスト10及びベスト3ヒットを11週連続に伸ばしており、また、ストリーミング数も11週連続で1位となっています。また、HANA「HANA」も先週から変わらず3位をキープ。こちらは14週連続のベスト10ヒット&ベスト3ヒット。ストリーミング数も11週連続の2位となり、11週連続、ストリーミング数はBTSとHANAが1位2位で並ぶ結果となっています。

その間を縫うように2位にランクインしたのがIVE「LUCID DREAM」。CD販売数1位、ダウンロード数4位。韓国の女性アイドルグループ。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上11万9千枚で1位初登場。直近は韓国盤のアルバム「REVIVE+」で同作の初動1万6千枚(8位)からアップ。国内盤の前作「Be Alright」の初動16万5千枚(1位)からはダウンしています。

4位以下の初登場盤は、4位に韓国の女性アイドルグループaespa「LEMONADE」がランクイン。CD販売数3位、ダウンロード数1位、ストリーミング数16位。5位にはPRODUCE 101 JAPAN 新世界「35 BOYS 5 CONCEPTS」が先週の19位からランクアップし、ベスト10初登場。JO1やINIを輩出した男性アイドルのオーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN 新世界」で披露された曲を集めたオムニバス盤。9位にも韓国の女性アイドルグループLE SSERAFIM「'PUREFLOW'pt.1」が初登場。ダウンロード数5位、ストリーミング数7位。さらに10位には、韓国の男性アイドルグループSUPER JUNIORのメンバー、イェソンのソロアルバムSUPER JUNIOR-YESUNG名義による「咲き誇る時を待つのは」が初登場。CD販売数2位。

ロングヒット盤ではヨルシカ「二人称」が8位から7位にアップ。これで13週れんぞくのベスト10入り。「超かぐや姫!」は6位から8位にダウン。こちらは17週連続のベスト10ヒットとなりました。一方、King&Prince「STARRING」は12位にダウン。ベスト10ヒットは通算21週でストップ。また、現在、Hot100で「夜の踊り子」が躍進中のサカナクションですが、今週「sakanaction」は11位にダウンしてしまいました。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

Heatseekers Songsは今週もOddRe:「睡る君」が1位獲得。これで3週連続の1位獲得。ラジオオンエア数は2週連続の1位。ただ、Hot100は30位から38位にダウンしています。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

今週1位は大漠波新「メモリー」が先週の4位からアップし、チャートイン2週目にして1位獲得。大漠波新は2021年から活動を行っているボカロP。2025年には、「無色透明祭Ⅱ」で話題となった「のだ」がヒットを記録しています。2位はぬゆり「つづく闘争」が初登場で獲得。3位には先週1位、ピノキオピー「歌姫失格」がツーランクダウンながらもベスト3をキープしています。

今週のHot Albums&Heatseekers&ボカロチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2026年6月 3日 (水)

女性アイドルグループが初登場で並ぶ中

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

まず上位には女性アイドルグループの初登場曲が並びました。

まず1位はアソビシステム所属の女性アイドルグループCUTIE STREET「キュートなキューたい」がランクイン。テレビ東京系アニメ「ポケットモンスター」エンディングテーマ。CD販売数1位。オリコン週間シングルランキングでは初動売上44万1千枚で1位初登場。前作「キューにストップできません!」の初動37万8千枚(2位)からアップ。

2位は大阪に拠点を置くAKB48の姉妹グループ、NMB48「初めてのオール」。CD販売数2位、ラジオオンエア数6位。オリコンでは初動売上11万8千枚で2位初登場。前作「青春のデッドライン」の初動13万3千枚(2位)からダウン。

そしてサカナクション「夜の踊り子」は先週からワンランクダウンながらも3位にランクインとベスト3をキープ。ストリーミング数は3週連続の1位。ダウンロード数も3週連続の3位。ただし、動画再生回数は1位から2位にダウンしています。

続いて4位以下ですが、今週は初登場曲は1、2位の2曲のみ。一方、ベスト10圏外からの返り咲きが2曲ランクイン。まず7位に嵐「Five」が先週の13位からランクアップ。4月1日付チャート以来、9週ぶりのベスト10返り咲き。もちろん、先月31日に東京ドームで行われたラストライブの影響でしょう。

もう1曲、M!LK「アイドルパワー」が13位から10位にアップ。3週ぶりにベスト10返り咲き。特に動画再生回数が19位から4位にアップしています。M!LKは「好きすぎて滅!」が先週と変わらず4位に、「爆裂愛してる」も同じく先週と同順位の5位をキープ。「好きすぎて滅!」は動画再生回数が3週ぶりの1位返り咲きで、カラオケ歌唱回数は11週連続の1位。これで26週連続のベスト10ヒット。「爆裂愛してる」も16週連続のベスト10ヒットとなりました。

ほかのロングヒット曲は、米津玄師「IRIS OUT」が先週と変わらず6位をキープ。ストリーミング数は3週連続の3位。これでベスト10ヒットは37週連続に。

また、Mrs.GREEN APPLE「lulu.」も8位から9位にダウンしたもののベスト10入り。これで通算18週目のベスト10ヒットとなっています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heatseekers&ボカロチャート!

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2026年6月 2日 (火)

12年ぶりにオシャレキシ登場!

レキシ vs オシャレキシ TOUR 2026~RETURN OF OSHAREKISHI~

会場 Niterra日本特殊陶業市民会館フォレストホール 日時 2026年5月27日(水) 18:15~

ほぼ毎回、足を運んでいるレキシのライブ。今回のライブツアーは、オシャレキシこと上原ひろみとのコラボツアー。2014年にもこの上原ひろみとのコラボツアーが開催されているのですが、それ以来、約12年ぶりのレキシとオシャレキシのコラボツアーとなりました。

Osyarekishi

この日のライブは18時15分スタートという早めのスタート。ただ、18時半スタートと勘違いして、会場に到着したのは18時20分頃。もうライブはスタート。完全に遅刻してしまいました・・・。とはいえ、この時点でまだ1曲目がスタートした段階。あわてて席につき、ライブに参加します。

その1曲目ですが、いつもはアンコールで行う「狩りから稲作へ」からはじまっておりちょっとビックリ。ただ、レキシのいつもの曲の中で、上原ひろみが自由にピアノの演奏を行い、途中からはレキシのライブバンドに指示をして、自由に演奏をはじめる始末。完全に翻弄されつつ、途中でレキシがピアノの蓋を閉めて強制終了(笑)。そのままオシャレキシはステージ上から追い出される形で、ライブは進行しました。

続いて「姫君Shake!」へと続いたのですが、段ボールで作られた電信棒の作り物が登場。その電信棒に隠れる(?)形でこっそりオシャレキシが再登場。もちろん、バレバレの登場にレキシに突っ込まれて、再度、オシャレキシがピアノにつきます。その後の「姫君Shake!」ではいつもと異なるジャジーなアレンジが加わるスタイル。

この曲の途中でメンバーのソロパートが加わります。この日のライブでは、レキシのいつものライブメンバーに加えて、今回のライブのために新たなが加わるスタイル。途中、トランペットがマイク持参でステージの中央にやってきて、レキシを突き飛ばして、無理やりソロをスタートさせます。このトランペットのMC輔大夫こと佐瀬悠輔は今回のライブで新たに加わったメンバーで、突き飛ばされたレキシは「誰だ、お前は!」と怒りながら(?)突っ込みます。

さらにおなじみの「GOEMON」もオシャレキシが加わることによりジャズアレンジに。この日はなんと五右衛門にちなんで五拍子のアレンジとなっており、微妙に難しい拍子にレキシが翻弄されつつも、ちょっといつもと異なる雰囲気の「GOEMON」を聴かせてくれます。その後も「SAKOKU」へと続き、ここでレキシとオシャレキシが共にビニールのイルカをもって登場。こちらもちょっと早めの「KMTR645」となります。「自分のライブではこういうことやらないからうれしいんでしょ!」とレキシに突っ込まれる、ワクワクでビニールのイルカをかかえるオシャレキシがかわいらしかった(笑)。

そんな訳で観客席にイルカが投げ入れられ、おなじみ、イルカが観客席で舞います。そんな中、オシャレキシは一度ステージから去り、今度はおしゃれな装飾をほどこされたピンクのイルカを持って再登場。このピンクのイルカがピアノの端にセットされ、途中からはジャズアレンジでの「KMTR645」となります。全く違った曲調の「KMTR645」にしばし魅了されます。

そしてここでみんな着席。ジャズのスタンダードナンバー「チュニジアの夜」と、レキシの「縄文オンリーナイト」を(無理やり)合体させたナンバーに。意外な試みながらも、意外とピッタリとはまり、ジャジーな雰囲気でしんみり聴かせます。さらには「きらきら武士」へ。途中、再びトランペットのソロがあり、MC輔太夫がレキシを突き飛ばすというネタも。後半はオシャレキシのメロウなピアノソロと展開する中、ジャズのスタンダードナンバー「Just Two Of Us」を聴かせ、その後、レキシが「サザエさん」やら「となりのトトロ」やら「銀河鉄道999」やら「ガンダーラ」やらを、メロウなピアノにのせて無理やり歌う、というある意味、レキシのライブらしい展開となります。

その後は「salt&stone」へ。ここで途中、ドラムの蹴鞠Changこと玉田豊夢のダイナミックなソロパートがありつつ、その後、レキシが、白いマントに電飾をつけたド派手な服で登場し、会場を笑わせます。ここではレキシがキーボードを持っての登場。レキシの弾くキーボードとオシャレキシのピアノのセッションが繰り広げられます。レキシこと池田貴史はもともとキーボーディストですから、いわばミュージシャン池田貴史の本領発揮、となりました。

そして本編ラスト「LOVEレキシ」へ。こちらもジャズなアレンジを加えつつしんみり聴かせ、本編は一度幕を下ろします。

もちろん、その後はアンコールへ。やがてメンバーが登場。オシャレキシも登場し、ムーディーはセッションを聴かせるのですが、途中から「YO~!YO~!」とHIP HOP風の掛け声が流れてきます。この「YO~!YO~!」が続いたかと思ったら、レキシと、トランペットのMC輔太夫がラッパーの(それもオールドスクールの)衣装を着て、ラッパーのスタイルで登場。客席を笑わせます。あの、トランペットがレキシを突き飛ばす演出は、ここへの前振りだったんですね。ラップバトルらしいものをはじめるのですが、もちろんグタグタ(笑)。「名古屋はなごやかな人が多い~」と、無理やり韻を踏んだラップ(??)で会場を沸かせます。

アンコールはそのまま「SHIKIBU」、そしてちょっと意外だったのですが、再び「狩りから稲作へ」へ!会場には大盛り上がりとなり客席では稲穂が揺れます。最後は「高床式~」から「劇団四季~」となって、「キャッツ!!」というお約束の展開に。ある意味、いつものレキシのライブで会場の幕は下ろされます。

終了はほぼ21時で、約2時間45分のステージ。基本的にはいつものレキシのステージに上原ひろみが参加するスタイルでのステージ。ただ、レキシではおなじみのお笑い芸人をつかった映像ネタは登場しませんでしたし、アンコール後のバンドメンバー全員でのコスプレのネタもなし。あくまでもオシャレキシとのセッションに軸を置いたステージになっていました。

ただ、今回思ったのですが、レキシのライブとジャズ的なセッションの相性はよさそうですね。いつものレキシのライブも、曲の途中でいきなりレキシのネタが挟まれる、自由度の高いステージ。こういうライブのスタイルは、ある意味、自由なジャズのセッション的とも言えるように思います。そういう意味でも、レキシのライブ自体、ジャズのライブのスタイルとも相性がよく、この日のステージも、オシャレキシとのセッションが多く挟まれ、演奏もジャズアレンジに大きく変わっていたのですが、基本的にはいつものレキシのライブというスタイルを変えることなく、エンタテイメント性高いパフォーマンスを楽しむことが出来ました。

相変わらずのレキシのライブは楽しかったですし、オシャレキシこと上原ひろみのピアノのパフォーマンスも堪能できたステージ。次はいつになるかわかりませんが、また、レキシvsオシャレキシのライブも見てみたいです。とても楽しいひとときでした。

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2026年6月 1日 (月)

大人のシンガーソングライターへの脱皮

Title:Ricochet
Musician:Snail Mail

アメリカのシンガーソングライター、リンジー・ジョーダンによるソロプロジェクト、Snail Mailの約5年ぶりとなるアルバム。比較的シンプルなオルタナ系ギターロックとポップなメロディーラインが心地よい作品を聴かせてくれ、毎作、高い評価を得ている彼女ですが、ちょっと久々となるニューアルバムについても、比較的シンプルでポップな楽曲を聴かせてくれる、心地よい傑作に仕上がっていました。

本作が3作目となるアルバム。いままで2作品も彼女の作品を聴いてきたのですが、前作「Valentine」に関しては、1枚目の「Rush」と比べるとあか抜けた、という印象を受ける作品になりました。今回の作品に関しては、前作に比べて、より清涼感のあり、カントリー寄りとなった作風は、前作以上にあか抜けた印象を受ける作品となっていました。

例えば序盤の「Light On Our Feet」はストリングスを取り入れて、伸びやかで清涼感ある作風になっていますし、「Cruise」も、比較的カントリーの色合いの強い作風が特徴的。後半の「Hell」なども、ストリングスが入って清涼感ある心地よいポップチューンとなっていますし、ラストを締めくくる「Reverie」もフォーキーに聴かせるタイプの曲となっており、初期衝動的な感じのあった初期のオルタナ系ギターロック路線に比べると、かなり「大人」になったという印象も受けます。

もっとも、初期の彼女から変わらない、オルタナ系ギターロックの王道を行くような作品ももちろん聴かせてくれており、1曲目を飾る「Tractor Beam」はストリングスを入れつつも、基本的にはギターロックの作品になっていますし、「Agony Freak」は力強いギターサウンドを聴かせてくれる作品になっていますし、ノイジーなギターをバックにダウナー気味のボーカルが加わる「Nowhere」はまさにそんなオルタナ系の王道といった感じの作風。「Butterfly」も彼女の声を生かしたキュートなメロを聴かせつつ、テンポよいギターサウンドが加わる、いわばオルタナ系ギターロックが好きなら壺に入りそうな作品ですし、前述の「Hell」も後半では、ノイジーなギターサウンドが楽曲に加わってきたりもします。

デビュー時に19歳だった彼女も現在は26歳。まだまだ「若い」というイメージも強いのですが、間違いなく大人のシンガーソングライターに成長を遂げているといった感じを受けます。そんな「大人寄り」になった今回の作品は、初期衝動的な部分が魅力だった以前の作品に比べると、賛否がわかれている部分があるようですが、シンプルでポップなメロを聴かせるギターロックというスタイルは大きくは変わっていませんし、そんなポップな楽曲は本作でも魅力的。間違いなく、オルタナ系ギターロックが好きなら気に入りそうなアルバムだと思います。もちろん、まだまだ今後の成長の余地も感じられ、彼女自体、その途上といった感じでしょう。Snail Mailの活動からはまだまだ目が離せなさそうです。

評価:★★★★★

Snail Mail 過去の作品
Lush
Valentine


ほかに聴いたアルバム

Future Soul/Tedeschi Trucks Band

テデスキ・トラックス・バンドの約4年ぶりとなるニューアルバム。いままでの彼らの作品と同様、カントリーやブルースの色合いの強い、いわばアメリカーナ的な曲調のロックが目立つ反面、ハードロックやさらにはグランジの影響を感じさせる曲も見受けられる本作。「Future Soul」というアルバムタイトル通り、新たなスタイルのロックを取り入れた未来志向のアルバム、と言えるかもしれません。もっとも、グランジにしても、もう30年近く前のジャンルではあるのですが・・・。

評価:★★★★

TEDESCHI TRUCKS BAND 過去の作品
Revelator
MADE UP MIND
Let Me Get By
Signs
I Am The Moon:Ⅰ.Cresent
I Am The Moon:Ⅱ.Ascension
I Am The Moon: III. The Fall
I Am The Moon:Ⅳ.Farewell
Tedeschi Trucks Band and Leon Russell Present:Mad Dogs&Englishmen Revisited Live at LOCKIN'(Tedeschi Trucks Band&Leon Russell)

U/underscores

Underscores

アメリカ・サンフランシスコ出身のミュージシャン・プロデューサー、April Harper Greyによすソロプロジェクトの新作。力強いエレクトロビートに、彼女の清涼感あるボーカルがのるスタイル。前作はかなり実験的な作品で、本作も、そんな実験性を感じるものの、彼女のポップな歌が入ることによって、比較的、聴きやすさもある作風に。また、トライバルなリズムを取り入れたり、フォーキーなサウンドが入っていたりというバラエティーも感じさせます。

評価:★★★★

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2026年5月31日 (日)

オリジナルに忠実に、演奏は大幅に進化

Title:RELOAD BEST
Musician:PERSONZ

女性ボーカルで、それ以外のメンバーが男性というバンド、以前はかなり王道パターンの組み合わせだったのですが、最近はかなり減ったような印象を受けます。現在活動中で、一定以上の人気のあるバンドというと、ポルカドットスティングレイとパスピエくらいでしょうか。おそらく、以前に比べて女性が自らバンドを組んだり、楽器を演奏したりというスタイルが増え、バンドの中の「アイドル」的に、ボーカルとして女性を祭り上げるようなスタイルが減ったからではないかと思われます。緑黄色社会のように、女性ボーカルでも楽器隊に女性メンバーが加わるというスタイルも増えています。

そんな女性ボーカル+男性メンバーという「王道」スタイルのバンドとして語られるのが、レベッカ、LINDBERG、JUDY AND MARY。いずれも80年代から90年代にかけて一世を風靡したバンドです。そして、今回紹介するPERSONZもそんなバンドの一組。1989年に「DEAR FRIENDS」がヒットを記録し、人気を博しました。ただ、残念ながら、女性ボーカル+男性メンバーというスタイルのバンドの中で、先の3組に比べると語られる機会がちょっと乏しい感も否めません・・・。正直なところ、アルバム単位ではヒットを続けていたのですが、シングル単位では「DEAR FRIENDS」に続く大きなヒットに恵まれなかった点もその理由かもしれません。実際、私自身、「DEAR FRIENDS」がヒットした時はリアルタイムで聴いていませんでしたし、90年代、私が中高生の頃に彼らの曲をリアルタイムではあまり聴いた記憶はありません。

ただ彼らは、一時期ほど話題になることはなくなりましたが、80年代から現在まで、途中休止することなく、現在まで活動を続けています。特に1992年にはギターの本田毅が脱退したものの、2002年より復帰。現在は再びオリジナルメンバーでの活動となっており、現在に至っているそうです。

本作は、そんな彼らの80年代から90年代にかけての代表曲を収録したベストアルバム。「RELOAD BEST」というタイトルの通り、オリジナルメンバーとなった現在のメンバーによって再録音した曲になっています。そこで感じるのはバンド全体としての演奏能力、特にボーカルJILLの歌唱力が大幅にアップしているという点。特に今回、比較検討もあって、本作にも収録されている「DEAR FRIENDS」のオリジナル音源についてもあらためて聴いてみたのですが、正直、オリジナルの方は、声の安定感もなく、正直なところ「上手い」と言えるかどうか、微妙な感がありました。ただ、今回の再録バージョンは声の安定感はもちろんのこと、そこに表現力も加わり、さらにもともと持っていた声量が加わり、間違いなく絶品と言える水準のボーカルを聴くことが出来ます。

加えて現在66歳という年齢ながらも、高音部もしっかりと出ており、年齢的な衰えは一切感じさせません。若い頃の彼女の持ち味はそのままに、年齢を経た魅力が加わった感があり、ボーカリストとして精進を続けてきた感がわかる、その声を聴かせてくれます。

一方、楽曲については、良くも悪くも80年代後半の、90年代J-POP成立直前のビートロックの王道といった感じ。ハードロックの影響を感じさせつつも、ゴリゴリのハードなバンドサウンドをポップに薄め、メロディーラインは耳なじみやすいポップなスタイルに仕上げています。今回の作品、アレンジ的にはほぼ原曲に忠実に仕上げており、音的には多少現代風にはなっているものの、大きな変化はありません。そのため、今の耳で聴くとちょっと時代性を感じてしまう部分はあるのですが、リアルタイムに聴いてきたファンからすると、懐かしさを感じるでしょう。例えば「7COLORS(Over The Rainbow)」のイントロのギターなど、まさにこの時期のJ-POPにありがちなフレーズ。今回、新曲として「DISCOVERY JAPAN 47」が収録されているのですが、こちらの曲もまんま80年代ビートロックといった感じで、良くも悪くも、あの頃のPERSONZのスタイルが続いています。私のようにリアルタイムで彼女たちの楽曲に触れてこなかった人にとっても、80年代90年代J-POPに慣れ親しんだ身としては非常に懐かしさを感じさせる曲が並んでいました。

そういう意味では、JILLのボーカルやバンドの演奏力は大幅にアップしている一方、楽曲的には目新しさを感じさせませんし、良くも悪くも時代性を感じさせる曲が並んでいます。楽曲的にも、こちらも良くも悪くも「売れ線J-POP」という印象も否めず、当時の視点からしても革新的といった印象はあまりありません。ただ、とはいえ中高生の頃からJ-POPを聴いてきたアラフィフ世代にとっては、オリジナルをリアルタイムで聴いてきていなくても懐かしさを感じさせるような曲ばかりで、非常にリスナーの壺をついたポップスが並んでいました。そういう意味で、評価は想い出補正込みの評価で。懐かしさもあって、一度、ライブも見てみようかなぁ。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

JAMBO JAPAN/ザ・クロマニヨンズ

前作から約1年8ヶ月。結成以来、ほぼ1年に1枚ペースでアルバムをリリースし続ける彼らにしては、ちょっとだけ久しぶりとなるニューアルバム。今回のアルバムでは、なんとマーシーが、ザ・クロマニヨンズとしては初となるリードボーカルを担当し、話題に。全体的にはいつものクロマニヨンズ路線の、大いなるマンネリといった印象も受けるロックンロールですが、マーシーのリードボーカルでちょっとだけ変化も感じさせる作品に。マーシーボーカル曲は2曲もあるのですが、そのうち1曲「チャンバラ」では、戦国時代、三方ヶ原の戦いの徳川家康にまつわる有名なエピソードを織り込んでおり、直感的な歌詞の中にちょっとした教養が感じられる点がユニーク。いろいろな面で彼ららしさを感じさせる新作でした。

評価:★★★★

ザ・クロマニヨンズ 過去の作品
CAVE PARTY
ファイヤーエイジ
MONDO ROCCIA
Oi! Um bobo
ACE ROCKER
YETI vs CROMAGNON
ザ・クロマニヨンズ ツアー2013 イエティ対クロマニヨン
13 PEBBLES~Single Collection~
20 FLAKES~Coupling Collection~
GUMBO INFERNO
JUNGLE9
BIMBOROLL
ラッキー&ヘブン
レインボーサンダー
PUNCH
ザ・クロマニヨンズ ツアー PUNCH 2019-2020
MUD SHAKES
SIX KICKS ROCK&ROLL
MOUNTAIN BANANA
ザ・クロマニヨンズ ツアー MOUNTAIN BANANA 2023
HEY!WONDER

From Now to Then/SEAMO

約4年11か月ぶり、ちょっと久々となるSEAMOのニューアルバム。今回、ソニーミュージックから3度目となるメジャーデビューを果たしたそうで、新たな一歩ということもあるのでしょう、「ルパン・ザ・ファイヤー」「マタアイマショウ」「a love story」など、過去の彼の代表曲と、新曲が混在した、ベスト+オリジナルアルバムという形態になっています。結果として、ロック風な曲やエレクトロのナンバー、メランコリックな楽曲や、さらにある意味彼のルーツとも言えるエロ歌詞の曲まで、全体的にポップながらもバラエティー豊富な曲調になっています。この「バラエティー豊富」というのは、曲のジャンルというだけではなく、楽曲の出来不出来も含むので、そういう意味でもバラバラな感が。そこらへんを含んで、SEAMOらしいと言えるのでしょうが。

評価:★★★★

SEAMO 過去の作品
Round About
Stock Delivery
SCRAP&BUILD
Best of SEAMO
5WOMEN
MESSENGER
ONE LIFE
コラボ伝説

REVOLUTION
TO THE FUTURE
LOVE SONG COLLECTION

THE SAME AS YOU(SEAMO&AZU)
ON&恩&音
続・ON&恩&音

Moshi Moseamo?
Glory
Wave My Flag
PERFECT SEAMO

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