2020年1月19日 (日)

世界が注目するシンガーソングライター

Title:Pony
Musician:Rex Orange County

先日、日本で最も注目されているシンガーソングライターの一人として長谷川白紙をあげました。そして今回紹介するのは、おそらく、世界で今、最も注目されている新進気鋭の男性シンガーソングライターの一人と言えるでしょう。イギリスはハンプシャー出身の男性シンガーソングライター、Rex Orange County。イギリスの新人ミュージシャンの登竜門といえる「BBC Sound of 2018」で見事2位を獲得。本作ではイギリスのナショナルチャートで5位を獲得したほか、アメリカのビルボードチャートでも3位にランクイン。ほか、世界各国のチャートでも上位にランクインしており、日本でも2018年にサマソニに来日し、大きな話題となりました。

そんな注目のシンガーソングライターの彼の一番の魅力は、まず1にも2にもメロディーラインの良さ、これに尽きるでしょう。彼の書くメロディーラインは非常にシンプルなポップチューンながらも、切なさと暖かさ、そしてどこか懐かしさが同居するような、まさに「美メロ」という名称がふさわしい、素晴らしいポップチューンが並びます。

今回のアルバムでも冒頭を飾る「10/10」は軽快なポップチューンながらも、明るさの中にどこか切なさを感じさせるメロが耳を惹きますし、続く「Always」は、まさに胸をかきむしるような切なさがさく裂したポップチューン。後半に聴かせるピアノバラードの「Every Way」も切ないメロディーラインがたまらない名曲になっています。「Never Had The Balls」「It Gets Better」のような軽快なポップチューンも聴かせつつも、全体的には日本人にとっても琴線に触れそうな、暖かく懐かしさを感じるメロディーラインを聴かせる楽曲が並んでいます。

そんな美しいメロディーラインを彩るのは、ピアノやアコースティックギターのようなぬくもりのある楽器の数々…なのですが、一方ではリズムはリズムマシーンの音を用いていたりして、単純にアコースティックなサウンドとは異なり、どこか今時の印象すらサウンドからは感じます。また「Laser Ligths」ではラップを取り入れたりもしており、そういう点でも、単純に美しい歌を聴かせるシンガーソングライター…とはいかない音楽的なベクトルも垣間見れます。

実際、かのTyler,the Creatorの楽曲に参加したり、Frank Oceanのライブバンドのメンバーに抜擢されたりと、HIP HOP/R&B系のミュージシャンとの交流も盛んなあたり、「ポップな歌モノ」という枠組みにおさまらない彼の音楽的な方向性をその作品から感じることが出来るでしょう。また、どこか哀愁感あるメロディーラインはいかにもイギリス的であるにも関わらず、アメリカをはじめ世界的なヒットを獲得している点も、もちろんメロディーラインの良さが第一だとは思うのですが、それに留まらない音楽的な可能性を感じることが出来るからではないでしょうか。

なんかここ最近、2020年に入ってから、2019年のベスト盤候補になりそうな名盤が続いていますが、本作も間違いなくそんな傑作アルバムの1枚だと思います。このメロディーの良さから、日本でももっともっと注目が集まりそうな予感も…。間違いなく今後に要注目のシンガーソングライターです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Searching The Continuum/Kurt Rosenwinkel Bandit65

現代ジャズのシーンで大きな注目を集めているアメリカのジャズギタリスト、カート・ローゼンウインケルによる新プロジェクトのニューアルバム。ギターサウンド的にはロック寄りな部分も感じられるため、比較的聴きやすい感も。またフュージョンの色合いも強いサウンドという印象を受けました。哀愁感漂うメロディーラインが耳に残る楽曲が多く、ロックリスナー層も含めて比較的聴きやすさを感じさせるアルバムに。

評価:★★★★

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2020年1月18日 (土)

攻めの姿勢を感じる傑作

Title:cherish
Musician:KIRINJI

キリンジが新生KIRINJIとなって、今年で早くも7年目。もともとメンバーはそれぞれ、個々で活躍していたミュージシャンたちが集まった、いわゆるスーパーグループ的なバンドだっただけに、正直なところ、どれだけ続くんだろう、と危惧していた部分はあったのですが、2017年にコトリンゴの脱退はあったものの、バンドとしてコンスタントな活動を続けています。

そんな中でリリースされた前々作「ネオ」と前作「愛をあるだけ、すべて」はメインのライターである堀込高樹だけではなくメンバーそれぞれがアルバムに積極的に参加。KIRINJIのバンドとしての側面を強調するかのようなアルバムに仕上がっていました。この2枚のアルバムでバンドとしてのKIRINJIの結束を確認できたからでしょうか、今回のニューアルバムはKIRINJIとしての攻めの姿勢を強く感じさせるアルバムになっていました。

まず今回のアルバムは全体的にダンサナブルなナンバーが目立ちます。冒頭を飾る「『あの娘は誰?』とか言わせたい」も、まずはダンサナブルなビートが特徴なスタイリッシュなナンバー。オートチューンを使ったかのような、機械的にすら感じる堀込高樹の無機質なボーカルが楽曲にマッチし、いつものKIRINJIとはちょっと異なる質感の楽曲となっています。

続く「killer tune kills me」も注目のシンガーYonYonがボーカルに参加し、そのメロウな歌声を聴かせてくれています。こちらもテンポよいリズムが特徴的。彼女はソウル生まれ東京育ちのシンガーらしく、途中、唐突に登場する韓国語と、微妙に歌謡曲テイストを感じさせる哀愁感のある日本的にすら感じるメロディーラインに不思議なバランスを感じさせます。

鎮座DOPENESSが参加した「Aimond Eyes」もちょっとトライバル的な要素を感じさせるリズムとラップを加えて、KIRINJIらしいシティポップにHIP HOP的な要素も重ねたユニークなナンバー。楽曲にラップを取り入れるのは今回のアルバムにはじまった話ではないのですが、今回のアルバムの中では一種、攻めの姿勢を感じる楽曲となっています。

中盤以降もリズミカルなトラックにハイトーンボイスで、ちょっと懐かしい雰囲気すら感じさせるファンキーなディスコ風チューン「shed blood!」のような、新たな方向性を感じさせる曲があるかと思えば、逆に「善人の反省」のような、堀込高樹らしい言葉遣いがユニークな、昔ながらのキリンジの世界観を彷彿とさせる曲もあったりします。ただ、この「善人の反省」もサウンドは今風なジャズ路線となっており、こちらも新たなKIRINJIを感じさせるサウンドとなっているのがユニークだったりします。

さらにファンキーでエレクトロなトラックとユーモラスな歌詞が印象的な「Pizza VS Hamburgar」みたいな曲があったり、かと思えば、歌謡曲風の哀愁感あるメロディーが印象に残る「休日の過ごし方」のような曲があったりと、最後まで耳を離せません。そして最後を締めくくるのは、どこか切なく、かつ暖かい雰囲気となるラブソング「隣で寝てる人」で締めくくり。とても心地よい気持ちになりつつアルバムは幕を下ろします。

全体的には生音とエレクトロサウンドをほどよくバランスさせたスタイリッシュな作風が目立つ今回のアルバム。彼ららしいシティポップのサウンドの中にほどよく今どきのジャズの要素やHIP HOP、さらにはエレクトロの要素を織り込んだ攻めの姿勢を強く感じるアルバムになっていました。前作まででバンドとしてのKIRINJIの結束に大きな自信を得たからこそ、これだけ攻めるアルバムをリリースできたのではないでしょうか。2019年を代表する1枚ともいえる傑作アルバム。間違いなくKIRINJIとしての新たな一歩を感じさせる作品でした。

評価:★★★★★

キリンジ(KIRINJI) 過去の作品
KIRINJI 19982008 10th Anniversary Celebration
7-seven-
BUOYANCY
SONGBOOK
SUPERVIEW
Ten
フリーソウル・キリンジ
11
EXTRA11
ネオ
愛をあるだけ、すべて
Melancholy Mellow-甘い憂鬱-19982002
Melancholy Mellow II -甘い憂鬱- 20032013


ほかに聴いたアルバム

ハイパークラクション/ポルカドットスティングレイ

全7曲入り、自身3枚目となるミニアルバム。ファンキーなリズムを聴かせるナンバーやブルージーなギターを聴かせるナンバーなど、前作「有頂天」から引き続き、楽曲のバリエーションが増え、グッとおもしろさも増した感のあるアルバム。それだけに「有頂天」と同様、メロディーラインのインパクトが弱いのが気に係ります。もうちょっと、一度聴いただけで忘れられないようなワンフレーズが欲しいところなのですが。

評価:★★★★

ポルカドットスティングレイ 過去の作品
大正義
全知全能
一大事
有頂天

Quarter Note/山崎まさよし

オリジナルアルバムとしては約3年ぶりとなる山崎まさよしの新作。山崎まさよしらしさはきちんと出ており、決して悪いアルバムではないとは思うのですが、全体的にはどうも良くも悪くもマンネリ気味に感じてしまい、いまひとつピンと来るものがありませんでした。ちょっと内向きというか、おとなしくまとまりすぎているというか…どうにも印象が薄く感じてしまう作品になってしまっていました。

評価:★★★

山崎まさよし 過去の作品
COVER ALL-YO!
COVER ALL-HO!

IN MY HOUSE
HOBO'S MUSIC
Concert at SUNTORY HALL
The Road to YAMAZAKI~the BEST for beginners~[STANDARDS]
The Road to YAMAZAKI~the BEST for beginners~[SOLO ACOUSTICS]

FLOWERS
HARVEST ~LIVE SEED FOLKS Special in 葛飾 2014~
ROSE PERIOD ~the BEST 2005-2015~
UNDER THE ROSE ~B-sides & Rarities 2005-2015~
FM802 LIVE CLASSICS

LIFE
山崎×映画

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2020年1月17日 (金)

J-POPサウンドを作った偉大なるミュージシャン

Title:作編曲家 大村雅朗の軌跡 1976-1999

80年代から90年代にかけて活躍。主にアレンジャーとして数多くのヒット曲を手掛けてきた音楽家、大村雅朗。1978年にリリースされた八神純子の「みずいろの雨」の編曲で注目を集めたのをきっかけとして、その後も松田聖子「SWEET MEMORIES」、吉川晃司「モニカ」、渡辺美里「My Revolution」など数多くのヒット曲の編曲を手掛けてきましたが、1997年にわずか46歳の若さで急逝。多くのミュージシャンや音楽ファンがあまりにも早いその死を惜しみました。本作はそんな彼の軌跡を追った4枚組のCD-BOX。彼が作曲・編曲を手掛けた代表的な70曲が4枚組のCDに収録されています。

ただおそらく残念ながら、編曲家という性質上、大村雅朗の知名度はその業績の高さほどには高くはないかもしれません。私自身は彼が多くの曲の編曲を手掛けていた渡辺美里のファンということもあり、その名前は以前から知っていましたが、今回のボックスセットで彼の仕事を網羅的に知り、80年代や90年代を代表するヒット曲の多さに、あらためて彼の業績の偉大さを感じました。

特にこの作品集を聴くと、中高生のあたりに良く聴いていた楽曲を思い出してとても懐かしさを感じます。特にDisc3以降あたりの曲に関しては、まさに80年代後半から90年代前半の、ちょうどJ-POPという言葉が出るか出ないかという時期のポップスのまさに王道を行くようなアレンジで…というよりも、大村雅朗の作りだした音こそが、私たちが90年代初頭の黎明期のJ-POPと言われてイメージする音そのものとなったのではないでしょうか。まさに彼がJ-POPのサウンドを作り出した、と言っても過言ではないと思います。

実際、彼のアレンジした楽曲を聴くと、その後のJ-POPのサウンドの方向性を感じさせる部分を多々見つけることが出来ます。特にシンセやピアノ、ストリングスなどを多用して、比較的、様々な音を取り入れて楽曲をきらびやかにする方向性は、その後のJ-POPのイメージに共通する部分が大きいのではないでしょうか。

ただこの「音数が多い」という部分に関しては、残念ながらその後のポップスシーンにおいては、ただ単に盛り上げるだけに無意味にストリングスを多用したり、ただ音数が多ければ凝ったサウンドなんだ、という誤った言説すら生まれてきたり、少なくとも、ただただ音数を増しただけのつまらないアレンジの曲が今のポップスシーンでは多く見受けられます。無駄に音を積み重ねられたアレンジにうんざりすることも少なくありません。

しかし今回、大村雅朗のアレンジの曲を聴くと、そういう印象を受けた曲は全くありませんでした。確かに彼のアレンジにも様々な音が疲れています。にも関わらず、全くその音にトゥーマッチという印象を受けません。おそらくすべての音がそこで鳴っていることに意味があり、それぞれの音がパズルのパーツにように、ひとつひとつあるべき場所にピッタリはまり込んでいるからこそ、音数が多くても全く違和感なく、自然に楽しむことが出来る、そんなアレンジとなっていました。

作編曲家として様々なミュージシャンの支持を受け、数多くの名曲のアレンジを手掛けてきた彼ですが、この作品集でその仕事ぶりを聴くと、その理由が十分すぎるほど納得できます。まさにムダのないアレンジ、楽曲の魅力を最大限に引き出すサウンド…彼の才能を存分に感じることが出来る作品集でした。あらためて、46歳というあまりにも早い死が惜しまれます。もし、今でも存命だったら、J-POPシーンはもっとおもしろくなったのでは?そう強く感じてしまった作品集でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

PLANET/佐藤千亜妃

現在、活動休止中のバンド、きのこ帝国のボーカリストによる2枚目のソロアルバム。前作「SickSickSickSick」はかなりポップ寄りの作品に仕上がっていたのですが、本作はさらにポップにシフトした作品に。さらに今回のアルバムは全体的に曲に統一感がなく、バラバラといった印象を強く受ける作品に。正直言うと、ソロ活動によりその方向性を模索した結果、迷走している感も否めないようなアルバムに。きのこ帝国も活動休止前は迷走していた感もあったので、いまだにミュージシャンとしての方向性を定めきれないといった感じなのでしょうか。ポップなメロは悪くはないのですが、残念に感じるアルバムでした。

評価:★★★

佐藤千亜妃 過去の作品
SickSickSickSick

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2020年1月16日 (木)

初のソロアルバムが1位獲得

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

Hot100と異なり、Hot Albumsは正月休み明けの新譜ラッシュが反映された、比較的初登場の多いチャートとなりました。

そんな中、1位を獲得したのは元SMAP木村拓哉の初のソロアルバム「Go with the Flow」でした。CD販売数1位、PCによるCD読取数で2位を獲得。小山田圭吾、槇原敬之、稲葉浩志など豪華なメンバーが多数参加したアルバムで、木村拓哉の、というよりジャニーズの力を感じさせる人選となっています。オリコン週間アルバムランキングでも初動売上12万6千枚で1位を獲得しています。

ちなみに先週は同じ元SMAPの香取慎吾のアルバム「20200101」が1位を獲得。今週も8位にランクインしていますが、奇しくも2週連続で元SMAPのソロアルバムが1位を獲得するという結果となっています。木村拓哉のソロアルバムがリリースを1週ずらせば香取慎吾の1位阻止が出来たところを1週ずらしてくるあたりは、やはり露骨な対立は避けた結果といった感じなのでしょうか。ちなみに香取慎吾のアルバムも豪なミュージシャンの参加が話題となりましたが、木村拓哉のアルバムはどちらかというと既に人気を確立したような「大物」の参加が目立つのに対して、香取慎吾のアルバムはWONKや須田景凪、yahyelといった新進気鋭のミュージシャンたちの参加が目立ちます。以前、SMAPの楽曲は、「こんな人が提供するんだ」と驚くような新進気鋭のミュージシャンが作家陣として参加していたのですが、あの人選は今も香取、草なぎ、稲垣の元SMAP3人の所属する事務所の代表取締役であり元SMAPのマネジャーである飯島三智の人選によるところが大きかったんだな、と感じます

2位には三代目J Soul Brothersのメンバー、登坂広臣ことHIROOMI TOSAKAのソロアルバム「Who Are You?」がランクイン。CD販売数2位、ダウンロード数5位、PCによるCD読取数は21位。オリコンでは初動売上4万1千枚で2位初登場。前作「FULL MOON」の5万4千枚(2位)からはダウンしています。

3位はOfficial髭男dism「Traveler」が先週の2位からワンランクダウンながらもベスト3をキープ。Hot100同様、根強い人気を見せています。

続いて4位以下の初登場盤です。4位には韓国の女性アイドルグループOH MY GIRL「OH MY GIRL JAPAN 3rd ALBUM『Eternally』」がランクインしてきました。CD販売数は3位でしたが、それ以外の順位は圏外となり、総合順位では4位に。オリコンでは初動売上1万7千枚で4位初登場。前作「OH MY GIRL JAPAN 2nd ALBUM」の1万9千枚(7位)から若干のダウンとなっています。

5位には中島みゆき「CONTRALTO」が初登場。約2年ぶりとなるオリジナルアルバム。CD販売数4位、ダウンロード数6位、PCによるCD読取数26位。オリコンでは初動売上1万7千枚で3位初登場。直近作のライブアルバム「中島みゆき ライブ リクエスト -歌旅・縁会・一会-」の1万1千枚(11位)からアップ。前作「相聞」の2万4千枚(4位)からダウンしています。中島みゆきといえば、1970年代から2000年代にかけて4つの年代にわかってオリコンのシングルチャートで1位を記録した、ということが話題となっていましたが、残念ながらついに2010年代はシングルでの1位獲得は出来ませんでしたね。ただ、なんだかんだいっても十分、チャートで上位を獲得できるだけの人気を維持している彼女なだけに、やりようによってはシングルチャート1位も十分狙えたとは思うのですが、あえて記録を狙ったような露骨なシングルの売り方をしなかったのはさすがです。もっとも、2010年代になりオリコンのシングルチャート1位の価値が大幅に暴落したのも間違いないのですが。

6位にはポルカドットスティングレイ「新世界」がランクイン。CD販売数6位、ダウンロード数2位、PCによるCD読取数48位。前作のミニアルバム「ハイパークラクション」からわずか3ヶ月のスパンでのリリースとなるミニアルバムとなります。まあ、昔だったらシングルとしてリリースするところをあえてアルバム形態でリリースしているんでしょうね。オリコンでは初動売上1万1千枚で6位初登場。前作「ハイパークラクション」の8千枚(9位)よりアップ。

初登場最後は男性声優増田俊樹のデビューアルバム「Diver」が7位に入ってきました。CD販売数は5位ながら、PCによるCD読取数が51位に留まり、総合順位ではこの位置に。オリコンでは初動売上1万2千枚で5位初登場となっています。

ロングヒット組では椎名林檎のベストアルバム「ニュートンの林檎~初めてのベスト盤~」は今週、5位から9位にダウンしています。ベスト10ヒットを維持できるか、来週は正念場といった感じでしょうか。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2020年1月15日 (水)

正月休み明けのチャートですが・・・

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週のチャートは集計対象期間が1月6日~12日と休み明けのチャートとなりました。オリコン週間シングルランキングを見ると、初登場曲も多いようですが、そのほとんどが固定ファン向けにアイテム的な感覚でCDを売っているアイドル勢のようで、Hot100ではロングヒット曲がまだまだ目立つチャートとなっています。

まず安定の1位ともいうべきなのがOfficial髭男dism「Pretender」でした。これで5週連続の1位獲得。従来、1位にランクインし続けていたストリーミング数、You Tube再生回数、カラオケ歌唱回数に加え、今週はダウンロード数でも1位を獲得。まだまだ2位以下を寄せ付けない圧倒的な人気を見せつけています。

また今週は「宿命」も8位から6位、「イエスタデイ」も10位から7位に再度のランクアップ。3曲連続ベスト10入りの記録を続けています。2020年もまだまだヒゲダン人気は続きそうです。

一方、年末からヒゲダンに迫る勢いを見せているのがKing Gnu「白日」。今週も2週連続2位にランクイン。You Tube再生回数及びストリーミング数は先週から変わらず2位。ダウンロード数も3位につけてきており、1位の座を虎視眈々と狙っています。一方、「Teenager Forever」も先週の15位から5位に大きくランクアップ。3週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。You Tube公開に合わせて、You Tube再生回数が5位にランクインしてきたことがランクアップの大きな要因の模様。King Gnuもこれで2曲同時ランクインとなりましたが、「Teenager Forever」もロングヒットを記録するのでしょうか。

3位も紅白を機に大きく順位をあげてきた菅田将暉「まちがいさがし」が2週連続の3位を獲得。ダウンロード数は先週の1位から5位にダウンしてしまいましたが、ストリーミング数は先週と変わらず3位をキープ。You Tube再生回数も3位を維持しており、今後のロングヒットが期待されます。

続いて4位以下の初登場曲ですが、Hot100では初登場曲は1曲のみ。8位にPoppin'Party「イニシャル」がランクイン。漫画「BanG Dream!」から派生したプロジェクトにより登場したアニメキャラによるグループ。CD販売数は1位を獲得。PCによるCD読取数2位、Twitterつぶやき数は9位にランクインしましたが、ダウンロード数は16位、その他のチャートは圏外となり、総合順位はこの位置に。オリコンでは初動売上2万7千枚で1位を獲得。前作「Dreamers Go!」の1万9千枚(4位)からアップしています。

一方、冒頭にも書いたように目立ったのはロングヒット勢の活躍。まず4位にLiSA「紅蓮華」が先週と同順位でランクイン。特にダウンロード数では4位から2位へとアップしています。また、米津玄師「馬と鹿」は6位から9位に、あいみょん「マリーゴールド」は9位から10位にダウンしたもののベスト10をキープ。ロングヒットを続けています。

一方でFoorin「パプリカ」については今週、5位から11位にダウン。レコ大や紅白を機に、さらなるロングヒットか、と思われましたが、残念ながら思ったほど伸びませんでした。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2020年1月14日 (火)

最も注目度の高い男性シンガーソングライターの新作

Title:エアにに
Musician:長谷川白紙

おそらく、今、日本のポップスシーンにおいて最も注目を集めている男性シンガーソングライターの一人が長谷川白紙でしょう。かなり奇妙な名前の彼ですが、2018年にリリースされたミニアルバム「草木萌動」が大きな話題に。特にその当時、彼はまだ10代、かつ現役の音大生という経歴が大きな話題となりました。そして続く2019年にリリースされた待望のオリジナルアルバムが本作。まだ現役の音大生でもある彼が20代となってはじめてリリースしたアルバムでもあります。

ただ、彼に関しては聴く前に若干身構えてしまう部分がありました。それは例えば「エアにに」という奇妙なアルバムタイトルといい、微妙に遠泳的なジャケット写真といい、いかにも「今時の若者」的な無意味さを狙ったようなアートワークが目立ってしまう部分があるからでした。前作「草木萌動」も、いかにもなアニメキャラをゆがませたような微妙なジャケットでしたし、今回のアルバムでも「。(____*)」なんていう、絵文字がそのままタイトルになった曲なんかもあり、いかにも「狙った」感じがかなり気にかかってしまいました。

実際、サウンド的にはかなり今風なのは間違いありません。全体的にエレクトロサウンドが主軸なのですが、ジャズの影響を強く感じさせるサウンド。それも今時のエレクトリックでR&Bやソウルの要素も強い現代ジャズからの影響を強く感じさせます。シンセのサウンドや軽快なドラムのリズムを中心とした構成の曲が多く、そういう意味でも非常に今時の音を奏でるミュージシャンなのは間違いありません。

しかし、身構えて聴き始めた最初の印象はいい意味ですぐに覆されました。楽曲はとてもポップで明るく、かつ変なスノッブ臭のようなものは皆無。1曲目「あなただけ」からして、ピアノとホーンセッションで軽快なミュージカル風の明るいポップチューンでワクワクさせるスタート。続く前述の奇妙なタイトルだった「。(____*)」はアップテンポでトランシーなエレクトロチューンで、こちらもスペーシーなサウンドで楽しませてくれます。

ただ、ポップな作風にまとめあげていながらも、サウンド構成としては非常に複雑な内容の曲が目立ちます。例えば「蕊のパーティ」などはミディアムテンポのポップチューンながらも、ピアノの展開もドラムのリズムも非常に凝ったつくりになっていますし、「悪魔」などもキラキラした明るい雰囲気のアレンジながらも、様々な音が複雑に入り組んで厚みのあるサウンドを聴かせてくれており、聴きこめば聴きこむほどそのサウンドの世界にはまり込んでしまうアルバムになっています。

それにも関わらず、アルバム全体としては彼のハイトーンボイスにより、そんなサウンドの複雑さを感じさせることなく、実にポップにまとめあげている手法が見事。アルバムの最後は「ニュートラル」というジャジーなピアノ1本でのアレンジの歌モノの曲で締めくくりとなっています。同曲のメロディー展開も微妙に複雑さを感じさせつつ、しっかりとポップに聴こえさせてしまっている点が実に素晴らしく、彼の天性の才を感じることが出来ます。

高い注目度も納得の傑作アルバムで、間違いなく2019年のベスト盤候補の1枚とも言えるアルバムだと思います。まだまだ長谷川白紙という知名度はぐんぐん上がっていきそうな予感も。今、ポップスファンならばチェックすべき傑作アルバムです。

評価:★★★★★

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2020年1月13日 (月)

完全復活の待望の新作…だが

Title:So kakkoii 宇宙
Musician:小沢健二

昨年、音楽ファンの間でおそらく最も大きな話題となった出来事が小沢健二の完全復活というニュースでしょう。ある年代以上の方にとっては小沢健二というミュージシャンは、ある意味、「伝説のミュージシャン」的な語られ方をしています。フリッパーズ・ギターのメンバーとして一世を風靡した後、ソロデビュー。特に1990年代中盤においては「強い気持ち・強い愛」「ラブリー」「痛快ウキウキ通り」などといった数多くのヒット曲をリリース。音楽的にもマニア層から高い評価を受けた一方、東京大学卒業という頭の良さ、さらに中性的かつ王子様的な甘いルックスからアイドル的な人気を獲得。紅白にも2年連続出場するなど、お茶の間レベルでの人気を確保しました。音楽的にも評価が高い一方、アイドル的な人気を確保している、という点から、今の人にとっては星野源をイメージすると近いものがあるかもしれません。ブラックミュージックからの影響を感じさせつつ、キュートなポップスに仕上げているという点も両者、共通する部分と言えるかもしれません。

ただ、その後、小沢健二をある種の「伝説」的なミュージシャンとして押し上げたのは、人気絶頂の中、突然活動をセーブしはじめたことが大きな理由でしょう。絶頂期の中、彼は突然、パブリックなイメージから逆らうような落ち着いた雰囲気のシングルをリリースし、リスナーを戸惑わせます。そして2000年代に入ってからは、音楽活動の事実上休止。時々、散発的に音源をリリースしたものの、それは90年代の絶頂期のようなキュートなポップソングからはほど遠いものでした。絶頂期のイメージがあまりにも鮮烈で、かつ活躍していた期間が短かったことから、いつしか小沢健二の存在はある種の「伝説」的なイメージで語られることが多くなってしまいました。

それだけに今回の完全復活のニュースはある年代以上の音楽ファンにとっては非常に衝撃的なニュースでした。待望のニューアルバムは歌モノのアルバムとしては2002年の「Electric」以来。ただ、この作品も微妙にポップであることを避けたような作品でしたので、彼が純粋にポピュラーミュージックへ本格的に取り組んだのは、下手したら日本ポップス史上指折りの名盤として誉れ高い、1994年の「LIFE」以来かもしれません。それだけでも本作が話題となった理由がわかるのではないでしょうか。

しかし、それだけの期待を持ってリリースされた本作なのですが…その長い年月のギャップを乗り越えられたかと言われると、正直言って、かなり微妙なアルバムに仕上がっていたように感じます。本作が、正直言って微妙な仕上がりとなったいた理由としては主に2点があげられるように感じました。

まず1点目。これは絶頂期の時でも彼の問題点といえば問題点なのですが、ボーカルがちょっと厳しい点。正直、彼はボーカリストとして決して上手いボーカリストではありません。ただ、若いころは、不安定なボーカルから来る、ある種の頼りなさげな部分が、「王子様」キャラとマッチしていたのですが、アラフィフのおっさんとなった今、やはり歌い慣れていないせいか、不安定さはさらに増して、結構聴いていて厳しいレベルになってきてしまっています。

そしてもう1つ、そして最大の問題は歌詞の側面。もともと以前から小沢健二の歌詞は、東大出身のエリートという出自からくるのか、どこかスノッブ臭が強く、かつ、かつては女の子にモテる自分をアピールしているような歌詞が少なくありませんでした。ただ、そんな歌詞も、飛びぬけて明るいポップなメロにのることにより、良くも悪くも個性として魅力を放っていました。さすがにアラフィフとなった「モテキャラ」的な歌詞は少なくなった(…それでも若干見受けられるのですが)のですが、一方、悪い意味でのスノッブ臭は健在。歌詞の理屈っぽさが増し、ポップなメロディーがのっているにも関わらず、かつてのワクワク感が薄れてしまっています。また、その世界観は、どこか90年代中盤のバブルの余韻が残っているような雰囲気が漂っており、今の時代にかなりの違和感を覚えてしまいます。はっきりいって歌詞については、完全に時代から取り残されてしまった、そういう印象を強く受けてしまいました。

メロディーラインやサウンドという側面については決して悪くはありません。メロディーについてはさすが天性のメロディーメイカー、明るく聴いていてワクワクするようなメロディーをしっかりと聴かせてくれており、サウンドについてもそんなメロディーをしっかりと彩ったアレンジを聴かせてくれています。そういう意味では、メロディーメイカーとして小沢健二の才能は決して衰えたわけではないことは明確なのですが…ただ、歌詞やボーカルの問題をはねのけるほど、突き抜けた明るさと楽しさがあったか、と言われると、残念ながらそこまでの楽曲はありませんでした。

メロディーの面を含めると、決して悪いアルバムではないかもしれませんし、かつてのファンならば、それなりに楽しめたアルバムだったかもしれません。ただ、小沢健二の全盛期を知らないリスナー層にこのアルバムを聴かせられるか、と言われると…かなり微妙なように感じてしまいます。50代となった今のオザケンらしいアルバムといえばアルバムなのですが、かつてのオザケンの魅力が垣間見れる一方、加齢臭がこびりついてしまっている部分も少なくないアルバム。事実上、引退状態が長かった結果として、どうも現役感が薄い、時代から取り残されてしまった部分も感じてしまいます。久々のポップスアルバムということで期待したのですが…少々残念な結果になってしまいました。

評価:★★★★

小沢健二 過去の作品
我ら、時

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2020年1月12日 (日)

日本ポップスシーンの最重要人物のオールタイムベスト

日本のポップスシーンにおける最重要人物といえば間違いなく、細野晴臣でしょう。もともと1969年にロックバンド、エイプリルフールのベーシストとしてメジャーデビュー。その後、日本語ロックの祖とも言われる伝説のバンド、はっぴいえんどに参加。さらにソロ活動を経たのちに、かのイエロー・マジック・オーケストラに参加したのち、様々なバンド、ユニットなどにも参加しつつ、72歳となった現在でも積極的な音楽活動を続けています。

2019年はそんな彼の音楽活動50周年の記念すべき年となった訳ですが、多種多様に呼ぶ彼の音楽活動を網羅的に収録したベスト盤が2組、リリースされました。

Title:HOSONO HARUOMI Compiled by HOSHINO GEN
Musician:細野晴臣

今回のベスト盤の最大の特徴としては、細野晴臣にゆかりのある2人のミュージシャンが選曲に参加している点でしょう。まずは今をときめく、星野源が選曲に参加したベスト盤がこちらになります。

Title:HOSONO HARUOMI Compiled by OYAMADA KEIGO
Musician:細野晴臣

そしてもう1組を選曲したのが、コーネリアスこと小山田圭吾。ちょっとタイプの異なる2人のミュージシャンが選曲に参加しているのですが、その2組のベスト盤の意図はかなり明らか。星野源選曲の方は、「星野源」というお茶の間レベルでの有名人を起用していることからもわかるように、細野晴臣という名前を全く知らないようなリスナーまで幅広い層を取り込もうとした、いわば細野晴臣の入り口的なベストアルバム。実際、選曲にしてもはっぴいえんどの「風をあつめて」やソロ曲の「恋は桃色」、YMOの「Firecracker」「以心電信」など、代表曲が選曲されており、まさに細野晴臣入門としてうってつけのアルバムとなっています。

一方、小山田圭吾選曲の方は、そういった細野晴臣の代表曲を選曲した場合にこぼれ落ちるような、知る人ぞ知る的な重要曲を収録した、いわばアナザーベスト。ここらへん、2人のミュージシャンもしっかりと自分たちの役割を理解しているかのような、それぞれ方向性が明確になった選曲になっているように感じます。

そして細野晴臣の特徴といえば、時代によって、様々なジャンルの音楽に挑戦していくその幅広い音楽性。はっぴいえんど時代のフォークロックからスタートし、いわゆる「トロピカル三部作」と言われる時代のエキゾチックな音楽性から、その後のYMOで一転するテクノポップ路線、さらにSketch Showなどではポストロック的な様相すら感じさせる楽曲も披露しています。

このあたりの音楽的遍歴をバランスよく収録されているのも星野源選曲の方で、フォークロックから、その後のエキゾチカ路線、テクノポップ路線からエレクトロまでほぼよく収録されており、細野晴臣の音楽の歩みを知るには最適なベスト盤となっています。一方、小山田圭吾の方は、その点ではより彼の趣味性が強く反映されているように感じ、特に比較的最近の曲を収録したDisc2ではエレクトロやポストロック色の強い作品がならんでいます。ただ、その結果として、細野晴臣というミュージシャンが、ここにおいても、なお最先端の音楽にアップデートを続けているというミュージシャンとしての意欲をより強く感じる選曲になっているように感じました。

実際、小山田圭吾選曲のベストの、特にDisc2に収録されている曲は、いい意味で全く時代性を感じさせない「今」の音を奏でています。音楽活動50年、齢70歳を過ぎたミュージシャンが、若手ミュージシャンたちと比べてそん色ない音を奏でている点、驚くべき事実なのですが、小山田圭吾選曲のベストの方では、そんな細野晴臣というミュージシャンのすごさをより強く感じる選曲になっていたように感じます。

そういう意味では今回の選曲の2人の人選は、非常にバランスの取れた人選でしたし、2人とも、しっかりと自ら求められる方向性で選曲を行った結果、細野晴臣というミュージシャンのすごさを2つの異なる視点からしっかりと浮き彫りに出来たベスト盤に仕上がっていたように感じます。入門盤としては、まず星野源選曲の方から。そこから小山田圭吾選曲の方も是非聴いてほしい、そんな2組のベスト盤でした。

評価:どちらも★★★★★

細野晴臣 過去の作品
細野晴臣アーカイヴスvol.1
HoSoNoVa
Heavenly Music
Vu Ja De
HOCHONO HOUSE


PUNCH/ザ・クロマニヨンズ

例のごとく、またちょうど1年ぶりのリリースとなった13枚目のクロマニヨンズのオリジナルアルバム。本作は、彼ららしいシンプルなギターロックをメインとしつつ、裏打ちの曲があったり、哀愁感たっぷりの曲が入ったりと、バリエーションの多さという意味では前々作「ラッキー&ヘブン」に寄ったような作品。もっとも、基本的にムダをそぎ落としたサウンドで、いい意味でベテランらしい安定感ある、彼らしか出来ないシンプルなロックンロールを奏でているという点、以前から変わりありません。ある意味、大いなるマンネリなのですが、それを感じさせない、いまだに新鮮味を感じさせるバンドサウンドも魅力的。

評価:★★★★★

ザ・クロマニヨンズ 過去の作品
CAVE PARTY
ファイヤーエイジ
MONDO ROCCIA
Oi! Um bobo
ACE ROCKER
YETI vs CROMAGNON
ザ・クロマニヨンズ ツアー2013 イエティ対クロマニヨン
13 PEBBLES~Single Collection~
20 FLAKES~Coupling Collection~
GUMBO INFERNO
JUNGLE9
BIMBOROLL
ラッキー&ヘブン
レインボーサンダー

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2020年1月11日 (土)

デビュー15周年のプレイリストアルバム

2019年にデビュー15周年、そして志村和彦没後10年を迎えたロックバンド、フジファブリック。その区切りの年に、2組のベストアルバムをリリースしました。

Title:FAB LIST 1
Musician:フジファブリック

Title:FAB LIST 2
Musician:フジファブリック

「FAB LIST 1」はプレデビュー盤から、かつて所属していたEMI Records、ユニバーサルミュージック時代の曲を集めたもの。選曲はファン投票に基づくものだそうで、公式サイトではベスト盤ではなく、あくまでも「プレイリストアルバム」と言っているところに今の時代を感じます。

よく知られているようにフジファブリックといえば、ギターボーカルでほぼ全ての楽曲の作詞作曲を手掛けていた志村和彦が2009年に、わずか29歳という若さでこの世を去るというショッキングな出来事がありました。そのためバンドとして存続の危機となったのですが、ギターの山内総一郎がボーカルを兼務。自らメインのライターとしてもバンドを引っ張り、バンドは存続。志村和彦逝去後10年を経た現在でも、直近のオリジナルアルバム「F」がオリコンチャートでベスト10入りを果たすなど、高い人気を誇っています。

今回のアルバム、所属レコード会社により「1」「2」を区切っているのですが、実質的には「1」が志村和彦在籍時の楽曲を集めたアルバム、「2」は主に山内総一郎がメインライターとなった後の楽曲が収録されています。そのため、「1」と「2」で志村和彦楽曲と山内総一郎楽曲の聴き比べが出来るようなベスト盤に。志村和彦といえば、非常に個性的かつインパクトのあるメロディーを書いてくる天才肌のソングライターとして高い評価を得ており、その後を引き継いだ山内総一郎は、かなり高いプレッシャーがあったようですが、それから10年、ライターとして自信をつけてきたのでしょう。

ただ、やはり今回、こういう形で志村和彦楽曲を聴くと、彼のソングライターとしての優れた才能をあらためて実感させられます。どこか憂いを帯びたメロディーライン、和の要素を感じられる独特のフレーズ、そして何より彼がライターとして優れているのは、決して派手でインパクトのあるフレーズを書いていなくても、聴き終わった後、しっかりと印象に残るメロディーを書いているという点でしょう。「1」の楽曲群を聴くと、あらためて彼の天性の才能を強く感じさせます。また、これは以前も感じていたことなのですが、彼の書く楽曲のクオリティーは後になるに従い明らかに上がっており、彼のあまりにも早い死をあらためて残念に感じてしまいました。

一方、「2」に収録されている山内総一郎楽曲については、志村曲と比べてかなりの健闘ぶりをあらためて感じました。楽曲的にはストレートに志村正彦からの影響を感じます。ただ一方で、志村楽曲に感じられる「憂い」のような要素は薄く、その一方で、非常に明るい雰囲気を感じます。その点が若干、楽曲の「薄さ」を感じる部分がないわけではないのですが、それなりに山内総一郎の個性として感じることが出来ます。ただ、個人的には、そろそろもっと、山内総一郎色を楽曲に出していっても面白いのでは?とも感じますが。

そんな訳で、「1」「2」を聴き比べることにより、志村和彦のその才能をあらためて感じると主に、今のフジファブリックのがんばりぶりも感じることが出来ました。デビューから15年、志村和彦逝去後、もう10年の月日が流れた彼ら。バンドとしていろいろと大変な時期を乗り越えてきた彼らですが、その歩みはまだまだ止まらなさそう。これからの活躍にも期待したいところです。

評価:
FAB LIST 1 ★★★★★
FAB LIST 2 ★★★★

フジファブリック 過去の作品
TEENAGER
CHRONICLE
MUSIC
SINGLES 2004-2009

STAR
VOYAGER
LIFE
BOYS
GIRLS
STAND!!
FAB LIVE
F


ほかに聴いたアルバム

Before The Past・Live From Electrical Audio/MONO

ポストロックバンドMONOによる活動開始20周年を記念してリリースされたミニアルバム。彼らの初期の作品を、かのスティーヴ・アルビニとTemporary Residenceのオーナージェレミー・ディヴァインと共に、シカゴのエレクトリカル・オーディオで、スタジオライブという形で収録したアルバム。へヴィーでノイジーなギターサウンドをダイナミックに聴かせる構成ながら、悲しさを感じさせるようなメロディーラインを含め、どこか狂おしいような優しさを同時に感じさせるサウンドは実に見事。特に3曲目「Halo」の中盤以降、埋め尽くすようなギターノイズの音は、ただただ優しく、リスナーを包み込むように感じました。

評価:★★★★★

MONO 過去の作品
Hymn To The Immortal Wind
For My Parents
The Last Dawn
Rays of Darkness

Requiem For Hell

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2020年1月10日 (金)

新譜は少なめ

今週もヒットチャート評。ただし全体的に新譜が少なかったため、Hot100、Hot Albums同時更新となります。

今週のHot100(2020年1月13日付)

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

まずはHot100。新譜が少なかった影響でロングヒット曲が目立つチャートとなりました。

まずは1位。Official髭男dism「Pretender」が4週連続の1位獲得。ストリーミング数、You Tube再生回数、カラオケ歌唱回数は今週も1位、ダウンロード数も2位にランクイン。さらに今週はこれに加え、年末の紅白出演などの影響か、CD販売数も55位にランクアップ。注目の高さを感じさせます。

一方、「宿命」は今週7位から8位に、「イエスタデイ」は6位から10位へとダウン。ついにストリーミング数も「宿命」が3位から5位、「イエスタデイ」が4位から6位へとダウンし、全体的に下落傾向の結果となっています。「Pretender」のヒットはまだまだ続きそうですが、ほかの2曲は、ここが踏ん張りどころといった感じでしょうか。

2位はKing Gnu「白日」が先週の4位からランクアップし、3週ぶりのベスト3返り咲き。ストリーミング数及びYou Tube再生回数2位、ストリーミング数3位と上位をキープ。紅白出演を機に、お茶の間レベルで知名度をあげてきた彼。2020年もヒットは続きそうです。

3位は菅田将暉「まちがいさがし」が先週の6位からランクアップ。ベスト3入りは7月15日付チャート以来、27週ぶりのベスト3ヒットとなりました。特にストリーミング数が8位から3位にアップ。こちらは明らかに紅白出演の影響でしょう。

続いて4位以下の初登場曲ですが、初登場は1曲のみ。7位にEXILE「愛のために~for love,for a child~」がCDリリースにあわせて先週の65位からランクアップし、初のベスト10入りとなりました。CD販売数は1位、ラジオオンエア数3位、PCによるCD読取数は9位でしたが、ダウンロード数27位、ストリーミング数86位で総合順位は7位に。ちなみに彼らのCDシングルは、なんと約3年5か月ぶり。その間のリリースは配信シングルのみとなっており、EXILEも、もうCDでは勝負しなくなったんだ…ということを感じてしまいます。オリコン週間シングルランキングでは、フライング販売の影響で先週(2020年1月6日付)のチャートで初動売上3万8千枚で2位初登場。前作「Joy-ride~歓喜のドライブ~」の6万7千枚(2位)よりダウンしています。

そして今週はベスト10返り咲き曲が。まさかのレコード大賞受賞が大きな話題となったFoorin「パプリカ」が先週の11位から5位にランクアップ。4週ぶりのベスト10返り咲きとなったと共に、5位はなんと自己最高位となります。特に今週、CD販売数が17位から3位にアップ。オリコンでも5千枚を売り上げて3位にランクインするなど、レコ大受賞や紅白を機に、多くの方がCDを買ったということなのでしょう。いままで未就学児やその親を中心としたヒットだったのですが、一気に知名度が老若男女に広がった感があります。

他にも今週はロングヒット曲の活躍が目立ちます。LiSA「紅蓮華」は先週の5位から4位にアップ。同曲もここに来て、自己最高位更新となりました。米津玄師「馬と鹿」も先週の10位から6位にランクアップ。彼は特にレコ大にも紅白にも絡んだわけではないのですが、「パプリカ」や菅田将暉のヒットで米津玄師の名前を取り上げられることも多くなり、その影響もあるのでしょうか。あいみょん「マリーゴールド」は先週から変わらず9位をキープ。彼女も今年、紅白に出場していませんが、この曲はまだまだ根強く支持されている模様。ヒットはまだ続きそうです。


今週のHot Albums(2020年1月13日付)

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先週のHot Albumsから一転、今週は新譜が非常に少ないアルバムチャートとなっています。

そんな中で1位を獲得したのは新譜組。香取慎吾「20200101」が獲得です。CD販売数1位、ダウンロード数3位、PCによるCD読取数では13位を獲得。ご存じ元SMAPのメンバーによるソロデビュー作。氣志團、KREVA、スチャダラパー、WONKなどといった豪華なメンバーとコラボしたアルバムになっています。

2位はOfficial髭男dism「Pretender」が先週の3位からアップ。根強い人気を見せています。

3位には女性アイドルグループBiS「LOOKiE(SPECiAL CASE)」がランクイン。2月5日リリース予定のアルバムを、1月4日の1日限定で306円で限定リリースしたもの。ダウンロード数で1位を獲得し、総合順位でもベスト3入りしてきました。

続いて4位以下の初登場盤ですが、今週は残り1枚のみ。9位に俳優佐藤流司のバンドプロジェクト、The Brow Beat「Adam」がランクイン。CD販売数は4位でしたが、ダウンロード数は13位、PCによるCD読取数は圏外となり、総合順位は9位に留まりました。オリコンでは初動売上5千枚で5位初登場。前作「Hameln」の7千枚(10位)からダウンしています。

一方、今週は新譜が少なかった影響でベスト10返り咲き組が多くランクインしています。まず4位にRADWIMPS「天気の子 complete edition」が先週の17位から4位にランクアップ。4週ぶりのベスト10返り咲きを果たしています。こちらは紅白出場の影響でしょうか。また7位には「アナと雪の女王2 オリジナルサウンドトラック」が11位から7位にランクアップし、5週ぶりのベスト10返り咲き。こちらは冬休みに入り、多くの親子連れが映画館に訪れた影響でしょうか。またKing Gnu「Sympa」が23位から8位に大幅ランクアップし、昨年2月4日付チャート以来、50週ぶりのベスト10返り咲きを果たしています。

ロングヒット組では椎名林檎のベスト盤「ニュートンの林檎~初めてのベスト盤~」。今週、9位から5位にランクアップ。こちらもまだまだヒットは続きそうです。

1月13日付Hot100及びHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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