2019年9月18日 (水)

嵐を下してまさかの1位獲得

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

まさかの1位獲得です。

今週は嵐のニューシングル「BRAVE」がリリース。当然、1位はこの曲か・・・と思いきや、なんと今週1位を獲得したのが米津玄師「馬と鹿」。先行配信でベスト10入りを続けていましたが、CDリリースにあわせてランクアップ。初の1位獲得となりました。CD販売数は2位でしたが、ダウンロード数、ラジオオンエア数、PCによるCD読取数で1位獲得。Twitterつぶやき数も4位、You Tube再生回数も2位にランクインしています。ちなみにオリコン週間アルバムランキングは初動売上41万2千枚で1位獲得。前作「Flamingo」の22万8千枚からも初動売上は大きくアップ。間違いなく、星野源と並んで、今、もっとも売上を稼ぐことのできるミュージシャンと言えるでしょう。

ちなみに米津玄師は今週も「Lemon」が先週と変わらず9位をキープ。さらに彼が作詞作曲プロデュースを手掛けるFoorin「パプリカ」も先週の12位から10位にアップし、2週ぶりにベスト10返り咲き。これで通算6週目のベスト10ヒットを記録しています。

そんな米津玄師に敗れて2位にとどまったのがのニューシングル「BRAVE」。日本テレビ系ラグビー2019イメージソング。CD販売数は1位。オリコンでも初動売上66万7千枚と前作「君のうた」の37万2千枚を大きく上回ったのですが、ネット配信系を一切行わないジャニーズ系の方針の影響もあり、ダウンロード数、ストリーミング数及びYou Tube再生回数はランク圏外。PCによるCD読取数2位、Twitterつぶやき数は3位を獲得したもののラジオオンエア数は56位に留まり、総合順位は2位という結果になりました。

3位はOfficial髭男dism「Pretender」が今週も先週から変わらず3位をキープ。一方、「宿命」は5位から7位にダウンとなりました。ただし、相変わらずストリーミング数は1位2位のワンツーフィニッシュを維持。これで6週連続ストリーミング数の1位2位をこの2曲で占める結果となっています。両曲のヒットはまだまだ続きそうです。

続いて4位以下初登場曲です。まずは4位にテレビ朝日系オーディション番組「ラストアイドル」から登場した秋元康プロデュースによるアイドルグループラストアイドル「青春トレイン」がランクイン。CD販売数3位、Twitterつぶやき数で9位を獲得したものの、ダウンロード数96位、ラジオオンエア数52位、PCによるCD読取数18位に留まり、総合順位もこの位置に。歌い方といい曲の感じといい、AKB48の亜流の域を出ていないような。オリコンでは初動売上7万3千枚で3位初登場。前作「大人サバイバー」(1位)いから横ばい。

初登場はあと1曲。6位に韓国の男性アイドルグループSF9「RPM」がランクイン。CD販売数は4位でしたが、そのほかはTwitterつぶやき数が14位にランクインされたのみで他はすべて圏外という結果に。オリコンでは初動売上4万8千枚で4位初登場。前作「Now or Never」の4万5千枚(3位)からはアップしています。

続いてロングヒット組ですが、今週、あいみょん「マリーゴールド」は先週の6位から8位にダウン。ただ、ストリーミング数は先週から変わらず3位をキープ。まだまだ根強い人気を見せつけています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2019年9月17日 (火)

奇跡の再結成に合わせてリリースされたライブ盤

Title:LIVE ALBUM「感電の記憶」 2002.5.19 TOUR「NUM-HEAVYMETALLIC」日比谷野外大音楽堂
Musician:NUMBER GIRL

1999年にメジャーデビュー。2002年の解散までわずか4年の活動でしたが、圧倒的なバンドサウンドと楽曲の個性を持って、多くのミュージシャンたちに絶大な影響を与えたNUMBER GIRL。今年、奇跡の再結成を果たし大きな話題となりました。その再結成に際してリリースされたのが今回のライブアルバム。レコード会社の公式サイトによると、今回のライブアルバムについては公式サイトで次のように説明されています。

「今や伝説となっているNUMBER GIRL2002年の野音公演。LIVE TOUR 『NUM-HEAVYMETALLIC』の一環として行われたそのステージから、全20曲のセットリストをCD2枚に完全収録した、彼らの再結成を盛り上げるスペシャル盤です。」

私はデビュー当初からNUMBER GIRLのライブに何度か足を運んでいまして、これははっきりいってちょっとした自慢なのですが(笑)、今回のライブアルバムで収録されたライブ、その現場に居ました。以前、当サイトでも当日のライブレポートを掲載していましたが、旧サイトがなくなってしまったため、今回、参考までに再掲させていただきます。拙い文章で、一部MCなどの記載に間違いがありますが、リアルタイムでのレポートになるのでその当時の空気を感じていただければ幸いです。

NUMBER GIRL Live tour NUM-HEAVYMETALIC ライブレポート(再掲)

この日のライブが本当に伝説になっているのか、正直言うとちょっと微妙な感もあるのですが、実際、直後に書いたライブレポを読んでみると、ライブの内容としてはかなりすごい内容だったようにその当時も感じていた記載があります。ただ、このライブツアーの直後の9月に解散を発表したことからもわかるようにバンドの状態としてはこの時期、決して良いものではありませんでした。向井秀徳の事実上の自伝である「三栖一明」によると「ツアーの直後で中尾憲太郎が『ナンバーガールを辞めたい』という告白があり、それでナンバーガールは解散することになる」という記載がありますし、この日のライブの直後、6月22日の郡山でのライブの時、本編の演奏が不完全燃焼でアンコールで盛り返そうと思い、収まりが効かなくなった結果、一時間くらいアンコールを演ることになり、最後は田渕ひさ子嬢がピックを投げ捨てて帰ったというトラブルがあったそうで、本人も「アレが解散が決まった瞬間だったかもしれない」と語っています。

しかし、今回のライブアルバムを聴くと、CD音源を通じても、すごさを感じたというライブを見た直後の感想が間違いではないことを実感できます。ライブレポートにも1曲目「NUM-AMI-DABUTZ」のイントロが流れた瞬間に衝撃を感じた、という記載がありましたが、その衝撃はこのライブアルバムでも感じることが出来ると思います。

実際、このライブ音源を聴いても、バンドの演奏は非常にエッジが効いており、迫力を感じさせます。バンドの状況は最悪だったと思うのですが、それだからこそ逆にバンドの中に緊迫感が生じ、演奏に対する集中力が増したのかもしれません。「関東地方、曇のち酒」のような向井秀徳らしいユーモラスなMCが入るものの、全体的にMCは少な目。当時のライブではお約束だった「ドラムス、アヒト・イナザワ」からはじまるドラミングという掛け合い意外にメンバー間のやり取りもほとんどなく、その直後に解散している、という事実を知っているからかもしれませんが、バンドの中に流れる妙な空気感が、この日のステージの緊迫感を生み出す良い要因になっているように感じます。もっとも、翌月に郡山で生じた事件を考えると、このバンドの空気感は一歩間違言えると大きなマイナスになる可能性もある訳で、そういう意味ではこの日のバンドの演奏は解散寸前のバンドの空気が奇跡的にプラスに作用した、まさに稀有なステージだったと言えるかもしれません。

選曲的にはアルバム「NUM-HEAVYMETALLIC」のリリースツアーという位置づけでしたので、同アルバムからの楽曲がメインで、ベストな選曲ではありません。おそらく再結成に際してナンバガにはじめて触れるようなリスナーに対してリリースされたアルバムかもしれませんが、もしライブなどの事前予習として聴くにはラストライブの模様を収録した「サッポロOMOIDE IN MY HEAD状態」の方がよいかもしれません。ただ、間違いなくNUMBER GIRLのライブバンドとしての凄みを感じられる作品となっており、この日のライブを音源としてリリースするという選択に対しては諸手を挙げて賛同したい、そんな傑作になっていました。今回の再結成を機に、リアルタイムでの彼らを知らない世代にも一気にNUMBER GIRLというバンドの名前が広がることになりましたが、はじめてナンバガを聴く人にも彼らのすごさを伝えるために是非とも聴いてほしい作品だと思います。またリアルタイムでナンバガを聴いていた世代にとってもあらためて彼らの実力を感じることが出来る傑作でした。

ちなみにNUMBER GIRLはオリジナルアルバム4枚のほかにライブアルバムがこの本作を含めて3枚リリースされています。オリジナルアルバム4枚もいずれも傑作ですが、初心者にはライブアルバムから聴くのがお勧めといわれるほどライブアルバムの評判が高いバンド。そんな彼らの傑作ライブアルバムがまた1枚加わったといって間違いありません。全ロックリスナー必聴の傑作です。

評価:★★★★★

NUMBER GIRL 過去の作品
School Girl Distortional Addict 15th Anniversary Edition
SAPPUKEI 15th Anniversary Edition
NUM-HEAVYMETALLIC 15th Anniversary Edition

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2019年9月16日 (月)

タイと日本の音楽が地続きに

Title:New Luk Thung
Musician:Juu&G.Jee

今回紹介するアルバムはタイのアンダーグラウンドシーンで絶大な支持を誇るラッパー、Juuとその弟子、G.JeeによるHIP HOPアルバム。日本ではその名前はほとんど知られていないのですが、彼らについて知ったのは本作の中に1曲、当サイトでも紹介したことあるラップクルー、stillichimiyaが参加した曲「ソムタム侍」があり、その曲のMVをYou Tubeで見たことがきっかけでした。

Mr.麿の怪演が強いインパクトを残す非常にユニークなMVなのですが、楽曲もとてもインパクトが残ります。エキゾチックなトラックがアジアンなテイストをむんむんと放出している一方、タイ語と日本語を境目なく行ったり来たりするラップも印象的。Mr.麿のボーカルによる歌の部分はどこか日本のムード歌謡のテイストがあり、日本とタイの音楽が全く同じまな板の上で調理されているようなそんな独特の楽曲になっており、一気に気になる存在となってしまいました。

今回、このアルバムのプロデュースを手掛けたのはstillichimiyaのDJ/プロデューサーでもあるYoung-G。タイの音楽に興味を持った彼は2016年から17年にかけてタイに移住。現地のミュージシャンたちとも交流を深める中で出会ったのがタイのカリスマ的ラッパーであるJuu。そんなつながりにより今回のアルバムリリースにつながりました。そのため本作にはstillichimiyaだけでなく、「深夜0時、僕は2回火を付ける」では鎮座DOPENESSと、同じくstillichimiyaのMMMがフューチャリングで参加しています。

本作のアルバムタイトル「New Luk Thung」の「Luk Thung」=ルークトゥンとは、タイの田舎の大衆音楽のこと。音楽的な形式が決まっているようなジャンルではないそうで、「タイの演歌」という紹介のされ方をすることが多いようですが、イメージとしてはむしろ「歌謡曲」に近いのかもしれません。そのためでしょうか、ある意味、あらゆるジャンルを貪欲的に吸収する歌謡曲と同様、このアルバムにも様々な音楽からの影響を見て取れます。

「深夜0時、僕は2回火を付ける」ではエキゾチックな雰囲気が立ち込めるB級色強いトラック。続く「かわいいキミ」ではG.Jeeとのデゥオとなり、軽快なナンバーに仕上がっています。「シーレイ 田舎でのんびり」ではタイトル通りのタイの田舎を彷彿とさせるエキゾチックさを感じるサウンドをゆっくりと聴かせる楽曲になっていますし、「ハナと僕の道」ではダークなサウンドにはトラップからの影響も?「Give Me The Way」ではAORの要素も感じられ、垢抜けたサウンドを聴かせてくれます。

そんなバラバラな作風でもアルバム全体として統一感もきちんと感じることが出来ます。もともとJuuの音楽はレゲエからの影響が強く、今回のアルバムでもその要素が要所要所に感じることが出来るのも統一感が出ている大きなポイントなのですが、またルークトゥンという音楽がこのアルバムの背景として一本筋を通してるからなのでしょう。

ただ一方で単純に「タイのエキゾチックな音楽」ということで終わらず、「ソムタム侍」にしてもそうですが歌詞の中でいきなり日本語が登場してくる曲があったりして、日本のポップスと地続きに感じられるのも本作の大きな特徴でしょう。もともとYoung-Gがタイの音楽に興味を持ったきっかけとして、彼が訪れたタイ東北部のイサーンの風景が彼の故郷、山梨と一緒だったことからだそうで、彼自身、今回の活動もstillichimiyaでやってきたことをアジアに広げただけ、と述べています。もともとタイの地方に日本の田舎と共通項があったのでしょうし、またタイの音楽を異質なものと捉えるのではなく、自らの音楽と共通するものがあると捉えているからこそ、日本とタイの音楽が地続きのようにつながっている今回のアルバムが誕生したのでしょう。その結果、エキゾチックでありつつも日本人にとってもどこか馴染みやすいという、独特なアルバムに仕上がっていました。

今回のYoung-GとJuuとのつながりは決して一時的なものではなく、今後もコンスタントに活動は続いていきそう。非常に独特でおもしろく、今後の活動にもかなり期待ができそうです。タイのHIP HOPといっても取っつきにくさはほとんどありません。stillichimiya好きはもちろん、そうでなくても幅広い方にお勧めできる傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

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2019年9月15日 (日)

キュートなポップがより魅力的に

Title:LOLIPOP SIXTEEN
Musician:SOLEIL

現在16歳の女子高校生、それいゆを中心としたバンド、SOLEILのニューアルバム。それいゆの高校受験という非常に「らしい」理由により一時活動を休止したいたのですが、無事はれて高校に進学。ニューアルバムのリリースとなりました。とはいえ、前作「SOLEIL is Alright」からわずか10か月というスパンでのリリースなので、久しぶりという感じは全くないのですが・・・。

ちなみにSOLEIL、昨年も2枚のアルバムをリリースしており、この2年で3枚目というハイペースでの活動となります。ちょっとうがった見方をすると、SOLEILの活動はそれいゆのアイドル的なルックスに依る部分も大きいため、売れるうちに売っておこう、ということがあるのでしょうか?ちなみに今回のアルバムリリース後、ギターの中森泰弘が脱退。現在はそれいゆとサリー久保田の2人組のバンドとなってしまいました。

そんな彼女の3枚目となるアルバムはいままで2枚のアルバムに比べると、よりキュートなガールズポップというバンドの方向性が明確になっているように感じました。例えば1曲目を飾る「ファズる心」。ファズギターのレトロなサウンドが心地よいキュートなギターポップなのですが、歌詞も高校生の女の子らしい歌詞が印象的。同じくベルの音がキュートさを演出している「メロトロンガール」、モータウンビートで軽快なポップチューン「アナクロ少女」と続いていきます。どの曲も60年代のガールズポップを現代によみがえらせたようなキュートなギターポップチューン。それいゆのキュートなボーカルが見事に生かされたポップチューンとなっています。

そんな今回のアルバムの目玉のひとつが、中盤のカバー曲「ハイスクールララバイ」。フジテレビ系バラエティ番組「欽ドン!良い子悪い子普通の子」から誕生した1981年のヒット曲。原曲はテクノポップのナンバーなのですが、原曲の疾走感をそのままに見事ガレージポップにカバーしています。高校をテーマとした歌詞もそれいゆにピッタリですが、中ほどの登場するセリフもピッタリでかわいい(笑)。このアルバムのポップ路線をより強調するような選曲となっています。

その後もロックンロールなナンバーながらもキュートなメロが魅力的な「5-4-3-2-1」「それいゆのカノン」はタイトル通り、それいゆのかわいらしさを強調したような軽快なポップチューン。そしてタイトルチューンとなる「Lollipop Sixteen」も50年代のガールズポップそのままの可愛らしいポップに。最後はちょっと寂し気な夏休みの終わりを彷彿とさせるサマーポップなインストチューン「なつやすみ」で締めくくり。インスト曲をあえて入れてくるあたり、バンドとしての矜持を感じるラストとなりました。

いままでのSOLEIL同様、50年代、60年代あたりのオールドスタイルなギターポップを現代によみがえらせたようなサウンドを聴かせつつ、それいゆの可愛さを存分に生かしたアルバムに仕上げています。3枚目にしてある意味、このスタイルでは「完成形」とも思われるような出来栄えに仕上がっており、それだけに「やれるだけのことをやり切った」という中森泰弘の脱退理由がわからないでもありません。ただ一方ではそれいゆ自身はまだ16歳(!)。この手のオールドスタイルなガールズポップで、これだけ幅広いリスナー層に波及しそうな魅力を持ったバンドは珍しいだけに、まだまだこれからに期待できると思うんですけどね。あと、10代半ばの「子ども」をバンドとして活動させ、わずか3年程度で脱退というのは大人としてちょっと無責任な気がしないでもないのですが・・・。

そんな訳でSOLEILの魅力がしっかりとつまった傑作アルバム。これがひとつの「完成形」とはいえ、それいゆのキュートなボーカルでまだまだ魅力的なポップソングを楽しめそう。2人組となってしまいましたが、これからの活躍にも期待したいところです。

評価:★★★★★

SOLEIL 過去の作品
My Name is SOLEIL
SOLEIL is Alright

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2019年9月14日 (土)

アコースティックなサウンドで派手さはないものの

Title:Emily Alone
Musician:Florist

Emily Spragueという女性ボーカリスト率いる男女4人組、ニューヨークはブルックリンを中心に活動を行っているポップバンドFlorist。本作はそんな彼女たちの3枚目となるアルバム。日本では残念ながらほとんどその名前を知られていないグループなのですが、アメリカでは徐々に注目を集めているグループのようで、本作もアメリカのWebメディアPitchforkの「Best New Music」に選ばれるなど高い評価を受けています。

「お花屋さん」というバンド名からイメージされる通り、楽曲はインディーバンドによくあるような先駆的、刺激的という雰囲気ではなくアコースティックなサウンドの暖かい雰囲気のポップが魅力的。サウンドとしてはほとんどアコギのアルペジオのみで構成されており、時折ピアノの音色が入ってくる程度。静かでフォーキーな雰囲気が大きな特徴となっています。

またボーカル、Emily Spragueの歌声も大きな魅力。「Time Is A Dark Feeling」のようなウィスパー気味の歌声で優しく歌い上げているのですが、アルバムのプロダクションとしてボーカルを前に押し出しているような構成になっており、ヘッドフォンで聴いていると彼女が優しく耳元で歌っているようなそんな感覚に陥ってきて、思わずうっとりと聴き惚れてしまいます。

メロディーラインも透き通るように美しいフレーズを聴かせてくれており、特に「I Also Have Eyes」などは切ない雰囲気のくるおしいようなフレーズを聴かせてくれます。ただ、全体的にはしんみりとして聴かせる曲が多いのですが、「Now」のようにメロディアスで明るさを持ったポップなどもあり、決して悲しいポップという印象は受けません。むしろ全体的にはフォーキーで爽やかという印象を受け、聴き終わった後もいい後味を残してくれるようなポップスとなっています。

また、単純にアコースティックなポップというだけではなく、例えば「Celebration」ではバックに鳥の鳴き声やストリングスを入れつつ、ポエトリーリーディングを聴かせるというほかとは異なるスタイルで、どこか幻想感を覚えるナンバーに。「M」などもバックに砂利道を歩く人の足音が入っており、リスナーのイメージを膨らませます。単なるアコースティックでフォーキーなポップを奏でるグループ、とは異なる楽曲の奥行を感じることができます。

もっともアルバム全体としてはとにかくメロディーラインの良さ、シンプルなサウンド、そしてボーカルEmilyの魅力的な歌声が合わさり、正直、全体的に地味さは否めないものの最後まで飽きることなく、最初から最後まで耳を離せない魅力を感じさせる傑作に仕上がっていました。派手さはないグループなだけに確かに日本ではなかなか注目が集まりにくいだろうなぁ・・・とは思うのですが、比較的多くのポップスリスナーが楽しめるアルバムだと思います。日本でももっと売れてもいいと思うんですけどね~。

評価:★★★★★

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2019年9月13日 (金)

待望のデビューアルバム

Title:The Big Day
Musician:Chance The Rapper

おそらく今年、最も注目を集めた「デビューアルバム」のひとつが本作でしょう。アメリカで高い人気を誇るラッパー、Chance The Rapperのデビューアルバム。もともと2012年にリリースしたミックステープ「10 Day」で注目を集めた彼。ただしどのレーベルにも所属せず、あくまでも無料配信でのミックステープという形態でリリースを続けます。さらに2016年にリリースしたミックステープ「Coloring Book」はApple Musicでのストリーミング配信のみという形態で関わらずビルボードチャートで8位にランクインするという快挙を達成。さらに音源を発売していないミュージシャンとしてははじめてグラミー賞を受賞するという快挙も達成。アメリカ、いや世界における音楽流通の形態を大きく変えるという快挙を達成しています。

そしてそんなミックステープのみをリリースしてきた彼がついにアルバム形態でリリースということで大きな話題となったのが本作。ただし、アルバム形態としてもストリーミング&ダウンロードのみでのリリースとなっているため、ストリーミングで聴く限りにおいてはいままでのミックステープとは感覚的に大きな違いはありません。ダウンロードにすると、今回は購入する必要があるため、いままで無料配信だったミックステープとは大きな違いが出てくるのですが・・・。

多彩なゲストが参加していることでも話題の今回のアルバム。そしてそれと同時に今回のアルバムの特徴として非常にメロディアスな歌が流れるポップな作品になっているという点でしょう。まずアルバムの冒頭に配された「All Day Long」はJohn Legendが伸びやかな歌声を聴かせてくれるも軽快で爽快さを感じる楽曲になっていますし、続く「Do You Rember」もちょっと懐かしさを感じさせるエレピの音色に切なさを感じる歌心ある作品に。同作にはDeath Cab For Cutieが参加し、こちらもしんみりとした歌を聴かせてくれています。

その後もタイトルチューンの「The Big Day」は注目のミュージシャンFrancis And The Lightsの切ない歌が印象に残るナンバー。歌とドラムの音色にはどこかノスタルジーを感じさせます。「Ballin Flossin」もShawn Mendesの爽快な歌声が耳に残る軽快なポップチューンに。全体的にちょっと切なさを感じさせるメロディーが目立つような、ポップな歌モノのアルバムとして仕上がっています。

サウンド的にも「Handsome」「Big Fish」のような、今時さを感じさせるトラップのサウンドを取り入れた楽曲も少なくないものの、全体的には決して今時といった印象はありません。そのリリース形態の先駆性とは異なり楽曲的にはむしろちょっと一昔前の雰囲気を感じさせるようなサウンドもチラホラ見受けられ、目新しさというよりも懐かしさを感じさせるような楽曲も。それがアルバム全体の聴きやすさにつながっているようにも感じました。

終盤も彼が美しいファルセット気味の歌声を聴かせて父親への感謝を歌い上げる「Town On The Hill」が強く印象に残ります。こちらもリズムトラックにはトラップの要素を取り入れるもののシンセの音色からは90年代あたりの雰囲気を感じ、ちょっとノスタルジックな雰囲気も。ラストを締めくくる「Zanies And Fools」もトライバルなリズムで軽快に聴かせつつ、ゴスペル風のコーラスをバックに爽やかでポップに仕上げた楽曲に。最後の最後までポップで聴きやすいアルバムとして仕上げていました。

ただ全体的にはちょっとノスタルジックな要素を感じるポップという共通項がありつつ、様々なゲストが参加した結果、アルバム全体としては統一感が薄く感じる作風に仕上がっています。そういう意味では今回、あえてアルバムという形態でのリリースとなったのですが、むしろプレイリスト、あるいはミックステープ的な作品になったようにも感じられました。そういう意味ではなぜ今回アルバムという形態でのリリースとしたのかは不明なのですが・・・ノスタルジックな雰囲気といい、透明なCDを掲げたジャケットといい、昔ながらのCDでのアルバムという形態への懐古があるのかもしれません。今のところCDでのリリースは不明のようですが、近いうちにCDでのリリースもあるかも?

そんな訳でポップな歌モノのアルバムのためHIP HOPをあまり聴かないような方でもアピールできるような作品になっていたと思います。ランキング的には惜しくも2位だったのですが、今年、最も話題の1枚であることには間違いありません。Chance The Rapperの魅力を存分に感じることが出来る傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

Chance The Rapper 過去の作品
Coloring Book

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2019年9月12日 (木)

ベテラン勢同士のデッドヒート

今週のHot Albums

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今週は日本のポップスシーンを代表する2人のミュージシャンが1位を巡ってデッドヒートを繰り広げました。

結果、1位を獲得したのは竹内まりやの「Turnable」。デビュー40周年の企画盤で3枚組というボリュームの中でDisc1はベストアルバム「Expressions」におさまりきらなかった名曲を収録した「モア・ベスト」な1枚、Disc2はアルバム未収録のカップリング曲やレア音源などを集めた内容で、Disc3は彼女のカバー曲を集めた内容。CD販売数1位、PCによるCD読取数2位で総合順位で見事1位獲得となりました。

一方、2位初登場は矢沢永吉「いつか、その日が来る日まで」。こちらは前作「Last Song」から約7年ぶり。途中、ベスト盤やライブ盤のリリースがありましたが、オリジナルアルバムとしては久しぶりとなる新作となりました。CD販売数2位、PCによるCD読取数4位で、こちらは総合順位で2位に。

結果、2人のベテランミュージシャンのデッドヒートは竹内まりやに軍配が上がったのですが、オリコン週間アルバムランキングだと逆。矢沢永吉が初動売上11万1千枚で1位、竹内まりやが初動売上9万6千枚で2位という結果になっています。矢沢永吉は直近のベスト盤「LIVE HISTORY 2000-2015」の初動2万7千枚(5位)から大幅アップ。前作「Last Song」の5万4千枚(2位)から倍増という結果になっています・・・が、こちらおそらく初回盤が2種類リリースされており、ファンが2枚買った影響ではないでしょうか。前作から初動売上枚数がほぼ倍という点からもその線が濃厚な感じが・・・これ、矢沢永吉の売り方としてはあまりにもみっともないですよね・・・(苦笑)。竹内まりやは前作「TRAD」の初動11万8千枚(1位)からダウンとなっています。

3位初登場は一ノ瀬トキヤ(宮野真守)「うたの☆プリンスさまっ♪ソロベストアルバム一ノ瀬トキヤ『Target is you!』」。女性向け恋愛シミュレーションゲーム「うたの☆プリンスさまっ♪」のキャラクターによるタイトル通りのベストアルバム。CD販売数3位、PCによるCD読取数12位で総合順位もベスト3入り。オリコンでも初動売上3万3千枚で3位初登場。同シリーズの前作、四ノ宮那月(谷山紀章) 「うたの☆プリンスさまっ♪ソロベストアルバム 四ノ宮那月『SUKI×SUKIはなまる! 』」の2万1千枚(5位)からアップしています。

続いては4位以下の初登場盤です。まずは5位。ヴィジュアル系バンドシド「承認欲求」がランクイン。CD販売数5位、ダウンロード数15位、PCによるCD読取数43位で総合順位でも5位を獲得。オリコンでは初動売上1万2千枚で5位初登場。前作「NOMAD」の1万6千枚(4位)からダウン。

7位初登場は竹原ピストル「It's My Life」。CD販売数6位、ダウンロード数5位、PCによるCD読取数50位で総合7位。オリコンでは初動売上7千枚で7位初登場。前作「GOOD LUCK TRACK」の初動1万枚(8位)からダウン。前作リリースの前に紅白に初出場し、一気に知名度を上げた彼。紅白後にリリースした前作の次のアルバムということで同行に注目されましたが、ビルボードで7位、オリコンで初動ダウンの7千枚で7位というちょっと微妙な結果に。

9位にはOAU「OAU」がランクイン。BRAHMANのメンバーが中心となって結成されたアコースティックバンドで、以前はOVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUNDと名乗っていましたが、今年4月より略称であるOAUに名称を変更。本作は変更後、初となるアルバムとなります。CD販売数8位、ダウンロード数26位、PCによるCD読取数60位で総合順位では9位に。オリコンでは初動売上5千枚で10位初登場。前作「FOLLOW THE DREAM」の4千枚(22位)よりアップ。オリコンでのベスト10ヒットはこれが初となります。

最後10位には梶浦由記「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿-魔眼蒐集列車 Grace note- Original Soundtrack」がランクイン。テレビアニメ「ロード・エルメロイII世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-」のサントラ盤。CD販売数11位、PCによるCD読取数62位ながらもダウンロード数が9位にランクインし、総合順位でもベスト10入りを果たしました。オリコンでは初動売上4千枚で13位初登場。

次にロングヒット盤ですが、まずは先週1位を獲得した嵐「5×20 All the BEST!! 1999-2019」は今週は4位にダウン。ただし、PCによるCD読取数は今週も1位をキープしており、これで11週連続のランクイン。根強い人気を伺わせます。一方RADWIMPS「天気の子」は先週の5位から6位にダウン。ただしこちらもダウンロード数が先週の4位から1位にアップし3週ぶりに1位返り咲き。これで8週連続のベスト10入りとなり、こちらもまだまだロングヒットは続きそうです。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2019年9月11日 (水)

ロングヒットが目立つチャート

今週のHot100

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今週もまた、ロングヒットが目立つチャートとなりました。

そんな中、1位を獲得したのが乃木坂46「夜明けまで強がらなくていい」が先週の15位からCDリリースにあわせてランクアップし1位獲得となりました。CD販売数、PCによるCD読取数及びTwitterつぶやき数1位、ダウンロード数9位、ストリーミング数17位、ラジオオンエア数4位。一昔前の雰囲気を漂わせる哀愁たっぷりのアイドル歌謡曲で、この手の王道路線が乃木坂らしさでしょうか。オリコン週間シングルランキングでは96万4千枚で1位獲得。前作「Sing out!」の100万4千枚(1位)からはダウン。

2位には米津玄師「馬と鹿」が先週の5位からランクアップして3週ぶりにベスト3返り咲き。ダウンロード数は4週連続で1位、ラジオオンエア数及びTwitterつぶやき数2位など相変わらずの強さを見せていますが、今週、MVがYou Tubeで解禁となりその影響でYou Tube再生回数で2位を獲得。今週のランクアップの大きな要因となっています。

ちなみに今週は「Lemon」も先週の10位から9位にアップ。今週も2曲同時ランクインとなっています。ただし、先週までベスト10入りしていた彼がプロデュースを手掛けた菅田将暉「まちがいさがし」は先週の9位から11位にダウン。Foorin「パプリカ」も7位から12位にダウンしています。

3位も同じくロングヒット組。Official髭男dism「Pretender」が先週の2位からワンランクダウンながらもベスト3をキープ。「宿命」もベスト3からはダウンしたものの今週も5位をキープ。こちらも2曲同時ランクインとなりました。ちなみにストリーミング数は今週も1位2位をキープ。まだまだロングヒットは続きそうです。

続いては4位以下の初登場曲です。まず4位には刀剣男士formation of 三百年「鼓動」が初登場。ゲーム「刀剣乱舞」から派生したミュージカルの出演俳優によるシングル。CD販売数2位、PCによるCD読取数3位、Twitterつぶやき数では23位にランクインしたものの、その他のチャートでは圏外となり総合順位はこの位置に。オリコンでは初動売上8万4千枚で2位初登場。刀剣男士関連としては直近作は刀剣男士team幕末 with巴形薙刀「決戦の鬨」となり、同作の9万6千枚(2位)からダウンしています。

7位には鈴木愛理「Escape」が初登場でランクイン。元℃-ute、Buono!のメンバーとして活躍していた女性アイドルのソロデビュー作。ラテン風のEDMナンバーはちょっと前によく流行っていた感じの曲調。CD販売数は3位でしたが、ダウンロード数65位、ラジオオンエア数11位、PCによるCD読取数22位、Twitterつぶやき数33位にとどまり、総合順位でもこの位置に。オリコンでは初動売上3万5千枚を記録して3位初登場。

8位にはDivision All Stars「ヒプノシスマイク-Alternative Rap Battle-」がランクイン。男性声優によるラップ音楽をメインとしたプロジェクト「ヒプノシスマイク」の新曲で、12月配信予定のソーシャルゲーム「ヒプノシスマイク-Alternative Rap Battle-」の主題歌。この手の曲といては珍しく配信オンリーでのリリースとなっていますが、ダウンロード数3位、Twitterつぶやき数4位を記録し、見事ベスト10入り。ただしストリーミング数は50位、You Tube再生回数は20位に留まっています。良くも悪くも男性声優っぽい、いかにもアイドル然とした声色や若干ラップも拙い部分もあるのは気になりますが、意外なほど本格的なラップに仕上がっています。

初登場組最後は10位に手塚翔太「会いたいよ」が先週の47位からCDリリースに合わせてランクアップ。初のベスト10入りとなりました。本作は今、大きな話題となっているドラマ、日本テレビ系「あなたの番です-反撃編-」主題歌で、俳優の田中圭が劇中のキャラクターに扮して歌う曲となっています。CD販売数6位、ダウンロード数22位、ストリーミング数24位、ラジオオンエア数66位、PCによるCD読取数20位、Twitterつぶやき数31位、You Tube再生回数47位、カラオケ歌唱数92位といずれのチャートにも顔を出しているのが特徴的。もともと配信が先行しており、7月15日付チャートではダウンロード数で2位を記録するなど、ドラマの人気にあわせてヒットを記録しています。ドラマも話題となっていますし、ロングヒットを狙えそうな感もありますが、ただストリーミング数やYou Tube再生回数などの順位が思ったほど伸びていないので、これ以上のヒットはちょっと厳しいか?来週以降の動向にも注目できそうです。

さて、続いてロングヒット組。あいみょん「マリーゴールド」は先週から変わらず6位をキープ。一度はベスト10から陥落したこの曲ですが、再び徐々に順位を上げてきており、根強い人気を見せています。特にストリーミング数はここ数週、3位→4位→5位と徐々にダウンしてきましたが再び3位に返り咲いており、まだまだロングヒットが続きそうな予感がします。一方、先週8位にランクアップしたKing Gnu「白日」は残念ながら今週、13位にダウン。ただストリーミング数は5位と相変わらず上位をキープしており、4度目のベスト10返り咲きもあるか?

今週のHot100は以上。Hot Albumsはまた明日に!

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2019年9月10日 (火)

一挙6枚のEPがリリース

白人3人組という編成ながらもHIP HOPシーンに偉大な業績を残し、今なお多くのミュージシャンのリスペクトを受ける3人組ユニットBeastie Boys。2012年、メンバーのひとりMCAがわずか47歳という若さで癌により急逝し、その後、事実上の活動休止状態となっています。そんな彼らが1989年にリリースした2枚目のアルバムが「Paul's Boutique」。大ヒットしたデビュー作「Licensed to Ill 」から売上面では落ち込んでしまった2枚目ですが、音楽的には高い評価を受けている本作。今回、その「Paul's Boutique」リリース30周年を記念して、6枚のEPが順次配信リリースされました。今回はその6作を一挙に紹介!

Title:An Exciting Evening At Home With Shadrach, Meshach & Abednego
Musician:Beastie Boys

Title:Love American Style
Musician:Beastie Boys

まず第1弾としてリリースされたのがこの2枚。どちらももともとは1989年にリリースされたEP盤で、いずれもレコードのみのリリースのため、配信で聴くことができるというのはやはりファンにとってはうれしいニュースだったのではないでしょうか。楽曲はいずれもスカスカながら大きな音をたてるドラムのリズムとシャウト気味のボーカルが特徴的な、今となっては「いかにも」といった印象のオールドスクールの作品になっています。

ただ、今の耳で聴いても間違いなく楽しくワクワクさせられるようなナンバーが並んでおり、掛値なしに明るいスタイルの楽曲が耳を惹きます。特に「Paul's Boutique」にも収録されている「Shadrach」はロッキンなダイナミックも兼ね備えつつ、時々入るホーンの音色とドラムのリズムが非常にファンキーで楽しませてくれる作品に。ほかにもビースティーファンなら絶対に楽しめるポップなナンバーが並んでおり、文句なしに楽しめるEP盤でした。

評価:どちらも★★★★★

Title:Hey Ladies(Remixes)
Musician:Beastie Boys

で、第2弾としてリリースされた1作目のEPが「Hey Ladies」のリミックス盤。5曲入りなのですが、それぞれが個性的なリミックスが楽しい感じ。よりファンキーにまとめたPaul Nice RemixやメロウながらもどこかコミカルなCount Base D Remixなどが特に耳に残った印象。またループするサウンドが心地よいFred C Remixも印象に残ります。全体的には80年代的なにおいを残しつつ、「Hey Ladies」をリミキサーそれぞれの切り口で再構築した、5曲5様の楽しいリミックスでした。

評価:★★★★★

Title:Shadrach(Remixes)
Musician:Beastie Boys

こちらも5曲入りのリミックスアルバム。リミキサーそれぞれの個性が強く出ていた「Hey Ladies」のリミックスに比べると、全体的にサウンドが抑え気味の構成になっており、シャウト気味でパワフルなビースティーズのラップがただ目立つようなリミックスになっていたように感じます。それはそれで、もちろんビースティーズのラップをよく生かしたリミックスと言えるのかもしれませんが・・・。

評価:★★★★

そして第3弾として配信されたのがまず・・・

Title:Shake Your Rump(Remixes)
Musician:Beastie Boys

収録曲は3曲のみで、「EP」というよりも「シングル」という感じかもしれません。ただ、2曲目のLatch Brothers Remixがとてもユニークで楽しいリミックス。タブラのリズムでエキゾチックにスタートしたかと思えば、様々な音をサンプリングした賑やかで、でもどこか異国情緒を感じさせるトラックがとても楽しい感じ。今回のリミックスの中では一番聴いてみて楽しかったかも。ちょっと3曲のみというのは物足りなさもありましたが・・・。

評価:★★★★

Title:Looking Down The Barrel Of A Gun (Remixes)
Musician:Beastie Boys

で、ラストを飾るのが4曲入りとなった本作。ビートを前が押し出したリミックスになっています。ただ、そんな中でもメロウさを押し出したDub Hackers Remixや逆にダイナミズムを前に押し出したOD Remix、もの悲し気にまとめたDJ Moe Love Remixなどバリエーションあるリミックスに仕上がっていました。

評価:★★★★

そんな訳で一挙6作配信リリースされた今回のEP盤。残念ながらおそらくBeastie Boysとしての新譜はもうリリースされることはないでしょうから、こういう形でのリリースはうれしい話です。彼らがあらためて魅力的なグループだったんだな、とも感じられる作品でした。

Beastie Boys 過去の作品
HOT SAUCE COMMITTEE PART 2

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2019年9月 9日 (月)

あいちトリエンナーレの企画へ、再び

あいちトリエンナーレ2019 Chilla: 40 Days Drumming&円頓寺デイリーライブ

U-zhaan/奇妙礼太郎

会場 なごのアジール/円頓寺駐車場 日時 2019年9月6日(金)

以前も足を運び、ここでレポートを紹介したあいちトリエンナーレの企画、Chilla: 40 Days Drummingと円頓寺デイリーライブ。U-zhaanのChilla:40 Days Drummingにもまた足を運びたいと思っていたのですが、デイリーライブもまた、奇妙礼太郎のライブにも興味があったので、また足を運んできました。

Uzhaan_aichi3

まずはU-zhaanのChilla:40 Days Drummingを見るために、再び、円頓寺商店街をちょっとはずれた所にあるなごのアジールへ。以前、足を運んだ時は、中で見ている人は数人で余裕をもって楽しむことが出来たのですが、この日行ってみるとビックリ。18時15分頃に着いたのですが、会場はほぼ満員で、まるでライブハウスのよう。この企画、あいちトリエンナーレの閉幕に先駆け、9月9日(月)で終了。さらに最終日の9月9日は非公開ということもあり、平日の夜ではこの日が最終日。そういう意味で詰めかけた方も多いのかもしれません。

Uzhaan_aichi4

そんな中、一心不乱にタブラの演奏に取り組んでいるU-zhaan。以前と同じようにiphoneに(おそらく)シタールの音色を取り込んで、その音色をバックにタブラを演奏するスタイルで演奏に取り組んでいました。40日のタブラ修行の終盤ということもあって、以前に来た時と比べて明らかに疲れている様子が・・・。ただ、タブラの演奏自体は衰えを感じさせないどころか、以前に比べて、より最小限にムダのない動きをしてエッジの効いた音になったような印象すら感じました。40日の修行でその演奏に凄みが増した・・・というのは、言い過ぎのせいでしょうか?

10分程度演奏をした後、休憩に。写真はその時に撮ったものです。電飾がついていて「あれ?周りのモニュメント的なものが増えたんじゃないか?」と思ったのですが、8月22日に行った時の写真を見ると、この電飾、その時もありましたね。その時はただ電気がついていなかっただけでした・・・。ちなみに休憩の時にいきなり横の扉からU-zhaan本人が登場してビックリ。思わず凝視してしまいました・・・すいません。客席に知り合いがいたみたいで、その方とちょっとお話をされ、練習場に戻ったかと思うと、敷物を持ってきて、「ここに座るといいよ」とわざわざ敷物を敷いてくれていました。かなりお疲れのご様子でしたが、やさしい方なんですね♡

休憩は10分弱程度で再び練習がスタート。今後はiphoneからの演奏抜きでタブラのみでの演奏に。かなりハイテンポでアグレッシブな演奏が続きます。あらためてタブラのみで演奏をじっと聴いてみると、わずか2つの太鼓にも関わらず、実に多種多様な音が飛び出していることにあらためて気が付かされます。それを自由にあやつり、単なるリズムではなくタブラが歌っているような演奏を聴かせてくれるU-zhaan。あらためて彼の実力を強く感じました。

で、30分程度U-zhaanの演奏を聴き入った後、後ろ髪を引かれる思いでなごのアジールを後にします。続いては19時からのデイリーライブ。奇妙礼太郎のステージなのですが、この日は会場の駐車場からはみ出るほどの観客スペースが設けられて人もギッシリ。奇妙礼太郎って、こんなに人気だったんだ・・・と正直なところ、ちょっと驚きました。

Kimyo_endoji

スタート時間の19時をちょっとだけまわったところでこの日は奇妙礼太郎1人のみがアコギをかかえて登場。最初はそのインパクトあるタイトル&メロディーもあって、彼の代表曲ともなっている「エロい関係」からスタート。公道のすぐ横にあるステージでこの歌を聴けるとは(笑)。さらにサビの「エロい関係」の部分を観客に歌わせるなど、のっけから盛り上がるステージとなりました。

さらにこの歌の最中に蚊にさされたそうで「蚊に刺された~♪」と即興で「蚊に刺された歌」を作って会場を笑わせます。その後、「ダンスミュージック」「君はセクシー」「Nobody Knows」とAORやフォークの色合いの強い、メロウでどこかセクシーさも感じさせる楽曲を聴かせてくれます。奇妙礼太郎は1枚、アルバムを聴いたことがあるのですが、この日のステージはそのアコギ1本でしんみり聴かせる歌声に非常に惹かれる内容に。色っぽいメロディーラインも実に魅力的で、アルバムではそこまでインパクトに残らなかったのですが、ライブではその素晴らしい曲にすっかり魅了されてしまいました。

その後は一度椅子に座って「汚れた天使」という曲を。しんみりとフォーキーに聴かせるのですが、この曲がまたエロい歌詞が印象的。ただ、一方では人間の内面をそのままあらわしたような歌詞が印象的で、そういう歌詞の世界も彼の大きな魅力ということに気が付かされます。さらに「年号が変わった時に作った曲」ということで「礼はいらない」という曲を。曲のスタートがいきなり「れいわ、いらない」からスタートしており、「なるほど・・・」と思ってしまいました(笑)(歌詞の内容は年号の令和とは一切関係ないんですけどね)。さらにその後は松田聖子の「赤いスイートピー」のカバー。これがアコギ1本で叙情感たっぷりに歌を聴かせるカバーになっており、その歌声にゾクゾク来てしまうようなステージでした。

そして椅子から立ち上がりアコギをかき鳴らしながらいきなりスピーカーが置いてある台の上で。「Johnny B. Goode」のギターのイントロを聴かせたかと思えば、なぜかスタートしたのは「お富さん」(笑)で、観客をあおります。その後はカバー曲。尾崎豊の「ダンスホール」、TOMATOSの「Rock Your Baby」、さらには西岡恭蔵の「プカプカ」と、前に歌った「赤いスイートピー」もそうですが、多種多様なカバーの選曲も魅力的。これをまたアコギ1本で、かつ感情たっぷりに歌い上げ、実に魅力的なカバーに仕上げており、そのボーカリストとしての実力も存分に感じさせてくれます。さらに最後は友人が作ったという「しらん節」という曲で締めくくり。最後は観客に「愛してるよ!」と叫ばせ、「5、4、3、2、1、8時!!」とカウントダウンをして8時ピッタリに終了。ほぼピッタリ1時間のステージでした。ちなみにアンコールはなし。回りに民家もある公共の場ですし、会場で音を出していいのが8時までなんでしょうね。

そんな訳ではじめて見た奇妙礼太郎のステージだったのですが、これが実に素晴らしい内容でした。AORとフォークの要素を取り入れたアコギ1本のステージは感情たっぷりながらもどこかエロさも感じさせる雰囲気が魅力的。メロディーにもインパクトがあり、彼がこんなに素晴らしいミュージシャンだったんだ、ということを今回のライブで気が付かされました。ちなみに曲の途中でいきなり「しゃちほこ~♪」「ういろう~♪」なんてフレーズを入れてきたり、いろいろな部分でユーモアの要素を詰め込んでおり、そういう点でもとても楽しいステージに。とても素晴らしいステージで、また是非足を運びたい、そう感じさせるライブでした。

満足度たっぷりで会場を後にしたデイリーライブ。1時間ピッタリのステージでこれが無料というのは実にお得感満載。これが2度目なのですが、今後も魅力的なステージが続くようですので、また是非足を運んでみたいです!U-zhaanともども、満足度の高い企画でした。

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